JPH0436924Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、印刷機のブランケツト胴や圧胴など
の洗浄対象となるドラムを洗浄するための印刷機
のドラム洗浄装置に関するものである。

（従来の技術） この種の印刷機のブランケツト胴や圧胴などの
洗浄対象となるドラムを自動的に洗浄する装置に
おいて、重要なこととして、ドラムの全長に亘つ
て洗浄シートを均一な圧力で当接させることが必
要である。例えば、新聞の輪転印刷機の洗浄対象
となるブランケツト胴のように、ブランケツト幅
が1.700mm程度となると、洗浄シートを当接させ
る圧着手段にたわみが生じ易く、洗浄シートを均
一な圧力でドラムに当接させることが困難にな
る。そこで、たわみを少なくしようとすると、圧
着手段の重量が増加したり、その占めるスペース
が大きくなる問題がある。しかしながら、印刷機
に洗浄装置を装着する広いスペースはなく、洗浄
作業時以外では必要のない洗浄装置は軽量でかつ
小形にでき、取外すことができるようにすること
が要求されている。

そして、従来のこの種の洗浄装置は、例えば特
開昭51−56305号公報に記載されているように、
洗浄液を含浸させた洗浄シートを渦巻状に巻回し
た供給ロールから間欠的に引出して巻取りロール
に巻取り、この洗浄シートの停止時にこの洗浄シ
ートをドラムの表面に比較的柔らかいゴムで表面
を被覆した圧着ローラによる押圧で接触させた状
態でこのドラムを回転させ、この洗浄シートにド
ラムの表面を摺擦洗浄し、ドラムの停止時に洗浄
シートを巻き取る構造が提案されている。

また、特開昭55−148164号公報に記載されてい
るように、洗浄液を含浸させた洗浄シートを同様
に間欠的に引出して巻取り、この洗浄シートの停
止時にこの洗浄シートを圧縮空気にて膨脹された
ゴムにてドラムの表面に接触させた状態でこのド
ラムを回転させ、この洗浄シートにドラムの表面
を摺擦洗浄し、ドラムの停止時にゴムを収縮させ
て洗浄シートを巻き取る構造が提案されている。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、上記従来の構造の装置では、洗
浄シートが停止されているため、洗浄シートにド
ラムの表面に付着されていたインキ、紙粉などの
除去物が集中堆積し、洗浄シートがドラムから離
反する都度に、洗浄シートの移動による衝撃で洗
浄シートに集中堆積した除去物が落下し易く、周
辺を汚損する問題がある。

そして、ドラムから除去された除去物が集中堆
積されることなく、効果的な洗浄ができるように
洗浄シートを回転しているドラムに圧接した状態
で、洗浄シートをドラムの回転方向と反対方向に
移動させるようにすると、ゴムによる摩擦力、粘
着力などで洗浄シートが破損され易く、また、洗
浄シートが破損されないように、ゴムによる押圧
力を低下させると、効果的な洗浄ができない問題
がある。

そこで、ドラムの全長に亘つて洗浄シートを均
一な圧力で圧接できるように、軽量なスポンジ状
押圧体を用いて洗浄シートを回転しているドラム
に圧接し、洗浄シートをドラムの回転方向と反対
方向に移動させるようにすると、洗浄シートが洗
浄液で濡れているので、スポンジ状押圧体と洗浄
シートとの摩擦が大きく、ドラムの洗浄に必要な
所定の当接圧力を得ようとすると、洗浄シートの
移動が困難になつたり、洗浄シートが破損し易く
なり、また、スポンジ状押圧体が破損し易く、さ
らに、洗浄シートに含浸させた洗浄液がスポンジ
状押圧体に吸収されて、洗浄液が不足したり、ス
ポンジ状押圧体が損傷し易くなり、また、水と洗
油のように性質の異なる複数の洗浄液を用いる場
合に不都合が生じる問題がある。

本考案は、このような点に鑑みなされたもの
で、ドラムの周面に洗浄シートをスポンジ状押圧
体にて押圧接触させてドラムを洗浄するようにし
た洗浄装置において、ドラムから剥離した除去物
が集積堆積することがなく、洗浄シートを均一な
圧力でドラムに圧接させることができるととも
に、洗浄シート、スポンジ押圧体が破損するよう
なことがなく、確実に効率よくドラムの洗浄がで
きる印刷機の洗浄装置を提供するものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案の印刷機の洗浄装置は、印刷機の洗浄対
象となる回転されているドラムの周面に洗浄シー
トを押圧体にて押圧接触させながら前記ドラムの
回転方向と反対側に摺擦移動させて印刷機のドラ
ムの周面を洗浄する装置であつて、上記ドラムの
表面に対して上記洗浄シートを押圧させるスポン
ジ状押圧体と、このスポンジ状押圧体の上記ドラ
ムに対する当接面に配設されたフツ素化合物から
なる柔軟なフイルムとを具備したものである。

（作用） 本考案の印刷機の洗浄装置は、回転されている
ドラムの周面にフイルムを介して押圧体にて押圧
接触された洗浄シートをドラムの回転方向と反対
側に摺擦移動させるため、洗浄シートにドラムの
周面から剥離された除去物が集中堆積されること
がなく、フツ素化合物からなるフイルムの柔軟性
によりスポンジ状押圧体は直接洗浄シートに当接
されることがなく、洗浄シート、スポンジを破損
することがなく、このスポンジ状押圧体によつて
洗浄シートを洗浄対象のドラムに均一に当接させ
ることができ、効率よくドラムの洗浄ができ、フ
ツ素化合物から成るフイルムの非粘着性、低摩擦
性、耐摩耗性、化学的物理的安定性、耐候性によ
りスポンジ状押圧体の摩擦力などによる問題点が
なくなる。

（実施例） 本考案の印刷機のドラム洗浄装置の一実施例を
図面を参照して説明する。

１は新聞の輪転印刷機の洗浄対象となるドラム
としてのブランケツト胴で、このブランケツト胴
１は、そのブランケツト幅が1.700mmで、図示矢
印方向に回転する。

２は不織布から成る洗浄シートとしての洗浄布
で、この洗浄布２は、上記ブランケツト胴１のブ
ランケツト幅の1.700mmよりも広い幅で、図示し
ないが、渦巻状に巻回された供給ロールの状態か
ら引出されて巻取りロールに巻取られ、この各ロ
ール間を移動する間に、水や洗油などの洗浄液が
含浸され、その後、ブランケツト胴１に当接する
ようになつており、ブランケツト胴１の回転によ
る移動方向に対して反対の方向に毎秒数mm程度の
速度でゆつくり移動し、回転中のブランケツト胴
１の表面を摺擦するようになつている。

３はスポンジ状押圧体で、このスポンジ状押圧
体３は、ホルダ４に支持され、このホルダ４よつ
て所定の圧力で上記洗浄布２の全幅を上記ブラケ
ツト胴１に当接させる。

５はフツ素化合物から成る柔軟なフイルムで、
このフイルム５は、上記スポンジ状押圧体３の上
記ブランケツト胴１に対する当接面を覆つて、そ
の端部をホルダ４の背面に固定されており、この
フイルム５には、スポンジ状押圧体３の押圧感を
そのまま伝えることができ、しかも、フツ素化合
物の非粘着性、低摩擦性、耐摩耗性、化学的物理
的安定性、耐候性等の特性に優れたものとして、
例えば、東レ株式会社製のトヨフロン（登録商
標）PFAフイルム250P（厚さ0.25mm）を用いる。

次に、この実施例の作用を説明する。

ブランケツト胴１の洗浄に際しては、ブランケ
ツト胴１を回転するとともに、洗浄布２を移動
し、この洗浄布２に水や洗油などの洗浄液を含浸
し、この洗浄液を含浸した洗浄布２を、ホルダ４
に支持されたスポンジ状押圧体３及びフイルム５
を介して、ブランケツト胴１に所定の圧力で当接
させた状態で、洗浄布２をブランケツト胴１の回
転方向と反対側に摺擦移動させる。洗浄液を含浸
した洗浄布２の移動でブランケツト胴１を摺擦し
てブランケツト胴１を洗浄する。

そして、洗浄布２はブランケツト胴１に圧接さ
れながら移動しているため、ブランケツト胴１か
ら剥離した除去物が洗浄布２に集中堆積すること
がない。

この際、フイルム５が柔軟で、スポンジ状押圧
体３の押圧量を洗浄布２にそのまま伝えるので、
スポンジ状押圧体３の性質を生かして、このスポ
ンジ状押圧体３によつて洗浄布２をブランケツト
胴１に均一に当接させることができ、したがつ
て、ブランケツト胴１の洗浄がむらなく均一に行
なわれ、よごれが残ることがない。

そして、フイルム５の洗浄布２との摩擦が小さ
いので、洗浄布２の移動が円滑に行なわれ、スポ
ンジ状押圧体３、洗浄布２やフイルム５が破損す
る心配もなく、また、洗浄布２に含浸させた洗浄
液がスポンジ状押圧体３に吸収されることもない
ので、洗浄液が不足したり、スポンジ状押圧体３
が洗浄液で損傷したりすることもなく、フイルム
５も化学的に安定で損傷の心配がなく、さらに、
水と洗油のように性質の異なる複数の洗浄液を順
次に用いる場合にも、水によつて洗油かはじかれ
たり、洗油によつて水がはじかれたりするという
ような干渉の心配がない。

（考案の効果） 本考案によれば、フツ素化合物からなるフイル
ムの柔軟性によりスポンジ状押圧体の性質を損わ
ずに、このスポンジ状押圧体によつて洗浄シート
を洗浄対象のドラムに均一に圧接しながら、ドラ
ムの回転方向と反対方向に洗浄シートを移動させ
ながら洗浄するので、ドラムの洗浄をむらなく均
一に行なうことができ、よごれが残ることがな
く、ドラムから剥離された除去物が洗浄シートに
集中堆積することがなく、また、フツ素化合物か
らなるフイルムの非粘着性、低摩擦性、耐摩耗
性、化学的物理的安定性、耐候性によりスポンジ
状押圧体を覆うため、洗浄シートの移動を円滑に
でき、洗浄シートを破損することなく、洗浄シー
トに含浸させた洗浄液がスポンジ状押圧体に吸収
されないので、洗浄液が不足することもなく、確
実にドラムの洗浄ができ、さらに、水と洗油のよ
うに性質の異なる複数の洗浄液を順次に用いる場
合にも、洗浄液相互の干渉の心配がなく、その
上、スポンジ状押圧体はフイルムに保護され、フ
イルムも安定なので、耐久性も向上する。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の印刷機のドラム洗浄装置の一実施
例を示す断面図である。 １……ドラムとしてのブランケツト胴、２……
洗浄シートとしての洗浄布、３……スポンジ状押
圧体、５……フイルム。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 印刷機の洗浄対象となる回転されているドラム
   の周面に洗浄シートを押圧体にて押圧接触させな
   がら前記ドラムの回転方向と反対側に摺擦移動さ
   せて印刷機のドラムの周面を洗浄する装置であつ
   て、 上記ドラムの表面に対して上記洗浄シートを押
   圧させるスポンジ状押圧体と、 このスポンジ状押圧体の上記ドラムに対する当
   接面に配設されたフツ素化合物からなる柔軟なフ
   イルムと を具備したことを特徴とする印刷機のドラム洗浄
   装置。