JPH045515Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、建設機械における旋回パーキングブ
レーキ制御装置に関するものである。

［従来の技術］ 移動式クレーン、油圧シヨベル等、下部走行体
上に上部旋回体を装架してなる建設機械において
は、旋回停止中の安全確保のために、上部旋回体
の旋回停止中はメカニカルブレーキにより制動を
確保し、旋回作業中は油圧により制動を解除する
ようにした旋回パーキングブレーキが備えられて
いる。

この旋回パーキングブレーキは、専ら旋回停止
中の安全確保を目的とするものであつて、旋回運
動を停止させることを目的とするものではない。

建設機械の上部旋回体は慣性が大きく、旋回運
動をブレーキ装置によつて制動しようとすると、
旋回停止に衝撃が伴いブレーキ装置に過大な摩擦
力が作用して摩耗が激しくなるばかりでなく、吊
り荷が揺れたり落下して危険が生じたりすること
があるため、ブレーキ装置によることなく、旋回
操作レバーの操作のみによつて旋回を停止させる
ようになつている。

すなわち、旋回操作レバーが作動位置にあり、
本体が旋回しているときに、これを減速停止させ
るには、旋回操作レバーを中立位置に戻し、旋回
モータへの油の供給を停止させることによつて行
うのが普通である。

従来公知の旋回パーキングブレーキの概要を第
２図ａに、その操作回路を第２図ｂに示す。

旋回モータ１は伝動機構２を介して上部旋回体
（図示せず）を駆動するようになつており、その
旋回軸にはブレーキ機構３が設けられ、制動バネ
を内蔵するブレーキシリンダ４によつて制動又は
制動解除されるようになつている。

５は、前記ブレーキシリンダ４と油圧ポンプ６
との間に挿入された電磁切換弁であつて、ソレノ
イド１３が励磁されたときは、ブレーキシリンダ
４のロツド側を油圧ポンプ６側に連通させ、無励
磁のときはタンク側に連通させるようになつてい
る。

すなわち、第２図ｂに示す制動解除用のスイツ
チ１１をONすると、リレー１２の接点１２ａが
閉じ、ソレノイド１３が励磁され、電磁切換弁５
が連通し、油圧ポンプ６からの油圧により、前記
制動バネが圧縮されて制動が解除される。

一方、図示のように、スイツチ１１をOFFす
ると、リレー１２の接点１２ａが開き、ソレノイ
ド１３が無励磁となり、電磁切換弁５がタンク側
に切り変わつて、ブレーキシリンダ４の圧油を解
放し、前記制動バネによるメカニカルブレーキが
作動しブレーキデイスク等のブレーキ機構３を介
して旋回軸が制動されるようになつている。

電源スイツチをOFFしてエンジンを停止させ
たときもソレノイド１３が無励磁となるため、前
記と同様に旋回パーキングブレーキが制動され
る。

［この考案が解決しようとする課題］ このように旋回パーキングブレーキは、スイツ
チ１１のON、OFFにより作動し、ONのとき制
動解除し、OFFのとき制動されるようになつて
いる。

そのため、例えば、坂道で旋回作業中に、操作
レバーを中立にして旋回停止したとき、前記スイ
ツチ１１をOFF方向に入れ忘れると、旋回パー
キングブレーキによる制動が働かず、カウンター
ウエイトまたは吊り荷によつて上部旋回体が自然
に旋回してしまい危険が生じることがある。

また、坂道や傾斜地で、スイツチ１１ONのま
まエンジンを停止した場合には、エンジン停止中
は上述したように電源スイツチのOFFにより旋
回パーキングブレーキが作動して制動されている
が、電源スイツチのONによるエンジン始動と同
時に制動が解除されて動き出す危険がある。

また、若し旋回作業中に誤つてスイツチ１１を
OFFしたときは、急ブレーキが掛かつて吊荷が
揺れたり、落下したりして周囲建造物を破壊する
危険があり、操作レバーを中立にしても、慣性に
よる旋回動作が行われている間に前記スイツチ１
１をOFFしたときは、旋回停止に衝撃が伴うば
かりでなく、ブレーキ機構３のデイスクに過大な
摩擦力が作用して摩耗が激しくなるという問題点
がある。

この問題点を解決するため、コントロールバル
ブのほかにカウンターバランスバルブを設け、両
バルブの間からの分岐油路を旋回パーキングブレ
ーキ装置に連通させ、この分岐油路に電磁弁を挿
入すると共に、旋回モータを駆動する圧力の有無
により開閉するスイツチと旋回モータの回転の有
無により開閉するスイツチとを前記電磁弁のソレ
ノイド励磁回路に並列に挿入したものが知られて
いる。（実開昭57−116562公報参照） この装置によれば、前記スイツチの一方は圧力
の有無により開閉されるため、機械が坂道や傾斜
地に停車した場合、旋回のモーメントバランスが
異なるので、谷側油路に負荷圧が生じその圧力に
よりスイツチが誤動作する危険があり、これを避
けるためには、通常のコントロールバルブのほか
に敏感なカウンターバランスバルブが必要となる
ため、回路が複雑となるばかりでなく、コスト高
とならざるを得ないという問題点がある。

本考案は、上記問題点を解決することを課題と
し、カウンターバランス弁を必要とせず、しかも
操作レバーを中立にして一旦旋回を停止させた後
は、坂道であろうが、電源スイツチのON、OFF
があろが、再び操作レバーを操作して旋回を指令
しない限り、旋回パーキングブレーキが解除され
ない安全確実な旋回パーキングブレーキ制御装置
を提供しようとするものである。

［課題を解決するための手段］ この考案は、上記課題を解決するための手段を
提供するものであつて、旋回パーキングブレーキ
を制動、解除する装置において、旋回操作レバー
位置検出器２０と、旋回速度検出器２１と、両検
出器２０，２１からの信号を監視して、旋回操作
レバーが中立位置にあり、かつ、旋回速度が零の
ときには、旋回パーキングブレーキを制動させる
信号を出力し、前記旋回操作レバーが作動位置に
あり、又は、本体が旋回しているときには、前記
ブレーキの制動を解除する信号を出力する制御器
２２とを備えていることを特徴とする旋回パーキ
ングブレーキ制御装置を考案要旨とするものであ
る。

［実施例］ 第１図に本考案の実施例を示す。ａは構成図、
ｂは制御フロー図である。なお、第２図に示した
従来例と同一または相当部分には同一符号を付し
説明を省略する。

図中、２０は旋回操作レバー位置検出器であつ
て、旋回操作レバー（図示せず）が作動位置にあ
るか、中立位置にあるかを検出し、検出信号を制
御器２２に出力する。

２１は旋回速度検出器であつて、本体（上部旋
回体）が旋回しているか否かを検出し、検出信号
を制御器２２に出力する。

制御器２２は、前記両検出器２０，２１からの
信号を監視して、旋回操作レバーが中立位置にあ
り、かつ、旋回速度が零のときは、旋回パーキン
グブレーキを制動させる信号を出力して接点１２
ａを開き、一方、前記旋回操作レバーが作動位置
にあり、又は、本体が旋回しているときは、前記
ブレーキの制動を解除する信号を出力して接点１
２ａを閉じる。

接点１２ａが開いているときはソレノイド１３
が無励磁となつて、旋回パーキングブレーキが制
動側に作動し、逆に、接点１２ａが閉じていると
きはソレノイド１３が励磁されて、旋回パーキン
グブレーキが制動解除側に作動することは、前記
従来例において説明したとおりである。

［作用］ 本考案によれば、第２図に示す従来例における
スイツチ１１の手動操作を要せずして次のとおり
作用する。

旋回停止中 旋回操作レバーが中立位置にあり、かつ、旋回
速度は零であるから、旋回パーキングブレーキに
より制動されている。

この制動は、操作レバーを入力しない限り維持
されるから、坂道、傾斜地等においても旋回パー
キングが確実に行われる。

旋回開始時 旋回操作レバーを作動位置に入力すると、直ち
に旋回パーキングブレーキの制動が解除される。

したがつて、旋回操作の開始はスムーズに行わ
れる。

旋回中 旋回操作レバーは作動位置にあり、本体も旋回
しているので、旋回パーキングブレーキの制動は
解除されたままの状態を維持する。

したがつて、手動スイツチのように誤動作の危
険がない。

旋回停止時 旋回停止は、旋回操作レバーを中立位置に戻す
ことによつて行われるが、旋回操作レバーを中立
位置に戻しても、慣性により旋回中は旋回パーキ
ングブレーキの制動は解除されたままの状態を維
持し、旋回速度が零になつたとき、初めて旋回パ
ーキングブレーキが作動して制動される。

したがつて、旋回停止時の衝撃を防止すること
ができ、ブレーキデイスク等の摩耗を防止するこ
とができる。

なお、急停止を要する場合や、坂道又は傾斜地
で下降方向に旋回中に停止させたいときは、旋回
操作レバーを逆ノツチに作動させて一旦停止させ
た後、中立位置に戻せばよく、この運転操作は周
知のとおりである。

［効果］ 本考案によれば、旋回操作レバーが中立位置に
あり、かつ、旋回速度が零のときのみ、旋回パー
キングブレーキを制動させ、前記旋回操作レバー
が作動位置にあり、又は、本体が旋回していると
きは、前記ブレーキの制動を解除することができ
るので、手動スイツチのように誤動作の危険がな
く、また、圧力スイツチを使用しないからカウン
ターバランスバルブを必要とせず、しかも、操作
レバーを中立にして一旦旋回を停止させた後は、
坂道や傾斜地であろうが、電源スイツチのON、
OFFがあろが、再び操作レバーを操作して旋回
を指令しない限り、旋回パーキングブレーキの制
動が解除されない安全確実な旋回パーキングブレ
ーキ制御装置を提供することができる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは本考案の実施例の構成図、同じくｂ
はその制御フロー図、第２図ａは従来例の構成
図、同じくｂはその操作回路図である。 １……油圧モータ、２……伝達機構、３……ブ
レーキ機構、４……ブレーキシリンダ、５……電
磁切換弁、６……油圧ポンプ、１１……制動解除
用スイツチ、１２……リレー、１２ａ……接点、
１３……ソレノイド、２０……旋回操作レバー位
置検出器、２１……旋回速度検出器、２２……制
御器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 旋回パーキングブレーキを制動、解除する装置
   において、旋回操作レバー位置検出器２０と、旋
   回速度検出器２１と、両検出器２０，２１からの
   信号を監視して、旋回操作レバーが中立位置にあ
   り、かつ、旋回速度が零のときには、旋回パーキ
   ングブレーキを制動させる信号を出力し、前記旋
   回操作レバーが作動位置にあり、又は、本体が旋
   回しているときには、前記パーキングブレーキの
   制動を解除する信号を出力する制御器２２とを備
   えていることを特徴とする旋回パーキングブレー
   キ制御装置。