JP6461393B1 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノックセンサまでの振動の伝達感度の気筒間差、あるいはエンジンおよびノックセンサの機差バラツキあるいは経年変化に対して、適合工数あるいはECUのメモリ容量を増大させることなく、適切なノック判定閾値の下限値および上限値を適用できる内燃機関の制御装置を得る。【解決手段】気筒毎のノック信号のバックグランドレベル、および/または標準偏差を用いた値に基づいて、気筒毎にノック判定閾値の下限値および上限値を補正する。【選択図】図3

Description

本願は、内燃機関の制御装置に関し、詳しくは、内燃機関で発生するノックを抑制する内燃機関の制御装置に関するものである。
従来から、内燃機関(以下、エンジンとも称する。)で発生するノック現象を振動センサにて検出する方法が知られている。これは、エンジンの運転中にノックが発生すると、エンジンあるいはノックの振動モードに応じた固有周波数の振動が発生することを利用し、所定のノック検出ウィンドウにおける固有周波数の振動成分を抽出することでノック検出を行うものである。固有周波数の振動レベルの抽出には、アナログのバンドパスフィルタ回路を用いた方法、あるいはSTFT(short-time Fourier transform:短時間フーリエ変換)、DFT(discrete Fourier transform:離散フーリエ変換)などのデジタル信号処理の実施が一般的に知られている。
そして、例えば特許文献1に開示されているように、振動レベルの抽出により得られた値(以下、ノック信号と称する。)を点火毎にフィルタ処理することでバックグランドレベル(以下、BGLと称する。)を求め、そのBGLを基に算出されるノック判定閾値とノック信号とを比較することでノックの発生を判定する方法がある。この方法では、フィルタ処理にて使用するフィルタ係数を過渡状態時に小さくするように補正することで、過渡状態においてBGLに反映させるノック信号の割合を増大させ、BGLの追従を早めて過渡状態でのノック判定の精度を向上させるようにしている。
ただし、過渡状態と判定される同じエンジン回転数または負荷の変化率でも、低速時と高速時では要求されるBGLの追従性が異なり、例えばエンジン回転数が低回転から高回転へ変化するが、エンジンの回転、あるいは負荷がそれほどの過渡状態ではなくても、エンジン回転数が低回転の領域においてはBGLの早い追従性が必要となる場合がある。そのような場合に、BGLの早い追従性が必要であるのに、それほどの過渡状態ではないのでフィルタ係数の補正量は小さくて、フィルタ係数の補正が十分ではないために、前記特許文献1の開示技術ではBGLの追従遅れによりノックを誤検出する課題がある。
これに対して、特許文献2では、ノック判定閾値に下限値を設定する方法が提案されている。特許文献2の方法によれば、ノック判定閾値が下限値(特許文献2中の下限ガードA)未満の場合は、下限値をノック判定閾値とし、かつフィルタ係数を小さくするようにしている。これにより、ノック判定閾値が下限値より低い状態から加速する際に、それほどの過渡状態でなくても、BGLの追従性を向上させることができ、ノックの誤検出を防止することができる。
一方、エンジンの回転、あるいは負荷が過渡状態であっても、ノック信号の変化が小さいためにBGLの早い追従性が必要では無い場合がある。そのような場合に、BGLの早い追従性が必要では無いのに、過渡状態であるためフィルタ係数の補正量は必要以上に大きくなり、例えばノックによって大きなノック信号が生じてもBGLが過度に追従して上昇することにより、ノックを検出漏れする課題がある。また、定常状態においても、ノックが多発する場合にBGLが過度に上昇し、それによりノック判定閾値も過度に上昇して、最終的にノックを検出漏れする課題がある。
これらに対して、特許文献3では、BGLに上限値を設定する方法が提案されている。特許文献3の方法によれば、BGLが上限値を上回る場合は、BGLを上限値に制限する。これにより、過渡状態でBGLが過度に追従する場合、あるいはノックが多発してノック信号のBGLが過度に上昇する場合でも、ノック信号のBGLが過度に上昇することが制限されて、ノック判定閾値が過度に上昇することが制限されるので、ノックの検出漏れを防止できる。
以上のように、ノック判定閾値を所定の下限値および上限値で制限することで、ノックの誤検出あるいは検出漏れを防止できる。
実公平6−41151号公報 特開平10−259778号公報 特許第3118022号公報
ここで、本願が解決しようとする課題を説明するに際し、まずは所定の定常状態における各気筒のノック信号について説明する。
図15から図17は、ノックセンサが第2気筒と第3気筒の間に取り付けられている4気筒エンジンにおける、エンジン回転数と充填効率が概ね一定である所定の定常状態における各気筒でのノック信号の頻度分布を示すイメージ図を示し、図15はノック未発生の状態、図16は点火時期が図15よりも進角側でノックが数発ほど発生する状態、図17は点火時期が図16よりも進角側でノックが多発する状態でのイメージ図を示している。なお、図15から図17の横軸はノック信号レベル、縦軸は頻度を示し、上から第1気筒、第2気筒、第3気筒、第4気筒の順に各気筒でのノック信号の頻度分布を太線で示している。以下、第1気筒を#1、第2気筒を#2、第3気筒を#3、第4気筒を#4と称する。
図15から図17の符号aで示す細線はノック信号のBGL、図15から図17の符号bで示す箇所はノック信号の上側分布を示し、各気筒のBGLと上側分布の差分はノック信号の上側分布幅である。そして、図15から図17の符号cで示す箇所はノック信号の下側分布を示し、BGLと下側分布の差分はノック信号の下側分布幅である。また、図15から図17の符号dで示す破線矢印はノック判定閾値の下限値、符号eで示す二点鎖線矢印はノック判定閾値の上限値を示しており、ノック判定閾値の下限値および上限値はそれぞれ、気筒番号、ノック発生状態によらず同じ値である。なお、前記符号aからeは、図15の#2を代表として図中に表示し、図15の#1、#3、#4、及び図16、図17の#1から#4においては省略されている。
ノック信号のBGLおよび上側分布幅について、図15に示す通り、#2、#3に対して#1、#4の方がノック信号のBGLおよび上側分布幅は小さくなる。これは、#2、#3よりも#1、#4の方がノックセンサからの位置が遠く、#2、#3よりもノックセンサまでの振動の伝達感度が低いためである。またエンジンブロック内の油水路などの配置によってもノックセンサまでの振動の伝達感度に気筒間差が生じる。そのため、同じレベルの振動に対してノックセンサで検出される振動レベルは気筒毎に異なる。なお、図16、図17においても#2、#3に対して#1、#4の方がノック信号のBGLおよび上側分布幅は小さくなる。
ここで、ノック判定閾値をノック信号のBGLおよび上側分布幅を基に算出するものとし、ノック判定閾値の下限値および上限値はノック信号の上側分布幅に適用する場合を考えると、ノック判定閾値の下限値は、ノックの誤検出を防止するために図15のノック信号の上側分布幅よりも大きく、かつ下限値でノック判定閾値を制限することによるノック検出漏れを考慮して、図16のノック信号の上側分布幅よりも小さい値に設定される。
また、ノック判定閾値の上限値は、ノック多発によりノック判定閾値が過度に上昇してノック検出漏れとなるのを防止するために、図17のノック信号の上側分布幅よりも小さく、かつ上限値でノック判定閾値を制限することによるノック検出時の過度の点火遅角、あるいはノックの誤検出を考慮して、図16のノック信号の上側分布幅よりも大きい値に設定される。
よって、図15から図17に示すノック信号のBGLおよび上側分布幅の気筒間差を考慮すると、ノック判定閾値の下限値および上限値を気筒毎に設定するのが望ましい。
しかしながら、前記特許文献2では、ノック判定閾値の下限値は定数であり、気筒毎に下限値を設定する内容は考慮されていない。また前記特許文献3では、ノック判定閾値の上限値はエンジン回転数に応じて設定されているものの、気筒毎に上限値を設定する内容は考慮されていない。よって、前記特許文献2など従来技術において例えば図15から図17の符号dで示すように、ノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも高い#2の上側分布幅に応じて、図15の上側分布幅より大きく、かつ図16の上側分布幅より小さいノック判定閾値の下限値を設定した場合には、図18に示す課題がある。
図18は、前記特許文献2など従来技術において、ノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも低い#4での定常状態→過渡状態→定常状態を概略的に示すタイムチャートを示している。タイムチャートは上段、中段、下段の3つを記載している。上段は、横軸が時間、縦軸はエンジン回転数、充填効率などの運転状態値のタイムチャートである。中段は、横軸が時間、縦軸は#4のノック信号のタイムチャートであり、本タイムチャート間に計6発のノックが発生している状態を示している。また中段の符号fで示す太線はノック信号のBGL、符号gで示す長破線はノック判定閾値を示している。下段は、横軸が時間、縦軸はノック強度のタイムチャートである。ノック強度は、例えばノック信号がノック判定閾値を上回る分の値に対して所定のゲインを乗じて算出する。
図18において、本来ならば#4の上側分布幅に応じたノック判定閾値の下限値が設定されるべきところで、#2の上側分布幅に応じたノック判定閾値の下限値が設定されている。よって、図18の中段、下段に示すとおり、ノック判定閾値の下限値が大きすぎてノック判定閾値が高くなりノックを検出漏れする課題がある。なお#4の上側分布幅に応じてノック判定閾値の下限値を小さくすればノックの検出漏れを回避できるが、その場合は図19に示す課題がある。
図19は、前記特許文献2など従来技術において、ノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも高い#2での定常状態→過渡状態→定常状態を概略的に示すタイムチャートを示している。タイムチャートは図18と同様に上段、中段、下段の3つを記載しており、各タイムチャートの横軸、縦軸等は図18と同様であるが、図19では本タイムチャート間にノックが未発生の状態を示している。
図19において、本来ならば#2の上側分布幅に応じたノック判定閾値の下限値が設定されるべきところで、#4の上側分布幅に応じたノック判定閾値の下限値が設定されている。よって、図19の中段、下段に示すとおり、ノック判定閾値の下限値が小さすぎてノック判定閾値が低くなりノックを誤検出してしまう課題がある。さらに、ノックが発生した時のノック信号によってノック信号のBGLを不要に上昇させない目的で、ノックが発生したと判定した時のフィルタ係数を、ノックが発生してないと判定した時のフィルタ係数よりも大きくするようにした場合では、ノックの誤検出によりノック信号のBGLの追従がさらに遅れてしまう課題がある。
また、例えば図15から図17の符号eで示すように、ノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも高い#2の上側分布幅に応じて、図16の上側分布幅より大きく、かつ図17の上側分布幅より小さいノック判定閾値の上限値を設定した場合、図17の#4ではノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも低いため、ノック判定閾値の上限値は#4のノック信号の上側分布幅よりも大きくなる。そうすると#4にのみノックが多発した際に、上限値でノック判定閾値が制限されないため、#4で多発するノックを検出漏れして点火遅角せずノックを抑制できない課題がある。
また、ノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも低い#4の上側分布幅に応じて、図16の上側分布幅より大きく、かつ図17の上側分布幅より小さいノック判定閾値の上限値を設定した場合、図16の#2ではノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも高いため、ノック判定閾値の上限値は#2のノック信号の上側分布幅よりも小さくなる。そうすると#2で通常のノック制御では検出しないレベルの弱いノックが発生した際に、上限値でノック判定閾値が過度に制限されるため検出不要なノックを検出し、不要な点火遅角を実施して、最終的にエンジン出力あるいは燃費が悪化する課題がある。
以上のとおり、ノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも高い気筒に応じてノック判定閾値の下限値および上限値を設定した場合は、伝達感度が他気筒よりも低い気筒でノックの検出漏れを生じ、ノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも低い気筒に応じてノック判定閾値の下限値および上限値を設定した場合は、伝達感度が他気筒よりも高い気筒でノック検出時の過度の点火遅角あるいはノックの誤検出を生じる課題がある。
前記課題に対して、気筒毎にノック判定閾値の下限値および上限値を適合することで、ノック信号のBGLおよび上側分布幅の気筒間差があっても適切なノック判定閾値の下限値および上限値を適用することができる。しかし、気筒毎にノック判定閾値の下限値および上限値を適合するために適合工数が増大し、さらに電子制御ユニット(以下、ECUと称する。)にノック判定閾値の下限値および上限値を設定するのに必要なメモリ容量が増大する課題がある。
さらに、気筒毎に下限値および上限値を適合してECUに設定したとしても、エンジンおよびノックセンサの機差バラツキあるいは経年変化によりノック信号のBGLあるいは上側分布幅が適合時と異なる場合は、前記段落0022で記載した課題は解消されない。
本願は、前記課題を解決するためになされたもので、ノックセンサまでの振動の伝達感度の気筒間差、あるいはエンジンおよびノックセンサの機差バラツキあるいは経年変化に対して、適合工数あるいはECUのメモリ容量を増大させることなく、適切なノック判定閾値の下限値および上限値を適用できる内燃機関の制御装置を提供することを目的とするものである。
本願に開示される内燃機関の制御装置は、エンジンのシリンダ内で発生する振動または圧力波を振動データとして検出する振動データ検出手段と、前記振動データが入力される電子制御装置と、を備えると共に、
前記電子制御装置は、
前記振動データからノックの振動成分を抽出してノック信号とする振動データ処理手段と、前記ノック信号を処理することにより気筒毎にバックグランドレベルと標準偏差の少なくとも一つを算出するノック信号処理手段と、前記バックグランドレベルと前記標準偏差の少なくとも一つを用いてノック判定閾値を算出するノック判定閾値算出手段と、前記ノック判定閾値の下限値と前記ノック判定閾値の上限値の少なくとも一つを用いて前記ノック判定閾値を制限するノック判定閾値制限手段と、前記ノック信号と前記ノック判定閾値制限手段で制限された前記ノック判定閾値とを比較して前記ノックの発生を判定するノック判定手段と、前記ノック判定手段による判定結果に応じて、前記ノックを抑制するノック抑制手段と、を備えた内燃機関の制御装置において
気筒毎の前記バックグランドレベルと前記標準偏差の少なくとも一つを用いた補正関連値に基づいて、気筒毎に、前記ノック判定閾値の下限値と前記ノック判定閾値の上限値の少なくとも一つを補正すると共に、前記補正関連値を前記補正関連値の気筒間平均値で除算して算出される気筒間比率を用いて、気筒毎に、前記ノック判定閾値の下限値と前記ノック判定閾値の上限値の少なくとも一つを補正することを特徴とする。
本願に開示される内燃機関の制御装置によれば、気筒毎のノック信号のバックグランドレベルあるいは標準偏差を用いた値に基づいて、気筒毎に、ノック判定閾値の下限値および上限値を補正することで、振動データ検出手段までの振動の伝達感度の気筒間差、あるいはエンジンおよび振動データ検出手段の機差バラツキあるいは経年変化などに対して適合工数あるいは電子制御装置のメモリ容量を増大させることなく、適切なノック判定閾値の下限値および上限値を適用でき、ノックの誤検出あるいは検出漏れを回避できる効果を得ることができる。
実施の形態1に係るエンジンを概略的に示す構成図である。 実施の形態1に係るエンジン制御部を概略的に示す構成図である。 実施の形態1に係るノック制御部を概略的に示す構成図である。 実施の形態1に係る運転状態値取得からノック判定閾値の下限値および上限値算出までのフローチャートである。 実施の形態1に係るエンジン回転数とノック判定閾値の下限値および上限値の関係を示すイメージ図である。 実施の形態1に係るノック判定閾値の下限値テーブルである。 実施の形態1に係るノック判定閾値の上限値テーブルである。 実施の形態1に係るフィルタ係数を算出するフローチャートである。 実施の形態1に係るノック判定閾値の下限値および上限値の気筒間比率を算出するフローチャートである。 所定の定常状態におけるノック未発生の状態での各気筒のノック信号の頻度分布と、実施の形態1に係るノック判定閾値の下限値および上限値の関係を示すイメージ図である。 所定の定常状態におけるノックが数発ほど発生する状態での各気筒のノック信号の頻度分布と、実施の形態1に係るノック判定閾値の下限値および上限値の関係を示すイメージ図である。 所定の定常状態におけるノックが多発する状態での各気筒のノック信号の頻度分布と、実施の形態1に係るノック判定閾値の下限値および上限値の関係を示すイメージ図である。 実施の形態1に係るノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも低い気筒の定常状態→過渡状態→定常状態を概略的に示すタイムチャートである。 実施の形態1に係るノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも高い気筒の定常状態→過渡状態→定常状態を概略的に示すタイムチャートである。 所定の定常状態におけるノック未発生の状態での各気筒のノック信号の頻度分布と、従来技術によるノック判定閾値の下限値および上限値の関係を示すイメージ図である。 所定の定常状態におけるノックが数発ほど発生する状態での各気筒のノック信号の頻度分布と、従来技術によるノック判定閾値の下限値および上限値の関係を示すイメージ図である。 所定の定常状態におけるノックが多発する状態での各気筒のノック信号の頻度分布と、実施の形態1に係るノック判定閾値の下限値および上限値の関係を示すイメージ図である。 従来技術によるノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも低い気筒の定常状態→過渡状態→定常状態を概略的に示すタイムチャートである。 従来技術によるノックセンサまでの振動の伝達感度が他気筒よりも高い気筒の定常状態→過渡状態→定常状態を概略的に示すタイムチャートである。
以下、本願の実施の形態に係る内燃機関の制御装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一もしくは相当部分を示している。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエンジンを概略的に示す構成図であり、図2は、実施の形態1に係るエンジン制御部を概略的に示す構成図である。なお、自動車等車両用の内燃機関は、通常、複数のシリンダ及びピストンを備えているが、図1では説明の便宜上、一つのシリンダ及びピストンのみを示している。
図1において、エンジン1の吸気系の上流に吸入空気流量を調整するために電子的に制御される電子制御式スロットルバルブ(以下、スロットルバルブと称する。)2が設けられている。また、スロットルバルブ2の開度を検出するために、スロットル開度センサ3が設けられている。なお、スロットルバルブ2の代わりに図示しないアクセルペダルに直接ワイヤで繋がれた機械式スロットルバルブを用いてもよい。
更に、スロットルバルブ2の上流には吸入空気流量を検出するエアフロセンサ4が設けられており、スロットルバルブ2の下流のエンジン1側には、サージタンク5内の圧力を検出するインマニ圧センサ6が設けられている。なお、エアフロセンサ4とインマニ圧センサ6に関しては、両方とも設けてもよいし、何れか一方のみに設けてもよい。
サージタンク5の下流の吸気ポートに設けられた吸気バルブには、吸気バルブの開閉タイミングあるいはリフト量を可変制御できる可変吸気バルブ機構7が取り付けられており、また、吸気ポートには燃料を噴射するインジェクタ8が設けられている。なお、インジェクタ8はエンジン1のシリンダ内に直接噴射できるように設けられてもよい。更に、エンジン1には、エンジン1のシリンダ内の混合気に点火するための点火コイル9および点火プラグ10、エンジン回転数あるいはクランク角度を検出するためにクランク軸に設けられたプレートのエッジを検出するクランク角センサ11、エンジン1のシリンダ内で発生する振動を振動データとして検出する振動データ検出部、即ち、ノックセンサ12、排気ガスに含まれる気体の状態(以下、A/Fと称する。)を検出するA/Fセンサ13が設けられている。なお、ノックセンサ12の代わりに、例えばシリンダ内の圧力波を振動データとして計測する筒内圧センサを設けてもよい。
図2は、エンジン制御部を概略的に示す構成図である。この図2において、エアフロセンサ4で検出された吸入空気流量、インマニ圧センサ6で検出されたインマニ圧、スロットル開度センサ3で検出されたスロットルバルブ2の開度、クランク角センサ11より出力されるクランク軸に設けられたプレートのエッジに同期したパルス、ノックセンサ12で検出された振動データ、およびA/Fセンサ13で検出されたA/Fを示す各状態量は、電子制御装置(以下、ECUと称する。)14に入力される。
また、前記以外の各種センサ400からもECU14に検出値が入力され、さらに、他のコントローラ(例えば、自動変速機制御、ブレーキ制御、トラクション制御等の制御システム)500からの信号もECU14に入力される。ECU14では、アクセル開度あるいはエンジン1の運転状態などを基にして目標スロットル開度が算出されてスロットルバルブ2を制御する。また、その時の運転状態に応じて、吸気バルブの開閉タイミングを可変制御する可変吸気バルブ機構7が制御され、目標空燃比を達成するようにインジェクタ8が駆動され、目標点火時期を達成するように点火コイル9への通電が行われる。なお、後述する方法でノックが検出された場合には、目標点火時期を遅角側に設定することによりノックの発生を抑制する制御も行われる。さらに、前記以外の各種アクチュエータ600への指示値も算出される。
次に、図3を参照しながらECU14で行われるノック制御の概要について説明する。
図3はノック制御全体の構成を示すブロック図である。図3において、符号12は、図1および図2で説明したノックセンサを示している。
ここで、ECU14内のノック制御部の構成について説明する。ECU14はマイクロコンピュータ14Aと各種I/F回路14Bを備え、マイクロコンピュータ14Aは、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部、制御プログラムあるいは制御定数を記憶しておくROM領域、プログラムを実行した際の変数を記憶しておくRAM領域等から構成されている。また、各種I/F回路14Bにおけるノック制御用のI/F回路15は、振動データの高周波成分を除去するためのローパスフィルタ(以下、LPFと称する。)で構成されている。
マイクロコンピュータ14AのA/D変換は、A/D変換部16により、一定の時間間隔(例えば、10μsあるいは20μs等)毎に実行される。LPF15には、A/D変換部16で全振動データを取り込むために、例えば、2.5Vにバイアス(振動データの中心を2.5Vにする)しておく機能、および2.5Vを中心に0〜5Vの範囲に振動データが収まるように、振動データが小さい場合には2.5Vを中心に増幅し、大きい場合には2.5Vを中心に減少させるゲイン変換機能も含まれている。なお、A/D変換部16でのA/D変換は、常時実施するようにしておいて、ノック検出ウィンドウ(本実施の形態ではATDC(After Top Dead Center:上死点後)−10°CAからATDC80°CAとする)の振動データのみ、振動データ処理手段17以降へ送るようにしても良いし、ノック検出ウィンドウのみA/D変換を行い、振動データ処理手段17以降へ送るようにしても良い。
振動データ処理手段17では、デジタル信号処理による時間−周波数解析が実施される。このデジタル信号処理として、例えば、STFTあるいはDFTにより、複数の固有周波数のスペクトル列が算出され、固有周波数のスペクトル列毎にピーク値を算出し、固有周波数毎のノック信号として出力する。なお、デジタル信号処理としては、IIR(Infinite impulse response:無限インパルス応答)フィルタ、あるいはFIR(Finite impulse response:有限インパルス応答)フィルタを用いることで固有周波数の振動レベルを抽出するようにしてもよい。なお、振動データ処理手段17の演算は、A/D変換を実施しながら処理してもよいし、エンジン1の回転に同期した割込み処理にてまとめて実施しても良い。
そして、複数のセンサ(例えば、図2に示すスロットル開度センサ3、エアフロセンサ4、インマニ圧センサ6、クランク角センサ11)の信号より検出された複数の運転状態値を用いて、運転状態判定手段18にて後述する過渡補正係数K_trの算出と、運転状態の判定を実施し、その結果をフィルタ係数算出手段19、ノック判定閾値下限値/上限値算出手段20へ送る。なお、運転状態判定手段18における過渡補正係数K_trの算出からノック判定閾値下限値/上限値算出手段20におけるノック判定閾値の下限値MINCLPおよび上限値MAXCLPの算出までのフローは後述する。
ノック信号処理手段21では、ノック判定閾値VTHの算出にて使用するノック信号のBGLであるVBGLと標準偏差VSGMを算出する。ノック信号のBGLであるVBGL、および標準偏差VSGMは、複数の固有周波数の各々で下記式(1)から(3)を用いて算出する。まず、サイクルごとに算出されたノック信号に対するフィルタ処理を行い平均化する。
Figure 0006461393
次に下記式(2)、(3)にて分散VV及び標準偏差VSGMを算出する。
Figure 0006461393
ノック判定閾値算出手段22では、下記式(4)にてノック判定閾値VTHを算出する。
Figure 0006461393
なお、第1フィルタ係数K1、第2フィルタ係数K2は、式(1)の実施より前にフィルタ係数算出手段19にて算出されるものであり、フィルタ係数算出手段19については後述する。また、ノック判定閾値の下限値および上限値の気筒間比率(#*)Krat_*はノック判定閾値算出手段22内にあるノック判定閾値制限手段23で算出されるものであり、本実施の形態のように4気筒エンジンであれば、各気筒に対応するKrat_1、Krat_2、Krat_3、Krat_4の値を持ち、ノック判定閾値の下限値MINCLPおよび上限値MAXCLPの気筒間補正に使用される。ノック判定閾値制限手段23については後述する。また、本実施の形態では式(4)に示すように、ノック信号の上側分布幅に相当する箇所に下限値および上限値を適用しているが、ノック判定閾値VTH自体に下限値および上限値を適用する構成にしてもよい。
ノック判定手段24では、ノック信号VPとノック判定閾値VTHを比較して下記式(5)によりノックの発生有無を判定し、ノック強度に応じた信号を出力する。
Figure 0006461393
ノック抑制手段25では、ノック判定手段24のノック判定結果から下記式(6)により、1点火毎のノック強度に応じた点火遅角量を算出する。
ΔθR(n)=max{−VK(n)×Kg(n),θmin}・・・(6)
ここで、ΔθR(n):1点火毎点火遅角量、Kg(n):点火遅角量反映係数、
θmin:最大点火遅角量を示す。
なお、ΔθR(n)<0の場合はΔθR(n)に応じて点火時期を遅角し、ΔθR(n)=0の場合は所定分だけ点火を進角側に復帰させる。
以上において、A/D変換部16、振動データ処理手段17、運転状態判定手段18、フィルタ係数算出手段19、ノック判定閾値下限値/上限値算出手段20、ノック信号処理手段21、ノック判定閾値算出手段22、ノック判定閾値制限手段23、ノック判定手段24、およびノック抑制手段25により、デジタル信号処理による周波数解析結果を用いたノック検出、点火時期を遅角することによるノックの抑制といったノック制御を実現する処理方法について説明した。なお、ノックを抑制させる手段としては、点火時期を遅角すること以外に、他の手段、例えば空燃比をリッチな状態にしたり、吸入空気温度を下げるなどの方法がある。
次に、運転状態判定手段18、フィルタ係数算出手段19、ノック判定閾値下限値/上限値算出手段20、ノック判定閾値制限手段23について詳細に説明する。
まず、図4から図6を参照しながら、運転状態判定手段18、ノック判定閾値下限値/上限値算出手段20について説明する。図4は、運転状態判定手段18における過渡補正係数K_trの算出からノック判定閾値下限値/上限値算出手段20におけるノック判定閾値の下限値MINCLPおよび上限値MAXCLPの算出までのフローチャートで、運転状態値の算出(ステップS101)、過渡補正係数の算出(ステップS102)、ノック判定閾値の下限値MINCLPの算出(ステップS103)、ノック判定閾値の上限値MAXCLPの算出(ステップS104)で構成される。なお、図4のステップS103、ステップS104については、ノック検出に用いる複数の周波数に対して各々実施する。以下、ステップS101から順に説明する。
まず、ステップS101において、各センサ3、4、6、11の出力値から今回サイクルのエンジン回転数NE(n)、充填効率EC(n)、スロットル開度TP(n)を算出し、ステップS102に進む。
ステップS102では、ステップS101で算出したエンジン回転数NE、充填効率EC、スロットル開度TPから過渡補正係数K_trを算出する。本実施の形態では、前回サイクル値との偏差|ΔNE(n)|(=NE(n)−NE(n−1)の絶対値)、|ΔEC(n)|(=EC(n)−EC(n−1)の絶対値)、|ΔTP(n)|(=TP(n)−TP(n−1)の絶対値)と各偏差基準値から、下記式(7)にて算出する。
Figure 0006461393
ステップS102で過渡補正係数K_tr(n)を算出し、過渡補正係数K_tr(n)をフィルタ係数算出手段19へ送信した後にステップS103に進む。
ステップS103では、ステップS101で算出したエンジン回転数NE(n)とノック判定閾値の下限値テーブルからノック判定閾値の下限値MINCLPを算出し、ノック判定閾値の下限値MINCLPをフィルタ係数算出手段19とノック判定閾値算出手段22に送信して、ステップS104に進む。
ステップS104では、ステップS101で算出したエンジン回転数NE(n)とノック判定閾値の上限値テーブルからノック判定閾値の上限値MAXCLPを算出し、ノック判定閾値の上限値MAXCLPをフィルタ係数算出手段19とノック判定閾値算出手段22に送信して本フローを終了する。
次に、図5を用いてエンジン回転数とノック判定閾値の下限値および上限値の関係について、また、図6、図7を用いてノック判定閾値の下限値テーブルおよび上限値テーブルについて説明する。
図5は、エンジン回転数とノック判定閾値の下限値および上限値の関係を示すイメージ図であり、横軸はエンジン回転数、縦軸はノック判定閾値の下限値および上限値である。図5において太線αはノック判定閾値の下限値MINCLP、長破線βはノック判定閾値の上限値MAXCLPを示している。
ノック信号のBGLおよび上側分布幅は、エンジン回転数が高くなるにつれて大きくなることから、図5の太線α、長破線βで示すように、ノック判定閾値の下限値MINCLPおよび上限値MAXCLPはエンジン回転数が高くなるにつれて大きく設定する。なお、ノック判定閾値の下限値MINCLPおよび上限値MAXCLPの設定は、エンジン制御定数を適合する際の標準条件の実機試験データを用いて、ノック判定閾値の下限値MINCLPは主にノック未発生データの各気筒の上側分布幅の気筒間平均値に基づいて、また、ノック判定閾値の上限値MAXCLPは主にノック多発データの上側分布幅の気筒間平均値に基づいて設定する。
図6のノック判定閾値の下限値テーブルおよび図7のノック判定閾値の上限値テーブルは、ECU14のROM領域に書き込まれるものであり、エンジン回転数をパラメータとし、図6のテーブルには図5の太線αで示したノック判定閾値の下限値、図7のテーブルには図5の長破線βで示したノック判定閾値の上限値が設定されている。図6、図7において、エンジン回転数は500[r/min]刻みとしているが、本制御を実施する機種に応じて刻みを変更してもよい。このノック判定閾値の下限値テーブルおよび上限値テーブルに、図5で説明したノック判定閾値の下限値MINCLPおよびノック判定閾値の上限値MAXCLPを設定しておき、図4のステップS103にて、今回サイクルのエンジン回転数NE(n)と、ノック判定閾値の下限値テーブルからノック判定閾値の下限値MINCLPを算出し、図4のステップS104にて、今回サイクルのエンジン回転数NE(n)と、ノック判定閾値の上限値テーブルからノック判定閾値の上限値MAXCLPを算出する。なお、本実施の形態では負荷方向のノック判定閾値の下限値および上限値について言及していないが、より精度よくノック判定閾値の下限値および上限値を設定するために、図6、図7のノック判定閾値の下限値テーブルおよび上限値テーブルに負荷軸を追加したマップを設けるようにしてもよい。
次に、フィルタ係数算出手段19での処理について説明する。図8は、前記式(1)にて使用する第1フィルタ係数K1(n)を算出するフローチャートであり、ノック判定閾値VTH’の算出(ステップS201)、ノック判定(ステップS202)、定常状態でのフィルタ係数の算出(ステップS203、204)、運転状態判定(ステップS205)と、第1フィルタ係数K1の算出(ステップS206、207)で構成される。なお、図8のフローチャートについては、ノック検出に用いる複数の周波数に対して各々実施する。以下、ステップS201から順に説明する。
まず、ステップS201において、下記式(8)により、ノック判定閾値VTH’を算出する。
Figure 0006461393
なお、式(4)で示したノック判定閾値VTHと似た式ではあるが、ノック信号のBGLであるVBGLと標準偏差VSGMが前回サイクルの値を使用している点が異なる。これは、式(4)でノック判定閾値VTHを算出する前に、第1フィルタ係数K1を算出するためである。なお、ノック判定閾値の下限値MINCLPおよび上限値MAXCLPは前記サイクルではなく今回サイクルの値を使用しているが、これは、前回サイクルにて定常状態で今回サイクルにて過渡状態と判定するようなケースにおいて、遅れなくノック判定閾値の下限値MINCLPおよび上限値MAXCLPを適用するためである。ノック判定閾値VTH’(n)を算出したあとにステップS202に進む。
ステップS202では、ノック判定閾値VTH’(n)とノック信号VP(n)を比較して、VP(n)>VTH’(n)ならばノック発生によりノック信号VP(n)が大きいと判定してステップS203に進み、そうでない場合は、ステップS204に進む。ステップS203に進んだ場合は定常状態でのフィルタ係数K1_s(n)にK1_kを入力、ステップS204に進んだ場合はK1_s(n)にK1_nを入力して、ステップS205に進む。なお、K1_kをK1_nよりも大きな値に設定することで、ノック発生によるノック信号VP(n)の増加で不要にノック信号のBGLであるVBGL、標準偏差VSGMが上昇しないようにする。
ステップS205では、過渡補正係数K_tr(n)と所定値TRを比較して、K_tr(n)≧TRならば過渡状態と判定してステップS206に進み、そうでなければ定常状態と判定して207に進む。
ステップS206に進んだ場合は、過渡状態でのフィルタ係数K1_trと定常状態でのフィルタ係数K1_s(n)を過渡補正係数K_tr(n)で補間することで第1フィルタ係数K1(n)を算出し、このフローを終了する。
具体的には、下記式(9)にて第1フィルタ係数K1(n)を算出する。
K1(n)=K_tr(n)×K1_tr+(1−K_tr(n))×K1_s(n)・・・(9)
なお、過渡状態でのフィルタ係数K1_trは、ステップS204のK1_nよりも小さい値に設定することで、ノック信号のBGLであるVBGL、標準偏差VSGMに反映させるノック信号の割合を増大させて過渡状態での追従性を向上させる。
ステップS207に進んだ場合は、定常状態でのフィルタ係数K1_s(n)を第1フィルタ係数K1(n)に設定してこのフローを終了する。なお、前記式(2)で用いる第2フィルタ係数K2(n)も同様の方法にて算出することができる。
次に、ノック判定閾値制限手段23での処理について説明する。図9は、前記式(4)および式(8)にて使用するノック判定閾値の下限値および上限値の気筒間比率Krat_1からKrat_4を算出するフローチャートで、気筒間比率Krat_1からKrat_4の算出で使用するBGLの更新(ステップS301)、運転状態判定(ステップS302)、気筒間比率Krat_1からKrat_4の更新可否判定(ステップS303〜305)、BGLの気筒間平均値の算出(ステップS306)、気筒間比率Krat_1からKrat_4の算出(ステップS307)で構成される。なお、図9のフローチャートについては、ノック検出に用いる複数の周波数に対して各々実施する。以下、ステップS301から順に説明する。
まず、ステップS301において、ノック信号処理手段21で算出されたVBGL(n)と、その気筒番号*から、気筒間比率Krat_1からKrat_4の算出で使用するBGLの更新を行う。
具体的には、気筒間比率Krat_1からKrat_4の算出で使用するBGLとして、BGL_1、BGL_2、BGL_3、BGL_4を持ち、例えば気筒番号*が1ならばBGL_1=VBGL(n)、気筒番号*が2ならばBGL_2=VBGL(n)という形で、気筒間比率Krat_1からKrat_4の算出で使用するBGLの更新を行い、ステップS302に進む。
ステップS302では、過渡補正係数K_tr(n)と所定値TRを比較して、K_tr(n)<TRならば定常状態と判定してステップS303に進み、そうでなければ過渡状態と判定してステップS304に進む。なお、ステップS302は、図8のステップS205と同様の処理であるので、ステップS205の結果を以って過渡状態、定常状態を判定すればよい。
ステップS303に進んだ場合は、下記式(10)にてCNTratをカウントアップして、ステップS305に進む。CNTratは0から総気筒数の値をとり、本実施の形態では4気筒エンジンなので、CNTratは0〜4となる。
CNTrat=min{CNTrat+1,4}・・・(10)
ステップS305では、CNTratの値から気筒間比率Krat_1からKrat_4の更新可否判定を行う。気筒間比率Krat_1〜Krat_4は、ノックセンサ12までの振動の伝達感度の気筒間差、あるいはエンジン1およびノックセンサ12の機差バラツキあるいは経年変化を補正するために、各気筒のBGLに基づいて算出されるものである。よって過渡変化によるBGLの変化は誤算出の要因となるため、定常状態で連続してBGL_1からBGL_4が更新された場合に気筒間比率Krat_1からKrat_4の更新を実施する。
具体的には、CNTrat=4ならば気筒間比率Krat_1からKrat_4の更新を行うためステップS306に進み、CNTrat≠4ならば気筒間比率Krat_1からKrat_4の更新を行わずこのフローを終了する。
なお、前記ステップS302からステップS304に進んだ場合は、過渡状態と判定したのでCNTratを零にリセットしてこのフローを終了する。
ステップS306に進んだ場合は、下記式(11)にてBGL_1からBGL_4の気筒間平均値を算出し、ステップS307に進む。
Figure 0006461393
ステップS307では、ノック判定閾値の下限値および上限値の気筒間比率Krat_1からKrat_4を算出してこのフローを終了する。具体的には、#1に対して気筒間比率Krat_1は下記式(12)にて算出する。
Figure 0006461393
#2から#4についても前記式(12)と同様に算出する。ここで、前記式(12)において、気筒間比率Krat_1を、Krat_min_1とKrat_max_1で制限する理由について説明する。
前記図15から図17ではノック信号のBGLは、#2、#3が大きく、#1、#4が小さいので、気筒間比率はKrat_2、Krat_3が大きく、Krat_1、Krat_4が小さくなる特性である。しかし、前記式(12)でKrat_min_1、Krat_max_1による制限が無い場合に、例えばノック発生の気筒間差が大きくて#1のみ図17の状態で、#2から#4は図15の状態となると、#1のBGLが他気筒よりも大きいので気筒間比率Krat_1がKrat_2、Krat_3、Krat_4よりも大きくなって前記特性と異なる値となる課題がある。そこで、前記式(12)において、気筒間比率Krat_1をKrat_min_1とKrat_max_1で制限することで、気筒間比率Krat_1が前記特性と異なる値となるのを回避する。また、気筒間比率最小制限値および気筒間比率最大制限値の設定については、前記図15から図17のようにノック信号のBGLは#2、#3が大きく、#1、#4が小さい特性である場合は、#2と#3の気筒間比率最小制限値および気筒間比率最大制限値は大きく、#1と#4の気筒間比率最小制限値および気筒間比率最大制限値は小さく設定する。
なお、本実施の形態ではノック信号のBGLに基づいてノック判定閾値の下限値および上限値の気筒間比率Krat_1からKrat_4を算出しているが、ノック信号の標準偏差VSGMに基づいて気筒間比率Krat_1からKrat_4を算出するようにしてもよく、例えばノック判定閾値の下限値の気筒間比率はノック信号のBGLに基づいて算出し、ノック判定閾値の上限値の気筒間比率はノック信号の標準偏差VSGMに基づいて算出するようにしてもよい。
以上、実施の形態1に係る内燃機関の制御装置について説明したが、次に、図10から図14を用いて、その効果について説明する。
図10から図12は、実施の形態1に係る所定の定常状態における各気筒のノック信号の頻度分布を示すイメージ図で、グラフ軸等は従来技術で説明した図15から図17と同様である。従来技術の図15から図17では、ノック判定閾値の下限値および上限値がそれぞれ気筒によらず同じ値であるために、ノック信号のBGLあるいは上側分布幅の気筒間差に対して適切なノック判定閾値の下限値および上限値が適用されず、ノックの誤検出あるいは検出漏れの課題があったが、実施の形態1に係る図10から図12では、ノック信号のBGLあるいは上側分布幅の気筒間差に対して適切なノック判定閾値の下限値および上限値が適用できる効果が得られる。
図13は、実施の形態1に係るノックセンサ12までの振動の伝達感度が他気筒よりも低い気筒の定常状態→過渡状態→定常状態を概略的に示すタイムチャートで、グラフ軸等は従来技術で説明した図18と同様である。図18では、ノック判定閾値の下限値が大きすぎることでノックを検出できない課題があったが、図13では適切なノック判定閾値の下限値が適用されてノックを検出できる効果が得られる。なお、図13の中段に示す一点鎖線は、図18で説明した従来技術によるノック判定閾値を示している。
また、図14は、実施の形態1に係るノックセンサ12までの振動の伝達感度が他気筒よりも高い気筒の定常状態→過渡状態→定常状態を概略的に示すタイムチャートで、グラフ軸等は従来技術で説明した図19と同様である。図19では、ノック判定閾値の下限値が小さすぎることで過渡時にノックを誤検出する課題があったが、図14では適切なノック判定閾値の下限値が適用されて過渡時にノックを誤検出しない効果が得られる。なお、図13の中段に示す一点鎖線は、図19で説明した従来技術によるノック判定閾値を示している。
以上説明したように、実施の形態1に係る内燃機関の制御装置は、気筒毎のノック信号のBGLあるいは標準偏差VSGMを用いた値に基づいて、気筒毎に、ノック判定閾値の下限値および上限値を補正する。
このようにすることで、ノックセンサ12までの振動の伝達感度の気筒間差、あるいはエンジンおよびノックセンサ12の機差バラツキあるいは経年変化などに対して、適合工数あるいはECUのメモリ容量を増大させることなく、適切なノック判定閾値の下限値および上限値を適用でき、ノックの誤検出あるいは検出漏れを回避できる効果が得られる。
また、気筒毎のノック信号のBGLあるいは標準偏差VSGMを、ノック信号のBGLあるいは標準偏差VSGMの気筒間平均値で除算して算出される気筒間比率を用いて、気筒毎に、ノック判定閾値の下限値および上限値を補正する。
このようにすることで、ノック判定閾値の下限値および上限値の気筒間補正を簡易に実施できる効果が得られる。
また、気筒間比率を、気筒間比率最小制限値および気筒間比率最大制限値で制限する。
このようにすることで、例えばノック発生の気筒間差などによって、特定の気筒のノック信号のBGLあるいは標準偏差VSGMが顕著に大きくなっても、気筒間比率がノックセンサ12までの振動の伝達感度の気筒間差、あるいはエンジンおよびノックセンサ12の機差バラツキあるいは経年変化などで設定され得る範囲内に制限できる効果が得られる。
また、気筒間比率最小制限値および気筒間比率最大制限値を、気筒毎に設定する。
このようにすることで、気筒間比率の設定され得る範囲が気筒毎に異なることに対して、適切に気筒間比率を設定できる効果が得られる。
また、ノックセンサ12までの振動の伝達感度が他気筒よりも高い気筒ほど、気筒間比率最小制限値および気筒間比率最大制限値を大きく設定し、ノックセンサ12までの振動の伝達感度が他気筒よりも低い気筒ほど、気筒間比率最小制限値および気筒間比率最大制限値を小さく設定する。
このようにすることで、ノックセンサ12までの振動の伝達感度が他気筒よりも高い気筒では気筒間比率の設定され得る範囲が高く、ノックセンサ12までの振動の伝達感度が他気筒よりも低い気筒では気筒間比率の設定され得る範囲が低いことに対して、適切に気筒間比率を設定できる効果が得られる。
以上、実施の形態1に係る内燃機関の制御装置について説明したが、この実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
1 エンジン、2 電子制御式スロットルバルブ、3 スロットル開度センサ、4 エアフロセンサ、5 サージタンク、6 インマニ圧センサ、7 可変吸気バルブ機構、8 インジェクタ、9 点火コイル、10 点火プラグ、11 クランク角センサ、12 ノックセンサ、13 A/Fセンサ、14 ECU、400 各種センサ、500 他のコントローラ、600 各種アクチュエータ、14A マイクロコンピュータ、14B 各種I/F回路、15 I/F回路(LPF)、16 A/D変換部、17 振動データ処理手段、18 運転状態判定手段、19 フィルタ係数算出手段、20 ノック判定閾値下限値/上限値算出手段、21 ノック信号処理手段、22 ノック判定閾値算出手段、23 ノック判定閾値制限手段、24 ノック判定手段、25 ノック抑制手段。

Claims (4)

  1. エンジンのシリンダ内で発生する振動または圧力波を振動データとして検出する振動データ検出手段と、前記振動データが入力される電子制御装置と、を備えると共に、
    前記電子制御装置は、
    前記振動データからノックの振動成分を抽出してノック信号とする振動データ処理手段と、
    前記ノック信号を処理することにより気筒毎にバックグランドレベルと標準偏差の少なくとも一つを算出するノック信号処理手段と、
    前記バックグランドレベルと前記標準偏差の少なくとも一つを用いてノック判定閾値を算出するノック判定閾値算出手段と、
    前記ノック判定閾値の下限値と前記ノック判定閾値の上限値の少なくとも一つを用いて前記ノック判定閾値を制限するノック判定閾値制限手段と、
    前記ノック信号と前記ノック判定閾値制限手段で制限された前記ノック判定閾値とを比較して前記ノックの発生を判定するノック判定手段と、
    前記ノック判定手段による判定結果に応じて、前記ノックを抑制するノック抑制手段と、を備えた内燃機関の制御装置において
    気筒毎の前記バックグランドレベルと前記標準偏差の少なくとも一つを用いた補正関連値に基づいて、気筒毎に、前記ノック判定閾値の下限値と前記ノック判定閾値の上限値の少なくとも一つを補正すると共に、前記補正関連値を前記補正関連値の気筒間平均値で除算して算出される気筒間比率を用いて、気筒毎に、前記ノック判定閾値の下限値と前記ノック判定閾値の上限値の少なくとも一つを補正することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記気筒間比率を、気筒間比率最小制限値および気筒間比率最大制限値で制限することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記気筒間比率最小制限値および前記気筒間比率最大制限値を、気筒毎に設定することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記振動データ検出手段までの振動の伝達感度が他気筒よりも高い気筒ほど、前記気筒間比率最小制限値および前記気筒間比率最大制限値を大きく設定し、
    前記振動データ検出手段までの振動の伝達感度が他気筒よりも低い気筒ほど、前記気筒間比率最小制限値および前記気筒間比率最大制限値を小さく設定することを特徴とする請求項またはに記載の内燃機関の制御装置。
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