JPH04327987A - 昇華型転写記録用受像体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は昇華性染料を表面に含む
染料転写体から加熱により前記昇華性染料が昇華移行し
て画像を形成する昇華型転写記録用受像体に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】昇華型転写記録方式は、昇華温度及び色
相の異なる複数種類の昇華性染料を加熱温度を変えるこ
となどによって、階調再現性に富むカラー記録が可能で
ある。テレビ画面の静止画像やコンピュータグラフィッ
ク画面の画像等のハードコピーでは、多色階調再現に対
するニーズが強く、これに対しては転写速度が高速で、
装置が小型でしかも安価なこの方式は極めて好適である
。特に、階調性豊かなこの方式は、今後次々と用途が広
がり、産業用は勿論、家庭用としても情報媒体や装飾品
として多大な利用が見込まれている。

【０００３】従来、昇華型転写記録に用いられる受像体
は、基材の表面に昇華性染料が染着可能な合成樹脂を主
成分とする受像層を設けて構成される。この基材には、
プラスチックフィルムや、パルプ紙上にバリア層を処理
したコート紙、或いはパルプ紙とプラスチックフィルム
を貼合わせたものなどが使用されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、プラスチック
フィルムを基材とした受像体は、■高価で、■転写時に
プラスチックフィルムが熱収縮して転写画像の表面が凹
凸になり易く、■転写時の熱によってカールを生じ易く
、■プラスチック独特の物性のため肌触りが悪く少し曲
げただけで折れ目が残ることがあり、■表面が硬いこと
などにより樹脂溶液を塗布しにくく、塗工筋跡が残るこ
とがあり、■静電気を生じてほこりが付着し易いなどの
不具合があった。

【０００５】また、パルプ紙とプラスチックフィルムを
貼合わせて基材とした受像体は、前記■と■は改善され
るものの、更に高価になり、貼合わせた部分に気泡が生
じたり、貼合わせたために表面が凹凸になったりするな
どの問題点があった。

【０００６】更に、パルプ紙上にバリア層を処理したコ
ート紙を基材とした受像体は、■基材が熱伝導性に劣り
、転写記録画像の濃度が比較的低く、■バリア層に用い
た樹脂その他の材料が染着した昇華性染料の色相などに
経時的変化をもたらし、■バリア層と受像層との相溶性
が良くない場合には、受像層表面が乱れたり転写記録画
像が白化し易い欠点があった。

【０００７】本発明の目的は、転写時に熱収縮せず転写
画像の表面が凹凸にならず、高濃度で耐光堅牢度に優れ
、しかも高解像度で保存安定性の良い画像を形成し得る
昇華型感熱転写記録用受像体を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、基材と、この基材の表面に昇華性染料染
着性樹脂を含む樹脂溶液を塗布して形成された受像層と
からなり、昇華性染料を表面に含む染料転写体から加熱
により前記昇華性染料が昇華移行して画像を形成する昇
華型転写記録用受像体において、前記基材がパルプ紙で
あって、前記樹脂溶液が前記基材内部に浸透して前記受
像層の一部又は全部が前記基材の表面から基材の内部に
かけて形成されたことを特徴とする。

【０００９】以下、本発明を詳述する。本発明の昇華型
転写記録用受像体は基材と受像層とにより構成される。 基材には、化学パルプ、天然パルプ、又はそれらの原料
を混合した混合パルプのいずれかにより作られるパルプ
紙が用いられる。特に、化学パルプを７０〜１００重量
％を含むパルプ紙が好ましい。化学パルプを主成分とす
ると、リグニン、ピッチ、炭水化物の分解生成物等の着
色物質及び紫外線を吸収する物質がすべて除去されるた
め、極めて光沢のある高い白色度を有するようになる。 この表面白度はＬ値で少なくとも８０以上であることが
好ましい。

【００１０】この化学パルプを構成するセルロース繊維
は繊維径が０．５〜９μｍの範囲にある繊維密度が均一
な極細繊維が好ましい。繊維径が９μｍを越えると、転
写画像が荒れてインクの転写不良が起き易くなる。また
パルプ紙は比重が０．８〜１．２であって、表面平滑性
がベック平滑度１００秒以上であることが好ましい。こ
のためにはパルプ紙をロール温度１３０〜１８０℃、圧
力１００〜２５０ｋｇ／ｃｍ２の条件でカレンダロール
によりプレスするとよい。このプレス加工は後述する受
像層を形成するための樹脂溶液を塗工した後に行うこと
が好ましい。本発明のパルプ紙は用途に応じて厚さ３０
μｍ〜５００μｍ程度の範囲のものから選ばれる。

【００１１】本発明の受像層は、上記基材の表面に昇華
性染料染着性樹脂を含む樹脂溶液を塗布して形成される
。この昇華性染料染着性樹脂としては、昇華性染料と親
和性があり、軟化温度が１２５℃以上の合成樹脂が選ば
れる。例示すれば、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリアミ
ド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられる。 上記合成樹脂は単独又は２種以上を併せて用いることが
できる。樹脂溶液はこの昇華性染料染着性樹脂を主成分
とし、種々の機能性添加剤とともに水又は溶剤に溶解又
は分散させて得られる。この機能性添加剤としては、樹
脂溶液の調製段階では流動性促進剤、増粘剤、分散剤、
消泡剤などが挙げられ、樹脂溶液の塗布段階では受像層
を基材に密着させるための接着性付与剤、昇華性染料染
着性樹脂の硬度又は軟化温度を上げるための架橋剤又は
硬化剤、表面硬化皮膜形成剤、表面離型剤、表面滑剤、
記録画像濃度を上げるための染料染着性向上剤、増白剤
（白色顔料、蛍光増白染料など）、光による黄変や染着
染料の退色を防止するための紫外線吸収剤、光安定剤、
酸化防止剤などが挙げられ、必要に応じて適量を添加す
ることによりそれぞれ効果を奏する。

【００１２】本発明の昇華型転写記録用受像体は、上述
した樹脂溶液が基材内部に浸透して受像層の一部又は全
部が基材の表面から基材の内部にかけて形成されたこと
を特徴としている。基材と受像層とが基材表面を境にし
て分れていないことが従来の昇華型転写記録用受像体と
大きく異なる点である。受像層の一部又は全部を基材の
内部に形成させるためには、受像層を形成するための樹
脂溶液の一部又は全部を基材内部に含浸させることが必
要である。そのための方法としては、グラビアコータ、
リバースコータなどの塗工機により樹脂溶液を基材表面
に塗工する方法、スプレーなどの噴射機により樹脂溶液
を噴射する方法、樹脂溶液中に基材を一定時間浸漬して
おく方法などが挙げられる。これらの方法では樹脂溶液
の粘度により含浸する量をおおよそ制御することができ
る。

【００１３】またその他の方法として、受像層を基材表
面に形成させた後、加熱、加圧を行ったり、水又は溶剤
を塗布したり、水又は溶剤の中に浸漬したりする方法も
挙げられる。更に、前述したように後処理として受像層
表面に熱ロール処理などを行うことにより表面を平滑に
仕上げることができ、より高品質の記録画像が得られる
。

【００１４】更に本発明の昇華型転写記録用受像体は、
基材の裏面から前記基材の内部にかけて保護層を形成し
てもよい。この保護層は、前記受像層の形成前、或いは
形成後に形成される。いずれの順序で保護層を形成する
にしても受像体の昇華性染料が昇華移行して画像を形成
する基材の面には受像層が形成され、その背後に保護層
が形成される。受像層の形成前に保護層を形成するとき
には、保護層用樹脂溶液を基材裏面に塗布するか、又は
基材を保護層用樹脂溶液に浸漬する。受像層の形成後に
保護層を形成するときには、保護層用樹脂溶液を基材裏
面に塗布するか、又は基材の裏面だけを保護層用樹脂溶
液に接触させる。

【００１５】

【作用】このようにして得られた昇華型転写記録用受像
体に昇華性染料を表面に含む染料転写体を重合わせて加
熱により昇華性染料を受像体に昇華移行させると、受像
体はパルプ紙からなるため、熱による収縮、カール等が
起こらず平滑な画像が得られる。また従来の紙基材の受
像体と異なり、昇華性染料染着性樹脂を主成分とする受
像層が基材内部に浸透しているために、転写熱がパルプ
繊維を通じて逃げることが少なく熱伝導性が良好で、高
濃度の記録画像が得られ、記録画像も基材内部に浸透し
、その摩擦堅牢度及び耐光堅牢度が格段に向上する。 更に、保護層を設ければ、この保護層が昇華移行してき
た染料の拡散を阻止し、昇華性染料がパルプ繊維の隙間
を通り抜けて基材の裏面に滲み出たり、パルプ繊維中で
拡散して経時的に濃度が低下させたり記録画像自体を変
質させたりすることがなく、高解像度の記録画像が得ら
れる。

【００１６】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の受像体によ
れば、基材がパルプ紙からなるため、転写時に熱収縮せ
ず転写画像の表面が凹凸にならない。また受像層が基材
内部に形成されるため、パルプ紙を用いてもポリプロビ
レン系やポリエステル系合成紙を基材とした受像体以上
に、転写記録時の熱伝導性及び昇華性染料の定着性が良
好になり、高濃度で耐光堅牢度に優れた画像が得られる
。特に、基材の裏面から基材の内部にかけて保護層を設
ければ、高解像度で保存安定性の良い画像を形成させる
ことができる。

【００１７】

【実施例】次に本発明の実施例を説明する。 ＜実施例＞先ず繊維径が０．５〜９μｍの範囲にあるセ
ルロース繊維からなる化学パルプ７０重量％の厚さ１４
０μｍの上質ケント紙を基材として選び、このケント紙
の表面に以下に示す受像層用樹脂溶液をリバースコータ
で１０ｇ／ｍ２（乾燥時）の割合で塗工した。 　　＜受像層用樹脂溶液＞ 　　　　・飽和ポリエステル樹脂（ユニチカ（株）製、
ＵＥ−３２００）　　　　　２０ｇ　　　　・シリコー
ン界面活性剤（信越化学工業（株）製、ＫＦ−３６１Ａ
）　　　１ｇ　　　　・シリコーン樹脂粉末　　（信越
化学工業（株）製、Ｘ−５２−５９０）　　１ｇ　　　
　・紫外線吸収剤　　　（チバガイギ（株）製、チヌビ
ン６２２ＬＤ）　　　　０．５ｇ　　　　・トルエン　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　４０ｇ　　　　
・メチルエチルケトン　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　４０ｇ上記樹
脂塗料を塗工後、カレンダロールによりロール温度１３
０℃、圧力２００ｋｇ／ｃｍ２でプレスして受像層を得
た。

【００１８】次に受像層が形成された面と反対側の上記
ケント紙の裏面に以下に示す保護層用樹脂溶液をグラビ
アコータで２０ｇ／ｍ２（乾燥時）の割合で塗工し、１
ｋＷの水銀灯で１０秒間照射して保護層を得た。 　　＜保護層用樹脂溶液＞ 　　　　・光硬化型アクリル酸エステル　　　　　　　
　　　　（東亜合成工業（株）製、アロニックスＭ−５
８００）　　　　　５０ｇ　　　　・光重合開始剤　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　１ｇ　　　　・酢酸エ
チル　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　４０ｇ

【００
１９】＜比較例１＞基材として、化学パルプ７０重量％
からなる厚さ１６０μｍのパルプ紙の表面にアクリル系
樹脂を５μｍ厚でコートしたコート紙を選び、このコー
ト紙の表面に上記実施例と同一の受像層用樹脂溶液をリ
バースコータで１５ｇ／ｍ２（乾燥時）の割合で塗工し
、実施例と同様にプレスして受像体を得た。 ＜比較例２＞基材として、化学パルプ７０重量％からな
る厚さ１６０μｍのパルプ紙の表面にポリエチレン樹脂
を５μｍ厚でコートしたコート紙を選び、このコート紙
の表面に上記実施例と同一の受像層用樹脂溶液をリバー
スコータで１５ｇ／ｍ２（乾燥時）の割合で塗工し、実
施例と同様にプレスして受像体を得た。

【００２０】＜比較例３＞基材として、厚さ１５０μｍ
のポリプロピレン系合成紙を選び、この合成紙の表面に
上記実施例と同一の受像層用樹脂溶液をリバースコータ
で１５ｇ／ｍ２（乾燥時）の割合で塗工し、実施例と同
様にプレスして受像体を得た。 ＜比較例４＞基材として、厚さ１５０μｍのポリエステ
ル系合成紙を選び、この合成紙の表面に上記実施例と同
一の受像層用樹脂溶液をリバースコータで１５ｇ／ｍ２
（乾燥時）の割合で塗工し、実施例と同様にプレスして
受像体を得た。

【００２１】更に厚さ６μｍのポリエステルフィルムの
片面に以下に示す組成の転写層用インクを塗工して、１
ｇ／ｍ２の転写層を設けた転写体を得た。 ・昇華性分散染料　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　５ｇ・エチルセルロース　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　８ｇ・トルエン　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
１０ｍＬ

【００２２】＜比較試験と評価＞得られた転写
体を用いて実施例の受像体と比較例１〜４の受像体に対
してそれぞれ同一の画像を記録した。即ち、転写体の転
写層と受像体の受像層とが接するように重ね合わせた後
、これらを画像情報に応じた電気信号により制御されて
発熱するサーマルヘッドを備えた転写装置（日立製作所
（株）製、ＶＹ−５０）に装填した。転写体の背面側か
らＶＹ−５０の標準モードの転写条件でコンピュータグ
ラフィックによる同一のカラーパターンを転写記録画像
モデルとして転写した。

【００２３】以上の条件で画像が転写された実施例及び
比較例１〜４の受像体のカールの程度を目視により調べ
た。またこれらの画像濃度を反射濃度計（マクベス社製
、ＲＤ−９１４）により測定した。次いで実施例及び比
較例１〜４の受像体について、カーボンアークによる照
射試験を８３℃、６０時間行い、転写記録画像の滲みの
程度を目視により調べた。またこれらの変退色を色差計
（マクベス社製、Ｍ−２０２０Ｓ）により測定した。そ
の結果を表１に示す。

【００２４】

【表１】

【００２５】表１より、実施例の受像体は比較例１〜４
の受像体と比べてカールの程度が低く、その転写記録画
像は耐光堅牢度に優れていた。また比較例３及び４は画
像濃度について実施例とほぼ同等であったが、変退色に
ついては実施例より劣っていた。比較例１及び２は画像
濃度及び変退色とも実施例より劣り、画像に滲みが現れ
た。これらのことから、実施例の受像体は比較例と比べ
て低コストにもかかわらず、高品質であることが判明し
た。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　基材と、この基材の表面に昇華性染料
   染着性樹脂を含む樹脂溶液を塗布して形成された受像層
   とからなり、昇華性染料を表面に含む染料転写体から加
   熱により前記昇華性染料が昇華移行して画像を形成する
   昇華型転写記録用受像体において、前記基材がパルプ紙
   であって、前記樹脂溶液が前記基材内部に浸透して前記
   受像層の一部又は全部が前記基材の表面から基材の内部
   にかけて形成されたことを特徴とする昇華型転写記録用
   受像体。
2. 【請求項２】　　基材の裏面から前記基材の内部にかけ
   て昇華性染料難染着性樹脂を主成分とした保護層が形成
   された請求項１記載の昇華型転写記録用受像体。
3. 【請求項３】　　パルプ紙は化学パルプ、天然パルプ、
   又はそれらの原料を混合した混合パルプのいずれかによ
   り作られた請求項１記載の昇華型転写記録用受像体。
4. 【請求項４】　　パルプ紙は化学パルプ７０〜１００重
   量％の繊維径０．５〜９μｍのセルロース繊維からなる
   請求項３記載の昇華型転写記録用受像体。