JPH0434295Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、緊急時にガスの流通を遮断せしめ
る過流出防止弁に関するものである。

［従来の技術］ ガスコツクには過流出防止弁を内蔵するものが
ある。

この種のガスコツクの基本的なものは、ガスコ
ツクのガス通路内部に球状をなす安全弁が昇降移
動可能に収納されていて、通常の使用状態におい
ては安全弁が自重により弁座から離反してガスの
流通を確保し、ガスが過流出した時に安全弁が上
昇して弁座に着座し、ガスの流通を遮断するよう
になつている。

ところで、近年、省エネルギー等を目的として
圧力調整器を具備したガス器具が出現している。
この種のガス器具に上記ガスコツクを接続する
と、ガス器具を作動させた直後のガス圧力が安定
するまでの短時間の間、瞬間的にガスが過流出し
て上記安全弁が弁座に着座してしまい、その後の
ガス器具へのガスの供給ができなくなるという事
態が生じた。

この問題を解決する過流出防止弁内臓のガスコ
ツクが特公昭58−7868号公報に開示されている。
このガスコツクにおいては安全弁の作動時間を所
定時間確保するために、安全弁の移動通路に障害
突起を設けている。即ち、障害突起は安全弁の移
動軌跡を蛇行させて移動距離を延ばし、又、ガス
が過流出して安全弁が弁座に接近移動する時に、
安全弁をこの障害突起に衝突させてエネルギーを
消耗させ、安全弁の移動速度を低下させる。これ
によつて、安全弁作動完了までの時間を所定に長
引かせるようにしている。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、安全弁が自重によつて弁座から離
反せしめられる上記過流出防止弁は、その構造
上、取付姿勢に制約を受ける等の欠点があつた。
そこで、これを解消するものとして、実開昭62−
196968号公報に開示される如く、スプリングの弾
発力を利用して安全弁を弁座から離反せしめるよ
うにした過流出防止弁が開発されている。

しかしながら、上記過流出防止弁を内臓したガ
スコツクの場合には、圧力調整器付きのガス器具
に接続した際の前記問題を解決するために、前記
同様の構造を採用することができなかつた。とい
うのは、スプリングで付勢された安全弁の移動軌
跡は直線的にならざるを得ないからである。

この考案は上述従来の技術の問題点に鑑みてな
されたものであり、その目的とするところは、通
常の使用状態における瞬間的なガスの過流出では
ガス通路を遮断せず、ガスの過流出状態が所定時
間続いた時だけ確実にガスの流通を遮断する過流
出防止弁を提供しようとするところにある。

［課題を解決するための手段］ この考案は上記目的を達成するためになされた
もので、その要旨は、内部にガス通路を有するケ
ーシングと、このケーシングのガス通路内に移動
自在に収納された安全弁とからなり、通常は上記
安全弁が上記ガス通路に設けられた弁座から離反
してガスの流通を許し、ガスが過流出状態で流通
する時に上記安全弁が弁座に着座してガスの流通
を遮断する過流出防止弁において、上記安全弁が
弁座に接近移動する時にケーシングと安全弁との
間に摩擦抵抗を付与せしめる制動機構を具備する
ことを特徴とする過流出防止弁にある。

［作用］ ガスが過流出した場合、過流出防止弁の安全弁
が弁座に接近する方向へ移動する時に安全弁とケ
ーシングとの間には摩擦抵抗が作用するので、弁
座へ接近する安全弁の移動速度が遅くなる。その
結果、ガス過流出時の安全弁に作用する力が同じ
であれば、この考案の過流出防止弁の方が制動機
構がなかつた従来の過流出防止弁よりも、安全弁
の作動開始から作動完了までの所要時間が長くな
る。

したがつて、通常のガスの流通状態における瞬
間的な過流出状態では、安全弁が作動し始めても
その作動完了までの時間が長いため、作動完了前
に上記過流出状態から通常のガス通路状態に戻
り、過流出防止弁の作動は回避される。

一方、この過流出防止弁が組み込まれたガスラ
インに不測の事態が生じて、ガスの過流出状態が
しばらく続く場合には、制動機構が働いていても
所定時間後には安全弁が弁座に着座し、ガスの流
通は確実に遮断される。

［実施例］ 以下、この考案の一実施例を第１図から第１０
図までの図面に基づいて説明する。尚、この実施
例ではガスコツクに内蔵される態様を示してい
る。

第１図に示すように、この実施例におけるガス
コツク１は、流入通路２Ａ及び流出通路２Ｂを有
するガスコツク本体２に上記通路２Ａ，２Ｂの連
通及び遮断を行う弁体３を回動自在に設け、ガス
コツク本体２の流入通路２Ａにこの考案の要旨で
ある過流出防止弁１０を設けて構成されている。

弁体３は下方が小径のテーパ状に形成されたも
ので、ガスコツク本体２の弁体収納空間に上から
挿入されている。そして、外周のテーパ面がガス
コツク本体２のテーパ状の摺動面２Ｃに密着して
いる。弁体３には、ガスコツク本体１の流入通路
２Ａと流出通路２Ｂとを連通する連通孔３Ａが穿
設されている。そして、つまみ４を操作して弁体
３を水平方向に回動させることにより、流入通路
２Ａと流出通路２Ｂとを連通したり遮断したりす
ることができるようになつている。

ガスコツク本体２の流入通路２Ａの開口端はネ
ジ部２ａになつており、ガス管に接続可能となつ
ている。又、上記流入通路２Ａにおいてネジ部２
ａに連なる下流側には過流出防止弁１０を収容す
る収容部２ｂが形成されている。

上記過流出防止弁１０は第２図の全体組立断面
図に示すように、上記ガスコツク本体２の収容部
２ｂにねじ込み固定されるケーシング１１と、ケ
ーシング１１の内部に移動自在に収納された安全
弁１２と、ケーシング１１において下流側及び上
流側に取り付けられ上記安全弁１２を支持する下
流側支持リング１３と上流側支持リング１４とか
ら構成されている。

ケーシング１１は内部に空洞を有する略円筒状
をなし、外週部の一部に設けられた雄ねじ部１１
ｄをガスコツク本体２の収容部２ｂに形成された
雌ねじ部２ｃにねじ込むことによつて、ガスコツ
ク本体２に固定されている。ケーシング１１は、
ガスコツク本体２内において下流側（第２図にお
いて左側）に配置される開口端を下流側支持リン
グ１３に対する取付孔１１ａとされ、上流側（第
２図において右側）に配置される開口端を上流側
支持リング１４に対する取付孔１１ｂとされ、両
取付孔１１ａ，１１ｂは軸線をガスコツク本体２
の流入通路２Ａの軸線に一致させたガス通路１１
ｃによつて連絡されている。

一方、安全弁１２は第４図から第６図に示すよ
うに、軸線をケーシング１１のガス通路１１ｃの
軸線と一致させて配置されるシヤフト部１２ａ
と、このシヤフト部１２ａの途中に形成されたシ
ール部１２ｂとから構成されている。シール部１
２ｂの外側面１２ｃは球面の一部からなり、上記
ケーシング１１のガス通路１１ｃの途中に設けら
れたテーパ面からなる弁座１１ｅに着座可能にさ
れている。そして、第１図、第２図において想像
線で示すように、安全弁１２のシール部１２ｂが
ケーシング１１の弁座１１ｅに着座すると、ケー
シング１１のガス通路１１ｅは閉塞され、その時
に、シヤフト部１２ａの先端がガスコツク本体２
の流入通路２Ａから突出し、弁体３のガス通路３
Ａ内に突き出るように寸法設定されている。又、
シヤフト部１２ａにおいてシール部１２ｂよりも
上流側（第４図において右側）に位置する部分の
外周面には、縦断面矩形状の螺旋突起１２ｄが螺
旋状に設けられている。

下流側支持リング１３は第７図、第８図に示す
ように、上記安全弁１２のシヤフト部１２ａの先
部を挿通させるインナーリング１３ａと、ケーシ
ング１１の取付孔１１ａに嵌着されるアウターリ
ング１３ｂと、インナーリング１３ａとアウター
リング１３ｂを連結するアーム１３ｃから構成さ
れており、インナーリング１３ａとアウターリン
グ１３ｂの間をガスが流通できるようになつてい
る。尚、アウターリング１３ｂの外周面には脱落
防止用の楔１３ｄが形成されている。

又、上流側支持リング１４も基本的には下流側
支持リング１３と同様の構造をなしており、第９
図から第１１図に示すように、上記安全弁１２の
シヤフト部１２ａの基部を挿通させるインナーリ
ング１４ａと、ケーシング１１の取付孔１１ｂに
嵌着されるアウターリング１４ｂと、インナーリ
ング１４ａとアウターリング１４ｂを連結するア
ーム１４ｃから構成され、インナーリング１４ａ
とアウターリング１４ｂの間をガスが流通できる
ようになつている。ただ、この上流側支持リング
１４のインナーリング１４ａの内周面には安全弁
１２の螺旋突起１２ｄに噛合する螺旋溝（案内
溝）１４ｅが設けられており、この点が下流側支
持リング１３と大きく相違している。尚、上流側
支持リング１４のアウターリング１４ｂの外周面
にも楔１４ｄが設けられている。

上述のような構造にしたことによつて、安全弁
１２は、螺旋突起１２ｄと上流側支持リング１４
の螺旋溝１４ｅのねじ作用によつて回転をしなが
ら、ガスコツク本体２の流入通路２Ａの軸線に沿
つて移動可能となる。又、上記螺旋突起１２ｄと
螺旋溝１４ｅは制動機構を構成し、安全弁１２が
移動する時に螺旋突起１２ｄは螺旋溝１４ｅを摺
動し、その間に滑り摩擦を生じさせ摩擦抵抗を付
与する。特に、螺旋突起１２ｄと螺旋溝１４ｅを
螺旋状にしたことによつて、これらの間に生ずる
摩擦力を大きくすることができ、且つ摩擦が生ず
る距離を長くすることができる。

又、上記安全弁１２はシール部１２ｂと下流側
支持リング１３のインナーリング１３ａの間に介
装されたスプリング１５によつて上流側に付勢さ
れている。そして、通常この安全弁１２は上流側
支持リング１４のアーム１４ｃに引つ掛かつて非
作動位置に止まり、ガスの流通を許している。

上述構成のガスコツク１においては、弁体３が
閉じている時、及びガスが流れていない時は、安
全弁１２は非作動位置にある。又、弁体３が開い
ていて通常のガス流通状態にある時は、ガス圧に
よる安全弁１２を下流側へ押動する力が、スプリ
ング１５の弾発力よりも小さく、安全弁１２は非
作動位置に位置したままとなる。

一方、ガスの流通が過流出状態になつて、ガス
圧による安全弁１２を下流側へ押動する力が、ス
プリング１５の弾発力、及び安全弁１２の螺旋突
起１２ｄと上流側支持リング１４の螺旋溝１４ｅ
の間に生ずる摩擦抵抗に打ち勝つと、安全弁１２
が回転しながら下流側に移動し、シール部１２ｂ
がケーシング１１の弁座１１ｅに着座したガス通
路１１ｃを閉塞し、ガスの流通を遮断する。

上記過流出時において安全弁１２が移動する最
中も、螺旋突起１２ｄと螺旋溝１４ｅの間には摩
擦抵抗が作用するので、弁座１１ｅへ接近する安
全弁１２の移動速度が遅くなる。したがつて、ガ
ス圧による安全弁１２を下流側へ押動する力が同
じであれば、この過流出防止弁１０の方が螺旋突
起１２ｄ及び螺旋溝１４ｅがない従来の過流出防
止弁よりも、安全弁１２が移動を開始してから弁
座１１ｅに着座するまでの所要時間が長くなる。

又、この実施例の場合には、安全弁１２が移動
の際に回転を伴うため、スプリング１５と安全弁
１２のシール部１２ｂの間、及びスプリング１５
と下流側支持リング１３のインナーリング１３ａ
の間にも滑り摩擦抵抗が作用し、更に、安全弁１
２の回転によつてスプリング１５が捩れ、安全弁
１２はその反作用を受けることになるので、これ
らによつても安全弁１２の作動時間が引き延ばさ
れる。

したがつて、このガスコツク１に圧力調整器付
きガス器具を接続した場合に、このガス器具の使
用初期に瞬間的に過流出状態となつて安全弁１２
が作動し始めても、安全弁１２が弁座１１ｅに着
座するまでの時間が長いため、安全弁１２が作動
を完了する前に上記過流出状態から通常のガス流
通状態に戻り、過流出防止弁１０の作動は回避さ
れる。一方、上記ガス器具からガスホースが外れ
る等した場合にはガスの過流出状態が続くので、
所定時間後に安全弁１２が弁座１１ｅに着座し、
ガスの流通は確実に遮断される。

尚、過流出防止弁１０は弁体３を閉じることに
よりセツトされるようになつている。即ち、ガス
コツク１の弁体３の外周面にはカム面（図示せ
ず）が設けられており、過流出防止弁１０が作動
した場合に弁体３を閉じ方向へ回転すると、上記
カム面が、弁体３の連通孔３Ａ内に突出した安全
弁１２のシヤフト部１２ａの先端を上流側へ押動
し、安全弁１２を弁座１１ｅから離反させる。そ
の結果、安全弁１２はスプリング１５により非作
動位置に戻される。

この考案は上述実施例に制約されず種々の態様
が採用可能である。

例えば、上記過流出防止弁１０においては、ス
プリング１５の弾発力により安全弁１２を弁座１
１ｅから離反させるようにしているが、安全弁１
２が上昇移動して弁座１１ｅに接近するようにし
た場合には、スプリング１５を設けず重力により
安全弁１２を弁座１１ｅから離反させるようにし
てもよい。

又、寸法的に許容されるならば、過流出防止弁
１０をガスコツク１の弁体３の連通孔３Ａ内に収
容することも可能である。

又、弁体を球状にしたボール弁タイプのガスコ
ツクにも内臓可能である。

更に、この実施例における過流出防止弁はガス
コツクに内蔵する態様であるが、管継手等に内蔵
することも可能である。

［考案の効果］ 以上説明したように、この考案は、以下に記載
される優れた効果を奏する。

過流出防止弁のケーシングと安全弁との間に摩
擦抵抗を付与せしめる制動機構を設けたことによ
り、ガスが過流出して安全弁が弁座に接近する方
向へ移動する時の移動速度を若干遅くすることが
でき、その結果、安全弁の作動開始から作動完了
までの所要時間を長くすることができる。

したがつて、通常のガスの流量状態において瞬
間的にガスが過流出した場合には、安全弁が作動
し始めてもその作動完了前に上記過流出状態から
通常のガス流通状態に戻り、過流出防止弁の作動
は回避されようになるという優れた効果が奏され
る。

そして、ガスの過流出状態が長く続く緊急を要
する場合だけ、所定時間経過後に安全弁が弁座に
着座し、ガスの流通が遮断されるようになり、過
流出防止弁の誤作動を防止することができるとい
う優れた効果が奏される。

【図面の簡単な説明】

第１図から第１０図までの図面はこの考案の一
実施例を示すものであり、第１図はガスコツクの
縦断面図、第２図はこの考案の要旨である過流出
防止弁の縦断面図、第３図は同右側面図、第４図
は安全弁の正面図、第５図は第４図矢視図、第
６図は第４図矢視図、第７図は下流側支持リン
グの平面図、第８図は第７図−断面図、第９
図は上流側支持リングの平面図、第１０図は第９
図−断面図である。 １０……過流出防止弁、１１……ケーシング、
１１ｃ……ガス通路、１１ｅ……弁座、１２……
安全弁、１２ａ……シヤフト部、１２ｂ……シー
ル部、１２ｄ……螺旋突起（制動機構）、１４…
…上流側支持リング、１４ｅ……螺旋溝（制動機
構）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 内部にガス通路を有するケーシングと、この
   ケーシングのガス通路内に移動自在に収納され
   た安全弁とからなり、通常は上記安全弁が上記
   ガス通路に設けられた弁座から離反してガスの
   流通を許し、ガスが過流出状態で流通する時に
   上記安全弁が弁座に着座してガスの流通を遮断
   する過流出防止弁において、上記安全弁が弁座
   に接近移動する時にケーシングと安全弁との間
   に摩擦抵抗を付与せしめる制動機構を具備する
   ことを特徴とする過流出防止弁。 (2) 上記安全弁が、軸線をその移動方向に延ばす
   シヤフト部と、ケーシングの弁座に着座するシ
   ール部とから構成され、この安全弁が、そのシ
   ヤフト部を軸線方向に移動可能に挿通させて支
   持する支持リングを介してケーシングに取り付
   けられており、而して、上記制動機構が、上記
   安全弁のシヤフト部の外周面とケーシングの支
   持リングの内周面に設けられ互いに噛合して摺
   動する螺旋突起と案内溝で構成されていること
   を特徴とする上記第１請求項記載の過流出防止
   弁。