JPH0432501Y2 - - Google Patents

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JPH0432501Y2
JPH0432501Y2 JP4250586U JP4250586U JPH0432501Y2 JP H0432501 Y2 JPH0432501 Y2 JP H0432501Y2 JP 4250586 U JP4250586 U JP 4250586U JP 4250586 U JP4250586 U JP 4250586U JP H0432501 Y2 JPH0432501 Y2 JP H0432501Y2
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piston
oil passage
valve
control oil
clutch
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は油圧クラツチにおいてピストンを係合
開始点に位置決めするための開閉弁の改良に関す
るものである。
従来技術 駆動側回転体および従動側回転体を互いに摩擦
係合させるために移動させられる移動部材と、こ
の移動部材を直接的に駆動するためにシリンダボ
ア内に摺動可能に嵌合されたピストンとを備え、
そのシリンダボア内の圧力室に油圧を作用させて
前記ピストンに移動部材を駆動させることにより
前記駆動側回転体および従動側回転体を互いに係
合させる形式の油圧クラツチが知られている。例
えば、実開昭60−79024号後方に記載されたクラ
ツチにおいては、摩擦部材の摩耗にしたがつてク
ラツチの係合開始点が移動することが避けられな
いため、クラツチを係合させるまでに必要な作動
油量が徐々に増大して応答性が低下する。このた
め、車両の発進時や変速機のシフト時においてク
ラツチを円滑に係合制御することが困難であつ
た。
これに対し、前記圧力室とドレンへ連通する排
出油路とを接続する制御油路をピストンに形成
し、常時この制御油路を閉じるが、前記ピストン
が前記移動部材に対して予め定められた一定の位
置まで接近させられたとき、ピストンと移動部材
との相対位置に関連して該制御油路を開く開閉弁
を制御油路に設け、以て、開閉弁によつて前記制
御油路が開かれることにより、摩擦材の摩耗に拘
わらず前記ピストンを係合開始点に位置させるよ
うにした油圧クラツチが考えられる。このような
形式の油圧クラツチは、通常、開閉弁が、前記ピ
ストンの圧力室側に形成され且つ前記制御油路の
一端が底面に開口する凹陥穴と、この凹陥穴内に
遊嵌されたフランジ部と前記移動部材に係合する
軸部とを一体的に有し、前記ピストンが移動部材
に対して予め定められた一定の位置まで接近させ
られたときフランジ部が前記凹陥穴の底面から離
隔される弁子とを含んで構成される。
考案が解決すべき問題点 しかしながら、斯る形式の油圧クラツチにおい
ては、弁子のフランジ部がピストンに形成された
凹陥穴内に遊嵌されているため、前記開閉弁が開
かれたときには圧力室内の作動油がフランジ部外
周面と凹陥穴内周面との隙間を通つて制御油路へ
排出される。このため、ピストンの係合開始点に
おける位置決め精度が充分に得られなかつた。す
なわち、フランジ部外周面と凹陥穴内周面との相
対位置が変化すると、圧力室内の作動油が凹陥穴
の底面に開口する制御油路へ到達するまでの経路
が変化するので、弁子の移動量に対する流通抵抗
の変化、すなわち開閉弁の特性が一定とならない
こと、弁子の軸部とこれが摺動可能に嵌合された
ピストンとのこじれ、およびフランジ部と凹陥穴
内周面とのこじれが遠心力にしたがつて大きくな
り弁子が円滑に摺動しないことなどにより、開閉
弁の開閉特性が不安定となり、これがピストンの
係合開始点における位置決め精度をばらつかせる
のである。特に、弁子のフランジ部と軸部とが偏
心している場合には遠心力にともなつて回転モー
メントが発生するので上記不都合が顕著となる。
問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景として為されたもの
であり、その要旨とするところは、駆動側回転体
および従動側回転体を互いに摩擦係合させるため
に移動させられる移動部材と、この移動部材を直
接的に駆動するためにシリンダボア内に摺動可能
に嵌合され、そのシリンダボア内の圧力室の油圧
が作用させられることにより前進するピストン
と、このピストンに形成され、前記圧力室とドレ
ンへ連通する排出油路とを接続する制御油路と、
この制御油路に設けられ、常時その制御油路を閉
じるが、前記ピストンが前記移動部材に対して予
め定められた一定の位置まで接近させられたと
き、ピストンと移動部材との相対位置に関連して
制御油路を開く開閉弁とを備え、この開閉弁によ
つて前記制御油路が開かれることにより、前記ピ
ストンが係合開始点に位置させられるとともに、
前記開閉弁が、前記ピストンの圧力室側に形成さ
れ、前記制御油路の一端が底面に開口する凹陥穴
と、この凹陥穴内に遊嵌されたフランジ部と前記
移動部材に係合する軸部とを一体的に有し、前記
ピストンが前記移動部材に対して予め定められた
一定の位置まで接近させられたときにその移動部
材によつて押し戻されてフランジ部が前記凹陥穴
の底面から離隔させられる弁子とを含む形式の油
圧クラツチにおいて、前記圧力室内の作動油が前
記凹陥穴の底面に開口する前記制御油路へ流入す
るための流入油路を形成する切欠または穴を、前
記フランジ部または該フランジ部が遊嵌された凹
陥穴の周縁部に設けたことにある。
作用および考案の効果 このようにすれば、前記弁子のフランジ部また
はフランジ部が遊嵌された凹陥穴の周縁部に、前
記圧力室内の作動油が凹陥穴の底面に開口する制
御油路へ流入するための流入油路を形成する切欠
または穴が設けられるので、フランジ部の外周面
と凹陥穴の内周面との間には作動油を流通させる
隙間を形成するために遊嵌状態とする必要がな
く、フランジ部と凹陥穴とを殆ど隙間がないよう
に嵌合することができる。このため、フランジ部
の外周面と凹陥穴の内周面との間の隙間に起因す
るフランジ部と凹陥穴との相対位置の変動、遠心
力に基づく弁子の軸部とこれが摺動可能に嵌合さ
れたピストンとのこじれ、およびフランジ部と凹
陥穴内周面とのこじれが解消されるので、ピスト
ンが移動部材に対して予め定められた一定の位置
に接近させられたときに作動する開閉弁の特性が
安定する。したがつて、ピストンの係合開始点に
おけるばらつきが大幅に解消されるのである。
実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。
第1図において、車両のエンジン10の動力は
クラツチ装置12、図示しない有段変速機および
差動歯車装置などを経て駆動輪へ伝達されるよう
になつている。上記有段変速機は、たとえば特願
昭60−254353号に記載のものと同様である。
クラツチ装置12は、エンジン10のクランク
軸に連結される入力軸16と有段変速機の入力軸
に連結される出力軸18とを備えており、その入
力軸16と出力軸18との間に、エンジン10か
ら有段変速機に向かう方向にのみ動力を伝達する
一方向クラツチ20を有する動力伝達曜の第1ク
ラツチ22と入力軸16と出力軸18との間を直
接的に連結するエンジンブレーキ用の第2クラツ
チ24とを並列的に備えている。この第1クラツ
チ22が本実施例の油圧クラツチに相当する。
入力軸16には第1クラツチ22、第2クラツ
チ24、および出力軸18の軸端を収容するクラ
ツチケース26が固定されている。このクラツチ
ケース26は、互いに一体的に結合された構成部
材26a,26b,26c,26d,26e,2
6fから成り、本実施例では後述の摩擦プレート
40、押圧プレート42、ピストン46,50な
どと共に駆動側回転体を構成している。出力軸1
8とクラツチケース26とは相対回転可能に設け
られており、その出力軸18には第2ダンパ28
を介して第2ロータ30を支持する第2ハブ32
がスプライン嵌合されている。また、第2ハブ3
2の外周面には一方向クラツチ20を介して第1
ハブ34が相対回転可能に設けられており、この
第1ハブ34により第1ロータ38が第1ダンパ
36を介して支持されている。前記クラツチケー
ス26内には、第1ロータ38および第2ロータ
30の間に位置する環状の摩擦プレート40が固
設されるとともに、その摩擦プレート40との間
で第1ロータ38を挟圧するための押圧プレート
42が軸方向に移動可能に設けられている。上記
第1ロータ38及び第2ロータ30は本実施例で
は従動側回転体として機能するものであり、摩擦
材を備えている。また、押圧プレート42は本実
施例では駆動側回転体および従動側回転体を互い
に摩擦係合させるために移動させられる移動部材
として機能する。
クラツチケース26内の出力軸18側部分の内
周面にはシリンダボア45が形成されており、そ
のシリンダボア45には、後述の第1制御弁78
から油路44を通して供給される作動油圧が作用
させられることにより軸方向へ移動する環状の第
1ピストン46が摺動可能に嵌合され、上記押圧
プレート42はこの第1ピストン46によつて直
接的に駆動されるようになつている。同様に、ク
ラツチケース26内のエンジン10側部分に形成
されたシリンダボア47には、他の油路48を通
して供給される作動油圧が作用させられることに
より軸方向へ移動する環状の第2ピストン50が
摺動可能に嵌合されており、この第2ピストン5
0と摩擦プレート40との間で前記第2ロータ3
0が挟圧されるようになつている。なお、52は
ベアリング、53はオイルシール、54は第1ピ
ストン46を付勢する第1リターンスプリング、
55は第2ピストン50を付勢する第2リターン
スプリングである。
第1ピストン46には、前記シリンダボア45
内に形成された圧力室56とドレン58へ連通す
る排出油路60とを接続する制御油路62が形成
されている。また、この制御油路62には、常時
制御油路62を閉じるが、第1ピストン46が押
圧プレート42に対して予め定められた一定の位
置へ接近させられたとき、この第1ピストン46
と押圧プレート42との相対位置に関連して制御
油路62を開く開閉弁64が設けられている。す
なわち、第1ピストン46の受圧面、換言すれば
圧力室56に対向する面には、凹陥穴、すなわち
比較的浅い円穴66が形成されており、この円穴
66の底面には制御油路62が開口させられると
ともに、第1ピストン46を貫通する貫通穴68
が開口させられている。この貫通穴68には、弁
子70の軸部72が軸方向の移動可能かつ液密に
嵌合させられている。弁子70は円穴66内に遊
嵌される円板状のフランジ部74を備えており、
このフランジ部74が制御油路62の開口を塞い
だ状態では軸部72が第1ピストン46の入力軸
16側端部よりも僅かな寸法C、たとえば0.5mm
程度突き出すように形成されている。このため、
第1ピストン46が押圧プレート42に対して接
近させられると、押圧プレート42に接触する軸
部72を介して弁子70が板ばね76の付勢力に
抗して押し戻されるので、フランジ部74が制御
油路62の開口を0.5mm程度開く。したがつて、
本実施例では、上記弁子70とこれが嵌め入れら
れた円穴66および貫通穴68が開閉弁64を構
成する。なお、前記クラツチケース26には、前
記第1ロータ38および第2ロータ30を収容す
る空間を大気圧に近い低圧(1.3Kg/cm2程度)と
するための図示しない連通孔が形成されている。
第1制御弁78は、3位置電磁切換弁であつ
て、コントローラ80からの電気信号にしたがつ
て油圧ポンプ82からの作動油を前記油路44へ
供給する供給位置と、油路44内の作動油をドレ
ン58へ排出する排出位置と、油路44を遮断す
る中立位置とへ択一的に位置させられる。油路4
4内の圧力は圧力センサ86によつて検出される
ようになつており、検出された圧力を表す信号は
コントローラ80へ供給される。第2制御弁84
は、2位置電磁切替弁であつて、コントローラ8
0からの電気信号にしたがつて排出油路60を閉
じる遮断位置と、排出油路60をドレン58へ連
通させる排出位置とへ択一的に位置させられる。
コントローラ80は、所謂マイクロコンピユー
タであつて、予め求められた関係から図示しない
シフトレバーの操作位置、有段変速機の実際のギ
ヤ段、スロツトル弁開度、車速などに基づいて図
示しないシフトアクチユエータにより有段変速機
のギヤ段のシフトを実行させるとともに、このシ
フトと関連して、或いは車両の発進状態に関連し
て第1クラツチ22を係合制御する。また、予め
求められた関係から車速、スロツトル弁開度、有
段変速機の実際のギヤ段などに基づいてエンジン
ブレーキを作用させるための第2クラツチ24を
係合制御する。
第1クラツチ22をトルク伝達状態(係合状
態)に維持させる場合には、コントローラ80に
より第1制御弁78が供給位置に位置決めされ且
つ第2制御弁84が遮断位置に位置決めされる。
これにより、第1ピストン46が入力軸16側へ
駆動されて押圧プレート42と摩擦プレート40
との間に第1ロータ38が挟圧される。これによ
りエンジン10の動力が、入力軸16、クラツチ
ケース26、摩擦プレート40および押圧プレー
ト42、第1ロータ38、第1ダンパ36、第1
ハブ34、一方向クラツチ20、および第2ハブ
32を介して出力軸18へ伝達される。この状態
では、圧力センサ86によつて圧力室56の油圧
が検出され、その油圧が予め定められた一定の圧
力を上回るとコントローラ80により第1制御弁
78が中立位置に戻される。しかし、下回ると圧
力室56内の油圧が上記一定の圧力を上回るまで
第1制御弁78が供給位置に位置させられる。
第1クラツチ22の係合を解く場合には、通常
は、コントローラ80により第2制御弁84が遮
断位置に維持されたまま第1制御弁78が排出位
置に位置決めされる。これにより、圧力室56内
の作動油が油路44および第1制御弁78を通し
てドレン58へ排出されるので、第1ピストン4
6が第1リターンスプリング54によつて戻さ
れ、動力伝達が遮断される。なお、第1クラツチ
22の開放を急速に実行する必要があるときは、
第2制御弁84も同時に排出位置に位置させられ
る。また、第1クラツチ22の開放を緩慢に実行
した後直ちに係合させる必要があるときは、第1
制御弁78を供給位置に位置させたまま第2制御
弁84のみが排出位置に位置させられる。
そして、以上のように第1クラツチ22が解放
させられた後には、その係合に先立つてコントロ
ーラ80により第1制御弁78が供給位置に、ま
た第2制御弁84が排出位置に維持される。これ
により、第1ピストン46が第1ロータ38など
の摩耗に拘わらず好適な係合開始点に待機させら
れる。すなわち、第1図に示す状態において、第
1制御弁78を介して圧力室56内に作動油圧が
供給されると、第1ピストン46にその作動油圧
が作用させられるので、第1ピストン46と弁子
70の軸部72とが共に前進させられるととも
に、第1ピストン46から寸法Cだけ突き出した
軸部72が押圧プレート42を第1ロータ38に
当接するまで移動させる。したがつて、このとき
の第1ピストン46と押圧プレート42との間の
間隙の寸法はCに相当し、押圧プレート42と第
1ロータ38との間の間隙が解消されている。押
圧プレート42の移動が停止した後、第1ピスト
ン46のみが作動油圧の作用により寸法χ分だけ
前進し、第1ピストン46と押圧プレート42の
間の間隙の寸法は第2図に示すようにC−χとな
り、第1ロータ38は板ばね76の付勢力により
押圧されている。このとき、第1ピストン46と
軸部72のフランジ部74との間に寸法χの間隙
が生じ、フランジ部74により制御油路62が開
かれるので、圧力室56内の作動油が制御油路6
2、排出油路60、第2制御弁84を通してドレ
ン58へ逃がされて第1ピストン46の前進が停
止させられるのである。すなわち、第1ピストン
46が押圧プレート42に対して予め定められた
一定の位置(略係合開始点)に接近させられたと
き開閉弁64が開かれるのである。この係合開始
点に位置する状態では、押圧プレート42は板ば
ね76の比較的小さい付勢力を受けて第1ロータ
38と略接触する位置まで移動させられるので、
第1ピストン46が更に前進させられると直ちに
第1クラツチ22が係合させられ得る。
このように、第1ピストン46が摩擦部材、す
なわち第1ロータ38などの摩耗状態に拘わら
ず、直ちに係合を開始できる係合開始点に常時位
置させられる結果、前記のように、コントローラ
80により第1制御弁78が遮断位置に位置決め
されると、圧力室56内の油圧上昇とともに第1
ピストン46が前進するので、速やかに第1ロー
タ38と押圧プレート42および摩擦プレート4
0とが摩擦係合を開始して動力伝達が開始され
る。したがつて、第1ロータ38などの摩耗状態
に拘わらず、第1クラツチ22の応答時間が短く
且つ一定となり、第1クラツチ22の係合制御特
性のばらつきが解消されるので、車両の発進時や
変速機のシフト時においてクラツチを円滑に係合
させ得、車両のギクシヤクした発進が解消される
とともに、的確なシフト感覚が得られるのであ
る。しかも、複雑な学習制御を要しないので、制
御装置が簡単且つ安価となるのである。
ここで、第3図および第4図に示すように、弁
子70のフランジ部74には、圧力室56内の作
動油の流通路を形成する流通孔90が形成されて
いる。この流通孔90はフランジ部74の外周部
において円周方向に等間隔に4個形成されてい
る。このため、第2図に示すように、円穴66の
円周面とフランジ部74の外周面との間の間隙は
弁子70の摺動が阻害されない範囲で可及的に小
さくされている。このため、円穴66とフランジ
部74との相対移動が極めて小さくされるので、
圧力室56から制御油路62へ流入する作動油の
流通路の変化、遠心力に基づく弁子70の軸部7
2とこれが摺動可能に嵌合された第1ピストン4
6の貫通穴68とのこじれ、およびフランジ部7
4と円穴66内周面とのこじれが解消される。し
たがつて、第1ピストン46が移動部材である押
圧プレート42に対して予め定められた一定の位
置に接近させられたときに作動する開閉弁64の
特性が安定し、第1ピストン46の係合開始点に
おけるばらつきが大幅に解消されるのである。
因に、従来の油圧クラツチにおいては、たとえ
ば第5図に示すように円穴66の外径d1はフラン
ジ部74の外径d2よりも充分小さくされて円穴6
6の内周面とフランジ部74の外周面との間に、
第6図の破線に示すように作動油を流通させる流
通路を形成するための比較的大きな間隙が形成さ
れていた。このため、円穴66とフランジ部74
との相対移動が互いに当接するまで所定の範囲で
可能であるため、たとえば第7図と第8図とに示
す位置ではそれぞれ破線にて示すように制御油路
62内へ流入する作動油の流通経路が異なつて流
通抵抗が変化し、これに起因して弁子70の移動
量に対する圧力室56内の調圧効果が変化するの
で、開閉弁64の弁特性が不安定となつて第1ピ
ストン46の係合開始点の位置精度がばらつく欠
点があつた。また、フランジ部74の偏心位置に
軸部72が形成されているため、遠心力F1の作
用によつて第8図に示す弁子70の回転モーメン
トM1が次式(1)に示されるように発生し、フラン
ジ部74と第1ピストン46との間に働く力は次
式(2)となる。このフランジ部74と第1ピストン
46との間の摩擦係数をμとすると相互の摺動抵
抗R0は次式(3)となる。この摺動抵抗R0が M1=r1F1sinθ ……(1) M1=r2F2 ……(2) R0=μ(r1/r1)F1sinθ ……(3) 板ばね76の付勢力よりも大きくなると相互にこ
じれて弁子70の作動不良が発生し易くなる。こ
れを防止するために板ばね76の付勢力を大きく
することが考えられるが、そのようにすると第1
クラツチ22の引きずりトルクが大きくなつてニ
ユートラル状態での車両の前進およびエンジン停
止を招くおそれがあつたのである。また、軸部7
2とフランジ部74との重量のアンバランスによ
つて第6図に示すモーメントM2が発生し、これ
に起因して軸部72の各ランドにおいてF3乃至
F6の力が発生し、これらの力と摩擦係数μによ
り摩擦力R1が次式(4)の如く発生する。これによ
り軸部72と貫通穴68とのこじれが発生するの
で、弁子70の作動不良の一因となつていたので
ある。
R1=μ(F3+F4+F5+F6) ……(4) 次に、考案の他の実施例を説明する。なお、以
下の実施例において前述の実施例と共通する部分
には同一の符号を付して説明を省略する。
第9図に示すように、フランジ部74の外周縁
の一部を除去することにより作動油の流通路を形
成する切欠92を周方向に等間隔に4個形成した
り、第9図、第10図、および第11図に示すよ
うに、フランジ部74を嵌め入れる円穴66の周
縁の一部を除去することにより作動油の流通路を
周方向に等間隔に4個形成する切欠94を形成し
てもよいのである。このようにしても、フランジ
部74の外周面と円穴66の内周面との間に作動
油を流通させるための間隙を設ける必要がなく、
それらの嵌合を弁子70の摺動が阻害されない範
囲で可及的に小さくされるので、前述の実施例と
同様の効果が得られる。
以上、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
したが、本考案はその他の態様においても適用さ
れる。
たとえば、前述の実施例の第9図には、フラン
ジ部74に切欠92が形成され且つ円穴66の内
周縁に切欠94が形成されていたが、いずれか一
方でも一応の効果が得られるのである。
また、フランジ部74に流通孔90および切欠
92が形成され且つ円穴66の内周縁に切欠94
が形成されても差支えない。
また、流通孔90および切欠92、94の形状
および数は必要に応じて適宜選択され得る。
また、前記開閉弁64は第2クラツチ24にも
或いは第2クラツチ24のみに適用されても差支
えないし、他の油圧式単板クラツチにも適用され
得ることは言うまでもない。
また、前述の実施例では、開閉弁64が設けら
れた第1ピストン46が駆動側回転体に設けられ
ているが、従動側回転体に設けられても良い。た
とえば、第1図のクラツチ装置12を動力伝達方
向が逆の場合に適用しても差支えないのである。
また、前述の実施例では、弁子70の軸部72
はフランジ部74と一体に設けられているが、軸
部72はフランジ部74と別体であつても良く、
また押圧プレート42側に固定されてもよい。こ
の場合には、板ばね76が不要となるが、必要に
応じてフランジ部74とクラツチケース26との
間に圧縮スプリングが介挿される。
なお、上述したのはあくまでも本考案の一実施
例であり、本考案はその精神を逸脱しない範囲で
種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の一実施例のクラツチ装置を示
す断面図である。第2図は第1図のクラツチ装置
の第1ピストンが係合開始点に到達した状態にお
ける弁子を示す図である。第3図および第4図
は、第2図の弁子の正面図および側面図である。
第5図は従来の油圧クラツチにおける弁子の嵌合
状態を示す図であり、第6図は従来の油圧クラツ
チにおける第2図に相当する図である。第7図お
よび第8図は従来の油圧クラツチのフランジ部と
これを嵌め入れる円穴との相対移動状態をそれぞ
れ示す図である。第9図は本考案の他の実施例を
示す図である。第10図および第11図は本考案
の他の実施例における第1ピストンの正面図およ
び断面図である。 22……第1クラツチ(油圧クラツチ)、42
……押圧プレート(移動部材)、45……シリン
ダボア、46……第1ピストン(ピストン)、5
6……圧力室、58……ドレン、60……排出油
路、62……制御油路、64……開閉弁、66…
…円穴(凹陥穴)、90……流通孔(穴)、92,
94……切欠。

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 駆動側回転体および従動側回転体を互いに摩擦
    係合させるために移動させられる移動部材と、該
    移動部材を直接的に駆動するためにシリンダボア
    内に摺動可能に嵌合され、該シリンダボア内の圧
    力室の油圧が作用させられることにより前進する
    ピストンと、該ピストンに形成され、前記圧力室
    とドレンへ連通する排出油路とを接続する制御油
    路と、該制御油路に設けられ、常時該制御油路を
    閉じるが、前記ピストンが前記移動部材に対して
    予め定められた一定の位置まで接近させられたと
    き、該ピストンと該移動部材との相対位置に関連
    して該制御油路を開く開閉弁とを備え、該開閉弁
    によつて前記制御油路が開かれることにより、前
    記ピストンが係合開始点に位置させられるととも
    に、前記開閉弁が、前記ピストンの圧力室側に形
    成され、前記制御油路の一端が底面に開口する凹
    陥穴と、該凹陥穴内に遊嵌されたフランジ部と前
    記移動部材に係合する軸部とを一体的に有し、前
    記ピストンが前記移動部材に対して予め定められ
    た一定の位置まで接近させられたときに該移動部
    材によつて押し戻されて該フランジ部が前記凹陥
    穴の底部から離隔させられる弁子とを含む形式の
    油圧クラツチにおいて、 前記圧力室内の作動油が前記凹陥穴の底面に開
    口する前記制御油路へ流入するための流入油路を
    形成する切欠または穴を、前記フランジ部または
    該フランジ部が遊嵌された凹陥穴の周縁部に設け
    たことを特徴とする油圧クラツチ。
JP4250586U 1986-03-24 1986-03-24 Expired JPH0432501Y2 (ja)

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