JPH0447369Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、内燃機関の吸排気バルブに使用され
るバルブステムシールに関する。

（従来の技術） 内燃機関の吸排気バルブにおいては、軸方向の
相対運動を繰返すバルブステムおよびバルブガイ
ドの摺動部に供給する潤滑剤を適量にコントロー
ルするために、バルブステムシールが使用されて
いる。

第３図に示すものは、従来から広く知られてい
るバルブステムシールの一例で、バルブステム１
の往復運動を支えるバルブガイド２の端部に、略
Ｌ字様の断面形状を呈するボデイ３が外挿され、
ゴム様弾性材料をもつて製せられ、ボデイ３の端
部から斜め上方に伸びて先細の略円錐形状を呈
し、バルブステム１の周面に弾性接触するシール
リツプ５が、バルブステム１の往復運動に伴い、
バルブステム１の周面と摺動して上方に供給され
た潤滑剤をバルブステム１およびバルブガイド２
の摺動部に送給するように構成されている。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した従来例のバルブステムシールは、通常
の吸入タイプの内燃機関のインレツトバルブにお
いては、正常な機能を発揮することができるが、
ターボチヤージヤを併設された内燃機関のインレ
ツトバルブまたはエキゾーストバルブに使用した
場合には、下記するように、潤滑剤の逆流による
バルブステムおよびバルブガイドの摺動部におけ
る潤滑不足を惹起するおそれが残されている。

すなわち、バルブステム１の周面に弾性接触し
て潤滑剤の送給量をコントロールするシールリツ
プ５が、ボデイ３端部から上方に向つて先細の円
錐形状に形成されているために、ターボチヤージ
ヤ併設の内燃機関のインレツトバルブまたは開放
状態にあるエキゾーストバルブにおいて、バルブ
ステム１およびバルブガイド２間の隙間を通つた
ガス圧力が円錐形状部分の内方に作用してシール
リツプ５を拡張させるので、バルブステム１およ
びバルブガイド２間の隙間にあつた潤滑剤がシー
ルリツプ５の背部に逆送されて潤滑剤不足をもた
らすのである。

本考案は、上記した従来例における問題点を解
消して逆方向の圧力の作用による潤滑不足現象を
防止したバルブステムシールの構造を提示するこ
とを目的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記した従来の技術によるバルブス
テムシールにおける問題点を考慮して、バルブス
テムの周面と弾性接触するゴム様弾性材料製シー
ルリツプを、バルブガイドに外挿されるボデイの
上端から斜め下方に伸ばして先細の円錐形状に形
成するとともに、ボデイとバルブガイドとの接合
部に、バルブステムおよびバルブガイド間の隙間
に連なつてボデイの外側に通じる流路を設け、更
に、ボデイの下端部から伸びて先細の円錐形状を
呈し、バルブガイドの周面に弾性接触するゴム様
弾性材料製補助リツプを設けるとともに、ボデイ
の端部から伸びた油受けを、シールリツプの上方
背部に設けた構成となすものである。

ボデイおよびバルブガイドの接合部に設けられ
てバルブステムおよびバルブガイド間の隙間をボ
デイの外側と連通させる流路は、バルブガイドの
外周側またはボデイの内周側に形成される。

（作用） 上記した構成を備えたバルブステムシールにお
いては、バルブガイドに外挿されたボデイの上端
部から斜め下方へ伸びて先細の円錐形状を呈する
ゴム様弾性材料製シールリツプが、バルブステム
およびバルブガイド間の隙間を通過したガス圧力
の作用を外周面に受け、バルブステムの周面に対
する接触圧力を増加させて潤滑剤の上方への逆流
を阻止し、ボデイおよびバルブガイドの接合部に
形成された流路が、バルブステムおよびバルブガ
イド間のガス圧力をボデイの外方に逃がしてシー
ルリツプの外側に対する逆流ガス圧力の作用を低
減させ、ボデイの下端部から伸びて先細の円錐形
状を呈するゴム様弾性材料製補助リツプが、通常
の吸入タイプの内燃機関のインレツトバルブに使
用されたバルブステムシールにおいて、ボデイお
よびバルブガイドの接合部の流路の開口を閉鎖
し、該流路を通つて吸入される空気の流れに引き
込まれることによる潤滑剤の過度の消費を抑制
し、ボデイの上方に形成された油受けが潤滑剤を
保持して適量の給油をもたらす。

（実施例） 第１図の実施例においては、略Ｌ字様の断面形
状を呈してバルブガイド２に外挿されたボデイ３
の上方端部に接合されたゴム様弾性材料製シール
リツプ５が、斜め下方に向けて先細の円錐形状に
形成されてバルブステム１の周面に弾性接触し、
ボデイ３を外挿されたバルブガイド２の上方端面
および外周面に、詳細を第２図ａに示すように、
バルブステム１およびバルブガイド２間の隙間を
ボデイ３の下方端部の外側へ連通させる流路４が
設けられ、ボデイ３の上方端部に、シールリツプ
５と反対側に伸びた油受け６が付され、ボデイ３
の下方端部に、先細に伸びて略円錐形状を呈し、
バルブガイド２の外周面に弾性接触するゴム様弾
性材料製補助リツプ７が付されている。

上記した実施例においては、バルブステム１お
よびバルブガイド２間の隙間を通つてシールリツ
プ５側へ流れた圧力ガスが、シールリツプ５の外
周面に作用してシールリツプ５およびバルブステ
ム１間のシール機能を強化させ、流路４が、上記
した逆流する圧力ガスをボデイ３の外方に導いて
シールリツプ５の外側に作用するガス圧力を低減
させ、ボデイ３の下端部から伸びた補助リツプ７
が、通常の吸入タイプの内燃機関のインレツトバ
ルブに使用されたバルブステムシールにおいて、
流路４を閉鎖して該流路４を通つて引き込まれる
空気流による過度の潤滑剤の流入を抑制し、ボデ
イ３の上方端部に付された油受け６が、潤滑剤を
保持して連続する適量の潤滑剤の供給を保証す
る。

ボデイ３およびバルブガイド２の接合部に形成
される流路４は、第１図および第２図ａに示した
態様の他に、第２図ｂに示すように、ボデイ３側
に凹溝を設けるか、第２図ｃに示すように、ボデ
イ３の内周面にゴム様弾性材料製被覆を施して該
被覆に凹溝を形成した態様となすことができる。

（考案の効果） 本考案のバルブステムシールが、上記したよう
に、バルブガイドの端部に外挿されるボデイの上
方端部に付されたゴム様弾性材料製シールリツプ
が、斜め下方に伸びて先細の円錐形状に形成さ
れ、ボデイおよびバルブガイドの接合部に、バル
ブステムおよびバルブガイド間の隙間をボデイの
外方に連通させる流路を形成され、ボデイの下方
端部に、先細の円錐形状を呈してバルブガイドの
外周面に弾性接触する補助リツプを付され、ボデ
イの上方端部から上方に伸びた油受けを付された
構成を備えていることにより、ターボチヤージヤ
を併設された内燃機関に使用された場合に、シー
ルリツプが、バルブステムおよびバルブガイド間
の隙間を通る圧力ガスの作用を円錐面の外側に付
加されてバルステムの周面に対する接触圧力を増
加させるとともに、流路が、上記した圧力ガスを
バルブステムおよびバルブガイド間の隙間からボ
デイの外方へ導いてシールリツプに対する押圧作
用を低減させるので、従来の技術によるバルブス
テムシールにおいて見られた圧力ガスの作用によ
る潤滑剤の逆流が抑制され、ボデイの上方端部に
付された油受けが、連続する潤滑剤の供給を保証
し、ボデイの下端部に付された補助リツプが、通
常の吸入タイプの内燃機関のインレツトバルブに
使用されたバルブステムシールにおいて、バルブ
ステムおよびバルブガイド間の隙間をボデイの外
方と連通させる流路を閉鎖するので、該流路を通
つて引き込まれる空気流に伴う潤滑剤の過度の消
費が効果的に抑制される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例の第２図上の矢印
Ｉ−Ｉを付して示した位置における縦断面図、第
２図は、同実施例の第１図上に矢印−を付し
て示した位置における横断面図、第３図は、従来
の技術によるバルブステムシールの一例の縦断面
図である。 １……バルブステム、２……バルブガイド、３
……ボデイ、４……流路、５……シールリツプ、
６……油受け、７……補助リツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バルブステム１の上下方向の往復運動を支える
   バルブガイド２の上端部に外挿され、前記バルブ
   ガイド２との接合部に軸方向に沿つた流路４を形
   成するボデイ３、該ボデイ３の上端部から斜め下
   方へ伸び、先細の略円錐形状を呈して前記バルブ
   ステム１の周面に接触するシールリツプ５、前記
   シールリツプ５の背部から上方に伸びた油受け６
   および前記ボデイ３の下端部に付され、先細の略
   円錐形状を呈して前記バルブガイド２の外周面に
   接触する補助リツプ７を有するバルブステムシー
   ル。