JPH048065Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、病院、ホテル等の各施設で使用され
る手押し式運搬車の車輪装置に関し、さらに詳細
には、前記手押し式運搬車を廊下等の運搬移動時
においては、直進性の向上が図れるようにすると
ともに、狭い場所への配置移動においては、横移
動が行えるようにした、前後左右動切替自在な運
搬車の車輪装置構造に関する。

（従来の技術） 病院、ホテル等の各施設で使用される手押し式
運搬車においては、該運搬車底部の基端中央部に
一つの車輪（前輪）を有するとともに、長手方向
両端に二つの車輪（後輪）を有した三輪式構造の
運搬車が知られている。

また、基端部両端に二つの車輪（前輪）を有す
るとともに、長手方向両端に二つの車輪（後輪）
を有した四輪式構造の運搬車が知られている。

更に、前記三輪式及び四輪式の略中央両端に二
つの車輪を有した五乃至六輪式の運搬車等が知ら
れている。

前記のように運搬車底部に複数の車輪を有した
運搬車においては、従来、前記各車輪が常時接地
面に当接するように固定配置されているととも
に、前輪及び後輪のいずれか一方、または前輪及
び後輪全てが旋回自在となるようにして運搬車底
部に取付られていた。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上記従来のように前輪または後
輪の一方を旋回自在とするとともに、他方を旋回
固定した構成の運搬車においては、廊下等を運搬
移動する場合に旋回固定された車輪が直進性を有
するため、前後移動を容易に行うことができる
が、反面、狭い場所等においては操舵性に劣り、
移動を行うことが著しく困難となるとともに、容
易且つ迅速な目的場所への運搬車配置を行うこと
ができないという問題点を有していた。

また、前輪及び後輪を全て旋回自在に構成した
運搬車においては、車輪が自由に旋回を行うた
め、前後左右への移動が容易に行える等、狭い場
所での操舵性に優れている反面、前記の如く廊下
等の運搬移動においては、自由に旋回する車輪が
運搬車の直進性を阻害するようになるため、広域
移動が著しく困難であるという問題点を有してい
た。

更に、前輪及び後輪を旋回自在とするとともに
前記前輪及び後輪の略中央部両端に配された車輪
を旋回固定した運搬車においては、運搬車の安定
配置化が可能である反面、前記の如く狭い場所で
の操舵性に劣るという問題点を有していた。

本考案は上記事情に鑑みてなされたものであ
り、手押し式運搬車を廊下等の運搬移動時におい
ては、直進性の向上が図れるようにするととも
に、狭い場所への配置移動においては、横移動が
行えるようにした、前後左右動切替自在な運搬車
の車輪装置構造を提供するものである。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は、運搬車
底部に旋回自在に配された前輪及び後輪と、該前
輪及び後輪の間に配されるとともに運搬車長手方
向に固定配置された旋回固定車と、により構成さ
れる運搬車の車輪装置において、前記旋回固定車
を接地面に対し当接自在となるように構成したこ
とを特徴とする運搬車の車輪装置構造を提供する
ことにより上記目的を達成するものである。

（作用） 本考案においては、運搬車底部における基端及
び長手方向の両端に配された前輪及び後輪を旋回
自在に構成し、更に、前記前輪及び後輪の略中央
部両端に配される車輪を旋回固定するとともに接
地面に対して当接自在となるように構成されてい
るため、廊下等を運搬移動する場合には中央部両
端に配される前記旋回固定車を接地面に当接させ
ることにより直進性が得られ、運搬移動が容易に
成されるように働く。

また、狭い場所においては、前記旋回固定車を
接地面から浮上させることにより、該旋回固定車
による横移動抑止が開放されるようになるため、
運搬車の前後左右動が可能となり、狭い場所での
運搬車操作が容易に行えるように働く。

前記旋回固定車の接地面当接動は、該旋回固定
車近傍に設けられた操作レバーの駆動により、迅
速且つ容易に行えることができるように構成され
ているため、多大なる時間を要することなく、適
宜迅速な切替えが可能である。

（実施例） 以下本考案に係わる運搬車の車輪装置構造の実
施例を図面に基づいて詳細に説明する。

第１図は本考案に係わる運搬車の車輪装置構造
の実施例を示す正面図、第２図は旋回固定車が浮
上した状態を示す要部拡大断面図、第３図は旋回
固定車が接地した状態を示す要部拡大図、第４図
は同実施例を示す底面図である。

本考案に係わる運搬車の車輪装置構造は、第１
図または第４図に示すように運搬車底部１基端部
両端に旋回自在に配された前輪２，２と、前記運
搬車底部１長手方向両端に旋回自在に配された後
輪３，３の中間部における両端に、接地面１６に
対して当接自在となるように構成された旋回固定
車４，４を配することにより構成される。

前記前輪２，２及び後輪３，３は上部を運搬車
底部１にボルト等で螺着することにより固定配置
されているとともに、前記の如くベアリング等を
介することにより旋回自在に構成されている。

一方、前記旋回固定車４，４は、第２図乃至第
３図に示すように、該旋回固定車４，４を回動自
在に支持している車輪金具５，５の該上部に位置
する車輪金具基端６，６を、運搬車底部１に軸着
することにより、接地面１６に対し垂直を成して
回動するように構成されている。

また、車輪金具基端６，６においては、螺杆１
１，１１を貫通させるとともに、該螺杆１１，１
１先端を運搬車底部１に螺着することにより構成
し、更に、該螺杆１１，１１に圧縮コイルバネ等
から成る弾性部材１０，１０を挿通することによ
り、前記車輪金具基端６，６が運搬車底部１方向
に付勢されるように構成する。

前記車輪金具基端６，６は、更にＬ字形状に撓
められることにより、カム８，８の従節９，９と
なるように構成される。

前記カム８，８は、従節９，９鉛直上方の運搬
車底部１に軸着されたカムシヤフト１２両端近傍
に固着されることにより、該従節９，９と当接す
るように構成されている。

更に、前記カム８，８から突出したカムシヤフ
ト１２先端には、操作レバー１３，１３が固着さ
れ、該カムシヤフト１２、延いてはカム８，８が
駆動可能なように構成されている。

次に、本考案に係わる運搬車の車輪装置構造の
使用方法について説明する。

先ず、狭い場所等で運搬車１４を移動させる場
合には、第２図に示すように操作レバー１３を水
平方向に倒伏させると、カムシヤフト１２が回転
し、延いてはカム８が倒伏するようになるため、
弾性部材１０により鉛直上方に付勢された車輪金
具５が旋回固定車４を接地面１６から浮上させる
ようになる。

このため、接地面１６に当接された旋回固定車
４による横移動抑止が開放されるようになるた
め、運搬車１４の前後左右動が可能となり、狭い
場所での運搬車操作が容易に行えるようになる。

廊下等を運搬移動する場合には、第３図に示す
ように前記操作レバー１３を鉛直方向に起立させ
ると、カムシヤフト１２が回転し、延いてはカム
８が起立するようになるため、車輪金具５が鉛直
下方に押圧されて旋回固定車４が接地面１６に当
接するようになる。

このため、旋回固定車４による運搬車１４の直
進性が得られるようになり、廊下等での運搬移動
が容易に成されるようになる。

なお、本考案に係わる運搬車の車輪装置構造は
上記構成に限定されるものではなく、以下のよう
に構成するものでもよい。

例えば、前記車輪金具先端７を圧縮コイルバネ
により、鉛直下方から運搬車底部１方向に付勢す
る以外に、引張りコイルバネにより前記車輪金具
先端７を吊着するように構成することも可能であ
る。

また、カム８、カムシヤフト１２、及び操作レ
バー１３を配しないで、従節９に螺刻された孔を
穿孔するとともに、基端に握持可能な取手が設け
られたボルトを前記孔に螺合し、前記取手を回す
ことにより、旋回固定車４が浮上及び当接を行う
ように構成することも可能である。

更に、前記構成においては、第４図に示すよう
に前輪２、後輪３、及び旋回固定車４をそれぞれ
２個配するように構成されているが、本考案にお
いては、この車輪数を特に限定することはない。

（考案の効果） 本考案に係わる運搬車の車輪装置構造は上記の
ように構成されているので以下に記載するような
効果を有する。

(1) 本考案においては、運搬車底部における基端
及び長手方向の両端に配された前輪及び後輪を
旋回自在に構成し、更に、前記前輪及び後輪の
略中央部両端に配される車輪を旋回固定すると
ともに、接地面に対して当接自在となるように
構成されているため、廊下等を運搬移動する場
合には前記旋回固定車を接地面に当接させるこ
とにより直進性が得られるようになり、延いて
は運搬移動が容易に成されるようになるという
優れた効果を有する。

(2) また、上記のように構成されることから、狭
い場所において前記旋回固定車を接地面から浮
上させることにより、該旋回固定車による横移
動抑止が開放されるようになるため、運搬車の
前後左右動が可能となり、狭い場所での運搬車
操作が容易に行えるようになるという優れた効
果を有する。

(3) また、前記旋回固定車の接地面に対する当接
動は該旋回固定車近傍に設けられた操作レバー
の駆動により、迅速且つ容易に行うことができ
るという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係わる運搬車の車輪装置構造
の実施例を示す正面図、第２図は旋回固定車が浮
上した状態を示す要部拡大断面図、第３図は旋回
固定車が接地した状態を示す要部拡大図、第４図
は同実施例を示す底面図である。 １……運搬車底部、２……前輪、３……後輪、
４……旋回固定車、５……車輪金具、６……車輪
金具基端、７……車輪金具先端、８……カム、９
……従節、１０……弾性部材、１１……螺杆、１
２……カムシヤフト、１３……操作レバー、１４
……運搬車、１５……押手、１６……接地面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 運搬車底部に旋回自在に配された前輪及び後輪
   と、該前輪及び後輪の間に配されるとともに運搬
   車長手方向に固定配置された旋回固定車と、によ
   り構成される運搬車の車輪装置において、前記旋
   回固定車を接地面に対し当接自在となるように構
   成したことを特徴とする運搬車の車輪装置構造。