JPH0476815B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車両に備えつけられ緊急時に乗員を
拘束するシートベルトにおいて、ウエビングを着
脱するバツクルに係り、特に、車両の床などに基
端を取付けられた鋼体のストークに支持されてい
るバツクルの改良に関する。

〔従来の技術〕

一般に、シートベルトのバツクルは、ウエビン
グに弛みがあると、緊急時に乗員の移動が大きい
ので、乗員が装着したときウエビングが乗員の身
体に密着していることが安全上好ましい。一方、
前述したバツクルは、そのバツクル本体がストー
クの上端に支持されるようにしてシートの一側に
起立しており、装着時にはバツクル本体が乗員の
腰側部に接して位置するのが望ましい。ところ
で、シートは前後に移動調整することがあるし、
またシートバツクを前方に倒したりすることもあ
るので、ストークに支持されているバツクル本体
は、シートの移動あるいはシートバツクの傾倒を
阻害しないようにある程度シートから離間されて
いなければならず、このためバツクル本体はシー
トに着座した乗員の腰側部に接する位置にはな
い。これは、バツクル本体にタングにより接続さ
れたウエビングが乗員の身体に密着しないことを
意味し、安全上好ましくないのはもちろんのこ
と、装着時ウエビングに負荷が掛つた際に、ウエ
ビングを介してタングに作用する引張力がタング
のバツクル本体への挿脱方向に対し傾斜した方向
に曲げモーメントとして作用することになるた
め、タングがバツクル本体から抜け出すいわゆる
スリツプアウト現象が生じたり、タングをバツク
ル本体から解離するために大きな力を必要とする
解離力異常が生じるおそれがあつた。

このような従来のものにおける問題点を克服す
るものとして、ストークの上端に支持されている
バツクル本体をストークに対し任意の方向に回動
可能にしたものが実開昭56−138650〜138652号公
報、実開昭57−116255号公報に示されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、前述した各公開公報に示したも
のは、一度バツクル本体を回動させるとそのまま
の状態を維持するので、例えば、前部シートにお
けるシートベルトの装着を解除して後部シートへ
の乗員の乗り降りのために前部シートとシートバ
ツクを前方に傾倒すると、バツクル本体がシート
とシートバツクの間に挟まれて、バツクル本体が
シートバツクの傾倒を阻害する事態を招来するこ
とになり、このためいちいちバツクル本体を手で
退避位置まで回動させなければバツクル本体がシ
ートバツクを痛めてしまうことになり、取扱いが
面倒であつた。

また、前述した各公開公報に示したものは、極
めて簡単な構成とされているため、鋼性に欠け、
緊急時の衝撃力を支持できないという問題点もあ
つた。

本発明は、前述した従来のものにおける問題点
を克服し、バツクル本体をシートに着座した乗員
の腰側部に接し得るようにし、しかも傾倒したシ
ートバツクがバツクル本体に衝突してもシートバ
ツクなどを痛めるおそれがなくさらには緊急時の
衝撃力を支持することのできるシートベルトのバ
ツクルを提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、ストークに対しシートの前後方向に
所定角度回動可能に枢着されたバツクルを備えて
いるシートベルトのバツクルにおいて、前記スト
ークの先端部に形成された円形孔に遊嵌され、バ
ツクル本体の前記回動方向たる第１方向に対し直
交するシートの幅方向たる第２方向へのバツクル
本体の回動を可能にする傾斜面が基部に形成され
ている支持軸と、この支持軸に一体的に固着さ
れ、前記第１方向へのバツクル本体の回動範囲の
一部において、前記ストークに形成された突起に
接合してバツクル本体の前記第２方向への回動範
囲を限定する突起が形成されているカムプレート
と、前記第１方向および第２方向へ回動している
バツクル本体を原位置に復帰させるためのばね部
材とを有することにより前述した従来のものにお
ける問題点を解決するようにしている。

〔作用〕

本発明によれば、ストークに対しバツクル本体
がシートの前後方向に回動可能に支持されている
ので、シートを前後方向に移動調整してもバツク
ルに接続したウエビングを乗員の身体に沿うよう
にできるし、また、バツクル本体はシートの幅方
向にも回動可能なので、ウエビングを乗員の身体
に密着できるし、さらには、バツクル本体は自由
状態においてばね部材により原位置に復帰し得る
ようになつているので、暗闇でも簡単に操作でき
るし、またシートバツクを傾倒させた際に邪魔に
なることもない。

〔実施例〕

以下、本発明を図面に示す実施例により説明す
る。

第１図はストーク２に支持されている本発明に
係るバツクル１を使用状態からほぼ直角に倒して
示したものであり、バツクル１のバツクル本体３
は表面を樹脂製のカバー４により被覆されてお
り、このカバー４の一端面４ａには、ウエビング
に接続されたタング挿入用の図示しない開口が形
成されている。また前記カバー４の端面４ａに
は、タングをバツクル１から解離するプツシユボ
タン５が突設されている。なお、これらのタング
挿入用の開口やプツシユボタン５は公知のもので
あり、しかも本発明の要旨とは直接の関係がない
ので、その説明は省略する。

前記バツクル本体３は、第２図に示すように、
底板７と両側板８，８とによりコ字状に形成され
前記カバー４内のほぼ全域に延在するバツクルフ
レーム６を有している。このバツクルフレーム６
の底板７の第２図における前端には半円形部９が
形成されており、この半円形部９の中心部には円
形孔１０が形成されているとともに、この半円形
部９の両側には半円形部９の直径方向に間隔を隔
てて突起１１，１１……が立設されている。一
方、第２図に詳示するようにカラー１２が設けら
れており、このカラー１２は、中心部に図示しな
い円形孔が形成された円板状の基部１３と、この
基部１３の円形孔と同軸的に基部１３に突設され
たボス１４とにより構成されている。前記基部１
３には、前記バツクフレーム６の突起１１，１１
に嵌合しうるフオーク部１５，１５が直径方向に
間隔を隔てて突設されており、また、カラー１２
をバツクルフレーム６に装着したとき前方側とな
る前記基部１３の表面には約15度程度の傾斜面１
６が削落形成されている。

前記ストーク２は、剛性のある金属により全体
的に細長い板状に形成されており、基端部に形成
された円形孔１７に挿通されたアンカーボルトに
より車両の床などに固定されるようになつてい
る。また、前記ストーク２の先端部には円形部１
８が形成されており、この円形部１８の中心部に
は、前記カラー１２のボス１４に嵌合し得る円形
孔１９が形成され、この円形孔１９を中心として
カラー１２が回動し得るようになつている。な
お、ストーク２の円形孔１９の内径はカラー１２
のボス１４の外径よりかなり大径に形成されてお
り、カラー１２のボス１４が円形孔１９に挿通さ
れた状態においてカラー１２をストーク２に対し
て傾斜してカラー１２の傾斜面１６がストーク２
の表面に接合し得るようになつている。

前記バツクルフレーム６の円形孔１０の裏側か
らはリベツト２０が挿通されるようになつてお
り、このリベツト２０の基端側の大径部２１はバ
ツクルフレーム６の両突起１１，１１にそれぞれ
フオーク部１５，１５が嵌合してバツクルフレー
ム１６上に保持されているカラー１２のボス１４
を挿通してカラー１２をバツクルフレーム６上に
支持している。また、リベツト２０の先端には小
径部２２が形成されており、この小径部２２は、
後述するカムプレート２３の円形孔２４を挿通し
てこのカムプレート２３と一体的に固着されるよ
うになつている。

前記カムプレート２３は、円板の両側に切欠き
部２５，２５を形成してなる本体２６を有してお
り、この本体２６には、前記バツクルフレーム６
の各側板８に相互に対向するように形成された窓
孔２７に嵌合して支持される一対のアーム２８，
２８が支持部２９を介して突設されている。前記
支持部２９側の本体２６にはストツパ３０が垂設
されており、バツクル本体３が、第１図に示され
た初期位置より反時計方向に約15度回動すると、
前記ストーク２の円形部１８の先端に突設された
突起３１がストツパ３０の下方に位置し始めるよ
うになる。

この約15度の回動範囲において、バツクル本体
３は、ストーク２の表面がボス１４の傾斜面１６
に接合する状態にまで、前記回動方向に対し直交
する方向（シートの幅方向）にも回動可能となつ
ている。

そして、前記回動範囲を越える範囲において
は、前記ストローク２の突起３１とカムプレート
２３のストツパ３０の下端面とが接合可能とな
り、前記シートの幅方向へのバツクルの回動は阻
止されることになる。すなわち、前記ストツパ３
０の垂下長さは、ストーク２とカムプレート２３
の本体２６との間隔にほぼ等しいか、あるいはわ
ずかに短く選定されている。また、前記ストツパ
３０の前方の本体２６には、前記ストツパ３０よ
り下方に垂下し、ストーク２に対するバツクル本
体３の初期位置を規制するストツパ３２が垂設さ
れており、このストツパ３２は、ストーク２の長
手方向とバツクル本体３の長手方向とがほぼ合致
したときにストーク２の一方の側面２ａに当接す
るようになつている。さらに、前記本体２６に
は、この本体２６のストツパ３２の端部からスト
ーク２の相対的な回動方向にかけてストーク２の
表面に接合するガイド部３３が垂設されている。
さらにまた、前記ストーク２の円形部１８には他
の突起３４が突設されており、この突起３４に一
端が係合し、他端が前記ストツパ３２に係合する
圧縮コイルばね３５が前記ストーク２の円形部１
８およびカムプレート２３の本体２６間に介装さ
れている。そして、このコイルばね３５は、スト
ーク２の円形部１８にカラー１２の基部１３を圧
接せしめるとともに、カムプレート２３のストツ
パ３２をストーク２の側面２ａに圧接せしめるよ
うに作用している。このようにして、バツクル本
体３は、ストツパ３２とストーク２の側面２ａが
圧接された初期位置からバツクルフレーム６の突
起１１とストーク２の側面２ｂが当接するまでの
約60度の範囲にわたつて回動することができる。

つぎに、前述した実施例の作用について説明す
る。

自由状態においてバツクル本体３はストーク２
の上端にコイルばね３５のばね力により起立位置
に支持されている。このバツクル本体３はストー
ク２に対し、コイルばね３５の作用によりストー
ク２の一方の側面２ａにストツパ３２が当接して
いる位置からバツクルフレーム６の一方の突起１
１がストーク２の他方の側面２ｂに当接するまで
の約60度の範囲内においてコイルばね３５に抗し
てシートの前方へ回動し得るので、シートバツク
を前傾した際にシートバツクがバツクル本体３に
当接してもバツクル本体３がシートバツクに追従
して前傾することになりシートバツクおよびバツ
クル本体３が痛むことはない。そして、シートバ
ツクを復帰した際には、バツクル本体３はコイル
ばね３５の弾力で初期の起立状態に復帰する。し
たがつて、バツクル本体３をシートの直近に位置
することができ、シートに着座した乗員に対しウ
エビングの装着性をよくすることができる。

一方、前記バツクル本体３は、シートの前方へ
の回動の初期状態からストーク２の突起３１の平
面部がカムプレート２３のストツパ３０の下方に
位置し始めるまでの約15度の範囲内においてカラ
ー１２の傾斜面１６がストーク２の表面に当接す
るまでの約15度の範囲だけコイルばね３５に抗し
てシートの内方に回動することができるので、シ
ートが前後方向に移動調整されていかなる位置に
あつてもバツクル本体３にタングにより接続した
ウエビングを乗員の身体に密着することができ
る。また、ウエビング先端のタングとバツクル本
体３のフツクプレートの接続は、タングの方向に
適合するようにバツクル本体３がストーク２に対
し回動してバツクル本体３に曲げモーメントが作
用せず引張力のみが作用するようになされるの
で、タングのスリツプアウトや解離力異常を防止
することができる。

さらに、ウエビングをバツクル本体３に接続し
た状態において、緊急時、ウエビングに負荷がか
かつた際の荷重は、ウエビングから図示しないタ
ングおよびバツクル本体３のフツクプレートを介
してバツクルフレーム６に伝達され、このバツク
ルフレーム６から直接およびカムプレート２３を
介してリベツト２０に伝達され、さらにこのリベ
ツト２０からストーク２を介して図示しないアン
カーボルトに伝達されるようになつているので、
剛性のある各部材を介してアンカーボルトに伝達
されることになり、緊急時の大きな衝撃力を支持
することができる。

さらにまた、バツクル本体３からタングを解離
した状態においては、バツクル本体３がシートの
前方および内方に傾斜していたとしてもコイルば
ね３５の作用により初期状態すなわち起立状態に
復するので、暗闇でもウエビングの装着を確実に
行なうことができる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、ストー
クに支持されているバツクル本体が２方向に回動
可能とされているので、ウエビングを常時乗員の
身体に沿うように装着でき、バツクル本体に曲げ
モーメントを作用させずに緊急時乗員を安全に保
護することができるし、また、バツクル本体はば
ね部材により原位置に復帰されるので、暗闇でも
ウエビングの装着を確実に行なえるし、さらにシ
ートバツクの前傾の際にバツクル本体にシートバ
ツクが当接してもバツクル本体はシートバツクに
追従して回動することができるし、さらにまた剛
性のある構成として緊急時の衝撃力を支持するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るシートベルトのバツクル
の実施例を示す斜視図、第２図は第１図の主な部
材の分解斜視図である。 １……バツクル、２……ストーク、３……バツ
クル本体、６……バツクルフレーム、１１……突
起、１２……カラー、１６……傾斜面、２０……
リベツト、２３……カムプレート、３０……スト
ツパ、３１……突起、３２……ストツパ、３４…
…突起、３５……コイルばね。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ストークに対しシートの前後方向に所定角度
   回動可能に枢着されたバツクルを備えているシー
   トベルトのバツクルにおいて、前記ストークの先
   端部に形成された円形孔に遊嵌され、バツクル本
   体の前記回動方向たる第１方向に対し直交するシ
   ートの幅方向たる第２方向へのバツクル本体の回
   動を可能にする傾斜面が基部に形成されている支
   持軸と、この支持軸に一体的に固着され、前記第
   １方向へのバツクル本体の回動範囲の一部におい
   て、前記ストークに形成された突起に接合してバ
   ツクル本体の前記第２方向への回動範囲を限定す
   る突起が形成されているカムプレートと、前記第
   １方向および第２方向へ回動しているバツクル本
   体を原位置に復帰させるためのばね部材とを有し
   てなるシートベルトのバツクル。 ２ 前記支持軸は、前記バツクル本体のおよびカ
   ムプレートを接続するリベツトに嵌合されたカラ
   ーとされている特許請求の範囲第１項記載のシー
   トベルトのバツクル。 ３ 前記ばね部材は両端を前記カムプレートおよ
   びストークに接続された圧縮コイルばねとされて
   いる特許請求の範囲第１項または第２項記載のシ
   ートベルトのバツクル。 ４ 前記バツクル本体には、前記ストークに当接
   してバツクル本体の前記第１方向における回動範
   囲を限定する突部が形成されている特許請求の範
   囲第１項ないし第３項のいずれか一項に記載のシ
   ートベルトのバツクル。