JP2008239700A - グリースおよびグリースの基油拡散防止剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】グリースに少量添加しただけで従来のものよりも高い基油拡散防止性能を発揮する基油拡散防止剤の提供。
【解決手段】合成潤滑油を基油とするグリースに添加する基油拡散防止剤であって、炭素数1〜14のパーフルオロアルキル基および/またはパーフルオロポリエーテル基を有し、下式(1)で表される構造を有する化合物である、基油拡散防止剤。
【化1】
Figure 2008239700

【選択図】なし

Description

本発明は、グリース中の油分の拡散または滲みだしを防止する基油拡散防止剤、および前記基油拡散防止剤を含むグリースに関する。
近年、精密機器類の急速な高性能化および小型化に伴って、それらの機械的な回転部や摺動部等に使用されているグリースに対するより優れた特性および品質が要求されるようになってきた。例えば、小型化された各種機構部、モータ類、各種ベアリング類、スイッチ類、接点類などに使用するグリースについては、高性能の、耐熱性、低湿性、軽トルク性等が要求されている。
このようなグリースとして従来用いられているグリースとしては、石けん系またはウレア系等の増ちょう剤を低粘度の合成潤滑油からなる基油中に分散させたものが挙げられる。
しかし、このような基油として合成潤滑油を使用した従来のグリースにおいては、グリース塗布後に時間が経過すると、グリース中の油分または油状添加剤が塗布面から拡散または滲み出しする新たな問題が生じた。特に、基油の粘度が低い場合、グリースの稠度が軟質な場合、または使用時もしくは貯蔵時の温度が高い場合に顕著であった。
この問題の原因は、グリースが固体の増ちょう剤を液体の基油中に混合分散させた半固体であるために、時間が経過すると液体の基油がグリースから分離して油分として拡がり出すためであると考えられる。拡がり出した油分は機器類を汚したり、接点障害を引き起こしたり、素材の表面に拡がってプラスチック等の基材に悪影響を及ぼしたりするため問題である。
上記問題を解決することを目的として、分子中にオキシエチレン基を主成分とするポリオキシアルキレン鎖と2以上ポリフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物(特許文献1)や、パーフルオロアルキル基およびポリオキシプロピレン基単位を有するフッ素系共重合体(特許文献2)をグリースに添加する方法が提案されている。
特開平11−12587号公報 特開平08−81690号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のような従来の方法では、充分なグリースの基油拡散防止性能は得られなかった。
本発明の目的は、従来のものよりも高い拡散防止性能を有する、合成潤滑油を基油とするグリースに添加する基油拡散防止剤を提供することにある。また、このような基油拡散防止剤を添加したグリースを提供することにある。
本発明は次に示す(i)〜(v)である。
(i)合成潤滑油を基油とするグリースに添加する基油拡散防止剤であって、炭素数1〜14のパーフルオロアルキル基および/またはパーフルオロポリエーテル基を有し、下式(1)で表される構造を有する化合物である、基油拡散防止剤。
Figure 2008239700
(ii)下式(2)で表される化合物である、上記(i)に記載の基油拡散防止剤。
Figure 2008239700
ただし、式(2)中の記号は以下の意味を示す。Rf:炭素数1〜14のパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテル基。X、Y:単結合または2価の連結基。R、R:それぞれ独立して水素原子、または置換基を有していてもよい1価の有機残基であり、RとRは共同して環を形成してもよい。また、RおよびRはそれぞれXの一部と共同して環を形成してもよい。
(iii)基油拡散防止剤を添加した、合成潤滑油を基油とするグリースであって、前記基油拡散防止剤が上記(i)または(ii)に記載の基油拡散防止剤であり、前記基油拡散防止剤を含むグリースにおける前記基油拡散防止剤の含有率が0.01〜15質量%であるグリース。
(iv)前記合成潤滑油が炭化水素系である上記(iii)に記載のグリース。
(v)前記合成潤滑油がシリコーン系である上記(iii)に記載のグリース。
本発明の基油拡散防止剤は、グリースに少量添加しただけでも高い基油拡散防止性能を発揮する。また、本発明の基油拡散防止剤を含有する本発明のグリースは、炭化水素系の合成潤滑油を基油とする場合においても、シリコーン系の合成潤滑油を基油とする場合においても、同様に高い基油拡散防止性能を有する。
初めに本発明の基油拡散防止剤について説明する。
本発明の基油拡散防止剤は、合成潤滑油を基油とするグリースに添加する基油拡散防止剤であり、炭素数1〜14のパーフルオロアルキル基および/またはパーフルオロポリエーテル基を有し、下式(1)で表される構造を有する化合物である。
Figure 2008239700
このような化合物であれば、単量体であっても高分子であってもよい。例えばフルオロ(メタ)アクリレートとアミノ基含有単量体との共重合体であってもよい。
このような本発明の基油拡散防止剤は、次に示す式(2)で表される化合物(以下では「化合物(2)」ともいう。)であることが好ましい。
Figure 2008239700
ただし、式(2)中の記号は以下の意味を示す。
Rf:炭素数1〜14のパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテル基。
X、Y:単結合または2価の連結基。
、R:それぞれ独立して水素原子、または置換基を有していてもよい1価の有機残基であり、RとRは共同して環を形成してもよい。また、RおよびRはそれぞれXの一部と共同して環を形成してもよい。
式(2)中の記号について詳細に説明する。
まずRfについて説明する。
Rfは、炭素数1〜14のパーフルオロアルキル基、または炭素数1〜14のパーフルオロポリエーテル基であるが、パーフルオロアルキル基とはアルキル基の全ての水素原子がフッ素原子に置換した基を意味する。また、パーフルオロポリエーテル基とはパーフルオロアルキル基中の1箇所以上の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を挿入した基である。炭素数は1〜14であるが、4〜12であることが好ましく、4〜6であることがより好ましい。また、パーフルオロアルキル基およびパーフルオロポリエーテル基は直鎖状でも分岐状でも構わないが、直鎖状であることが好ましい。
次に、上記式(2)におけるXおよびYについて説明する。
XおよびYは単結合または2価の連結基である。2価の連結基は特に限定されないが、例えば置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。前記脂肪族炭化水素基中の炭素原子はエーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子、エステル結合、カルボニル基などに置換されていてもよい。また、前記脂肪族炭化水素基中の水素原子は水酸基などに置換されていてもよい。また、2価の連結基として好適なものは−(CH−、−CO−、−NH−、−CH(OH)−、−CH(CHOH)−、−O−、−S−、またはこれらの組み合わせからなるものである。ここでmは1〜10の整数を表す。
また、X、Yは−(CH−、−CH(OH)−、またはこれらの組み合わせからなる2価の連結基であることがより好ましい。
次に、上記式(2)におけるRおよびRについて説明する。
およびRは、それぞれ独立して水素原子、または置換基を有していてもよい1価の有機残基である。ここで1価の有機残基としては、例えば炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。また、置換基としてはハロゲン原子、水酸基などが挙げられる。
また、Rおよび/またはRはRfを含んでもよく、Rf−X−で表される基(RfおよびXは上記式(2)で定義したとおりである。)を含んでもよい。また、Rおよび/またはRは式(1)で表される構造を含んでもよい。
また、RおよびRは、水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基、Rf−X−で表される基、または式(1)で表される構造を含む基であることが好ましい。このような中でも、Rは水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基であることがより好ましく、Rは式(1)で表される構造を含む基であることがより好ましい。
また、RおよびRは共同して環を形成してもよく、RおよびRはそれぞれXの一部と共同して環を形成してもよい。
さらに、このような中でも、Rは−N(R)Rの構造であることがより好ましい。つまり、本発明の基油拡散防止剤が、下式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」ともいう。)であることがより好ましい。
Figure 2008239700
ここで式(3)中のRおよびRは、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい1価の有機残基である。ここで置換基および1価の有機残基としては、上記R、Rで例示したものと同様のものが挙げられる。
およびRは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、水素原子、炭素数が1〜20のアルキル基、Rf−X−で表される基、または式(1)で表される構造を含んだ基であることがより好ましく、水素原子、炭素数が1〜20のアルキル基、またはRf−X−で表される基であることがさらに好ましく、水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
また、RとRとは共同して環を形成してもよい。また、Rおよび/またはRがRと共同して環を形成してもよい。
また、本発明の基油拡散防止剤が化合物(3)である場合、Xが、−(CH−、−CH(OH)−、またはこれらの組合せからなる連結基であることが好ましい。
また、本発明の基油拡散防止剤が化合物(3)である場合、Yが、単結合またはアルキレン基、−CO−、−O−、もしくはそれらの組み合わせからなる連結基であることが好ましい。ここでアルキレン基は直鎖状および分岐状のどちらでも構わない。これらの中でも単結合またはアルキレン基であることがより好ましく、炭素数が2または3であるアルキレン基であることがさらに好ましい。
また、本発明の基油拡散防止剤が化合物(3)である場合、Rが、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子であることがより好ましい。ここでアルキル基は水酸基で置換されてもよい。また、RがRおよび/またはRと共同して環を形成した場合は、環が六員環であることが好ましい。
本発明の基油拡散防止剤である化合物の具体的な構造としては下記のように例示できる。ただし、本発明はこの例の範囲に制限されるものではない。
構造1:式(3)において、Rf、X、R、Y、RおよびRがそれぞれ以下の基から選ばれる構造。
Rf:C、C13、C17、C1021、C1225
X:CHCH、CHCH(OH)CH、CHCHOCHCH(OH)CH、CO
:H、CH
Y:CHCH、CHCHCH
:H、CH、C、C
:H、CH、C、C、CHCH、CHCH(OH)CH、CHCHOCHCH(OH)CH、CHCH13、COC13、CHCH(OH)CH13、CHCHOCHCH(OH)CH13、CHCH17、CHCH(OH)CH17、CHCHOCHCH(OH)CH17、CHCH1021、CHCH(OH)CH1021、CHCH1225、CHCH(OH)CH1021
このような中でも、Rf、X、R、Y、RおよびRの各々が、以下の第1表に示す各No.ごとの組合せの構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 2008239700
Figure 2008239700
Figure 2008239700
Figure 2008239700
構造2:式(3)において、RとRとが共同して環を形成した下式(4)で表される構造。このような構造を有する化合物を、以下では「化合物(4)」ともいう。
ただし、式(4)においてMはRとRとが共同して環を形成した部分である。
また、式(4)中のRf、X、Y、MおよびRがそれぞれ以下の基から選ばれる構造である。
Rf:C、C13、C17、C1021、C1225
X:CHCH、CHCH(OH)CH、CHCHOCHCH(OH)CH、CO
Y:CHCH、CH(CH)CH
M:CHCH、CH(CH)CH、CHCH(COOH)、CHCH(CH)、CH、C、C
:H、CH、C、COH、COCOH、CNH、C、C13
Figure 2008239700
このような中でも、Rf、X、Y、MおよびRの各々が、以下の第2表に示す各No.ごとの組合せの構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 2008239700
Figure 2008239700
Figure 2008239700
構造3:式(3)において、RとRとが共同して環を形成した下式(5)で表される構造。このような構造を有する化合物を、以下では「化合物(5)」ともいう。
式(5)中のRf、X、R、YおよびZはそれぞれ以下の基から選ばれる構造である。
Rf:C、C13、C17、C1021、C1225
X:CHCH、CHCH(OH)CH
:H
Y:CHCH、CHCHCH
Z:式(3)におけるRとRとが共同して環を形成した環構造であり、かつ窒素原子を有し、さらに下式(6)または下式(7)で表される構造。
Figure 2008239700
Figure 2008239700
Figure 2008239700
このような中でも、Rf、X、R、YおよびZの各々が、以下の第3表に示す各No.ごとの組合せの構造を有する化合物であることが好ましい。
なお、第3表においては、Zが式(6)で表される構造の場合は「Pip」、式(7)で表される構造の場合は「Mor」と表す。
Figure 2008239700
次に本発明の基油拡散防止剤の製造方法について説明する。
本発明の基油拡散防止剤の製造方法は特に限定されず、例えば公知の方法で製造することができる。例えば、構造中に一級アミンと三級アミンとを持つジアミン化合物に対し、パーフルオロアルキルカルボン酸エステルを作用させる方法が挙げられる。また、例えば同様なジアミン化合物にエポキシド構造を持つパーフルオロアルキル化合物を作用させる方法が挙げられる。
その他の第1表から第3表に示したような特定構造の本発明の基油拡散防止剤は、市販で入手できる試薬を公知の方法(特殊な条件設定の無い、一般的な操作で反応させる方法)で製造することができる。
本発明の基油拡散防止剤を製造するために用いる原料は市販品を用いることができる。例えばアミン原料であれば、和光純薬工業社、東京化成工業社などから試薬レベルで購入可能である。また、広栄化学工業社から各種アミンは工業レベルで入手できる。また、例えばパーフルオロアルキル化合物であればダイキン化成品販売社、ユニマテック社、ネオス社から入手可能である。また、例えばパーフルオロポリエーテル化合物であれば、市販のヘキサフルオロプロピレンオキシドを原料として用い、公知の方法で合成することができる。
次に、本発明のグリースについて説明する。
本発明のグリースは、基油拡散防止剤を添加した、合成潤滑油を基油とするグリースであって、前記基油拡散防止剤が本発明の基油拡散防止剤であり、前記基油拡散防止剤を含むグリースにおける前記基油拡散防止剤の含有率が0.01〜15質量%であるグリースである。
本発明のグリースは、本発明の基油拡散防止剤の一種類のみを含有してもよいし、二種類以上を含有してもよい。二種類以上を含有する場合の上記含有率は、それらの合計質量の含有率を意味するものとする。
この含有率は0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜6質量%であることがより好ましい。このような含有率であると油分の拡散を十分に防ぐことができ、かつグリースそのものの機能を阻害し難いからである。
また、本発明のグリースは合成潤滑油を基油とするが、用いることができる合成潤滑油は特に限定されない。従来公知のものを用いることができる。例えば、ジエステル系合成油、ポリオールエステル系合成油、合成炭化水素系合成油、フェニルエーテル系合成油、シリコーン系合成油、フッ素系合成油などを用いることができる。
このような中でも、フッ素系合成油以外の合成潤滑油を基油と用いることが好ましい。本発明の基油拡散防止剤の効果が顕著に発揮されるからである。このような好ましい合成潤滑油としてはジエステル系、ポリオールエステル系、炭化水素系、フェニルエーテル系、シリコーン系が挙げられ、炭化水素系またはシリコーン系であることがより好ましい。
本発明のグリースは増ちょう剤を含んでもよい。増ちょう剤は特に限定されず例えば公知のものを用いることができる。例えば石けん系、ウレア系、その他有機物系、その他無機物系の増ちょう剤を用いることができる。ここで石けん系としてはカルシウム石けん、アルミニウム石けん、ナトリウム石けんなどが挙げられる。また、ウレア系としてはジウレア、トリウレア、テトラウレアなどが挙げられる。また、その他有機物系としてはナトリウムテレフタラート、PTFEなどが挙げられる。また、その他無機物系としては有機化ベントナイト、シリカが挙げられる。
このような中でも増ちょう剤は石けん系および/またはウレア系のものを用いることが好ましい。
本発明のグリースが増ちょう剤を含む場合、その含有率は、増ちょう剤を含むグリースの全質量に対して1〜30質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。
また、本発明のグリースは、他の成分を含んでもよい。
例えば、フェノール類、芳香族アミン類などの酸化防止剤、スルホネート類、エステル類などの防錆剤、硫化油脂類、有機金属化合物などの極圧剤、ジチオ塩酸塩類、ジチオカルバミン酸塩類などの摩擦防止剤、ベンゾトリアゾールなどの腐食防止剤、ポリイソブチレンなどの増粘剤、二硫化モリブデン、PTFEなどの固体潤滑剤などを含んでもよい。
次に本発明のグリースの製造方法について説明する。
本発明のグリースの製造方法は特に限定されず例えば公知の方法で製造することができる。
例えば、本発明の基油拡散防止剤を添加する前のグリースは、前記合成潤滑油の中で増ちょう剤を合成するけん化法、あるいは合成法によって製造することができる。また、例えば予め合成されている増ちょう剤を前記合成潤滑油の中に添加する混合法によって製造することができる。
そして、このような方法で製造したグリースに、上記のような方法で製造した本発明の基油拡散防止剤を添加すれば本発明のグリースを製造することができる。ここで、本発明の基油拡散防止剤を添加する段階は限定されない。完成した市販のグリースに添加してもよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、以下に示す実施例は本発明の例示を目的するものであり、本発明はこれに限定されない。
[グリースの調整]
市販のグリースAおよびBに、下記の第4表に記載した化合物(a)〜(h)を、第5表および第6表に記載した含有率となるように添加した。ここで、添加後のグリースの全質量が20gとなるようにした。そして、スパチュラで簡単に混ぜた後、乳鉢を使用してすりつぶすようによく混合した。
化合物(a)〜(h)は、ダイキン化成品販売社製のパーフルオロヘキシルアイオダイド、3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパンなどのフッ素原料、アミン原料としては和光純薬工業社製のN,N−ジエチルプロパンジアミンなどを用いて、公知公用の方法で合成した。
第5表および第6表の「化合物」の欄に記載した(a)〜(h)の符号数字が、化合物の符号に対応する。またこれらの表において「含有率」は、グリースAまたはBの質量と、そこに加えた各化合物の質量とを合計した全質量に対する、各化合物の質量の割合を百分率で表したものである。含有率(質量%)は、「添加した化合物の質量/(添加した化合物の質量+グリースAまたはBの質量)×100」として表すことができる。
化合物(a)〜(e)を添加したグリースを実施例1〜9とし、化合物(f)〜(h)を添加したグリースを比較例1〜3とし、何も添加しなかったグリースを比較例4、5とした。
なお、表中のグリースAは、マコトフックス社製、レノリット リチウムグリース、滴点:203℃、稠度No.2である。また、グリースBはダウ・コーニング社製、高真空用グリース(HIGH VACUUM SILICONE GREASE)である。
[油分拡散試験]
図1を用いて説明する。
調整した実施例および比較例のグリースを、容量1mlのシリンジ(テルモシリンジ 中口1mlツベルクリン用)に詰めた。そして0.1ml分をすりガラスの表面上に、ほぼ円形になるように乗せ、円の直径を測定した。この時のグリースの直径が[図1]中のAである。
次に、グリースを乗せたガラス板を60℃の乾燥機に18時間静置し、その後乾燥機から取り出した。そして、すりガラスの表面のほぼ円形であって半透明になった部分の直径を測定した。半透明になった部分は基油が拡散した部分である。この直径が[図1]中のBである。ここで、「拡散率(%)=(B−A)/A×100」として、油分の拡散率を測定した。測定結果は第5表および第6表に記載した。この結果から、本発明の基油拡散防止剤は、少量の添加でも基油の拡散を防止する効果に優れることが分かった。
Figure 2008239700
Figure 2008239700
Figure 2008239700
図1は実施例および比較例の油分拡散試験方法の説明図である。
符号の説明
1:すりガラス
2:グリースの基油の拡散部分
3:グリース

Claims (5)

  1. 合成潤滑油を基油とするグリースに添加する基油拡散防止剤であって、
    炭素数1〜14のパーフルオロアルキル基および/またはパーフルオロポリエーテル基を有し、下式(1)で表される構造を有する化合物である、基油拡散防止剤。
    Figure 2008239700
  2. 下式(2)で表される化合物である、請求項1に記載の基油拡散防止剤。
    Figure 2008239700
    ただし、式(2)中の記号は以下の意味を示す。
    Rf:炭素数1〜14のパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテル基。
    X、Y:単結合または2価の連結基。
    、R:それぞれ独立して水素原子、または置換基を有していてもよい1価の有機残基であり、RとRは共同して環を形成してもよい。また、RおよびRはそれぞれXの一部と共同して環を形成してもよい。
  3. 基油拡散防止剤を添加した、合成潤滑油を基油とするグリースであって、
    前記基油拡散防止剤が請求項1または2に記載の基油拡散防止剤であり、
    前記基油拡散防止剤を含むグリースにおける前記基油拡散防止剤の含有率が0.01〜15質量%であるグリース。
  4. 前記合成潤滑油が炭化水素系である請求項3に記載のグリース。
  5. 前記合成潤滑油がシリコーン系である請求項3に記載のグリース。
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