JPH0434140Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はチルト式ステアリングコラム装置のチ
ルトヒンジ構造に関する。

［従来の技術］ 一般に、車輌は乗用者が快適に利用できるよう
に種々の工夫がなされ、特に操縦性能の向上のた
め、運転者の最適ドライビングポジシヨンを確保
すべく、シートの前後や上下動装置が設けられる
のは勿論のこと、ステアリングホイールが上下動
するチルト式ステアリングコラム装置が採用され
る。

そこで、この種従来のチルト式ステアリングコ
ラム装置を説明すると、第５図に示した如く、イ
ンストルメントパネルの下面などの車体５に固定
された固定ブラケツト６に、チルトヒンジ１０を
介し可動ブラケツト８が回動可能に軸支されてい
る。固定ブラケツト６と可動ブラケツト８には、
チルトヒンジ１０と同軸位で屈折可能な自在継手
３を介し連結されたステアリングシヤフト２が収
容されている。ステアリングシヤフト２の上部
は、可動ブラケツト８に連結したアツパーチユー
ブ７を回動自在に貫通し、端部にステアリングホ
イール９が固着され、また、ステアリングシヤフ
ト２の下部は、固定ブラケツト６と連結されたロ
アチユーブ４を回動自在に貫通し、エンジンルー
ムの壁などの車体５を貫通し、前輪の操縦装置と
連結される。そして、図示は省略したが、固定ブ
ラケツト６と可動ブラケツト８間には、ステアリ
ングホイール９を上方へ回動付勢（図中矢示Ｒ方
向）する跳ね上げスプリングが弾装される一方、
可動ブラケツト８の回動角度を所望に設定するた
めのチルトレバー１１が設けられている。チルト
レバー１１を操作することにより、可動ブラケツ
ト８はチルトヒンジ１０を中心として回動する。

ところで、上記チルトヒンジ１０の構造を第６
図に基づき説明すると、可動ブラケツト８の透孔
１６にブツシユ１８を貫通させ、そのブツシユ１
８は溶接部１３により可動ブラケツト８に固着さ
れる。ブツシユ１８の軸孔２０は固定ブラケツト
６に突設して回動軸とする為の、ボルト１２の回
動孔を構成する。ボルト１２にはカラー１５が遊
嵌されており、カラー１５は軸孔２０に遊嵌され
ている。カラー１５の両端部は固定ブラケツト６
及びワツシヤ１７に圧接可能であり、ボルト１２
に螺合するナツト１４で締付けられる。そのた
め、ナツト１４を締めてカラー１５をワツシヤ１
７と固定ブラケツト６とに圧接させ締付固定して
おくと、可動ブラケツト８はカラー１５に遊嵌す
るブツシユ１８を介して回動自在となる。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、前記の如き従来のチルトヒンジ
構造によると、ボルト１２とカラー１５との間に
はクリアランスＣが形成されているので、ステア
リングホイール９を所望の最適ドライビンブポジ
シヨンに設定し固定した状態で、ステアリングホ
イール９に半径方向の過大な力が加えられると、
カラー１５が回転し若しくはずれ動く、すなわち
ステアリングホイールがガタつくことがあり、ス
テアリングホイール９を把持した手応えに微妙な
危惧感を伴うので、快適な操縦性が損なわれない
ではなかつた。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は上記の問題を解決するため、前記の如
きチルト式ステアリングコラム装置１のチルトヒ
ンジ１０の改良を図らんとするもので、その構成
はステアリングホイールを支架する可動ブラケツ
トが、車体に固定された固定ブラケツトに、回動
孔及び該回動孔に挿入する回動軸並びに該回動軸
を貫通するカラーを有するチルトヒンジを介し、
揺動可能に軸支されてなるチルト式ステアリング
コラム装置において、前記カラーの軸方向端面
に、少なくとも固定ブラケツトに喰込可能な突起
部を突出形成してなるチルト式ステアリングコラ
ム装置のチルトヒンジ構造である。

［作用］ 本考案の上記構成によると、回動軸を締付けて
固定ブラケツトと可動ブラケツトとを枢着したと
き、カラーが固定ブラケツトの側面及び可動ブラ
ケツトの外側で回動軸に嵌合するワツシヤに押圧
されてこれらに喰込む。したがつて、カラーは回
転することもなく、ガタつくことがない。

［実施例］ 以下に本考案を図示の実施例に基づき説明す
る。

第１図は前記第６図と対応する断面図、第２図
及び第３図はカラーの２例を示すそれぞれ斜視
図、第４図Ａ，Ｂはカラーの他の例を示す端面図
及びＡ−Ａ断面図である。

第１図に示したように、可動ブラケツト８の回
動孔１６にブツシユ１８を貫通させ、そのブツシ
ユ１８は溶接部１３により可動ブラケツト８に固
着される。ブツシユ１８にはカラー１５を嵌合
し、このカラー１５には固定ブラケツト６の内側
からボルト１２が挿入され、このボルト１２の外
端にはワツシヤ１７及びナツト１４が嵌合され、
ナツト１４を締付けてカラー１５の軸方向両端面
をワツシヤ１７と固定ブラケツト６にそれぞれ圧
接させる。カラー１５はその軸方向両端面に適数
間隔で適数個の突起部１９が突出形成されてい
て、その突起部１９が固定ブラケツト６とワツシ
ヤ１７の圧接面にそれぞれ喰込んでカラー１５は
回転したりズレたりすることなく固定される。

突起部１９の態様としては、第２図から第４図
に示した構造のいずれでもよく、また必要に応じ
て図示以外の適当な構造を採用できる。

第２図に示したカラー１５は、その両端面に略
円錐形状の突起部１９を端面の周方向へ一定間隔
で突出形成してなるものである。

第３図に示したカラー１５は、三角形断面の突
起部１９を半径方向へかつ周方向へ所定の間隔で
突出形成したものである。

第４図に示したカラー１５は、三角形断面の突
起部１９を周方向へ不連続に突出形成したもので
ある。突起部１９，１９間には必ず分断部２１が
形成され、この分断部２１によつてカラー１５全
体の回り止めがなされる。

なお、上記実施例では突起部１９はカラー１５
の軸方向両端面に２〜４個の突出部を形成するこ
とにより構成したが、端面の全面を粗面として形
成する場合も同じ効果が得られる。

［考案の効果］ 以上説明した本考案によれば、チルトヒンジを
構成するカラーの軸方向端面に、少なくとも固定
ブラケツトに喰込可能な突起部を突設したから、
可動ブラケツトの回動時にカラーが回転し又はず
れ動くことがない。したがつて、ステアリングホ
イールはガタつくことなくして快適な操縦性を提
供できる。また、カラーはボルトの締付トルクが
低くても強固に固定ブラケツトに固定されるの
で、カラーを締付けるボルトの締付トルクの減少
を図れ、その結果ボルトのサイズも小さくでき、
コンパクト化できる、等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は要部断面図、第２図及び第３図はカラ
ーの斜視図、第４図Ａ，Ｂはカラーの他の例を示
す端面図及びＡ−Ａ断面図、第５図は従来例の側
面図、第６図は第５図Ｂ−Ｂ断面図である。 １……チルト式ステアリング装置、５……車
体、６……固定ブラケツト、８……可動ブラケツ
ト、９……ステアリングホイール、１０……チル
トヒンジ、１２……ボルト、１４……ナツト、１
５……カラー、１６……回動孔、１７……ワツシ
ヤ、１８……ブツシユ、１９……突起部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ステアリングホイールを支架する可動ブラケツ
   トが、車体に固定された固定ブラケツトに、回動
   孔及び該回動孔に挿入する回動軸並びに該回動軸
   を貫通するカラーを有するチルトヒンジを介し、
   揺動可能に軸支されてなるチルト式ステアリング
   コラム装置において、前記カラーの軸方向端面
   に、少なくとも固定ブラケツトに喰込可能な突起
   部を突出形成してなることを特徴とするチルト式
   ステアリングコラム装置のチルトヒンジ構造。