JPH0452575B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は小型電子式計算機などのキー入力用と
して用いられるキースイツチ構造に関する。

〔従来技術〕

小型電子式計算機の入力用に用いられる従来の
キースイツチを第１図に示す。このキースイツチ
においては、キー釦１が上ケース２の釦穴２ａに
内部より挿通された上、鍔部１ａにより抜止めが
なされている。このキー釦１は下方に配置された
弾性シート３より上方に突出し形成された膨出部
３ａによつて常時は鍔部１ａが上ケース２の釦穴
２ａの周縁部に接するよう弾性的に保持される。
弾性シート３の下方には、可撓性のフイルムシー
トよりなる基板４と配線基板５とが、キー釦１に
対応する位置に開口部６ａが穿設されたスペーサ
６を介在して、各々に形成された固定接点５ａと
可動接点４ａを対向させて配置されている。上記
弾性シート３、基板４、スペーサ６および配線基
板５は下ケース７によつて上ケース２の保持部２
ｂに移動不能に固持される。そして、キー釦１が
下方に押圧されたとき、膨出部３ａが圧縮され頭
部内側に設けられた押圧部３ｂにより、基板４が
下方に押し下げられてスペーサ６の開口部６ａ内
において可動接点４ａが配線基板５の固定接点５
ａに接触し、入力信号を発生するのである。ま
た、押圧力を開放すれば、弾性シート３の膨出部
３ａが自己復帰してキー釦１を押し上げると共
に、可撓性の基板４が平坦に復元して可動接点４
ａが固定接点５ａより離間してキー入力操作が完
了する。

〔従来技術の問題点〕

従来のキースイツチは上述の通り部品点数が多
く、このため、生産能率も低いものであつた。シ
ート状の部品点数がこのように多い場合、真空装
置等を用いる自動組立では設備が大規模化するこ
とになり、これらはすべてコスト高の要因とな
る。また、機器の薄型化の面でも制約を受け超薄
型化が困難であつた。

〔発明の目的〕

本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、部
品点数を消減し、生産能率を向上し得るキースイ
ツチの構造を提供するものである。また、自動組
立が容易に採択できるようにしてコストの低減を
図り、合せてより薄型化を可能とすることを目的
とする。

〔発明の要旨〕

本発明のキースイツチ構造は、押圧操作部を有
する弾性シートと、押圧操作部に対応する他面側
に可動接点を形成した可撓性の配線基板と、可動
接点に対向する位置に凹部が形成され、かつその
凹部内に固定接点が設けられたケースとを順次層
状に積層し、ケースによりスペーサおよび固定接
点を兼用したものである。

〔第１実施例〕 以下、本発明のキースイツチ構造を小型電子式
計算機に適用した実施例により図面と共に説明す
る。

第２図は本発明のキースイツチ構造を有する小
型電子式計算機の斜視図であり、図中１０は上ケ
ース１１と下ケース１２を組合せたケースであ
る。このケース１０の内部には液晶装置等の表示
装置１３が収納されており、表示内容が上ケース
１１の開口１１ａより見ることができる。１４は
入力操作用のキー釦であり、ケース１０の内部よ
り上ケース１１の上方に突出されている。また、
この図においては示されていないが、Ｂ−Ｂの位
置に対応するケース１０内部には後述する電源用
電池も装着されている。

第３図は第２図のＡ−Ａ断面図である。ケース
１０の内部には、上述の部材の他のLSI１５など
も収納される。このLSI１５は、一般に知られて
いる通りキーマトリクス（図示せず）にタイミン
グパルスを出力して、各キーの入力操作に応じて
演算を実行し、入力情報や演算結果を表示装置１
３に表示させるもので、記憶・演算回路や制御回
路等が高密度に集積されたものである。このた
め、LSI（ICチツプ）１５の入出力用のリード端
子１５ａは配線パターンを配設した配線基板１６
の各接続端子に接続してある。配線基板１６はポ
リエステル、ポリイミド、ビスマレイミドートリ
アジン（ガラスエポキシ）樹脂、ポリサルホンフ
イルム等により形成される可撓性を有するもので
第４図ａおよびｂにその一面および他面に配設さ
れた配線パターンを示す。配線基板１６の一面１
６ａには、LSI１５との接続端子１７ａ、表示装
置１３の電極端子（図示せず）との接続端子１７
ｂおよび各接続パターン１７ｃなどの配線パター
ン１７が配設してある。１８はダイオード、コン
デンサ、抵抗等のチツプ部品であり、LSI１５と
同様に電極部を各接続端子に接続されて配線基板
１６の一面１６ａに取付けられる。配線基板１６
の他面１６ｂには分割型の可動接点１９…がマト
リクス状に形成してあり、また、図示しないがこ
れらの分割型の可動接点１９…は接続パターン１
７ｄにより所要の回路を設定されている。さらに
１７ｅは電源用電池に接続される接続パターンで
ある。そして、配線パターン１７は配線基板１６
の一面１６ａと他面１６ｂとをスルーホール２１
…により接続する。所謂、配線基板１６は両面プ
リント基板であり、通常の方法によつて形成され
るものであるが、ここでは、レザービームを用い
る、より能率的な方法を一例として示す。

この説明には第５図ａ〜ｄを用いる。可撓性の
配線基板１６の一面１６ａ全面に接着剤２２を用
いてアルミニユウム箔２３を接着し、このアルミ
ニユウム箔２３の上からカーボンインク２４をス
クリーン印刷して配線パターンを形成する。この
状態を同図ａに示す。次に、エツチング処理をし
てカーボンインク２４から露出するアルミニユウ
ム箔を取り除くと同図ｂの状態となる。同図ｃは
配線基板１６の他面１６ｂ側よりレザービームを
照射して配線基板１６にスルーホール２１を設け
た状態を示す。レザービームはフイルム状の配線
基板１６と接着剤２２を瞬時にして蒸発させる
が、アルミニウム箔２３に対しては反射されるの
で、瞬時の照射ならば殆んどこれを蒸発させたり
溶融させたりすることはない。このため、スルー
ホール２１はアルミニウム箔２３を他面１６ｂ側
に露呈する。この後、配線基板１６の他面１６ｂ
側をカーボンインクを用いてスクリーン印刷し配
線パターン２５を形成し、かつ、スルーホール２
１の充填し同図ｄの如く両面プリント基板を得る
のである。

そして、この配線基板１６は第３図に示すよう
にLSI１５が取付られた一面１６ａを上側に、可
動接点１９が設けられた他面１６ｂを下側にして
ケース１０内に収納され、この一面１６ａ側にシ
リコンゴム等の絶縁性材料よりなる弾性シート２
６が、また他面１６ｂ側に下ケース１２が直接配
置されて三者が層状に積層される。

第６図は上記弾性シート２６、配線基板１６お
よび下ケース１６の層状構造の拡大断面図であ
る。配線基板１６の一面１６ａに載置する弾性シ
ート２６は、配線基板１６の他面１６ｂに設けた
可動接点１９に対応する位置で上方に膨出する膨
出部２６ａおよびこの膨出部２６ａより上ケース
１１の釦穴１１ａを貫通して外部に突出するキー
釦１４を一体に成形したものである。この膨出部
２６ａおよびキー釦１４は、第７図の斜視図で示
す通り、それぞれ断面円錐台状および長方形状に
形成してあり、膨出部２６ａの頭部２６ｂを境と
なしている。キー釦１４の頂面１４ａにはキー名
称の表示が付してあり、この表示は成形時に凹状
または凸状にして設ける他、印刷によるもので
も、あるいは表示シートを頂面１４ａに固着する
等いずれの方法によるものであつても構わない。
膨出部２６ａの頭部２６ｂは、通常上ケース１１
の釦穴１１ａの内部周縁部に弾圧されており、外
部から内部が見えないように遮へいしてある。ま
た、頭部２６ｂの内側には下方に突出する押圧部
２６ｃが形成してあり、これもまた弾性シート２
６と一体的なものである。配線基板１６の他面１
６ｂ側に配置される下ケース１２には可動接点１
９に対向する位置に凹部１２ａが形成してある。
第８図は下ケース１２の部分斜視図である。上記
凹部１２ａは分割型の可動接点１９，１９を包含
する範囲を円形に穿設してあり、その中央は凹部
１２ａの底面１２ｂより僅かに隆起して平坦状の
段部１２ｃとなしている。しかして、この段部１
２ｃは上面１２ｄより低い位置に設定されるべき
もので、いかなる場合にも、上面１２ｄよりも高
い位置には設定されない。そして、この平坦状の
段部１２ｃには固定接点２７が固着される。固定
接点２７の固着手段としては導電性インクによる
印刷の他、金属性材料の蒸着または金属箔の接着
等種々適用可能であるが、ここではより効率的な
方法としてアルミニウム箔を転写する方法を第９
図によつて説明する。転写フイルム２８は周知の
如く基材フイルム２８ａの一面にアルミニウユム
箔２８ｂをコーテイングしたもので、このアルミ
ニユウム箔側を下ケース１２の上面１２ｄ側に対
向して配置する。２９は圧着治具であり、下ケー
ス１２の凹部１２ａ…と同一ピツチの圧着部２９
ａ…が設けてある。各圧着部２９ａ…は円筒形状
をなしているもので、その径は下ケース１２の凹
部１２ａの外径より小さく、かつ平坦部１２ｃの
外径より大きくされており、さらにその長さは凹
部１２ａの深さよりも十分に大きく設けられてい
る。この圧着治具２９を転写フイルム２８の上方
に配し、圧着部２９ａ…を下ケース１２の段部１
２ｃ…に対応させた上、下方に移動させて転写フ
イルム２８を下ケース１２の段部１２ｃ…に加熱
圧着する。これにより、段部１２ｃ…にアルミニ
ユウム箔よりなる固定接点が形成されるのであ
る。この場合において、段部１２ｃは凹部１２ａ
の底部１２ｂより少し隆起しているので、圧着治
具２９を押し付けたとき、段部１２ｃのみが加熱
されアルミニウム箔は段部１２ｃの全面に亘つて
一様に転写することができ、周縁部が剥れたりす
ることはない。また、固定接点２７の位置も圧着
治具２９の設定位置に左右されることなく、下ケ
ース１２の所定の位置−段部１２ｃに形成され
る。また、下ケース１２には隣接の凹部１２ａ相
互を開通する溝１２ｅが設けてあるが、この溝１
２ｅは凹部１２ａ…間に空気を流通させるもので
あり、可撓性の配線基板１６が押し下げられた
後、上方に復帰する際他の凹部１２ａ…より空気
を流入して復帰を確実にする機能を有する。しか
して、３０は上ケース１１に一体に形成された支
持部であり、弾性シート２６と配線基板１６を下
ケース１２間に圧接保持するものである。

第１０図は、第２図のＢ−Ｂ断面図であり、電
源用電池の収納構造を示す。電源用電池３１とし
てはリチウム、酸化銀などの釦形電池を用い、下
ケース１２の収納部３２に設置される。収納部３
２の底面には電源用電池３１の一方の電極に接触
する端子板３３が設けてある。配線基板１６を折
曲して上ケース１１の内面側に沿わせて収納部内
に伸延し、接続パターン１７ｅを電源用電池３１
のもう一方の電極に接触してある。既に説明した
如く、可撓性の配線基板１６の一面１６ａには表
示装置１３に接続する接続端子１７ｂが配設して
あり、この接続端子１７ｂは例えば導電性のホツ
トメルト型接着剤を用いて表示装置１３の電極端
子に加熱圧着される。第３図において、３４は表
示目隠し板であり、３５は表示装置１３を保持す
る保持部材である。なお、上ケース１１と下ケー
ス１２とはフツク部３６を突部３７に係止させて
組合わされ、また必要に応じて相互をネジで螺合
して組付強度を十分なものとする。

次に、上述した小型電子式計算機の組立て方法
について述べる。

サブアセンプリーとして配線基板１６にはLSI
１５およびチツプ部品１８が取付けてあり、また
一面１６ａには表示装置１３を接続する。また、
下ケース１２は固定接点２７…を固着し、かつ、
端子板３３を取付けておく。こうしておいてか
ら、上ケース１１を上面側を下向きに置き、上方
から弾性シート２６を載せ、各キー釦１４…をそ
れぞれ所定の釦穴１１ａ…に挿通させる。表示目
隠し板３４を保持部材３５内に嵌合する。必要に
応じ、表示目隠し板３４は上ケース１１の内面に
接着する。次に、上述した配線基板１６と表示装
置１３の組立体を装着する。表示装置１３は保持
部材３５に嵌合され、配線基板１６は各可動接点
１９…がそれぞれ所定のキー釦１４…に対応して
配置される。また、このとき、配線基板１６の電
源用電池接続部は収納部３２に対応して上ケース
１１の内面に沿面して配置する。この電源用電池
接続部に電源用電池３１を配する。そして、下ケ
ース１２を被せてフツク部３６と突部３７を嵌合
するのである。部品点数が少ないため、組立ては
このように簡単に完了する。しかも、このとき、
配線基板１６と下ケース１２を単に積層するだけ
で、可動接点１９と固定接点２７は離間対向して
配置される。こうして組立てた小型電子式計算機
の操作は、キー釦１４を押圧すると押圧部２６Ｃ
が配線基板１６を下方に押下げ、他面１６ｂに設
けられた可動接点１９が下ケース１２の凹部１２
ａ内に進入して固定接点２７に接触する。このた
め、LSI１５から出力されているタイミング信号
が固定接点２７を通して可動接点１９の一方から
他方のラインに送信され、LSI１５に所定のキー
信号が入力される。キー釦１４の押圧を解放すれ
ば、弾性シート２６の膨出部２６ａは自己の弾性
力によつて元の起立姿勢に復帰する。これと共
に、可撓性の配線基板１６も上方に戻り元の平板
状となるので、可動接点１９は固定接点２７から
離間する。この配線基板１６の復帰時、下ケース
１２の凹部１２ａ内の空気圧は負圧となるため配
線基板１６の復帰は不確実となるが、この実施例
の場合には、他の凹部と開通した溝１２ｅから空
気が流入されて負圧となるのを防止できるので、
この復帰は確実かつすみやかに完了される。

なお、上述の説明において、キー釦１４は弾性
シート２６と同一材料としたが、合成樹脂を用い
ても良く、弾性シート２６にに接着または一体成
形により固着しても良い。また、その形状は長方
形状に限定されず、正方形、円形等自由な形状を
選択できる。膨出部２６ａの形状についても同
様、種々な形状とし得る他、キー釦１４の形状と
同一にしてキー釦と膨出部の境（頭部２６ｂ）を
なくしても良い。また、可撓性の配線基板１６は
両面プリントのものを用いたが、配線パターンを
可動接点側だけに配設したものでも良い。

〔第２実施例〕 本発明のキースイツチ構造の他の実施例を第１
１図に示す。これは第１実施例の第６図に示す部
分に対応するものである。第２実施例においても
配線基板１６と下ケース１２は第１実施例と同一
であり、これら同一部分には同一の参照番号を付
けてその説明を省略する。大きく変更されている
部分は弾性シート５０と上ケース５１である。弾
性シート５０には膨出部分が形成されておらず、
また、上ケース５１には支持部が設けられていな
い。このため、全体としてはより薄型化される。
実際、この第２実施例において厚さを形造るもの
は、上ケース５１と下ケース１２を除いてはこの
間に収容される弾性シート５０と配線基板１６の
厚さだけである。しかも、これ丈で第１実施例と
同一の機能を果たすことができる。弾性シート５
０は膨出部も押圧部も有していないが、上ケース
５１の釦穴５１ａから外部に突出する肉厚の大な
るキー釦５２を直接隆起させただけで、この双方
の機能を兼ねる。すなわち、自己復帰力は弾性シ
ート５２自体の弾性力として付与されており、押
圧部の作用はキー釦５２の巾を下ケース１２の凹
部１２ａより幅狭かつ固定接点２７より広幅とす
ることでなされる。また、上ケースの支持部の役
目は弾性シート５０に一体に形成された小さい隆
起部５０ａ，５０ａによつて果たすことができ
る。上ケース５１によりこの隆起部５０ａ，５０
ａを下ケース１２に対して押し潰すように圧接す
れば、弾性シート５０自体とこの下側の配線基板
とは移動不能に挾持される。

以上の通り、本発明のキースイツチ構造は、押
圧操作部を有する弾性シートと、押圧操作部に対
応する他面側に可動接点を形成した可撓性の配線
基板と、可動接点に対向する位置に凹部が形成さ
れ、かつその凹部に固定接点が設けられたケース
とを順次層状に積層し、ケースによりスペーサお
よび固定接点を兼用したもので、小型電子式計算
機以外の他の電子機器のキースイツチとしても適
用できるものである。

〔発明の効果〕

上述した通り、本発明のキースイツチ構造によ
れば、部品点数が削減されまた生産能率の向上を
図ることができる。特に、シート状の部品点数が
極めて少なくなるので自動組立に有利となり、大
幅なコスト低減が可能となる。その上、機器をよ
り薄型化できる等の多大な効果を有するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のキースイツチを示す断面図であ
り、第２図は本発明のキースイツチ構造を備えた
小型電子式計算機の斜視図、第３図は第２図のＡ
−Ａ断面図、第４図ａおよびｂは配線基板の表面
側および裏面側の平面図、第５図ａ〜ｄは配線基
板の製造方法を示す断面図、第６図は第３図の要
部拡大断面図、第７図は弾性シートの一部拡大斜
視図、第８図は下ケースの一部拡大斜視図、第９
図は下ケースに固定接点を設ける方法を示す断面
図、第１０図は第２図のＢ−Ｂ拡大断面図、第１
１図は他の実施例を示す断面図である。 １１……上ケース、１２……下ケース、１２ａ
……凹部、１２ｃ……段部、１４……キー釦、１
６……配線基板、１６ａ……一面、１６ｂ……他
面、１７……配線パターン、１９……可動接点、
２１……スルホール、２６……弾性シート、２６
ａ……膨出部、２７……固定接点。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 押圧操作部を有する弾性シートと、ICチツ
   プ等の電子部品が接続され且つ前記押圧操作部に
   対応する他面側の位置に可動接点が形成された可
   撓性の配線基板と、前記可動接点に対向する位置
   に凹部が形成され、この凹部の中央部に凹部底面
   より隆起する平坦状の段部が設けられると共に前
   記段部に固定接点を設けたケースとを順次層状に
   積層したことを特徴とするキースイツチ構造。