JPH0440519B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は鉄道線路下や道路下を横断する地下道
の構築方法に関するものである。

（従来の技術） 踏切事故や道路交通渋滞の対策として、鉄道と
道路とを立体交差にすべき要望が高く、そのため
に、最近では第８，９図に示すような施工が行わ
れている。

即ち、軌道Ａを挟んだ計画地下構造物の両側に
立坑Ｂ，Ｂを掘削し、軌道Ａ下の適宜深さの地盤
内に、軌道Ａに対して略々直角方向に多数本の鋼
管パイプＣを互いに密接状態で並列させて水平に
圧入することによりパイプルーフ防護工を施工し
たのち、一方の立坑から他方の立坑に向かつて側
部の土留と鋼管パイプとを支持する支保工Ｄを架
設しながらトンネルを掘削する方法が実施されて
いる。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、この方法によれば、鋼管パイプ
Ｃを地中に埋設し、それによつて軌道Ａ及び土被
り分Ｅを支持してその下部に地下道を構築するも
のであるから、土被り分Ｅと鋼管パイプＣの直径
分に加えて地下道天端とパイプルーフ間に地下道
天端を作る作業空間が必要となり、これらの分だ
け地下道を深く構築しなければならない。

従つて、該地下道への進入スロープＦは急勾配
になるかスロープ部が長くなり、又、鋼管パイプ
Ｃは撤去できないために建設費用が高くなるとい
う問題点があつた。

本発明はこのような問題点を解消することを目
的とした地下道の構築方法を提供するものであ
る。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本発明の地下道の
構築方法は、断面矩形状のパイプの上面に全長に
亘つてフリクシヨンカツト部材を載置して該フリ
クシヨンカツト部材の前端を前記パイプの前端に
固着し、このパイプの前方地盤を堀削しながらそ
の中空内部を通じて堀削土砂を排除することによ
り、複数本のパイプを計画地下道断面の少なくと
も上床断面位置に並列状態に圧入して計画地下道
部を貫通したパイプルーフを形成し、パイプルー
フの後端を既製の地下構造物の前端面に当接支持
させると共にパイプの前端から前記フリクシヨン
カツト部材の前端の固着を解き、且つ該フリクシ
ヨンカツト部材の後端を地盤等の適所に固定した
のち、前記地下構造物の内部の土砂を掘削排除し
ながら前記地下構造物を推進して、前記フリクシ
ヨンカツト部材を残置したまゝ、パイプルーフと
地下構造物とを置換することを特徴とするもので
ある。

（作用） 予め、計画地下道部を貫通してパイプルーフを
形成するので、計画地下道部の全長に亘つて上方
の地盤の崩壊を防止することができ、この状態か
らパイプルーフの後端に記載の地下構造物の前端
を当接させて地下構造物を押し進めるものである
から、地中に残置させるフリクシヨンカツト部材
の下面をガイドしてパイプ群が正確に前進すると
共にこれに後続する地下構造物を容易に且つ精度
良く推進、埋設させることができる。

又、地下構造物の前端地盤の堀削時には、その
前方地盤はパイプルーフにより支持されているか
ら、地盤の崩壊が防止されると共に掘削が能率良
く行える。

このように、計画地下道部の上床断面位置にパ
イプルーフを圧入したのち、このパイプルーフと
地下構造物とを置換するので、従来工法に比べて
パイプルーフの高さと作業空間部だけ上床下方部
に形成される地下道を浅く形成することができる
ものである。

（実施例） 次に、本発明の実施例を軌道下に横断する地下
道の構築方法について図面に基づき説明する。

この地下道１は第１図に示すように軌道２の下
に該軌道２に対して直交する方法に設けられる。

このような地下道を構築するには、まず、軌道
２を挟んだ両側地盤に立坑７，８を掘削したの
ち、計画地下道１の予定位置に一方の立坑７より
軌道を横断する方向、即ち、地下道方向に、断面
中空矩形状の箱型パイプ９を水平に圧入する。

箱型パイプ９の圧入は第２図に示すように、計
画地下道１の上床部材配設予定位置１ａに、略等
幅に、天端を一致させて行う。また、地下道の側
壁部１ｂの位置にも、上床部箱型パイプに連接し
て適宜下方まで、側壁部の外面に箱型パイプの側
面を一致させて圧入してパイプルーフ１３とす
る。

この際、断面矩形状パイプ９の内部にオーガー
等の堀削機（図示せず）を挿入して軌道地表下の
パイプ前方の地盤を堀削しながらパイプ後端をジ
ヤツキ等で押圧して他方の立坑８に達するまで圧
入し、掘削土砂はオーガースクリユーによつてパ
イプ内部を後方に搬出されるものである。

パイプ９は第３，４図に示すように、その先端
面を内方に向かつて傾斜する刃部９ａに形成して
いると共に、両側面の上下端部には長さ方向に突
条１０，１０，１１，１１を突設し、且つ一側面
の突条１０，１０の対向面間の寸法を他側面の上
部突条１１の上面と下部突条１１の下面間の寸法
に等しくしてある。

さらに、パイプ９の上面にはパイプの幅に略等
しい幅を有する帯状鋼板よりなるフリクシヨンカ
ツト部材１２をパイプ９の全長に亘つて載置し、
該フリクシヨンカツト部材１２の先端部のみをパ
イプ９の先端に溶接或いは螺子止め等の手段によ
り固着してある。

このようにフリクシヨンカツト部材１２を上面
に配設したパイプ９を前述したように地盤に圧入
したのち、同様にして該パイプ９の側面に次のパ
イプ９の対向側面を合致させるようにして突条１
０，１０，１１，１１を互いに係合させながら上
下に食い違わないようにした状態で圧入し、この
作業を繰返すことにより互いに隣接する側面を密
接させて横方向に並列した複数本のパイプ９より
なるパイプ帯１３ａ，１３ｂを形成する。

なお、パイプ帯１３ｂにかえて、第５図に示す
ようにパイプ帯１３ｂの水平部分の両側端に通常
の円形パイプ１４を複数本宛、パイプ帯１３ａの
幅延長方向に並列状態に圧入してもよい。

次に、地下構造物３の底板の下面と箱型パイプ
の底面を一致させ、かつ、フリクシヨンカツト部
材１２を下側にして地下構造物底版側に地下道方
向に適宜数量圧入して、箱型パイプ部１５ａを形
成する。

こうして、一方の立坑７から他方の立坑８まで
貫通するパイプルーフ１３とパイプ郡１５の圧入
を終える。

次に、一方の立坑７内に滑り台１６を、その天
端をパイプ群１５の下面と一致させて設ける。そ
の上に、刃口１７と既製の地下構造物３とを載置
する。

この刃口１７は、第６図に示すように刃先１８
とパイプ受支部１９と嵌合枠２０とが一体になつ
ており、刃先１８はパイプルーフ１３やパイプ群
１５を地盤に圧入していない地盤を切削するもの
で、後方から押圧されることによつて地盤内を圧
入切削し、切削土砂を刃口１７の内部に取り込む
ように内側に傾斜させてある。パイプ受支部１９
は刃先１８に連なつてパイプルーフ１３の内側に
接するようになつており、又、ボルト孔２１が穿
設されてある。嵌合枠２０は地下構造物３の内側
と同一形状をしており、刃先１８やパイプ受支部
１９と一体となつており、この嵌合枠２０を地下
構造物３の前端内周面に嵌合させることによつて
刃口１７が該地下構造物３からずれないようにす
るのである。

次に、地下構造物３の後端面と立坑７の後端壁
面に設けた反力壁２２との間に、第１図に示すよ
うに反力台２３と複数本のジヤツキ２４を設置す
る。

このジヤツキ２４を作動させる前に、パイプル
ーフ１３を構成した全ての断面矩形状パイプ９の
上面に載置しているフリクシヨンカツト部材１２
をパイプ９との先端固着部で切断、分離又は固着
部材を除去すると共に全てのフリクシヨンカツト
部材１２の後端を前記反力壁２２にフリクシヨン
カツト部材１２のそれぞれを一体的に固定したＨ
型鋼２５を介してターンバツクル２６等で固定す
る。又、パイプ群１５の下部に取りつけたフリク
シヨンカツト部材１２とも同様に固定する。

しかるのちにジヤツキ２４を作動して、地下構
造物３を押圧すると、パイプルーフ１３やパイプ
群１５は他方の立坑８側に押し出されると共に、
地下構造物３はパイプ群１５のフリクシヨンカツ
ト部材１２上を滑動しつつ、刃口１７の刃先１８
によつて地下構造物３の両側壁側の地盤を切削
し、その土砂は地下構造物３内に取り込まれる。
この土砂を排除しながらジヤツキ２４によつてさ
らに地下構造物３を押圧する。

この際、パイプルーフ１３のリアクシヨンカツ
ト部材１２はターンバツクル２６等で固定されて
いるから、パイプルーフ１３の移動にも拘わら
ず、表層部の土砂２７は移動しない。

なお、上記説明においては、地下構造物３を後
端側から押圧する場合について述べたが、到達立
坑側から鋼線を埋設して該鋼線により地下構造物
３を引つ張る等の手段を採用してもよく、要する
に、地下構造物３を推進させればよい。

又、刃口１７はその嵌合枠２０を地下構造物３
の内周面に接して嵌合し、パイプルーフ１３はパ
イプ受支部１９に載置した状態で、且つボルト孔
２１に通したボルトによつて一体となつているの
で、地下構造物３を推進させても、パイプ９がず
れることがない。

さらに、地下構造物３内で刃口１７部を切羽と
して堀削しても、パイプルーフ１３が前方地盤と
パイプ受支部１９で支持されているので、軌道等
に影響を与えることがない。

こうして地下構造物３をパイプ群１５のフリク
シヨンカツト部材１２の上面に沿つて前進させ、
内部土砂を切削、堀削排土しながら、他方の立坑
８側にパイプルーフ１３とパイプ群１５を排出し
て、地下構造物３と置換するものである。

なお、パイプ群１５のフリクシヨンカツト部材
１２は地下構造物３のガイド部材であるから、パ
イプ群１５ａのようにフリクシヨンカツト部材１
２を下方にしなくても、第７図に示すように、パ
イプ群１５ｂの上側面を地下構造物３の下面に略
一致させて、上方にフリクシヨンカツト部材１２
を配してもよい。

この場合、パイプ群１５ｂを圧入したときにお
いて計画通りの位置に圧入されなかつたとき、パ
イプ内に油圧ジヤツキ２８を適宜設置し、そのロ
ツドをフリクシヨンカツト部材１２の下面に当接
して、予め、或いは掘削、押圧の進行とともに、
ジヤツキ２８を調節して、地下構造物３の上下方
向を計画通りに推進し、地下道１を構築するもの
である。

（発明の効果） 以上のように本発明の地下道の構築方法によれ
ば、断面矩形状のパイプの上面に全長に亘つてフ
リクシヨンカツト部材を載置して該フリクシヨン
カツト部材の前端を前記パイプの前端に固着し、
このパイプの前方地盤を堀削しながらその中空内
部を通じて掘削土砂を排除することにより、複数
本のパイプを計画地下道断面の少なくとも上床断
面位置に並列状態に圧入して計画地下道部を貫通
したパイプルーフを形成し、パイプルーフの後端
を既製の地下構造物の前端面に当接支持させると
共にパイプの前端から前記フリクシヨンカツト部
材の前端の固着を解き、且つ該フリクシヨンカツ
ト部材の後端を地盤等の適所に固定したのち、前
記地下構造物の内部の土砂を堀削排除しながら前
記地下構造物を推進して、前記フリクシヨンカツ
ト部材を残置したまゝ、パイプルーフと地下構造
物とを置換することを特徴とするものであるか
ら、予め、計画地下道部を貫通してパイプルーフ
を形成するので、計画地下道部の全長に亘つて上
方の地盤の崩壊を防止することができ、さらに、
このパイプルーフの後端に記載の地下構造物の前
端を当接させて地下構造物を押し進めるものであ
るから、地中に残置させたフリクシヨンカツト部
材の下面をガイドしてパイプルーフとこのパイプ
ルーフに後続する地下構造物を容易に且つ精度良
く推進、埋設させることができる。

又、地下構造物の前端地盤の堀削時には、その
前方地盤はパイプルーフにより支持されているか
ら、堀削が能率良く行える。

さらに、計画地下道部の上床断面位置にパイプ
ルーフを圧入したのち、このパイプルーフと地下
構造物とを置換するので、従来工法に比べてパイ
プルーフの高さと作業空間部だけ上床下方部に形
成される地下道を浅く形成することができ、従つ
て、アプローチも短くすることができ、又、パイ
プにフリクシヨンカツト部材を設けているので、
上部土砂が移動することがなく、上部の構造体、
軌道等に悪影響を与えることがないものであり、
その上、パイプ回収することができるので、再使
用が可能となつて経済的であり、且つ既製の地下
構造物を推進するので、工期の短縮ができ、堀削
土量は地下構造物の断面に等しくてむだな堀削を
する必要がない等の多大な効果を奏するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第７図は本発明の実施例を示すもの
で、第１図はその簡略側面図、第２図はその一部
の簡略正面図、第３図はその箱型パイプの縦断側
面図、第４図は同縦断正面図、第５図は他の例を
示す簡略正面図、第６図は刃口の斜視図、第７図
はもう一つの変形例を示す簡略正面図、第８図は
従来例を示す簡略側面図、第９図はその簡略正面
図である。 １……地下道、３……地下構造物、９……箱型
パイプ、１２……フリクシヨンカツト部材、１３
……パイプルーフ、１５……パイプ群、１７……
刃口、１８……刃先、１９……パイプ受支部、２
４……ジヤツキ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 断面矩形状のパイプの上面に全長に亘つてフ
   リクシヨンカツト部材を載置して該フリクシヨン
   カツト部材の前端を前記パイプの前端に固着し、
   このパイプの前方地盤を堀削しながらその中空内
   部を通じて堀削土砂を排除することにより、複数
   本のパイプを計画地下道断面の少なくとも上床断
   面位置に該計画地下道の全長に亘つて並列状態に
   圧入して計画地下道を貫通したパイプルーフを形
   成し、次いで、パイプルーフの後端に既製の地下
   構造物の前端面を当接支持させると共にパイプの
   前端から前記フリクシヨンカツト部材の前端の固
   着を解き、且つ該フリクシヨンカツト部材の後端
   を地盤等の適所に固定したのち、前記地下構造物
   の内部の土砂を掘削排除しながら地下構造物を推
   進して、前記フリクシヨンカツト部材を残置した
   まゝ、パイプと地下構造物とを置換することを特
   徴とする地下道の構築方法。