JP2006266700A - 時計 - Google Patents
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Abstract
【課題】 時差修正の状態から通常の運針状態に移行する際に、時針、分針の指示誤差をなくす。
【解決手段】 時計10は、巻真30と、巻真30を操作することによって、ぜんまいを巻き上げる第1の状態と、時差修正を行う第2の状態と、時刻修正を行う第3の状態と、を備える時計であって、第1の状態において、つづみ車35ときち車34とが噛合してぜんまいを巻き上げ、第2の状態において、つづみ車35ときち車34との噛合を解除し、且つ、つづみ車35と小鉄車36とが噛合し、小鉄車36と連動する時修正伝え車60と第1時修正伝え車51とが噛合して時差修正を行い、第3の状態において、つづみ車35と小鉄車36と日の裏車37とが噛合して、時刻修正を行い、且つ、第1の状態において、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51と、つづみ車35と小鉄車36と日の裏車37との噛合が解除されている。
【選択図】 図2
【解決手段】 時計10は、巻真30と、巻真30を操作することによって、ぜんまいを巻き上げる第1の状態と、時差修正を行う第2の状態と、時刻修正を行う第3の状態と、を備える時計であって、第1の状態において、つづみ車35ときち車34とが噛合してぜんまいを巻き上げ、第2の状態において、つづみ車35ときち車34との噛合を解除し、且つ、つづみ車35と小鉄車36とが噛合し、小鉄車36と連動する時修正伝え車60と第1時修正伝え車51とが噛合して時差修正を行い、第3の状態において、つづみ車35と小鉄車36と日の裏車37とが噛合して、時刻修正を行い、且つ、第1の状態において、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51と、つづみ車35と小鉄車36と日の裏車37との噛合が解除されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、時計に関し、特に、時差修正機能付きの時計の構造に関する。
従来、外部操作部材としての巻真を操作し、時差修正を行う巻真1段目の状態と、カレンダー修正を行う巻真2段目の状態と、時刻修正を行う巻真3段目の状態と、を備える時計において、巻真1段目の状態では、巻真の回転に連動して、つづみ車、時修正第1中間車、時修正第2中間車、時修正伝え車が順次噛合し、時針が装着される第1筒車を回転して時差修正を行い、巻真第2段目の状態では、つづみ車、小鉄車、小鉄中間車、曜修正中間車が順次噛合し、日車、曜板を回転してカレンダー修正を行い、また、巻真3段目の状態では、つづみ車、小鉄車、小鉄中間車、時刻修正中間車が順次噛合して二番かなを回転し時刻修正を行う3状態を有する時差修正機能付きの時計が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような特許文献1では、巻真1段目及び巻真2段目の状態において、時修正伝え車と時修正第1中間車と時修正第2中間車とが噛合している。また、巻真第3段目の状態においては、時修正第1中間車と時修正第2中間車との噛合が解除されている。ここで、巻真3段目から巻真1段目(通常携帯時の状態)にする場合、巻真に連動する小鉄レバーに取り付けられる時修正第2中間車が時修正第1中間車に噛合するまで移動される。この際、時修正第1中間車と時修正第2中間車のそれぞれの歯先部が当接して、突っ張り現象が発生することが、ある確率で発生することが考えられる。
突っ張り現象が発生した場合、時修正第1中間車、時修正第2中間車、時修正伝え車から時針が装着される第1筒車までは連動している状態のため、第1筒車の回転にブレーキがかかり、通常の時刻運針の輪列(秒針、分針を有する)は回転を継続することができるので、分針と時針との間に指示誤差が発生するという課題がある。
本発明の目的は、前述の課題を解決することを要旨とし、時差修正の状態から通常の携帯状態に移行する際に、時針、分針の指示誤差が発生しない時計を提供することである。
本発明の時計は、外部操作部材と、該外部操作部材を操作することによって、ぜんまいを巻き上げる第1の状態と、時差修正を行う第2の状態と、時刻修正を行う第3の状態と、を備える時計であって、前記第1の状態において、つづみ車ときち車とが噛合して前記ぜんまいを巻き上げ、前記第2の状態において、前記つづみ車と前記きち車との噛合を解除し、且つ前記つづみ車と小鉄車とが噛合し、前記小鉄車と連動する時修正伝え車と第1時修正伝え車とが噛合して時差修正を行い、前記第3の状態において、前記つづみ車と前記小鉄車と日の裏車とが噛合して時刻修正を行い、前記第1の状態において、前記時修正伝え車と前記第1時修正伝え車と、前記つづみ車と前記小鉄車と前記日の裏車と、の噛合が解除されていることを特徴とする。
ここで、例えば、第1の状態は、外部操作部材としての巻真が0段目の状態(通常、携帯状態)、第2の状態は、巻真を1段引き出した状態、第3の状態は、巻真を2段引き出した状態を示す。
ここで、例えば、第1の状態は、外部操作部材としての巻真が0段目の状態(通常、携帯状態)、第2の状態は、巻真を1段引き出した状態、第3の状態は、巻真を2段引き出した状態を示す。
この発明によれば、外部操作部材を操作して、第3の状態から第1の状態に移行する際に、時修正伝え車と第1時修正伝え車と、つづみ車と小鉄車と日の裏車と、の噛合が解除されているため、第3の状態から第1の状態への移行の際に、時修正伝え車と第1時修正伝え車との間で突っ張り現象(歯先同士が当接して維持される)が瞬間的に発生しても、通常の携帯の状態では、輪列負荷が増加することもなく、また、時修正伝え車と第1時修正伝え車との間の突っ張り現象も解除され、時針の置き針現象も発生せず、時計使用時の通常運針には全く影響がでないという効果がある。
また、本発明では、前記時修正伝え車の歯型部に係合する係合部材をさらに備え、前記係合部材が前記時修正伝え車の歯型部に係合されている状態で、前記時修正伝え車が、前記第1時修正伝え車との噛合が解除している位置から噛合する位置まで移動することにより、前記時修正伝え車が回転することが好ましい。
このようにすれば、係合部材によって時修正伝え車を回転させながら第3の状態から第1の状態に移動させるため、時修正伝え車と第1時修正伝え車との突っ張り現象の発生を抑え、置き針現象の発生を抑えることができる。
また、このことにより、突っ張り現象の発生による輪列への負荷の増加を抑えることができるという効果がある。
また、このことにより、突っ張り現象の発生による輪列への負荷の増加を抑えることができるという効果がある。
また、前記係合部材が、ばね部材であって、前記ばね部材の先端部が前記時修正伝え車の歯型部に係合し、且つ、前記ばね部材の位置が調整可能であることが好ましい。
このように係合部材をばね部材とすることで、前述した係合部材を備える構造による効果と、ばね部材の位置が調整可能であることから、組み立て時には、ばね部材と時修正伝え車との係合を解除した位置にしておき、組み立て後に、ばね部材の位置を最適係合位置となるように調整することができる。
また、本発明の構造では、前記小鉄車と前記時修正伝え車とを同軸で保持して揺動する揺動部材が、前記小鉄車と前記時修正伝え車が保持される位置と前記揺動部材の揺動中心との間に可撓性を有することが好ましい。
このようにすれば、突っ張り現象が発生したときには、揺動部材が可撓性を有しているため変形し、変形することによって時修正伝え車を回転させるため、時修正伝え車と第1時修正伝え車との突っ張り現象をなくし、前述したような時針の置き針現象を防止することができる。
また、少なくとも前記時修正伝え車と前記第1時修正伝え車とが噛合する部位に潤滑処理が施されていることが好ましい。
ここで、潤滑処理としては、例えば、固体潤滑処理、潤滑油の注油等を採用することができる。
ここで、潤滑処理としては、例えば、固体潤滑処理、潤滑油の注油等を採用することができる。
このように、時修正伝え車と第1時修正伝え車の噛合部それぞれの表面に、固体潤滑処理、あるいは噛合部に潤滑油の注油を施すことにより、時修正伝え車と第1時修正伝え車の噛合部の潤滑性を高め、突っ張り現象の低減と、耐久性を高めることができる。
さらに、少なくとも前記時修正伝え車と前記第1時修正伝え車とが噛合するそれぞれの部位に硬化処理が施され、且つ、両者が略同じ硬度に設定されていることが望ましい。
このように、時修正伝え車と第1時修正伝え車の噛合部に硬化処理を施し、両者を概ね同じ硬度に設定することにより、万一、突っ張り現象が発生する際においても、歯先がつぶれることを防止することができ、歯先がつぶれることによる突っ張り現象の発生確率を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4には本発明の実施形態1に係る時差修正機能付きの時計が示され、図5には実施形態2、図6には実施形態3が示されている。
(実施形態1)
図1〜図4には本発明の実施形態1に係る時差修正機能付きの時計が示され、図5には実施形態2、図6には実施形態3が示されている。
(実施形態1)
図1〜図4は実施形態1に係る時差修正機能付きの時計が示されている。
図1は、本実施形態のぜんまいを巻き上げる第1の状態を示す平面図、図2は断面図である。ここで、第1の状態としては、外部操作部材としての巻真30を押し込んだ通常の時計携帯時の状態を意味し、以降、この状態を0段目と呼称して説明する。また、図1、図2では、本発明に係る切換機構、ぜんまい巻き上げ、時差修正、時刻修正を構成する要部のみを表している。
図1は、本実施形態のぜんまいを巻き上げる第1の状態を示す平面図、図2は断面図である。ここで、第1の状態としては、外部操作部材としての巻真30を押し込んだ通常の時計携帯時の状態を意味し、以降、この状態を0段目と呼称して説明する。また、図1、図2では、本発明に係る切換機構、ぜんまい巻き上げ、時差修正、時刻修正を構成する要部のみを表している。
まず、本実施形態の構成について説明する。図1、図2において、時計10の切換機構は、地板20と巻真押さえ80によって軸支される巻真30と、巻真の押引き操作に連動しておしどり軸21を揺動中心として揺動するおしどり31と、おしどり31の揺動姿勢を規制するかんぬき32と、おしどり31とかんぬき32の平面方向及び断面方向の位置を規制するかんぬき押さえ33とから構成されている。
おしどり31の平面方向位置は、おしどり31に植立されるおしどり規制軸31cを、かんぬき押さえ33の先端部に形成されるおしどり規制部33aが押圧して規制されている。巻真30の押引きの位置は、巻真30のおしどり装着部30aにおしどり31の半島状のおしどり作動部31aを装着することで規制されている。
かんぬき32は、かんぬき軸22を中心に時計回り方向にはおしどり31の端部に形成されるかんぬき作動部31dによって、また反時計回り方向にはばね部32eの弾性力で揺動される。かんぬき32の平面方向位置は、かんぬき作動部31dとかんぬき作動部32bとを当接することで規制されている。
かんぬき32の先端部には、つづみ車作動部32aが設けられ、このつづみ車作動部32aがつづみ車35に係合し、つづみ車35の位置を規制している。
巻真30には、その軸方向外側からきち車34とつづみ車35とが軸方向に移動可能に軸支されている。きち車34には、外周部に丸穴車回転歯34a、軸方向にはつづみ車35と噛合する歯部34bが形成されている。つづみ車35には、歯部34bと噛合するきち車回転歯35aと、軸方向反対側に形成される小鉄車回転歯35bと、が形成されている。
つづみ車35には、中心部に角孔が開設され、巻真30に形成される角取部30bに挿入されている。従って、巻真30を回転するとつづみ車35も回転する。ここで、0段目の状態では、つづみ車35ときち車34とは、それぞれのきち車回転歯35aと歯部34bとが噛合している。
次に、巻真30を操作してぜんまい巻き上げを行うための構成と作用にについて説明する。図2において、巻真30を回転すると、つづみ車35ときち車34が回転する。きち車34の丸穴車回転歯34aが丸穴車70を回転する。
丸穴車70は、図示しない巻き上げ輪列を回転し、香箱車内に格納されているぜんまいを巻き上げる。ぜんまいの展開力によって時刻表示輪列が回転し指針によって時刻が表示される。
0段目においては、つづみ車35は、きち車34以外の歯車とは噛合していないため、時刻表示輪列の回転への影響は全くなく、ぜんまい巻き上げのみが行える状態である。
続いて、切換機構以外の構成について説明を加える。図1、図2において、前述したおしどり31、かんぬき32、かんぬき押さえ33の上部には揺動部材としての小鉄レバー50が装着されている。小鉄レバー50は、一方の端部に小鉄レバー作動孔50aが開設されている。また、他方には、表面に時修正伝え車60と裏面に小鉄車36とが同軸で回転可能に軸支されている。
小鉄レバー50は、小鉄レバー軸23を中心に揺動するが、小鉄レバー作動孔50aとおしどり31に植立された小鉄レバー作動軸31bとが係合して、揺動の位置が規制されている。
時修正伝え車60には、2段の段部が形成され、一方が時修正伝え車回転軸60b、他方が小鉄車固定軸60aであり、小鉄レバー50に時修正伝え車回転軸60bが遊嵌され、小鉄車固定軸60aに小鉄車36が圧入され軸止されている。従って、小鉄車36と時修正伝え車60とは、時修正伝え車回転軸60bを回転中心として回転可能である。
この小鉄車36とつづみ車35とが噛合して時修正伝え車60が回転されるが、0段目においては、この小鉄車36とつづみ車35とは噛合が解除されている。
続いて、時差修正を行う第2の状態と作用について図面を参照して説明する。
図3は、実施形態1に係る時差修正を行う第2の状態を示す平面図である。ここで、第2の状態としては、巻真30を1段引き出した状態をさし、以降、この状態を1段目と呼称して説明する。図2も参照する。図3において、巻真30を1段引き出すと、おしどり31がおしどり軸21を中心に反時計回りに揺動する。
図3は、実施形態1に係る時差修正を行う第2の状態を示す平面図である。ここで、第2の状態としては、巻真30を1段引き出した状態をさし、以降、この状態を1段目と呼称して説明する。図2も参照する。図3において、巻真30を1段引き出すと、おしどり31がおしどり軸21を中心に反時計回りに揺動する。
おしどり31の位置は、おしどり規制軸31cが、かんぬき押さえ33のおしどり規制部33aから33bまで移動して規制される。この際、かんぬき32は、おしどり31のかんぬき作動部31dによって作動部32cが押されて、かんぬき軸22を中心に時計回りに揺動される。ここで、つづみ車35は、かんぬき32のつづみ車作動部32aによって、きち車34とは噛合が解除される方向に移動される。
また、小鉄レバー50は、おしどり31の小鉄レバー作動軸31bによって小鉄レバー作動孔50aの内面の壁が押圧され、反時計回りに揺動される。小鉄レバー作動孔50aは、小鉄レバー作動軸31bが作動できる範囲の幅に設定されており、小鉄レバー50は正確に位置決めされている。
小鉄レバー50に軸支されている時修正伝え車60と小鉄車36とは、小鉄レバー50の揺動に従いつづみ車35の方向に移動する。そして、つづみ車35の小鉄車回転歯35bが小鉄車36に噛合し、時修正伝え車60が第1時修正伝え車51と噛合する。この際、きち車34とつづみ車35との噛合は解除されており、また、小鉄車36は、日の裏車37とも噛合しない位置にある。
つづみ車35の上面側にはカレンダー裏板81が載置され、時修正伝え車60に隣接する側から第1時修正伝え車51、第2時修正伝え車52、第3時修正伝え車53が、それぞれ時修正伝え車軸82で回転可能に軸支されている。第1時修正伝え車51と第2時修正伝え車52と第3時修正伝え車53とが順次噛合し、第4時修正伝え車54、第5時修正伝え車55に回転を伝達し、第5時修正伝え車55が筒車39を構成する筒車体40外周部に形成される時歯車40aに噛合している。
筒車39は、図2に示すように、筒車体40と、筒車体40の中心孔に圧入される時ジャンパーかな42と、時ジャンパーかな42によって所定の固定トルクを有し回転可能な状態で軸支され、日の裏かな37aと噛合する筒歯車41と、筒歯車41と一体で回転する時ジャンパー体43と、筒車体40に軸止される日回し中間車44と、から構成されている。時ジャンパーかな42には12枚の歯型が形成されており、時ジャンパー体43に設けられるインデックス部(図示せず)がこの歯型に係合して、1回転が1/12毎の節度ある回転が可能となっている。
筒車39は、筒かな38に軸支されている。筒かな38には分針、筒車体40には時針が取り付けられ、筒かな38の中心には、図示しない四番かなが挿着されており秒針が取り付けられている。日回し中間車44は、図示しない日回し車と噛合して日車を間歇的に回転する。
なお、筒車体40には、24時間に1回転する24時筒車75が軸支されており、24時針が取り付けられている。
なお、筒車体40には、24時間に1回転する24時筒車75が軸支されており、24時針が取り付けられている。
次に、時差修正操作について説明する。
まず、巻真30を1段目に引き出し回転する。それに伴い、つづみ車35が回転し、小鉄車36が回転する。時修正伝え車60は小鉄車36に連動して回転し、順次、第1時修正伝え車51から第5時修正伝え車55まで回転し、筒車体40を回転する。筒車体40には、時ジャンパーかな42が軸止されているため、時ジャンパーかな42が回転する。
まず、巻真30を1段目に引き出し回転する。それに伴い、つづみ車35が回転し、小鉄車36が回転する。時修正伝え車60は小鉄車36に連動して回転し、順次、第1時修正伝え車51から第5時修正伝え車55まで回転し、筒車体40を回転する。筒車体40には、時ジャンパーかな42が軸止されているため、時ジャンパーかな42が回転する。
時ジャンパー体43は、筒歯車41に固定され、筒歯車41が日の裏かな37aと噛合しているため、時ジャンパーかな42(筒車体40)が回転しても、筒歯車41と時ジャンパーかな42とがスリップして、筒歯車41(時ジャンパー体43)は回転しない。
時ジャンパーかな42には時ジャンパー体43のインデックス部が係合しているので、筒車体40は1/12分割毎、つまり1時間毎に時針を単独で修正(時差修正)することができる。
なお、時ジャンパーかな42を24分割の歯型にすれば、30分単位の時針単独修正(時差修正)が可能である。
なお、時ジャンパーかな42を24分割の歯型にすれば、30分単位の時針単独修正(時差修正)が可能である。
続いて、時刻修正を行う第3の状態について図面を参照して説明する。
図4は、実施形態1に係る時刻修正を行う第3の状態を示す平面図である。ここで、第3の状態としては、巻真30を2段引き出した状態をさし、以降、この状態を2段目と呼称して説明する。図2も参照する。図4において、巻真30を1段目の状態(図3、参照)からさらに1段(2段目まで)引き出すと、おしどり31がおしどり軸21を中心に反時計回りに揺動する。
図4は、実施形態1に係る時刻修正を行う第3の状態を示す平面図である。ここで、第3の状態としては、巻真30を2段引き出した状態をさし、以降、この状態を2段目と呼称して説明する。図2も参照する。図4において、巻真30を1段目の状態(図3、参照)からさらに1段(2段目まで)引き出すと、おしどり31がおしどり軸21を中心に反時計回りに揺動する。
おしどり31の位置は、おしどり規制軸31cが、かんぬき押さえ33のおしどり規制部33bから33cまで移動して規制される。この際、かんぬき32は、おしどり31のかんぬき作動部31dによって作動部32dまで押されて、かんぬき軸22を中心に時計回りに揺動される。ここで、つづみ車35は、かんぬき32のつづみ車作動部32aによって、日の裏車37の方向にさらに移動する。
また、小鉄レバー50は、おしどり31の小鉄レバー作動軸31bによって小鉄レバー作動孔50a内を移動し、時計回りに揺動される。
小鉄レバー50に軸支されている時修正伝え車60と小鉄車36とは、小鉄レバー50の揺動に従い日の裏車37の方向に移動する。つづみ車35の移動量は、小鉄車36の移動量よりも大きいため、つづみ車35は小鉄車36と噛合する。また、小鉄車36は、日の裏車37と噛合する位置まで移動し、つづみ車35の回転が日の裏車37まで伝達可能な状態となる。
従って、時修正伝え車60も小鉄車36と連動して日の裏車37の方向に移動し、第1時修正伝え車51との噛合が解除される。
次に、時刻修正操作について説明する。
まず、巻真30を2段目に引き出し回転する。それに伴い、つづみ車35が回転し、小鉄車36が回転する。小鉄車36は、日の裏車37と噛合して日の裏車37に回転力を伝達し、日の裏車37は筒かな38を回転し分針を修正する。
まず、巻真30を2段目に引き出し回転する。それに伴い、つづみ車35が回転し、小鉄車36が回転する。小鉄車36は、日の裏車37と噛合して日の裏車37に回転力を伝達し、日の裏車37は筒かな38を回転し分針を修正する。
日の裏かな37aは、筒歯車41と噛合して筒車39を回転する。この際、時歯車40aも回転するが、前述したように、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51との噛合が解除されているため、筒車39の回転には何ら影響がなく、分針と連動して時針も修正される。
続いて、巻真30を2段目の状態から0段目の状態に押し込む時の、各部材の挙動について説明する。図1〜図4を参照する。
まず、巻真30を2段目から押し込むと、おしどり31のおしどり規制軸31cが、かんぬき押さえ33のおしどり規制部33cからおしどり規制部33bを飛ぶように乗り越え、おしどり規制部33aまで移動し、おしどり31が0段目の状態となる。
まず、巻真30を2段目から押し込むと、おしどり31のおしどり規制軸31cが、かんぬき押さえ33のおしどり規制部33cからおしどり規制部33bを飛ぶように乗り越え、おしどり規制部33aまで移動し、おしどり31が0段目の状態となる。
しかし、2段目から0段目に移行するとき、1段目の状態を通過する。この際、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51の歯先が1段目となる直前に、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51の歯先部同士が当接する現象(突っ張り現象と呼ぶ)が、非常に少ない確立ではあるが発生することが考えられる。このように突っ張り現象が発生したまま放置すると、その状態が維持されることがあり、運針時において、輪列負荷が増加することが考えられる。
また、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51とが噛合していることから、筒車体40まで連結された状態となり、筒車体40にブレーキが係る。このブレーキが、筒歯車41のスリップトルクよりも大きいと、通常の運針で筒歯車41がスリップして、筒車体40と連動しない場合がある。つまり、時針と他の指針との指示ずれ(置き針現象と呼ぶ)が発生することがある。
しかし、0段目に移行した状態では、前述したように、時差修正に係る時修正伝え車60と第1時修正伝え車51、または時刻修正に係る小鉄車36と日の裏車37とは噛合していないため、時差修正機能付きであっても、輪列負荷が増加することもなく、時針の置き針現象も発生せず、時計使用時の通常運針には全く影響がない。
なお、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51には、潤滑処理が施されている。潤滑処理としては、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51それぞれに固体潤滑処理を施す方法、または潤滑油を注油する方法とがある。
固体潤滑処理としては、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51の噛合部表面にテフロンコーティング(テフロンは、デュポン社の登録商標)、カーボン等を含む潤滑性めっき等を採用することができる。また、潤滑油としては一般の時計用潤滑油を採用することができるが、粘性が高いグリス系の潤滑油等を採用することが保油性を高め、耐久性を高めることができることからより好ましい。
また、前述した固体潤滑処理と潤滑油を注油する方法とを併用することもできる。
また、前述した固体潤滑処理と潤滑油を注油する方法とを併用することもできる。
なお、前述した潤滑処理は、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51に限らず、0段目、1段目、2段目それぞれに移行する段階で、噛合解除の状態から噛合の状態に移行する歯車類に施すことが好ましい。
また、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51の噛合部には、熱処理によって硬化処理を施している。本実施形態では、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51の硬度は、Hv:550〜Hv:750程度の範囲の硬度に調整されるが、両者の硬度は概ね同じに設定されることが好ましい。
従って、前述した実施形態1によれば、巻真30を2段目(第3の状態)から0段目(第1の状態)に押し込んだ際に、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51と、小鉄車36と日の裏車37と、の噛合が解除されているため、2段目から1段目(第2の状態)への移行の際に、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51との間で突っ張り現象が瞬間的に発生しても、通常の携帯の状態では、輪列負荷が増加することもなく、また、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51との間の突っ張り現象も解除され、時針の置き針現象も発生せず、時計使用時の通常運針には全く影響がでないという効果がある。
また、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51の噛合部表面に、固体潤滑処理、あるいは潤滑油の注油を施すことにより、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51の噛合部の潤滑性を高め、突っ張り現象の低減と、耐久性を高めることができる。
さらに、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51の噛合部に硬化処理を施し、両者を概ね同じ硬度に設定することにより、寸法等のばらつきによって、万一、突っ張り現象が発生したとしても、歯先がつぶれることを防止することができ、歯先がつぶれることによる突っ張り現象の発生を低減することができる。
(実施形態2)
(実施形態2)
次に、本発明に係る実施形態2について図面を参照して説明する。実施形態2は、前述した実施形態1による技術思想を基本とし、時修正伝え車60が移動する際に、時修正伝え車60を所定の方向に回転させるための係合部材を備えるところに特徴を有する。従って、共通部分の説明を省略し、同じ符号を附して説明する。
図5は、実施形態2に係る時計の構造を示す部分平面図である。図5において、時修正伝え車60の回転中心からの延長線上に係合部材としての時修正伝え車ばね90が備えられている。時修正伝え車ばね90は、基端部がばね固定軸91に固定され、先端部が時修正伝え車60の歯型に係合している。
時修正伝え車60は、前述した実施形態1(図1〜図4、参照)で示すように、巻真30の押引き操作によって小鉄レバー50が揺動し、2段目位置(実線で示す)から0段目位置(破線で示す)の間を巻真30の軸方向に移動する。時修正伝え車60が、2段目位置から0段目位置に移動(図中、矢印A方向)する際、時修正伝え車ばね90が時修正伝え車60の歯型と係合しているため、時修正伝え車60は矢印B方向に回転される。
時修正伝え車ばね90は、2段目の状態では初期状態90a(実線で示す)にあり、時修正伝え車60が移動を始めると、変形状態90b(破線で示す)まで撓む。この際、時修正伝え車ばね90が係合しているので、時修正伝え車60が回転されるのである。
時修正伝え車60と第1時修正伝え車51とは、2段目では噛合していない。この状態から巻真30を0段目に押し込むと瞬間的に1段目の状態、すなわち、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51とが噛合し、0段目で再び噛合が解除される状態となる。
ここで、2段目から1段目に移行するとき、実施形態1でも説明したが、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51との間で突っ張り現象が発生することがある。
しかしながら、時修正伝え車ばね90によって、時修正伝え車60が回転されながら第1時修正伝え車51の方向に移動するため、突っ張り現象は発生せず、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51とは噛合しあい、すぐに0段目に移行し、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51との噛合が解除され、置き針現象は発生しない。
逆に、0段目から1段目に移行する操作においても、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51の突っ張り現象の発生、あるいは、つづみ車35の小鉄車回転歯35bと小鉄車36との間に突っ張り現象が発生することが考えられるが、小鉄車36と時修正伝え車60とが同軸で連動しているため、時修正伝え車ばね90で回転され(2段目から0段目への移行の時とは逆回転)、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51の突っ張り現象、つづみ車35の小鉄車回転歯35bとの間の突っ張り現象も発生しにくい。
さらに、1段目から2段目に移行する際には、小鉄車36と日の裏車37とが噛合解除の状態から噛合する状態となり、両者の歯先に突っ張り現象が発生することが考えられるが、時修正伝え車60(小鉄車36)が、回転しながら噛合するため、突っ張り現象はほとんど発生しないと考えられる。
なお、ばね固定軸91は、回動可能となっており、小鉄レバー50を組み込む時には、時修正伝え車ばね90と時修正伝え車60との係合を解除した位置にしておき、小鉄レバー50を組み込んだ後に、ばね固定軸91を回転して、最適係合位置となるように調整することができる構造である。
従って、前述した実施形態2によれば、時修正伝え車ばね90によって時修正伝え車60を回転させながら2段目から0段目に移動させるため、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51との突っ張り現象の発生を抑え、置き針現象の発生を抑えることができる。
また、突っ張り現象の発生による輪列への負荷の増加を抑えることができる。
また、突っ張り現象の発生による輪列への負荷の増加を抑えることができる。
さらに、0段目から1段目に移行する際のつづみ車35の小鉄車回転歯35bとの間の突っ張り現象、1段目から2段目に移行する際の小鉄車36と日の裏車37との突っ張り現象を抑えることができる。
(実施形態3)
(実施形態3)
続いて、本発明に係る実施形態3について図面を参照して説明する。実施形態3は、前述した実施形態2の技術思想を基本とし、小鉄レバー50の一部に可撓性を有する部位を設けていることに特徴を有している。相違個所のみを説明する。なお、実施形態1,2と同じ符号を附している。
図6は、実施形態3に係る時計の構造を示す部分平面図である。図6において、小鉄レバー50には、時修正伝え車60が軸支される位置を含んで、小鉄レバー軸23との間の棹部50bの幅が減縮され可撓性を有している。
ここで、2段目の状態から巻真30を押し込み0段目の状態に移行させるとき、実施形態2で説明したように、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51との間に突っ張り現象が発生することが考えられる。この突っ張り現象が発生した際、棹部50bが矢印D方向に変形する。棹部50bが変形すると、時修正伝え車60の歯型部の位相が矢印E方向に僅かにずれる。従って、位相のずれは、第1時修正伝え車51に対して回転したことになり、突っ張り現象が解除され、0段目位置に移行する。
棹部50bは、突っ張り現象が発生しないときには、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51とが噛合し、時差修正を行うことができ、突っ張り現象が発生したときには、時修正伝え車60を回転させる方向、量だけ変形するように設計されている。
従って、前述した実施形態3によれば、突っ張り現象が発生したときには、小鉄レバー50の棹部50bが変形し、時修正伝え車60を回転させるため、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51との突っ張り現象をなくし、前述したような時針の置き針現象を防止することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前述の実施形態2では、時修正伝え車60に係合する係合部材としては、時修正伝え車ばね90を採用しているが、時修正伝え車ばね90に限定されず、時修正伝え車60と噛合する歯車を備えてもよい。
例えば、前述の実施形態2では、時修正伝え車60に係合する係合部材としては、時修正伝え車ばね90を採用しているが、時修正伝え車ばね90に限定されず、時修正伝え車60と噛合する歯車を備えてもよい。
このようにすれば、時修正伝え車60が移動する際、この歯車と噛合しているので、歯車の僅かな負荷によって時修正伝え車60が回転し、時修正伝え車60と第1時修正伝え車51との間の突っ張り現象をなくすことが可能である。
さらに、前述した実施形態2と実施形態3の構造を組み合わせることもでき、このようにすれば、なお一層、突っ張り現象を確実に低減することができる。
従って、前述の実施形態1〜実施形態3では、時差修正の状態から通常の携帯状態に移行する際に、時針、分針の指示誤差が発生しない時計を提供することができる。
10…時計、30…外部操作部材としての巻真、34…きち車、35…つづみ車、36…小鉄車、37…日の裏車、51…第1時修正伝え車、60…時修正伝え車。
Claims (6)
- 外部操作部材と、該外部操作部材を操作することによって、ぜんまいを巻き上げる第1の状態と、時差修正を行う第2の状態と、時刻修正を行う第3の状態と、を備える時計であって、
前記第1の状態において、つづみ車ときち車が噛合して前記ぜんまいを巻き上げ、
前記第2の状態において、前記つづみ車と前記きち車との噛合を解除し、且つ前記つづみ車と小鉄車とが噛合し、前記小鉄車と連動する時修正伝え車と第1時修正伝え車とが噛合して時差修正を行い、
前記第3の状態において、前記つづみ車と前記小鉄車と日の裏車とが噛合して時刻修正を行い、
前記第1の状態において、前記時修正伝え車と前記第1時修正伝え車と、前記つづみ車と前記小鉄車と前記日の裏車との噛合が解除されていることを特徴とする時計。 - 請求項1に記載の時計において、
前記時修正伝え車の歯型部に係合する係合部材をさらに備え、
前記係合部材が前記時修正伝え車の歯型部に係合されている状態で、前記時修正伝え車が、前記第1時修正伝え車との噛合が解除している位置から噛合する位置まで移動することにより、前記時修正伝え車が回転することを特長とする時計。 - 請求項2に記載の時計において、
前記係合部材が、ばね部材であって、前記ばね部材の先端部が前記時修正伝え車の歯型部に係合し、且つ、前記ばね部材の位置が調整可能であることを特徴とする時計。 - 請求項1に記載の時計において、
前記小鉄車と前記時修正伝え車とを同軸で保持して揺動する揺動部材が、前記小鉄車と前記時修正伝え車が保持される位置と前記揺動部材の揺動中心との間に可撓性を有することを特徴とする時計。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の時計において、
少なくとも前記時修正伝え車と前記第1時修正伝え車とが噛合する部位に潤滑処理が施されていることを特徴とする時計。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の時計において、
少なくとも前記時修正伝え車と前記第1時修正伝え車とが噛合するそれぞれの部位に硬化処理が施され、且つ、両者が略同じ硬度に設定されていることを特徴とする時計。
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-
2005
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