JP4545405B2 - 保油処理剤、これを用いた保油処理方法、および該保油処理方法により保油処理した時計 - Google Patents

保油処理剤、これを用いた保油処理方法、および該保油処理方法により保油処理した時計 Download PDF

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Description

本発明は、時計などの精密機器に使用する保油処理剤、すなわち時計油拡散防止処理剤およびこれを用いた時計に関する。より詳しくは、時計の地板、受けおよび歯車に対して行う保油処理に用いる保油処理剤に関する。
時計にはゼンマイの力を利用して駆動する機械式時計と、電池を装着して電力によって駆動する電子時計とがある。機械式時計も電子時計も、ともに駆動源から力を伝達する輪列部を有している。輪列部は、歯車や受け等により構成されている。
機械式時計では、多大な駆動力が部品にかかり続けることから、主に金属製の部品が用いられている。一方、電子時計では、従来は金属製の部品が用いられていたが、多大な駆動力が部品にかかり続けることがないため、プラスチック(エンジニアリングプラスチックなど)部品も使用されるようになってきた。
通常、時計はその性質上長期に渡って動作することが望まれている。このため摺動部には時計用潤滑油を給油し、摩擦摩耗による劣化を防止して、摺動部の経時的な劣化を抑えている。
しかしながら、摺動部には時計用潤滑油を注油しても、腕時計は腕にはめて使用することから振動が多く、このため時計用潤滑油が摺動部から流れ出しやすいという問題があった。潤滑油が流れ出してしまうと摩擦摩耗を防止できなくなり、摺動部の経時的な劣化が進み時計が最終的に停止する現象が発生するという問題があった。
このため時計には、摺動部の経時的な劣化を防ぐために、時計用潤滑油が摺動部から拡散しないように、潤滑油を給油する部位に保油処理を施す必要があった。
通常、潤滑油を給油した部位からの潤滑油の拡散を防止する方法として、撥油剤を用いた撥油処理方法が知られている。このような撥油処理方法としては、潤滑油を給油した部位(潤滑油を保持する部分)以外の表面をフッ素系化合物等で処理して表面に撥油性を持たせ、潤滑油の拡散(流出)を防ぐ方法がある(特許文献1)。
しかしながら、時計などの精密機器では、各部品が小さいため、上記のような撥油処理を施すことは非常に困難であった。そこで、従来の時計用保油処理方法は、高濃度のフッ素系界面活性剤(たとえば3M社製フロラード722)を多量の低沸点のフッ素系溶媒に溶解させ、低濃度の保油処理剤を調製し、この溶液に金属製やプラスチック製の摺動部を有する部品を浸して表面処理を施し、フッ素系界面活性剤を部品の表面に付着させて潤滑油を保油するものであった。
しかし、この方法は、フッ素系界面活性剤により処理された表面と潤滑油との表面張力によって潤滑油を保油するものであって、摺動時(潤滑油作用時)の耐摩擦磨耗性や潤滑油との相互作用をほとんど考慮しておらず、十分な保油性能が得られていなかった。また、従来のフッ素系界面活性剤は、希釈剤にフッ素系溶媒を使用して処理液を調製するため、プラスチック材料と金属材料とを同一の処理液で処理することができず、適宜、対応した処理液を調製する必要があった。また、このようなフッ素系界面活性剤を使用して表面処理を施した場合、表面にしみ状の跡が残るという問題もあった。
さらに、フッ素系溶媒は単価が高くかつ多量に使用されるため、処理液の価格が高くなるという経済的な問題や、溶媒を除去する際などに加熱すると有害なガスが発生したり、フッ素系界面活性剤が分解しにくいという環境面での問題もあった。
このような問題点を解決する方法として、油の拡散を防止する必要のないニッケル複合メッキによる固体潤滑が提案されている(特許文献2)。しかしながら、この方法を用いると部品の色が黒く変色したり、処理に手間がかかるという問題があった。
特開2001−288452号公報 特許第3269090号
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、時計などの精密機器において、保油性能に優れた保油処理剤を提供することを課題としている。さらに、フッ素系溶剤を使用することなく、金属製部品とプラスチック製部品の両方に使用できる保油処理剤、およびこれを用いた時計を提供することを課題としている。
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意研究し、金属やプラスチック等と強い親和性を示すリン原子などを有するフッ素系化合物を含有する保油処理剤を用いて時計などの精密機器の部品に表面処理を施すことによって、グリースや潤滑油などの潤滑剤をより安定して保油できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る保油処理剤は、
リン、窒素および硫黄から選択される1種の原子と
炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換した基とを
分子中に有するフッ素化合物類から選択される少なくとも1種の有機フッ素化合物aを溶媒中に含有することを特徴としている。
前記炭化水素基は、炭素数が1〜20の炭化水素基であって、鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含むことが好ましい。
前記有機フッ素化合物aは、下記式(1)〜(3)のいずれかで表されるリン含有フッ素化合物類から選択される少なくとも1種の有機フッ素化合物であることが好ましい:
Figure 0004545405
(式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、炭素数が1〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基中の水素の一部または全部をフッ素で置換した基を表す。)、
Figure 0004545405
(式(2)中、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、炭素数が1〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基中の水素の一部または全部をフッ素で置換した基を表す。)、
Figure 0004545405
(式(3)中、R7およびR8は、それぞれ独立に、炭素数が1〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基中の水素の一部または全部をフッ素で置換した基を表し、R9はアセチル基またはメトキシカルボニルメチル基を表す。)。
また、本発明に係る保油処理剤は、
カルボニル基、水酸基、エステル基およびエーテル基から選択される官能基と
炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換した基とを
分子中に有するフッ素化合物類から選択される少なくとも1種の有機フッ素化合物bを、さらに含有することが好ましい。
前記有機フッ素化合物b中の炭化水素基は、炭素数が1〜20の炭化水素基であって、鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含むことが好ましい。
前記有機フッ素化合物bは、下記式(4)または(5)で表されるエーテル化合物類から選択される少なくとも1種の有機フッ素化合物であることが好ましい:
Figure 0004545405
(式(4)中、R10は炭素数が3〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基中の水素の一部または全部をフッ素で置換した基を表し、R11は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。nは1〜5である。)、
Figure 0004545405
(式(5)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、炭素数が3〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基中の水素の一部または全部をフッ素で置換した基を表し、R14は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。nは1〜5である。)。
本発明に係る時計は、少なくとも1つの時計部品を上記いずれかの保油処理剤を用いて保油処理したことを特徴としている。
また、本発明に係る時計は、硫黄含有有機フッ素化合物aを含む保油処理剤を用いて保油処理した時計部品と、硫黄系耐磨耗剤を含有する潤滑油とを用いて組み立てることが好ましく、または、リン含有有機フッ素化合物aを含む保油処理剤を用いて保油処理した時計部品と、リン系耐磨耗剤を含有する潤滑油とを用いて組み立てることが好ましい。
本発明に係る保油処理方法は、上記いずれかの保油処理剤を用いて、潤滑油を保油する部位に保油処理を施し、該部位の表面に、少なくとも前記有機フッ素化合物aを付着させることを特徴としている。
本発明に係る保油処理方法は、(I)前記保油処理剤中に精密機器用部品を浸漬して、該保油処理剤を部品表面に付着させる工程と、(II)前記浸漬工程後に得られる精密機器用部品を温風乾燥して溶媒を除去する工程とを含むことが好ましく、前記工程(I)において、超音波処理を施しながら精密機器用部品を浸漬することがより好ましい。
また、本発明に係る保油処理方法は、前記工程(I)を実施した後、
(III)溶媒に精密機器用部品を浸漬し、部品表面に付着した余分な保油処理剤を除去する工程を実施し、
その後、前記工程(II)を実施することが好ましく、前記工程(III)において、前記溶媒に浸した精密機器用部品を該溶媒中で揺動することがより好ましい。
本発明に係る保油処理剤は、時計などの精密機器における保油性能を向上させることができる。また、本発明に係る保油処理剤はプラスチック製部品と金属製部品の両方に使用することができる。
さらに、本発明に係る保油処理剤を用いて保油処理を施すことにより、時計などの精密機器の内部で潤滑油が流出することなく、優れた保油性能、動作性能を有する時計などの精密機器を提供することができる。
このように優れた保油性能を有する時計などの精密機器は、その駆動部(摺動部)の摩耗を低減でき、耐久性が著しく向上する。
<保油処理剤>
本発明に係る保油処理剤は、
リン、窒素および硫黄から選択される原子と
炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換した基とを
分子中に有するフッ素化合物類から選択される少なくとも1種の有機フッ素化合物aを溶媒中に含有する。
<有機フッ素化合物a>
本発明に用いられる有機フッ素化合物aはその極性の作用により金属部品やプラスチック部品の表面に吸着する。特に、リン原子、窒素原子および硫黄原子は金属との相互作用が強く、選択的に金属表面に吸着する。
前記有機フッ素化合物類のうち、リン原子または窒素原子を分子中に有する有機フッ素化合物がより好ましく、リン原子を分子中に有する有機フッ素化合物が特に好ましい。リン原子または窒素原子を分子中に有する有機フッ素化合物は、部品の腐食を引き起こしにくく、より長期に渡って潤滑油を保油することができる。また、リン原子を分子中に有する有機フッ素化合物は、金属との親和性に特に優れ、保油性能が著しく向上するとともに、潤滑油が変質しにくく、さらには耐摩擦磨耗性を向上させることができる。
また、前記有機フッ素化合物aの炭化水素基は、炭素数が1〜20の炭化水素基であって、鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含むことが好ましい。このような炭化水素基のうち、鎖状もしくは分岐状のアルキル基が特に好ましい。鎖状もしくは分岐状のアルキル基由来の基を有する有機フッ素化合物は、後述する溶媒に良好に溶解し、かつ優れた保油性能を示す。
炭化水素基の水素の一部をフッ素で置換した基に含まれるフッ素と水素のモル比(F/H)は、得られる保油処理剤が保油性能を示す範囲であれば特に制限されないが、1以上が好ましい。F/Hが著しく減少すると潤滑油が流出しやすくなり保油性能が低下することがある。
以下に、本発明に用いられる有機フッ素化合物aを具体的に示す。
(硫黄原子を分子中に有する有機フッ素化合物)
本発明に用いられる硫黄原子を分子中に有する有機フッ素化合物は、たとえば、スルホン化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換した化合物が挙げられる。
前記スルホン化合物としては、下記式(6)で表されるスルホン類が挙げられる。
Figure 0004545405
(式(6)中、R21およびR22は、それぞれ独立に、炭素数が1〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基を表す。)。
これらのうち、式(6)中のR21およびR22がそれぞれ独立に、ペンチル基またはオクチル基であるスルホン化合物が好ましい。
本発明に用いられる有機フッ素化合物aは、このようなスルホン化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが好ましい。
具体的には、
Figure 0004545405
が好ましく用いられる。
(窒素原子を分子中に有する有機フッ素化合物)
本発明に用いられる窒素原子を分子中に有する有機フッ素化合物は、たとえば、アミン化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換した化合物が挙げられる。
前記アミン化合物としては、下記式(7)で表されるアミン類が挙げられる。
Figure 0004545405
(式(7)中、R23、R24およびR25は、それぞれ独立に、炭素数が1〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基を表す。)。
これらのうち、式(7)中のR23、R24およびR25がそれぞれ独立に、エチル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、イソヘプチル基、オクチル基、トリデシル基、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基またはノニルフェニル基であるアミン化合物が好ましい。
また、上記式(7)で表されるアミン化合物以外のアミン化合物としては、たとえば、アニリン、ジエチルアニリン、ビス(ジエチルフェニル)アミン、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジアミンが挙げられる。
本発明に用いられる有機フッ素化合物aは、このようなアミン化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが好ましい。
具体的には、
Figure 0004545405
が好ましく用いられる。
また、窒素原子を分子中に有する有機フッ素化合物は、十分な耐摩擦摩耗性を示す潤滑油、または耐磨耗剤と併用して用いることが好ましい。
(リン原子を分子中に有する有機フッ素化合物)
本発明に用いられるリン原子を分子中に有する有機フッ素化合物は、たとえば、酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、中性リン酸エステル、中性亜リン酸エステルまたはフォスフォネートなどのリン酸エステルの炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換した化合物が挙げられる。
これらのうち、中性リン酸エステル、中性亜リン酸エステルまたはフォスフォネートから得られるリン含有有機フッ素化合物が特に好ましい。このようなリン含有有機フッ素化合物を含む保油処理剤は、より長期に渡って優れた保油性能を示す。
前記中性リン酸エステルとしては、下記式(8)で表されるリン酸エステル類が挙げられる。
Figure 0004545405
(式(8)中、R26、R27およびR28は、それぞれ独立に、炭素数が1〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基を表す。)。
これらのうち、式(8)中のR26、R27およびR28がそれぞれ独立に、エチル基、ペンチル基、オクチル基、デシル基、トリデシル基、ステアリル基、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、ジ−t−ブチルフェニル基またはノニルフェニル基である中性リン酸エステルが好ましい。
また、上記式(8)で表される中性リン酸エステル以外の中性リン酸エステルとしては、たとえば、トリメチロールフォスフェート、テトラフェニルジプロピレングリコールジフォスフェート、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラフォスフェート、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジフォスフェート、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジフォスフェート、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスフェート、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスフェート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートが挙げられる。
本発明に用いられる有機フッ素化合物aは、このような中性リン酸エステルの炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが好ましい。
具体的には、
Figure 0004545405
が好ましく用いられる。
前記中性亜リン酸エステルとしては、下記式(9)で表されるリン酸エステル類が挙げられる。
Figure 0004545405
(式(9)中、R29、R30およびR31は、それぞれ独立に、炭素数が1〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基を表す。)。
これらのうち、式(9)中のR29、R30およびR31がそれぞれ独立に、エチル基、デシル基、オクチル基、トリデシル基、オレイル基、ステアリル基、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、ジ−t−ブチルフェニル基またはノニルフェニル基である中性亜リン酸エステルが好ましい。
また、上記式(9)で表される中性亜リン酸エステル以外の中性亜リン酸エステルとしては、たとえば、トリメチロールフォスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジフォスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラフォスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジフォスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトが挙げられる。
本発明に用いられる有機フッ素化合物aは、このような中性亜リン酸エステルの炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが好ましい。
具体的には、
Figure 0004545405
が好ましく用いられる。
前記フォスフォネートとしては、下記式(10)で表されるリン酸エステル類類が挙げられる。
Figure 0004545405
(式(10)中、R32およびR33は、それぞれ独立に、炭素数が1〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基を表す。R34はアセチル基またはメトキシカルボニルメチル基を表す。)。
これらのうち、式(10)中のR32およびR33がそれぞれ独立に、エチル基またはフェニル基であるフォスフォネートが好ましい。
本発明に用いられる有機フッ素化合物aは、このようなフォスフォネートの炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが好ましい。
具体的には、
Figure 0004545405
が好ましく用いられる。
<有機フッ素化合物b>
本発明に係る保油処理剤は、前記有機フッ素化合物aと、上述した硫黄原子、窒素原子またはリン原子を含有する有機フッ素化合物類以外の有機フッ素化合物とを含有することが好ましい。
このような有機フッ素化合物としては、
カルボニル基、水酸基、エステル基およびエーテル基から選択される官能基と
炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換した基とを
分子中に有するフッ素化合物類から選択される少なくとも1種の有機フッ素化合物bが、より好ましい。
このような有機フッ素化合物類もその極性が作用して金属部品やプラスチック部品の表面に吸着する。特に、プラスチック部品はエーテル結合、エステル結合等の官能基を有することが多く、前記有機フッ素化合物bのエステル基、エーテル基などの官能基は、プラスチック部品中の官能基との相互作用により、保油処理剤はより安定にプラスチック部品表面に吸着する。また、エステル基またはエーテル基を分子中に有する有機フッ素化合物類には生分解性を示すものもある。
前記有機フッ素化合物b中の炭化水素基は、炭素数が1〜20の炭化水素基であって、鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含むことが好ましい。このような炭化水素基のうち、鎖状もしくは分岐状のアルキル基が特に好ましい。鎖状もしくは分岐状のアルキル基由来の基を有する有機フッ素化合物は、後述する溶媒に良好に溶解し、かつ優れた保油性能を示す。
炭化水素基の水素の一部をフッ素で置換した基に含まれるフッ素と水素のモル比(F/H)は、得られる保油処理剤が保油性能を示す範囲であれば特に制限されないが、1以上が好ましい。F/Hが著しく減少すると潤滑油が流出しやすくなり保油性能が低下することがある。
以下に、本発明に用いられる有機フッ素化合物bを具体的に示す。
(カルボニル基を分子中に有する有機フッ素化合物)
本発明に用いられるカルボニル基を分子中に有する有機フッ素化合物は、カルボニル基を有する炭化水素化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが挙げられる。
前記カルボニル基を有する炭化水素化合物としては、下記式(11)で表されるカルボニル化合物が挙げられる。
Figure 0004545405
(式(11)中、R35およびR36は、それぞれ独立に炭素数が3〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基を表す。)。
これらのうち、式(11)中のR35およびR36がそれぞれ独立に、オクチル基またはフェニル基であるカルボニル化合物が好ましい。
本発明に用いられるカルボニル基を分子中に有する有機フッ素化合物は、このようなカルボニル化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが好ましい。
具体的には、
Figure 0004545405
が好ましく用いられる。
(水酸基を分子中に有する有機フッ素化合物)
本発明に用いられる水酸基を分子中に有する有機フッ素化合物は、水酸基を有する炭化水素化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが挙げられる。
前記水酸基を有する炭化水素化合物としては、下記式(12)で表される水酸基含有炭化水素化合物が挙げられる。
Figure 0004545405
(式(12)中、R37は、炭素数が3〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基を表し、R38は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。kは1〜5である。)。
これらのうち、式(12)中のR37がオクチル基またはノニル基であり、R38がエチレン基またはブチレン基である炭化水素化合物が好ましい。
本発明に用いられる水酸基を分子中に有する有機フッ素化合物は、このような水酸基含有炭化水素化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが好ましい。
具体的には、
Figure 0004545405
が好ましく用いられる。
(エステル基を分子中に有する有機フッ素化合物)
本発明に用いられるエステル基を分子中に有する有機フッ素化合物は、エステル結合を有する炭化水素化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが挙げられる。前記エステル基を有する炭化水素化合物はエーテル結合を含むことが好ましい。このようなエーテル結合を有する炭化水素化合物は、金属表面やプラスチック表面に吸着し、この吸着の程度は、エーテル結合、たとえば、アルキレンオキシドの繰り返し回数を変化させることにより制御することができる。
前記エステル基を有する炭化水素化合物としては、下記式(13)で表されるエステル化合物が挙げられる。
Figure 0004545405
(式(13)中、R39は、炭素数が3〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基を表し、R40は、炭素数1〜5のアルキレン基または炭素数1〜5のアルキレンオキシド基を表し、R41は、炭素数1〜5のアルキル基を表す。mは1〜5である。)。
これらのうち、式(13)中のR39がオクチル基またはノニル基、R40がメチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基、およびR41がメチル基である炭化水素化合物が好ましい。
また、上記式(13)で表されるエステル化合物以外のエステル基を有する炭化水素化合物としては、下記式(14)で表されるエステル基含有イオン化合物が挙げられる。
Figure 0004545405
(式(14)中、R42、R43およびR44は、それぞれ独立に炭素数が3〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基を表す。)。
これらのうち、式(14)中のR42がオクチル基またはノニル基、R43およびR44がブチル基であるイオン化合物が好ましい。
本発明に用いられるエステル基を分子中に有する有機フッ素化合物は、このようなエステル基含有炭化水素化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが好ましい。
具体的には、
Figure 0004545405
が好ましく用いられる。
(エーテル基を分子中に有する有機フッ素化合物)
本発明に用いられるエーテル基を分子中に有する有機フッ素化合物は、エーテル結合を有する炭化水素化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが挙げられる。また、前記エーテル基を分子中に有する有機フッ素化合物は水酸基を含んでいてもよい。
このようなエーテル結合を有する炭化水素化合物は、金属表面やプラスチック表面に吸着し、この吸着の程度は、エーテル結合、たとえば、アルキレンオキシドの繰り返し回数を変化させることにより制御することができる。
また、前記エーテル結合を有する炭化水素化合物としては、下記式(15)で表されるエーテル化合物も挙げられる。
Figure 0004545405
(式(15)中、R45は、炭素数が3〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基を表し、R46は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。nは1〜5である。)。
これらのうち、式(15)中のR45がオクチル基またはノニル基であり、かつR46がエチレン基またはブチレン基であるエーテル化合物が好ましい。
本発明に用いられるエーテル基を分子中に有する有機フッ素化合物は、このようなエーテル基含有炭化水素化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが好ましい。
具体的には、
Figure 0004545405
が好ましく用いられる。
また、前記エーテル結合を有する炭化水素化合物としては、下記式(16)で表されるエーテル化合物も挙げられる。
Figure 0004545405
(式(16)中、R47およびR48は、それぞれ独立に、炭素数が3〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基を表し、R49は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。nは1〜5である。)。
これらのうち、式(16)中のR47およびR48がそれぞれ独立に、オクチル基またはノニル基であり、かつR49がエチル基であるエーテル化合物が好ましい。
本発明に用いられるエーテル基を分子中に有する有機フッ素化合物は、このようなエーテル基含有炭化水素化合物の炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換したものが好ましい。
具体的には、
Figure 0004545405
が好ましく用いられる。
<溶媒>
本発明において、溶媒としてフッ素系の溶媒も使用できるが、フッ素系溶媒は、加熱すると有毒なガスが発生することから、非フッ素系溶媒を用いることが好ましい。また、フッ素系溶媒は、高価であることから保油処理費用が高くなり、経済的にもより安価な非フッ素系溶媒を用いることが好ましい。
本発明に好ましく用いられる非フッ素系溶媒としては、極性基または水素結合を形成し得る部位を分子中に有する非フッ素系溶媒、たとえばケトンや、アルコール、エステルが挙げられる。
このような溶媒の沸点は、特に制限されないが、200℃以下が好ましい。沸点が200℃以下の溶媒を用いると、保油処理後に、後洗浄することなく乾燥させて時計などの精密機器を組み立てることができる。また、低温かつ短時間で乾燥するためには、沸点の低い溶媒を用いることが好ましい。
前記非フッ素系溶媒としては、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;メタノール、エタノール、IPAなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒が挙げられる。
このような溶媒のうち、水溶性の溶媒は水と混合して用いることもできる。その結果、より安価に保油処理をすることができる。
上記非フッ素系溶媒は、時計などの精密機器の部品がアセタール樹脂(POM)製の場合には、いずれの溶媒も使用できるが、ポリカーボネート(PC)製のように耐溶剤性が低い樹脂製の場合には、アルコールを用いることが好ましい。一方、時計などの精密機器の部品が金属製の場合には、いずれのものでも用いることができる。
したがって、本発明に係る保油処理剤は、金属製およびプラスチック製のいずれの精密機器用部品にも使用することができる。
<保油処理組成物>
本発明に係る保油処理組成物は、少なくとも前記有機フッ素化合物aを溶媒中に含有する。この有機フッ素化合物aは、1種単独または2種以上を混合して用いてもよい。有機フッ素化合物aの濃度は、通常0.1〜10.0重量%、好ましくは0.1〜5.0重量%、より好ましくは0.5〜3.0重量%が望ましい。有機フッ素化合物aを2種以上混合して用いる場合には、各有機フッ素化合物の濃度が上記範囲にあることが好ましい。
また、本発明に係る保油処理組成物は、さらに前記有機フッ素化合物bを含有することが好ましい。この有機フッ素化合物bは、1種単独または2種以上を混合して用いてもよい。有機フッ素化合物bの濃度は、通常0.1〜10.0重量%、好ましくは0.1〜5.0重量%、より好ましくは0.5〜3.0重量%が望ましい。有機フッ素化合物bを2種以上混合して用いる場合には、各有機フッ素化合物の濃度が上記範囲にあることが好ましい。
<保油処理方法>
本発明に係る保油処理方法は、時計などの精密機器の部品の表面のうち、潤滑油を保油する部位に、前記保油処理剤を用いて保油処理を施し、該部位の表面に少なくとも有機フッ素化合物aを付着させる方法である。
まず、精密機器用部品と潤滑油について説明する。
<精密機器用部品>
本発明に用いられる時計などの精密機器の部品は、金属製またはプラスチック製のものである。金属製精密機器用部品の材料としては、銅系の各種合金および鉄系の各種合金、ならびに前記金属材料の表面にニッケル、金、ロジウム等のメッキ処理を施した材料があげられる。
プラスチック製精密機器用部品としては、たとえば、アセタール樹脂(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートとのアロイ樹脂(PC/PBT)などと無機フィラーなどとから得られる成形品がある。
<潤滑油>
本発明に用いられる潤滑油としては、ポリアルキレングリコール油、エステル油、炭化水素油(ポリαオレフィン油)などが挙げられる。精密機器が機械式時計や金属製の地板を有する電子時計(金属製クォーツ時計)の場合には、摺動部が主に金属製であるため前記いずれの潤滑油も用いることができる。
一方、精密機器がプラスチック製の地板を有する電子時計(プラスチック製クォーツ時計)の場合には、摺動部が主にプラスチック製のクォーツ時計であるため、プラスチック等の材料に使用しても相溶性のない潤滑油が好ましく、炭化水素油(たとえば、国際公開WO01/59043に記載の炭化水素系潤滑油)が好ましく使用される。
本発明に用いられる潤滑油は、耐摩擦摩耗剤や、酸化防止剤や金属不活性剤等を混合して用いることが好ましい。前記耐摩擦摩耗剤としては、中性亜リン酸エステル、中性リン酸エステルなどのリン系耐摩擦磨耗剤、ジチオリン酸亜鉛などの硫黄系系耐摩擦磨耗剤が挙げられる。
<保油処理>
具体的には、以下の方法により保油処理を行うことができる。
まず、保油処理剤中に精密機器用部品を浸漬する。このとき、部品表面全体にむらなく、保油処理を施すために、超音波処理を施しながら浸漬することが好ましい。また、部品を揺動する方法でもよい。部品が小さく、かつ部品が複雑な形状の場合には、超音波処理を施すことが好ましい。超音波処理により、保油処理剤を部品のすみずみにまで付着させることができる。浸漬時間は、特に制限はないが、30秒〜5分が好ましい。
その後、部品を取り出し、温風乾燥により溶媒を除去する。温風乾燥温度は、溶媒の沸点により適宜設定することができる。また、乾燥時間を調節してもよい。
本発明に係る保油処理方法において、硫黄系耐磨耗剤を含有する潤滑油を用いて精密機器を組み立てる場合には、保油処理剤として、硫黄含有有機フッ素化合物aを含む保油処理剤を用いることが好ましく、リン系耐磨耗剤を含有する潤滑油を用いて精密機器を組み立てる場合には、リン含有有機フッ素化合物aを含む保油処理剤を用いることが好ましい。
上記方法により保油処理を施された部品は、以下のメカニズムにより保油性能を発現すると考えられる。
本発明に係る保油処理剤は、金属と強い相互作用を示す原子を有する化合物、例えばリン含有有機フッ素化合物を含む。このため、本発明に係る保油処理剤を用いて金属部品を保油処理すると、金属への吸着力の高いリン含有有機フッ素化合物が選択的に金属表面に付着する。その他の有機フッ素化合物は、このリン含有有機フッ素化合物の周囲に吸着する。特に保油処理剤が、極性を有する官能基を分子中の構造に有する有機フッ素化合物、たとえばエーテル結合を有する有機フッ素化合物を含む場合には、より強く吸着するその結果、金属表面に有機フッ素化合物膜が形成され、有機フッ素化合物のフッ素化された炭化水素基が親油性を示すことから、保油性能を発現する。
一方、プラスチック部品の場合は、主にプラスチックが有する極性と、有機フッ素化合物の極性の作用により、有機フッ素化合物がプラスチック部品に吸着して、表面に有機フッ素化合物膜が形成され、同様に保油性能が発現する。
<シミ防止処理>
本発明では、前記保油処理方法における温風乾燥(溶媒除去)工程の前に、シミ防止処理を施すことが好ましい。液体を用いた保油処理ではシミや変色が起こりやすいため、時計などの精密機器の部品など外観品質を重視する部品の場合には、特に好ましく用いられる。
シミ防止処理は、溶媒、好ましくは炭化水素系溶媒で、部品表面に付着した余分な保油処理剤を除去することにより実施する。炭化水素系溶媒は、無極性であるため、余分な保油処理剤を容易に除去できるが、保油処理によって部品表面に付着した保油処理剤は除去できない。
前記炭化水素系溶媒としては、沸点が180℃以下の炭化水素、たとえばn−デカン、ヘキサン、オクタン、ノナンなどが好ましい。
具体的なシミ防止方法は、保油処理剤に浸漬した後に得られる部品を、溶媒が蒸発する前に、炭化水素系溶媒に浸し、数回揺動する方法である。この状態で、部品表面に付着した分子以外の不要な分子を除去することができる。その後、炭化水素系溶媒から部品を取り出し、熱風乾燥、必要に応じて吸引乾燥や遠心分離器を併用して溶媒を除去して部品を乾燥する。
前記熱風乾燥は、好ましくは120℃〜150℃の範囲の熱風を用いて実施する。上記温度範囲の熱風を用いることにより、沸点が180℃以下の炭化水素を30分以内で除去することができる。
<時計>
本発明に係る時計は、上記方法により少なくとも1つの時計部品に保油処理を施した後、この時計部品と前記潤滑油とを用いて組み立てられる。この時計は潤滑油が流出することなく、摺動部に保持され、安定した動作性能を示す。特に、リン含有有機フッ素化合物を含む保油処理剤を用いて保油処理された時計は、長期に渡って保油性能が維持され、安定した動作性能を示す。
<実施例>
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。
(原料)
フッ化アルキル化合物a−1:
下記式で表されるトリス(1H,1H,5H−テトラデカフルオロオクチル)フォスフェート
Figure 0004545405
フッ化アルキル化合物a−2:
下記式で表されるジ(1H,1H,2H−オクタフルオロペンチル)アセチルフォスフォネート
Figure 0004545405
フッ化アルキル化合物a−3:
下記式で表されるトリス(1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル)フォスフェート
Figure 0004545405
フッ化アルキル化合物a−4:
下記式で表されるジ(2,2,2−トリフルオロエチル)メトキシカルボニルメチルフォスフォネート
Figure 0004545405
フッ化アルキル化合物a−5:
下記式で表されるトリス(1H,1H,3H,3H,5H−ヘキサフルオロペンチル)フォスフェート
Figure 0004545405
フッ化アルキル化合物a−6:
下記式で表されるトリス(5H,5H,6H,6H,6H−オクタフルオロヘキシル)アミン
Figure 0004545405
フッ化アルキル化合物a−7:
下記式で表されるトリス(1H,1H−ペンタデカフルオロオクチル)スルホン
Figure 0004545405
フッ化アルキル化合物b−1:
下記式で表されるノナデカフルオロノニル−オキシ−エタノール
Figure 0004545405
フッ化アルキル化合物b−2:
下記式で表されるビス(ヘプタデカフルオロオクチルオキシエチル)エーテル
Figure 0004545405
フッ化アルキル化合物b−3:
下記式で表されるn=1〜3のフッ化アルキル化合物の混合物
Figure 0004545405
フッ化アルキル化合物b−4:
下記式で表されるn=1および2のフッ化アルキル化合物の混合物
Figure 0004545405
フッ化アルキル化合物a−1、a−2、b−1およびb−2をそれぞれ0.5重量%の濃度でイソプロパノールに混合し、保油処理剤を調製した。
得られた保油処理剤に銅合金基板、銅合金にニッケルメッキした基板またはプラスチック基板(POM製)を超音波処理を施しながら浸漬した後、この銅合金基板、銅合金にニッケルメッキした基板またはプラスチック基板を保油処理剤から取り出し、温風乾燥により溶媒を除去し、銅合金基板、銅合金にニッケルメッキした基板およびプラスチック基板(POM製)の表面に保油処理を施した。
各基板の表面に潤滑油(シチズン時計製AO−3)を滴下して、保油処理した基板表面と潤滑油との接触角を測定した。その後、これらの基板を80℃で保存し、接触角の経時変化を測定した。銅合金にニッケルメッキした基板についての結果を図1に示す。他の基板についても図1と同様の傾向を示した。
また、得られた保油処理剤を用いて、シチズン時計製時計ムーブメント#20(主に金属製部品で構成されたクォーツ時計)、#82(機械式時計)および#10(主にプラスチック製部品で構成されたクォーツ時計)の摺動部を有する部品をそれぞれ保油処理し、炭化水素系潤滑油(シチズン時計製AO−2)を用いて時計を組み立てた。
これらの時計について、摺動部からの潤滑油の流出の有無(保油性能)を確認した後、以下の方法により動作確認を実施した。結果を表1に示す。
保油性能の評価基準:
A:通常の運搬操作による振動では潤滑油は摺動部から流出しなかった。
B:通常の運搬操作による振動で潤滑油は摺動部から流出した。
(動作確認方法(加速試験))
組み立てた時計を60℃の恒温槽に入れ、時計の摺動部を操作して、機械式時計の場合には通常の速度の8倍の速度(1秒間に通常の速度の8秒分時計が進む速度)で、クォーツ時計の場合には通常の速度の32倍の速度(1秒間に通常の速度の32秒分時計が進む速度)で、所定の時間、時計を作動させた。
その後、時計を恒温槽から取り出し、常温でこの時計の動作精度と、摺動部の部品の変色および摩耗の発生を確認した。
動作性能の評価基準:
AA:10年分の加速試験を実施しても動作精度に変化なく、摺動部の変色
および摩耗もない。
A:3年分の加速試験では動作精度に変化なく、摺動部の変色および摩耗
もないが、5年分の加速試験で摺動部が摩耗した。
B:3年分の加速試験では動作精度に変化なく、摺動部の変色および摩耗
もないが、5年分の加速試験で摺動部が変色した。
C:加速試験前は動作精度に変化なく、摺動部の変色および摩耗もないが、
3年分の加速試験で摺動部が摩耗した。
フッ化アルキル化合物a−1、a−2、b−1およびb−2の替わりに、フッ化アルキル化合物a−3、a−4、b−3およびb−4を用いた以外は、実施例1と同様にして保油処理剤を調製し、接触角の測定および時計の動作確認を実施した。結果を図1および表1に示す。
フッ化アルキル化合物a−3の替わりに、フッ化アルキル化合物a−5を用いた以外は、実施例2と同様にして保油処理剤を調製し、接触角の測定および時計の動作確認を実施した。結果を図1および表1に示す。
〔参考例4
フッ化アルキル化合物a−3の替わりに、フッ化アルキル化合物a−6を用いた以外は、実施例2と同様にして保油処理剤を調製し、接触角の測定および時計の動作確認を実施した。結果を図1および表1に示す。
イソプロパノールの替わりに、イソプロパノール75%と水25%との混合溶媒を用いた以外は、実施例2と同様にして保油処理剤を調製し、接触角の測定および時計の動作確認を実施した。結果を図1および表1に示す。
イソプロパノールの替わりに、エタノール75%と水25%との混合溶媒を用いた以外は、実施例2と同様にして保油処理剤を調製し、接触角の測定および時計の動作確認を実施した。結果を図1および表1に示す。
〔参考例7
フッ化アルキル化合物a−3の替わりに、フッ化アルキル化合物a−7を用いた以外は、実施例2と同様にして保油処理剤を調製し、接触角の測定および時計の動作確認を実施した。結果を図1および表1に示す。
<比較例1>
フッ化アルキル化合物b−1およびb−2をそれぞれ0.5重量%の濃度でイソプロパノールに溶解し、保油処理剤を調製した。
この保油処理剤について、実施例1と同様にして接触角を測定した。結果を図1に示す。
また、実施例1と同様にして3種類の時計を組立て、時計の動作確認を実施した。結果を表1に示す。
Figure 0004545405
図1に示すように、従来の保油処理剤は時間の経過とともに接触角が減少し、潤滑油が流出したが、本発明に係る保油処理剤は接触角の時間変化がなく、潤滑油の流出は見られなかった。
表1に示すように、フッ化アルキルリン化合物を含有する保油処理剤は、優れた保油性能を示した。また、アルコール等の有機溶媒を用いても保油処理が実施できた。さらに、本発明に係る保油処理剤を用いた時計は、従来の保油処理剤を用いた時計よりも優れた動作性能を示し、その中でもリン含有保油処理剤を用いた時計は特に優れた動作性能を示した。
本発明に係る保油処理剤は、時計などの精密機器における保油性能を向上させることができる。また、本発明に係る保油処理剤はプラスチック製部品と金属製部品の両方に使用することができる。
さらに、本発明に係る保油処理剤を用いて保油処理を施すことにより、時計などの精密機器の内部で潤滑油が流出することなく、優れた保油性能、動作性能を有する時計などの精密機器を提供することができる。
このように優れた保油性能を有する時計などの精密機器は、その駆動部(摺動部)の摩耗を低減でき、耐久性が著しく向上する。その結果、このような精密機器は、メンテナンスを実施しなくても長期に渡って安定して作動する。また、このような精密機器の寿命は従来のものより著しく長くなり、本発明に係る保油処理を施すことによって、新たな廃棄物の排出を抑制することができる。
図1は、接触角の経時変化を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 下記式(1)〜(3)のいずれかで表されるリン含有フッ素化合物類から選択される少なくとも1種の有機フッ素化合物aを溶媒中に含有する保油処理剤。
    Figure 0004545405
    (式(1)中、R 1 、R 2 およびR 3 は、それぞれ独立に、炭素数が1〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基中の水素の一部または全部をフッ素で置換した基を表す。)、
    Figure 0004545405
    (式(2)中、R 4 、R 5 およびR 6 は、それぞれ独立に、炭素数が1〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基中の水素の一部または全部をフッ素で置換した基を表す。)、
    Figure 0004545405
    (式(3)中、R 7 およびR 8 は、それぞれ独立に、炭素数が1〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基中の水素の一部または全部をフッ素で置換した基を表し、R 9 はアセチル基またはメトキシカルボニルメチル基を表す。)。
  2. カルボニル基、水酸基、エステル基およびエーテル基から選択される官能基と
    炭化水素基の水素の一部または全部をフッ素で置換した基とを
    分子中に有するフッ素化合物類から選択される少なくとも1種の有機フッ素化合物bを、さらに含有する請求項1に記載の保油処理剤。
  3. 前記有機フッ素化合物b中の炭化水素基が、炭素数が1〜20の炭化水素基であって、鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含むことを特徴とする請求項に記載の保油処理剤。
  4. 前記有機フッ素化合物bが、下記式(4)または(5)で表されるエーテル化合物類から選択される少なくとも1種の有機フッ素化合物である請求項に記載の保油処理剤:
    Figure 0004545405
    (式(4)中、R10は炭素数が3〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基中の水素の一部または全部をフッ素で置換した基を表し、R11は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。nは1〜5である。)、
    Figure 0004545405
    (式(5)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、炭素数が3〜12の鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基および/または芳香環を含む炭化水素基中の水素の一部または全部をフッ素で置換した基を表し、R14は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。nは1〜5である。)。
  5. 少なくとも1つの時計部品を請求項1〜のいずれか一項に記載の保油処理剤を用いて保油処理した時計。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の保油処理剤を用いて、潤滑油を保油する部位に保油処理を施し、該部位の表面に、少なくとも前記有機フッ素化合物aを付着させることを特徴とする保油処理方法。
  7. (I)前記保油処理剤中に精密機器用部品を浸漬して、該保油処理剤を部品表面に付着させる工程と、
    (II)前記浸漬工程後に得られる精密機器用部品を温風乾燥して溶媒を除去する工程と
    を含むことを特徴とする請求項に記載の保油処理方法。
  8. 前記工程(I)において、超音波処理を施しながら精密機器用部品を浸漬することを特徴とする請求項に記載の保油処理方法。
  9. 前記工程(I)を実施した後、
    (III)溶媒に精密機器用部品を浸漬し、部品表面に付着した余分な保油処理剤を除去する工程を実施し、
    その後、前記工程(II)を実施すること
    を特徴とする請求項またはに記載の保油処理方法。
  10. 前記工程(III)において、前記溶媒に浸した精密機器用部品を該溶媒中で揺動することを特徴とする請求項に記載の保油処理方法。
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