JPH0441500Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案はテープカセツトに係り、特にケーシン
グの外表面に臨んで誤挿入防止用溝部を有するテ
ープカセツトに関する。

【考案の概要】

本考案は、誤挿入防止用溝部をケーシングの外
表面に臨んで備えるテープカセツトにおいて、こ
の誤挿入防止用溝部およびテープリールの受け部
を除いて、テープリールを保持する部分に凹部を
形成し、これによつてケーシングの肉厚の均一化
を図り、併せて樹脂の使用量を削減したものであ
る。

【従来の技術】

従来のVHSタイプのビデオセツトの下側の部
分は、第４図および第５図に示す下側ハーフ１か
ら構成されていた。この下側ハーフ１は合成樹脂
成形体からなり、左右一対ののリール軸挿入孔２
を備えている。そしてこれらのリール軸挿入孔２
を中心とする円弧状の区画壁３がハーフ１の内表
面に直立して設けられており、この区画壁３の内
側の部分がテープリール保持部４を構成してい
る。またこの下側ハーフ１の外表面であつて底面
に臨むように、第５図に示す誤挿入防止用溝部５
が形成されている。この誤挿入防止用溝部５によ
つて、テープカセツトが正しい姿勢で挿入された
かどうかの検出を行なうようにしており、正しく
ない姿勢でテープカセツトが挿入された場合に
は、テープカセツトの装着が拒絶されるようにな
つている。

【考案が解決しようとする問題点】

従つてこのような従来のテープカセツトにおい
ては、第６図に示すように下側ハーフ１の誤挿入
防止用溝部５の部分が他の個所よりも薄肉になつ
ていた。そしてこの薄肉の誤挿入防止用溝部５に
よつて、このハーフ１の射出成形時に流動樹脂の
流れが薄肉部で急変し、種々の成形上のトラブル
を発生する原因になつていた。また誤挿入防止用
溝部５の部分の肉厚をできるだけ厚くするため
に、ハーフ１の主面であつて他の部分の肉厚が必
要以上に厚くなつてしまい、これによつて樹脂の
使用量が多くなるとともに、冷却固化の時間が増
加していた。このような理由から、ハーフ１の生
産性の向上が妨げられていた。 本考案はこのような問題点に鑑みてなされたも
のであつて、誤挿入防止用溝部と他の部分の溶融
樹脂の流速および冷却固化時間がより均一化され
るようにし、これによつて成形上のトラブルを解
消するともともに、冷却個化に要する時間を短縮
し、生産性を向上させ、さらにはケーシングを成
形するための使用樹脂の量を削減するようにした
テープカセツトを提供することを目的とするもの
である。

【問題点を解決するための手段】

本考案は、ケーシングの外表面に臨んで誤挿入
防止用溝部を有するテープカセツトにおいて、前
記誤挿入防止用溝部およびテープリールの受け部
を除いて前記テープリールを保持する部分に凹部
を形成し、この凹部の部分の肉厚を前記誤挿入防
止用溝部とほぼ同一の肉厚としたものである。

【作用】

従つて本考案によれば、凹部によつて肉厚が薄
くなり、このために使用樹脂量の削減を図ること
が可能になる。また肉厚がより均一化されること
から、冷却固化時間を短縮し、生産性の向上を図
ることが可能になる。さらには肉厚の均一化によ
つて、成形不良の発生が防止されるようになる。

【実施例】

以下本考案を図示の一実施例につき説明する。
第１図および第２図は本考案の一実施例に係る
VHSタイプのビデオカセツトの下側の部分を構
成する下側のハーフ１０を示している。このハー
フ１０は合成樹脂成形体によつて成形されるよう
になつており、第２図に示すように左右一対のリ
ール軸挿入孔１１を備えている。そしてこれらの
挿入孔１１を中心とする円弧状の壁部１２がこの
ハーフ１０の内表面に直立して一体に形成されて
いる。この区画壁１２の内側の部分がテープリー
ル保持部１３を形成しており、これらの保持部１
３内に保持されたテープリールは、リール軸挿入
孔１１を通して挿入されるリール軸によつて駆動
されるようになつている。またこのハーフ１０の
下面には、条溝からなる誤挿入防止用溝部１４が
横方向に延びて形成されている。この溝部１４に
よつてテープカセツトが正しく挿入された場合に
のみ記録再生装置に装着されるようになつてい
る。 さらにこのテープカセツトにおいては、第１図
において斜線を施して示す部分、すなわちテープ
リール保持部１３の部分であつて誤挿入防止用溝
部１４の部分およびリールフランジを受ける受け
リブ１６の部分以外の部分が凹部１５から構成さ
れている。そしてこのような凹部１５をハーフ１
０の内表面に形成することによつて、凹部１５の
形成されている部分の肉厚を、上記誤挿入防止用
溝部１４の底部の肉厚とほぼ同じ値にしており、
ハーフ１０の肉厚の均一化を図るようにしてい
る。テープリール保持部１３に保持されるリール
のフランジは、縦方向に延びる受けリブ１６、リ
ール軸挿入孔１１の開口縁部に形成される受けリ
ブ１７、および誤挿入防止用溝部１４の内表面に
よつて形成される部分で受けられるようになつて
いる。 このようなテープカセツトによれば、凹部１５
をテープリール保持部１３に設けることによつ
て、ハーフ１０の肉厚が均一化されるとともに、
全体としての平均の肉厚が少なくなり、これによ
つてこのハーフ１０を成形する樹脂の使用量が削
減されることになり、本実施例にの場合には約10
％の削減が可能になつている。さらにこのような
ハーフ１０によれば、その肉厚がより均一化され
るために、冷却固化時間が短縮されるとともに、
これによつて生産性が向上されることになる。さ
らに肉厚の均一化によつて、ハーフ１０の成形時
における成形不良の発生が少なくなる利点をもた
らすことになる。

【応用例】

以上本考案を図示の一実施例につき述べたが、
本考案は上記実施例によつて限定されることな
く、本考案の技術的思想に基いて各種の変更が可
能である。例えばテープリールを受けるとともに
補強の役割を果たす受けリブについては、第３図
に示すようにリブ１６，１７の他に、新たに１
８，１９を追加することも可能であつて、これに
よつてさらに強度の向上を図り、ハーフ１０の変
形を防止することが可能になる。また上記実施例
はVHSタイプのビデオカセツトに関するもので
あるが、本考案はその他各種のテープカセツトに
適用可能である。

【考案の効果】

以上のように本考案は、誤挿入防止用溝部およ
びテープリールの受け部を除いて、テープリール
を保持する部分に凹部を形成し、この凹部の部分
の肉厚を誤挿入防止用溝部とほぼ同一の肉厚とし
たものである。従つてこのような構成によれば、
凹部によつてケーシングの肉厚の均一化を図るこ
とが可能になり、誤挿入防止用溝部の部分におけ
る流動樹脂流の急変を防止し、成形上のトラブル
を解消することが可能になる。また凹部を形成す
ることによつて樹脂の使用量を低減することが可
能になるとともに、冷却固化に要する時間を短縮
し、生産性の向上を図ることが可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るテープカセツ
トの下側のハーフの断面図、第２図は下側のハー
フの内表面を示す平面図、第３図は変形例に係る
下側のハーフの平面図、第４図は従来の下側のハ
ーフの平面図、第５図は従来の下側のハーフの底
面図、第６図は第５図における〜線断面図で
ある。 なお図面に用いた符号において、１０……下側
ハーフ、１３……テープリール保持部、１４……
誤挿入防止用溝部、１５……凹部（斜線の部分）、
１６〜１９……受けリブである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシングの外表面に臨んで誤挿入防止用溝部
   を有するケープカセツトにおいて、前記誤挿入防
   止用溝部およびテープリールの受け部を除いて前
   記テープリールを保持する部分に凹部を形成し、
   この凹部の部分の肉厚を前記誤挿入防止用溝部と
   ほぼ同一の肉厚としたことを特徴とするテープカ
   セツト。