JPH044441Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は建築、構築物の内、外装材として有用
なサイデイングボード（以下、単にボードとい
う）に関するものである。特に、準不燃試験、ボ
ツクス試験、防火構造試験に合格できると共に、
断熱性、生産性にすぐれたボードに係る。 この種ボードにおいては表面材と裏面材間に断
熱材、特にポリウレタンフオーム、ポリイソシア
ヌレートフオームを充填したボードが相当数、上
市されている。しかしながら、防火性の新たな規
制によつて、上記フオームのみを使用したボード
ではいずれの試験にも合格し得ないものである。
そこで、例えばポリイソシアヌレートフオームに
代わつて、フエノールフオームのみで形成するボ
ード、石膏ボードとポリイソシアヌレートフオー
ム、あるいはポリイソシアヌレートフオームとロ
ツクウール板とを複合したボードも提案されてい
る。しかし、レゾールタイプのフエノールフオー
ムのみからなる芯材を用いたボードは、フエノー
ルフオームが接着性に欠け、しかも脆いために単
体での使用が困難であつた。また、石膏ボード、
ロツクウールとポリイソシアヌレートフオーム等
とを単に複合化したボードは重く、コストが高
く、その上生産性に欠ける不利があつた。さら
に、ポリイソシアヌレートフオームＡと前記石膏
ボード、ロツクウール板のような不燃材Ｂとを複
合化したボードは第１図に示すように表面材Ｃの
裏面に上記フオームＡを原料状態で吐出し、その
上にポリイソシアヌレートフオームＡからΔlの
幅だけ片寄つた位置に不燃材Ｂを載置し、積層す
る構造のために不燃材Ｂは上記フオームＡが相当
発泡するまで不安定な状態下での載置となり、フ
オームＡの反応、発泡を阻害し、しかも、不燃材
Ｂの位置を決定するのにガイドとなる部分がな
く、不燃材Ｂの位置がうまく定まらず、生産性が
悪く、その上、歩留りの低下、上記フオームＡの
外部への漏洩などの不利があつた。さらに、雌型
連結部の延長部裏面と不燃材Ｂとは接着剤により
貼着されているだけであるため、不燃材Ｂと表面
材Ｃとが剥離するという欠点があつた。 本考案はこのような欠点を除去するため、表面
材の凹部開口をフエノールフオーム板で閉塞する
形状とし、雌型連結部端縁にガイド片を設け、フ
エノールフオーム板を容易に、また確実に表面材
裏面に変動なく、かつ、容易に位置決めして載置
し、しかも生産性に富むと共に、前記フオームが
外部へ漏洩することがなく、しかも防火性を有す
るフオーム形成時の自己接着性で一体に固着する
ことにより接着剤の使用低減と強度の向上を図
り、さらに、裏面材でフエノールフオーム板の裏
面、側面を被覆し、かつ、裏面材で前記フエノー
ルフオーム板の位置決めするのに用いられたガイ
ド片の外側を被覆して、フエノールフオーム板の
脆性、吸水性、特異な色の外観を抑制し、さらに
フエノールフオーム板と表面材の接着強度を向上
させ、その上前記した３つの試験に合格しうる防
火性能と軽量化を図つたボードを提案するもので
ある。 以下に、図面を用いて本考案に係るボードの一
実施例について詳細に説明する。第２図は上記ボ
ードの代表的な一例を示す斜視図である。図にお
いて、１は表面材、９は雄型連結部、１３は雌型
連結部、１２はガイド片、１６は防火性を有する
フオーム（以下、単にフオームという）、１７は
フエノールフオーム板（以下、単にフオーム板と
いう）、１９は防火性を有する裏面材（以下、単
に裏面材という）である。さらに説明すると、表
面材１は第３図に示すように金属製薄板を成形
し、長方形状の化粧面２とその両側端縁を内方に
直角、あるいは任意角度で折り曲げた側壁３，４
とで凹状部５を形成し、上記側壁３の下端縁を内
方に屈曲し、再び外方に屈曲して受け片６を設
け、受け片６の先端を外側方へ突出し差込縁７を
設け、差込縁７の先端に必要に応じて舌片８を設
けた雄型連結部９と、側壁４の下端縁を内方に折
り曲げ、再び外方に突出して形成したＵ字状の係
合溝１０とその下縁１０ａを外側へ突出した延長
部１１と、延長部１１の先端を垂直下方に屈曲し
たガイド片１２とを設けた雌型連結部１３から構
成したものである。なお、雌型連結部１３には必
要により突条１４，１５を設けてもよい。さらに
説明すると、凹状部５は開口が側壁３，４の下端
から相互に延びる受け片６と係合溝１０によつて
開口幅をW₁とし、フオーム板１７を受け片６の
表面６ａと下縁１０ａ、延長部１１の裏面上に載
置するような寸法としたものである。これはフオ
ーム１６を原料状態で吐出した際に凹状部５の空
間にフオーム板１７が落下したりせずに、安定し
た状態に支持するためである。また、凹状部５は
断面が角つぼ状となるため、フオーム１６の原料
が反応、発泡の際に開口部分以外から外部に漏洩
することもなく、型材として機能するものであ
る。さらに、受け片６は差込縁７を補強すると共
に、フオーム１６の側壁３の下端からの漏洩防
止、フオーム板１７の一端を載置するためのもの
である。また、ガイド片１２はフオーム板１７を
載置する際にフオーム板１７の載置位置を容易に
決定するためのものであり、フオーム板１７の端
部をガイド片１２に合わせるだけで、フオーム板
１７の載置位置が決まるようにしているものであ
る。１６はフオームで主に耐火材、断熱材、裏打
材、クツシヨン材、防水材、防湿材、および接着
剤として機能するものであり、凹状部５に原料で
吐出し、反応、発泡させ、表面材１とフオーム板
１７を発泡の際の自己接着性で一体に固着するも
のである。その具体例としては、ポリイソシアヌ
レートフオーム、ヌレート変性ポリウレタンフオ
ーム、ポリフエニレンフオーム、またはこれらに
長、短繊維状のガラス繊維、炭素繊維、あるいは
粉末状（微粉末も含む）のアルミニウム、水酸化
アルミナ、リン酸アルミニウム、ベントナイト、
ガラス、カーボンブラツク、石灰石、水酸化リチ
ウム、活性アルミナ、重炭酸カルシウム、炭酸カ
ルシウム、珪藻土、バーミキユライト、石英（フ
リント）、石綿、カオリンクレイ、マイカ、タル
ク、ウオラストナイト、スルフオアルミン酸カル
シウム、珪酸（ホワイトカーボン）、珪酸アルミ、
珪酸カルシウム、含水珪酸カルシウム、石膏、シ
リカ、シリカゲル、水酸化マグネシウム、グラフ
アイト粉、スレート粉、セリサイト、バライト、
ロウ石クレー、アタパルジヤイト、カリ長石、ソ
ーダ長石、バリウム長石、三酸化アンチモン、フ
エノールフオームの粉末、明ばん石、ゾノトライ
ト、トバモライト、あるいはパーライト粒、シラ
スバルーン、アルミナバルブ、ガラス粒、周知難
燃剤等の１種以上をフオーム１６の原料100重量
部に対し、５〜200重量部添加したフオームも含
むものである。なお、この種添加剤とは界面活性
剤で表面処理されている場合もある。特に、この
フオーム１６は高熱下において炭化層を形成する
ことが好ましいものである。フオーム板１７はレ
ゾールタイプ、ノボラツクタイプ、ベンジリツク
タイプのフエノールフオームのいずれでもよく、
単体、あるいは前記した無機繊維、無機粉体、軽
量骨材などの１種以上を添加したものからなり、
密度が30〜100Kg／m³位、厚さＴが５〜50mm位、
幅W₂が180〜900mm、長さが1800〜7272mm位の成
形体であり、側壁３からl₁だけ離れ、かつ、受け
片６上に載置すると共に、連結用の窪部９ａを形
成するものである。なお、窪部９ａはボードを連
結した際に裏面が間隙なく面一になるようにし、
フオーム板１７を下地全体に覆いかぶせるように
するために形成され、目地部（図示せず）下部に
もフオーム板１７が存在するようにするために設
けたものである。さらに詳説すると、フオーム板
１７はフオーム１６を吐出後に、ガイド片１２に
より載置位置を容易に決定され、受け片６、係合
溝１０、延長部１１に支持されて載置するので、
安定した状態に載置できる特徴がある。接着剤１
８は後述する裏面材１９をフオーム板１７に接着
するためのものである。その一例としてはゴム
系、デンプン系、合成樹脂系、無機系などであ
る。なお第２図においてはフオーム板１７の露出
面全面と下縁１０ａ、延長部１１の背面、受け片
６の表面、ガイド片１２の外側面に接着剤１８を
介在させたボードを示すものである。裏面材１９
はフオーム板１７の露出面を接着剤１８を介して
被覆し、主に防火性、防水性、耐候性、美観性、
強度の向上のために用いるものである。その素材
は、例えばクラフト紙、アスベスト紙、防水処理
したクラフト紙、防水処理したアスベスト紙、金
属箔（Al、Pb、Cu）、ガラス繊維不織布、合成
樹脂シート、およびこれらの１種以上をラミネー
ト、蒸着等したシート状物からなるものである。
さらに説明すると、裏面材１９はフオーム板１７
の雌型連結部１３の側面を被覆した後、ガイド片
１２の外側面を被覆するため、フオーム板１７と
表面材１とにより強固な一体化を図ることがで
き、延長部１１におけるフオーム板１７の剥離を
防止することができる。 次に実施例と比較例の防火性について説明す
る。まず、実施例は第２図に示す形状のボードで
下記の構成からなるものである。すなわち、表面
材１として0.27mm厚のカラー鋼板、フオーム１６
としてはポリイソシアヌレートフオーム（充填後
の密度は30Kg／m³）、フオーム板１７はレゾール
タイプのフエノールフオームで密度50Kg／m³、Ｔ
＝15mm、接着剤１８としては酢酸ビニル系接着
剤、裏面材１９としてはアルミニウム箔（厚さ７
ミクロン）をアスベスト紙70g／m²にラミネート
したものである。なお、受け片６とフオーム板１
７との載置幅W₃は10mmとした。また、比較例は
第１図に示す形状であり、材料は実施例に準じ、
Ａはポリイソシアヌレートフオーム、不燃材Ｂは
フエノールフオーム板、表面材Ｃは0.27mm厚のカ
ラー鋼板、裏面材は実施例と同一のものを用い、
裏面材と不燃材Ｂとは酢酸ビニル系の接着剤を用
いて接着した。

【表】

【表】 以上説明したのは本考案に係るボードの一実施
例にすぎず、第４図ａ〜ｏ、第５図ａ〜ｏに示す
ように形成することもできる。すなわち、第４図
ａ〜ｏは表面材１の変形例であり、任意の目的に
応じて形成するものである。また、第５図ａ〜ｏ
は雄型連結部９、雌型連結部１３等の各種構造に
ついてのその他の実施例を示すものであり、ａ〜
ｅ図はそれぞれの位置にコーキング剤２０を植設
したボード、ｆ図は裏面材１９で延長部１１の端
部上面まで被覆し、その先端にコーキング剤２０
を植設したボード、ｇ図は裏面材１９でフオーム
板１７の裏面を被覆した後、雌型連結部１３の外
方へΔWだけ突出し、再び内方へ屈曲し、その後
フオーム板１７の側面、ガイド片１２の外側面を
被覆したボード、ｈ図は裏面材１９の一端を舌片
８で挟持したボード、ｉ図はフオーム板１７と受
け片６の表面６ａの間にまで裏面材１９を被覆さ
せたボード、ｊ図はフオーム１６とフオーム板１
７の間に面材２１を介在させたボード、ｋ図は第
４図ｉに示す表面材１を用い、裏面材１９でフオ
ーム板１７の露出面、ガイド片１２の外側面だけ
を被覆したボード、ｌ図は下縁１０ａ、延長部１
１の裏面とフオーム板１７との間にホツトメルト
系のフイルム状接着材２２を介在させたボード、
ｍ図は化粧面２に化粧溝２ａを設け、化粧溝２ａ
の背面でもフオーム板１７を支持したボード、ｎ
図は延長部１１の表面、または裏面（図示せず）
に防火塗料２３を塗布したボード、ｏ図は差込縁
７の表面、または裏面（図示せず）に防火塗料２
３を塗布したボードである。なお、第５図ａ〜ｏ
は、接着剤１８を省略している。 上述したように本考案に係るボードによれば、
耐火、断熱性に富み、しかも低発煙性と炭化層を
十分に形成すると共に、高熱下でも寸法安定性に
すぐれたフエノールフオーム板でボードの裏面を
覆い、かつ、フオームを表面材、フエノールフオ
ーム板で閉塞した空間に充填したため、可燃性の
ガス、煙が外部に漏洩するのを阻止し、防火試
験、準不燃試験、ボツクス試験に合格できる特徴
がある。また脆いフエノールフオーム板を裏面材
とプラスチツクフオームでサンドイツチすると共
に、接着したため、十分に保護でき、本来の特性
を有効に利用できる特徴がある。さらに受け片と
係合溝の下縁でフエノールフオームを支持し、か
つ、雌型連結部の端部に設けたガイド片により、
フエノールフオーム板を容易に載置できると共
に、表面材とフエノールフオーム板で長手方向以
外を閉塞した型を形成したため、防火性を有する
フオームの外部への漏洩もなく、また発泡不良、
吐出量不足等でも直ちに不良品とはならず、高能
率で、高歩留りで生産できる特徴がある。その
上、裏面材をフエノールフオーム板の側面を被覆
した後、ガイド片の外側面を被覆したため、フエ
ノールフオーム板と雌型連結部での接着性がより
向上し、剥離を防止する特徴がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のサイデイングボードの一例を示
す斜視図、第２図は本考案に係るサイデイングボ
ードの一実施例を示す斜視図、第３図は本考案に
係るサイデイングボードの構成材である表面材の
一実施例を示す斜視図、第４図ａ〜ｏ、第５図ａ
〜ｏはその他の実施例を示す説明図である。 １……表面材、６……受け片、１２……ガイド
片、１６……防火性を有するフオーム、１７……
フエノールフオーム板、１９……防火性を有する
裏面材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 長方形状の化粧面と該化粧面の両側端を内方に
   屈曲して２側壁を形成して断面を凹状とし、上記
   側壁の１端縁を内方へ屈曲して再び外方に屈曲し
   て受け片を形成し、該受け片の先端を外方に突出
   して差込縁を形成した雄型連結部を設け、他側壁
   の端縁を内方に屈曲し、次に外方に突出して断面
   Ｕ字状の係合溝を形成し、該係合溝の下縁を外側
   方へ突出して延長部を形成し、該延長部の先端を
   垂直下方に屈曲し、突出してガイド片を形成した
   雌型連結部とを設けた表面材と、該表面材の凹状
   部に原料状態で吐出し、反応、発泡により充填し
   た防火性を有するフオームと、該フオームの背面
   に雄型連結部側の側壁からl₁だけ片寄らせ、か
   つ、係合溝、下縁、延長部背面に積層し、前記ガ
   イド片によつて位置決めされたフエノールフオー
   ム板と、該フエノールフオーム板の少なくとも長
   手方向の露出面を被覆する防火性を有する裏面材
   とからなり、前記防火性を有するフオームの反応
   発泡の途中に前記フエノールフオーム板を積層
   し、該防火性を有するフオームの自己接着性によ
   り該フエノールフオーム板を接着し、また前記防
   火性を有する裏面材の一端縁は前記ガイド片の外
   側を被覆したことを特徴とするサイデイングボー
   ド。