JP7159082B2 - 時差修正機構、時計用ムーブメントおよび時計 - Google Patents

時差修正機構、時計用ムーブメントおよび時計 Download PDF

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Description

本発明は、時差修正機構、時計用ムーブメントおよび時計に関するものである。
従来から、時差のある地域間での移動に伴う時差を修正するために、時針を任意の位置に調整する時差修正機構付きの時計が知られている。時差修正とは、一般的に1時間ずつ時針を間欠的に送るまたは戻す作業を行うことである。例えば、特許文献1に記載には、第1時針が自国時を示し、第2時針が第1時針に対して相対的に1時間または30分のステップで修正されることで、第2時針が旅行先などの時を示す時計が開示されている。
ところで、時刻が協定世界時に対して30分または15分単位でずれた標準時を用いる地域がある。このような地域への移動時等には、時計を時差修正するにあたって、時差修正機構によって時針のみを1時間ずつ間欠的に回転させた後、通常の時刻修正と同様に、時針および分針を回転させて1時間未満の時差表示を調整する必要がある。
特開昭47-18367号公報
しかしながら、従来技術の時計にあっては、30分または15分単位の時差修正を行う場合、時針のみを回転させる操作に加えて、時針および分針の両方を回転させる時刻修正の操作も必要となる。このため、時差修正の操作が煩雑となる場合がある。
また、時計が自国時を示す24時針を備える場合には、分針を回転させる時刻修正の操作を通常の時刻修正と同様の操作を行うことで、分針に連動する24時針も回転するため、自国時の表示にずれが生じる。
そこで本発明は、簡単な操作で分単位の時差修正が可能な時差修正機構、時計用ムーブメントおよび時計を提供するものである。
本発明の時差修正機構は、巻真の第1引き出し状態において前記巻真の回転に応じて連続的に回転される第1日の裏車と、前記巻真の第2引き出し状態において前記巻真の回転に応じて連続的に回転される第2日の裏車と、駆動源の回転力によって連続的に回転される分歯車と、前記分歯車とスリップ可能な状態で一体回転するとともに前記第1日の裏車の回転に同期して回転する分伝えかなと、前記第2日の裏車の回転に同期して回転するとともに分針が取り付けられる筒かなと、前記第1日の裏車の回転に同期して回転する時歯車と、前記第2日の裏車の回転に同期して回転するとともに時針が取り付けられる筒車体と、前記分伝えかなと前記筒かなとの間、および前記時歯車と前記筒車体との間のうち少なくともいずれか一方に設けられ、前記第1日の裏車および前記第2日の裏車の相対回転を躍制し、前記第1日の裏車に対して前記第2日の裏車を1ピッチずつ回転させる躍制機構と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、巻真の第2引き出し状態において巻真を回転させると、第2日の裏車を介して筒かなおよび筒車体を回転させることができる。このとき、分歯車は、駆動源から伝わる運針トルクによって回転が規制されている。このため、分歯車と一体回転する分伝えかな、並びに分伝えかなと同期して回転する第1日の裏車および時歯車の回転も規制されている。このため、第2日の裏車は、躍制機構によって回転を躍制されながら第1日の裏車に対して1ピッチずつ回転し、それに伴い筒かなおよび筒車体も1ピッチずつ回転する。したがって、巻真の回転により、筒かなに取り付けられる分針、および筒車体に取り付けられる時針を一定の角度ずつ回転させることができ、時差修正を行うことができる。
以上により、時差修正を行う際に時針のみならず分針も時針に連動して回転させることが可能となり、簡単な操作で分単位の時差修正が可能な時差修正機構とすることができる。
上記の時差修正機構において、前記躍制機構は、前記分伝えかなと前記筒かなとの間、および前記時歯車と前記筒車体との間の両方に設けられていてもよい。
本発明によれば、躍制機構による躍制時のトルクを筒かなおよび筒車体の両方に直接作用させることができる。これにより、躍制機構が分伝えかなと筒かなとの間、および時歯車と筒車体との間のうちいずれか一方のみに設けられた場合と比較して、筒かなおよび筒車体それぞれと躍制機構との間のバックラッシュが抑制される。よって、時差修正を行う際に、時針および分針の両方をより正確に一定の角度ずつ回転させることができる。
上記の時差修正機構において、前記筒かなは、前記第2日の裏車の前記1ピッチの回転に伴って、90°または180°回転してもよい。
本発明によれば、時差修正を行う際に、分針を15分または30分単位で回転させることができる。したがって、15分または30分単位の時差修正が可能な時差修正機構とすることができる。
上記の時差修正機構において、前記躍制機構は、前記分伝えかなおよび前記筒かなの一方の回転に同期して回転するとともに、径方向外側の突出した凸部を有する分カムと、前記分伝えかなおよび前記筒かなの他方の回転に同期して前記分カムの周囲を周回するとともに、前記分カムを押圧する分ジャンパと、を備えていてもよい。
本発明によれば、分ジャンパに分カムを押圧させながら分カムの周囲を周回させることで、分ジャンパが分カムの凸部に係合して、分ジャンパの周回が躍制される。したがって、分伝えかなおよび筒かなの相対回転を躍制することができる。
上記の時差修正機構において、前記躍制機構は、前記時歯車と前記筒車体の一方の回転に同期して回転するとともに、径方向外側の突出した凸部を有する時カムと、前記時歯車と前記筒車体の他方の回転に同期して前記時カムの周囲を周回するとともに、前記時カムを押圧する時ジャンパと、を備えていてもよい。
本発明によれば、時ジャンパに時カムを押圧させながら時カムの周囲を周回させることで、時ジャンパが時カムの凸部に係合して、時ジャンパの周回が躍制される。したがって、時歯車および筒車体の相対回転を躍制することができる。
本発明の時計用ムーブメントは、上記の時差修正機構を備えることを特徴とする。
本発明によれば、上述した時差修正機構を備えるので、簡単な操作で分単位の時差修正が可能な時計用ムーブメントを提供できる。
上記の時計用ムーブメントにおいて、前記時歯車の回転に同期して回転するとともに、前記時歯車に対する歯数比が1/2とされ、副時針が取り付けられる24時車を備えていてもよい。
本発明によれば、24時車は時歯車の回転に同期して回転するので、時差修正を行う際に、24時車は巻真の回転によって回転しない。よって、時差修正を行っても、24時車に取り付けられた副時針によって時差修正前の時刻を表示することができる。したがって、例えば居住地から他地域に移動して時差修正を行った場合であっても、居住地における時刻を副時針によって表示できる時計を形成することができる。
本発明の時計は、上記の時計用ムーブメントと、前記時針と、前記分針と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、上述した時差修正機構を備えるので、簡単な操作で分単位の時差修正が可能な時計を提供できる。
本発明によれば、簡単な操作で分単位の時差修正が可能な時差修正機構、時計用ムーブメントおよび時計を提供することができる。
第1実施形態の時計の平面図である。 第1実施形態に係るムーブメントを裏側から見た平面図である。 図2のIII-III線における断面図である。 図2のIV-IV線における断面図である。 図2のV-V線における断面図である。 第1実施形態の第1躍制機構を含むムーブメントの一部を示す平面図である。 第1実施形態の第1躍制機構を含むムーブメントの一部を示す断面図である。 第1実施形態の第1躍制機構の動作を説明する図である。 第1実施形態の第1躍制機構の動作を説明する図である。 第1実施形態の第1躍制機構の動作を説明する図である。 第1実施形態の第1躍制機構の動作を説明する図である。 第1実施形態の第1躍制機構の動作を説明する図である。 第1実施形態の第2躍制機構を含むムーブメントの一部を示す平面図である。 第1実施形態の第2躍制機構を含むムーブメントの一部を示す断面図である。 第1実施形態のムーブメントにおける通常運針時のトルク伝達経路を示すブロック図である。 第1実施形態のムーブメントにおける時刻修正時のトルク伝達経路を示すブロック図である。 第1実施形態のムーブメントにおける時差修正時のトルク伝達経路を示すブロック図である。 第1実施形態の時計において、図1に示す状態から時差修正を行った状態を示す平面図である。 第2実施形態の第1躍制機構を含むムーブメントの一部を示す平面図である。 第2実施形態の第1躍制機構を含むムーブメントの一部を示す断面図である。 第2実施形態の第2躍制機構を含むムーブメントの一部を示す平面図である。 第2実施形態の第2躍制機構を含むムーブメントの一部を示す断面図である。 第2実施形態の時計において、図1に示す状態から時差修正を行った状態を示す平面図である。 第2実施形態の第1変形例の第2躍制機構を含むムーブメントの一部を示す平面図である。 第2実施形態の第2変形例の第1躍制機構を含むムーブメントの一部を示す平面図である。 第2実施形態の第2変形例の第1躍制機構を含むムーブメントの一部を示す断面図である。 第3実施形態のムーブメントを示す断面図である。 第3実施形態の筒車を示す断面図である。 第3実施形態のムーブメントにおける通常運針時のトルク伝達経路を示すブロック図である。 第3実施形態のムーブメントにおける時刻修正時のトルク伝達経路を示すブロック図である。 第3実施形態のムーブメントにおける時差修正時のトルク伝達経路を示すブロック図である。 第4実施形態のムーブメントを示す断面図である。 第4実施形態のムーブメントにおける通常運針時のトルク伝達経路を示すブロック図である。 第4実施形態のムーブメントにおける時刻修正時のトルク伝達経路を示すブロック図である。 第4実施形態のムーブメントにおける時差修正時のトルク伝達経路を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の時計の平面図である。
図1に示すように、本実施形態の時計1は、図示しないケース裏蓋およびガラス2を有する時計ケース3と、ムーブメント10(時計用ムーブメント)と、時に関する情報を示す目盛り等を有する文字板11と、中心軸O回りに回転して文字板11の目盛りを指示する各種指針と、を備える。各種指針は、24時間で1回転して時を24時制で指示する24時針12(副時針)と、12時間で1回転して時を12時制で指示する時針13と、60分で1回転して分を指示する分針14と、60秒で1回転して秒を指示する秒針15と、を備える。文字板11には、日を表す数字である日文字16を露出させる日窓11aが開口している。これにより、時計1は、時刻および日を表示することができる。
ムーブメント10は、時計ケース3内に配置されている。以下、ムーブメント10に対して時計ケース3のガラス2のある方の側(文字板11のある方の側)をムーブメント10の「裏側」と称する。また、ムーブメント10に対して時計ケース3のケース裏蓋のある方の側(文字板11と反対の側)をムーブメント10の「表側」と称する。
図2は、第1実施形態に係るムーブメントを裏側から見た平面図である。図3は、図2のIII-III線における断面図である。
図2および図3に示すように、ムーブメント10は、地板20と、輪列受21と、裏物押さえ22と、日車押さえ23と、切替機構30と、輪列機構50と、時差修正輪列80と、日回し機構100と、躍制機構120と、時差修正機構150と、を備える。
図3に示すように、地板20は、ムーブメント10の基板を構成する。輪列受21は、板状に形成され、地板20の表側に配置されている。裏物押さえ22は、板状に形成され、地板20の裏側に配置されている。日車押さえ23は、板状に形成され、裏物押さえ22の裏側に配置されている。地板20、輪列受21、裏物押さえ22および日車おさえ23は、ムーブメント10の可動部品の位置決め、および支持を行っている。
図4は、図2のIV-IV線における断面図である。
図2および図4に示すように、切替機構30は、巻真31と、つづみ車32と、おしどり33と、かんぬき34と、かんぬき押さえ35と、小鉄レバー36と、小鉄車37と、日の裏中間車38と、を備える。
図4に示すように、巻真31は、地板20に形成された巻真案内穴20a内に軸線L回りに回転可能、かつ軸線L方向に移動可能に支持されている。軸線Lは、中心軸Oに直交している(図2参照)。巻真31には、図1に示す時計ケース3の外側でりゅうず4が連結されている。巻真31は、りゅうず4の引き出し操作に伴って軸線L方向に移動可能とされている。本実施形態では、巻真31は、ムーブメント10の内側に最も入り込んだ0段位置、0段位置からりゅうず4を1段引いた1段位置、1段位置からさらにりゅうず4を1段引いた2段位置の3つの位置で位置決めされる。巻真31には、括れ部31aが形成されている。また、巻真31には、きち車39が設けられている。きち車39は、括れ部31aよりも中心軸O側の箇所に設けられている。きち車39は、巻真31に対して回転可能、かつ巻真31に対して軸線L方向に移動不能に設けられている。きち車39には、図示しない丸穴車が噛み合っている。
つづみ車32は、巻真31に外挿され、軸線Lと同軸に配置されている。つづみ車32は、きち車39よりも中心軸O側の箇所に配置されている。つづみ車32は、巻真31に対して回転不能、かつ巻真31に対して軸線L方向に移動可能に設けられている。つづみ車32は、巻真31に対して軸線L方向に移動することで、きち車39に対してムーブメント10の内側から外側に向かう方向に噛み合う状態と、小鉄車37に対してムーブメント10の外側から内側に向かう方向に噛み合う状態と、を相互に移行可能に構成されている。
図2に示すように、おしどり33は、地板20に対して回動可能に設けられている。おしどり33の一部は、巻真31の括れ部31aに配置されている(図4参照)。おしどり33は、りゅうず4の引き出し操作に伴う巻真31の移動に追随して回動する。
かんぬき34は、地板20に対して回動可能に設けられている。かんぬき34は、おしどり33に係合している。かんぬき34は、おしどり33の回動に伴って回動する。すなわち、かんぬき34は、りゅうず4の引き出し操作に伴う巻真31の移動に追随して回動する。かんぬき34は、巻真31の0段位置と1段位置との間での移動の際に、つづみ車32を巻真31の移動方向とは反対方向に移動させる。かんぬき34は、巻真31が0段位置に位置するとき、つづみ車32をきち車39に噛合させる。かんぬき34は、巻真31が1段位置から2段位置に至る領域に位置するとき、つづみ車32を小鉄車37に噛合させる。
かんぬき押さえ35は、おしどり33およびかんぬき34を地板20側に向かって押さえている。また、かんぬき押さえ35は、りゅうず4の引き出し操作に伴うかんぬき34の移動方向とは反対方向に、かんぬき34を付勢している。
小鉄レバー36は、地板20に対して小鉄車37と同じ回転軸回りに回動可能に設けられている。小鉄レバー36は、おしどり33に係合している。小鉄レバー36は、おしどり33の回動に伴って回動する。すなわち、小鉄レバー36は、りゅうず4の引き出し操作に伴う巻真31の移動に追随して回動する。小鉄レバー36は、巻真31の1段位置と2段位置との間での移動の際に回動する。
小鉄車37は、つづみ車32に噛み合うように設けられている。上述したように、小鉄車37には、巻真31が1段位置から2段位置に至る領域に位置するとき、つづみ車32が噛み合う。
日の裏中間車38は、小鉄レバー36に回転可能に支持されている。日の裏中間車38は、後述する第5時差修正伝え車85と一体的に設けられ、小鉄車37の回転に同期して回転する。日の裏中間車38は、小鉄レバー36の回動に伴って、小鉄車37の周囲を公転する。すなわち、日の裏中間車38は、りゅうず4の引き出し操作に伴う巻真31の移動に追随して公転する。日の裏中間車38は、巻真31が2段位置に位置するとき、後述する日の裏車61に噛み合う。
図5は、図2のV-V線における断面図である。
図5に示すように、輪列機構50は、図示しない香箱車(駆動源)と、二番車51と、三番車53と、四番車55と、分伝え車57と、筒かな59と、日の裏車61(図3参照)と、筒車63と、24時中間車67と、24時車69と、時差修正日の裏車71(図3参照)と、を備える。
香箱車は、香箱歯車、および内部に収容されたぜんまいを有している。ぜんまいは、上述したつづみ車32の回転を介してきち車39(いずれも図2参照)が回転することで、図示しない丸穴車等の伝達歯車を介して巻き上げられる。また、ぜんまいは、図示しない回転錘の回転によって巻き上げられる。香箱車は、ぜんまいが解けていくときの力を動力源として回転する。
二番車51は、地板20および輪列受21に回転可能に支持されている。二番車51は、香箱歯車に噛み合う二番歯車51aを備える。これにより、二番車51は、香箱車の回転力によって連続的に回転される。
三番車53は、地板20および輪列受21に回転可能に支持されている。三番車53は、三番かな53aと三番歯車53bとを備える。三番かな53aは、二番歯車51aに噛み合っている。これにより、三番車53は、香箱車の回転力によって連続的に回転される。
四番車55は、中心軸Oと同軸に配置されている。四番車55は、車軸55aと、車軸55aに固定された四番かな55bおよび四番歯車55cと、を有する。車軸55aは、地板20の表側から第1中心パイプ25の内側に回転可能に挿入されている。第1中心パイプ25は、地板20に保持されている。第1中心パイプ25は、中心軸Oと同軸に延在し、地板20から裏側へ突出している。車軸55aの表側の端部は、輪列受21に支持されている。車軸55aは、文字板11よりもガラス2側に突出している。車軸55aの裏側の端部には、秒針15が取り付けられる。四番かな55bは、地板20と輪列受21との間に設けられている。四番かな55bは、三番歯車53bに噛み合っている。これにより、四番車55は、香箱車の回転力によって連続的に回転される。四番歯車55cは、地板20と輪列受21との間に設けられている。四番歯車55cには、図示しない脱進調速機構が連係し、正確に回転制御されている。四番車55は、時刻表示および日付表示に係る通常運針時において、60秒で1回転する。
分伝え車57は、中心軸Oと同軸に配置されている。分伝え車57は、地板20の裏側で、第1中心パイプ25の外側に回転可能に挿入されている。分伝え車57は、分歯車57aおよび分伝えかな57bを有する。分歯車57aは、三番かな53aに噛み合っている。これにより、分歯車57aは、香箱車の回転力によって連続的に回転される。分歯車57aは、四番車55に対して歯数比(減速比)が1/60とされている。これにより、分歯車57aは、通常運針時において、60分で1回転する。分伝えかな57bは、分歯車57aを挟んで地板20とは反対側に設けられている。分伝えかな57bは、分歯車57aに対してスリップ可能な状態で一体回転するように設けられている。スリップ可能な状態とは、分歯車57aと分伝えかな57bとの間に所定のトルクが生じた場合に、分歯車57aと分伝えかな57bとが相対回転することである。
筒かな59は、全体として筒状に形成され、中心軸Oと同軸に配置されている。筒かな59は、分伝え車57を挟んで地板20とは反対側で、第1中心パイプ25の外側に回転可能に挿入されている。筒かな59は、後述する第1躍制機構121によって、分伝えかな57bに対して相対回転可能な状態で一体回転するように設けられている。これにより、筒かな59は、通常運針時において、60分で1回転する。筒かな59の表側の部分には、歯が設けられている。筒かな59は、文字板11よりもガラス2側に突出している。筒かな59の裏側の端部には、分針14が取り付けられる。
図3に示すように、日の裏車61は、地板20および裏物押さえ22に回転可能に支持されている。日の裏車61は、日の裏歯車61aと日の裏かな61bとを備える。日の裏歯車61aは、分伝えかな57bに噛み合っている。これにより、分伝えかな57bは、日の裏車61の回転に同期して回転する。また、日の裏歯車61aには、巻真31が2段位置に位置する状態(第1引き出し状態)で日の裏中間車38が噛み合う。これにより、日の裏車61は、巻真31が2段位置に位置する状態において、巻真31の回転に応じて連続的に回転される。日の裏かな61bは、日の裏歯車61aを挟んで地板20とは反対側に設けられている。
筒車63は、全体として筒状に形成され、中心軸Oと同軸に配置されている。筒車63は、地板20の裏側において、筒かな59の外側に回転可能に挿入され、かつ裏物押さえ22の表側から第2中心パイプ26の内側に回転可能に挿入されている。第2中心パイプ26は、裏物押さえ22に保持されている。第2中心パイプ26は、中心軸Oと同軸に延在し、裏物押さえ22から裏側へ突出している。
筒車63は、筒車体64および時歯車65を備える。筒車体64は、円筒状に形成されている。筒車体64の表側の端部には、筒歯車64aが設けられている。筒車体64は、文字板11よりもガラス2側に突出している。筒車体64の裏側の端部には、時針13が取り付けられる。
時歯車65は、筒歯車64aの表側に配置されている。時歯車65には、後述する時ジャンパかな142を挿通させる貫通孔65a(図13参照)が形成されている。貫通孔65aの一部は、時ジャンパかな142の外周縁が摺接するように、中心軸Oを中心とする円弧状に延びている。時歯車65は、後述する第2躍制機構141によって、筒歯車64aに対して相対回転可能な状態で一体回転するように設けられている。具体的に、時歯車65は、筒歯車64aと時歯車65との間に所定のトルクが生じた場合に、筒歯車64aに対して相対回転する。時歯車65は、日の裏かな61bに噛み合っている。これにより、時歯車65は、日の裏かな61bの回転に同期して回転する。時歯車65は、日の裏車61を介して分伝えかな57bに繋がり、分伝えかな57bに対して歯数比が1/12とされている。これにより、時歯車65は、通常運針時において、筒車体64とともに12時間で1回転する。
図5に示すように、24時中間車67は、地板20および裏物押さえ22に回転可能に支持されている。24時中間車67は、24時中間歯車67aおよび24時中間かな67bを備える。24時中間歯車67aは、時歯車65に噛み合っている。
24時車69は、全体として筒状に形成され、中心軸Oと同軸に配置されている。24時車69は、裏物押さえ22の裏側において、第2中心パイプ26の外側に回転可能に挿入されている。24時車69は、文字板11よりもガラス2側に突出している。24時車69の裏側の端部には、24時針12が取り付けられる。24時車69の表側の端部には、24時歯車69aが設けられている。24時歯車69aは、24時中間かな67bに噛み合っている。これにより、24時車69は、24時中間車67および時歯車65の回転に同期して回転する。24時車69は、24時中間車67を介して時歯車65に繋がり、時歯車65に対して歯数比が1/2とされている。これにより、24時車69は、通常運針時において、24時間で1回転する。
図3に示すように、時差修正日の裏車71は、地板20および裏物押さえ22に回転可能に支持されている。時差修正日の裏車71は、時差修正日の裏歯車71aと時差修正日の裏かな71bとを備える。時差修正日の裏歯車71aは、筒かな59に噛み合っている。これにより、筒かな59は、時差修正日の裏車71の回転に同期して回転する。時差修正日の裏かな71bは、日の裏歯車61aを挟んで地板20とは反対側に設けられている。時差修正日の裏かな71bは、筒歯車64aに噛み合っている。これにより、筒車体64は、時差修正日の裏車71の回転に同期して回転する。時差修正日の裏車71は、筒かな59に対する筒車体64の歯数比を、分伝えかな57bに対する時歯車65の歯数比に一致させるように形成されている。すなわち、時差修正日の裏車71は、筒かな59に対する筒車体64の歯数比を1/12としている。時差修正日の裏車71は、巻真31が1段位置に位置する状態(第2引き出し状態)において、巻真31の回転に応じて連続的に回転される。
図4に示すように、時差修正輪列80は、後述する時差修正時に、つづみ車32の回転を時差修正日の裏車71に伝達する。時差修正輪列80は、第1時差修正伝え車81と、第2時差修正伝え車82と、第3時差修正伝え車83と、第4時差修正伝え車84と、第5時差修正伝え車85と、を備える。第1時差修正伝え車81、第2時差修正伝え車82、第3時差修正伝え車83および第4時差修正伝え車84は、地板20および裏物押さえ22に回転可能に支持されている。第5時差修正伝え車85は、日の裏中間車38と同軸に設けられ、日の裏中間車38と一体回転する。
第1時差修正伝え車81は、時差修正日の裏歯車71aに噛み合う第1時差修正伝え歯車81aを備える。第2時差修正伝え車82は、第1時差修正伝え歯車81aに噛み合う第2時差修正伝え歯車82aを備える。第3時差修正伝え車83は、第2時差修正伝え歯車82aに噛み合う第3時差修正伝え歯車83aを備える。第4時差修正伝え車84は、裏側第4時差修正伝え歯車84aおよび表側第4時差修正伝え歯車84bを備える。裏側第4時差修正伝え歯車84aは、第3時差修正伝え歯車83aに噛み合っている。表側第4時差修正伝え歯車84bは、裏側第4時差修正伝え歯車84aの表側に設けられている。第5時差修正伝え車85は、第5時差修正伝え歯車85aを備える。第5時差修正伝え歯車85aは、日の裏中間車38の表側に設けられている。第5時差修正伝え歯車85aは、巻真31が0段位置から1段位置に至る領域に位置するとき、表側第4時差修正伝え歯車84bに噛み合う。
図2に示すように、日回し機構100は、日文字16(図1参照)が書かれた日車101と、日車101を回転させる日回し輪列104と、を備える。日車101は、円環状に形成され、中心軸Oと同軸に配置されている。日車101は、裏物押さえ22の裏側に配置され、内周部において日車押さえ23によって裏側から回転可能に支持されている(図5参照)。日車101の内周部には、31歯の歯102が設けられている。日車101の歯102には、位置規制用の日ジャンパ109が係合している。
図5に示すように、日回し輪列104は、第1日回し中間車105と、第2日回し中間車106と、日回し車107と、を備える。第1日回し中間車105、第2日回し中間車106および日回し車107は、裏物押さえ22および日車押さえ23に回転可能に支持されている。第1日回し中間車105、第2日回し中間車106および日回し車107は、筒車体64の回転に基づいて回転する。第1日回し中間車105は、筒車体64の筒歯車64aに噛み合う第1日回し中間歯車105aを備える。第2日回し中間車106は、第2日回し中間歯車106aおよび第2日回し中間かな106bを備える。第2日回し中間歯車106aは、第1日回し中間歯車105aに噛み合う。日回し車107は、日回し歯車107aおよび日回し爪107bを備える。日回し歯車107aは、第2日回し中間かな106bに噛み合っている。日回し車107は、筒車体64に対して歯数比が1/2とされている。日回し爪107bは、日回し車107が1回転する毎に1回だけ日車101の歯102に係合する。すなわち、日回し爪107bは、筒車体64が12時間で1回転する場合、1日(24時間)で日車101を1歯分だけ回転させ、31日で日車101を1回転させる。上述したように日車101には日ジャンパ109が係合しているので、日回し車107は1回転する毎に日車101を確実に1歯分だけ回転させる。
図3に示すように、躍制機構120は、日の裏車61および時差修正日の裏車71の相対回転を躍制し、日の裏車61に対して時差修正日の裏車71を1ピッチずつ回転させる。躍制機構120は、分伝えかな57bと筒かな59との間、および時歯車65と筒車体64との間のうち少なくともいずれか一方に設けられている。本実施形態では、躍制機構120は、分伝えかな57bと筒かな59との間、および時歯車65と筒車体64との間の両方に設けられている。躍制機構120は、分伝えかな57bと筒かな59との間に設けられた第1躍制機構121と、時歯車65と筒車体64との間に設けられた第2躍制機構141と、を備える。
図6は、第1実施形態の第1躍制機構を含むムーブメントの一部を示す平面図である。図7は、第1実施形態の第1躍制機構を含むムーブメントの一部を示す断面図である。
図6および図7に示すように、第1躍制機構121は、分伝えかな57bの回転に同期して回転する分ジャンパカム122(分カム)と、筒かな59の回転に同期して回転する分ジャンパ座124、分ジャンパ126および分ジャンパばね129と、を備える。本実施形態では、分ジャンパ座124、分ジャンパ126および分ジャンパばね129は、互いに組み合わされて1つの部品とされている。
分ジャンパカム122は、中心軸O上において分伝えかな57bの裏側、かつ筒かな59の表側に配置されている。分ジャンパカム122は、分伝えかな57bに固定的に設けられ、分伝えかな57bと一体回転する。分ジャンパカム122の外周面は、軸方向から見て径方向外側に突出した複数の凸面123(凸部)を有する。本実施形態では、分ジャンパカム122の外周面は、一対の凸面123が連なって形成されている。各凸面123における周方向の中間部分は、分ジャンパカム122の外径が極大となる大径部122aとなっている。一対の凸面123の境界部分は、軸方向から見て平坦に形成され、分ジャンパカム122の外径が極小となる小径部122bとなっている。大径部122aおよび小径部122bは、周方向に等角度間隔で交互に設けられている。本実施形態では、大径部122aおよび小径部122bは、それぞれ2つずつ設けられている。
分ジャンパ座124は、分ジャンパ126を回動可能に保持する。分ジャンパ座124は、分ジャンパカム122よりも大径の円環状に形成されている。分ジャンパ座124は、中心軸Oと同軸に配置されている。分ジャンパ座124は、筒かな59の歯よりも表側、かつ分ジャンパカム122よりも裏側に配置されている。分ジャンパ座124は、筒かな59に固定的に設けられ、筒かな59と一体回転する。分ジャンパ座124には、分ジャンパ126および分ジャンパばね129が組み合わされるための複数の取付孔124aと、分ジャンパ126の一部を裏側に露出させる貫通窓124bと、が形成されている。
分ジャンパ126は、分ジャンパ座124に対して回動可能なレバー状に設けられ、分ジャンパカム122を押圧する。分ジャンパ126は、分ジャンパ座124の表側に配置され、分ジャンパ座124に重ねられている。分ジャンパ126は、径方向から見て分ジャンパカム122の外周面に重なるように配置されている。分ジャンパ126の基端部は、分ジャンパ座124の外周部に回動可能に支持されている。これにより、分ジャンパ126は、筒かな59の回転に同期して分ジャンパカム122の周囲を周回(公転)する。分ジャンパ126の基端部は、分ジャンパ座124の取付孔124aに打ち込まれたピンによって分ジャンパ座124に支持されている。分ジャンパ126は、平面視で基端部から、径方向の内側、かつ周方向の第1側に延びている。分ジャンパ126には、分ジャンパカム122の外周面に離脱可能に摺接する躍制部127が形成されている。躍制部127は、軸方向に沿う平面状に形成されている。躍制部127は、分ジャンパ126が分ジャンパカム122の周囲を周回することで、分ジャンパカム122の外周面の大径部122aに接触する状態と、分ジャンパカム122の外周面の小径部122bに対向する状態と、の間を相互に移行して中心軸Oに接近離間する。
分ジャンパばね129は、分ジャンパ126を付勢して、分ジャンパ126の躍制部127を分ジャンパカム122の外周面に押し付ける。分ジャンパばね129は、躍制部127が中心軸Oから離間するに従い分ジャンパ126を強く付勢する。分ジャンパばね129は、径方向から見て分ジャンパ126に重なるように配置されている。分ジャンパばね129は、分ジャンパ座124の表側において分ジャンパ126を避けるように配置され、分ジャンパ座124に重ねられている。
図6に示すように、分ジャンパばね129は、分ジャンパ座124に支持された基部130と、基部130から延びて先端において分ジャンパ126に当接するばね本体131と、分ジャンパ126を挟んでばね本体131の先端とは反対側からばね本体131に対向する規制部132と、を備える。
基部130は、分ジャンパ座124の外周部に固定的に支持されている。基部130は、分ジャンパ126の基端部に対して周方向の第2側に並んで配置されている。基部130は、分ジャンパ座124の取付孔124aに打ち込まれたピンによって分ジャンパ座124に固定的に支持されている。
ばね本体131は、基部130から分ジャンパ126の基端部とは反対側に向けて周方向に延びている。すなわち、ばね本体131は、基部130から周方向の前記第2側に延びている。ばね本体131は、略一定の曲率で円弧状に延び、先端において分ジャンパ126に周方向の前記第1側から接触している。ばね本体131の先端は、分ジャンパ126における分ジャンパ126の回動中心よりも径方向の内側の箇所に当接している。ばね本体131は、弾性変形可能とされ、分ジャンパ126の躍制部127を分ジャンパカム122の外周面に押し付ける方向に分ジャンパ126を付勢している。ばね本体131は、分ジャンパ126を分ジャンパカム122の外周面に常に摺接させている。
規制部132は、基部130における分ジャンパ126の基端部側の箇所から分ジャンパ126の外形に沿って径方向内側に延びている。規制部132は、分ジャンパ126が分ジャンパカム122に接触した状態では分ジャンパ126に対して僅かに隙間を設けるように形成されている。規制部132は、分ジャンパ126、分ジャンパばね129および分ジャンパ座124を組み合わせた状態の部品が分ジャンパカム122から分離した状態において、分ジャンパばね129によって押圧された分ジャンパ126の回動を規制する。
このように構成された第1躍制機構121は、分ジャンパカム122の外周面における分ジャンパ126の躍制部127の接触位置および接触方向に応じて、分伝えかな57bと筒かな59との間に作用させるトルクを変化させる。
図8から図12は、第1実施形態の第1躍制機構の動作を説明する図である。
図8に示すように、躍制部127が分ジャンパカム122の小径部122bに対向している状態では、分ジャンパ126が分ジャンパカム122から受ける反力Fが径方向に向くので、分伝えかな57bと筒かな59との間にはトルクが作用しない。すなわち、躍制部127が分ジャンパカム122の小径部122bに対向している状態では、第1躍制機構121は安定して静止する。以下、躍制部127が分ジャンパカム122の小径部122bに対向している状態を静止状態という。
図9に示すように、静止状態から分ジャンパカム122に対して分ジャンパ126を公転させると、分ジャンパカム122と躍制部127との接触位置が変化する。そして、分伝えかな57bと筒かな59との間に、相対回転を阻害する方向のトルクが作用する。
図10に示すように、分ジャンパカム122に対して分ジャンパ126をさらに公転させると、躍制部127が分ジャンパカム122の大径部122aに接触し、分ジャンパ126が分ジャンパカム122から受ける反力Fが径方向に向く。この状態では、分伝えかな57bと筒かな59との間にはトルクが作用しない。ただし、分ジャンパ126が分ジャンパカム122に対して僅かでも回転すると、分ジャンパ126が分ジャンパカム122から受ける反力Fが傾き、分伝えかな57bと筒かな59との間にトルクが作用する。
図11に示すように、分ジャンパカム122に対して分ジャンパ126をさらに公転させ、躍制部127が分ジャンパカム122の大径部122aを乗り越えると、分伝えかな57bと筒かな59との間に、相対回転を促す方向のトルクが作用する。その後、図12に示すように、躍制部127が分ジャンパカム122の小径部122bに対向すると、分伝えかな57bと筒かな59との間に作用するトルクが消失して、第1躍制機構121は安定して静止する。
以上により、第1躍制機構121は、静止状態から分ジャンパカム122に対して分ジャンパ126を公転させると、分伝えかな57bと筒かな59との間にトルクを作用させる。これにより、第1躍制機構121は、静止状態で分伝えかな57bと筒かな59との間で回転力を伝達させ、分伝えかな57bと筒かな59とを一体回転させている。
さらに、分伝えかな57bと筒かな59との間に所定のトルクが作用すると、分ジャンパ126の躍制部127が分ジャンパカム122の大径部122aを乗り越える。これにより、分伝えかな57bと筒かな59とを相対回転させることが可能となっている。
図13は、第1実施形態の第2躍制機構を含むムーブメントの一部を示す平面図である。図14は、第1実施形態の第2躍制機構を含むムーブメントの一部を示す断面図である。
図13および図14に示すように、第2躍制機構141は、筒車体64の回転に同期して回転する時ジャンパかな142(時カム)と、時歯車65の回転に同期して回転する時ジャンパ144と、を備える。
時ジャンパかな142は、中心軸O上において筒車体64の表側に配置されている。時ジャンパかな142は、筒かな59の外側に挿入されている(図3参照)。時ジャンパかな142は、時歯車65の内側において、筒車体64の筒歯車64aに重ねられている。時ジャンパかな142は、筒かな59に対して回転可能、かつ筒車体64に固定的に設けられ、筒車体64と一体回転する。
図13に示すように、時ジャンパかな142は、径方向外側に突出した複数の歯142a(凸部)を備える。複数の歯142aは、時ジャンパかな142の外周縁の全体に、周方向に沿って等間隔に形成されている。本実施形態では、複数の歯142aは、24個設けられている。複数の歯142aの先端は、時歯車65の貫通孔65aにおける円弧状に延びる箇所に摺接している。これにより、時ジャンパかな142および時歯車65は、互いに中心軸O回りに相対回転可能、かつ互いに径方向に相対変位不能となっている。
時ジャンパ144は、時歯車65の貫通孔65aの内側に配置され、時ジャンパかな142を押圧する。時ジャンパ144は、径方向から見て時ジャンパかな142に重なるように配置されている(図13参照)。時ジャンパ144は、弾性変形可能に形成されている。時ジャンパ144は、基端が時歯車65の貫通孔65aの内周面に接続された片持ちのレバー状に形成されている。これにより、時ジャンパ144は、時歯車65の回転に同期して時ジャンパかな142の周囲を周回(公転)する。時ジャンパ144の中間部には、時ジャンパかな142の歯142aに離脱可能に係合する躍制爪部145が形成されている。躍制爪部145は、時ジャンパ144の弾性変形に伴う復元力によって、時ジャンパかな142の外周縁に押し付けられている。
図14に示すように、時ジャンパ144は、時歯車65とともに、時ジャンパ押さえ147によって表側から押さえられている。時ジャンパ押さえ147は、円環状に形成され、中心軸Oと同軸に配置されている。時ジャンパ押さえ147は、時ジャンパかな142および時歯車65を挟んで筒車体64の筒歯車64aとは反対側に配置され、時ジャンパかな142の表側の端部の外側に挿入されている。
このように構成された第2躍制機構141は、図13に示すように、時ジャンパかな142に対して時ジャンパ144を押し付けて、時ジャンパかな142の歯142aに躍制爪部145が係合するように、筒車体64および時歯車65に対して組み合わされている。これにより、第2躍制機構141は、時ジャンパかな142の歯142aに対する躍制爪部145の係合によって、筒車体64と時歯車65との間で回転力を伝達させ、筒車体64と時歯車65とを一体回転させている。
さらに、筒車体64と時歯車65との間に所定のトルクが作用すると、時ジャンパ144が時ジャンパかな142から離間する方向に撓むように弾性変形して、時ジャンパかな142の歯142aに対する躍制爪部145の係合が解除される。これにより、時ジャンパかな142に対して時ジャンパ144をスリップさせながら、筒車体64と時歯車65とを相対回転させることが可能となっている。
図3に示すように、時差修正機構150は、1段位置に位置する巻真31の回転により時針13を24時針12とは独立して1ピッチずつ回転させるとともに、分針14を時針13に連動させて360°未満の所定角度(本実施形態では180°)ずつ回転させる。時差修正機構150は、少なくとも上述した分歯車57a、分伝えかな57b、筒かな59、日の裏車61、筒車体64、時歯車65、時差修正日の裏車71、および躍制機構120を備える。時差修正機構150の動作については後述する。
次に、本実施形態の時計1の動作について説明する。
まず、時刻表示および日付表示について説明する。
図15は、第1実施形態のムーブメントにおける通常運針時のトルク伝達経路を示すブロック図である。
図15に示すように、時刻表示および日付表示に係る通常運針時には、ぜんまいが解けていくときの力を動力源として香箱車が回転し、香箱車の回転力が二番車51に伝達されて、二番車51が回転する。二番車51に伝達された回転力は、三番車53から四番車55、および分伝え車57の分歯車57aに伝達されるので、四番車55および分歯車57aが回転する。このとき、四番車55は、脱進調速機構によって回転制御され、60秒で1回転する。四番車55が回転することで、四番車55に取り付けられた秒針15が回転する。
分伝え車57は、分歯車57aと一体回転する分伝えかな57bを備える。つまり、分歯車57aが回転することで、分伝えかな57bが回転する。四番車55に対する分歯車57aの歯数比は1/60なので、分歯車57aおよび分伝えかな57bは、三番車53を介して繋がる四番車55に同期して、60分で1回転する。分伝えかな57bの回転力は、第1躍制機構121によって筒かな59に伝達されるので、筒かな59が回転する。このとき、筒かな59は、分歯車57aおよび分伝えかな57bと同一の周期で回転する。具体的に、筒かな59は、分伝えかな57bに同期して60分で1回転する。筒かな59が回転することで、筒かな59に取り付けられた分針14が回転する。
分伝えかな57bの回転力は、日の裏車61から筒車63の時歯車65に伝達されて、時歯車65が回転する。このとき、分伝えかな57bに対する時歯車65の歯数比は1/12なので、時歯車65は、分伝えかな57bに同期して、12時間で1回転する。
時歯車65の回転力は、24時中間車67から24時車69に伝達されて、24時車69が回転する。このとき、時歯車65に対する24時車69の歯数比は1/2なので、24時車69は、時歯車65に同期して24時間で1回転する。24時車69が回転することで、24時車69に取り付けられた24時針12が回転する。
筒かな59の回転力は、時差修正日の裏車71から筒車63の筒車体64に伝達されて、筒車体64が回転する。このとき、筒かな59に対する筒車体64の歯数比は1/12なので、筒車体64は、筒かな59に同期して12時間で1回転する。これにより、筒車体64および時歯車65は、互いに相対回転することなく一体回転する。この状態では、筒車体64と時歯車65との間にはトルクが作用しないので、第2躍制機構141は、筒車体64と時歯車65とを一体回転させている。筒車体64が回転することで、筒車体64に取り付けられた時針13が回転する。
筒車体64の回転力は、日回し機構100に伝達される。筒車体64に対する日回し車107の歯数比は1/2なので、日回し車107は、24時間で1回転する。日回し車107は、例えば午前0時に達するタイミングで、日送り爪107bを利用して日車101を日ジャンパ109に抗する力で1歯分だけ送って回転させる。これにより、文字板11の日窓11aから露出する日文字16を1日分だけ変化させることができるので、日付を正確に表示することができる。
続いて、時刻修正を行う場合について説明する。時刻修正では、分針14、時針13および24時針12を互いに同時、かつ秒針15とは独立して回転させて、分針14、時針13および24時針12が指示する時刻を修正する。
図16は、第1実施形態のムーブメントにおける時刻修正時のトルク伝達経路を示すブロック図である。
図16に示すように、時刻修正を行う場合には、りゅうず4を2段階引き出して、巻真31を0段位置から2段位置に移行させる。これにより、つづみ車32が小鉄車37に噛み合うとともに、小鉄車37の回転に同期して回転する日の裏中間車38が日の裏車61に噛み合う。従って、巻真31を回転させることで、つづみ車32を介して日の裏車61を回転させることができる。
日の裏車61の回転力は、分伝え車57の分伝えかな57b、および筒車63の時歯車65に伝達されて、分伝えかな57bおよび時歯車65が回転する。このとき、分伝え車57の分歯車57aは、香箱車に繋がる三番車53との噛み合いによって一定の運針トルクが作用して回転が規制されている。このため、分伝えかな57bは、分歯車57aに対してスリップしながら相対的に回転する。分伝えかな57bの回転力は、通常運針時と同様、第1躍制機構121によって筒かな59に伝達されるので、筒かな59が回転する。このとき、筒かな59は、分伝えかな57bと同一の周期で回転する。筒かな59が回転することで、筒かな59に取り付けられた分針14が回転する。
時歯車65の回転力は、第2躍制機構141によって筒車体64に伝達されるので、筒車体64が回転する。このとき、筒車体64には、筒かな59の回転力が時差修正日の裏車71から伝達される。すなわち、筒車体64は、筒かな59に同期して、筒かな59および分伝えかな57bの12倍の周期で回転する。これにより、筒車体64は、時歯車65と同一の周期で回転する。筒車体64が回転することで、筒車体64に取り付けられた時針13が回転する。
また、時歯車65の回転力は、通常運針時と同様、24時中間車67から24時車69に伝達されて、24時車69が回転する。このとき、24時車69は、時歯車65の2倍の周期で回転する。24時車69が回転することで、24時車69に取り付けられた24時針12が回転する。
筒車体64の回転力は、通常運針時と同様、日回し機構100に伝達される。これにより、日車101が回転して、文字板11の日窓11aから露出する日文字16を変化させることができる。
以上により、分針14、時針13および24時針12が指示する時刻の修正を、日車101の日付修正とともに行うことができる。
続いて、時差修正を行う場合について説明する。時差修正では、時差修正機構150を用いて分針14および時針13を互いに同時、かつ24時針12および秒針15とは独立して回転させる。
図17は、第1実施形態のムーブメントにおける時差修正時のトルク伝達経路を示すブロック図である。
図4および図17に示すように、時差修正を行う場合には、りゅうず4を1段階引き出して、巻真31を0段位置から1段位置に移行させる。これにより、つづみ車32が小鉄車37に噛み合うとともに、時差修正輪列80の第5時差修正伝え車85の第5時差修正伝え歯車85aが第4時差修正伝え車84の表側第4時差修正伝え歯車84bに噛み合う。第5時差修正伝え車85は、小鉄車37に噛み合っているので、巻真31を回転させることで、つづみ車32および時差修正輪列80を介して時差修正日の裏車71を回転させることができる。
図17に示すように、時差修正日の裏車71の回転力は、筒かな59、および筒車63の筒車体64に伝達されて、筒かな59および筒車体64が回転する。このとき、分伝え車57の分伝えかな57bは、香箱車から分歯車57aを介して一定の運針トルクが作用して回転が規制されている。このため、第1躍制機構121は、分ジャンパカム122に対して分ジャンパ126をスリップさせながら、分伝えかな57bと筒かな59とを相対回転させる。このとき、分ジャンパ126は、躍制部127が分ジャンパカム122の外周面の大径部122aを1つずつ乗り越えるように、分ジャンパカム122に対して間欠的にスリップするので、筒かな59は間欠的に回転する。すなわち、時差修正日の裏車71は、分伝えかな57bと同期して回転可能な日の裏車61に対し、第1躍制機構121によって1ピッチずつ回転する。
時歯車65は、日の裏車61を介して分伝えかな57bに繋がっている。上述したように分伝えかな57bは、回転が規制されているので、時歯車65も回転が規制されている。このため、第2躍制機構141は、時ジャンパかな142に対して時ジャンパ144をスリップさせながら、時歯車65と筒車体64とを相対回転させる。このとき、時ジャンパ144は、躍制爪部145が時ジャンパかな142の歯142aを1つずつ乗り越えるように、時ジャンパかな142に対して間欠的にスリップするので、筒車体64は間欠的に回転する。すなわち、時差修正日の裏車71は、時歯車65と同期して回転可能な日の裏車61に対し、第2躍制機構141によって1ピッチずつ回転する。
図7に示すように、本実施形態では、分ジャンパカム122の外周面には、大径部122aが等角度間隔で一対設けられている。このため、筒かな59は、第1躍制機構121によって、180°ずつ間欠的に回転する。筒かな59が180°ずつ回転することで、筒かな59に取り付けられた分針14も180°ずつ回転する。また、図13に示すように、本実施形態では、時ジャンパかな142には歯142aが周方向に等間隔で24個設けられている。このため、筒車体64は、第2躍制機構141によって、15°ずつ間欠的に回転する。筒車体が15°ずつ回転することで、筒車体64に取り付けられた時針13も15°ずつ回転する。ここで、筒かな59に対する筒車体64の歯数比は1/12なので、筒かな59および筒車体64の回転ピッチが一致している。
以上により、分針14および時針13を30分ずつ送りながら、秒針15および24時針12を回転させることなく、時差修正を行うことができる。例えば、図1に示す時計1に対して30分だけ時刻を進めるように時差修正を行うことで、図18に示すように時針13および分針14のみを回転させることができる。
なお、筒車体64の回転力は、通常運針時と同様、日回し機構100に伝達される。これにより、時差修正時においても日車101を回転させて、文字板11の日窓11aから露出する日文字16を変化させることができる。
以上に説明したように、本実施形態の時差修正機構150は、巻真31が2段位置に位置する状態において巻真31の回転に応じて連続的に回転される日の裏車61と、巻真31が1段位置に位置する状態において巻真31の回転に応じて連続的に回転される時差修正日の裏車71と、香箱車の回転力によって連続的に回転される分歯車57aと、分歯車57aとスリップ可能な状態で一体回転するとともに日の裏車61の回転に同期して回転する分伝えかな57bと、時差修正日の裏車71の回転に同期して回転するとともに分針14が取り付けられる筒かな59と、日の裏車61の回転に同期して回転する時歯車65と、時差修正日の裏車71の回転に同期して回転するとともに時針13が取り付けられる筒車体64と、分伝えかな57bと筒かなと59の間、および時歯車65と筒車体64との間の両方に設けられ、日の裏車61および時差修正日の裏車71の相対回転を躍制し、日の裏車61に対して時差修正日の裏車71を1ピッチずつ回転させる躍制機構120と、を備える。
この構成によれば、巻真31が2段位置に位置する状態において巻真31を回転させると、日の裏車61を介して分伝えかな57bおよび時歯車65を回転させることができる。このとき、筒かな59および筒車体64は、時差修正日の裏車71を介して互いに同期して回転可能となっており、かつ筒かな59および筒車体64には回転を規制するトルクが作用していない。このため、分伝えかな57bおよび時歯車65の回転力は、躍制機構120によって筒かな59および筒車体64に伝達されて、筒かな59および筒車体64が回転する。したがって、巻真31の回転により、筒かな59に取り付けられる分針14、および筒車体64に取り付けられる時針12を回転させることができ、時刻修正を行うことができる。
また、巻真31が1段位置に位置する状態において巻真31を回転させると、時差修正日の裏車71を介して筒かな59および筒車体64を回転させることができる。このとき、分歯車57aは、香箱車から伝わる運針トルクによって回転が規制されている。このため、分歯車57aと一体回転する分伝えかな57b、並びに分伝えかな57bと同期して回転する日の裏車61および時歯車65の回転も規制されている。このため、時差修正日の裏車71は、躍制機構120によって回転を躍制されながら日の裏車61に対して1ピッチずつ回転し、それに伴い筒かな59および筒車体64も1ピッチずつ回転する。したがって、巻真31の回転により、筒かな59に取り付けられる分針14、および筒車体64に取り付けられる時針13を一定の角度ずつ回転させることができ、時差修正を行うことができる。
以上により、時差修正を行う際に時針13のみならず分針14も時針13に連動して回転させることが可能となり、簡単な操作で分単位の時差修正が可能な時差修正機構150とすることができる。
また、躍制機構120は、分伝えかな57bと筒かな59との間、および時歯車65と筒車体64との間の両方に設けられている。
この構成によれば、躍制機構120による躍制時のトルクを筒かな59および筒車体64の両方に直接作用させることができる。これにより、躍制機構が分伝えかな57bと筒かな59との間、および時歯車65と筒車体64との間のうちいずれか一方のみに設けられた場合と比較して、筒かな59および筒車体64それぞれと躍制機構120との間のバックラッシュが抑制される。例えば、躍制機構が分伝えかな57bと筒かな59との間のみに設けられた場合には、筒車体64と躍制機構との間には筒かな59が介在するので、躍制機構が時歯車65と筒車体64との間に設けられた場合よりも躍制時のガタツキが大きくなる。また、例えば、躍制機構が時歯車65と筒車体64との間のみに設けられた場合には、筒かな59と躍制機構との間には筒車体64が介在するので、躍制機構が分伝えかな57bと筒かな59との間に設けられた場合よりも躍制時のガタツキが大きくなる。よって、時差修正を行う際に、時針13および分針14の両方をより正確に一定の角度ずつ回転させることができる。
また、筒かな59は、時差修正日の裏車71の1ピッチの回転に伴って、180°回転する。この構成によれば、時差修正を行う際に、分針14を30分単位で回転させることができる。したがって、30分単位の時差修正が可能な時差修正機構150とすることができる。
また、第1躍制機構121は、分伝えかな57bの回転に同期して回転するとともに、径方向外側の突出した凸面123を有する分ジャンパカム122と、筒かな59の回転に同期して分ジャンパカム122の周囲を周回するとともに、分ジャンパカム122を押圧する分ジャンパ126と、を備える。
この構成によれば、分ジャンパ126に分ジャンパカム122を押圧させながら分ジャンパカム122の周囲を周回させることで、分ジャンパ126が分ジャンパカム122の凸面123に係合して、分ジャンパ126の周回が躍制される。したがって、分伝えかな57bおよび筒かな59の相対回転を躍制することができる。
また、第2躍制機構141は、筒車体64の回転に同期して回転するとともに、径方向外側の突出した歯142aを有する時ジャンパかな142と、時歯車65の回転に同期して時ジャンパかな142の周囲を周回するとともに、時ジャンパかな142を押圧する時ジャンパ144と、を備える。
この構成によれば、時ジャンパ144に時ジャンパかな142を押圧させながら時ジャンパかな142の周囲を周回させることで、時ジャンパ144が時ジャンパかな142の歯142aに係合して、時ジャンパ144の周回が躍制される。したがって、時歯車65および筒車体64の相対回転を躍制することができる。
そして、本実施形態のムーブメント10および時計1は、上述した時差修正機構150を備えるので、簡単な操作による分単位の時差修正を可能とすることができる。
また、ムーブメント10は、時歯車65の回転に同期して回転するとともに、時歯車65に対する歯数比が1/2とされ、24時針12が取り付けられる24時車69を備える。
この構成によれば、24時車69は時歯車65の回転に同期して回転するので、時差修正を行う際に、24時車69は巻真31の回転によって回転しない。よって、時差修正を行っても、24時車69に取り付けられた24時針12によって時差修正前の時刻を表示することができる。したがって、例えば居住地から他地域に移動して時差修正を行った場合であっても、居住地における時刻を24時針12によって表示できる時計1を形成することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、分針14および時針13を30分ずつ送りながら時差修正を行うことができる。これに対して第2実施形態は、分針14および時針13を15分ずつ送りながら時差修正を行うことができる点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図19は、第2実施形態の第1躍制機構を含むムーブメントの一部を示す平面図である。図20は、第2実施形態の第1躍制機構を含むムーブメントの一部を示す断面図である。
図19および図20に示すように、第1躍制機構121は、第1実施形態の分ジャンパカム122および分ジャンパ126に代えて、分ジャンパカム222および分ジャンパ226を備える。
本実施形態では、分ジャンパカム222の外周面は、軸方向から見て径方向外側に突出した4つの凸面223(凸部)を有する。各凸面223における周方向の中間部分は、分ジャンパカム222の外径が極大となる大径部222aとなっている。周方向で隣り合う一対の凸面223の境界部分は、分ジャンパカム222の外径が極小となる小径部222bとなっている。大径部222aおよび小径部222bは、周方向に等角度間隔で交互に設けられている。本実施形態では、大径部222aおよび小径部222bは、それぞれ4つずつ設けられている。
分ジャンパ226は、分ジャンパ座124に対して回動可能なレバー状に設けられ、分ジャンパカム222を押圧する。分ジャンパ226には、分ジャンパカム222の外周面に離脱可能に摺接する躍制部227が形成されている。躍制部227は、軸方向から見て中心軸O側に突出している。躍制部227は、分ジャンパ226が分ジャンパカム222の周囲を周回することで、分ジャンパカム222の外周面の大径部222aに接触する状態と、分ジャンパカム222の外周面の小径部222bに対向する状態と、の間を相互に移行して中心軸Oに接近離間する。
このように構成された第1躍制機構121は、第1実施形態と同様に、分ジャンパカム222の外周面における分ジャンパ226の躍制部227の接触位置および接触方向に応じて、分伝えかな57bと筒かな59との間に作用させるトルクを変化させる。第1躍制機構121は、躍制部227が分ジャンパカム222の外周面の小径部222bに対向する状態で分伝えかな57bと筒かな59との間で回転力を伝達させ、分伝えかな57bと筒かな59とを一体回転させている。
さらに、分伝えかな57bと筒かな59との間に所定のトルクが作用すると、分ジャンパ226が分ジャンパカム222の大径部222aを乗り越える。これにより、分伝えかな57bと筒かな59とを相対回転させることが可能となっている。
図21は、第2実施形態の第2躍制機構を含むムーブメントの一部を示す平面図である。図22は、第2実施形態の第2躍制機構を含むムーブメントの一部を示す断面図である。
図21および図22に示すように、第2躍制機構141は、第1実施形態の時ジャンパかな142および時ジャンパ144に代えて、時ジャンパかな242および時ジャンパ244を備える。
本実施形態では、時ジャンパかな242の複数の歯242aは、48個設けられている。
時ジャンパ244は、時歯車65の貫通孔65aの内側に配置され、時ジャンパかな242を押圧する。時ジャンパ244は、両端が時歯車65の貫通孔65aの内周面に接続された両持ちのレバー状に形成されている。時ジャンパ244の中間部には、時ジャンパかな242の歯242aに離脱可能に係合する躍制爪部245が形成されている。躍制爪部245は、時ジャンパ244の弾性変形に伴う復元力によって、時ジャンパかな242の外周縁に押し付けられている。
このように構成された第2躍制機構141は、時ジャンパかな242に対して時ジャンパ244を押し付けて、時ジャンパかな242の歯242aに躍制爪部245が係合するように、筒車体64および時歯車65に対して組み合わされている。これにより、第2躍制機構141は、時ジャンパかな242の歯242aに対する躍制爪部245の係合によって、筒車体64と時歯車65との間で回転力を伝達させ、筒車体64と時歯車65とを一体回転させている。
さらに、筒車体64と時歯車65との間に所定のトルクが作用すると、時ジャンパ244が時ジャンパかな242から離間する方向に撓むように弾性変形して、時ジャンパかな242の歯242aに対する躍制爪部245の係合が解除される。これにより、時ジャンパかな242に対して時ジャンパ244をスリップさせながら、筒車体64と時歯車65とを相対回転させることが可能となっている。
次に、本実施形態の時計1の動作について説明する。
以下、時差修正を行う場合について説明する。なお、時刻表示、日付表示および時刻修正については第1実施形態と同様である。
本実施形態の時計1における時差修正は、1段位置の巻真31を回転させることで、時差修正日の裏車71を介して筒かな59および筒車体64を回転させる点で、第1実施形態と同様である。
図20に示すように、分伝え車57の分伝えかな57bは、第1実施形態と同様、回転が規制されている。このため、第1躍制機構121は、分ジャンパカム222に対して分ジャンパ226をスリップさせながら、分伝えかな57bと筒かな59とを相対回転させる。このとき、分ジャンパ226は、躍制部227が分ジャンパカム222の外周面の大径部222aを1つずつ乗り越えるように、分ジャンパカム122に対して間欠的にスリップするので、筒かな59は間欠的に回転する。すなわち、時差修正日の裏車71は、分伝えかな57bと同期して回転可能な日の裏車61に対し、第1躍制機構121によって1ピッチずつ回転する。
図22に示すように、時歯車65は、第1実施形態と同様、回転が規制されている。このため、第2躍制機構141は、時ジャンパかな242に対して時ジャンパ244をスリップさせながら、時歯車65と筒車体64とを相対回転させる。このとき、時ジャンパ244は、躍制爪部245が時ジャンパかな242の歯242aを1つずつ乗り越えるように、時ジャンパかな242に対して間欠的にスリップするので、筒車体64は、間欠的に回転する。すなわち、時差修正日の裏車71は、時歯車65と同期して回転可能な日の裏車61に対し、第2躍制機構141によって1ピッチずつ回転する。
図19に示すように、本実施形態では、分ジャンパカム222の外周面には、大径部222aが等角度間隔で4つ設けられている。このため、筒かな59は、第1躍制機構121によって、90°ずつ間欠的に回転する。筒かな59が90°ずつ回転することで、筒かな59に取り付けられた分針14も90°ずつ回転する。また、図21に示すように、本実施形態では、時ジャンパかな242には歯242aが周方向に等間隔で48個設けられている。このため、筒車体64は、第2躍制機構141によって、7.5°ずつ間欠的に回転する。筒車体が7.5°ずつ回転することで、筒車体64に取り付けられた時針13も7.5°ずつ回転する。ここで、筒かな59に対する筒車体64の歯数比は1/12なので、筒かな59および筒車体64の回転ピッチが一致している。
以上により、分針14および時針13を15分ずつ送りながら、秒針15および24時針12を回転させることなく、時差修正を行うことができる。例えば、図1に示す時計1に対して15分だけ時刻を進めるように時差修正を行うことで、図23に示すように時針13および分針14のみを回転させることができる。
以上に説明したように、本実施形態の時差修正機構150は、日の裏車61に対して時差修正日の裏車71を1ピッチずつ回転させる躍制機構120を備えるので、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、筒かな59は、時差修正日の裏車71の1ピッチの回転に伴って、90°回転する。この構成によれば、時差修正を行う際に、分針14を15分単位で回転させることができる。したがって、15分単位の時差修正が可能な時差修正機構150とすることができる。
また、時ジャンパ244は、両持ちのレバー状に形成されている。このため、片持ちのレバー状に形成された時ジャンパよりも、時ジャンパ244の弾性変形に伴う復元力を大きく設定することが可能となる。これにより、時ジャンパかな242の歯242aに対して躍制爪部245をより強く係合させることができる。したがって、筒車体64および時歯車65の相対回転の躍制時のガタツキを抑制することができる。
[第2実施形態の第1変形例]
次に、図24を参照して、第2実施形態の第1変形例について説明する。第2実施形態の第1変形例は、第2躍制機構141が時ジャンパ244を複数備える点で、第2実施形態と異なっている。
図24は、第2実施形態の第1変形例の第2躍制機構を含むムーブメントの一部を示す平面図である。
図24に示すように、第2躍制機構141は、一対の時ジャンパ244を備える。一対の時ジャンパ244は、中心軸Oについて2回対称に設けられている。一対の時ジャンパ244は、それぞれの躍制爪部245を同じタイミングで時ジャンパかな242の歯242aに係脱させる。
本変形例によれば、時ジャンパかな242の歯242aに対する躍制爪部245の係合箇所が2か所となるので、時ジャンパ244を時ジャンパかな242に対してスリップさせる際に要するトルクが増大する。したがって、筒車体64および時歯車65の相対回転の躍制時のガタツキを抑制することができる。
[第2実施形態の第2変形例]
次に、図25および図26を参照して、第2実施形態の第2変形例について説明する。第2実施形態の第2変形例は、分ジャンパ226自体が弾性変形可能に形成されている点で、第2実施形態と異なっている。
図25は、第2実施形態の第2変形例の第1躍制機構を含むムーブメントの一部を示す平面図である。図26は、第2実施形態の第2変形例の第1躍制機構を含むムーブメントの一部を示す断面図である。
図25および図26に示すように、第1躍制機構121は、分ジャンパ座124、分ジャンパ126および分ジャンパばね129に代えて、分ジャンパ座324および分ジャンパ326を備える。
分ジャンパ座324は、分ジャンパ326を保持する。分ジャンパ座324は、分ジャンパカム222よりも大径の円環状に形成されている。分ジャンパ座324は、中心軸Oと同軸に配置されている。分ジャンパ座324は、筒かな59の歯よりも表側、かつ分ジャンパカム222よりも裏側に配置されている。分ジャンパ座324は、筒かな59に固定的に設けられ、筒かな59と一体回転する。分ジャンパ座324には、分ジャンパ326の一部を裏側に露出させる貫通窓324bが形成されている。
分ジャンパ326は、分ジャンパ座324に固定された基部334と、基部334に支持されたジャンパ本体335と、を備える。基部334は、円板状に形成され、中心軸Oと同軸に配置されている。基部334は、分ジャンパ座324の表側に配置され、分ジャンパ座324に重ねられている。基部334には、分ジャンパカム222を挿通させる貫通孔334aが形成されている。貫通孔334aの一部は、分ジャンパカム222の外周縁が摺接するように、中心軸Oを中心とする円弧状に延びている。
ジャンパ本体335は、基部334の貫通孔334aの内側に配置され、分ジャンパカム222を押圧する。ジャンパ本体335は、径方向から見て分ジャンパカム222に重なるように配置されている。ジャンパ本体335は、弾性変形可能に形成されている。ジャンパ本体335は、基端が基部334の貫通孔334aの内周面に接続された片持ちのレバー状に形成されている。これにより、ジャンパ本体335は、基部334とともに、分ジャンパ座324の回転に同期して分ジャンパカム222の周囲を周回(公転)する。ジャンパ本体335の中間部には、分ジャンパカム222の外周面に離脱可能に摺接する躍制部327が形成されている。躍制部327は、ジャンパ本体335の弾性変形に伴う復元力によって、分ジャンパカム222の外周面に押し付けられている。躍制部327は、分ジャンパ326が分ジャンパカム222の周囲を周回することで、分ジャンパカム222の外周面の大径部222aに接触する状態と、分ジャンパカム222の外周面の小径部222bに対向する状態と、の間を相互に移行して中心軸Oに接近離間する。
このように構成された第1躍制機構121は、第2実施形態と同様に、分ジャンパカム222の外周面における分ジャンパ326の躍制部327の接触位置および接触方向に応じて、分伝えかな57bと筒かな59との間に作用させるトルクを変化させる。第1躍制機構121は、躍制部327が分ジャンパカム222の外周面の小径部222bに対向する状態で分伝えかな57bと筒かな59との間で回転力を伝達させ、分伝えかな57bと筒かな59とを一体回転させている。
さらに、分伝えかな57bと筒かな59との間に所定のトルクが作用すると、分ジャンパ326の躍制部327が分ジャンパカム222の大径部222aを乗り越える。これにより、分伝えかな57bと筒かな59とを相対回転させることが可能となっている。
以上に説明したように、本変形例によれば、分ジャンパ326が分ジャンパカム222の凸面223に係合して、分ジャンパ126の周回が躍制される。したがって、分伝えかな57bおよび筒かな59の相対回転を躍制することができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、躍制機構120が第2躍制機構141を備えていない点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図27は、第3実施形態のムーブメントを示す断面図である。図28は、第3実施形態の筒車を示す断面図である。
図27に示すように、躍制機構120は、第1躍制機構121のみを備える。この場合、図28に示すように、時歯車65は、筒車体64の表側の端部の外側に回転可能に挿入されている。すなわち、時歯車65および筒車体64は、相対回転可能となっている。時歯車65は、押さえ部材66によって表側から押さえられている。押さえ部材66は、円環状に形成され、中心軸Oと同軸に配置されている。押さえ部材66は、時歯車65を挟んで筒車体64の筒歯車64aとは反対側に配置され、筒車体64の表側の端部の外側に挿入されている。
次に、本実施形態の時計1の動作について説明する。
まず、時刻表示および日付表示について説明する。
図29は、第3実施形態のムーブメントにおける通常運針時のトルク伝達経路を示すブロック図である。
図29に示すように、時刻表示および日付表示に係る通常運針時には、第1実施形態と同様、香箱車の回転力が四番車55、および分伝え車57の分歯車57aに伝達されるので、四番車55および分歯車57aが回転する。四番車55が回転することで、四番車55に取り付けられた秒針15が回転する。
分歯車57aが回転することで、分伝えかな57bが回転する。分歯車57aおよび分伝えかな57bは、四番車55に同期して、1時間で1回転する。分伝えかな57bの回転力は、第1躍制機構121によって筒かな59に伝達されるので、筒かな59が回転する。筒かな59が回転することで、筒かな59に取り付けられた分針14が回転する。また、分伝えかな57bの回転力は、日の裏車61から筒車63の時歯車65に伝達されて、時歯車65が回転する。時歯車65は、分伝えかな57bに同期して、12時間で1回転する。時歯車65の回転力は、24時中間車67から24時車69に伝達されて、24時車69が回転する。24時車69が回転することで、24時車69に取り付けられた24時針12が回転する。
筒かな59の回転力は、時差修正日の裏車71から筒車63の筒車体64に伝達されて、筒車体64が回転する。筒車体64は、筒かな59に同期して、12時間で1回転する。つまり、筒車体64および時歯車65は、互いに相対回転することなく一体回転する。筒車体64が回転することで、筒車体64に取り付けられた時針13が回転する。
続いて、時刻修正を行う場合について説明する。
図30は、第3実施形態のムーブメントにおける時刻修正時のトルク伝達経路を示すブロック図である。
図30に示すように、時刻修正を行う場合には、第1実施形態と同様、2段位置の巻真31を回転させることで、日の裏車61を介して分伝え車57の分伝えかな57b、および時歯車65を回転させる。
分伝え車57の分歯車57aは、第1実施形態と同様、回転が規制されている。このため、分伝えかな57bは、分歯車57aに対してスリップしながら相対的に回転する。分伝えかな57bの回転力は、通常運針時と同様、第1躍制機構121によって筒かな59に伝達されるので、筒かな59が回転する。このとき、筒かな59は、分伝えかな57bと同一の周期で回転する。筒かな59が回転することで、筒かな59に取り付けられた分針14が回転する。
筒かな59の回転力は、通常運針時と同様、時差修正日の裏車71から筒車63の筒車体64に伝達されて、筒車体64が回転する。筒車体64は、筒かな59に同期して、筒かな59の12倍の周期で回転する。筒車体64が回転することで、筒車体64に取り付けられた時針13が回転する。
時歯車65は、分伝えかな57bに同期して、分伝えかな57bの12倍の周期で回転する。つまり、筒車体64および時歯車65は、互いに相対回転することなく一体回転する。時歯車65の回転力は、通常運針時と同様、24時中間車67から24時車69に伝達されて、24時車69が回転する。このとき、24時車69は、時歯車65の2倍の周期で回転する。24時車69が回転することで、24時車69に取り付けられた24時針12が回転する。
以上により、分針14、時針13および24時針12が指示する時刻の修正を行うことができる。
続いて、時差修正を行う場合について説明する。
図31は、第3実施形態のムーブメントにおける時差修正時のトルク伝達経路を示すブロック図である。
図31に示すように、時差修正を行う場合には、第1実施形態と同様、1段位置の巻真31を回転させることで、時差修正日の裏車71を介して筒かな59および筒車体64を回転させる。
分伝え車57の分伝えかな57bは、第1実施形態と同様、回転が規制されている。このため、第1躍制機構121は、分ジャンパカム122に対して分ジャンパ126をスリップさせながら、分伝えかな57bと筒かな59とを相対回転させる。このとき、分ジャンパ126は、躍制部127が分ジャンパカム122の外周面の大径部122aを1つずつ乗り越えるように、分ジャンパカム122に対して間欠的にスリップするので、筒かな59は間欠的に回転する。すなわち、時差修正日の裏車71は、分伝えかな57bと同期して回転可能な日の裏車61に対し、第1躍制機構121によって1ピッチずつ回転する。筒かな59が間欠的に回転することによって、筒かな59に取り付けられた分針14も一定の角度(本実施形態では180°)ずつ回転する。
筒車体64は、筒かな59の間欠的な回転に同期して、間欠的に回転する。筒車体64が間欠的に回転することによって、筒車体64に取り付けられた時針13も一定の角度(本実施形態では15°)ずつ回転する。この際、筒車体64は、回転が規制された時歯車65に対して相対回転する。
以上により、分針14および時針13を30分ずつ送りながら、秒針15および24時針12を回転させることなく、時差修正を行うことができる。
以上に説明したように、本実施形態の時差修正機構150は、分伝えかな57bと筒かな59との間に設けられた第1躍制機構121を備えるので、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、躍制機構120は、第1躍制機構121のみを備えるので、第1躍制機構121および第2躍制機構141の両方を備える場合と比較して、時差修正機構150の構成を簡素化することができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、躍制機構120が第1躍制機構121を備えていない点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図32は、第4実施形態のムーブメントを示す断面図である。
図32に示すように、躍制機構120は、第2躍制機構141のみを備える。この場合、分伝えかな57bおよび筒かな59は、相対回転可能となっている。
次に、本実施形態の時計1の動作について説明する。
まず、時刻表示および日付表示について説明する。
図33は、第4実施形態のムーブメントにおける通常運針時のトルク伝達経路を示すブロック図である。
図33に示すように、時刻表示および日付表示に係る通常運針時には、第1実施形態と同様、香箱車の回転力が四番車55、および分伝え車57の分歯車57aに伝達されるので、四番車55および分歯車57aが回転する。四番車55が回転することで、四番車55に取り付けられた秒針15が回転する。
分歯車57aが回転することで、分伝えかな57bが回転する。分歯車57aおよび分伝えかな57bは、四番車55に同期して、60分で1回転する。分伝えかな57bの回転力は、日の裏車61から筒車63の時歯車65に伝達されて、時歯車65が回転する。時歯車65は、分伝えかな57bに同期して、12時間で1回転する。時歯車65の回転力は、24時中間車67から24時車69に伝達されて、24時車69が回転する。24時車69が回転することで、24時車69に取り付けられた24時針12が回転する。
また、時歯車65の回転力は、第2躍制機構141によって筒車体64に伝達されるので、筒車体64が回転する。筒車体64は、時歯車65に同期して、12時間で1回転する。筒車体64が回転することで、筒車体64に取り付けられた時針13が回転する。
筒車体64の回転力は、時差修正日の裏車71から筒かな59に伝達されるので、筒かな59が回転する。筒かな59は、筒車体64の1/12倍の周期で回転する。すなわち、筒かな59は、60分で1回転する。筒かな59が回転することで、筒かな59に取り付けられた分針14が回転する。
続いて、時刻修正を行う場合について説明する。
図34は、第4実施形態のムーブメントにおける時刻修正時のトルク伝達経路を示すブロック図である。
図34に示すように、時刻修正を行う場合には、第1実施形態と同様、2段位置の巻真31を回転させることで、日の裏車61を介して分伝え車57の分伝えかな57b、および時歯車65を回転させる。
分伝え車57の分歯車57aは、第1実施形態と同様、回転が規制されている。このため、分伝えかな57bは、分歯車57aに対してスリップしながら相対的に回転する。
時歯車65の回転力は、通常運針時と同様、第2躍制機構141によって筒車体64に伝達されて、筒車体64が回転する。筒車体64は、時歯車65に同期して一体回転する。筒車体64が回転することで、筒車体64に取り付けられた時針13が回転する。
筒車体64の回転力は、通常運針時と同様、時差修正日の裏車71から筒かな59に伝達されるので、筒かな59が回転する。このとき、筒かな59は、筒車体64の1/12倍の周期で回転する。筒かな59が回転することで、筒かな59に取り付けられた分針14が回転する。
また、時歯車65の回転力は、通常運針時と同様、24時中間車67から24時車69に伝達されて、24時車69が回転する。このとき、24時車69は、時歯車65の2倍の周期で回転する。24時車69が回転することで、24時車69に取り付けられた24時針12が回転する。
以上により、分針14、時針13および24時針12が指示する時刻の修正を行うことができる。
続いて、時差修正を行う場合について説明する。
図35は、第4実施形態のムーブメントにおける時差修正時のトルク伝達経路を示すブロック図である。
図35に示すように、時差修正を行う場合には、第1実施形態と同様、1段位置の巻真31を回転させることで、時差修正日の裏車71を介して筒かな59および筒車体64を回転させる。
分伝え車57の分伝えかな57bは、第1実施形態と同様、回転が規制されている。時歯車65は、日の裏車61を介して分伝えかな57bに繋がっているので、時歯車65も回転が規制されている。このため、第2躍制機構141は、時ジャンパかな142に対して時ジャンパ144をスリップさせながら、時歯車65と筒車体64とを相対回転させる。このとき、時ジャンパ144は、躍制爪部145が時ジャンパかな142の歯142aを1つずつ乗り越えるように、時ジャンパかな142に対して間欠的にスリップするので、筒車体64は、間欠的に回転する。筒車体64が間欠的に回転することによって、筒車体64に取り付けられた時針13も一定の角度(本実施形態では15°)ずつ回転する。この際、筒車体64は、回転が規制された時歯車65に対して相対回転する。
筒かな59は、筒車体64の間欠的な回転に同期して、間欠的に回転する。筒かな59が間欠的に回転することによって、筒かな59に取り付けられた分針14も一定の角度(本実施形態では180°)ずつ回転する。
以上により、分針14および時針13を30分ずつ送りながら、秒針15および24時針12を回転させることなく、時差修正を行うことができる。
以上に説明したように、本実施形態の時差修正機構150は、時歯車65と筒車体64との間に設けられた第2躍制機構141を備えるので、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、躍制機構120は、第2躍制機構141のみを備えるので、第1躍制機構121および第2躍制機構141の両方を備える場合と比較して、時差修正機構150の構成を簡素化することができる。
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、駆動源として香箱車を有する機械式時計を例に挙げて説明したが、これに限定されない。すなわち、駆動源としてモータを有するアナログクォーツ式の電子時計に搭載される時計用ムーブメントに本発明を適用してもよい。
また、躍制機構が配置される位置については、上記実施形態に限定されない。第1躍制機構については、分伝えかな57bと筒かな59との間に設けられていればよく、例えば第1躍制機構と分伝えかな57bとの間、および第1躍制機構と筒かな59との間のうち少なくともいずれか一方の間に新たな歯車を介在させてもよい。すなわち、第1躍制機構は、分伝えかな57bと筒かな59との間の動力伝達経路のうち、時歯車65および筒車体64を通らない動力伝達経路上に設けられていればよい。また、第2躍制機構については、時歯車65と筒車体64との間に設けられていればよく、例えば第2躍制機構と時歯車65との間、および第2躍制機構と筒車体64との間のうち少なくともいずれか一方の間に新たな歯車を介在させてもよい。すなわち、第3躍制機構は、時歯車65と筒車体64との間の動力伝達経路のうち、分伝えかな57bおよび筒かな59を通らない動力伝達経路上に設けられていればよい。これらの場合、躍制機構は、中心軸Oに対してずれた位置に設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、各種指針がいずれも中心軸O回りに回転するように設けられているが、これに限定されない。例えば24時針が中心軸Oとは異なる軸回りに回転するように設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、時差修正機構150が15分または30分単位の時差修正を可能としているが、これに限定されない。例えば、時差修正機構は、5分単位の時差修正を可能としてもよい。
また、上記実施形態では、分ジャンパカム122が分伝えかな57bの回転に同期して回転し、分ジャンパ126が筒かな59の回転に同期して回転するが、これに限定されない。分ジャンパカムが筒かな59の回転に同期して回転し、分ジャンパが分伝えかな57bの回転に同期して回転するように構成されていてもよい。また、上記実施形態では、時ジャンパかな142が筒車体64の回転に同期して回転し、時ジャンパ144が時歯車65の回転に同期して回転するが、これに限定されない。時ジャンパかなが時歯車65の回転に同期して回転し、時ジャンパが筒車体64の回転に同期して回転するように構成されていてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせてもよい。例えば、第3実施形態または第4実施形態の時差修正機構150に、第2実施形態の第1躍制機構121または第2躍制機構141を組み合させて、15分単位の時差修正が可能な構成としてもよい。
1…時計 10…ムーブメント(時計用ムーブメント) 12…24時針(副時針) 13…時針 14…分針 31…巻真 57a…分歯車 57b…かな 59…筒かな 61…日の裏車(第1日の裏車) 64…筒車体 65…時歯車 69…24時車 71…時差修正日の裏車(第2日の裏車) 120…躍制機構 121…第1躍制機構(躍制機構) 122,222…分ジャンパカム(分カム) 123,223…凸面(凸部) 126,226,326…分ジャンパ 141…第2躍制機構(躍制機構) 142,242…時ジャンパかな(時カム) 142a…歯(凸部) 144,244…時ジャンパ 150…時差修正機構 O…中心軸

Claims (8)

  1. 巻真の第1引き出し状態において前記巻真の回転に応じて連続的に回転される第1日の裏車と、
    前記巻真の第2引き出し状態において前記巻真の回転に応じて連続的に回転される第2日の裏車と、
    駆動源の回転力によって連続的に回転される分歯車と、
    前記分歯車とスリップ可能な状態で一体回転するとともに前記第1日の裏車の回転に同期して回転する分伝えかなと、
    前記第2日の裏車の回転に同期して回転するとともに分針が取り付けられる筒かなと、
    前記第1日の裏車の回転に同期して回転する時歯車と、
    前記第2日の裏車の回転に同期して回転するとともに時針が取り付けられる筒車体と、
    前記分伝えかなと前記筒かなとの間、および前記時歯車と前記筒車体との間のうち少なくともいずれか一方に設けられ、前記第1日の裏車および前記第2日の裏車の相対回転を躍制し、前記第1日の裏車に対して前記第2日の裏車を1ピッチずつ回転させる躍制機構と、
    を備えることを特徴とする時差修正機構。
  2. 前記躍制機構は、前記分伝えかなと前記筒かなとの間、および前記時歯車と前記筒車体との間の両方に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の時差修正機構。
  3. 前記筒かなは、前記第2日の裏車の前記1ピッチの回転に伴って、90°または180°回転する、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の時差修正機構。
  4. 前記躍制機構は、
    前記分伝えかなおよび前記筒かなの一方の回転に同期して回転するとともに、径方向外側の突出した凸部を有する分カムと、
    前記分伝えかなおよび前記筒かなの他方の回転に同期して前記分カムの周囲を周回するとともに、前記分カムを押圧する分ジャンパと、
    を備える、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の時差修正機構。
  5. 前記躍制機構は、
    前記時歯車と前記筒車体の一方の回転に同期して回転するとともに、径方向外側の突出した凸部を有する時カムと、
    前記時歯車と前記筒車体の他方の回転に同期して前記時カムの周囲を周回するとともに、前記時カムを押圧する時ジャンパと、
    を備える、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の時差修正機構。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の時差修正機構を備えることを特徴とする時計用ムーブメント。
  7. 前記時歯車の回転に同期して回転するとともに、前記時歯車に対する歯数比が1/2とされ、副時針が取り付けられる24時車を備える、
    ことを特徴とする請求項6に記載の時計用ムーブメント。
  8. 請求項6または請求項7に記載の時計用ムーブメントと、
    前記時針と、
    前記分針と、
    を備えることを特徴とする時計。
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