JPH0466792B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、エレベータに係り、特に、エレベー
タにおいて補償滑車の動きを制御するのに用いる
拘束装置に係る。

従来の技術 多くのエレベータでは、補償滑車として知られ
ている滑車のまわりを２回通つてエレベータカー
の底部から平衡おもりの底部へと延びる補償ロー
プを設けることが一般的である。公知のシステム
では、補償滑車は、通常、保安装置で構成される
制御装置に接続されている。補償滑車が高い速度
で急激に持ち上げられた場合には（例えば、緩衝
装置又は保安装置に対する試験作動により）、滑
車がロツク即ち位置保持され、この時平衡おもり
にかゝる急激な減速力により平衡おもりの移動を
安定化する。典型的な緩衝器拘束装置は、ラツク
ーツメ型の単一保安装置で構成される。これら
は、大きな加速力を受ける時以外は、滑車を自由
に移動できるようにする。この形式の拘束装置
は、部品及び補償ロープの環境変動を受ける。こ
れらは、主として、通像の運転状態ではなくて極
端な加速状態のもとで補償滑車の移動を制御する
ように用いられる。これらは、しばし騒音を発
し、乗り心地を悪くするような大きな振動を発す
る。

発明の目的 本発明の目的は、試験中及び非常停止中に高い
加速状態のもとで滑車を拘束するだけでなく、通
常の運転中にも振動及び騒音を回避するようにそ
の動きを制御するような非機械的な補償滑車拘束
装置（タイ・ダウン）を提供することである。

本発明の更に別の目的は、作動環境によつて生
じるロープ寸法の変化を回避するような拘束装置
を提供することである。

発明の構成 本発明によれば、補償滑車は、その作動特性に
よつて決定された流量で流体を受け入れる液圧装
置によつて位置保持される。これは、弁の構成体
によつて達成される。補償滑車が非常に急激に上
方へ引つ張られた時−非常停止又は試験運転の場
合−には、液圧装置から貯溜器への流れが阻止さ
れ、補償滑車を位置保持すると共に、平衡おもり
に拘束力を与える。滑車の動きがプリセツト限界
値より下つた時は、流体が或る流量で貯溜器へ流
れるようにされ、補償滑車をゆつくりと上昇させ
ることができ、これにより、制御された拘束力が
与えられ、制動作用が形成される。貯溜器への流
れは、液圧制動装置に非常に高い圧力状態が生じ
た時も許され、このような状態は、例えば、ロー
プがもつれるような多くの場合に生じる。これに
より、補償滑車は、過剰なロープ張力を生じるこ
となく上方に動くことがでし、滑車のまわりでそ
れ以上のロープ移動を妨げるような直接的な問題
（ロープのもつれ）に拘りなくカーを連続的に移
動させることができる。滑車は、下方行程中に貯
溜器への流れを制御することにより、制御された
速度で下降することができる。

発明の効果 本発明の効果は多数あるが、その中でも特に本
発明は、非常停止及び試験運転中に平衡おもりを
位置保持することに関連した従来の問題を解消す
るように補償ロープの動きを制御する制御器を提
供し、拘束装置は、本発明によれば補償ロープの
寸法変化を自動的に補償できるようにされ、且
つ、補償装置は常に補償ロープに充分な張力を残
すようにする。

実施例 図示されたエレベータシステムは、エレベータ
カー１０及び平衡おもり１１を有している。これ
らは、ロープ１２を有する「牽引」エレベータシ
ステムの１部であり、ロープ１２はカーの上面か
ら駆動滑車１３を経て平衡おもりの上面へと延び
ている。駆動滑車はモータ１４に接続され、その
作動はモータ制御器１５によつて制御される。以
上は牽引エレベータの典型的な部品である。然し
乍ら、補償ロープ１６がエレベータカーの底面か
ら補償ロープ滑車１７のまわりを通つて平衡おも
りの底面へと延びている。補償ロープは、２つの
機能を果たす。即ち、駆動滑車から平衡おもりの
上面へと至るホイストロープの長さの変化によつ
て必要とさるモータトルクの変化を補償し、そし
て例えば非常停止の際に保安装置が作動した時や
緩衝装置の試験中のようにカーが急激に停止され
る場合に、カー及び平衡おもりに対して支持を果
す。補償ロープは、平衡おもりが上方に動く場合
にこれを位置保持しようとするものである。補償
滑車は補償ロープに下向きの力を与えねばなら
ず、公知のシステムでは、これが拘束装置によつ
て行なわれている。拘束装置は、前記したよう
に、典型的に、補償滑車が上方に推進される時に
互いに係合するラチエツト及びツメを用いて補償
滑車を位置保持し平衡おもりに対して下方に引つ
張るような機械的な構成体である（公知の場合）。
公知の拘束装置では、滑車が上昇するにつれてト
リツプ加速度を受けるまで上方移動が許容され
る。然し、添付図面に示されたエレベータシステ
ムでは、公知技術との相違が明確に明らかであろ
う。ここに示す拘束構成体は、滑車に接続された
液圧システム２０で構成される。このシステム
は、ピストン２１を含み、これは、流体２３を含
む液圧シリンダ２２に収容されている。ピストン
と補償滑車との間の機械的な接続は、（好ましく
は）剪断ピン２５を含むリンケージ２４で行なわ
れる。何等かの理由で完全なもしくは甚だしいジ
ヤミングが生じ、滑車の移動が拘束装置に得られ
る行程を超えた場合には、液圧拘束装置と補償滑
車との間の機械的な接続が切断され、補償滑車は
剪断ピンが破壊するまで上方に移動せしめられ
る。これは、ロープがからまつたりジヤミングし
たりする場合に生じる。

液圧ピストンは、シリンダ内で単に上下に移動
して補償滑車に力を与え、補償ロープに張力を保
持する。拘束装置は、弁構成体２６を備え、これ
は、リリーフ弁２７、逆止弁２８、流れヒユーズ
２９及びライン絞り弁３０で構成される。これら
は、ピストンを含むシリンダと流体貯溜器３１と
の間の流体の流れを制御する。貯溜器３１は、シ
ステムに正の液圧水頭を与えるように構成されて
いる。本発明によれば、この本発明の液圧構成体
によつて達成されることであるが、補償滑車は、
色々な状態のもとで色々な垂直方向速度で移動す
ることができ、これらの速度は、基本的にピスト
ンに与えられる圧力に基づくものであり、この圧
力は、当然、補償ロープが補償滑車に与える力に
関係し、そしてこの力は、カー及び平衡おもりの
移動に関係している。

平衡おもりの上方移動中にカーが急激に停止さ
れるものと仮定する。このような状態のもとで
は、補償滑車を介して補償ロープに下向きの力を
与えて平衡おもりの上昇停止を助けることが所望
される。さもなくば、平衡おもりが上昇を続けて
おそらく駆動滑車の牽引力が失われ、このような
状態になると、停止動作に悪影響を及ぼすことに
なる。平衡おもりが上方に移動するにつれて、ピ
ストン上向きの力がかゝり、これにより、シリン
ダの上部に流体圧力が発生し、流体ヒユーズを経
て流体が流れる。この流れが流体ヒユーズの設定
値を越えると、流体ヒユーズが閉じ、シリンダに
急速に圧力が確立される。これにより、平衡おも
りな張力が維持され、平衡おもりが減速される。
然し乍ら、圧力が或るレベル（P1）を越えた場
合には、リリーフ弁が作動して、流体を貯溜器へ
流せるようにする。従つて、制御された荷重を補
償ロープに維持しつつ補償滑車を上方に移動させ
ることができる。これは、当然、非常停止中には
生じてはならない。然し、ロープと滑車との或る
種のからまり又はジヤミングの場合にはこのよう
な状態が生じる。例えば、補償ロープのよりが緩
んだり結び目ができたりした場合には、このよう
になる。これは、カーが動いている間にも、非常
に強い上方引つ張り力を補償滑車に与える。この
ようになると、滑車は、カーの急激な減速を防ぐ
ように若干上方に移動しなければならない。リリ
ーフ弁はこれを可能にする。

然し乍ら、通常の状態中は、当然ながら、補償
ロープの長さが変化し（カーの位置及び荷重の関
数）且つシステムが振動するために、補償ロープ
によつて若干の振動が生じる。従つて、カーがエ
レベータシヤフト内を上下に移動する時には、補
償滑車がゼロ点（休止位置）のまわりで若干上下
に移動しようのする。揺れを最小にすると共に、
非常停止の場合に充分なロープ張力を維持するた
めには常に補償ロープに適度な張力を維持しなけ
ればならず、これには平衡おもりを位置保持する
ことが必要である。こな動作は、流れヒユーズに
よつて達成される。流れヒユーズは、ゆつくりと
した速度で適度な量の流体を貯溜器へ流すことが
できる。然し乍ら、この流れが急激に非常に多く
なつな場合には（非常停止状態のように）、流れ
ヒユーズがこの流れを阻止して補償滑車を位置保
持し、平衡おもりを拘束する。

逆止弁は、非常停止状態の後のようにピストン
が下方に動く時又は通常の運転中にピストンが若
干上下に動く時に、貯溜器かの流体を戻せるよう
にする。従つて、逆止弁は、リリーフ弁及び流れ
ヒユーズと共に、補償滑車の動きに対して特殊な
形式の動作を与える。流れヒユーズは、滑車を若
干上下に動かせるようにするが、非常時には充分
な拘束力を平衡おもりに与えるように急速にその
動きを阻止する。一方、リリーフ弁は、非常に高
い圧力になつた時に流体を流せるようにする。こ
のような高い圧力は、システムに或る種のロープ
のからみが生じた場合に発生し、この状態のもの
とでは、前記したように、補償滑車を上方に動か
してカーの移動を続けられることが所望される。
流れヒユーズの閉止レベルは、リリーフ弁のリリ
ーフ作動レベルより低くなければならない。とい
うのは、流れヒユーズは、非常停止時にのみ貯溜
器への流れを阻止すべきだからである。リリーフ
弁は、その後に発生するロープ張力を制限するよ
うに働く。

拘束装置は、補償滑車が上方に動く時に制動力
を与えるだけでなく、色々な環境条件のもとで、
ピストンが上下に動く時にも制動力を与え、これ
は、ライン絞り弁によつて達成される。この弁
は、シリンダ下部（ピストンより下の部分）から
貯溜器への流れを制御することができる。このよ
うな作動は、補償滑車が下方に動く時に生じ、補
償滑車の下方移動は、カーが移動する時又はロー
プが揺れる時のロープの長さの変化又は振動によ
つて若干の振れ（垂直方向の上下移動）があつた
場合に生じる。従つて、ライン絞り弁及び流れヒ
ユーズは、補償滑車のまわりのロープの動きを非
常に滑らかにするような制御作用を与える。又、
ライン絞り弁は、補償滑車の動きを制御する目的
でシリンダ底部から貯溜器へ流れる流体を制御す
ることにより、補償滑車が上方に動く時に貯溜器
からシリンダの底部へ無制限に流れを戻すことが
できる。この目的は、シリンダに常に流体を満た
しておくようにすることである。従つて、ピスト
ンが急激に上方に動いた時には（例えば、カーの
非常停止中、又はロープがからんだ時に）、貯溜
器からピストンの下部へ流体が流れる。従つて、
ピストンは、下方行程に対して制動を与える用意
ができる（即ち、セツトされる）。

本発明の特徴は、液圧制御装置の構成部品（リ
リーフ弁、逆止弁、流れヒユーズ、ライン絞り弁
及び貯溜器）を、液圧シリンダのまわりのマニホ
ルドであるハウジング内に便利に取り付けられる
ことである。換言すれば、これらの機能を発揮す
る全液圧拘束装置、ピストン及びシリンダ、並び
に弁及び貯溜器を、補償滑車の下に非常に便利に
配置される一体的なユニツトもしくは単一のユニ
ツトにすることができる。実際に、特に注目すべ
きことは、如何なる種類の保守も必要としない密
封システムが形成されることである。非常状態に
関するエレベータシステムの試験（例えば、保安
動作又は緩衝試験及びターミナル低速化試験）を
行なうと、補償滑車の拘束装置が作動されるが、
公知のシステムでは、保守技術者によつて機械的
にリセツトしなければならないような機械的な係
合が生じる。更に、保守技術者は、エレベータピ
ツトに下りて保安装置をリセツトしなければなら
ない。本発明による拘束装置では、このようなこ
とが不要である。というのは、拘束装置を繰り返
し作動して所要の位置に自動的に復帰させること
ができるからである。然して、この所要の位置と
は、補償ロープに充分な張力がかゝり、且つ、非
常停止として充分な拘束力を与えると共に、ロー
プにからまりもしくは結び目がある場合には補償
滑車を上方に移動できるように「準備及び用意」
される位置である。かくて、本発明は、多くの点
で公知の公知の拘束装置に勝る顕著な改良をもた
らす。

もちろん、本発明の真の精神及び範囲から逸脱
することなく、以上の説明から種々の変更及び修
正がなされ得ることが当業者に明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

添付図面は、エレベータシステムの概略図であ
り、本発明の液圧拘束装置が補償滑車に接続さ
れ、補償滑車が補償ロープにかゝる張力を制御
し、補償ロープがエレベータカー及び平衡おもり
に取り付けられたところを示す概略図である。 １０……エレベータカー、１１……平衡おも
り、１２……ロープ、１３……駆動滑車、１４…
…モータ、１５……モータ制御器、１６……補償
ロープ、１７……補償滑車、２０……液圧システ
ム、２１……ピストン、２２……液圧シリンダ、
２３……流体、２４……リンケージ、２５……剪
断ピン、２６……弁構成体、２７……リリーフ
弁、２８……逆止弁、２９……流体ヒユーズ、３
０……ライン絞り弁、３１……流体貯溜器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ モータ駆動装置と、カーと、平衡おもりと、
   上記カー及び平衡おもりを一般的に垂直に推進す
   るように上記カー、平衡おもり及びモータ駆動装
   置を接続する駆動ロープと、カーの底部から平衡
   おもりの底部へと延びる第２のロープと、カーの
   下に配置されていて、カー及び平衡おもりが動く
   時に上記第２のロープを案内する滑車とを具備し
   たエレベータにおいて、このエレベータは、上記
   滑車の垂直移動を制御する液圧制御装置を備え、
   この制御装置は、上記滑車に接続されたピストン
   と、流体を含んでいてこの流体内で上記ピストン
   が垂直に動くようなシリンダと、流体の貯溜器
   と、上記ピストンが滑車の動きに応じて動く時に
   シリンダと貯溜器との間の流体の流れを制御する
   弁制御器とを備え、この弁制御器は、ピストンの
   上方行程中にシリンダから貯溜器へ最大流量で流
   体を流せるようにしそしてピストンの上方行程中
   にシリンダから貯溜器へ流れる流体の最大の正の
   変化率に応答して上記流れを停止する第１弁手段
   を含んでいることを特徴とするエレベータ。 ２ 上記弁制御器は、ピストンの上方行程中にシ
   リンダが或る圧力レベルに達するのに応答してシ
   リンダから貯溜器へ流体を流せるようにする第２
   の弁手段を備えている特許請求の範囲第１項に記
   載のエレベータ。 ３ 上記弁制御器は、ピストンの上方行程中に貯
   溜器からシリンダへ或る流量で流体を流せるよう
   にする第３の弁手段を備えた特許請求の範囲第２
   項に記載のエレベータ。 ４ 上記弁制御器は、ピストンの下方行程中に貯
   溜器からシリンダへ或る流量で流体を流せるよう
   にする第４の弁手段を備えた特許請求の範囲第２
   項に記載のエレベータ。