JPH0517361Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内燃機関の動弁機構におけるバルブ
ステムのシール装置に関するものである。

〔従来の技術〕

内燃機関の動弁機構において、吸・排気弁はカ
ムによつて駆動されそのバルブステムがシリンダ
ヘツド内に形成されたバルブステムガイドに沿つ
て上下動するようになつている。このためバルブ
ステム外周とバルブステムガイド内周との摺動面
には、摩耗や焼付きを防止するために微量のオイ
ルを供給してやる必要があるが、従来一般には、
この摺動面へのオイルの供給はバルブステムガイ
ド上端から行い、バルブステムガイドの上端にオ
イルシールを嵌合固定してそのリツプ部をバルブ
ステムの外周に接触させ、オイルを掻き取つてバ
ルブステム周囲に所定の厚みの油膜を形成し、バ
ルブステムガイドとの焼付きを防止するようにし
ている。

しかしこのような潤滑方式では摺動面に供給さ
れてこれを潤滑したオイルはその後バルブステム
ガイド下端から吸・排気通路に洩れ、オイルの消
費量が増大するという問題があつた。このような
オイル洩れを防止するためバルブステムガイド下
端にオイルシールを設ける提案がなされている
（実開昭55−161006号公報、実開昭56−11306号公
報、実開昭59−117808号公報、実開昭59−56309
号公報参照）。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記のようなバルブステムガイド下端部にオイ
ルシールを設けた構造によつても、バルブステム
周囲に所定の厚みの油膜を形成することは難かし
く、バルブステム周囲の油膜のリーク量が多過ぎ
れば燃焼室へのオイル洩れを生じ、またリーク量
が少な過ぎれば焼付けの問題があり、リーク量の
厳格な調整は容易でない。

そのため、油膜のリーク量が多過ぎる場合に
は、過剰のオイルがバルブステムガイドの下方に
おけるバルブステムの下部周囲に付着し、これが
エンジンの燃焼熱などによつて変質固形化して、
デポジツトと呼ばれる汚物として付着体積するこ
とがあり、その結果エンジンの吸・排気効率を低
下させる等の問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案によれば、上記の問題点は、吸・排気弁
のバルブステムが摺動自在に挿入されるバルブス
テムガイドの下端部に、オイルシールを設けた内
燃機関のバルブステムシール装置において、前記
オイルシールを、その内周が前記バルブステムの
外周面に摺接するリツプ部と、その外周が前記バ
ルブステムガイドの内壁に当接する嵌合部とから
構成し、該リツプ部と該嵌合部との間にオイル排
出孔を設け、前記オイルシール下方の前記バルブ
ステムガイド下端部に、外部と連通するオイル排
出溝を設けたオイルガイドを嵌合しその上端を前
記オイルシールに密接させ該オイル排出孔を前記
オイル排出孔に連通させることによつて、解決さ
れる。

〔作用〕

本考案によれば、バルブステムガイドの下端部
からのオイル洩れは、オイルシールのリツプ部が
阻止し、またオイルシール部に溜つたオイルは、
オイル排出孔及びこれに連通するオイルガイドの
オイル排出溝を経て外部に排出される。

これにより、オイルリーク量が過剰であつて
も、オイルがバルブステム下方に洩れてその周囲
に付着しデポジツトを形成することがなくなる。

〔実施例〕

本考案の実施例について図面を参照して説明す
る。

第２図において、１は吸・排気弁であつて、そ
のバルブステム２は、シリンダヘツド３内に形成
されたバルブステムガイド４のガイド穴５によつ
て上下方向摺動自在に案内されている。

第１図を参照すると、バルブステムガイド４の
下端部にそのガイド穴５よりも拡径の凹部６が設
けられ、この凹部６とバルブステム２との間にオ
イルシール７が嵌合されている。オイルシール７
は耐熱性ゴムからなり、その内周には上向きに立
上がるリツプ７ａを、またその外周には上向きに
立上がる嵌合部７ｂを、それぞれ有し、全体とし
て断面がＶ形状を呈している。またリツプ７ａと
嵌合部７ｂとの間の谷部７ｃにはその上側から下
側に貫通するオイル排出孔８が設けられる。そし
て図示のように、リツプ部７ａはバルブステム２
の外周面に摺接し、嵌合部７ｂは凹部６の内壁に
当接するように配置されている。

オイルシール７の下方にはオイルガイド９が設
けられその外周が凹部６の内壁に密に嵌合されて
いる。オイルガイド９は、耐熱性ゴム、耐熱性合
成樹脂、金属又はセラミツク等により形成された
環状体で、その外周の所要個所にオイル排出溝１
０が設けられ、このオイル排出溝１０はオイルガ
イド９の下端において横向きに突設したオイル排
出横溝１０ａに連続している。このオイル排出横
溝１０ａの先端は外部に開口している。

そしてオイルガイド９の上端はオイルシール７
の谷部７ｃの下面に密接し、オイル排出溝１０と
オイルシールに設けたオイル排出溝８とが連通す
るように配置される。

上記のように構成された本実施例において、バ
ルブステム２の上方から供給されその周囲に油膜
を形成したオイルは、バルブステムガイド４の下
端部において、オイルシール７のリツプ７ａによ
り、これより下方へのオイル洩れが阻止される。
リツプ７ａによつて阻止されオイルシールの谷部
７ｃに溜つたオイルは、オイル排出孔８を通り下
方に続くオイルガイドのオイル排出溝１０に流下
し、さらにオイル排出横溝１０ａを経て外部に排
出される。

そのため、バルブステム２の周囲に沿うオイル
リーク量が過剰であつても、これがそのまま吸・
排気通路に洩れることはなく、またバルブステム
２の下方部分に付着して第１図に示すようなデポ
ジツトＷが発生することを確実に防止することが
できる。

〔考案の効果〕

本考案は以上のような構成、作用を有するもの
であるから、バルブステムガイドの下端部におい
て、オイルシールによつてオイル洩れを阻止する
ことができるとともに、オイルシールによつて阻
止されここに溜つたオイルはオイルシールのオイ
ル排出孔とオイルガイドのオイル排出溝を介して
外部に確実に排出することができる。

そのため残留オイルによるバルブステム下部の
デポジツトの発生を阻止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の要部を示す拡大縦断
面図、第２図は同上実施例の全体構造を示す縦断
面図である。 １……吸・排気弁、２……バルブステム、４…
…バルブステムガイド、５……ガイド穴、６……
凹部、７……オイルシール、７ａ……リツプ、７
ｂ……嵌合部、７ｃ……谷部、８……オイル排出
孔、９……オイルガイド、１０……オイル排出
溝、１０ａ……オイル排出横溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸・排気弁のバルブステムが摺動自在に挿入さ
   れるバルブステムガイドの下端部に、オイルシー
   ルを設けた内燃機関のバルブステムシール装置に
   おいて、前記オイルシールを、その内周が前記バ
   ルブステムの外周面に摺接するリツプ部と、その
   外周が前記バルブステムガイドの内壁に当接する
   嵌合部とから構成し、該リツプ部と該嵌合部との
   間にオイル排出孔を設け、前記オイルシール下方
   の前記バルブステムガイド下端部に、外部と連通
   するオイル排出溝を設けたオイルガイドを嵌合し
   その上端を前記オイルシールに密接させ該オイル
   排出溝を前記オイル排出孔に連通させたことを特
   徴とするバルブステムシール装置。