JPH032951B2 - - Google Patents

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JPH032951B2
JPH032951B2 JP10177581A JP10177581A JPH032951B2 JP H032951 B2 JPH032951 B2 JP H032951B2 JP 10177581 A JP10177581 A JP 10177581A JP 10177581 A JP10177581 A JP 10177581A JP H032951 B2 JPH032951 B2 JP H032951B2
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lubricating
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Takeshi Yajima
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、潤滑・耐摩耗精密摺動部品に係わり
特に、摺動部品の表面をあらかじめ極微細多孔性
皮膜で被覆した後、Siのアルコキシ化合物と、ア
ルコキシチタンと、固体潤滑性微粒子とを含む有
機溶媒の溶液を塗布し、焼成固化した被膜を形成
させることによつて、潤滑性と耐摩耗性を付与し
た精密摺動部品に関する。
本発明の目的は、高度な潤滑性及び耐摩耗性を
有する被膜を、均一厚みに、しかも簡便な方法で
精密摺動部品の全面もしくは摩擦摺動部に形成す
ることにより、完全無注油状態で駆動する精密機
械、ことに携帯用等の時計を提供することにあ
る。
従来、精密機械部品の摩擦摺動部には潤滑性及
び耐摩耗性を付与し、機械精度の長期維持を目的
として潤滑油が使用されている。しかし、潤滑油
の使用は、油の摺動部以外へ拡散あるいは低温下
における潤滑能力の低下、あるいは、経時的な化
学変化による潤滑能力の低下など精密機械の精度
を長期間に渡つて維持するためには不都合な点が
多い。また、精密機械の組立の合理化、市場にお
ける間欠的な注油作業の廃止など、各方面でオイ
ルレス潤滑処理技術の開発が希求されている。こ
のような観点から、これまで種々の固体潤滑処理
が検討されてきた。たとえば、MoS2,WS2,グ
ラフアイト,BN,(CF)n,PTFEなどの微粉
末を、有機バインダー、無機バインダーを用いて
摩擦摺動部品の表面に被膜形成する方法、あるい
は、固体潤滑性物質を蒸着、スパツタリング、イ
オンプレーテイングなどで被膜形成する方法、あ
るいは、潤滑性微粉末を硬質メツキ中に共析させ
皮膜化する方法などが検討された。また、耐摩耗
性を向上させる目的で表面を窒化する方法、ある
いは、超硬質化合物を被膜形成する方法などで表
面化処理を施こすことも検討された。しかし、い
づれの方法も精密摺動部品に適用する場合、必要
とする寸法精度で被膜厚みをコントロールするこ
とが不可能なことや、厳しい摩擦条件、たとえば
低速高荷重使用条件下(アナログ水晶腕時計の表
輪列の場合、側圧が約10〜20Kg/mm2、周速度が
0.08mm/sec)での潤滑被膜の寿命が、きわめて
短かいという問題がある。寿命の短かい主な原因
は、潤滑性物質の摩滅とともに、摺動部素材とと
の密着力が不足していることによるハク離摩耗現
象と考えることができる。さらに従来の潤滑処理
技術、とりわけ真空装置を用いる方法において
は、高価な装置を必要とすること、被処理部品を
治具などに脱着する工数がが大きいこと、バツチ
処理であるため量産化が難かしいことなどコスト
的にも不利である。以上の欠点により従来の処理
技術を精密摺動部品に適用実用化することは困難
であつた。
本発明はかかる従来の技術の欠点を完全に解決
するもので、摺動部品の表面をあらかじめ極微細
多孔性皮膜で被覆した後、その表面にSiのトリア
ルコキシ化合物とアルコキシチタンと固体潤滑性
微粒子を適当な有機溶媒に溶解分散せしめた処理
液をコーテイングし、加熱することにより、高度
な潤滑性と耐摩耗性を長期間に渡つて有する均一
複合被膜を形成したものである。これによつて従
来の潤滑処理では得られなかつた潤滑性能を付与
し、摩擦摺動部の完全無注油化を可能ならしめた
ものである。本発明をさらに詳述すれば、本発明
の潤滑処理は上記した様に2段階の工程から構成
されている。第1図に示す様に1段階は、摺動部
品1の表面に極微細な多孔性皮膜2が形成され
る。この皮膜は、2段階目に形成される固体潤滑
性微粒子4を分散した潤滑被膜3の耐摩耗性を向
上させる効果を有する多孔性皮膜の形成方法、材
質、厚み孔の大きさは、摺動部品の材質、使用環
境、使用する固体潤滑微粒子の大きさから選択す
ることができる。形成方法としては、部品表面自
体を多孔質化する方法と、部品表面に多孔質皮膜
を付着形成する方法がある。前者の例として、サ
ンドブラストなどの物理的方法、化学エツチング
による方法、Al、Ti等の陽極酸化処理方法があ
る。後者の例として、Al,Ti等を真空法で部品
表面に皮膜化した後陽極酸化する方法、Ni,Ni
−Co,Cr等の電解メツキ法、Ni−P,Ni−B,
Ni−Co,Co−W等の無電解メツキ法などであ
る。又、皮膜材質は、高硬度なものが耐摩耗性の
点から必要であり、ビツカース硬度200以上が望
ましく、前述した陽極酸化膜、電解メツキ皮膜、
無電解メツキ皮膜のいづれも適正な多孔性皮膜で
ある。孔の大きさは、入手可能な固体潤滑微粒子
の大きさを考慮すれば1μ〜0.01μが望ましい。2
段階目の工程で形成する固体潤滑性微粒子4を分
散した潤滑被膜3は、有機金属化合物の1種もし
くは2種以上と、固体潤滑性微粒子と適当な有機
溶媒からなる処理液を、スプレー、浸漬、スピン
ナーなどの一般的に用いられらる塗布方法でコー
テイングした後、加熱することによつて得られ
る。一般に考えられる有機金属化合物としては、
b亜族および8族元素、3族a亜族、4族a亜
族、5族a亜族の各元素のアルキル化合物、アル
コキシ化合物、アシレート化合物、キレート化合
物、チオラート化合物などの1種もしくは2種以
上の混合物、反応物が使用される。これらの有機
金属化合物の中でAl(OC3H43,In(OC4H93など
の3族a亜族元素、CH3Si(OCH33,Si
(OCH34,Sn(OC4H94,Pb(OC8H174などの4
族a亜族元素Sb(OC2H55などの5族a亜族元
素、C4H9COOTi(OC4H93,Ti(OC8H174,Zr
(OC4H94などの4族b亜族元素の各アルコキシ
化合物は比較的容易に被膜形成可能な化合物群で
ある。金属アルコキシ化合物は熱分解反応もしく
は、加水分解反応と熱分解反応の併用反応によつ
て被膜形成すると同時に、被処理部表面に存在す
る水酸基(−OH)、吸着水と化学結合し、強固
な密着性が得られる。しかも、金属アルコキシ化
合物の種類、組み合せ組成、濃度加熱条件を選択
することにより軟質被膜から硬質被膜まで均一厚
みで付与出来る。
このなかで、チタンを除く金属アルコキシ化合
物とアルコキシチタンとの組合せは、アルコキシ
チタンが加水分解しやすいことから、他の加水分
解触媒例えば塩酸や硫酸などの水溶液を加えなく
ても容易に他の金属アルコキシ化合物を加水分解
させる触媒的な働きをするので、錆びやすい鉄部
品や、その他腐食されやすい金属などに用いるの
に適している。一方、これらの被膜に分散させる
固体潤滑性微粒子としては、二硫化モリブデン、
二硫化タングステン、窒化ほう素、黒鉛、ふつ化
黒鉛、合成樹脂、金属酸化物などがあり、これら
の固体潤滑性微粒子を単独もしくは必要によつて
は二種以上の組み合せで使用する。分散量は有機
金属化合物の総量に対して1wt%〜90wt%の範囲
で使用される。これらの固体潤滑性微粒子は精密
摺動部品に使用されるためには、寸法精度上出来
るだけ細かいものが良く0.01μ〜0.5μ範囲が使い
易い。以上の各被膜成分を溶解、分散せしめる有
機溶媒は各種タイプが使用可能である。例えば、
メタノール、エタノール、イソプロパノールなど
のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン
などのケトン類、酢酸メチルエステル、酢酸エチ
ルエステルなどのエステル類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族類、塩化メチレン、
1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2−ト
リクロロ、1,2,2−トリフルオロエタンなど
のハロゲン化炭化水素類などが単独もしくは混合
されて使用される。皮膜化反応を速進させる目的
でそれらの有機溶媒中に塩酸、硫酸、酢酸、リン
酸などの酸類を少量添加してもよい。処理液の組
成、濃度、加熱条件を選択することにより軟質皮
膜から硬質被膜まで任意の厚みで形成可能であ
る。それらの各条件は被処理部の素材材質寸法精
度、要求潤滑性能などによつて任意に調整すれば
よい。アナログ水晶腕時計の摩擦摺動部品に適用
する場合は、多孔性皮膜混0.1μ〜4μ、潤滑被膜厚
0.1〜2μ程度の範範で、形成条件60℃〜250℃、5
分〜120分で形成すれば動摩擦係数μ=0.05〜
0.30、硬さは鉛筆硬度3H〜9H以上の被膜が得ら
れ、実用潤滑寿命は充分確保される。他の精密機
械の摩擦摺動部についても適正な被膜厚、形成条
件の選択によつて良好な潤滑性能が得られる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明す
る。
実施例 1 アナログ水晶時計の表輪列部品である。炭素鋼
(C:1%)製ローターカナをビツカース硬度700
に熱処理し、さらに腐蝕防止を主目的として、無
電解ニツケルメツキを0.5μ厚でその表面に形成し
た。さらに下記組成、電解条件によつてNi−Co
合金メツキを行なつた。
<浴組成> 硫酸ニツケル 180g/ 硫酸コバルト 40g/ 塩化コバルト 15g/ 塩化アンモン 25g/ 硼 酸 10g/ <電着条件> 浴温度 30℃ 電流密度 2A/dm2 時 間 15min メツキ厚は2μmで、その表面は第2図に示す様
に多孔質面であることが確認された。該時計部品
を下記組成の処理液Aに室温で2分間浸漬ししか
るのち60℃、10分間溶剤乾燥し、200℃60分間焼
成した。
<処理液A組成> γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 3g γ−グリシジルプロピルトリエトキシシラン6g テトラエトキシシラン 1g テトラブトキシチタン 1g (CF)n(平均粒径0.03μ) 4g イソプロピルアルコール 100ml 処理されたローターカナの被膜厚約3000Åであ
つた。又、該処理部品を200℃に加熱した後、0
℃の冷水中に急冷し外観観察したところ全くクラ
ツクが発生せず強固な密着性であることが確認さ
れた。この被膜の摩擦係数を測定するために振子
型油性摩擦試験機用テストピースにローターカナ
と同様の処理を行ない測定したところ摩擦係数μ
=0.12であつた。このようなローターカナをアナ
ログ水晶時計に組込み32倍の加速で輪列耐久試験
を行なつて、印加電圧1.58Vでの2番車における
出力トルク(以下出力トルクと略記)及び腕時計
が駆動を停止する限界印加電圧である作動停止電
圧の経時変化を測定した。その結果を第3図、及
び第4図に示す。第3図は、本発明の潤滑処理を
施こしたローターカナを組み込んだ腕時計Aと、
Ni−Co合金メツキを形成せず無電解ニツケルメ
ツキ上に直接処理液Aを処理したローターカナを
組み込んだ腕時計Bと潤滑油((SYNT−A−
LUBE(スイス、メービス社製)))をローターの
上下柄に注油した腕時計Cと、二硫化モリブデン
を1μ厚でスパツタコーテイングしたローターカ
ナを組み込んだ腕時計Dを32倍加速で駆動したと
きの出力トルクの経時変化を定期的に測定した結
果を示す。また第4図は同じく32倍加速で駆動し
たときの作動停止電圧を定期的に測定した結果を
示す。第3図から明らかなように、ローターの上
下柄に注油した腕時計Cの出力トルクは、除々に
低下し6年目頃から規格水準より低くなる。ま
た、二硫化モリブデンスパツタ膜によるローター
カナを組み込んだ腕時計Dは、その出力トルクが
3年目頃から規格値を下まわり以降急速に低下し
ている。一方、腕時計Bは腕時計C,Dに比べ耐
久性が向上しているが、約8年で規格値を下まわ
つている。それに対して本発明による処理を施こ
した腕時計Aは、10年経過時においても規格値内
にあり格段に耐久性のある潤滑処理であることが
確認された。また、第4図に示されるように作動
停止電圧の変化においても、本発明による潤滑処
理をその表面に施こしたローターカナを組み込ん
だ腕時計Aは長期間、初期水準を維持することが
確認された。
実施例 2 実施例1で使用したと同様のローターカナを下
記組成の処理液Bに室温で4分間浸漬し、しかる
後60℃で10分間溶剤乾燥し、その後に150℃で60
分間焼成した。
<処理液B組成> メチルトリメトキシシラン 3g テトラエトキシシラン 2g テトラブトキシ鉛 10g テトラブトキシチタン 1g (CF)n(平均粒径0.05μ) 3g MoS2(平均粒径0.2μ) 1g アセトン 50ml イソプロピルアルコール 50ml 上記処理液で処理されたローターカナの被膜厚
は約0.5μmであつた。また密着性も良好で動摩擦
係数はμ=0.14であつた。このようなローターカ
ナを腕時計に組み込み実施例1と同様に輪列耐久
試験を行ない、出力トルク及び作動停止電圧の経
時変化を観察した。その結果を第3図、及び第4
図における腕時計A′によつて示す。図から明ら
かな本実施例によるローターカナを組み込んだ腕
時計A′は、実施例1による腕時計Aと同様、出
力トルク、作動停止電圧共に長期間にわたつて規
格値を完全にクリアし、メインテナンスフリーな
潤滑特性であることが確認できた。
実施例 3 アナログ水晶腕時計の切換え部品であり、炭素
鋼(C:0.5%)でHv600に熱処理したオシドリ
とカンヌキ押エの表面に下記浴成分、電着条件に
より多孔性クロムメツキ皮膜を形成した。
<クロムメツキ浴成分> CrO3 30% HNO3 5% Ba 2000ppm F 500ppm CH3COOH 微量 <電着条件> 浴温度 −10℃ 電流密度 1A/dm2 時 間 30min メツキ厚は1.5μmで、その表面は電子顕微鏡観
察ししたところ微細孔が多数存在することが確認
出来た。該時計部品を実施例2と同様の処理液B
を用いて室温で4分間浸漬後60℃で10分間溶剤を
乾燥し、さらに200℃で60分間焼成して皮膜を形
成した。被膜厚は約0.5μであつた。密着性及び動
摩擦係数は実施例2と同等な水準であつた。この
ように処理された部品を腕時計に組み込み、巻真
の引き出し、押し込みに要する力、すなわち切換
力を測定した。腕時計の通常使用条件下では、切
換え操作を1年間に100回行なわれるものとして、
10年分の切換え操作を行なつてその間の切換力の
変化を第5図に示した。Aは本実施例により処理
した部品を組み込んだ腕時計の切換力を示す。B
は多孔性クロムメツキ皮膜を形成せず無電解ニツ
ケルメツキ上に処理液Bを処理した部品を組み込
んだ腕時計の切換力を示す。Cは潤滑性((
SYNT−A−LUBE(スイス・メービス社製)))
をオシドリとカンヌキ押エの係合部に注油した腕
時計の切換力の変化、Dは二硫化モリブデンを
1μ厚にスパツタコートした部品を組み込んだ腕
時計の切換力の変化を示す。図から明らかなよう
に、腕時計Dは3年分の耐久経過時に規格値をオ
ーバーし、5年分経過時には切換操作が困難なま
でになつた。また、腕時計Cは、5年分経過時で
規格値をオーバーし、その後も増加している。7
年分の耐久後、C,Dの腕時計から該部品を取り
出し摩擦部の外観を観密したところ素地材料が露
出しており潤滑効果が全く消滅していることが確
認された。一方腕時計Bは7年分の耐久は確保さ
れているが、8年分以降切換力は規格値をオーバ
ーしている。それに対して、本発明の処理による
腕時計Aは10年分耐久後も切換力は規格値内にあ
り潤滑効果を長期間維持できることが確認され
た。
実施例 4 カレンダー表示腕時計の構成部品であるAl製
の日車に強度の向上と、表面の多孔質化を目的と
してアルマイト処理を施こした。該部品と同じく
カレンダー表示腕時計の構成部品であるリン青銅
製の日躍制レバーに電解ニツケルメツキを0.5μ厚
で形成した後実施例1と同様の条件でNi−Co合
金メツキを2μ厚で形成した。これら2部品を実
施例1と同じ処理液Aに、室温で2分間浸漬し、
しかる後に60℃で10分間溶剤の乾燥を行ない200
℃で60分間焼成した。処理された日車と日躍制レ
バーの被膜厚は約0.3μであつた。また密着性は良
好で、動摩擦係数は0.15であつた。このような処
理部品を腕時計に組み込み2番車における日送り
トルクを測定した。さらに10年間使用相当分の日
送り耐久(日車1回転/月として120回転)を行
ない、そのときの2番車における日送りトルクの
初期値に対する相対変化を測定した。その結果を
第6図に示す。第6図で、本潤滑処理を施こした
日車と日躍制レバーを組み込んだ腕時計の日送り
トルクの相対変化をA、潤滑油((エルジン
M56B(スイス・ベルジユン社製)))を日車と日
躍制レバーの摩擦摺動部に注油した腕時計の日送
りトルクの相対変化をB、両部品の表面にMoS2
を1μ厚でスパツタコーテイングした腕時計の日
送りトルクの相対変化をCで示す。図から明らか
なように、腕時計Bの日送りトルクの変化は、5
年分の耐久までは初期とほとんど変わりなく安定
しているが、それを過ぎると徐々に上昇し10年の
耐久で初期の約2倍になつてしまう。また、腕時
計Cの日送りトルクの変化は2.5年の耐久で初期
の2/3の値になり、さらに耐久を繰り返すとその
値は急激に上昇し、10年の耐久で初期の約3倍に
なり、非常に変動が激しいことがわかる。それに
較べて本発明による腕時計Aは長期間日送りトル
クが安定していることが確認された。
以上の通り、本発明によれば極微細多孔性皮膜
で被覆された精密摺動部品の表面に、Siのアルコ
キシ化合物と、アルコキシチタンと、固体潤滑性
微粒子とを含む有機溶媒の溶液を塗布し、焼成固
化された被膜が形成されているので、 例えば、Siのアルコキシ化合物を加水分解する
ときに酸などの触媒を使用していないため、前述
の固化された被膜に酸などが残ることもなく、ま
た被膜の形成過程でも酸を用いていないので精密
摺動部品の素地を腐食したり、発錆させたりする
こともなく、また極微細多孔性皮膜にしつかり密
着した固化された被膜を形成させることができる
ので、潤滑特性を長期間にわたつて安定して保持
させることができ、従来の潤滑処理では得られな
かつた極めてすぐれた潤滑被膜を得ることができ
る。実施例ではアナログ水晶腕時計の部品への適
用のみを述べたが、本発明によれば潤滑油の使用
もしくは他の固体潤滑処理を施こしている全ての
精密機器の摺動部品に適用可能であり、それによ
つて従来の潤滑処理の欠点である間欠的な注油の
必要性、寸法のバラツキ、耐久における初期品質
の劣化などの問題が完全に解決される。精密機器
としては、腕時計の他、カメラなどの光学機器、
カセツトテープレコーダー、ビデオテープレコー
ダーなどの電子機器、あるいは医療機器、事務機
器、端末機器などが例として挙げられる。
本発明による高度な潤滑効果は、下地素材が金
属に限定されるものではなく、セラミツク、高分
子材料などあらゆる素材に対しても得られるもの
である。
以上の様に本発明の潤滑処理を精密摺動部品に
施こすことにつて各種精密機器の信頼性が長期間
確保可能となつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による潤滑処理の概要図であ
る。 1:摺動部品の表面の断面、2:本発明による
多孔性皮膜の断面、3:本発明による潤滑被膜の
断面、4:固体潤滑性微粒子。 第2図は、Ni−Co合金メツキによる多孔性皮
膜表面の電子顕微鏡写真である。倍率は1万倍。
第3図は、本発明による潤滑処理を施こしたロー
ターカナを組み込んだアナログ水晶腕時計A,
A′と他の潤滑処理を施こしたローターカナを組
み込んだアナログ水晶腕時計B,C,Dを32倍加
速で駆動したときの出力トルクの変化を定期的に
測定した結果を示す。 A:本発明の実施例1による処理を施こしたロ
ーターカナを組み込んだアナログ水晶腕時計、
A′:本発明の実施例2による処理を施こしたロ
ーターカナを組み込んだアナログ水晶腕時計、
B:多孔性皮膜を形成しない表面に実施例1と同
様の潤滑被膜を施こしたローターカナを組み込ん
だアナログ水晶腕時計、C:潤滑油をローターカ
ナの上下柄に注油したアナログ水晶腕時計、D:
二硫化モリブデンをスパツタコートしたローター
カナを組み込んだアナログ水晶腕時計。 第4図は、第3図と同様の潤滑処理を施こした
ローターカナを組み込んだアナログ水晶腕時計を
32倍加速で駆動したときの作動停止電圧の変化を
定期的に測定した結果を示す。第5図は、本発明
における潤滑処理を施こしたオシドリとカンヌキ
押エを組み込んだアナログ水晶腕時計Aと、他の
潤滑処理を施こしたオシドリとカンヌキ押エを組
み込んだアナログ水晶腕時計B,C,Dの切換力
の耐久による変化を定期的に測定した結果を示
す。 A:本発明による処理を施こしたオシドリとカ
ンヌキ押エを組み込んだアナログ水晶腕時計、
B:多孔性皮膜を形成しない表面に実施例2と同
様の潤滑被膜を施こしたオシドリ、カンヌキ押エ
を組み込んだアナログ水晶腕時計、C:潤滑油を
オシドリとカンヌキ押エの係合部に注油したアナ
ログ水晶腕時計、D:二硫化モリブデンをスパツ
タコートしたオシドリとカンヌキ押エを組み込ん
だアナログ水晶腕時計。 第6図は、日車と日躍制レバーの両部品または
日躍制レバーだけの摩擦摺動部に各種潤滑処理を
施こしたときの日送り耐久による日送りトルクの
初期値に対する相対変化を示す。 A:本発明の実施例1による処理を施こした日
車と日躍制レバーを組み込んだ腕時計の日送りト
ルクの相対変化、C:潤滑油を注油した腕時計の
日送りトルクの相対変化、D:二硫化モリブデン
をスパツタコートした日車と日躍制レバーを組み
込んだ腕時計の日送りトルクの相対変化。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 極微細多孔性皮膜で被覆された精密摺動部品
    の表面に、Siのアルコキシ化合物と、アルコキシ
    チタンと、固体潤滑性微粒子とを含む有機溶媒の
    溶液を塗布し、焼成固化した被膜が形成されたこ
    とを特徴とする精密摺動部品。
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