JP6634143B1 - 貝類の養殖方法およびこれに使用する観音開き式の養殖かご - Google Patents
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Abstract
Description
(1)採苗器から採取した稚貝を選別し、第1の養殖かごに収容し、海中に垂下させて育成する工程と;前記第1の養殖かごから前記稚貝を取り出し、選別後、網目の一辺の長さが4.5〜12mmである網材からなる第2の養殖かごに収容し、海中に垂下させて育成する工程と;成長した前記稚貝を前記第2の養殖かごから取り出し、網目の一辺の長さが15〜30mmである網材からなる第3の養殖かごに収容し、海中に垂下させて育成する工程と;を含み、少なくとも前記第2の養殖かごおよび第3の養殖かごは、垂直方向に複数段の収容室を有し、各収容室の側面に貝類の投入・排出口が設けられており、前記投入・排出口の下部は、互いに隣接する網材同士が口縫い糸で観音開き式に開閉可能に塞がれており、上部は、互いに隣接する網材同士が口縫い糸で塞がれていない開口部を有し、この開口部は、一つの前記収容室あたり前記網材の前記垂直方向における全長に対して20〜50%であり、前記口縫い糸は、貝類の排出時に、前記投入・排出口の下部から引き抜いて、前記投入・排出口を観音開きで開くと共に、前記第2の養殖かごの投入・排出口は、開いた状態で、第2の養殖かごの周長に対して2〜15%%の開口率を有しており、前記第3の養殖かごの投入・排出口は、開いた状態で、第3の養殖かごの周長に対して4〜30%の開口率を有しており、(前記第3の養殖かごの開口率)−(前記第2の養殖かごの開口率)=2〜15%であることを特徴とする貝類の養殖方法。
(2)前記第2の養殖かごとして使用される養殖かごであって、筒体である網状の外囲と、この外囲内に軸方向に沿って所定の間隔で配置され、外枠とこの外枠で囲まれた面内に張り渡した網材とを含み、複数段の前記収容室を形成した複数段の網棚と、前記外枠の複数箇所に連結された複数本の吊りロープと、を備え、前記網材は網目の一辺の長さが4.5〜12mmであり、前記外囲には貝類の投入・排出口が設けられており、この投入・排出口の下部は、互いに隣接する網材同士が口縫い糸で観音開き式に開閉可能に塞がれており、上部は、互いに隣接する網材同士が口縫い糸で塞がれていない開口部を有し、この開口部は、一つの前記収容室あたり前記網材の前記軸方向における全長に対して20〜50%であり、前記口縫い糸は、前記投入・排出口を観音開きで開けるように、前記投入・排出口の下部から引き抜き可能に構成されており、前記投入・排出口は、開いた状態で、第2の養殖かごの周長に対して2〜15%の開口率を有している、(1)に記載の養殖方法に使用する観音開き式の養殖かご。
(3)前記第3の養殖かごとして使用される養殖かごであって、筒体である網状の外囲と、この外囲内に軸方向に沿って所定の間隔で配置され、外枠とこの外枠で囲まれた面内に張り渡した網材とを含み、複数段の前記収容室を形成した複数段の網棚と、前記外枠の複数箇所に連結された複数本の吊りロープと、を備え、前記網材は網目の一辺の長さが15〜30mmであり、前記外囲には貝類の投入・排出口が設けられており、この投入・排出口の下部は、互いに隣接する網材同士が口縫い糸で観音開き式に開閉可能に塞がれており、上部は、互いに隣接する網材同士が口縫い糸で塞がれていない開口部を有し、この開口部は、一つの前記収容室あたり前記網材の前記軸方向における全長に対して20〜50%であり、前記口縫い糸は、前記投入・排出口を観音開きで開けるように、前記投入・排出口の下部から引き抜き可能に構成されており、前記投入・排出口は、開いた状態で、第3の養殖かごの周長に対して4〜30%の開口率を有している、(1)に記載の養殖方法に使用する観音開き式の養殖かご。
ネトロンネット等のプラスチック製の内網と外網で構成された袋状の採苗器を複数連結して海に垂下して稚貝を採取する。ホタテ貝の場合、1年目の4月頃から5月頃生まれる天然のホタテ貝幼生を採苗器に付着させる。
採苗器に付着した稚貝は、カニ、ヒトデの食害を避けるため1年目の7月初旬頃〜7月下旬頃までの期間に採苗器から採取される。採取した稚貝(サイズ:3.0〜3.5mm程度)は、選別後、第1の養殖かごに仮収容し、海中に垂下させて育成する。第1の養殖かごに仮収容するにあたっては、稚貝の収容密度が高くならないように注意する必要があり、通常1,960cm2(直径50cmの丸篭1段の面積)あたりに稚貝が600〜800個、好ましくは500〜700個の割合で分散するようにする。丸籠には、直径が50cmのものの他に、直径が38cm、45cm等の丸籠も使用されるが、そのような丸籠を使用する場合には、50cmの丸籠に比例した収容密度となるように貝を収容すればよい(後述する他の養殖かごの収容密度についても同様である)。
仮分散した稚貝の成長に合わせて、1年目の8月中旬頃〜10月下旬頃までの期間に稚貝を第1の養殖かごよりも目合いの大きい網からなる第2の養殖かごに移し変える。すなわち、記第1の養殖かごから稚貝を取り出し、選別後、第1の養殖かごよりも目合いの大きい網からなる第2の養殖かごに収容し、海中に垂下させて育成する。第2の養殖かごに収容される稚貝の収容密度は、通常1,960cm2あたりに稚貝が150〜190個、好ましくは150〜170個の割合で分散するようにする。
2年目の4月中旬頃〜5月末頃の期間に、約45〜50mmのサイズに成長した稚貝を第2の養殖かごから取り出し、第2の養殖かごより目合いの大きな網からなる第3の養殖かごに移し変え、再び海中に垂下させて育成する。第3の養殖かごに収容される稚貝の収容密度は、通常1,960cm2あたりに稚貝が15〜25個、好ましくは15〜20個の割合で分散するようにする。
第3の養殖かごは、後述する垂下式養殖かご(連段養殖かご)が使用される。第3の養殖かごは、収容する稚貝のサイズを考慮して、網目の一辺の長さが15〜30mm(5分〜1寸)程度であるのがよい。
2年目の10月頃〜12月頃の期間に、約80〜120mmのサイズに成長した半生貝を第3の養殖かごから取り出し、各地の養殖業者に出荷する。また、これとは別に、さらに第3の養殖かごで養殖を続行し、120mm以上のサイズに成長した成貝をおよそ3年目あたりから市場に出荷する。
本実施形態で使用される第2の養殖かごおよび第3の養殖かご(以下、これらを総称して単に「養殖かご」ということがある)の一例を図1に示す。
図1に示すように、養殖かご1は、筒体である網状の外囲2と、この外囲2内に軸方向に沿って所定の間隔で配置された複数段の網棚3と、養殖かご1を吊るための複数本の吊りロープ4とを備える。複数段の網棚3によって仕切られた空間は貝類の収容室5となり、軸方向に沿って複数段の前記収容室5が形成されている。
網材32は、外周縁が糸等で外枠31に繋がれている。網材32の張り強さは、上から指で軽く押したとき、1〜3cm沈む程度であるのがよい。また、網材32は、補強枠6で仕切られた各領域(図1では4つの領域)の張り強さが均一であるのが好ましい。これにより、収容される貝類に偏りが生じるのを抑制でき、適切な収容密度を維持できる。
なお、時化(しけ)等による貝の落脱を防ぎ、貝の収容密度の維持のため、開口部91を設けることなく、網材21,21の全長を口縫い糸8で塞いでいてもよい。
投入・排出口7´が開いた状態で所定の開口率Wを有するようにするために、扉として機能する隣接する網材21´,21´の開閉支点となる部位で、網状外囲2は連結糸9によって網棚3の外枠31に連結されている。
その他の構成は、図2に示す実施形態と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
なお、第2および第3の養殖かごのいずれにおいても、外囲2の網材および網棚2の網材32は目合いが同一であってもよく、異なっていてもよい。
使用する糸の材質としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、などが使用可能である。
なお、仮分散にする第1の養殖かごは、目合いや開口率を除けば、第2および第3の養殖かごと同様の構成であってもよく、また蛙又網とラッセル編み地のいずれであってもよい。
2 外囲
3 網棚
31 外枠
32 網材
4 吊りロープ
5 収容室
6 補強枠
7,7´ 投入・排出口
8,8´ 口縫い糸
9 連結糸
21、21´ 隣接する網材
91 開口部
92 綴じ部
Claims (3)
- 採苗器から採取した稚貝を選別し、第1の養殖かごに収容し、海中に垂下させて育成する工程と、
前記第1の養殖かごから前記稚貝を取り出し、選別後、網目の一辺の長さが4.5〜12mmである網材からなる第2の養殖かごに収容し、海中に垂下させて育成する工程と、
成長した前記稚貝を前記第2の養殖かごから取り出し、網目の一辺の長さが15〜30mmである網材からなる第3の養殖かごに収容し、海中に垂下させて育成する工程と、を含み、
少なくとも前記第2の養殖かごおよび第3の養殖かごは、垂直方向に複数段の収容室を有し、各収容室の側面に貝類の投入・排出口が設けられており、
前記投入・排出口の下部は、互いに隣接する網材同士が口縫い糸で観音開き式に開閉可能に塞がれており、上部は、互いに隣接する網材同士が口縫い糸で塞がれていない開口部を有し、この開口部は、一つの前記収容室あたり前記網材の前記垂直方向における全長に対して20〜50%であり、
前記口縫い糸は、貝類の排出時に、前記投入・排出口の下部から引き抜いて、前記投入・排出口を観音開きで開くと共に、
前記第2の養殖かごの投入・排出口は、開いた状態で、第2の養殖かごの周長に対して2〜15%の開口率を有しており、前記第3の養殖かごの投入・排出口は、開いた状態で、第3の養殖かごの周長に対して4〜30%の開口率を有しており、(前記第3の養殖かごの開口率)−(前記第2の養殖かごの開口率)=2〜15%であることを特徴とする貝類の養殖方法。 - 前記第2の養殖かごとして使用される養殖かごであって、
筒体である網状の外囲と、
この外囲内に軸方向に沿って所定の間隔で配置され、外枠とこの外枠で囲まれた面内に張り渡した網材とを含み、複数段の前記収容室を形成した複数段の網棚と、
前記外枠の複数箇所に連結された複数本の吊りロープと、を備え、
前記網材は網目の一辺の長さが4.5〜12mmであり、
前記外囲には貝類の投入・排出口が設けられており、この投入・排出口の下部は、互いに隣接する網材同士が口縫い糸で観音開き式に開閉可能に塞がれており、上部は、互いに隣接する網材同士が口縫い糸で塞がれていない開口部を有し、この開口部は、一つの前記収容室あたり前記網材の前記軸方向における全長に対して20〜50%であり、
前記口縫い糸は、前記投入・排出口を観音開きで開けるように、前記投入・排出口の下部から引き抜き可能に構成されており、
前記投入・排出口は、開いた状態で、第2の養殖かごの周長に対して2〜15%の開口率を有している、請求項1に記載の養殖方法に使用する観音開き式の養殖かご。 - 前記第3の養殖かごとして使用される養殖かごであって、
筒体である網状の外囲と、
この外囲内に軸方向に沿って所定の間隔で配置され、外枠とこの外枠で囲まれた面内に張り渡した網材とを含み、複数段の前記収容室を形成した複数段の網棚と、
前記外枠の複数箇所に連結された複数本の吊りロープと、を備え、
前記網材は網目の一辺の長さが15〜30mmであり、
前記外囲には貝類の投入・排出口が設けられており、この投入・排出口の下部は、互いに隣接する網材同士が口縫い糸で観音開き式に開閉可能に塞がれており、上部は、互いに隣接する網材同士が口縫い糸で塞がれていない開口部を有し、この開口部は、一つの前記収容室あたり前記網材の前記軸方向における全長に対して20〜50%であり、
前記口縫い糸は、前記投入・排出口を観音開きで開けるように、前記投入・排出口の下部から引き抜き可能に構成されており、
前記投入・排出口は、開いた状態で、第3の養殖かごの周長に対して4〜30%の開口率を有している、請求項1に記載の養殖方法に使用する観音開き式の養殖かご。
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