JPH04676Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は海、湖沼等に於ける貝類の養殖に用い
られる養殖カゴに関する。

（従来の技術） 従来、貝類の養殖に用いられる養殖カゴの一実
施例として、蛇腹カゴと称される角形ならびに丸
形の多段式養殖カゴは、予め鉄線に合成樹脂を被
覆加工した剛性を有する所定形状の枠体に合成繊
維素材の網体を取付けて仕切り網とし、この任意
枚数の仕切り網を所定の間隔で、その枠体の外周
縁に、枠体の外周長さと同幅の同様の網体を縫合
巻装して側網とすることによつて、所謂蛇腹状の
多段式養殖カゴを形成するものである。

この場合、衝合された側網の両側端縁間の隙間
が、貝類の出入れのための開口部となるものであ
るが、貝類の出入れ等の作業中またカゴの横持ち
運搬時に於いては、その構造上、側網が緩みなが
ら内方に折曲ることになつて、該カゴの開口部が
横方向に開き易いと言う欠点を有すると言うもの
であつた。

（考案が解決しようとする問題点） 上記の様に、その養殖作業中に於いて、開口部
の開口し易さに起因する貝類の濡出を防止するた
めの対策として、貝類を各段の部屋に収容してか
ら、開口部となる隙間を形成する側網の両側端縁
を衝合状態で口紐によつて縫合することが必要と
なり、この場合、荒いピツチの縫合では側網が緩
むことによつて開口部が開いて収容された貝類が
カゴの外に濡出することになるから、細かなピツ
チで縫合しなければならず、また、貝類の取出し
作業にあつては、貝類が成長して大きくなつてい
るから、例え開口部が左右横方向に開いたとして
も、口紐を縫合した状態では、成長した貝類の取
出しが不可能となるので、口紐を完全に抜かなけ
ればならなく、これがため、再度使用の場合は、
改めて口紐を細かなピツチで縫合し直さなければ
ならないと言う欠点を有するので、本作業には多
大の労力を要するものであつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案に係る貝類の養殖カゴは、上記の様な貝
類の養殖作業の現状に鑑み為されたものであり、
次の様な構造から成る貝類の養殖カゴを提供する
ことを目的とするものである。

すなわち、貝類の出入れ作業中ならびに横持ち
運搬時に於いては、本考案カゴは側網の両側端縁
が外方に突出状態で並設させた構造にすることに
よつて、その突出した両側端縁付近を重ねて口紐
で荒いピツチで縫合するのみで、開口部を形成す
る突出した両側端縁付近の突出部が面接触で密着
状態になり、したがつて、側網が緩んでも開口部
の開きが最小限にとどまることになり、また、口
紐による縫合がピツチが荒いことから、必要に応
じて開口部を開口したい時は、その開口が容易か
つ確実に為し得ることになるものである。

（作用） 本考案は上記の様な構造から成るカゴであるか
ら、貝類の出入れ作業中ならびに横持ち運搬時に
於いて、開口部を形成する突出した両側端縁付近
の突出部が縫合した口紐によつて、面接触で密着
状態になり、側網が緩んでも開口部が最小限にと
どまることになり、カゴの各段の部屋内に収容さ
れた貝類の濡出防止を確実に可能ならしめるのみ
ならず、開口部を指先で左右に押し広げるのみ
で、開口部が容易に左右に開口し、十分な隙間を
確保することが出来から、貝類の収容作業ならび
に成長後の貝類の取出し作業が、その都度、縫合
した口紐を抜くこと無く、本作業が合理的に為し
得ると言う効果を有することになるものである。

（実施例） 本考案の実施例を次の図面によつて説明する。

合成繊維素材の網体１を縫製加工等によつて、
剛性を有しかつ耐蝕性に優れた多角形の枠体２に
取付けて成る複数の仕切り網３を、所定の間隔で
その枠体２の外周縁に、同様網体１から成りかつ
枠体２の円周より任意の長さで幅広な側網４を縫
合巻装して、仕切り網３間に空間すなわち部屋５
を形成するものであるが、この場合、第１，２図
に示す様に、開口部ａは側網４の両側端縁６を外
法に突出状態に並設させてから、所定本数のロー
プ７を各段の枠体２に順次所定の間隔で結着させ
て本考案カゴＡが構成されるものである。

なお、従来の蛇腹状の多段式貝類の養殖カゴの
開口部ａの開閉は、衝合せられた側網４の両側端
縁を一緒に口紐８の細やかな縫合ならびに抜き取
りによつて為さなければならないが、本考案カゴ
Ａにあつては、突出部６ａが面接触で密着状態に
なるから、したがつて、口紐８の縫合ピツチが荒
くても、各部屋５内に収容された貝類（図示せ
ず）は、カゴＡ外に濡出するおそれが無い。

また、本考案カゴＡは、上記構造かつ縫合ピツ
チが荒くても良いので、貝類の出し入れ作業に於
いては、開口部ａを上向きかつカゴＡを収縮横倒
しの状態のまま、予め口紐８によつて密閉された
各段の開口部ａを、指先で左右横方向に押し広げ
ることによつて、開口部ａは容易に左右に開口す
るから、貝類の収容作業が簡単、また、貝類の出
荷もしくは他のカゴえの入替え作業時に於いて
も、上記作業と同様、開口部ａを開口状態にして
から、開口部ａを下向きにして、カゴＡを上下左
右に揺動させることによつて、カゴＡの部屋５内
の貝類は開口部ａから能率よく取出すことが可能
となるものである。

（考案の効果） 本考案に係る貝類の養殖カゴは、上記の構造で
あるから、カゴの製作コストは従来品と変らず、
貝類の出入れならびに横持ち運搬等作業に於ける
貝類の濡出防止を確実に可能ならしかつ貝類の収
容ならびに取り出し作業を効率的に為し得ると言
う効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案貝類の養殖カゴの実施構造の一
例を示す斜視図、第２図は同じく本考案の他の実
施例を示す斜視図である。 １……網体、２……枠体、３……仕切り網、４
……側網、５……部屋、６……側網の端縁、６ａ
……突出部、７……ロープ、８……口紐、ａ……
開口部、Ａ……貝類の養殖カゴ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成繊維素材の網体と剛性を有する耐蝕性の多
   角形の枠体とで蛇腹状に形成され、複数のロープ
   で各段の枠体が所定の間隔で支持されて成る多段
   式貝類の養殖カゴに於いて、側網の両側端縁を外
   方にそれぞれ突出状態で並設させて成る開口部を
   有することを特徴とする貝類の養殖カゴ。