JPH0466543B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は甘味料組成物および甘味付与方法に関
する。 砂糖は良好な甘味を付与する優れた甘味料であ
るが、過剰摂取によるカロリー過多の問題があ
る。砂糖に代る甘味料としてサイクラミン酸ナト
リウムやサツカリンナトリウムなどが使われてき
たが、サイクラミン酸ナトリウムは安全性の点か
ら使用禁止になり、サツカリンナトリウムも安全
性の点に疑いがもたれている。最近、ペプチド系
の甘味料も開発されつつあるが、溶液中での安定
性がわるいなどの欠点をもつている。天然の甘味
料としてステビオサイド，グリチルリチンなども
用いられているが甘味の質に問題がある。そこ
で、低カロリーで、安全性や食品中での安定性の
点でも優れており、かつ良好な甘味質をもつ甘味
料が求められているのが現状である。 近年、オキサチアジン誘導体である６−メチル
−３，４−ジヒドロ−１，２，３−オキサチアジ
ン−４−オン−２，２−ジオキシド−カリウム
（以下、アセスルフアムＫと称する）が甘味を呈
することが知られ、本物質は、５％庶糖溶液と比
較したとき庶糖の約100倍もの甘味度を呈し、し
かも溶解性および溶液中での安定性がよいなど優
れた性質を有する。しかしながら、本品は甘味に
苦味を伴うなど甘味質の点で満足できるものでは
なく、この点を改善しなければ甘味料としての幅
広い用途は期待できない。 本発明者は、低カロリーでかつ安定性のよい甘
味剤であるアセスルフアムＫの特性に注目し、そ
の甘味質改善について鋭意検討した結果、アセス
ルフアムＫと果糖とを併用するときわめて良好な
甘味が生ずることを見出し、さらに検討した結
果、本発明を完成した。 すなわち、本発明は(1)果糖を100重量部と６−
メチル−３，４−ジヒドロ−１，２，３−オキサ
チアジン−４−オン−２，２−ジオキシド−カリ
ウムを0.05〜10重量部との割合で含有してなる甘
味料組成物および (2)果糖を100重量部と６−メチル−３，４−ジヒ
ドロ−１，２，３−オキサチアジン−４−オン−
２，２−ジオキシド−カリウムを0.05〜10重量部
との割合となるように食品類または薬品類に含有
せしめることを特徴とする甘味付与方法である。 本発明で使用するアセスルフアムＫは公知の化
合物であり、その製造法等については特開昭51−
34182号公報に記載されている。 次に、本発明で用いられる果糖は、通常、食用
に供せられるものであればよく、結晶状、粉末状
あるいはシラツプ状のいずれの形態であつてもよ
い。さらに、果糖を主要構成物として含有する甘
味料、たとえばぶどう糖果糖液糖あるいは転化糖
等も用いることができ、この場合、果糖含量が約
20重量％であることが望ましい。 本発明におけるアセスルフアムＫと果糖との割
合は前記のとおりであるが、さらに望ましくは果
糖を100重量部とアセスルフアムＫを約0.2〜５重
量部の割合である。 アセスルフアムＫの混合比率が、本発明で特定
する範囲よりも少ないと、果糖単独の場合と甘味
質やカロリーの点で相違が認められず、逆にアセ
スルフアムＫの比率が多すぎると苦味が感じられ
て好ましくない。 なお、果糖を主要構成物として含有するぶどう
糖果糖液糖あるいは転化糖等を用いる場合であつ
ても、アセスルフアムＫとの混合割合は、その中
に含まれる果糖量との割合が本発明で特定する割
合になるように使用される。 本発明の甘味料組成物は、例えば、粉末，顆
粒，シロツプ等あらゆる形状で使用でき、その製
造法は、アセスルフアムＫと果糖とが、本発明で
特定する割合となるように含有せしめる方法であ
れば特に限定されない。例えば、粉末状果糖とア
セスルフアムＫを単純に混合する方法，賦形剤，
結合剤等と共に造粒する方法，ぶどう糖果糖液糖
にアセスルフアムＫの水溶液を混合する方法など
が挙げられる。 本発明の甘味料組成物には、必要により他の甘
味料、たとえば庶糖や、アスパルターム、ステビ
オサイドなどの低カロリー甘味料を含有せしめて
もよい。 本甘味料組成物は、人および他の動物によつて
摂取あるいは投与される食品類または薬品類の甘
味付与に広く使用することができる。該食品類の
例としては、果汁飲料，炭酸飲料，乳酸菌飲料な
どの飲料類，粉末ジユース，インスタントコーヒ
ー，粉末しるこなどを含むインスタント飲料類，
氷菓類，果実，野菜などのビン・缶詰類，ジヤ
ム，マーマレード類，パン類，洋菓子類，生菓子
類，チヨコレート，キヤンデー，チユーインガ
ム，ゼリー，プリン，煮豆佃煮類，漬物類，複合
甘味剤，風味調味料など、甘味を有するすべての
食品が対象となる。 薬品類としては、散剤，錠剤，水剤，シラツプ
剤などのほか、歯みがき，含嗽剤があげられ、甘
味を好む動物用の薬品類にも適用されうる。 本甘味料組成物の使用量は、甘味付与対象の食
品類あるいは薬品類にとつて味覚的に必要な程度
まで任意に使用することができる。具体的な使用
量は食品類あるいは薬品類によつて異なるが、通
常、本甘味料組成物が対象品中において約0.2〜
10重量％となるような範囲から選択される。 甘味付与対象品への本甘味料組成物の使用方法
は通常の甘味料と同様に用いればよい。たとえ
ば、食品類、薬品類の製造時においてあるいはこ
れらの摂取または投与時において、混和、混〓、
溶解、浸漬、滲透、散布、噴霧、注入などの適宜
の方法を採用して対象品類に含有せしめることが
できる。 本発明の甘味付与方法はアセスルフアムＫと果
糖とを特定の割合で併用することに特徴があり、
食品類または薬品類への使用に際しては、前記の
ような組成物としてばかりではなく、アセスルフ
アムＫおよび果糖を各々単独に対象品に添加して
も同様に良好な甘味付与効果が発揮される。 本発明によると、アセスルフアムＫを単独で使
用したときに感じられる苦味を消失または著しく
低減することができ、さらに甘味を感ずる早さが
早くなるなど、良好な甘味質に改善することがで
きる。しかも、アセスルフアムＫ単品に比し、そ
の甘味強度も強められ、少量の使用量でも良好な
甘味付与効果が得られる。 一方、果糖の有する甘味質は、さわやかではあ
るが、やや水つぼさがあつてコク味を欠き、また
温度によつて甘味度が異なるなどの欠点があり、
カロリーの点でも庶糖とほとんど変るところがな
い。本発明により、アセスルフアムＫと併用する
結果、上記のような果糖の甘味料としての欠点を
改善することができ、しかも甘味度も強くなるの
で果糖単独使用の場合よりも使用量も少なくてす
みカロリーを減らすことができる。 以上のように、本発明によるとアセスルフアム
Ｋおよび果糖とそれぞれ単独で有する甘味料とし
ての欠点を改善することができ、食品類あるいは
薬品類の甘味付与方法として幅広く利用すること
ができる。 次に、実験例および実施例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明する。 実験例 １ 庶糖５％溶液を基準溶液として、アセスルフア
ムＫ単品溶液，果糖単品溶液，庶糖2.5％とアセ
スルフアムＫとを併用した溶液，果糖2.27％（庶
糖2.5％と等しい甘味の強さ）とアセスルフアム
Ｋとを併用した溶液について、それぞれ庶糖５％
溶液の甘味の強さと等価になるアセスルフアムＫ
の濃度を、よく訓練された味覚パネル10人による
極限法で求め、それぞれの甘味の質について評価
をした。 その結果、表−１に示すようにアセスルフアム
Ｋ単品は、５％の庶糖溶液と比較したとき、
0.044％溶液で等価の甘味度を示し、庶糖溶液と
併用したときは庶糖の2.5％に対応するアセスル
フアムＫは0.012％，果糖溶液と併用したときは、
0.009％の濃度となり、果糖溶液と併用したとき、
きわだつて甘味が強くなることがわかる。 また甘味の質も果糖と併用されると、アセスル
フアムＫの甘味質は著しく改善されていた。

【表】 較し水ぽい
アセスルフ 0.044％ 苦味、後味
アムK単品 (113倍)

【表】 実験例 ２ 果糖５％溶液を対照にして、果糖とアセスルフ
アムＫとを各種の比率で組合せた溶液について、
５人のよく訓練された味覚パネルで評価し、表−
２の結果を得た。 果糖100重量部に対して10重量部以上のアセス
ルフアムＫが併用されると、アセスルフアムＫの
苦味はほとんど改善されない。一方、アセスルフ
アムＫが0.05重量部以下になると味の質の点では
果糖単品に近づくが、アセスルフアムＫによつて
もたらされる甘味質の複雑なコク味はほとんど感
ぜられなくなり、また低カロリー甘味料としての
意味もなくなつてくる。

【表】 実施例 １ 常法により紅茶の浸出液を調製し、この液150
mlに果糖100重量部とアセスルフアムK0.5重量部
よりなる甘味料組成物３ｇを加えて甘味を付与し
た。その結果、風味良好な甘味を示し、カロリー
も庶糖を用いた場合の1/2以下になつた。 実施例 ２ 果糖95重量％，アセスルフアムK5重量％を、
粒度をそろえたのち、混合して低カロリーの甘味
料組成物を得た。 本組成物は、庶糖の約10倍の甘味強度を示し、
水への溶解性がよく、アセスルフアムＫ単品で感
ぜられる苦味がなく甘味の質も改善されており、
低カロリーの甘味料で、卓上用としても調理・加
工用としても好適であつた。 実施例 ３ 乾物当り，ぶどう糖40重量％，果糖35重量％，
庶糖20重量％よりなる砂糖混合ぶどう糖果糖液糖
（果糖含量；乾物当り35重量％，水分25％）100Kg
に、アセスルフアムK0.5Kgを５の水に溶かし
た溶液を加え、混和して甘味料組成物を得た。 本品は、砂糖の約２倍の甘味強度をもつ液状甘
味料で、使いやすく甘味質もアセスルフアムＫ単
品に比較しはるかに良好であつた。 実施例 ４ うんしゆうみかんの濃縮果汁340ｇ，ぶどう糖
果糖液糖（JAS特級，果糖含量；乾物当り44重量
％，水分25％）400ｇ，クエン酸20ｇ，ビタミン
C5ｇ，オレンジエツセンス10ｇ，アセスルフア
ムK4ｇに水を加えて均一に溶解して全量を10
にしたのち、約95℃で約20秒間殺菌し、200mlの
ビンに注入して常法のごとくオレンジジユースを
調製した。本品の甘味の質は良好で、カロリーも
通常のオレンジジユースに比較して1/2以下であ
る。 実施例 ５ 剥皮，アルカリ・酸処理，水洗などの常法の前
処理を行なつた温州ミカンを235ｇあて５号缶に
詰め、次いで実施例３で得た甘味料組成物を水で
４倍希釈したシロツプ80ｇを注入し、常法どおり
巻き締め、殺菌，冷却してミカンの缶詰を得た。 得られたミカンの缶詰は、さわやかな甘味をも
ちすぐれた風味を呈した。 実施例 ６ 牛乳429ml，ゼラチン７ｇ，ぶどう糖果糖液糖
（JAS上級，果糖含量；乾物当り35重量％，水分
25％）300ｇ，アセスルフアムK0.5ｇを混合，加
温溶解し、さらにみかん果汁203ml，クエン酸3.5
ｇを加えて、常法にしたがつてシヤーベツトを調
製した。 本品は、さわやかな甘味をもち、すぐれた風味
を呈した。 実施例 ７ うづら豆200ｇを洗浄し、３倍量の水に浸漬し
たのち、弱火で３時間煮込み、砂糖混合ぶどう糖
果糖液糖（果糖含量；乾物当り33重量％，水分25
％）90ｇ，アセスルフアムK0.9ｇを加えさらに
３時間、弱火で煮込んで煮豆を調製した。 本品はコクのある甘味を呈し、美味であつた。 実施例 ８ 食塩20ｇ，グルタミン酸ナトリウム１ｇ，コハ
ク酸二ナトリウム0.5ｇ，乳酸（50％）４ｇ，ク
エン酸１ｇ，リンゴ酸１ｇ，氷酢酸15ｇ，植物タ
ンパク加水分解物14ｇ，ぶどう糖果糖液糖（果糖
含量；乾物当り35重量％，水分25％）188ｇ，ア
セスルフアムK0.62ｇに水を加え、全量700mlの
漬液を調整した。下漬，塩抜きしたラツキヨウ
700ｇをこの漬液に漬込んだ。本品はコクのある
甘味をもち、すぐれた風味を呈した。 実施例 ９ ビタミンＡ（パルミテート）300000国際単位，
ビタミンD30000国際単位，ツイーン80（界面活性
剤）1.5ｇ，オレンジ油0.1ｇ，果糖20ｇおよびア
セスルフアムK0.05ｇに蒸留水を加えて常法にし
たがい、ビタミンＡ，Ｄシロツプ剤100mlを調整
した。本品はさわやかな甘味を有し飲みやすいシ
ロツプ剤であつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 果糖を100重量部と６−メチル−３，４−ジ
   ヒドロ−１，２，３−オキサチアジン−４−オン
   −２，２−ジオキシド−カリウムを0.05〜10重量
   部との割合で含有してなる甘味料組成物。 ２ 果糖を100重量部と６−メチル−３，４−ジ
   ヒドロ−１，２，３−オキサチアジン−４−オン
   −２，２−ジオキシド−カリウムを0.05〜10重量
   部との割合となるように食品類または薬品類に含
   有せしめることを特徴とする甘味付与方法。