JPH0433555Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は光学式情報記録円盤に関し、特に内部
の信号記録層に面して空間が設けられた光学式情
報記録円盤に関する。

背景技術 光学式情報記録円盤、例えば追記型光デイスク
と称されるDRAW（Direct Read Afer Write）
デイスクの場合、レーザ光スポツトにより多数の
微細なピツトとして情報が記録されるため、ピツ
トが形成された層すなわち信号記録層の保護が重
要である。このため、少なくとも一方が信号記録
層を有する一対の円形基板を該信号記録層が内側
となるように対向して結合せしめた形式のものが
開発されている。

第４図に既に開発されているDRAWデイスク
の概略部分断面が示されている。

図示されるように、PMMA製の一対の透明な
円形基板１，１が内部空間２を保つて対向せられ
ており、基板の内面には各々信号記録層３が設け
られている。両基板１，１は接着剤層４によつて
内外周の環状スペーサ５，６を介して固着せしめ
られている。環状スペーサ５，６は、基板１を担
持する担持面において形成された環状溝７を有
し、更にその半径方向内部面において形成された
半径方向に向かいかつ各々がその担持面と鈍角を
なす２つの斜面からなる環状峰部８を有してい
る。更に、環状溝７は浅い平坦な底部と環状峰部
に続く楔断面の深部９とから形成されている。

図から明らかなように、かかるDRAWデイス
クは、基板１と内外周の環状スペーサ５，６との
接着剤による固着力を向上させるために浅い平坦
な底部が設けられ、更に、その製造における基板
１と内外周の環状スペーサ５，６との接着の際
に、余剰接着剤を捕捉するために楔断面の深部９
が形成されている。

しかしながら、かかるDRAWデイスクの製造
においては、環状スペーサの外周に段差があり、
内周に楔断面の深部があるために平坦な底の浅部
からの接着剤の流動に際して不均一な部分が発生
し、楔断面の深部の方向への流出が多くなり、楔
断面溝部の漏れ出し防止の効果が低下し、接着剤
硬化後、均一な厚さの接着剤層が得られないとい
う問題があつた。

考案の概要 本考案は、上記した問題点を解消せんがために
なされたものであつて、その目的とするところは
製造が容易でかつ基板と環状スペーサの接着部分
が剥離し難い丈夫な光学式情報記録円盤を提供す
ることである。

本考案による光学式情報記録円盤は、少なくと
も一方が信号記録層を有する一対の円形基板と、
信号記録層が内側となるように平行に対向すべく
円形基板の外周部及び内周部を各々担持する環状
スペーサと、円形基板及び環状スペーサを互いに
固着せしめる接着層とからなり、環状スペーサの
円形基板を担持する各々の担持面において平坦な
底の環状溝が形成され、環状スペーサの半径方向
内部面において各々が担持面と鈍角をなす斜面か
らなり円形基板の半径方向に突出する環状峰部を
有する光学式情報記録円盤であつて、環状溝が一
対の内周及び外周深部を有していることを特徴と
する。

実施例 以下、本考案の実施例としてのDRAWデイス
クを第１図及び第２図の概略部分断面図を参照し
つつ説明する。

第１図に示されるように、DRAWデイスクに
おいては一対の円形基板２１，２２の表面に信号
記録層２３，２４が設けられている。信号記録層
２３，２４は、スピンコート法により形成され、
かつ内外周部環状スペーサ２５，２６が接着され
るべき円形基板の内外周部を除いて同心円状に形
成されている。各基板２１，２２は、各信号記録
層２３，２４が内側となるように対向せられてお
り、かつ、その内周部及び外周部において環状ス
ペーサ２５，２６によつて担持されている。各円
形基板２１，２２と環状スペーサ２５，２６は、
接着剤２８により互いに固着せしめられている。

第２図に示されるように、外周環状スペーサ２
６は、基板２１，２２を担持する担持面２６ａに
おいて形成された環状溝を有している。該環状溝
は浅い平坦な底をなす浅部２６ｂと環状溝におけ
る環状の深い細溝をなす一対の楔断面の深部２６
ｃとから形成されている。一対の深部２６ｃは、
浅部２６ｂを挟んで環状スペーサの内外周縁部の
近傍に形成されている。外周縁部の楔断面の深部
の断面積は接着剤の流入を促すために内周縁部の
ものよりも同等又はそれ以上の断面積とするのが
好ましい。また、環状スペーサ２６の半径方向内
部面においては、半径方向に向かいかつ各々が担
持面２６ａと鈍角をなす一対の斜面２７ｃからな
る環状峰部２７ｄが形成されている。

基板と環状スペーサとの接着に際し、接着剤を
溝底部２６ｂに付与してその上に環状スペーサを
載置して行なわれるので、接着剤が内外周の深部
の方向へ広がり、平坦な底の浅部から外周の深部
及び内周の深部への接着剤が平均して流動する。
そして、両方の楔断面の深部はデイスク外部及び
デイスク内部へ吐出する余剰接着剤を捕捉する。

この浅部２６ｂの存在によつて、接着層が厚く
形成されるから基板及び環状スペーサの対向面間
に充填された接着剤２８は、その粘弾性を有効に
発揮し得る。更に、環状峰部の斜面２７ｃの存在
によつて、吐出した接着剤の信号記録層２３、２
４への接近を防止している。このことは、基板と
環状溝２６ｂと間に充填されるべき接着剤の量が
多くなつた場合に、接着剤の余剰分が半径方向内
部面にも吐出するので、その表面張力により環状
峰部の斜面２７ｃと基板とに形成される鋭角面に
吐出接着剤を保持することにより可能となる。実
施例ではかかる鋭角面が45度となるような角度で
担持面２６ａと２つの斜面２６ｃとは鈍角をなし
ている。

上記の実施例では、外周部環状スペーサの形状
についてのみ説明しているが、内周環状スペーサ
でも同様に形成でき、同様の効果を得られること
は云うまでもない。

更に、第３図の如く得られた光デイスクの外周
部分Ａを同心的に切り落し光デイスクの形状を整
えることもできる。このようにすることにより、
外周の形状の寸法精度の高くない外周部環状スペ
ーサも使用できるようになる。

考案の効果 以上詳述した如く、本考案による光学式情報記
録円盤においては、環状スペーサの環状溝が一対
の内周及び外周深淵部を有しているので、接着工
程における円形基板と環状スペーサを互いに固着
せしめる接着剤が環状溝の平坦溝部に広がり、そ
の硬化後、円形基板と環状スペーサの各対向面間
に接着剤層が確実に介在するため、各対向面間の
距離、すなわち接着層の厚みが確保される。従つ
て、この対向面間に充填された接着剤はその粘弾
性を有効に発揮し得、接着部分が衝撃力によつて
容易に剥離することがなくなる。

更に、光学式情報記録円盤の組立工程において
所定以上の接着剤が塗布されても、内部の空間に
はみだした接着剤が信号記録層へ接触することを
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるDRAWデイスクを説明
するための概略断面図、第２図は本考案による
DRAWデイスクの外周環状スペーサの拡大概略
断面図、第３図は本考案によるDRAWデイスク
の外径成形工程を説明するための概略断面図、第
４図は従来のDRAWデイスクの概略断面図であ
る。 主要部分の符号の説明、２１，２２……円形基
板、２３，２４……信号記録層、２５，２６……
環状スペーサ、２８……接着剤。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 少なくとも一方が信号記録層を有する一対の円
   形基板と、前記信号記録層が内側となるように平
   行に対向すべく前記円形基板の外周部及び内周部
   を各々担持する環状スペーサと、前記円形基板及
   び環状スペーサを互いに固着せしめる接着層とか
   らなり、前記環状スペーサの前記円形基板を担持
   する各々の担持面において平坦な底の環状溝が形
   成され、前記環状スペーサの半径方向内部面にお
   いて各々が前記担持面と鈍角をなす斜面からなり
   前記円形基板の半径方向に突出する環状峰部を有
   する光学式情報記録円盤であつて、前記環状溝が
   一対の内周及び外周深部を有していることを特徴
   とする光学式情報記録円盤。