JPH0474317B2 - - Google Patents
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- JPH0474317B2 JPH0474317B2 JP7069588A JP7069588A JPH0474317B2 JP H0474317 B2 JPH0474317 B2 JP H0474317B2 JP 7069588 A JP7069588 A JP 7069588A JP 7069588 A JP7069588 A JP 7069588A JP H0474317 B2 JPH0474317 B2 JP H0474317B2
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Description
(技術分野)
本発明は、単結晶フエライトの製造法に関する
ものであり、更に詳しくは、固相反応による単結
晶フエライトの製造法に関するものである。 (背景技術) 従来の、原料の溶融した液相より単結晶を固化
させつつ育成するブリツジマン法に代わる、新し
い単結晶フエライトの製造手法として、本願出願
人は、先に、特開昭55−162496号公報や特開昭56
−155100号公報等において、多結晶フエライト部
材(母材)と単結晶フエライト部材(種子)を接
触させて加熱することにより、固相反応によつ
て、かかる単結晶フエライト部材のフエライト単
結晶を多結晶フエライト部材側に結晶成長させて
育成せしめ、目的とする単結晶フエライト体を得
る方法(固相反応法)を明らかにした。この固相
反応法によれば、得られる単結晶フエライト体は
組成が均質で、従つて磁気特性が安定しており、
また上記ブリツジマン法で得られる単結晶体に見
られる如き白金粒等の析出物(不純物)が存在せ
ず、例えば磁気ヘツド用材料として優れたものと
なる。 ところで、このような固相反応法による単結晶
フエライトの製造手法は、接触せしめた多結晶フ
エライト母材と種子単結晶とを単結晶成長温度以
上に加熱せしめることにより実施されるものであ
るが、得られる単結晶フエライト中には、気孔が
密集して形成される「巣」や、多結晶粒子が取り
残されて、異なる結晶方位を与える「島状構造」
が多く残留していることから、そのような「巣」
や「島状構造」を解消せしめるべく、育成された
単結晶フエライトを、その単結晶成長温度以上
の、より高温度に加熱せしめることが行なわれて
いる。しかしながら、単結晶フエライトの溶融温
度との関係から、かかる加熱操作を充分な高温度
下において行なうことが出来ず、そのために、単
結晶フエライト中には、依然として、或る程度の
「巣」や「島状構造」が残留しているのである。 なお、ここで、「巣」とは、1〜100μm程度の
気孔径の気孔が5個以上密集している部分を言
い、また「島状構造」とは、多結晶フエライト部
材に種単結晶フエライト部材を接合した後、フエ
ライト単結晶を育成するに際し、一部多結晶粒子
が取り残され、種単結晶フエライト部材とは異な
つた結晶方位となる。結晶粒子径が10μm程度以
上のものを意味している。 而して、育成された単結晶フエライト中に残留
する「巣」は、かかる単結晶フエライトを磁気ヘ
ツド用材料として見た場合において、それが磁気
ギヤツプ部に存在すると、耐摩耗性の問題、及び
加工中の欠け等の問題を惹き起こすこととなり、
それ故に、かかる「巣」は可及的に少ない残留量
とすることが望ましく、また「島状構造」にあつ
ても、それは種単結晶より育成した結晶方位とは
異なつているところから、磁気ギヤツプ部に存在
すると、磁気特性の変化や偏摩耗の問題を惹起
し、ヘツド特性を劣化させる原因となるものであ
り、それ故に、その残留量を可及的に低減させる
ことが望まれているのである。 (解決課題) ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景に
して為されたものであつて、その解決すべき課題
とするところは、固相反応によつて育成される単
結晶フエライト中に残留する「巣」及び「島状構
造」を減少せしめて、高品質な単結晶フエライト
を得ることにある。 (解決手段) そして、本発明にあつては、かかる課題解決の
ために、多結晶フエライト部材と単結晶フエライ
ト部材とを接触させて加熱することにより、該単
結晶フエライト部材のフエライト単結晶を多結晶
フエライト部材方向に結晶成長させて、フエライ
ト単結晶を育成することからなる単結晶フエライ
トの製造法において、該多結晶フエライト部材
に、SnO2を0.1重量%以上固溶させた多結晶フエ
ライト材料を使用することを、その趣旨とするも
のである。 要するに、本発明は、単結晶化されるべき多結
晶フエライト部材を与えるフエライト原料の調整
時に酸化錫(SnO2)成分の所定量を配合せしめ、
そしてその配合物から、常法に従つて焼結して得
られる多結晶フエライト材料を用いることによ
り、通常の固相反応による単結晶化操作におい
て、単結晶成長温度が低下し、従来の単結晶フエ
ライト育成物に比べて「巣」および「島状構造」
が効果的に低減され得るとの知見に基づいて、完
成されたものである。 ところで、かかる本発明において、通常の固相
反応手法によつて、単結晶化せしめられる多結晶
フエライト材料は、よく知られているように、酸
化第二鉄(Fe2O3)を主成分として、それが所定
の割合で含まれるフエライト組成を有するもので
あつて、そのような組成を与えるフエライト原料
粉末混合物、例えばMn−Znフエライトにあつて
は、酸化鉄、酸化マンガン(炭酸マンガン)及び
酸化亜鉛からなる混合物が出発原料として用いら
れ、更に本発明に従つて、SnO2成分、即ちSnO2
自体若しくはそれを生じる化合物乃至は物質の所
定量が配合せしめられ、そしてそのような原料混
合物が、常法に従つて、仮焼せしめられた後、粉
砕され、次いでブロツクの如き適当な形状に成形
された成形体を焼成することにより、得られるも
のである。 このようにして得られた多結晶フエライト材料
は、原料混合物中に存在するSnO2成分によつて、
その焼結多結晶組織中にSnO2が固溶せしめられ
た形態を有するものとなり、後の単結晶化操作に
おいて、優れた効果をもたらすこととなるが、そ
のような効果を充分に享受するためには、少なく
とも0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上の
割合でSnO2を固溶せしめる必要がある。0.1重量
%以上のSnO2の固溶により、従来の単結晶フエ
ライト育成材料に比べ、「巣」及び「島状構造」
を効果的に低減せしめ得て、有利には1/2以下に
まで減少させることが可能である。また、かかる
SnO2の固溶量を増すことにより、育成単結晶フ
エライト中の「巣」及び「島状構造」を有利に減
少させることが出来るが、3重量%を越えるよう
になると、その効果は飽和するようになる。更
に、かかるSnO2の余りにも多量の固溶は、異相
の析出を惹起し易くなるところから、その上限
は、一般に5重量%程度、好ましくは3重量%程
度とすることが望ましい。 また、このようにして得られる多結晶フエライ
ト材料は、よく知られているように、その単結晶
化のために、一般に、高温において不連続な結晶
粒子成長を起こすフエライトの多結晶体とされて
いることは、言うまでもないところである。より
具体的には、この不連続な結晶粒子成長を示す多
結晶体とは、加熱温度が或る特定の温度に到達す
ると、突発的に、一部の結晶粒子が周りの微細な
結晶粒子を合体し、周りの微細粒子の成長速度よ
り極めて大きな粒子成長速度で巨大な結晶粒子に
成長するものであつて、通常、フエライトの主成
分の一つである酸化鉄の原料に、スピンネル構造
を有する酸化鉄若しくはスピネル構造の履歴を有
する酸化鉄或いはそれらの混合物を、Fe2O3に換
算して、少なくとも60重量%以上含有する酸化鉄
を用いて、有利に形成されるものである。 そして、このような多結晶フエライト材料に対
する単結晶フエライト部材(種子)を用いた単結
晶化操作は、従来と同様にして、実施されること
となる。 例えば、多結晶フエライト材料を単結晶化する
ための種単結晶である単結晶フエライト部材は、
少なくとも一部が単結晶である、換言すればフエ
ライト単結晶を少なくとも一部に一部に有するフ
エライト材料であつて、全体が一つの単結晶にて
形成されているものの他、部分的に単結晶フエラ
イト部分を有する多結晶・単結晶複合フエライト
材料も使用することが出来る。 また、かかる多結晶フエライト材料と単結晶フ
エライト部材との接触は、該単結晶フエライト部
材の単結晶面に対する多結晶フエライト材料の当
接によつて行なわれ、その際、相互の接触面は、
相互の密着のために、何れも、その接触に先立つ
て、充分な鏡面研磨が施されることとなる。ま
た、そのような接触に際しては、それらの接触面
に、フエライトを溶解する酸(例えば、塩酸、硝
酸、硫酸等)やフエライト成分を含んだ無機酸塩
の水溶液を介在せしめて、突き合わせ、それらフ
エライト材料を仮接着させることが望ましいこと
も、従来と同様である。 次いで、このように接触させた状態下におい
て、多結晶フエライト材料と単結晶フエライト部
材とを加熱せしめることにより、それらフエライ
ト材料は、固相反応にて直接に一体的に接合し、
更にその後、多結晶フエライト材料の単結晶化が
行なわれるのである。即ち、よく知られているよ
うに、多結晶フエライト材料の単結晶成長温度よ
りも高い温度下において、しかし前記不連続粒成
長温度よりも或る程度低い温度で加熱することに
よつて、一体的に接合した単結晶フエライト部材
側よりフエライト単結晶が多結晶フエライト材料
側に向つて成長し、かかる多結晶フエライト材料
部分が単結晶化せしめられて、単結晶フエライト
部材のフエライト単結晶部分と一体の大きな一つ
のフエライト単結晶が育成されるのである。 なお、かかる多結晶フエライト材料と単結晶フ
エライト部材との組合せ物(仮接着物)における
単結晶の育成(単結晶化操作)のために加熱は、
一般に、加熱炉内において行なわれることとなる
が、この加熱炉内の雰囲気も従来と同様に、平衡
酸素分圧の雰囲気となるように調整されることと
なる。 そして、本発明によれば、上記の如きフエライ
ト単結晶の育成操作において、単結晶化せしめら
れる多結晶フエライト材料中に所定量のSnO2が
固溶せしめられていることによつて、かかる多結
晶フエライト材料の単結晶成長温度が有利に低下
せしめられ、以て有効な加熱処理が施され得るこ
と等から、育成フエライト単結晶中の「巣」及び
「島状構造」の残留割合を効果的に低減せしめ得
たのである。 (実施例) 以下、本発明を更に具体的に明らかにするため
に、本発明の代表的な実施例を示すが、本発明
が、そのような実施例の記載によつて、何等制限
的に解釈されるものでないことは、言うまでもな
いところである。 なお、本発明は、上述した本発明の具体的な説
明並びに以下の実施例の他にも、各種の態様にお
いて実施され得るものであり、本発明の趣旨を逸
脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて
実施され得る種々なる態様のものが、何れも、本
発明の範疇に属するものと、理解されるべきであ
る。 先ず、純度が99.9%の炭酸マンガンを焙焼して
得られた酸化マンガンと、純度が99.9%の酸化亜
鉛と、純度が99.9%のマグネタイトを550℃で焙
焼して得られた酸化鉄を原料とし、その組成が
MnO:27.5モル%、ZnO:19.0モル%、Fe2O3:
53.5モル%となるように、それぞれの原料を秤量
した。また、SnSO4を、SnO2分として、下記第
1表に示される0〜5重量%の範囲内の割合にお
いて、それぞれ秤量し、先の3種類の原料と合わ
せて、ボールミルにて15時間それぞれ湿式混合し
た。次いで、この混合した粉末の各々を、1050℃
の温度で、空気中において仮焼した後、粉砕し、
従来と同様にして成形せしめ、そしてその得られ
た成形物を、平衡酸素分圧下において、1300℃×
8時間の条件で焼成することにより、各種のMn
−Zn多結晶フエライト材料を得た。 そして、この得られた各種の多結晶フエライト
材料から25mm×5mm×5mmの板をそれぞれ切り出
し、その25mm×5mmの一つの面を、ダイヤモンド
砥粒を用いて、平滑度:Rnaxが0.1μmとなるよう
にそれぞれ研磨した。 一方、上記の多結晶フエライト材料と同一組成
の単結晶フエライトから25mm×5mm×1mmの板を
切り出し、その25mm×5mmの一つの面を、ダイヤ
モンド砥粒を用いて、平滑度:Rnaxが0.1μmとな
るように研磨した。 次いで、前記多結晶フエライト材料の各々の鏡
面研磨部に、単結晶フエライトの鏡面研磨部を、
それぞれ接触せしめて、窒素雰囲気下、300℃/
Hrの昇温速度で1150℃まで昇温し、その後5容
量%の酸素を含む窒素雰囲気に代えて、10分間温
度保持した後、更に300℃/Hrの昇温速度で1300
℃まで昇温し、そして、昇温速度を20℃/Hrに
代えて1420℃まで昇温した後、再び窒素雰囲気下
で冷却することにより、7種類の単結晶フエライ
ト育成物を得た。 そして、この単結晶フエライト育成物から15mm
×3mm×1mmの板を切り出し、その15mm×1mmの
一つの面を、ダイヤモンド砥粒を用いて、平滑
度:Rnaxが0.1μmmとなるように研磨した後、顕微
鏡下にて「巣」を測定した。次に、それぞれの板
を濃塩酸にて5分間侵食処理した後、顕微鏡下に
て「島状構造」を測定した。 その結果、7種類の単結晶フエライト育成物中
の「巣」及び「島状構造」の数は、下記第1表の
如くであり、SnO2を0.5重量%以上添加して固溶
せしめると、得られた単結晶フエライト育成物中
の「巣」及び「島状構造」の数は、従来材に比べ
て1/2以下にまで減少することが判つた。 また、SnO2を3重量%以上固溶せしめると、
「巣」及び「島状構造」は1/10以下に減少するが、
その固溶量が5重量%になると、異相が析出する
ことも判つた。
ものであり、更に詳しくは、固相反応による単結
晶フエライトの製造法に関するものである。 (背景技術) 従来の、原料の溶融した液相より単結晶を固化
させつつ育成するブリツジマン法に代わる、新し
い単結晶フエライトの製造手法として、本願出願
人は、先に、特開昭55−162496号公報や特開昭56
−155100号公報等において、多結晶フエライト部
材(母材)と単結晶フエライト部材(種子)を接
触させて加熱することにより、固相反応によつ
て、かかる単結晶フエライト部材のフエライト単
結晶を多結晶フエライト部材側に結晶成長させて
育成せしめ、目的とする単結晶フエライト体を得
る方法(固相反応法)を明らかにした。この固相
反応法によれば、得られる単結晶フエライト体は
組成が均質で、従つて磁気特性が安定しており、
また上記ブリツジマン法で得られる単結晶体に見
られる如き白金粒等の析出物(不純物)が存在せ
ず、例えば磁気ヘツド用材料として優れたものと
なる。 ところで、このような固相反応法による単結晶
フエライトの製造手法は、接触せしめた多結晶フ
エライト母材と種子単結晶とを単結晶成長温度以
上に加熱せしめることにより実施されるものであ
るが、得られる単結晶フエライト中には、気孔が
密集して形成される「巣」や、多結晶粒子が取り
残されて、異なる結晶方位を与える「島状構造」
が多く残留していることから、そのような「巣」
や「島状構造」を解消せしめるべく、育成された
単結晶フエライトを、その単結晶成長温度以上
の、より高温度に加熱せしめることが行なわれて
いる。しかしながら、単結晶フエライトの溶融温
度との関係から、かかる加熱操作を充分な高温度
下において行なうことが出来ず、そのために、単
結晶フエライト中には、依然として、或る程度の
「巣」や「島状構造」が残留しているのである。 なお、ここで、「巣」とは、1〜100μm程度の
気孔径の気孔が5個以上密集している部分を言
い、また「島状構造」とは、多結晶フエライト部
材に種単結晶フエライト部材を接合した後、フエ
ライト単結晶を育成するに際し、一部多結晶粒子
が取り残され、種単結晶フエライト部材とは異な
つた結晶方位となる。結晶粒子径が10μm程度以
上のものを意味している。 而して、育成された単結晶フエライト中に残留
する「巣」は、かかる単結晶フエライトを磁気ヘ
ツド用材料として見た場合において、それが磁気
ギヤツプ部に存在すると、耐摩耗性の問題、及び
加工中の欠け等の問題を惹き起こすこととなり、
それ故に、かかる「巣」は可及的に少ない残留量
とすることが望ましく、また「島状構造」にあつ
ても、それは種単結晶より育成した結晶方位とは
異なつているところから、磁気ギヤツプ部に存在
すると、磁気特性の変化や偏摩耗の問題を惹起
し、ヘツド特性を劣化させる原因となるものであ
り、それ故に、その残留量を可及的に低減させる
ことが望まれているのである。 (解決課題) ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景に
して為されたものであつて、その解決すべき課題
とするところは、固相反応によつて育成される単
結晶フエライト中に残留する「巣」及び「島状構
造」を減少せしめて、高品質な単結晶フエライト
を得ることにある。 (解決手段) そして、本発明にあつては、かかる課題解決の
ために、多結晶フエライト部材と単結晶フエライ
ト部材とを接触させて加熱することにより、該単
結晶フエライト部材のフエライト単結晶を多結晶
フエライト部材方向に結晶成長させて、フエライ
ト単結晶を育成することからなる単結晶フエライ
トの製造法において、該多結晶フエライト部材
に、SnO2を0.1重量%以上固溶させた多結晶フエ
ライト材料を使用することを、その趣旨とするも
のである。 要するに、本発明は、単結晶化されるべき多結
晶フエライト部材を与えるフエライト原料の調整
時に酸化錫(SnO2)成分の所定量を配合せしめ、
そしてその配合物から、常法に従つて焼結して得
られる多結晶フエライト材料を用いることによ
り、通常の固相反応による単結晶化操作におい
て、単結晶成長温度が低下し、従来の単結晶フエ
ライト育成物に比べて「巣」および「島状構造」
が効果的に低減され得るとの知見に基づいて、完
成されたものである。 ところで、かかる本発明において、通常の固相
反応手法によつて、単結晶化せしめられる多結晶
フエライト材料は、よく知られているように、酸
化第二鉄(Fe2O3)を主成分として、それが所定
の割合で含まれるフエライト組成を有するもので
あつて、そのような組成を与えるフエライト原料
粉末混合物、例えばMn−Znフエライトにあつて
は、酸化鉄、酸化マンガン(炭酸マンガン)及び
酸化亜鉛からなる混合物が出発原料として用いら
れ、更に本発明に従つて、SnO2成分、即ちSnO2
自体若しくはそれを生じる化合物乃至は物質の所
定量が配合せしめられ、そしてそのような原料混
合物が、常法に従つて、仮焼せしめられた後、粉
砕され、次いでブロツクの如き適当な形状に成形
された成形体を焼成することにより、得られるも
のである。 このようにして得られた多結晶フエライト材料
は、原料混合物中に存在するSnO2成分によつて、
その焼結多結晶組織中にSnO2が固溶せしめられ
た形態を有するものとなり、後の単結晶化操作に
おいて、優れた効果をもたらすこととなるが、そ
のような効果を充分に享受するためには、少なく
とも0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上の
割合でSnO2を固溶せしめる必要がある。0.1重量
%以上のSnO2の固溶により、従来の単結晶フエ
ライト育成材料に比べ、「巣」及び「島状構造」
を効果的に低減せしめ得て、有利には1/2以下に
まで減少させることが可能である。また、かかる
SnO2の固溶量を増すことにより、育成単結晶フ
エライト中の「巣」及び「島状構造」を有利に減
少させることが出来るが、3重量%を越えるよう
になると、その効果は飽和するようになる。更
に、かかるSnO2の余りにも多量の固溶は、異相
の析出を惹起し易くなるところから、その上限
は、一般に5重量%程度、好ましくは3重量%程
度とすることが望ましい。 また、このようにして得られる多結晶フエライ
ト材料は、よく知られているように、その単結晶
化のために、一般に、高温において不連続な結晶
粒子成長を起こすフエライトの多結晶体とされて
いることは、言うまでもないところである。より
具体的には、この不連続な結晶粒子成長を示す多
結晶体とは、加熱温度が或る特定の温度に到達す
ると、突発的に、一部の結晶粒子が周りの微細な
結晶粒子を合体し、周りの微細粒子の成長速度よ
り極めて大きな粒子成長速度で巨大な結晶粒子に
成長するものであつて、通常、フエライトの主成
分の一つである酸化鉄の原料に、スピンネル構造
を有する酸化鉄若しくはスピネル構造の履歴を有
する酸化鉄或いはそれらの混合物を、Fe2O3に換
算して、少なくとも60重量%以上含有する酸化鉄
を用いて、有利に形成されるものである。 そして、このような多結晶フエライト材料に対
する単結晶フエライト部材(種子)を用いた単結
晶化操作は、従来と同様にして、実施されること
となる。 例えば、多結晶フエライト材料を単結晶化する
ための種単結晶である単結晶フエライト部材は、
少なくとも一部が単結晶である、換言すればフエ
ライト単結晶を少なくとも一部に一部に有するフ
エライト材料であつて、全体が一つの単結晶にて
形成されているものの他、部分的に単結晶フエラ
イト部分を有する多結晶・単結晶複合フエライト
材料も使用することが出来る。 また、かかる多結晶フエライト材料と単結晶フ
エライト部材との接触は、該単結晶フエライト部
材の単結晶面に対する多結晶フエライト材料の当
接によつて行なわれ、その際、相互の接触面は、
相互の密着のために、何れも、その接触に先立つ
て、充分な鏡面研磨が施されることとなる。ま
た、そのような接触に際しては、それらの接触面
に、フエライトを溶解する酸(例えば、塩酸、硝
酸、硫酸等)やフエライト成分を含んだ無機酸塩
の水溶液を介在せしめて、突き合わせ、それらフ
エライト材料を仮接着させることが望ましいこと
も、従来と同様である。 次いで、このように接触させた状態下におい
て、多結晶フエライト材料と単結晶フエライト部
材とを加熱せしめることにより、それらフエライ
ト材料は、固相反応にて直接に一体的に接合し、
更にその後、多結晶フエライト材料の単結晶化が
行なわれるのである。即ち、よく知られているよ
うに、多結晶フエライト材料の単結晶成長温度よ
りも高い温度下において、しかし前記不連続粒成
長温度よりも或る程度低い温度で加熱することに
よつて、一体的に接合した単結晶フエライト部材
側よりフエライト単結晶が多結晶フエライト材料
側に向つて成長し、かかる多結晶フエライト材料
部分が単結晶化せしめられて、単結晶フエライト
部材のフエライト単結晶部分と一体の大きな一つ
のフエライト単結晶が育成されるのである。 なお、かかる多結晶フエライト材料と単結晶フ
エライト部材との組合せ物(仮接着物)における
単結晶の育成(単結晶化操作)のために加熱は、
一般に、加熱炉内において行なわれることとなる
が、この加熱炉内の雰囲気も従来と同様に、平衡
酸素分圧の雰囲気となるように調整されることと
なる。 そして、本発明によれば、上記の如きフエライ
ト単結晶の育成操作において、単結晶化せしめら
れる多結晶フエライト材料中に所定量のSnO2が
固溶せしめられていることによつて、かかる多結
晶フエライト材料の単結晶成長温度が有利に低下
せしめられ、以て有効な加熱処理が施され得るこ
と等から、育成フエライト単結晶中の「巣」及び
「島状構造」の残留割合を効果的に低減せしめ得
たのである。 (実施例) 以下、本発明を更に具体的に明らかにするため
に、本発明の代表的な実施例を示すが、本発明
が、そのような実施例の記載によつて、何等制限
的に解釈されるものでないことは、言うまでもな
いところである。 なお、本発明は、上述した本発明の具体的な説
明並びに以下の実施例の他にも、各種の態様にお
いて実施され得るものであり、本発明の趣旨を逸
脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて
実施され得る種々なる態様のものが、何れも、本
発明の範疇に属するものと、理解されるべきであ
る。 先ず、純度が99.9%の炭酸マンガンを焙焼して
得られた酸化マンガンと、純度が99.9%の酸化亜
鉛と、純度が99.9%のマグネタイトを550℃で焙
焼して得られた酸化鉄を原料とし、その組成が
MnO:27.5モル%、ZnO:19.0モル%、Fe2O3:
53.5モル%となるように、それぞれの原料を秤量
した。また、SnSO4を、SnO2分として、下記第
1表に示される0〜5重量%の範囲内の割合にお
いて、それぞれ秤量し、先の3種類の原料と合わ
せて、ボールミルにて15時間それぞれ湿式混合し
た。次いで、この混合した粉末の各々を、1050℃
の温度で、空気中において仮焼した後、粉砕し、
従来と同様にして成形せしめ、そしてその得られ
た成形物を、平衡酸素分圧下において、1300℃×
8時間の条件で焼成することにより、各種のMn
−Zn多結晶フエライト材料を得た。 そして、この得られた各種の多結晶フエライト
材料から25mm×5mm×5mmの板をそれぞれ切り出
し、その25mm×5mmの一つの面を、ダイヤモンド
砥粒を用いて、平滑度:Rnaxが0.1μmとなるよう
にそれぞれ研磨した。 一方、上記の多結晶フエライト材料と同一組成
の単結晶フエライトから25mm×5mm×1mmの板を
切り出し、その25mm×5mmの一つの面を、ダイヤ
モンド砥粒を用いて、平滑度:Rnaxが0.1μmとな
るように研磨した。 次いで、前記多結晶フエライト材料の各々の鏡
面研磨部に、単結晶フエライトの鏡面研磨部を、
それぞれ接触せしめて、窒素雰囲気下、300℃/
Hrの昇温速度で1150℃まで昇温し、その後5容
量%の酸素を含む窒素雰囲気に代えて、10分間温
度保持した後、更に300℃/Hrの昇温速度で1300
℃まで昇温し、そして、昇温速度を20℃/Hrに
代えて1420℃まで昇温した後、再び窒素雰囲気下
で冷却することにより、7種類の単結晶フエライ
ト育成物を得た。 そして、この単結晶フエライト育成物から15mm
×3mm×1mmの板を切り出し、その15mm×1mmの
一つの面を、ダイヤモンド砥粒を用いて、平滑
度:Rnaxが0.1μmmとなるように研磨した後、顕微
鏡下にて「巣」を測定した。次に、それぞれの板
を濃塩酸にて5分間侵食処理した後、顕微鏡下に
て「島状構造」を測定した。 その結果、7種類の単結晶フエライト育成物中
の「巣」及び「島状構造」の数は、下記第1表の
如くであり、SnO2を0.5重量%以上添加して固溶
せしめると、得られた単結晶フエライト育成物中
の「巣」及び「島状構造」の数は、従来材に比べ
て1/2以下にまで減少することが判つた。 また、SnO2を3重量%以上固溶せしめると、
「巣」及び「島状構造」は1/10以下に減少するが、
その固溶量が5重量%になると、異相が析出する
ことも判つた。
【表】
一方、上記で用いた多結晶フエライト材料のそ
れぞれの単結晶成長温度を確認するため、上記と
同様に、それぞれの表面研磨部に単結晶フエライ
ト鏡面研磨部を接触させ、1310〜1360℃の温度範
囲で単結晶成長温度を確認したところ、下記第2
表の如くであり、SnO2添加量と共に、単結晶成
長温度ぎ低下することが判つた。
れぞれの単結晶成長温度を確認するため、上記と
同様に、それぞれの表面研磨部に単結晶フエライ
ト鏡面研磨部を接触させ、1310〜1360℃の温度範
囲で単結晶成長温度を確認したところ、下記第2
表の如くであり、SnO2添加量と共に、単結晶成
長温度ぎ低下することが判つた。
【表】
この結果から、SnO2の添加量と共に、焼結性
が良くなることにより、単結晶成長温度が低下す
るものと推定され、その減少した理由もこのため
であると考えられた。また「島状構造」は、単結
晶が成長する過程において、多結晶中の粒子径の
大きなものが残つたためであり、従つて、単結晶
成長温度の低下に伴い、「島状構造」も減少した
と考えられた。 (発明の効果) 以上の説明から明らかなように、本発明に従つ
て、SnO2を少なくとも0.1重量%以上固溶せしめ
た多結晶フエライト材料を用いて、固相反応手法
にて、フエライト単結晶の育成を図ることによ
り、従来に比べて、単結晶成長温度が有利に低下
せしめられ得、単結晶フエライト育成物中に残留
する「巣」及び「島状構造」を効果的に減少せし
め得て、高品質な単結晶フエライトを提供するこ
とが出来ることとなつたのであり、そこに、本発
明の大きな工業的意義が存するのである。
が良くなることにより、単結晶成長温度が低下す
るものと推定され、その減少した理由もこのため
であると考えられた。また「島状構造」は、単結
晶が成長する過程において、多結晶中の粒子径の
大きなものが残つたためであり、従つて、単結晶
成長温度の低下に伴い、「島状構造」も減少した
と考えられた。 (発明の効果) 以上の説明から明らかなように、本発明に従つ
て、SnO2を少なくとも0.1重量%以上固溶せしめ
た多結晶フエライト材料を用いて、固相反応手法
にて、フエライト単結晶の育成を図ることによ
り、従来に比べて、単結晶成長温度が有利に低下
せしめられ得、単結晶フエライト育成物中に残留
する「巣」及び「島状構造」を効果的に減少せし
め得て、高品質な単結晶フエライトを提供するこ
とが出来ることとなつたのであり、そこに、本発
明の大きな工業的意義が存するのである。
Claims (1)
- 1 多結晶フエライト部材と単結晶フエライト部
材とを接触させて加熱することにより、該単結晶
フエライト部材のフエライト単結晶を多結晶フエ
ライト部材方向に結晶成長させて、フエライト単
結晶を育成することからなる単結晶フエライトの
製造法において、該多結晶フエライト部材に、
SnO2を0.1重量%以上固溶させた多結晶フエライ
ト材料を使用することを特徴とする単結晶フエラ
イトの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7069588A JPH01242494A (ja) | 1988-03-24 | 1988-03-24 | 単結晶フェライトの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7069588A JPH01242494A (ja) | 1988-03-24 | 1988-03-24 | 単結晶フェライトの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01242494A JPH01242494A (ja) | 1989-09-27 |
JPH0474317B2 true JPH0474317B2 (ja) | 1992-11-25 |
Family
ID=13439025
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7069588A Granted JPH01242494A (ja) | 1988-03-24 | 1988-03-24 | 単結晶フェライトの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH01242494A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0744098B2 (ja) * | 1990-03-03 | 1995-05-15 | 川崎製鉄株式会社 | 低損失Mn―Zn系フェライト |
-
1988
- 1988-03-24 JP JP7069588A patent/JPH01242494A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01242494A (ja) | 1989-09-27 |
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