JPH049933B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は特許請求の範囲第１項の前提項に記載
の自動車用歯車変速機に関する。

このような変速機はドイツ特許公開公報第DE
−OS3033625によつて公知である。この公知の変
速機は入力軸上のみならず出力軸上にも後進段専
用で、対応する軸に固定されたギヤを有してお
り、これら両ギヤに１つの固定軸上を移動できる
スライドギヤをかみ合わすことができる。この公
知の変速機では後進段用に少くとも３つのギヤを
追加しなければならないが、スライドギヤを１つ
だけ用いるものであつて、変速機を同期かみ合い
にすることはできない。また、入力軸および出力
軸上に後進用として追加されたギヤのために不都
合なことに変速機の長さが増している。

英国特許公報第GB−PS2031531から１つの変
速機が公知になつており、この変速機においても
同様に、入力軸上に配置された後進段専用の固定
ギヤとかみ合うことができる後進段に入れるため
のスライドギヤが用いられている。この変速機の
場合、スライドギヤは固定軸ではなく、出力軸上
に配置された固定ギヤにかみ合つているギヤを支
持する軸上に回転不能に配置されている。この変
速機においてもやはり、スライドギヤを用いるた
めに同期かみ合いにすることはできず、そして入
力軸および出力軸上に後進段用のギヤを追加しな
ければならないために変速機の長さが著しく長く
なるというギヤ配置になつている。

最後にドイツ特許公告公報DE−AS 1188449か
ら群構造型（Gruppenbauart）の変速機が公知で
あり、この変速機においては入力軸とこれと同軸
の中間軸の間に群構造がギヤ入れできるようにな
つている。この群構造機構は、一方が入力軸上に
回転不能に設けられたギヤに、他方が中間軸上に
回転できないように設けられたギヤにかみ合つて
いる出力軸上で回転自由に支持されている２つの
ギヤからなつている。群構造機構のギヤ入れは出
力軸上を自由に回転できるこれら両ギヤを互に結
合させることによつて行われる。後進段のギヤ入
れのためにこの公知の変速機においてもやはり、
第３の軸の上で移動できるが回転はできないスラ
イドギヤが用いられており、そのため同期かみ合
いにすることはできない。また、このスライドギ
ヤは群構造機構のギヤと共働するようになつてお
り、その結果、群構造機構がなかつたとしても後
進段のために主変速機部にギヤを追加しなければ
ならず、変速機の長さを増している。この公知の
変速機では主変速機部のギヤ入れ部材はすべて出
力軸上、したがつてすべてが同一の軸上に配置さ
れている。

これに対して本発明の目的は、同期かみ合いの
後進段をも有し、その際変速機の軸方向長さを短
かくしうるような配置を実現した、冒頭に述べた
種類の変速機を提供することにある。

本発明の自動車用歯車変速機は、低速側の２つ
の前進ギヤ比を与えるギヤが入力軸に回転不能に
連結され、高速側の２つの前進ギヤ比を与える歯
車が出力軸に回転不能に連結され、アイドラギヤ
が、入力軸と回転不能に連結されたギヤと、これ
を駆動するように連結されて低速側ギヤ比を形成
し、出力軸と回転不能に連結されたギヤと、これ
らを駆動するように連結されて高速側ギヤ比を形
成することを特徴とする。

したがつて、本発明による変速機においては、
後進の際に前進段用として既にあるギヤを利用す
るので、後進段用として入力軸および出力軸の近
傍に設けられたアイドラギヤ以外にギヤを必要と
せず、その結果後進段を設けるために必要な変速
機の長さが節約される。したがつてこの方法によ
れば従来構造の変速機を相当に短くでき、変速機
の長さを短くする要求を満すことが従来よりも容
易になる。

本発明は副変速機付変速機にも２軸構造変の速
機にも同様に適用できる。この場合、副変速機付
の変速機においては副変速軸が入力軸とみなさ
れ、出力軸と同軸上にあつて副変速軸を駆動する
ためにエンジンと結合しうる軸ではない。したが
つて、本発明の副変速機付変速機の場合は、２軸
型の変速機の入力軸に相当する副変速軸の上にギ
ヤ入れスリーブが配置されなければならない。ギ
ヤ入れ部材を入力軸および出力軸に設けることは
２軸型の変速機においては公知であるが、副変速
機型の変速機では用いられていない。

後進位置にギヤ入れしたとき２つのアイドラギ
ヤの各々がかみ合う相手をどの前進段のギヤとす
るかの選択とアイドラギヤの大きさの選定の組合
せによつて、後進の場合の減速比を所望のとおり
に決めることができる。このために、中間ギヤを
構成するアイドラギヤが対応する前進段のアイド
ラギヤとそれぞれかみ合つているようにすれば特
に有利である。

本発明の１つの望ましい実施態様は、少くとも
４段の前進段をもつ２軸方式でアイドラギヤが第
１速および第３速のアイドラギヤとかみ合つてお
り、その第１速のギヤは駆動軸上でギヤ入れされ
るような変速機である。

本発明による変速機で特に有利な点は、中間ギ
ヤを構成する２つのアイドラギヤの間にあるギヤ
入れスリーブがギヤ入れ時スライド方向を自由に
決めうる構造にすることができることである。し
たがつて、任意のシフトパターンを発生させるた
めに後進段の操作方法を容易に選択できる。前進
５段の場合、特に、ギヤ入れスリーブに結合され
たギヤ入れレバーの、第５速に入れる場合と後進
に入れる場合の操作方向が同方向となるような配
置をとることができる。

以下、図面に示す実施例をもとに本発明を詳細
に説明する。説明および図面から認められる特徴
は、本発明のこれ以外の実施態様において、その
ままあるいは種々の自由な組合せによつて適用さ
れうるものである。

第１図に概略的に示す変速機では、エンジンの
結合しうる入力軸１とこれに平行な出力軸２を備
える２軸型の変速機を取扱つている。入力軸１上
には軸方向に連続してそれぞれ第１速、第２速用
の２つの固定ギヤ３と４があり、出力軸２上の対
応するアイドラギヤ５と６にそれぞれがかみ合つ
ている。第１速あるいは第２速にギヤ入れするに
は両アイドラギヤ５と６を同期かみ合い装置のシ
フトクラツチ７により選択的に出力軸２に回転不
能に結合すればよい。

入力軸１上には固定ギヤ３と４のほかにそれぞ
れ第３速、第４速用のギヤである２つのアイドラ
ギヤ８と９があり、出力軸２上の固定ギヤ１０と
１１にそれぞれがかみ合つている。この場合、第
３速あるいは第４速にギヤ入れするにはアイドラ
ギヤ８と９を同期かみ合い装置のシフトクラツチ
１２により選択的に入力軸１に回転不能に結合す
る。入力軸１上にはさらに、出力軸２上のアイド
ラギヤ１４にかみ合つている固定ギヤ１３があ
る。このギヤ１４は別の同期かみ合い装置のシフ
トクラツチ１５により出力軸２に回転不能に結合
され、これにより第５速のギヤ入れとなる。

前進用の個々の段に属するギヤは入力軸１およ
び出力軸２上に軸方向に従来と同じように配置さ
れており、１段を追加するごとに変速機の長さは
長くなる。従来の変速機において後進段を追加す
るときでもこのことが言える。ここに実施例とし
て示す変速機も後進段を有しているが、そのため
に変速機の長さが長くなつてはいない。

従来の変速機の場合と同様に、入力軸１および
出力軸２に平行な軸２１後退軸上に位置する後進
段に方向変換するための中間ギヤがある。第２図
からわかるように、入力軸１、出力軸２および軸
２１は、軸２１上に支持されたアイドラギヤ２２
は出力軸２上に支持された第１速用のアイドラギ
ヤ５とかみ合い、一方、軸２１上に支持されたア
イドラギヤ２３は入力軸１上に支持された第３速
用のアイドラギヤ８とかみ合うように１つの三角
形の各頂点に位置している。軸２１上の両アイド
ラギヤ２２，２３の間にはシフトクラツチ２４を
備えた同期かみ合い装置があり、この同期かみ合
い装置により両アイドラギヤ２２および２３が回
転不能に互に結合され、その結果、これらは入力
軸１の回転を方向変換した上で出力軸２に伝える
中間ギヤを構成する。この場合、動力は入力軸１
から第１速用の固定ギヤ３およびアイドラギヤ５
を経て中間ギヤを構成する一方のアイドラギヤ２
２に至り、ここからシフトクラツチ２４を経て中
間ギヤを構成する他方のアイドラギヤ２３に、そ
してそこから最後に第３速用のアイドラギヤ８お
よび固定ギヤ１０を経て出力軸２に到達する。図
示した実施例では回転は出力軸２からギヤ１６を
経て差動歯車装置３２のギヤ３１に伝えられる。

第１図に示す変速機では、同期かみ合い装置は
中間ギヤの、第１図では左側にあるアイドラギヤ
２３に結合されており、この結果、中間ギヤを構
成する両アイドラギヤ２２と２３の相互の回転不
能の結合はシフトクラツチ２４を右向きに移動さ
せることによつて達せられる。第５速用のアイド
ラギヤ１４を出力軸２に回転不能に結合させるた
めに、これと同じ方向にシフトクラツチ１５を動
かさなければならない。この場合には、例えばド
イツ特許公報DE−PS 2935590から公知のよう
に、逆転レバーを用いてギヤ入れレバーの数を減
らしうる構造を採用しない限りは、ギヤ入れ装置
はギヤ入れレバーを４つ有しなければならない。

後進のギヤ入れするための動作の方向と第５速
にギヤ入れするための動作の方向が同じであるこ
とにより、５段変速機の従来の４段階のシフトパ
ターンはそのままにして、第１速から第４速まで
のギヤ入れ機構の後退用のそれとは反対側にギヤ
入れ機構を追加するだけで可能となる。

しかしながら、図示した変速機はなお、後進へ
のギヤ入れと第５速へのギヤ入れを、共通のギヤ
入れレバーを互に逆方向に動かして行いうるよう
に簡単に変形できる。この目的のためには中間ギ
ヤを構成するアイドラギヤ２２と２３の間にある
同期かみ合い装置を回転させるだけで十分であ
り、その結果ギヤのうちの第１図で右側に位置す
るアイドラギヤ２２に結合された同期かみ合い装
置のシフトクラツチ２４が左向きに動いて他方の
アイドラギヤ２３とかみ合いうる。それから、後
進にギヤ入れするときと第５速にギヤ入れすると
きの動作方向が互に逆方向であることが必要にな
る。

第３図は第１図に概略的に示した変速機の実際
構造を示している。第１図で説明した構成部材に
ついては第１図の場合と同じ参照番号を付してい
る。したがつて、第１図の概略的な説明はそのま
ま第３図の構造図で通用し、第１図の説明の繰返
しとなるので第３図の説明は省略する。

自明のことであるが、本発明はここに示した実
施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を
逸脱することなくこの実施例を種々に変形するこ
とが可能である。容易に理解されるように、本発
明は５段変速機に限るものでなく、より少い、あ
るいはより多い段数の変速機にも適用される。例
えば、より４段階だけが必要ならば第５速用のギ
ヤ１３と１４、ならびにそれに対応しているシフ
トクラツチ１５を有する同期かみ合い装置を取去
るだけでよい。さらに、本発明は２軸型の変速機
に限るものでなく、例えば第１図に示す変速機を
中間軸型の変速機に変えることも可能である。こ
の場合、出力軸２の同軸上に入力軸が設けられ、
これが一対のギヤを介して中間軸である軸１と結
合される。すなわち、図示した２軸型の変速機に
おける入力軸が中間軸型の変速機における中間軸
に相当する。この場合、入力軸とそれと同軸の出
力軸を直結する従来からある装置を設けることも
可能である。

自明のこととしてまた、中間ギヤを構成する２
つのアイドラギヤはいずれかの前進段のアイドラ
ギヤにかみ合つていなければならないものではな
く、いずれかの前進段の固定ギヤ、ただし同じ軸
上にはないギヤに直接にかみ合つていてもよい。

最後に、もし組立て構造上あるいは後進にギヤ
入れしたとき得られる減速比において有利である
ならば、１つの軸上にある第何速のアイドラギヤ
と同軸上にある他の第何速かの固定ギヤの間に、
後進用のシフトクラツチを有する２段型のギヤ装
置を設けることも考えられる。第何速の選択も設
計者の自由である限り、ギヤ入れスリーブを有す
る２つの部分からなる中間ギヤ、すなわち２段型
ギヤ装置を設けなければならない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による５段変速機の概略図、第
２図は第１図の変速機の軸位置を軸の方向と直角
な平面上に示すダイヤグラム、第３図は第１図に
概略示した５段変速機の実際構造の縦断面図であ
る。 １……入力軸、２……出力軸、３，４，１０，
１１，１３……固定ギヤ、５，６，８，９，１４
……アイドラギヤ、７，１２，１５，２４……シ
フトクラツチ、２１……中間ギヤ軸、２２，２３
……アイドラギヤ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 入力軸１と、 出力軸２と、 前記軸１，２上に支持され、４つの前進ギヤ比
   に対応する少なくとも４つの噛合いギヤ対３と
   ５，４と６，８と１０，９と１１であつて、回転
   不能に支持されているギヤ３，４，１０，１１
   と、自由に回転可能に支持され、かつ互いに隣接
   する噛合いギヤ対内に配置されているギヤ５，
   ６，８，９とをそれぞれ有する少なくとも４つの
   噛合いギヤ対３と５，４と６，８と１０，９と１
   １と、 互いに隣接した噛合いギヤ対の自由に回転可能
   に支持されたギヤ５と６，８と９の間に取付けら
   れ、前記の自由に回転可能に支持されたギヤ５，
   ６，８，９の１つを、前記ギヤ５，６，８，９が
   支持されている軸１，２にそれぞれ回転可能に選
   択的に連結するシフトクラツチ７，１２と、 前記入力軸１と前記出力軸２に平行に、かつ所
   定の距離を保つて取付けられ、前記入力軸１と前
   記出力軸２の間の回転の方向を逆転される少なく
   とも１つのリバースギヤを支持している後退軸２
   １と、 リバースギヤ比の同期化された係合を助けるリ
   バースシフトクラツチ２４とを有する自動車用歯
   車変速機において、 前記の４つの噛合いギヤ対３と５，４と６，８
   と１０，９と１１は、前記入力軸１上に回転不能
   に支持され、互いに隣接して配置されているギヤ
   ３，４と、前記出力軸２上に自由に回転可能に支
   持され、互いに隣接して配置されているギヤ５，
   ６とを有する第１および第２のギヤ対３と５，４
   と６と、前記出力軸２上に回転不能に支持され、
   互いに隣接して配置されているギヤ１０，１１
   と、前記入力軸１上に自由に回転可能に支持さ
   れ、互いに隣接して配置されているギヤ８，９と
   を有する第３および第４のギヤ対８と１０，９と
   １１を含み、 前記入力軸１上に回転不能に支持されているギ
   ヤ３，４は低速側の２つの前進ギヤ比に対応し、 前記出力軸２上に回転不能に支持されているギ
   ヤ１０，１１は高速側の２つの前進ギヤ比に対応
   し、 前記リバースギヤを構成する２つのアイドラギ
   ヤ２２，２３が前記後退軸２１上に自由に回転可
   能に支持され、かつ互いに隣接して配置されてお
   り、第１のアイドラギヤ２２は前記ギヤ５と噛合
   うことによつて、前記入力軸１に回転不能に支持
   されている前記ギヤ３とこれを駆動する関係にあ
   つて、前記低速側のギヤ比の１つを形成し、第２
   のアイドラギヤ２３は前記ギヤ８と噛合うことに
   よつて、前記出力軸２上に回転不能に支持されて
   いるギヤ１０とこれを駆動する関係にあつて前記
   高速側のギヤ比の１つを形成することを特徴とす
   る自動車用歯車変速機。 ２ ５段の前進ギヤ比を有し、第５速の前進ギヤ
   比とリバースのギヤ比のシフトクラツチ１５，２
   ４が、前記シフトクラツチ１５に連結されたシフ
   トレバーの、第５速の前進ギヤ比を選択するとき
   の動作方向が、前記シフトクラツチ２４に連結さ
   れたシフトレバーの、リバースのギヤ比を選択す
   るときの動作方向と同じ方向であるように配置さ
   れている、特許請求の範囲第１項記載の歯車変速
   機。