JPH0446999B2

JPH0446999B2 -

Info

Publication number: JPH0446999B2
Application number: JP61201567A
Authority: JP
Inventors: Shiro Shimizu; Isao Takahashi; Mitsuyasu Shimazaki
Original assignee: KANTO KASEI KOGYO KK
Current assignee: KANTO KASEI KOGYO KK
Priority date: 1986-08-29
Filing date: 1986-08-29
Publication date: 1992-07-31
Also published as: JPS6357693A

Description

【発明の詳細な説明】【産業上の利用分野】

この発明はグリース中の油分が拡散（滲出）し
ない基油拡散防止剤に関する。

【従来の技術】

近年における精密機器類の急速な高性能化及び小
型化に伴つて、その機械的な回転部や摺動部等に
使用されているグリースに対しても従来よりも優
れた特性（品質）が要求されるようになつてき
た。即ち、小型化された各種機構部、モータ類、
各種ベアリング類、スイツチ類、接点類などに使
用するグリースに対しては、多くの場合、耐熱
性、低温性、軽トルク性などが要求される。従つ
て、上記のような特性を得るためのグリースとし
て、一般的には石鹸系又はウレア系等の増ちよう
剤を、低粘度の合成潤滑油から成る基油中に分散
させたタイプのものが使用される。

【発明が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来のグリースにあ
つては、基油として前述の如き合成潤滑油を使用
するために、前述の如き耐熱性、低温性、軽トル
ク性という性能をほぼ満足できる反面、今度はグ
リース塗布後に、グリース成分中の油分或いは油
状添加剤が、時間の経過とともに塗布面から拡散
（滲出）してしまうという新たな技術的課題が発
生してしまう。つまり、グリースは固体の増ちよう剤を液体の
基油中に混合分散させた半固体であるため、長い
間にはこれら液体の基油がグリース中から分離し
油分として広がり出す性質がある。特に、基油の
粘度が低いほど、或いはグリースのちよう度が軟
質なほど、また使用及び貯蔵時の温度が高いほど
この傾向は更に顕著となる。そして、この拡散し
た油分が機器類を汚したり、接点障害の原因とな
つたり、或いは他の部分へ流れて、そこの素材
（特にプラスチツクなど）に悪影響を及ぼしたり
する場合が多い。そのため、最近各方面から油分
拡散の少ないグリースの開発が強く望まれてきて
いる。

【課題を解決するための手段】

本発明者達は、このような社会的要請に鑑み、
前述のような合成潤滑油を基油として用いたグリ
ースであつても、そのグリースに添加することに
より油分拡散を極めて小さく抑えることができる
基油拡散防止剤の開発を鋭意行つてきた。そし
て、今回その基油拡散防止剤の開発に成功したも
のである。即ち、この発明に係るグリースの基油拡散防止
剤は、石鹸系又はウレア系等の増ちよう剤を合成
潤滑油を基油とするグリースに添加するための基
油拡散防止剤であつて、疎水性基としてパーフル
オロカーボンチエーンをもち且つ親水性基として
オキシエチレンをもつフツ素系界面活性剤から成
るものである。本来、界面活性剤は液体成分の表面張力を下げ
ることにより、油分の拡散を更に大きくさせてし
まうものであるが、この発明でのフツ素系界面活
性剤の場合は逆にグリース中の基油（合成潤滑
油）に対して拡散を抑える機能を発揮する。界面
活性剤の中でも本発明で特定したフツ素系界面活
性剤だけがグリースの基油（合成潤滑油）の拡散
を抑える機能があり、その他の一般的な界面活性
剤を含有させた場合には、グリースから油分が拡
散しやすくなつてしまうものである。更に、フツ素を含む油（例えば、三フツ化塩化
エチレン、パーフロロポリエーテル）を含有させ
ても、油分拡散防止機能を期待することができ
ず、フツ素系界面活性剤でなければならない。ここで、フツ素系界面活性剤とは、疎水性基と
してハイドロカーボンチエーンをもつものでな
く、完全にフツ素化されたフルオロカーボンチエ
ーン（パーフルオロカーボンチエーン）をもち、
且つ親水性基としてオキシエチレンをもつものを
総称したものである。この発明に係るフツ素系界面活性剤の具体的構
造としては、親水基として、パーフルオロオクタ
ンスルホン酸ジエタノールアミドや、Ｎ−プロピ
ル−Ｎ−（２−ヒドロキシエチル）パーフルオロ
オクタンスルホンアミドや、モノパーフルオロア
ルキル（C₆〜C₁₆）エチルリン酸エステルなどの
オキシエチレンをもつものであり、このオキシエ
チレンは、大半がポリオキシエチレン付加物であ
る。結合に種類でエステル、エーテル等があり、
また末端でエタノール構造をとるものや、親水基
と疎水基の間に位置するものもあるが、いずれの
場合も基油拡散防止剤を発揮する。そして、上記の如きフツ素系界面活性剤を少な
くともグリース中に0.01wt％以上〔好ましくは
0.1〜10wt％の範囲〕添加させるものである。フ
ツ素系界面活性剤の含有率が0.01wt％未満だと、
大幅な油分拡散防止効果を期待することができな
い。またいくら添加しても良いが、15wt％以上
になると効果が平衡に達し、経済的にも不利とな
る。そして、このフツ素系界面活性剤を添加させる
グリースの種類としては、増ちよう剤は石鹸系
（金属石けん系、複合石けん系等）又はウレア系
などどのようなタイプのものであつても良い。ま
た、基油はポリαオレフイン油、エチレンαオレ
フインコオリゴマー油、シリコン油、ジエステル
油等の合成潤滑油でなければならない。

【実施例】

本発明に係る基油拡散防止剤の油分拡散防止効
果に関する試験を行つた。最初に、第１図に基づ
いて試験方法を説明する。まずグリース１を注射
器により0.05c.c.づつ採り、スリガラス板（10cm×
10cm）２の粗面側へ円形山型に塗布し、クリアラ
ンスをとるため四隅に厚さ0.35mmの平ワツシヤー
３を載せる。次に、同型のスリガラス板４を上に
重ね、粗面同士を向かい合わせた状態にして、グ
リース１が15mmの円形になるように加圧する。そ
して、恒温槽（80℃）に入れて24時間放置し、油
分が拡散して（滲み出て）スリガラス板２，４の
粗面が半透明になつた拡散部分５の拡散幅（mm）
を測定し、この拡散幅から拡散率（％）を求め
た。尚、拡散率は以下のようにして計算するもの
である。拡散率（％）＝〔（拡散幅−15）÷15〕×100 試験結果を以下の表に示す。

【表】＊グリースタイプＡとは；基油〔ポリαオレフイ
ン（粘度が100℃で6cst）〕に増ちよう剤〔リチウ
ムヒドロキシステアレート〕を5.0wt％含有させ
た、ちよう度がNo.１で滴点が203℃のグリースで
ある。＊グリースタイプＢとは：基油〔「ジエステル油」
であるジエチルヘキシルセバケート〕に増ちよう
剤〔トリウレア化合物〕を8wt％含有させた、ち
よう度がNo.１で滴点が260℃のグリースである。＊「基油拡散防止剤」であるフツ素系界面活性剤
は、フツ素化アルキルエステルである。そして、上記表中に示した各実施例から判るよ
うに、フツ素系界面活性剤を含有させたグリース
においては、合成潤滑油の拡散がきわめて小さ
く、多少あつても無視できる程度のものであつ
た。これに対し、フツ素系界面活性剤を全然含ま
ない各比較例におけるグリースにあつては、基油
の著しい拡散が明確に確認された。

【発明の効果】

この発明に係るグリースの基油拡散防止剤は、
精密機器分野への用途、例えばカメラのヘリコイ
ド部、絞り機構、或いは時計の軸受機構、マイク
ロモーターの回転軸、各種ベアリング類、電子機
器の機構部、スイツチ類等への用途に用いられる
グリースへの添加に好適である。また、フツ素系
界面活性剤自体の特性（耐薬品性、耐熱性）も、
グリースの添加剤としては好都合である。そして
更に、このフツ素系界面活性剤を、特にグリース
タイプＢに代表されるポリウレア系グリースに含
有させた場合には、ポリウレア系増ちよう剤と合
成潤滑油とのなじみが良くなり、グリース自体の
品質を高めることができるという付随的効果も確
認された。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例で用いた油分拡散試
験方法を示す説明図である。１……グリース、２，４……スリガラス板、３
……平ワツシヤー、５……拡散部分。

Claims

【特許請求の範囲】１合成潤滑油を基油とするグリースに添加する
ための基油拡散防止剤であつて、疎水性基としてパーフルオロカーボンチエーン
をもち且つ親水性基としてオキシエチレンをもつ
フツ素系界面活性剤から成ることを特徴とするグ
リースの基油拡散防止剤。