JP7232683B2 - 時計用部品、ムーブメントおよび時計 - Google Patents

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Description

本発明は、時計用部品、ムーブメントおよび時計に関する。
例えばがんぎ車やアンクルなど、時計に用いられる時計用部品には、連続的または断続的に駆動力がかかる。そのため、回転などの際の摺動による摩擦を軽減するため、時計用部品の摺動箇所に潤滑油を保持させることが求められる。
例えば特許文献1には、時計用部品の全体にフッ素系処理剤を用いて撥油膜を形成させて、潤滑油を注油箇所に保持させる技術が開示されている。
特許第4545405号公報
しかし、特許文献1に記載の時計用部品は、潤滑油を保持する性能が十分とはいえなかった。そのため、潤滑油の不足によって時計用部品の摩耗が起きることがあった。
また、撥油膜を形成する処理剤の濃度が低い場合、表面処理されない部分が発生することがある。その結果、潤滑油が濡れ広がり、蒸散による潤滑油の不足によって時計用部品の摩耗が起きることがあった。
本発明の一態様は、潤滑油を保持する性能に優れた時計用部品、ムーブメントおよび時計を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、摺動面と非摺動面とを有し、前記摺動面の表面張力(A)と前記非摺動面の表面張力(B)との差(A-B)が5mN/m以上であり、かつ、前記非摺動面の表面張力(B)が20mN/m以下である、時計用部品を提供する。
この構成によれば、摺動面およびその近傍に潤滑油を保持しやすくなる。よって、摺動面上に潤滑油が存在する状態が維持されるため、時計用部品の摩耗等による劣化を抑制し、長期にわたって安定した動作が可能となる。
前記摺動面の表面張力(A)が21mN/m以上であるであることが好ましい。
この構成によれば、潤滑油との親和性が高まるので、摺動面およびその近傍に潤滑油をより保持しやすくなる。よって、保油性能をさらに高めることができる。
本発明の一態様は、前記時計用部品を備えたムーブメントを提供する。
この構成によれば、前記時計用部品を備えているため、長期にわたって安定した動作が可能となり、信頼性を高めることができる。
本発明の一態様は、前記ムーブメントを備えた時計を提供する。
この構成によれば、前記時計用部品を備えているため、長期にわたって安定した動作が可能となり、信頼性を高めることができる。
本発明の一態様によれば、潤滑油に対して高い保油性能を発揮する。
本発明に係る第1実施形態の時計用部品を備えたムーブメント表側の一形態を示す平面図である。 第1実施形態の時計用部品を構成するがんぎ車の一形態を示す平面図である。 第1実施形態の時計用部品を構成するアンクルの一形態を示す平面図である。 本発明に係る第2実施形態の時計用部品の一形態を示す側面図である。 本発明に係る第3実施形態の時計用部品の一部を示す斜視図および断面図である。 本発明に係る他の実施形態の時計用部品の一形態を示す斜視図である。 本発明に係る他の実施形態の時計用部品の一形態を示す斜視図である。 実施例および比較例で用いた基板の一形態を示す平面図である。 実施例および比較例で得られた試験片の評価基準を説明する平面図であり、(a)は摺動前の状態を示し、(b)は評価が「〇」の状態を示し、(c)は評価が「△」の状態を示し、(d)は評価が「×1」の状態を示し、(e)は評価が「×2」の状態を示し、(f)は評価が「×3」の状態を示し、(f)は評価が「×4」の状態を示す。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
また、以下に示す各図では、図面を見やすくするため、時計用部品およびムーブメントのうち一部の図示を省略しているとともに、時計用部品およびムーブメントを簡略化して図示している場合がある。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る時計用部品を備えたムーブメントおよび時計について、図1を参照して説明する。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。
図1は、ムーブメント表側の平面図である。
図1に示すように、機械式時計201は、ムーブメント210と、このムーブメント210を収納するケーシング(図示略)と、により構成されている。
ムーブメント210は、基板を構成する地板211を有している。この地板211の裏側には図示しない文字板が配されている。なお、ムーブメント210の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント210の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。
地板211には、巻真案内穴211aが形成されており、ここに巻真212が回転自在に組み込まれている。この巻真212は、おしどり213、かんぬき214、かんぬきばね215および裏押さえ216を有する切換装置により、軸方向の位置が決められている。また、巻真212の案内軸部には、きち車217が回転自在に設けられている。
巻真212が、回転軸方向に沿ってムーブメント210の内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真212を回転させると、図示しないつづみ車の回転を介してきち車217が回転する。そして、このきち車217が回転することにより、これと噛合う丸穴車220が回転する。そして、この丸穴車220が回転することにより、これと噛合う角穴車221が回転する。さらに、この角穴車221が回転することにより、香箱車222に収容された図示しないぜんまい(動力源)を巻き上げる。
ムーブメント210の表輪列は、上述した香箱車222の他に、二番車225、三番車226および四番車227により構成されており、香箱車222の回転力を伝達する機能を果している。また、ムーブメント210の表側には、表輪列の回転を制御するための脱進機構230および調速機構231が配置されている。
二番車225は、香箱車222に噛合う歯車とされている。三番車226は、二番車225に噛合う歯車とされている。四番車227は、三番車226に噛合う歯車とされている。
調速機構231は、脱進機構230を調速する機構であって、てんぷ240を具備している。
脱進機構230は、上述した表輪列の回転を制御する機構であって、四番車227と噛み合うがんぎ車235と、このがんぎ車235を脱進させて規則正しく回転させるアンクル236と、を備えている。脱進機構230は、本発明の第1実施形態に係る時計用部品である。
図2は、脱進機構230を構成するがんぎ車235の平面図である。図3は、脱進機構230を構成するアンクル236の平面図である。
(がんぎ車)
図2に示すように、がんぎ車235は、がんぎ歯車部101と、がんぎ歯車部101に同軸で固定された軸部材102と、を備えている。軸部材102の軸線に直交する方向を径方向という。図2では、がんぎ車235の回転方向をCWで示している。
がんぎ歯車部101は、環状のリム部111と、リム部111の内側に配置されたハブ部112と、これらリム部111およびハブ部112を連結する複数のスポーク部113と、を有している。ハブ部112は、円板形状であり、その中央部分に軸部材102が圧入等により固定されている。各スポーク部113は、ハブ部112の外周縁からリム部111の内周縁に向かって放射状に延在している。
リム部111の外周面には、特殊な鉤型状に形成された複数の歯部114が径方向の外側に向けて突設されている。これら複数の歯部114の先端部に、後述するアンクル236の爪石144a,144b(図3参照)が噛み合うようになっている。
歯部114における先端部の側面は、がんぎ車235の回転方向CWにおける奥側に位置して、爪石144a,144bが当接する停止面115aと、回転方向CWにおける手前側に位置する背面115bと、歯部114の先端面である衝撃面115cと、を有している。
停止面115aと衝撃面115cとにより構成される角部は、ロッキングコーナ115dとして機能する。背面115bと衝撃面115cとにより構成される角部は、リービングコーナ115eとして機能する。
歯部114のうち、停止面115aからロッキングコーナ115dを経てリービングコーナ115eに至る範囲は摺動面115を構成している。摺動面は、他の時計用部品と接触し得る面である。
また、がんぎ車235の摺動面115以外の表面が非摺動面117である。非摺動面は、他の時計用部品と接触しない面である。
摺動面115の表面張力(A)と非摺動面117の表面張力(B)との差(A-B)は、5mN/m以上であり、10mN/m以上が好ましく、13mN/m以上がより好ましく、16mN/m以上がさらに好ましい。摺動面115の表面張力(A)と非摺動面117の表面張力(B)との差が上記下限値以上であれば、摺動面115に潤滑油を注油した際に、潤滑油に対して高い保油性能を発揮し、摺動面115およびその近傍に潤滑油を保持しやすくなる。そのため、摺動面115から潤滑油が流出しにくくなる。よって、摺動面115に潤滑油が存在する状態が維持されるため、がんぎ車235の摩耗等による劣化を抑制し、長期にわたって安定した動作が可能となる。
摺動面115の表面張力(A)と非摺動面117の表面張力(B)との差(A-B)の上限値は特に制限されない。
非摺動面117の表面張力(B)は、20mN/m以下であり、15mN/m以下が好ましく、11mN/m以下がより好ましい。非摺動面117の表面張力(B)が上記上限値以下であれば、摺動面115に潤滑油を注油した際に、潤滑油が濡れ広がりにくくなる。よって、潤滑油が蒸散しにくくなり、摺動面115に潤滑油が存在する状態が維持されるため、がんぎ車235の摩耗等による劣化を抑制し、長期にわたって安定した動作が可能となる。
非摺動面117の表面張力(B)の下限値は特に制限されないが、8mN/mが好ましい。
摺動面115の表面張力(A)は、21mN/m以上が好ましく、23mN/m以上がより好ましく、25mN/mで以上がさらに好ましい。摺動面115の表面張力(A)が上記下限値以上であれば、潤滑油との親和性が高まり、摺動面115に潤滑油を注油した際に、潤滑油に対してより高い保油性能を発揮する。そのため、摺動面115から潤滑油がより流出しにくくなる。よって、摺動面115に潤滑油が存在する状態がより維持されるため、がんぎ車235の摩耗等による劣化をより抑制し、長期にわたってより安定した動作が可能となる。
摺動面115の表面張力(A)の上限値は特に制限されず、潤滑油の種類に応じて決定すればよいが、例えば100mN/mが好ましい。
ところで、時計用部品に振動が加えられると、潤滑油が飛散することがある。特に、がんぎ車およびアンクルを備えた脱進機構や、後述する日車および日ジャンパを備えたカレンダー機構など、断続的に係合を繰り返す部分では、潤滑油の飛散が顕著となる傾向にある。
摺動面115の表面張力(A)と非摺動面117の表面張力(B)との差(A-B)が5mN/m以上であり、かつ、非摺動面117の表面張力(B)が20mN/m以下であれば、がんぎ車235に振動が加えられても潤滑油が飛散しにくくなる。よって、摺動面115に潤滑油がより安定して存在するため、がんぎ車235の摩耗等による劣化をより効果的に抑制できる。
摺動面115の表面張力(A)は、Zismanプロットにより求められる。具体的には、まず、表面張力の異なる複数の試験液を摺動面115上に滴下して液滴を形成させ、液滴と摺動面115との接触角(θ)を測定し、cosθを算出する。次いで、各試験液の表面張力を横軸、cosθを縦軸にプロットしてZismanプロットを作成し、近似一次直線上でcosθ=1となるときの表面張力の値を求める。摺動面115の異なる5か所について同様の操作を行ってZismanプロットを作成し、近似一次直線上でcosθ=1となるときの表面張力の値を求め、その平均値を摺動面115の表面張力とする。なお、液滴の形成および接触角(θ)の測定は25℃で行う。
非摺動面117の表面張力(B)についても、測定箇所を摺動面115から非摺動面117に変更した以外は、摺動面115の表面張力(A)と同様にして測定する。
摺動面115の表面張力(A)は、非摺動面117の表面張力(B)との差が上記範囲内であれば摺動面115の全ての箇所で同じ値であってもよいし、異なっていてもよい。非摺動面117の表面張力(B)は、上記範囲内であれば非摺動面117の全ての箇所で同じ値であってもよいし、異なっていてもよい。
試験液としては、ペンタン(16.0mN/m)、ヘプタデカン(27.4mN/m)、ヨードシクロヘキサン(35.7mN/m)、エチレングリコール(48.4mN/m)、ホルムアミド(58.1mN/m)、ジヨードメタン(66.2mN/m)、グリセリン(63.4mN/m)、蒸留水(72.8mN/m)を用いる。
なお、カッコ内の数値は25℃における表面張力である。
潤滑油としては、時計に用いられる潤滑油であれば特に制限されないが、例えば、ポリαオレフィン(PAO)、ポリブテン等の脂肪族炭化水素油;アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素油;ポリオールエステル、リン酸エステル等のエステル油;ポリフェニルエーテル等のエーテル油;ポリアルキレングリコール油、シリコーン油、フッ素油等が挙げられる。
摺動面115の表面張力(A)や非摺動面117の表面張力(B)、これら表面張力の差(A-B)を上記範囲内とするには、例えば後述する撥油処理剤を用いて非摺動面117となる箇所(被処理面)を処理し、撥油膜118を形成すればよい。具体的には、シリコンウエハや金属リール等の基板に、時計用部品をレイアウトし、エッチングやレーザー加工など、基板の素材に適した手段で摺動部を除いた時計用部品の外形状を形成する。次いで、撥油処理剤を用いて基板を表面処理した後、摺動部に相当する部分を抜き加工すると、非摺動面117となる箇所(被処理面)のみに撥油膜118が形成される。また、時計用部品の表面全体に撥油膜118を形成した後に、ブラシ等を用いて摺動面115となる箇所の撥油膜118を摩耗させて撥油膜118を除去してもよい。こうすることで、非摺動面117のみに撥油膜118が残る。
また、後述する保油処理剤を用いて摺動面115となる箇所(被処理面)を処理して保油膜116を形成したり、非摺動面117となる箇所(被処理面)に撥油膜118を形成し、かつ摺動面115となる箇所(被処理面)に保油膜116を形成したりしてもよい。
(アンクル)
図3に示すように、アンクル236は、3つのアンクルビーム143によってT字状に形成されたアンクル体142dと、アンクル真142fと、を備えている。アンクル体142dは、軸であるアンクル真142fによって回動可能に構成されている。アンクル真142fは、その両端が図1に示すムーブメント210の地板211および図示しないアンクル受に対してそれぞれ回動可能に支持されている。なお、アンクル236は、図示しないドテピンにより回動範囲が規制されている。
3つのアンクルビーム143のうち2つのアンクルビーム143の先端には、爪石(入爪石144aおよび出爪石144b)が設けられ、残り1つのアンクルビーム143の先端には、図1に示すムーブメント210のてんぷ240の振り座(不図示)と係脱可能なアンクルハコ145が取り付けられている。爪石(入爪石144aおよび出爪石144b)は、角柱状に形成されたルビーからなり、接着剤等によりアンクルビーム143に接着固定されている。
出爪石144bの先端部は、図2に示すがんぎ歯車部101の回転方向CWにおける手前側に位置して歯部114の停止面115aに当接する停止面146aと、回転方向CWの奥側に位置する背面146bと、出爪石144bの先端面である衝撃面146cと、を有している。
停止面146aと衝撃面146cとにより構成される角部は、ロッキングコーナ146dとして機能する。背面146bと衝撃面146cとにより構成される角部は、リービングコーナ146eとして機能する。
出爪石144bのうち、停止面146aからロッキングコーナ146dを経てリービングコーナ146eに至る範囲は摺動面146を構成している。
また、アンクル236の摺動面146以外の表面が非摺動面148である。
なお、爪石144a,144bのうち入爪石144aの先端部の構成は出爪石144bの先端部の構成と同様であるため、説明を省略する。
摺動面146の表面張力(A)と非摺動面148の表面張力(B)との差(A-B)は、5mN/m以上であり、10mN/m以上が好ましく、13mN/m以上がより好ましく、16mN/m以上がさらに好ましい。摺動面146の表面張力(A)と非摺動面148の表面張力(B)との差が上記下限値以上であれば、摺動面146に潤滑油を注油した際に、潤滑油に対して高い保油性能を発揮し、摺動面146およびその近傍に潤滑油を保持しやすくなる。そのため、摺動面146から潤滑油が流出しにくくなる。よって、摺動面146に潤滑油が存在する状態が維持されるため、アンクル236の摩耗等による劣化を抑制し、長期にわたって安定した動作が可能となる。
摺動面146の表面張力(A)と非摺動面148の表面張力(B)との差(A-B)の上限値は特に制限されない。
非摺動面148の表面張力(B)は、20mN/m以下であり、15mN/m以下が好ましく、11mN/m以下がより好ましい。非摺動面148の表面張力(B)が上記上限値以下であれば、摺動面146に潤滑油を注油した際に、潤滑油が濡れ広がりにくくなる。よって、潤滑油が蒸散しにくくなり、摺動面146に潤滑油が存在する状態が維持されるため、アンクル236の摩耗等による劣化を抑制し、長期にわたって安定した動作が可能となる。
非摺動面148の表面張力(B)の下限値は特に制限されないが、8mN/mが好ましい。
摺動面146の表面張力(A)は、21mN/m以上が好ましく、23mN/m以上がより好ましく、25mN/mで以上がさらに好ましい。摺動面146の表面張力(A)が上記下限値以上であれば、潤滑油との親和性が高まり、摺動面146に潤滑油を注油した際に、潤滑油に対してより高い保油性能を発揮する。そのため、摺動面146から潤滑油がより流出しにくくなる。よって、摺動面146に潤滑油が存在する状態がより維持されるため、アンクル236の摩耗等による劣化をより抑制し、長期にわたってより安定した動作が可能となる。
摺動面146の表面張力(A)の上限値は特に制限されず、潤滑油の種類に応じて決定すればよいが、例えば100mN/mが好ましい。
摺動面146の表面張力(A)および非摺動面148の表面張力(B)は、Zismanプロットにより求められる。具体的には、がんぎ車の摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)と同様にして求められる。
摺動面146の表面張力(A)は、非摺動面148の表面張力(B)との差が上記範囲内であれば摺動面146の全ての箇所で同じ値であってもよいし、異なっていてもよい。非摺動面148の表面張力(B)は、上記範囲内であれば非摺動面148の全ての箇所で同じ値であってもよいし、異なっていてもよい。
摺動面146の表面張力(A)や非摺動面148の表面張力(B)、これら表面張力の差(A-B)を上記範囲内とするには、例えば後述する撥油処理剤を用いて非摺動面148となる箇所(被処理面)を処理し、撥油膜149を形成すればよい。具体的な方法は、がんぎ車の場合と同様である。
また、後述する保油処理剤を用いて摺動面146となる箇所(被処理面)を処理して保油膜147を形成したり、非摺動面148となる箇所(被処理面)に撥油膜149を形成し、かつ摺動面146となる箇所(被処理面)に保油膜147を形成したりしてもよい。
(撥油膜)
撥油膜118,149は、例えば、被処理面の構成材料よりも表面エネルギーの小さい材料から形成される。
撥油膜118,149は、例えば、フッ素化合物を含有する。
フッ素化合物としては、撥油膜118,149を形成したときにその表面(すなわち、非摺動面117,148)の表面張力(B)が上記範囲内となるものであれば特に制限されない。このようなフッ素化合物としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニルなどが挙げられる。また、フッ素化合物としては市販品を用いることができ、例えば株式会社ハーベス製の商品名「HFD-1098」;AGCセイミケミカル株式会社製の商品名「SFE-MS01」;Moebius社製の商品名「Fixodrop ES/BS-10」などが挙げられる。
撥油膜118,149の形成には、例えば、フッ素化合物を含む撥油処理剤(「フッ素系処理剤」ともいう。)が用いられる。フッ素化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
撥油処理剤は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、アルコール、ケトンなどが使用できる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノールなどが挙げられる。ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
撥油膜118,149を形成するには、被処理面に前記撥油処理剤を塗布して塗膜を形成する。この塗膜を乾燥させて溶媒を除去することによって、撥油膜118,149を得る。これら撥油膜118,149の表面が非摺動面117,148である。非摺動面117,148の表面張力(B)は、例えば、撥油膜118,149中のフッ素化合物の種類や含有量、撥油膜118,149の厚さによって制御できる。
撥油処理剤を塗布方法としては、ディップ法、スプレー塗布法、刷毛塗り法、カーテンコート法、フローコート法などが挙げられる。
また、上述した方法以外にも、例えばフッ素化合物を用いて蒸着法により被処理面に撥油膜118,149を形成してもよい。
撥油膜118,149の厚さは1nm以上、500nm未満が好ましい。撥油膜118,149の厚さが上記範囲内であれば、がんぎ車235およびアンクル236の機能を妨げることなく、十分な保油性能を容易に発現できる。
(保油膜)
保油膜116,147は、例えば、被処理面の構成材料よりも表面エネルギーの大きい材料から形成される。
保油膜116,147は、例えば、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう。)を含有する。
Figure 0007232683000001
一般式(1)中、Mはケイ素、チタンまたはジルコニウムであり、Rは炭化水素基であり、YおよびYは各々独立に、炭化水素基、ヒドロキシ基、または加水分解等によりヒドロキシ基を生成する官能基であり、Zは極性基である。
前記炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられる。前記炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。前記アルキル基は、C2n+1(nは自然数)で表される。nは1~18が好ましく、2~14がより好ましく、2~10がさらに好ましく、3~6が特に好ましい。nが上記下限値以上であれば、保油性を高めることができる。nが上記上限値以下であれば、立体障害による保油膜の膜質悪化を避けることができる。特に、nが10以下であることにより、重合反応に要する時間を短くできる。
前記「加水分解等によりヒドロキシ基を生成する官能基」は、例えばアルコキシ基、アミノキシ基、ケトオキシム基、アセトキシ基などであり、これらのうち1または2以上を使用できる。アルコキシ基は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などであり、これらのうち1または2以上を使用できる。
前記極性基は、極性を有する官能基である。前記極性基は、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、リン酸基、フォスフィノ基、シラノール基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、ビニル基、チオール基などであり、これらのうち1または2以上を使用できる。
化合物(1)において、Z、YおよびYで表される官能基は、結合により構成元素の一部が欠けた形態であってもよい。例えば、Zとしてのヒドロキシ基(-OH)は、脱水縮合により被処理面と結合することにより「-O-」という形態となっていてもよい。YおよびYとしてのヒドロキシ基(-OH)は、脱水縮合により他のYまたはYと結合することにより「-O-」という形態となっていてもよい。同様に、カルボキシ基(-COOH)は、結合により「-COO-」という形態になっていてもよい。
保油膜116,147の総質量に対する、化合物(1)の含有量は、例えば50質量%以上である。
化合物(1)は、例えば、極性基が脱水縮合、水素結合などにより、被処理面を構成する材料(例えば金属などの無機物)に結合または吸着する。化合物(1)は、保油膜116,147に、高い保油性能を与えることができる。
化合物(1)としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物を例示できる。
Figure 0007232683000002
化合物(1)は、例えば、下記一般式(3)で表される化合物を加水分解することにより得られる。
Figure 0007232683000003
一般式(3)中、Mはケイ素、チタンまたはジルコニウムであり、Rは炭化水素基であり、YおよびYは各々独立に、炭化水素基、ヒドロキシ基、または加水分解等によりヒドロキシ基を生成する官能基であり、Xは加水分解等によりヒドロキシ基を生成する官能基である。
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、下記一般式(4)で表されるオクチルトリエトキシシラン(例えばトリエトキシ-n-オクチルシラン)、トリエトキシエチルシラン、ブチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
Figure 0007232683000004
保油膜116,147の形成には、例えば、化合物(1)を含む保油剤と溶媒とを含む保油処理剤が用いられる。化合物(1)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
保油剤には、酸および塩基の少なくとも一方が含まれていることが好ましい。酸および塩基としては、加水分解反応を促進するものであれば特に制限されないが、酢酸、塩酸、硝酸、硫酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基などが挙げられる。化合物(1)100質量部に対する酸および塩基の添加量は、例えば1~20質量部である。
保油剤には、添加剤(例えばジブチル錫ジウラレートなどの硬化触媒等)を添加してもよい。保油剤の総質量に対する添加剤の添加量は例えば0.001~5質量%である。
溶媒としては、アルコール、ケトンなどが使用できる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノールなどが挙げられる。ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。なお、保油処理剤は、溶媒を含まなくてもよい。
保油膜116,147を形成するには、被処理面に前記保油処理剤を塗布して塗膜を形成する。この塗膜を乾燥させて溶媒を除去することによって、保油膜116,147を得る。これら保油膜116,147の表面が摺動面115,146である。摺動面115,146の表面張力(A)は、例えば、保油膜116,147中の化合物(1)の種類や含有量、保油膜116,147の厚さによって制御できる。
保油処理剤を塗布方法としては、ディップ法、スプレー塗布法、刷毛塗り法、カーテンコート法、フローコート法などが挙げられる。
保油膜116,147が化合物(1)を含有する場合、保油膜116,147の厚さは0.1~1μmが好ましい。保油膜116,147の厚さが上記範囲内であれば、がんぎ車235およびアンクル236の機能を妨げることなく、十分な保油性能を容易に発現できる。
本実施形態の時計用部品である脱進機構230は、摺動面115の表面張力(A)と非摺動面117の表面張力(B)との差(A-B)が5mN/m以上であり、かつ非摺動面117の表面張力(B)が20mN/m以下であるがんぎ車235を備える。また、本実施形態の時計用部品である脱進機構230は、摺動面146と非摺動面148とを有し、摺動面146の表面張力(A)と非摺動面148の表面張力(B)との差(A-B)が5mN/m以上であり、かつ非摺動面148の表面張力(B)が20mN/m以下であるアンクル236とを備える。そのため、摺動面115,146に潤滑油を注油した際に、潤滑油に対して高い保油性能を発揮し、摺動面115,146およびその近傍に潤滑油を保持しやすくなり、摺動面115,146から潤滑油が流出しにくくなる。加えて、摺動面115,146に潤滑油を注油した際に、潤滑油が濡れ広がりにくくなり、潤滑油が蒸散しにくくなる。よって、摺動面115,146に潤滑油が存在する状態が維持されるため、脱進機構230の摩耗等による劣化を抑制し、長期にわたって安定した動作が可能となる。さらに、脱進機構230に振動が加えられても潤滑油が摺動箇所から飛散しにくくなる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る時計用部品について、図4を参照して説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る時計用部品である歯車60を示す側面図である。
図4に示すように、歯車60は、軸部51と、軸部51に固定された歯車部52とを備えている。
軸部51の第1端部53(第1ホゾ部)および第2端部54(第2ホゾ部)は、軸受(図示略)に回転可能に支持される。第1端部53および第2端部54の外周面は、軸受の内周面に対して摺動する可能性がある。軸部51の中間部55(長さ方向の中間部)の外周面は、筒かな(図示略)の内周面に対して摺動する可能性がある。すなわち、軸部51の第1端部53、第2端部54および中間部55の外周面は、歯車60の摺動面である。
また、摺動面以外の部分の軸部51の外周面が、歯車60の非摺動面である。
軸部51の第1端部53、第2端部54および中間部55の外周面(摺動面)の表面張力(A)と、これら以外の軸部51の外周面(非摺動面)の表面張力(B)との差(A-B)は、5mN/m以上であり、10mN/m以上が好ましく、13mN/m以上がより好ましく、16mN/m以上がさらに好ましい。これら歯車60の摺動面の表面張力(A)と非摺動面の表面張力(B)との差が上記下限値以上であれば、歯車60の摺動面に潤滑油を注油した際に、潤滑油に対して高い保油性能を発揮し、歯車60の摺動面およびその近傍に潤滑油を保持しやすくなる。そのため、歯車60の摺動面から潤滑油が流出しにくくなる。よって、歯車60の摺動面に潤滑油が存在する状態が維持されるため、歯車60の摩耗等による劣化を抑制し、長期にわたって安定した動作が可能となる。
歯車60の摺動面の表面張力(A)と非摺動面の表面張力(B)との差(A-B)の上限値は特に制限されない。
歯車60の非摺動面の表面張力(B)は、20mN/m以下であり、15mN/m以下が好ましく、11mN/m以下がより好ましい。歯車60の非摺動面の表面張力(B)が上記上限値以下であれば、歯車60の摺動面に潤滑油を注油した際に、潤滑油が濡れ広がりにくくなる。よって、潤滑油が蒸散しにくくなり、歯車60の摺動面に潤滑油が存在する状態が維持されるため、歯車60の摩耗等による劣化を抑制し、長期にわたって安定した動作が可能となる。
歯車60の非摺動面の表面張力(B)の下限値は特に制限されないが、8mN/mが好ましい。
歯車60の摺動面の表面張力(A)は、21mN/m以上が好ましく、23mN/m以上がより好ましく、25mN/mで以上がさらに好ましい。歯車60の摺動面の表面張力(A)が上記下限値以上であれば、潤滑油との親和性が高まり、歯車60の摺動面に潤滑油を注油した際に、潤滑油に対してより高い保油性能を発揮する。そのため、歯車60の摺動面から潤滑油がより流出しにくくなる。よって、歯車60の摺動面に潤滑油が存在する状態がより維持されるため、歯車60の摩耗等による劣化をより抑制し、長期にわたってより安定した動作が可能となる。
歯車60の摺動面の表面張力(A)の上限値は特に制限されず、潤滑油の種類に応じて決定すればよいが、例えば100mN/mが好ましい。
歯車60の摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)は、Zismanプロットにより求められる。具体的には、がんぎ車の摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)と同様にして求められる。
歯車60の摺動面の表面張力(A)は、非摺動面の表面張力(B)との差が上記範囲内であれば摺動面の全ての箇所で同じ値であってもよいし、異なっていてもよい。歯車60の非摺動面の表面張力(B)は、上記範囲内であれば非摺動面の全ての箇所で同じ値であってもよいし、異なっていてもよい。
歯車60の摺動面の表面張力(A)や非摺動面の表面張力(B)、これら表面張力の差(A-B)を上記範囲内とするには、例えば非摺動面となる箇所(被処理面)にそれぞれ撥油膜62を形成すればよい。具体的な方法は、がんぎ車の場合と同様である。
また、摺動面となる箇所(被処理面)にそれぞれ保油膜61を形成したり、非摺動面となる箇所(被処理面)に撥油膜62を形成し、かつ摺動面となる箇所(被処理面)に保油膜61を形成したりしてもよい。
保油膜61の材料等は、第1実施形態における保油膜と同様とすることができる。
撥油膜62の材料等は、第1実施形態における撥油膜と同様とすることができる。
本実施形態の時計用部品である歯車60では、摺動面の表面張力(A)と非摺動面の表面張力(B)との差(A-B)が5mN/m以上であり、かつ非摺動面の表面張力(B)が20mN/m以下であるため、歯車60の摺動面に潤滑油を注油した際に、潤滑油に対して高い保油性能を発揮し、歯車60の摺動面およびその近傍に潤滑油を保持しやすくなり、歯車60の摺動面から潤滑油が流出しにくくなる。加えて、歯車60の摺動面に潤滑油を注油した際に、潤滑油が濡れ広がりにくくなり、潤滑油が蒸散しにくくなる。よって、歯車60の摺動面に潤滑油が存在する状態が維持されるため、歯車60の摩耗等による劣化を抑制し、長期にわたって安定した動作が可能となる。さらに、歯車60に振動が加えられても潤滑油が摺動箇所から飛散しにくくなる。
なお、上述した第1実施形態に係る時計用部品を備えたムーブメントおよび時計において、図1に示す香箱車222、二番車225、三番車226および四番車227として、第2実施形態における歯車60を用いてもよい。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る時計用部品について、図5を参照して説明する。
図5は、本発明の第3実施形態に係る時計用部品である穴石75を示す斜視図および断面図であるである。
図5に示すように、穴石75は、例えば平面視において円形状とされている。穴石75は、貫通孔74を有する。穴石75は、例えばルビーなどで形成されている。
貫通孔74は、穴石75を厚さ方向に貫通して形成されている。貫通孔74は、例えば平面視において穴石75の中央に形成されている。貫通孔74は、例えば平面視において円形状とされている。貫通孔74には、例えば、軸体のホゾ部が挿入される。軸体としては、例えば、図4に示す歯車60の軸部51と同様の構成を例示できる。
穴石75の貫通孔74の内周面74aは、穴石75の摺動面である。
また、穴石75の摺動面(貫通孔74の内周面74a)以外の部分(第1面75aおよび第2面75b)が、穴石75の非摺動面である。
穴石75の貫通孔74の内周面74a(摺動面)の表面張力(A)と、第1面75aおよび第2面75b(非摺動面)の表面張力(B)との差(A-B)は、5mN/m以上であり、10mN/m以上が好ましく、13mN/m以上がより好ましく、16mN/m以上がさらに好ましい。穴石75の摺動面の表面張力(A)と非摺動面の表面張力(B)との差が上記下限値以上であれば、穴石75の摺動面に潤滑油を注油した際に、潤滑油に対して高い保油性能を発揮し、穴石75の摺動面およびその近傍に潤滑油を保持しやすくなる。そのため、穴石75の摺動面から潤滑油が流出しにくくなる。よって、穴石75の摺動面に潤滑油が存在する状態が維持されるため、穴石75の摩耗等による劣化を抑制し、長期にわたって安定した動作が可能となる。
穴石75の摺動面の表面張力(A)と非摺動面の表面張力(B)との差(A-B)の上限値は特に制限されない。
穴石75の非摺動面の表面張力(B)は、20mN/m以下であり、15mN/m以下が好ましく、11mN/m以下がより好ましい。穴石75の非摺動面の表面張力(B)が上記上限値以下であれば、穴石75の摺動面に潤滑油を注油した際に、潤滑油が濡れ広がりにくくなる。よって、潤滑油が蒸散しにくくなり、穴石75の摺動面に潤滑油が存在する状態が維持されるため、穴石75の摩耗等による劣化を抑制し、長期にわたって安定した動作が可能となる。
穴石75の非摺動面の表面張力(B)の下限値は特に制限されないが、8mN/mが好ましい。
穴石75の摺動面の表面張力(A)は、21mN/m以上が好ましく、23mN/m以上がより好ましく、25mN/mで以上がさらに好ましい。穴石75の摺動面の表面張力(A)が上記下限値以上であれば、潤滑油との親和性が高まり、穴石75の摺動面に潤滑油を注油した際に、潤滑油に対してより高い保油性能を発揮する。そのため、穴石75の摺動面から潤滑油がより流出しにくくなる。よって、穴石75の摺動面に潤滑油が存在する状態がより維持されるため、穴石75の摩耗等による劣化をより抑制し、長期にわたってより安定した動作が可能となる。
穴石75の摺動面の表面張力(A)の上限値は特に制限されず、潤滑油の種類に応じて決定すればよいが、例えば100mN/mが好ましい。
穴石75の摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)は、Zismanプロットにより求められる。具体的には、がんぎ車の摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)と同様にして求められる。
穴石75の摺動面の表面張力(A)は、非摺動面の表面張力(B)との差が上記範囲内であれば摺動面の全ての箇所で同じ値であってもよいし、異なっていてもよい。穴石75の非摺動面の表面張力(B)は、上記範囲内であれば非摺動面の全ての箇所で同じ値であってもよいし、異なっていてもよい。
穴石75の摺動面の表面張力(A)や非摺動面の表面張力(B)、これら表面張力の差(A-B)を上記範囲内とするには、例えば非摺動面となる箇所(被処理面)にそれぞれ撥油膜72,73を形成すればよい。具体的な方法は、がんぎ車の場合と同様である。
また、摺動面となる箇所(被処理面)に保油膜71を形成したり、非摺動面となる箇所(被処理面)に撥油膜72,73を形成し、かつ摺動面となる箇所(被処理面)に保油膜71を形成したりしてもよい。
保油膜71の材料等は、第1実施形態における保油膜と同様とすることができる。
撥油膜72,73の材料等は、第1実施形態における撥油膜と同様とすることができる。
本実施形態の時計用部品である穴石75では、摺動面の表面張力(A)と非摺動面の表面張力(B)との差(A-B)が5mN/m以上であり、かつ非摺動面の表面張力(B)が20mN/m以下であるため、穴石75の摺動面に潤滑油を注油した際に、潤滑油に対して高い保油性能を発揮し、穴石75の摺動面およびその近傍に潤滑油を保持しやすくなり、穴石75の摺動面から潤滑油が流出しにくくなる。加えて、穴石75の摺動面に潤滑油を注油した際に、潤滑油が濡れ広がりにくくなり、潤滑油が蒸散しにくくなる。よって、穴石75の摺動面に潤滑油が存在する状態が維持されるため、穴石75の摩耗等による劣化を抑制し、長期にわたって安定した動作が可能となる。さらに、穴石75に振動が加えられても潤滑油が摺動箇所から飛散しにくくなる。
[他の実施形態]
本発明の時計用部品は、上述したものに限定されず、例えば図6に示す日車80、図7に示す日ジャンパ90であってもよい。
図6に示す日車80において、日車歯部81のうち、日ジャンパの係合爪部が係合する係合面81aが摺動面であり、それ以外の面(非係合面81b)が非摺動面である。
図7に示す日ジャンパ90は、日車の回転方向の位置を規正するための部品であって、先端部91が自由端とされた弾性変形可能な日ジャンパばね部92を備えている。日ジャンパばね部92の先端部91には、日車の日車歯部に係合可能な係合爪部93が形成されている。このような日ジャンパ90において、係合爪部93の表面が摺動面であり、それ以外(非係合爪部94)の表面が非摺動面である。
日車80の係合面(摺動面)81aの表面張力(A)と、非係合面(非摺動面)81bの表面張力(B)との差(A-B)は、5mN/m以上であり、10mN/m以上が好ましく、13mN/m以上がより好ましく、16mN/m以上がさらに好ましい。
日ジャンパ90の係合爪部93の表面(摺動面)の表面張力(A)と、非係合爪部94の表面(非摺動面)の表面張力(B)との差(A-B)は、5mN/m以上であり、10mN/m以上が好ましく、13mN/m以上がより好ましく、16mN/m以上がさらに好ましい。
これらの摺動面の表面張力(A)と非摺動面の表面張力(B)との差(A-B)の上限値は特に制限されない。
日車80の非係合面(非摺動面)81bの表面張力(B)および日ジャンパ90の非係合爪部94の表面(非摺動面)の表面張力(B)は、20mN/m以下であり、15mN/m以下が好ましく、11mN/m以下がより好ましい。
これらの非摺動面の表面張力(B)の下限値は特に制限されないが、8mN/mが好ましい。
日車80の係合面(摺動面)81aの表面張力(A)および日ジャンパ90の係合爪部93の表面(摺動面)の表面張力(A)は、21mN/m以上が好ましく、23mN/m以上がより好ましく、25mN/mで以上がさらに好ましい。
これらの摺動面の表面張力(A)の上限値は特に制限されず、潤滑油の種類に応じて決定すればよいが、例えば100mN/mが好ましい。
日車80および日ジャンパ90の摺動面の表面張力(A)と非摺動面の表面張力(B)は、Zismanプロットにより求められる。具体的には、がんぎ車の摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)と同様にして求められる。
日車80および日ジャンパ90の摺動面の表面張力(A)は、非摺動面の表面張力(B)との差が上記範囲内であれば摺動面の全ての箇所で同じ値であってもよいし、異なっていてもよい。日車80および日ジャンパ90の非摺動面の表面張力(B)は、上記範囲内であれば非摺動面の全ての箇所で同じ値であってもよいし、異なっていてもよい。
日車80および日ジャンパ90の摺動面の表面張力(A)や非摺動面の表面張力(B)、これら表面張力の差(A-B)を上記範囲内とするには、例えば非摺動面となる箇所(被処理面)にそれぞれ撥油膜を形成すればよい。具体的な方法は、がんぎ車の場合と同様である。
また、摺動面となる箇所(被処理面)に保油膜を形成したり、非摺動面となる箇所(被処理面)に撥油膜を形成し、かつ摺動面となる箇所(被処理面)に保油膜を形成したりしてもよい。
保油膜の材料等は、第1実施形態における保油膜と同様とすることができる。
撥油膜の材料等は、第1実施形態における撥油膜と同様とすることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[基板]
基板としては、板状(縦3cm、横3cm)のニッケルめっきされた炭素鋼、または板状(縦3cm、横3cm)の酸化アルミニウムを用いた。
なお、図8に示すように、基板300の表面のうち、中央部分(縦1cm、横1cmの領域)を中心部301とし、中心部301以外を周囲部302とする。
[撥油膜の形成方法]
<撥油膜(I)の形成>
基板の所定の箇所に、乾燥後の厚さが30nm程度になるようにフッ素系処理剤(株式会社ハーベス製、商品名「HFD-1098」)を塗布し、100℃で30分乾燥させ、基板の所定の箇所に撥油膜(I)を形成した。
<撥油膜(II)の形成>
基板の所定の箇所に、乾燥後の厚さが150nm程度になるようにフッ素系処理剤(AGCセイミケミカル株式会社製、商品名「SFE-MS01」、SFE Solventの600倍希釈液)を塗布し、100℃で30分乾燥させ、基板の所定の箇所に撥油膜(II)を形成した。
<撥油膜(III)の形成>
基板の所定の箇所以外の表面をマスクした後、フッ素系処理剤(Moebius社製、商品名「Fixodrop ES/BS-10」)に浸漬させた。次いで、基板をフッ素系処理剤から引き上げ、マスクを剥がして、基板の所定の箇所に厚さが10nm程度の撥油膜(III)を形成した。
<撥油膜(IV)の形成>
基板の所定の箇所に、フッ素系処理剤(ポリテトラフルオロエチレン)を蒸着させ、基板の所定の箇所に厚さが200nm程度の撥油膜(IV)を形成した。
[保油膜の形成方法]
<保油膜(V)の形成>
トリエトキシ-n-オクチルシラン(前記一般式(4)で表される化合物)と、水と、酢酸とをモル比で、トリエトキシ-n-オクチルシラン:水:酢酸=10:15:1となるように混合し、80℃で8時間撹拌し、保油処理剤を調製した。
基板の所定の箇所に、乾燥後の厚さが300nm程度になるように保油処理剤を塗布し、150℃で1時間乾燥させ、基板の所定の箇所に保油膜(V)を形成した。
<保油膜(VI)の形成>
ブチルトリメトキシシラン(前記一般式(3)中、Mがケイ素であり、Rがブチル基であり、Y、YおよびXがメトキシ基である化合物)と、水と、酢酸とをモル比で、ブチルトリメトキシシラン:水:酢酸=10:15:1となるように混合し、80℃で1時間撹拌し、保油処理剤を調製した。
基板の所定の箇所に、乾燥後の厚さが300nm程度になるように保油処理剤を塗布し、150℃で1時間乾燥させ、基板の所定の箇所に保油膜(VI)を形成した。
[実施例1-1]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に撥油膜(I)を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301の表面を摺動面とし、撥油膜(I)の表面を非摺動面とする。すなわち、摺動面はニッケルめっきされた炭素鋼の表面(Niめっき)である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を以下のようにして測定した。結果を表1に示す。
また、得られた試験片について、以下のようにして評価した。結果を表1に示す。
<表面張力の測定方法>
摺動面の表面張力(A)は、Zismanプロットにより求めた。
まず、表面張力の異なる複数の試験液を摺動面上に滴下して液滴を形成させ、液滴と摺動面との接触角(θ)を測定し、cosθを算出した。次いで、各試験液の表面張力を横軸、cosθを縦軸にプロットしてZismanプロットを作成し、近似一次直線上でcosθ=1となるときの表面張力の値を求めた。摺動面の異なる5か所について同様の操作を行ってZismanプロットを作成し、近似一次直線上でcosθ=1となるときの表面張力の値を求め、その平均値を摺動面の表面張力(A)とした。なお、液滴の形成および接触角(θ)の測定は25℃で行った。
試験液としては、ペンタン、ヘプタデカン、ヨードシクロヘキサン、エチレングリコール、ホルムアミド、ジヨードメタン、グリセリン、蒸留水を用いた。
非摺動面の表面張力(B)についても、測定箇所を摺動面から非摺動面に変更した以外は、摺動面の表面張力(A)と同様にして測定した。
<評価方法>
図9(a)に示すように、試験片303の摺動面304および非摺動面305が水平の状態で、摺動面304の中心に潤滑油(Moebius社製、商品名「SYNT-A-LUBE」、25℃における表面張力:32.7mN/m)306を滴下した。次いで、幅0.8mmの棒材を用いて摺動面304上の潤滑油306を横方向に3cm幅で摺動往復させた。摺動往復100回後の潤滑油306の状態を目視にて確認し、以下の評価基準にて評価した。
○:図9(b)に示すように、潤滑油306が摺動面304上のみに残っている。
△:図9(c)に示すように、潤滑油306が摺動領域に広がっている。
×1:図9(d)に示すように、潤滑油306が非摺動面305上のみに偏って広がっている。
×2:図9(e)に示すように、潤滑油306が試験片303の全面に広がっている。
×3:図9(f)に示すように、潤滑油306が摺動領域の両端部のみに移動している。
×4:図9(g)に示すように、潤滑油306が摺動領域に広がっているが、摺動面304上には残っていない。
[実施例1-2~1-4]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に表1に示す種類の撥油膜を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301の表面を摺動面とし、撥油膜の表面を非摺動面とする。すなわち、摺動面はニッケルめっきされた炭素鋼の表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表1に示す。
[比較例1-1]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用い、これを試験片とした。基板300の中心部301の表面を摺動面とし、周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、摺動面および非摺動面はニッケルめっきされた炭素鋼の表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表1に示す。
[比較例1-2、1-3]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に表1に示す種類の保油膜を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301の表面を摺動面とし、保油膜の表面を非摺動面とする。すなわち、摺動面はニッケルめっきされた炭素鋼の表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表1に示す。
[実施例2-1~2-4]
基板として酸化アルミニウムを用いた。
基板300の周囲部302に表2に示す種類の撥油膜を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301の表面を摺動面とし、撥油膜の表面を非摺動面とする。すなわち、摺動面は酸化アルミニウムの表面(アルミナ)である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表2に示す。
[比較例2-1]
基板として酸化アルミニウムを用い、これを試験片とした。基板300の中心部301の表面を摺動面とし、周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、摺動面および非摺動面は酸化アルミニウムの表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表2に示す。
[比較例2-2、2-3]
基板として酸化アルミニウムを用いた。
基板300の周囲部302に表2に示す種類の保油膜を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301の表面を摺動面とし、保油膜の表面を非摺動面とする。すなわち、摺動面は酸化アルミニウムの表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表2に示す。
[実施例3-1~3-4]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に表3に示す種類の撥油膜を形成した後、中心部301に保油膜(V)を形成し、試験片を得た。保油膜(V)の表面を摺動面とし、撥油膜の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表3に示す。
[比較例3-1]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の中心部301に保油膜(V)を形成し、試験片を得た。保油膜(V)の表面を摺動面とし、基板300の周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、非摺動面はニッケルめっきされた炭素鋼の表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表3に示す。
[比較例3-2]
基板として酸化アルミニウムを用いた。
基板300の中心部301に保油膜(V)を形成し、試験片を得た。保油膜(V)の表面を摺動面とし、基板300の周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、非摺動面は酸化アルミニウムの表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表3に示す。
[比較例3-3]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の表面全体に保油膜(V)を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301上の保油膜(V)の表面を摺動面とし、周囲部302上の保油膜(V)の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表3に示す。
[比較例3-4]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に保油膜(VI)を形成した後、中心部301に保油膜(V)を形成し、試験片を得た。保油膜(V)の表面を摺動面とし、保油膜(VI)の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表3に示す。
[実施例4-1~4-4]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に表4に示す種類の撥油膜を形成した後、中心部301に保油膜(VI)を形成し、試験片を得た。保油膜(VI)の表面を摺動面とし、撥油膜の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表4に示す。
[比較例4-1]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の中心部301に保油膜(VI)を形成し、試験片を得た。保油膜(VI)の表面を摺動面とし、基板300の周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、非摺動面はニッケルめっきされた炭素鋼の表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表4に示す。
[比較例4-2]
基板として酸化アルミニウムを用いた。
基板300の中心部301に保油膜(VI)を形成し、試験片を得た。保油膜(VI)の表面を摺動面とし、基板300の周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、非摺動面は酸化アルミニウムの表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表4に示す。
[比較例4-3]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に保油膜(V)を形成した後、中心部301に保油膜(VI)を形成し、試験片を得た。保油膜(VI)の表面を摺動面とし、保油膜(V)の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表4に示す。
[比較例4-4]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の表面全体に保油膜(VI)を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301上の保油膜(VI)の表面を摺動面とし、周囲部302上の保油膜(VI)の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表4に示す。
[比較例5-1]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の表面全体に撥油膜(I)を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301上の撥油膜(I)の表面を摺動面とし、周囲部302上の撥油膜(I)の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表5に示す。
[比較例5-2~5-4]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に表5に示す種類の撥油膜を形成した後、中心部301に撥油膜(I)を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301上の撥油膜(I)の表面を摺動面とし、周囲部302上の撥油膜の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表5に示す。
[比較例5-5]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の中心部301に撥油膜(I)を形成し、試験片を得た。撥油膜(I)の表面を摺動面とし、基板300の周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、非摺動面はニッケルめっきされた炭素鋼の表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表5に示す。
[比較例5-6]
基板として酸化アルミニウムを用いた。
基板300の中心部301に撥油膜(I)を形成し、試験片を得た。撥油膜(I)の表面を摺動面とし、基板300の周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、非摺動面は酸化アルミニウムの表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表5に示す。
[比較例5-7、5-8]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に表5に示す種類の保油膜を形成した後、中心部301に撥油膜(I)を形成し、試験片を得た。撥油膜(I)の表面を摺動面とし、保油膜の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表5に示す。
[比較例6-1、6-3、6-4]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に表6に示す種類の撥油膜を形成した後、中心部301に撥油膜(II)を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301上の撥油膜(II)の表面を摺動面とし、周囲部302上の撥油膜の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表6に示す。
[比較例6-2]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の表面全体に撥油膜(II)を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301上の撥油膜(II)の表面を摺動面とし、周囲部302上の撥油膜(II)の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表6に示す。
[比較例6-5]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の中心部301に撥油膜(II)を形成し、試験片を得た。撥油膜(II)の表面を摺動面とし、基板300の周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、非摺動面はニッケルめっきされた炭素鋼の表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表6に示す。
[比較例6-6]
基板として酸化アルミニウムを用いた。
基板300の中心部301に撥油膜(II)を形成し、試験片を得た。撥油膜(II)の表面を摺動面とし、基板300の周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、非摺動面は酸化アルミニウムの表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表6に示す。
[比較例6-7、6-8]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に表6に示す種類の保油膜を形成した後、中心部301に撥油膜(II)を形成し、試験片を得た。撥油膜(II)の表面を摺動面とし、保油膜の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表6に示す。
[比較例7-1、7-2、7-4]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の中心部301に撥油膜(III)を形成した後、周囲部302に表7に示す種類の撥油膜を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301上の撥油膜(III)の表面を摺動面とし、周囲部302上の撥油膜の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表7に示す。
[比較例7-3]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の表面全体に撥油膜(III)を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301上の撥油膜(III)の表面を摺動面とし、周囲部302上の撥油膜(III)の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表7に示す。
[比較例7-5]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の中心部301に撥油膜(III)を形成し、試験片を得た。撥油膜(III)の表面を摺動面とし、基板300の周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、非摺動面はニッケルめっきされた炭素鋼の表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表7に示す。
[比較例7-6]
基板として酸化アルミニウムを用いた。
基板300の中心部301に撥油膜(III)を形成し、試験片を得た。撥油膜(III)の表面を摺動面とし、基板300の周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、非摺動面は酸化アルミニウムの表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表7に示す。
[比較例7-7、7-8]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の中心部301に撥油膜(III)を形成した後、周囲部302に表7に示す種類の保油膜を形成し、試験片を得た。撥油膜(III)の表面を摺動面とし、保油膜の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表7に示す。
[比較例8-1~8-3]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に表8に示す種類の撥油膜を形成した後、中心部301に撥油膜(IV)を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301上の撥油膜(IV)の表面を摺動面とし、周囲部302上の撥油膜の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表8に示す。
[比較例8-4]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の表面全体に撥油膜(IV)を形成し、試験片を得た。基板300の中心部301上の撥油膜(IV)の表面を摺動面とし、周囲部302上の撥油膜(IV)の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表8に示す。
[比較例8-5]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の中心部301に撥油膜(IV)を形成し、試験片を得た。撥油膜(IV)の表面を摺動面とし、基板300の周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、非摺動面はニッケルめっきされた炭素鋼の表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表8に示す。
[比較例8-6]
基板として酸化アルミニウムを用いた。
基板300の中心部301に撥油膜(IV)を形成し、試験片を得た。撥油膜(IV)の表面を摺動面とし、基板300の周囲部302の表面を非摺動面とする。すなわち、非摺動面は酸化アルミニウムの表面である。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表8に示す。
[比較例8-7、8-8]
基板としてニッケルめっきされた炭素鋼を用いた。
基板300の周囲部302に表8に示す種類の保油膜を形成した後、中心部301に撥油膜(IV)を形成し、試験片を得た。撥油膜(IV)の表面を摺動面とし、保油膜の表面を非摺動面とする。
摺動面の表面張力(A)および非摺動面の表面張力(B)を実施例1-1と同様にして測定した。また、得られた試験片について、実施例1-1と同様にして評価した。これらの結果を表8に示す。
Figure 0007232683000005
Figure 0007232683000006
Figure 0007232683000007
Figure 0007232683000008
Figure 0007232683000009
Figure 0007232683000010
Figure 0007232683000011
Figure 0007232683000012
表1~8から明らかなように、各実施例の場合、潤滑剤を摺動させても潤滑油が摺動面上のみに残っており、潤滑油を保持する性能に優れていた。
対して、各比較例の場合、潤滑剤を摺動させると潤滑剤が広がったり、摺動領域の両端部のみに移動したりしやすく、潤滑油の保持性能に劣っていた。
60・歯車(時計用部品)、61,71,116,147・保油膜、62,72,73,118,149・撥油膜、75・穴石(時計用部品)、74a・内周面(摺動面)、75a・第1面(非摺動面)、75b・第2面(非摺動面)、81a・係合面(摺動面)、81b・非係合面(非摺動面)、115,146,304・摺動面、117,148,305・非摺動面、201・機械式時計、210・ムーブメント、235・がんぎ車(時計用部品)、236・アンクル(時計用部品)、230・脱進機構(時計用部品)、222・香箱車(時計用部品)、225・二番車(時計用部品)、226・三番車(時計用部品)、227・四番車(時計用部品)、80・日車(時計用部品)、90・日ジャンパ(時計用部品)。

Claims (4)

  1. 摺動面と非摺動面とを有し、
    前記摺動面の表面張力(A)と前記非摺動面の表面張力(B)との差(A-B)が13.3mN/m以上であり、
    かつ、前記非摺動面の表面張力(B)が10.8mN/m以下である、時計用部品。
  2. 前記摺動面の表面張力(A)が24.1mN/m以上である、請求項1に記載の時計用部品。
  3. 請求項1または2に記載の時計用部品を備えた、ムーブメント。
  4. 請求項3に記載のムーブメントを備えた、時計。
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