JP2579728B2 - Mn−Zn系単結晶フェライトの製造法 - Google Patents

Mn−Zn系単結晶フェライトの製造法

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JP2579728B2
JP2579728B2 JP4351790A JP35179092A JP2579728B2 JP 2579728 B2 JP2579728 B2 JP 2579728B2 JP 4351790 A JP4351790 A JP 4351790A JP 35179092 A JP35179092 A JP 35179092A JP 2579728 B2 JP2579728 B2 JP 2579728B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、Mn−Zn系単結晶フェライト
の改善された製造方法に係り、特に固相反応によって大
きな単結晶フェライトを有利に製造することのできる方
法に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、Mn−Zn系等の単結晶フェラ
イトの製造方法として、対応する多結晶フェライト部材
(母材)に目的とする単結晶フェライトの種単結晶(単
結晶フェライト部材)を接触させて、加熱することによ
り、それらフェライト部材間に固相反応を惹起せしめ、
それによって、かかる単結晶フェライト部材のフェライ
ト単結晶を多結晶フェライト部材側に結晶成長せしめ
て、目的とする単結晶フェライトを得る方法(固相反応
法)が知られている。そして、この固相反応法によって
得られる単結晶フェライトは、組成が均質で、従って磁
気特性が安定しており、また公知のブリッジマン法で得
られる単結晶体に見られるような不純物が存在せず、例
えば磁気ヘッド用材料として、極めて優れた特性を発揮
するものである。
【0003】ところが、このような固相反応による単結
晶フェライトの製造法においては、母材たる多結晶フェ
ライト部材と種単結晶たる単結晶フェライト部材とを接
触させて、加熱するに際して、多結晶フェライト部材の
表面や角部等において、不連続粒成長による、種単結晶
とは異なる方位の結晶が発生し易く、これが、フェライ
ト単結晶の結晶成長を阻害してしまう問題が内在してい
る。このため、かくの如き固相反応法にあっては、収率
よく、大きな単結晶フェライトを得ることが困難であっ
た。
【0004】そこで、本願出願人は、そのような異種方
位結晶の発生を抑制して、より大きな単結晶フェライト
を得るべく、先に、特開昭60−195097号公報に
おいて、単結晶フェライト部材が接合せしめられる多結
晶フェライト部材の、少なくとも背面に、不連続粒成長
抑制手段として、フェライトダミーを接合したり、多結
晶フェライト部材を加熱により形成する際、表面に生成
する表皮膜をそのまま残して利用したりする方法を提案
した。また、特開昭62−167283号公報において
は、多結晶フェライト部材を、不連続粒成長を示さない
か若しくは示しても多結晶フェライト部材より単結晶の
成長開始温度の高い多結晶フェライト材料にて覆う方法
をも、明らかにした。そうして、それらの手法により、
多結晶フェライト部材における、フェライト単結晶の成
長距離を、それまでの固相反応法によるものに比して、
飛躍的に長くすることが、可能となったのである。
【0005】しかしながら、近年における単結晶フェラ
イト材料の用途によっては、上記の如き手法により得ら
れるものよりも、更に大型の単結晶フェライトが要求さ
れる場合があり、また磁気ヘッド用材料等を与える材料
として用いる場合にあっても、製品歩留り等における経
済的なメリットを考慮すると、更に大きな単結晶フェラ
イトの使用が望ましいとされている。このため、上記の
従来法は、何れも、それらの要求を、十分に満足せしめ
得るものとは言い難いものであったのであり、フェライ
ト単結晶をより大きく成長させる上において、未だ不十
分なものであった。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情に鑑
みて為されたものであって、その解決課題とするところ
は、前述の如き固相反応法により、Mn−Zn系フェラ
イト単結晶を育成するに際して、かかる単結晶の成長距
離を効果的に長く為し得て、より大きなMn−Zn系単
結晶フェライトを有利に製造することの出来る方法を提
供することにある。
【0007】
【解決手段】そして、本発明は、かかる課題を解決する
ために、その特徴とするところは、それぞれMn−Zn
系の、板状の多結晶フェライト部材と単結晶フェライト
部材とを用い、該多結晶フェライト部材の板状形状にお
いて対向する端面の両方若しくは片方に対して該単結晶
フェライト部材の単結晶面を接触させて加熱することに
より、該単結晶フェライト部材のフェライト単結晶を多
結晶フェライト部材方向に結晶成長させて、フェライト
単結晶を育成することからなるMn−Zn系単結晶フェ
ライトの製造法において、前記多結晶フェライト部材に
対して、Fe23 ,MnO,ZnOのうちの少なくと
も1種が2.5モル%以上の組成差を有してなるMn−
Zn系フェライトダミー材を用い、かかるダミー材を、
前記板状の多結晶フェライト部材の前記単結晶フェライ
ト部材が接触せしめられていない少なくとも両主面に対
して、それらダミー材及び多結晶フェライト部材が密
接、接合しないように、1mm以下の間隔を隔てて、近
接、配置せしめて、加熱するようにしたことにある。
【0008】
【具体的構成】ところで、かかる本発明に従うMn−Z
n系単結晶フェライトの製造方法に用いられる、単結晶
化せしめられる多結晶フェライト部材及びそのような多
結晶フェライト部材に近接、配置せしめられるフェライ
トダミー材は、何れも、酸化第二鉄(Fe2 3 )、酸
化マンガン(MnO)及び酸化亜鉛(ZnO)を主成分
とするMn−Zn系フェライト材料である。即ち、それ
ら多結晶フェライト部材及びフェライトダミー材は、F
2 3 ,MnO,ZnOを、それぞれ、所定の割合に
て配合せしめてなる混合物を出発原料として用い、そし
て、そのような原料混合物を、従来と同様にして、仮焼
せしめた後、粉砕し、次いでブロックの如き適当な形状
に成形して、成形体と成し、その後、かかる成形体を焼
成することにより、得られるものである。
【0009】また、かくして得られる多結晶フェライト
部材は、よく知られているように、その単結晶化のため
に、一般に、高温において不連続な結晶粒子成長を起こ
すフェライトの多結晶体とされていることは、言うまで
もないところである。より具体的には、この不連続な結
晶粒子成長を示すフェライト多結晶体とは、加熱温度
が、ある特定の温度に達すると、突発的に、一部の結晶
粒子が周りの微細な結晶粒子を合体せしめ、かかる周り
の微細粒子の成長速度よりも、極めて大きな結晶粒子成
長速度で、巨大な結晶粒子に成長するものであって、通
常、フェライトの主成分の一つである酸化鉄の原料に、
スピネル構造を有する酸化鉄若しくはスピネル構造の履
歴を有する酸化鉄、或いはそれらの混合物を、Fe2
3 に換算して、少なくとも60重量%以上含有する酸化
鉄を用いて、有利に形成されるものである。そして、そ
のような多結晶体は、それに接するフェライト単結晶の
存在によって、該フェライト単結晶を多結晶体側に成長
せしめ、そのフェライト単結晶を大きく育成せしめるこ
とにより、自ら単結晶化されるものである。
【0010】一方、フェライトダミー材も、一般に、フ
ェライトの多結晶体からなるものである。しかるに、か
かるダミー材は、上記多結晶フェライト部材とは異な
り、必ずしも単結晶化されるものではない。それ故、本
発明において用いられるフェライトダミー材は、高温に
おいて不連続な結晶粒子成長を起こすものであっても、
またそうでないものであっても良く、従って、その主成
分の一つである酸化鉄の原料が、如何なる結晶構造を有
するものであっても良いのであり、上記の如き結晶構造
を有するものに、何等限定されるものではないのであ
る。
【0011】しかしながら、本発明において用いられる
フェライトダミー材は、単結晶化せしめられる多結晶フ
ェライト部材に対して、上記主要三成分(Fe2 3
MnO,ZnO)のうちの少なくとも1種が、2.5モ
ル%以上の組成差を有してなるものでなければならな
い。けだし、本発明にあっては、そのようなフェライト
ダミー材を用いることにより、後述する単結晶化操作に
おいて、多結晶フェライト部材におけるフェライト単結
晶の成長距離を、従来法に比して、著しく延長化せしめ
得ることとなったのであるが、かかる組成差が2.5モ
ル%未満のダミー材を用いる場合にあっては、かくの如
き優れた効果が、十分に奏され得ないからである。
【0012】而して、本発明に従うMn−Zn系単結晶
フェライトの製造方法にあっては、そのような多結晶フ
ェライト部材とフェライトダミー材とが用いられ、固相
反応法による単結晶化操作が、従来と同様にして、実施
されるのである。即ち、単結晶化されるべき母材たる多
結晶フェライト部材に対して、種単結晶である単結晶フ
ェライト部材を接触せしめる一方、かかる単結晶フェラ
イト部材が接触せしめられていない面に対して、フェラ
イトダミー材を近接、配置せしめ、そしてそれらを加熱
処理するのである。
【0013】より詳細には、本発明においては、種単結
晶として用いられる単結晶フェライト部材として、従来
と同様のものが使用されることとなる。即ち、かかる単
結晶フェライト部材としては、母材たる多結晶フェライ
ト部材と略同一の組成を有するもので、且つ少なくと
も、その一部にフェライト単結晶を有するフェライト材
料が採用されるのである。従って、本発明にあっては、
そのような組成を有するものであれば、全体が一つの単
結晶にて形成されている単結晶フェライト材料や、部分
的に単結晶フェライト部分を有する多結晶・単結晶フェ
ライト材料等が、何れも、種単結晶として用いられ得る
のである。
【0014】 また、単結晶化せしめられる板状の多結
晶フェライト部材に対する単結晶フェライト部材の接触
は、一般に、上記の如きフェライト材料からなる単結晶
フェライト部材を1つ乃至は2つ用い、多結晶フェライ
ト部材の板状形状において対向して位置する両方の
若しくは何れか片方の面に対して、かかる単結晶フェ
ライト部材の単結晶面を当接することによって、行なわ
れることとなる。なお、その際、相互の接触面は、相互
の密着のために、何れも、その接触に先立って、十分な
鏡面研磨が施されることとなる。更に、そのような接触
に際しては、それらの接触面に、フェライトを溶解する
酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸等)やフェライト成分を
含んだ無機酸塩の水溶液を介在せしめて、突き合わせ、
それらフェライト材料を仮接着させることが望ましいこ
とも、従来と同様である。
【0015】 一方、かかる多結晶フェライト部材に対
して、フェライトダミー材を近接、配置するに際して
は、前記したように、かかるダミー材が、単結晶フェラ
イト部材の接触せしめられていない面に近接、配置せし
められることとなるが、本発明にあっては、少なくとも
板状の多結晶フェライト部材の両主面(両板面;最も大
きな面積の二つの面)に対して、好ましくは単結晶フェ
ライト部材が接触せしめられていない全べての面に対し
て、フェライトダミー材が近接、配置せしめられるので
ある。但し、フェライトダミー材を板状の多結晶フェラ
イトの両主面に対してのみ、近接、配置せしめる場合に
あっては、その後の加熱処理における雰囲気制御のため
に、同一組成を有するフェライトダミー材にて、他の四
つの面を囲むようにすることが望ましい。
【0016】 また、かかる多結晶フェライト部材に対
するフェライトダミー材の近接、配置は、単結晶操作に
より、それら多結晶フェライト部材(育成フェライト単
結晶)とフェライトダミー材とが接合すると、それら両
部材間の熱膨張差によって単結晶化された製品にクラッ
クが発生する等の問題を生じる恐れがあるところから、
それら両部材が密接しないように、1mm以下、好ましく
は500μm以下の間隔を隔てて、配置せしめられるこ
ととなる。この意味において、多結晶フェライト部材の
フェライトダミー材に対する近接面(対向面)は、その
焼成の後に、ダイヤモンドカッター等にて表皮層(表面
から約0.5mm)を除去した状態とされるのが良く、ま
た、フェライトダミー材の近接面(対向面)も、ダイヤ
モンドカッター等で切断したままの表面状態、或いは焼
成したままの表面状態とされているのが良いのである。
【0017】そして、かくの如く、多結晶フェライト部
材に対して、単結晶フェライト部材を密接し、またフェ
ライトダミー材を近接、配置せしめた状態下において、
それらを加熱することにより、多結晶フェライト部材と
単結晶フェライト部材が固相反応にて直接に一体的に接
合し、更にその後、フェライトダミー材の存在により、
多結晶フェライト部材の表面において、異種方位結晶の
発生が効果的に抑制されつつ、かかる多結晶フェライト
部材の単結晶化が効果的に進行せしめられることとなる
のである。
【0018】また、そのような単結晶化操作には、よく
知られているように、多結晶フェライト部材の単結晶成
長開始温度よりも高い温度で且つ前記不連続粒成長温度
よりも低い温度にて加熱する手法が採用され、これによ
って、一体的に接合した単結晶フェライト部材側より、
フェライト単結晶が多結晶フェライト部材側に向かって
成長し、かかる多結晶フェライト部材が単結晶化せしめ
られて、単結晶フェライト部材のフェライト単結晶部分
と一体の大きな一つのフェライト単結晶が育成されるよ
うになるのである。なお、そのような加熱による単結晶
の育成操作は、一般に、加熱炉内において行なわれるこ
ととなるが、この加熱炉内の雰囲気も、従来と同様に、
平衡酸素分圧の雰囲気となるように調整されることとな
る。
【0019】そして、本発明にあっては、そのような単
結晶の育成操作において、単結晶化される多結晶フェラ
イト部材の、単結晶フェライト部材が接触せしめられて
いない面に対して、フェライトダミー材が近接、配置せ
しめられており、しかも、かかるフェライトダミー材と
して、多結晶フェライト部材とは、Fe2 3 ,Mn
O,ZnOのうちの少なくとも1種において、2.5モ
ル%以上の組成差を有するものが用いられているところ
から、多結晶フェライト部材におけるフェライト単結晶
の伸びが改善され得て、フェライト単結晶の成長距離が
効果的に長く為され得、以て従来法により得られるもの
よりも、更に大きなフェライト単結晶が、有利に製造さ
れ得ることとなるのである。
【0020】 これは、単結晶化されるべき母材たるM
n−Zn系多結晶フェライト部材に対して、主成分組成
の異なるMn−Zn系フェライトダミー材を近接、配置
せしめることにより、単結晶化のための加熱にて該ダミ
ー材からフェライト成分が蒸発し、そしてそのようなフ
ェライト成分のガスの存在の影響を受けて、かかる多結
晶フェライト部材の表面と中心部との不均質化が図られ
て、それらの間に組成偏析が生ぜしめられ、そのため、
単結晶開始温度と表面の核生成温度との差が大きくなっ
て、前記の如き単結晶の育成操作における加熱温度で
の、母材表面等における異種方位結晶の発生が効果的に
抑制せしめられることとなり、その結果、フェライト単
結晶の成長が阻害されることも有利に抑えられ得て、そ
の成長距離が、従来に比して、飛躍的に延長化せしめら
れ得ることとなったものであると考えられる。
【0021】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変
更、修正、改良等を加え得ることが、理解されるべきで
ある。
【0022】実施例 1 先ず、純度が99.9%の炭酸マンガンを焙焼して得ら
れた酸化マンガンと、純度が99.9%の酸化亜鉛と、
純度が99.9%のマグネタイトを550℃で焙焼して
得られた酸化鉄とを原料とし、その組成が、Fe
2 3 :52.5モル%、MnO:31.0モル%、Z
nO:16.5モル%となるように、それぞれの原料を
秤量した。
【0023】次いで、それら3種類の原料を、従来と同
様にして、ボールミルにて湿式混合し、その後、仮焼せ
しめた後、粉砕し、更にそれら粉砕物を成形して、成形
体を得、そしてその得られた成形体を、平衡酸素分圧下
において焼成して、50mm×50mm×6mmの板状のMn
−Zn系多結晶フェライト部材を得た。そして、それと
同様にして、同一組成及び同一形状を有する、37個の
Mn−Zn系多結晶フェライト部材を得た。
【0024】引き続き、かくして得られた各Mn−Zn
系多結晶フェライト部材において、50mm×6mmの一つ
の面を、常法に従い、ダイヤモンド砥粒を用いて、平滑
度:Rmax が0.1μm となるように、研磨した。
【0025】一方、上記の多結晶フェライト部材と略同
一組成を有する単結晶フェライト材料から、50mm×6
mm×1mmの板を切り出し、そのような単結晶フェライト
部材を37個準備した。そして、各単結晶フェライト部
材における50mm×6mmの一つの面を、上記同様にし
て、鏡面研磨した。
【0026】また、前記多結晶フェライト部材を与える
原料と同様なものを、それぞれ、所定量準備した。そし
て、それらの原料を、下記表1及び表2に示される如き
組成となるように、それぞれ、秤量し、次いで、ボール
ミルにて、それらを各々湿式混合して、組成の異なる各
種の原料混合物を得た。引き続き、それら原料混合物
を、上記と同様にして、仮焼した後、粉砕し、更に成形
し、その後焼成して、50mm×50mm×30mmのブロッ
ク状のMn−Zn系フェライトの多結晶体を得た。しか
る後、タイヤモンドカッターを用いて、その得られた多
結晶体を、50mm×50mm×4mmの板状に切断した。そ
うして、同一形状を有するものの、互いに組成が異なる
と共に、先に得られた、単結晶化される多結晶フェライ
ト部材とも組成が異なるNo.1〜37までのMn−Z
n系フェライトダミー材を、各2個ずつ、計74個得
た。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】そして、前記多結晶フェライト部材の各鏡
面研磨部の50mm×6mmの面に、単結晶フェライト部材
の鏡面研磨部を接触せしめる一方、該多結晶フェライト
部材を挟むように、50mm×50mmの二つの面に対し
て、同一組成を有する(同一ナンバーの)2個のフェラ
イトダミー材を、それぞれ、近接、配置せしめて、窒素
雰囲気下、300℃/Hrの昇温速度で1150℃まで
昇温し、その後酸素:40容量%、窒素:60容量%の
雰囲気に代えて、10分間温度保持した後、更に300
℃/Hrの昇温速度で1340℃まで昇温し、そして、
昇温速度を15℃/Hrに代えて、1530℃まで昇温
した後、30分間温度保持し、その後、再び窒素雰囲気
に代えて、冷却することにより、37種類の単結晶フェ
ライト育成物を得た。しかる後、かくして得られた各単
結晶フェライト育成物における、フェライト単結晶の成
長距離を、それぞれ、測定した。その結果を、下記表3
及び表4に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】かかる表3及び表4から明らかなように、
単結晶化される多結晶フェライト部材に対して、Fe2
3 ,MnO,ZnOのうちの少なくとも1種が2.5
モル%以上の組成差を有してなるMn−Zn系フェライ
トダミー材を用いて得られた単結晶フェライト育成物
は、その成長距離が50.0mmとなっており、単結晶が
略全伸して、多結晶フェライト部材の略全体が単結晶化
されているのに対して、かかる組成差が2.5モル%未
満のフェライトダミー材を用いて得られた単結晶フェラ
イト育成物にあっては、単結晶の成長距離が15〜34
mmの範囲内で、単結晶の伸びが小さく、多結晶フェライ
ト部材を約半分程度しか単結晶化せしめることができな
かった。
【0033】実施例 2 先ず、前記実施例1と同様にして、Fe2 3 ,Mn
O,ZnOの原料を準備し、そしてそれら3種類の原料
を、その組成がFe2 3 :53.0モル%、MnO:
26.5モル%、ZnO:20.5モル%となるよう
に、それぞれ、秤量した。
【0034】次いで、それら秤量せしめられた原料に対
して、実施例1と同様な操作を実施し、それにより、5
0mm×50mm×6mmの板状のMn−Zn系多結晶フェラ
イト部材を得た。そして、同様にして、かかる多結晶フ
ェライト部材と同一組成及び同一形状を有するMn−Z
n系多結晶フェライト部材を、全部で37個得た。その
後、それら37個の多結晶フェライト部材の全べてに対
して、実施例1と同様にして、50mm×6mmの一つの面
を、それぞれ、鏡面研磨した。
【0035】一方、上記の多結晶フェライト部材と略同
一組成を有する単結晶フェライト材料から、50mm×6
mm×1mmの板を切り出し、37個の単結晶フェライト部
材を得た。そして、それらの全べてにおいて、その50
mm×6mmの一つの面を、同じく鏡面研磨した。
【0036】また、前記多結晶フェライト部材を与える
原料と同様なものを、それぞれ、所定量準備し、そし
て、それらの原料を、下記表5及び表6に示される如き
組成となるように、それぞれ、秤量した。次いで、それ
ら秤量せしめられた原料に対して、実施例1と同様な操
作を施し、それによって、互いに組成が異なり、更には
単結晶化される多結晶フェライト部材とも異なる組成を
有する、50mm×50mm×4mmの板状のMn−Zn系フ
ェライトダミー材を37種類、2個ずつ、計74個得
た。また、かくして得られた37種類のフェライトダミ
ー材を、それぞれ、No.38〜74とした。
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】その後、前記多結晶フェライト部材の各鏡
面研磨部の50mm×6mmの面に、単結晶フェライト部材
の鏡面研磨部を接触せしめる一方、該多結晶フェライト
部材を挟むように、50mm×50mmの二つの面に対し
て、同一組成を有する(同一ナンバーの)2個のフェラ
イトダミー材を、それぞれ、近接、配置せしめて、実施
例1と同様な昇温スケジュールにて、加熱し、単結晶の
育成操作を実施した。そうして、37種類の単結晶フェ
ライト育成物を得た。そして、かくして得られた各単結
晶フェライト育成物における、フェライト単結晶の成長
距離を、それぞれ、測定した。その結果を、下記表7及
び表8に示す。
【0040】
【表7】
【0041】
【表8】
【0042】かかる表7及び表8からも明らかなよう
に、本実施例においても、フェライトダミー材として、
単結晶化される多結晶フェライト部材に対して、主要三
成分のうちの少なくとも1種が2.5モル%以上の組成
差を有してなるものを用いて得られた単結晶フェライト
育成物については、単結晶の伸びが極めて有利に改善さ
れていることが判る。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
手法にあっては、単結晶化せしめられるMn−Zn系多
結晶フェライト部材に対して、Mn−Zn系フェライト
ダミー材を近接、配置せしめつつ、固相反応法により、
フェライトの単結晶を育成するに際して、かかるフェラ
イトダミー材として、前記多結晶フェライト部材とは、
Fe2 3 ,MnO,ZnOのうちの少なくとも1種に
おいて、2.5モル%以上の組成差を有するものが用い
られているところから、前記多結晶フェライト部材にお
けるフェライト単結晶の伸びが有利に改善され得て、フ
ェライト単結晶の成長距離が効果的に長く為され得るこ
ととなり、以て従来法により得られるものよりも、更に
大きなフェライト単結晶が、効率的に製造され得ること
となったのである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれMn−Zn系の、板状の多結晶
    フェライト部材と単結晶フェライト部材とを用い、該多
    結晶フェライト部材の板状形状において対向する端面の
    両方若しくは片方に対して該単結晶フェライト部材の単
    結晶面を接触させて加熱することにより、該単結晶フェ
    ライト部材のフェライト単結晶を多結晶フェライト部材
    方向に結晶成長させて、フェライト単結晶を育成するこ
    とからなるMn−Zn系単結晶フェライトの製造法にお
    いて、 前記多結晶フェライト部材に対して、Fe23 ,Mn
    O,ZnOのうちの少なくとも1種が2.5モル%以上
    の組成差を有してなるMn−Zn系フェライトダミー材
    を用い、かかるダミー材を、前記板状の多結晶フェライ
    ト部材の前記単結晶フェライト部材が接触せしめられて
    いない少なくとも両主面に対して、それらダミー材及び
    多結晶フェライト部材が密接、接合しないように、1mm
    以下の間隔を隔てて、近接、配置せしめて、加熱するこ
    とを特徴とするMn−Zn系単結晶フェライトの製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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