JPH0439136B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は光デイスク記録再生装置に用いられる
円盤状基板を少なくとも２枚貼り合わせた情報担
体デイスクの構造に関するものである。

従来例の構成とその問題点 従来より円盤状の透明基板の一方の面に未記録
の記録媒体層、あるいはあらかじめ所定の情報信
号を記録した凹凸ピツト等の情報媒体層を設けた
ものを、前記情報媒体層を設けた面が互いに対向
するようにあるいは単に保護基板を前記情報媒体
層に対向するように貼り合わせてデイスクを形成
し、レーザ光によつて情報の記録再生あるいは再
生を行なう装置が開発されている。

これらのデイスクにおける透明基板として、ア
クリルやポリカーボネイト樹脂等の樹脂材料を使
用した場合、樹脂材料は湿度、温度の変化によつ
てソリ変形を生じる性質を持つている。このため
２枚貼り合わせたデイスクは使用時の湿度、温度
の変化に対して２枚の基板の間でひずみが発生し
ており、長期間の湿度、温度の変化の繰り返しあ
るいは運搬時等の急激な湿度、温度の変化によつ
てはがれが発生しやすい欠点がある。このはがれ
は特にセンタ穴端面部および外周端面部から発生
しやすい傾向がある。また透明基板としてガラス
板を貼り合わせたデイスクでは落下等の衝撃によ
つて割れあるいははがれが発生しやすく、このは
がれは樹脂材料を使用したデイスクと同様にセン
タ穴端面部および外周端面部から発生しやすい欠
点がある。

従来のデイスク構造としては、第１図に示すよ
うにデイスク基板１の一方の面にレーザ光案内用
のトラツク溝２を形成する紫外線重合型樹脂層３
を設け、さらに記録媒体層４を形成している。こ
の記録媒体層４を保護するため接着層５を介して
保護基板６を貼り合わせた構造であつた。このデ
イスク基板１と保護基板６を貼り合わせる時、接
着層５はセンタ穴端面部７および外周端面部８か
ら一点鎖線９，１０に示すように不規則にはみ出
すため、貼り合わせ後仕上げ加工を行なつて第１
図のような構造を得ている。しかしこのような構
造の場合、前述したようにセンタ穴端面部７およ
び外周端面部８からはがれが発生しやすい傾向が
あり、一度はがれが始まるとそこから急速にはが
れが進行し記録した情報を消滅する危険性があつ
た。

発明の目的 本発明は上記欠点を除去しようとするものであ
り、はがれの発生しやすいセンタ穴端面部および
外周端面部の機械的強度を向上させ、貼り合わせ
端面からはがれの生じないような情報担体デイス
クを得ることを目的とするものである。

発明の構成 本発明は情報媒体層を有するデイスク基板を少
なくとも一枚含む複数枚の基板の全面を貼り合わ
せてデイスクを構成し、複数枚の基板を貼り合わ
せた状態でデイスクの端面の貼り合わせ境界部分
に凹溝部が形成されるようにしておいて、この凹
溝部を含む端面を接着剤で覆つて硬化させた情報
担体デイスクである。

実施例の説明 以下本発明の実施例について図面を参照して説
明する。第２図は本発明の一実施例における情報
担体デイスクの一部切欠断正面図である。第２図
においてデイスク基板１、トラツク溝２、紫外線
重合型樹脂層３、記録媒体層４、接着層５、保護
基板６は第１図に示す従来例と同様でデイスクを
構成しており同一番号で示している。１１はデイ
スクのセンタ穴端面部７にあふれ出た接着剤で、
センタ穴端面部７を覆いその内壁１２は全周にわ
たつて平滑な形状で構成されている。１３はデイ
スクの外周端面部８にあふれ出た接着剤でセンタ
穴部と同様に外周端面部８の全周を覆うように構
成されている。

また、センタ穴端面部７および外周端面部８の
デイスク基板１から保護基板６にかけて凹溝部１
４を設け、それぞれセンタ穴接着剤１１、外周端
接着剤１３を充填して構成している。

第２図の構成においてそれぞれの凹溝部１４は
デイスク基板１と保護基板６をあらかじめ凹溝部
１４に相当する形状にしておいて貼り合わせたも
のであり、センタ穴接着剤１１、外周端接着剤１
３が凹溝部１４に埋め込まれると同時にセンタ
穴、外周のそれぞれの端面の全周に形成されてい
るため強力な接着力を得られるものである。

また、センタ穴接着剤１１の内壁１２は平滑な
形状であるため、この内壁１２をデイスクのセン
タ穴として使用できるものである。すなわちセン
タ穴接着剤１１を接着層５と同時に硬化させる
時、その形状を規制することにより２枚の基板の
端面の全周を接着し、貼り合わせ強度を向上させ
る効果と同時にセンタ穴接着剤１１の内壁１２に
デイスクのセンタ穴としての機能ももつものであ
る。特にデイスクのセンタ穴として形成する時、
その効果を発揮するものである。すなわちレーザ
光案内用のトラツク溝あるいはあらかじめ記録さ
れた信号ピツト等とデイスクの回転中心となるセ
ンタ穴の同心精度は高精度である程、記録再生あ
るいは再生特性の向上、検策時間の短縮化がはか
れるものであるが、この同心精度を高精度に且つ
安定に生産することには限度があるため例えば２
枚の基板を貼り合わせた後、トラツク溝等を基準
にセンタ穴の仕上げ加工を行なつているのが現状
である。このセンタ穴接着剤１１によつてセンタ
穴を形成する方法ではデイスクのもとのセンタ穴
７とトラツク溝等の同心精度はあまり問題にしな
くてよく、センタ穴接着剤１１を硬化させる時ト
ラツク溝等と同心になるように硬化させることに
よつて、２枚の基板の貼り合わせと同時にトラツ
ク溝等と同心精度のよいセンタ穴を得られるもの
である。外周部接着剤１３も同様に接着層５の硬
化と同時にその形態を規制して硬化させることに
より、外周端面部８の全周に接着され２枚の基板
の貼り合わせ強度を向上させるものである。尚外
周部接着剤１３の形状は角形である必要はなく丸
形あるいは台形等の形状でも同様な効果を得られ
るものである。このセンタ穴接着剤１１および外
周部接着剤１３の厚さは薄すぎれば貼り合わせ強
度の向上にあまり効果がなく、逆に厚すぎれば接
着剤の硬化収縮によるひずみによつて、長期使用
時にはがれやすくなる危険性があり、１mm程度の
厚さであれば機械的強度も確保され貼り合わせ強
度の向上に効果があるものであつた。

尚、この凹溝部１４は第２図に示したような角
形である必要はなく、丸形、台形、三角形等の形
状であつても同様の効果を得られるものである。

第３図は本発明の他の実施例における情報担体
デイスクの一部切欠断正面図である。第３図に示
すようにデイスクの凹溝部１４に２枚の基板を貼
り合わせる接着層５とは別の被膜層１５，１６を
形成している。

第３図の構成においてセンタ穴の被膜層１５は
第２図の実施例と同様、センタ穴の端面の全周を
覆つて貼り合わせ強度を向上させると同時にその
内壁１７はデイスクのセンタ穴を構成している。
外周端の被膜層１６も同様に端面全周に覆つて貼
り合わせ強度を向上させている。この被膜層１
５，１６はデイスク基板１と保護基板６を貼り合
わせた後、その硬化状態を規制して形成したもの
で接着層５と同一の接着剤を用いてもよく、また
別の更に強力な硬化剤、例えば特開昭56−22364
号明細書、特開昭56−135526号明細書の組成分か
らなる硬質被膜材料を用いてもよいものである。

第４図は第２図で示した本発明のセンタ穴部に
あふれ出た接着剤の硬化状態を規制した形成法を
示すための一部切欠断正面図である。

第４図において１８はセンタ穴接着剤１１で形
成するセンタ穴の内壁１２に相当する径を有した
段付ボスで、段付ボス１８の段差部１９にデイス
ク基板１を装着し、デイスク基板のトラツク溝２
と段付ボス１８の心合わせを行なつた後、保護基
板６を接着剤を用いて貼り合わせることによつて
センタ穴にあふれ出た未硬化の接着剤２０は段付
ボス１８との間に充填されこの状態で硬化させる
ことによつてセンタ穴接着剤１１を形成するもの
である。センタ穴接着剤１１を形成後段付ボス１
８を抜き取ることによつてセンタ穴の内壁１２を
構成したセンタ穴接着剤を得るものである。この
段付ボス１８は接着剤あるいは硬質材料が接着し
ない材料、例えば四ふつ化樹脂で構成している。
また外周端の接着剤の形成も同様の方法で得るこ
とが可能なものである。

尚、以上の実施例では紫外線重合型樹脂でレー
ザ光案内用のトラツク溝を形成し、円盤状基板の
一方の面のみに記録媒体層を設けた構造の記録再
生用の光デイスクを示したが、トラツク溝を射出
成形等によつてデイスク基板と一体的に成形した
光デイスクあるいは両方の円盤状基板に記録媒体
層を有し、互いに対向させて貼り合わせた構造の
光デイスクはもちろん、所定の情報信号を凹凸ピ
ツトとして記録した再生専用の光デイスク等複数
枚の基板を貼り合わせた構造の光デイスクに適用
できるものである。両方の円盤状基板に記録媒体
層を設けた場合、一方が他方の保護基板になるも
のである。

発明の効果 以上のように本発明によれは複数枚の基板を貼
り合わせたデイスクにおいて、複数枚の基板を貼
り合わせた状態でデイスクの端面の貼り合わせ境
界部分に凹溝部が形成されるようにしておいて、
この凹溝部を含む端面を接着剤で覆つて硬化させ
ることによつて、接着強度を得るに必要な１mm程
度の適度な厚さを容易に得られ、最もはがれの発
生しやすい貼り合わせ境界部の接着強度を向上さ
せることができ、長期にわたつて信頼性のあるデ
イスクを得ることができるものである。

また貼り合わせ接着剤をあふれ出させて、その
形状を規制して貼り合わせ境界部の端面の凹溝部
を含む全周を覆うことによつて、接着強度を向上
できると同時に従来後処理の必要であつたあふれ
出た接着剤を利用した実用的なデイスクを得るこ
とができるものである。

さらにセンタ穴部接着剤の内壁でセンタ穴を構
成することにより、デイスクのトラツク溝等にた
いして同心精度のよいセンタ穴を有したデイスク
を得られるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例における情報担体デイスクの断
正面図、第２図は本発明の一実施例における情報
担体デイスクの断正面図、第３図は本発明の他の
実施例における情報担体デイスクの一部切欠断正
面図、第４図は第２図の情報担体デイスクにおけ
る接着剤の形成法を示すための一部切欠断正面図
である。 １……デイスク基板、５……接着層、６……保
護基板、１１……センタ穴接着剤、１３……外周
端接着剤。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 情報媒体層を有するデイスク基板を少なくと
   も一枚含む複数枚の基板の全面を貼り合わせてデ
   イスクを構成し、前記複数枚の基板を貼り合わせ
   た状態でデイスクの端面の貼合わせ境界部分に凹
   溝部を形成し、この凹溝部を含む端面を接着剤で
   覆つたことを特徴とする情報担体デイスク。 ２ 凹溝部を含む端面を覆う接着剤が、複数枚の
   基板を貼り合わせる接着剤であることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の情報担体デイス
   ク。 ３ デイスクのセンタ穴と外周の少なくとも一方
   の接着剤を硬化時に所定の形状に成形し、この接
   着剤の表面によつてデイスクの内外壁を構成した
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の情
   報担体デイスク。