JPH08312684A - 車輌用発進装置 - Google Patents

車輌用発進装置

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JPH08312684A
JPH08312684A JP7117549A JP11754995A JPH08312684A JP H08312684 A JPH08312684 A JP H08312684A JP 7117549 A JP7117549 A JP 7117549A JP 11754995 A JP11754995 A JP 11754995A JP H08312684 A JPH08312684 A JP H08312684A
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JP
Japan
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clutch
state
valve
transmission
torque
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Application number
JP7117549A
Other languages
English (en)
Inventor
Shuzo Moroto
脩三 諸戸
Masao Kawai
正夫 川合
Masakazu Kamiya
昌和 神谷
Hideki Ariga
秀喜 有賀
Mitsugi Yamashita
貢 山下
Shinichi Takagi
真一 高木
Toshihiro Shiimado
利博 椎窓
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Equos Research Co Ltd
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Equos Research Co Ltd
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Publication date
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構成により、エンジンアイドル状態で
引きずりトルクを作用するクリープを生じさせる。 【構成】 電子制御部U2 からのON又はOFF電気信
号により、バルブ51,50を切換え制御して、レリー
ズ油圧アクチュエータ41に所定油圧を供給又はドレー
ンする。増圧バルブ51の連通、減圧バルブ50の遮断
で、発進クラッチ11及び変速クラッチ12を解離して
切断状態とし、増圧バルブの遮断、減圧バルブの連通
で、両クラッチを接合して係合状態とし、そして両バル
ブを遮断して、発進クラッチ11を解離すると共に変速
クラッチ12を係合して、磁気カップリング10による
磁気的連係状態とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車輌に搭載
される発進装置に係り、詳しくはエンジン出力軸と変速
装置の入力軸の間に介装されて、発進時又は変速時等に
エンジンと変速装置との間のトルク伝達を制御する発進
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、内燃エンジンを搭載している自
動車にあっては、その出力特性に起因して変速装置が配
置されており、かつエンジン出力軸と変速装置の入力軸
との間には、車輪発進時及び変速時に機能するクラッチ
又はトルクコンバータ等の発進装置が介在されている。
【0003】従来、手動変速装置を搭載した車輌にあっ
ては、発進装置として乾式単板摩擦クラッチが用いられ
ており、該単板摩擦クラッチは、クラッチプレート、プ
レッシャ(押圧)プレート及びプレッシャ(押圧)スプ
リングを有しており、プレッシャスプリングにより、ク
ラッチプレートがフライホィール及びプレッシャプレー
トに挟圧されることにより、クラッチ係合状態(動力伝
達状態)になり、またフットペダルにてプレッシャスプ
リングの押圧力を解除することにより、クラッチ切断状
態(動力非伝達状態)になる。該クラッチの操作は、足
の踏み量を微妙に調整することにより、クラッチ切断位
置から、クラッチを滑動状態で接触して(いわゆる半ク
ラッチ状態)徐々に伝達トルクを高め、そして完全に係
合する状態にする面倒で熟練を要する操作を必要として
いる。
【0004】また、自動変速装置を搭載した車輌にあっ
ては、発進装置としてトルクコンバータが搭載されてお
り、該トルクコンバータは、自動的に車輌の負荷に応じ
て伝達するトルクが変更され、上述した面倒なクラッチ
操作等を必要としないが、エンジンからの出力が流体を
介して伝達されるので、伝達効率が上述したクラッチに
比して悪く、かつ常にオイルポンプを駆動する必要があ
り、この面からも効率が低下している。
【0005】一方、上述したクラッチは、車輌の通常走
行中、プレッシャスプリングにより係合しているので、
走行駆動力以外に動力を必要とせず、かつ発進時の半ク
ラッチ状態等の一部を除いて、スリップ状態とはならな
いので、伝達効率は高い。そこで、発進装置としての該
クラッチの効率の良さを維持しつつ、上記面倒なクラッ
チペダル操作を省いて、発進時及び変速時のクラッチ操
作を自動化するものが種々提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】該自動化したクラッチ
は、従来の乾式摩擦クラッチを用い、油圧制御により必
要時にクラッチの切断及び半クラッチ状態を現出するも
の、またパウダー式電磁クラッチを用い、電気制御によ
りクラッチを制御するもの等があるが、そのいずれのも
のも、発進時における半クラッチ状態を経由する滑らか
な係合作用を行うには充分ではない。
【0007】特に、自動変速機を備えた自動車にあって
は、発進装置としてトルクコンバータを用いる関係上、
エンジンアイドリング状態で車輌に僅かなトルク(引き
ずりトルク)が作用するいわゆるクリープを生じ、これ
により発進がスムーズになり、また車庫入れや低速走行
時、ブレーキのみにより操作可能となって操作の容易化
が図れるが、前述した従来の自動クラッチでは、クリー
プを生ずる低トルク容量状態のクラッチレリーズストロ
ークは極めて狭く、制御が困難であると共に、経年変化
等によりクラッチライニング又は電磁パウダーの摩擦係
数が変化して、所定性能を長期間維持することは困難で
あり、更にクラッチの断接を繰返すため、耐久性にも問
題を生じると共に高価で大型な部品を必要とする(例え
ば、オイルポンプ及びアキュムレータの容量が大きくな
る、極低速用センサが必要となる等)等の理由により、
前記クリープを現出することができない。このため、従
来の自動クラッチにあっては、発進時の作動遅れ等の不
具合を生じ易く、かつ上記自動変速機を備えた自動車に
慣れた運転者にとっては違和感を生じるものであった。
【0008】そこで、本発明は、簡単な構成により、上
記クリープを生じさせると共に、滑らかクラッチの接合
制御を可能とし、もって上述課題を解消した車輌用発進
装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述事情に鑑
みなされたものであって、エンジン出力軸(5)と変速
装置入力軸(2)との間にクラッチ手段(6)を介装
し、走行状況に応じて前記クラッチ手段を制御してなる
車輌用発進装置であって、前記クラッチ手段(6)は、
前記エンジン出力軸及び変速装置入力軸に対して回転自
在になっている中間部材(9)と、前記エンジン出力軸
(5)と前記中間部材(9)との間に介装され、これら
エンジン出力軸と中間部材との相対回転に基づく磁気的
抗力により前記中間部材に前記エンジン出力軸と同方向
のトルクを付与する磁気カップリング(10)と、前記
エンジン出力軸(5)と前記中間部材(9)との間に介
装され、これら出力軸及び中間部材との間でトルクの伝
達を断接する第1の摩擦クラッチ(11)と、前記変速
装置入力軸(2)と前記中間部材(9)との間に介装さ
れ、これら入力軸及び中間部材との間でトルクの伝達を
断接する第2の摩擦クラッチ(12)と、を備え、更
に、電子制御部(U2 )からの電気信号により制御され
るバルブ手段(51,50)を有し、該バルブ手段に基
づく油圧により、少なくとも、前記第1及び第2の摩擦
クラッチ(11)(12)を解離して前記クラッチ手段
(6)によるトルク伝達を切断する切断状態と、前記第
2の摩擦クラッチ(12)を接合すると共に第1の摩擦
クラッチ(11)を解離して前記磁気カップリング(1
0)に基づくトルクを前記変速装置入力軸に付与する磁
気的連係状態と、前記第1及び第2の摩擦クラッチ(1
1)(12)を接合してエンジン出力軸(5)のトルク
を変速装置入力軸(2)に伝達する係合状態と、になる
ように、前記第1及び第2の摩擦クラッチへの係合荷重
を制御する制御手段(U)、を備えてなることを特徴と
する。
【0010】望ましくは、前記第1及び第2の摩擦クラ
ッチ(11)(12)を接合方向に付勢する押圧スプリ
ング(26)と、該押圧スプリングに、その付勢力に抗
する方向の荷重を付与するレリーズ油圧アクチュエータ
(41)と、を備え、前記バルブ手段は、オイルポンプ
(53)に基づく油圧を前記レリーズ油圧アクチュエー
タ(41)の油圧室(46)に供給する油路(61,6
2)に介在して、前記電気信号に基づき制御される第1
のバルブ(51)と、前記レリーズ油圧アクチュエータ
(41)の油圧室(46)の油圧をドレーンする油路
(62,63)に介在し、前記電気信号に基づき制御さ
れる第2のバルブ(50)と、を備え、前記電気制御部
からのON又はOFF信号に基づく前記第1のバルブ
(51)及び第2のバルブ(52)の切換えにより、前
記切断状態、磁気的連係状態及び係合状態を生起せしめ
てなる。
【0011】また、前記バルブ手段(51,50)は、
前記レリーズ油圧アクチュエータ(41)の油圧室(4
6)に所定量のオイルを閉じ込めた状態で閉塞して、前
記クラッチ手段(6)を前記切断状態及び磁気的連係状
態に保持してなる。
【0012】更に、前記電気制御部(U2 )からのOF
F信号により、前記第1のバルブ(51)が閉塞すると
共に前記第2のバルブ(50)が開放して、前記係合状
態を現出してなる。
【0013】更に、前記制御手段は、前記電気信号に基
づく前記バルブ(51,52)の制御により、前記第2
の摩擦クラッチ(12)を接合すると共に第1の摩擦ク
ラッチ(11)を滑動状態にして前記エンジン出力軸
(5)のトルクを半クラッチ状態で前記変速装置入力軸
(2)に伝達する半クラッチ状態を生起せしめてなる。
【0014】
【作用】以上構成に基づき、電子制御部(U2 )からの
電気信号により、バルブ手段(51,52)が制御さ
れ、クラッチ手段(6)は、切断状態、磁気的連係状
態、係合状態に切換わる。
【0015】例えば、電気制御部からON又はOFF信
号が第1及び第2のバルブ(51)(50)に送られる
ことにより、第1のバルブ(51)が連通状態になると
共に第2のバルブ(50)が遮断され、これにより油圧
がレリーズ油圧アクチュエータ(41)の油圧室(4
6)に供給されて、第1及び第2の摩擦クラッチ(1
1)(12)が解離されるクラッチ切断状態となり、こ
の状態で第1のバルブ(51)が遮断されて油圧室(4
6)のオイルが閉じ込められて該クラッチ切断状態が保
持される(図5参照)。
【0016】また、電気制御部(U2 )からのON又は
OFF信号により、第1のバルブ(51)及び第2のバ
ルブ(50)が連通又は遮断されて、油圧アクチュエー
タ(41)の油圧が所定圧になった状態で前記両バルブ
が遮断されて、油圧室(46)のオイルを閉じ込め、こ
れにより、第1の摩擦クラッチ(11)を解離した状態
で第2の摩擦クラッチ(12)を接合して、磁気カップ
リング(10)に基づく引きずりトルクを変速装置入力
軸(2)に伝達する磁気的連係状態となる(図6参
照)。この状態では、車輌には上記引きずりトルクが作
用し、いわゆるクリープ状態となる。
【0017】更に、電機制御部(U2 )からのOFF信
号により、第1のバルブ(51)及び第2のバルブ(5
0)が連通状態となり、レリーズ油圧アクチュエータ
(41)の油圧室(46)の油圧がドレーンされ、押圧
スプリング(26)の押圧力により第1及び第2の摩擦
クラッチ(51)(50)が接合してクラッチ係合状態
となる(図7参照)。
【0018】そして、例えば、電子制御部からの電気信
号に基づき、油圧アクチュエータ(41)の油圧が所定
圧に調圧されると、第2の摩擦クラッチ(12)を接合
したままで、第1の摩擦クラッチ(11)が滑動状態に
なり、エンジントルクは、該第1の摩擦クラッチ(1
1)及び磁気カップリング(10)の滑動により変速装
置入力軸(2)に伝達される半クラッチ状態となる(図
8参照)。
【0019】なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照
するためのものであるが、本発明の構成を何等限定する
ものではない。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
磁気カップリング、第1及び第2の摩擦クラッチからな
る簡単な構成でありながら、電子制御部からの電気信号
により制御されるバルブ手段により、クラッチ手段を、
切断状態及び係合状態の外、磁気カップリングによる磁
気的連係状態とすることができ、かつ該磁気的連係状態
は、トルク容量が略々一定であるクラッチストロークの
所定範囲(フラット状態)で現出するので、容易かつ確
実にクリープ状態とすることが可能となり、これにより
発進時等の作動遅れがなく、かつ車庫入時等の操作が容
易であり、そして違和感の少ない発進装置を得ることが
できる。
【0021】また、電気制御部からのON又はOFF信
号により第1及び第2のバルブを切換え制御して、切断
状態及び係合状態の外、磁気的連係状態をも達成するの
で、面倒な制御を要することなく、確実に磁気的連係状
態を保持することができ、信頼性をも向上することがで
きる。
【0022】また、バルブ手段は、レリーズ油圧アクチ
ュエータの油圧室にオイルを閉じ込めることにより、ク
ラッチ手段を切断状態及び磁気的連係状態に保持できる
ので、油圧を無駄なく使うことができ、オイルポンプ駆
動のためのエネルギロスを少なくすることができる。
【0023】更に、車輌用発進装置は、通常走行状態で
あるクラッチ手段の係合状態が一番使用時間が長い、該
係合状態では、電気制御部がOFF信号となると共に、
レリーズ油圧アクチュエータの油圧室がドレーンされて
いるので、電気的ロスを減少すると共に、油圧を必要と
せずポンプロスをも減少することができる。
【0024】更に、クラッチ手段を半クラッチ状態に制
御することが可能であるので、滑らかな発進制御をも容
易かつ確実に行うことができる。
【0025】
【実施例】以下、図面に沿って、本発明の実施例につい
て説明する。
【0026】図1における符号1は、乗用車、トラック
等のあらゆる自動車に搭載可能な変速装置であって、平
行配置した2本の軸2,3を有しており、これら軸上に
複数個の常時噛合式シンクロ機構付の変速ギヤ4…が設
けられ、例えば前進5速、後進1速が得られる。更に、
該変速装置の入力軸2とエンジンクランク(出力)軸5
との間には本発明に係る発進装置を構成するクラッチ装
置(手段)6が介装されている。そして、該発進装置付
き変速装置1は、クラッチハウジング7a、ミッション
ケース7b及びエンドケース7cからなる一体ケース
(7)に収納されている。
【0027】クラッチ装置6は、図2に詳示するよう
に、エンジンクランク軸5に回転自在に支持された中間
部材9と、該中間部材9とエンジンクランク軸5との間
に並列的に介在する磁気カップリング10及び発進クラ
ッチ(第1の摩擦クラッチ)11と、中間部材9と前記
変速装置1の入力軸2との間に介在する変速クラッチ
(第2の摩擦クラッチ)12とを備えており、かつ前記
クラッチハウジング7a内に収納されている。
【0028】磁気カップリング10は、クランク軸5先
端部に固定されたフライホィール15と、該フライホィ
ール15にベアリング16にて回転自在に支持されて前
記中間部材9を構成するエンドプレート17とにそれぞ
れ配置された磁力部材19及び導電性部材20とから構
成されている。即ち、鋳鉄製の円板形状からなるフライ
ホィール15の後側面には周方向にN極とS極が交互に
配列されてなる多数の永久磁石19が固定されており、
また前記プレート17の前側面には円環状のアルミ板か
らなる導電性部材20が固定されている。これら永久磁
石19及び導電性部材20は対面して配置され、フライ
ホィール15と一体の永久磁石19が回転して、プレー
ト17に固定されたアルミ板20が上記永久磁石による
磁束を相対的に横切ることにより、アルミ板19に誘導
渦電流が発生し、該誘導電流と永久磁石との相互作用に
よってフライホィール15とエンドプレート17との間
に磁気的抗力を発生する。なお、永久磁石19としては
フェライト磁石が一般的であるが、耐熱性の高いサマリ
ウムコバルト磁石等を用いると好ましい。
【0029】また、中間部材9は、前述したエンドプレ
ート17の外径部分に環状プレート21及びクラッチカ
バー22等が一体に固定されてドラム状部材を構成して
おり、該ドラム状部材に中間プレート23及び圧力プレ
ート25が所定量軸方向に移動自在に連結されている。
更に、クラッチカバー22の先端部分にはダイヤフラム
スプリング26が支持されており、該スプリング26の
外周端は前記圧力プレート25に当接して、前記発進ク
ラッチ11及び変速クラッチ12に所定圧接力(係合
力)を付与している。
【0030】前記発進クラッチ11は、乾式単板摩擦ク
ラッチからなり、前記フライホィール15と共にエンジ
ンクランク軸5にボルトにて共締めされたハブ28に固
定されたクラッチディスク27を有しており、該クラッ
チディスク27の両側面には摩擦材29,29が固着さ
れている。そして、前記ディスク27はバネ綱よりな
り、所定量軸方向移動を許容し得るとと共に、前記摩擦
材29は前記中間部材9のエンドプレート17及び中間
プレート23に接触し得る。また、前記変速クラッチ1
2は、同様に乾式単板摩擦クラッチからなり、両側面に
摩擦材31,31が固着されているクラッチディスク3
0を有しており、該クラッチディスク30の基端は、ダ
ンパ32を介して、前記変速装置入力軸2の先端部にス
プライン嵌合しているボス部33に連結されている。な
お、該クラッチディスク30も所定量の軸方向移動が許
容されると共に、前記摩擦材31は前記圧力プレート2
5及び中間プレート23に接触し得る。
【0031】そして、クラッチハウジング7aの入力軸
支持部分7a′には鍔部材35が固定されており、該鍔
部材35にレリーズベアリング36が所定量軸方向移動
自在に支持されている。該ベアリングのインナレース3
6a前端面には前記ダイアフラムスプリング26の基端
部が当接しており、また該ベアリングのアウタレース3
6b後端面にはレリーズフォーク37の一端部が当接し
ている。更に、該フォーク37は、その中間部分をクラ
ッチハウジング7aの隔壁部に設けられた支点球体39
に支持され、かつその他端部はハウジング7aを突出し
て外部に延びている。なお、該フォーク37の突出部は
ハウジング7aとの間に設けられたレリーズフォークカ
バー40にて閉塞されている。
【0032】また、クラッチハウジング7aの外部一側
にはレリーズ油圧アクチュエータ41を構成するシリン
ダ42が固定されており、該シリンダ42にはピストン
43に固定されたピストンロッド43aがその開放側か
らロッドカバー45を介して突出しており、該ロッド4
3の先端は前記クラッチフォーク37の他端に当接して
いる。更に、シリンダ42の閉塞端とピストン43との
間により油圧室46が構成されており、該油圧室46に
は後述する油圧回路から所定油圧が供給又はドレーンさ
れると共に、円錐バネ47が縮設されている。
【0033】なお、板バネ等により支持されている中間
プレート23の抗力等により、変速クラッチ12は、発
進クラッチ11と比較して、常に押圧力が大きく作用す
るように設定されており、従ってダイヤフラム型の押圧
(プレッシャ)スプリング26に基づく圧力プレート2
5からの押圧力に対して、変速クラッチ12は比較的小
さな押圧力により接合し、かつ発進クラッチ11は比較
的大きな押圧力により滑動しそして接合するように、両
クラッチの係合特性が異なるように設定されている。
【0034】ついで、図3に沿って、本実施例の制御装
置(手段)について説明する。
【0035】制御装置Uは、ソレノイドバルブである減
圧(第2の)バルブ50及び増圧(第1の)バルブ51
からなるバルブ手段を有する油圧回路U1 と、これらバ
ルブに電気信号を発信する電子制御部(ECU)U2
からなる。更に、油圧回路U1 は、リザーバ52、電動
オイルポンプ53、該ポンプを挟んで設けられた2個の
逆止弁55,56、リリーフバルブ57、圧力スイッチ
59及びアキュムレータ60を備えており、オイルポン
プ53からの高圧油路61が前記増圧バルブ51及び油
路62を介して前記油圧アクチュエータ41の油圧室4
6に連通し、また該油圧室への油路62は分岐して、減
圧バルブ50及びドレーン油路63を介してリザーバ5
2に連通している。
【0036】また、変速装置1には、フライホィール1
5に近接してエンジンの回転数を検出するセンサ65、
所定ギヤに近接して車速を検出するセンサ66、変速シ
フタの位置によりシフトポジションを検出するセンサ6
7、クラッチフォーク37の位置によりクラッチストロ
ークを検出するセンサ69が設置されており、これら各
センサからの信号は、電子制御部U2 に入力されてい
る。更に、該電子制御部U2 には、前記圧力スイッチ5
9、アクセルペダル71の位置からアクセル開度を検知
するセンサ72、ブレーキペダル73の操作、非操作を
検知するスイッチ75、シフト操作レバー76に設けら
れたシフト操作スイッチ77、サイドブレーキ79の操
作を検知するスイッチ80等からの各信号が入力してい
る。また、該電子制御部U2 は、前記減圧バルブ50及
び増圧バルブ51のソレノイド及びオイルポンプ53の
電動モータに所定信号を出力する。
【0037】ついで、図4ないし図9に沿って、本実施
例の作用について説明する。
【0038】電気制御部U2 からの駆動指令に基づき、
電気オイルポンプ53が駆動され、比較的高い油圧がア
キュムレータ60に蓄えられる。そして、該アキュムレ
ータ60の油圧が所定圧に達すると、圧力スイッチ59
からの信号に基づき電気オイルポンプ53の駆動が停止
される。更に、後述するバルブ手段の切換えにより、ア
キュムレータ60の油圧が消費され、所定圧以下になる
と、圧力スイッチ59からの信号に基づき再び電気オイ
ルポンプ53が駆動される。即ち、電気オイルポンプ5
3は、間歇的に駆動されて、その消費電力が少ないと共
に、アキュムレータ60からのオイル(油圧)の消費も
少なく(後述)、電気オイルポンプ53の駆動時間は更
に減少される。
【0039】クラッチ装置6を切断する場合、シフトレ
バー76の操作時又はブレーキペダル73を踏むことに
より、電子制御部U2 にシフト操作信号(77)又はブ
レーキ信号(75)が入力すると、該電子制御部U2
ら増圧バルブ51及び減圧バルブ50にON(通電)信
号が出力する(図4参照)。すると、該増圧バルブ51
は、スプリング51aに抗してプラグ51bが移動して
両油路61,62を連通すると共に、減圧バルブ50
は、スプリング50aに抗してプラグ50bが移動して
閉塞状態になる。従って、アキュムレータ60からの油
圧が、油路61、連通位置の増圧バルブ51及び油路6
2を介してレリーズ油圧アクチュエータ41の油圧室4
6に供給される。これにより、図5に示すように、該ア
クチュエータ41のピストンロッド43aが伸長し、レ
リーズフォーク37を揺動して、レリーズベアリング3
6を介してダイヤフラムスプリング26の基端部を図中
右方向に移動する。そしてこの状態、即ちクラッチスト
ロークセンサ69からの信号がクラッチ切断位置を検知
することに基づき、増圧バルブ51にOFF信号が出力
されて(図4参照)、該バルブ51も閉塞状態となり、
油圧アクチュエータ41は、油圧室46に油圧が閉じ込
められた状態に保持される。
【0040】この状態では、ダイヤフラムスプリング2
6による押圧荷重は解放され、変速クラッチ12及び発
進クラッチ11が共に切断される。従って、図5(a) 及
び(c) に示すように、エンジンクランク軸5の回転は、
磁気カップリング10により中間部材9に伝達される
が、変速クラッチ12が切断されているため、該中間部
材9は発進クラッチ11と共に空転するだけで、変速装
置入力軸2には何等トルクが伝達されることはない。即
ち、図5(b) に示すように、本実施例によるクラッチ
(実線A参照)にあっては、従来のクラッチ(鎖線B参
照)に比して、磁気カップリング10に基づく部分レリ
ーズストロークが延びており、かつ該クラッチ切断状態
にあっては、上記延びた部分よりも更にストロークした
部分E(点部分)に位置する。
【0041】磁気カップリング10による引きずりトル
ク(クリープ)を発生する磁気的連係状態の場合、例え
ばシフトレバー76を1速又は2速状態にする等により
上記切断状態から該磁気的連係状態にする場合、電子制
御部U2 から、増圧バルブ51にOFF信号を発信する
と共に減圧バルブ50にOFF信号を発信する(図4参
照)。反対に、クラッチが係合状態(半クラッチ状態)
側から該磁気的連係状態にする場合、電子制御部U2
ら、増圧バルブ51にON信号を発信すると共に減圧バ
ルブ50にON信号を発信する(図4参照)。この際、
センサ69に基づきクラッチ(レリーズ)ストロークを
監視することにより、図6(b) のF範囲になるように、
OFF、ON信号を発信して、レリーズ油圧アクチュエ
ータ41の油圧室46が所定範囲になるように制御さ
れ、そして該所定範囲Fにて、該油圧室46の所定圧
は、前記増圧バルブ51がOFF信号により遮断される
と共に前記減圧バルブ51がON信号により遮断される
ことにより閉じ込められ、油圧アクチュエータ41は保
持される。
【0042】この状態では、図6の(a) 及び(c) に示す
ように、油圧アクチュエータ41によりレリーズフォー
ク37に作用する荷重も中間状態となり、レリーズベア
リング36を介してダイヤフラムスプリング26による
作用荷重を所定量減じ、これにより変速クラッチ12を
接合するが、発進クラッチ11を解放状態に保持する。
従って、変速クラッチ11の接合により、変速装置入力
軸2と中間部材9とは一体回転状態になり、エンジンク
ランク軸5の回転トルクは、磁気カップリング10の磁
気抗力により中間部材9に伝達され、該トルクは前記変
速クラッチ11により変速装置入力軸2に伝達される。
この状態は、図6(b) に示すように、本実施例のトルク
線図Aにおける水平部分Fとなり、該磁気カップリング
10の磁気抗力によるトルク部分Fは、エンジンアイド
ルトルクDと略々一致していると共に、所定範囲の(ク
ラッチ)レリーズストロークに対して略々一定に維持さ
れる。従って、前述した増圧バルブ51及び減圧バルブ
50によるレリーズ油圧アクチュエータ41の油圧が少
々変化しても、該磁気的連係状態は保持され、かつ該状
態にあっては、車輌は、変速装置1の前進シフト位置又
は後進シフト位置に基づく所定の引きずりトルクによ
り、前進方向又は後進方向に車輌を付勢するクリープ状
態となっている。なお、油圧の洩れ等により、レリーズ
ストロークが前記範囲Fから外れそうになると、センサ
69によるクラッチ(レリーズ)ストロークの監視に基
づき、増圧バルブ51に瞬間的なON信号が発信され
て、油圧アクチュエータ41の油圧室46の油圧は、再
び所定範囲Fの上限値近傍まで高められる。
【0043】クラッチ装置6を係合する場合、変速装置
1を前進1速ないし5速位置及び後進位置として、シフ
トスイッチ77をOFFすると共にアクセルペダル71
を踏んでアクセル開度(72)が所定値以上になると、
電子制御部U2 から、増圧バルブ51及び減圧バルブ5
0の両方にOFF信号が発進される(図4参照)。する
と、増圧バルブ51は、プラグ51bがスプリング51
aにより閉塞された状態のままで、減圧バルブ50は、
スプリング50aによりプラグ50bが開放されたドレ
ーン状態になり、レリーズ油圧アクチュエータ41の油
圧室46の油圧は、油路62、減圧バルブ50及びドレ
ーン油路63を介してリザーバ52に排出される。従っ
て、レリーズ油圧アクチュエータ41によるシフトフォ
ーク37への押圧力は最低となり、レリーズベアリング
36を介してのダイヤフラムスプリング26のレリーズ
力は解放される。
【0044】この状態では、図7の(a) 及び(c) に示す
ように、ダイヤフラムスプリング26による押圧プレー
ト25の押圧により、変速クラッチ12が接合すると共
に、発進クラッチ11が接合する。なおこの状態では、
発進クラッチ11の係合に基づき中間部材9のエンドプ
レート17とフライホィール15とが一体に回転するこ
とにより、磁気カップリング10を介してのトルク伝達
はない。従って、エンジンクランク軸5のトルクは、発
進クラッチ11のクラッチディスク27及び摩擦材29
を介して中間部材9に伝達され、更に変速クラッチ12
の摩擦材31、クラッチディスク30、ダンパ32及び
ハブ33を介して変速装置入力軸2に伝達される。この
際、図7(b) に示すように、レリーズストロークは、ク
ラッチトルク容量がエンジン最大トルクCより大きい範
囲G内にあり、エンジン出力は、両乾式摩擦クラッチ
(発進クラッチ、変速クラッチ)11,12を介して入
力軸2に完全に伝達される。
【0045】クラッチ装置を半クラッチ状態にする場
合、例えば車輌発進状態にあって、磁気的連係状態(即
ち切断側)から該半クラッチ状態にする場合、電子制御
部U2から、増圧バルブ51にOFF信号、減圧バルブ
50にOFF信号を発し(図4参照)、増圧バルブ51
は遮断状態のままで、減圧バルブ50は連通状態とな
り、従って油圧アクチュエータ41の油圧室46は、油
路63を介して所定量ドレーンされる。反対に、係合状
態側から該半クラッチ状態にする場合、電子制御部U2
から、増圧バルブ51にON信号、減圧バルブ50にO
N信号を出力し、減圧バルブ50を遮断した状態で、増
圧バルブ51を連通して、油路61からの油圧を油圧ア
クチュエータ41の油圧室46に所定量供給する。この
際、クラッチレリーズストロークセンサ69からの信号
を監視しつつ、レリーズストロークが、図8(b) におけ
る所定範囲H内の所定値になった時点で、電気制御部U
3 から、増圧バルブ51にOFF信号が、減圧バルブ5
0にON信号が出力されて、両バルブが遮断されて油圧
室46の油圧が閉じ込められ、油圧アクチュエータ41
は保持される。
【0046】この状態では、図8の(a) 及び(c) に示す
ように、油圧アクチュエータ41からレリーズフォーク
37に比較的小さい押圧力が作用し、従ってダイヤフラ
ムスプリング26へのレリーズ力も小さく、該スプリン
グ26は、押圧プレート25に比較的大きな荷重を作用
して、変速クラッチ12を接合すると共に、発進クラッ
チ11を滑動状態とする。すると、エンジン出力軸5の
トルクは、上記発進クラッチ11の滑動により所定トル
クが中間部材9に伝達されると共に、エンドプレート1
7とフライホィール15との上記滑動に基づく相対回転
により磁気カップリング10も所定トルクを伝達し、更
に中間部材9から変速クラッチ12を介して変速装置入
力軸2に伝達される。
【0047】なお実際には、微妙な位置調整を必要とす
る場合、例えば上記半クラッチ状態のような場合、増圧
バルブ51又は減圧バルブ50を、ON・OFFを一定
状態で繰返すデューティ制御にて制御して、行き過ぎ
(ハンチング)等の無駄なバルブ操作をなくして、滑ら
かで効率のよい制御を行なっている。また、通常、半ク
ラッチ状態は、発進時において磁気的連係状態の後に続
いて現出するので、増圧バルブ51をOFF信号により
閉塞したままで、減圧バルブ50をOFF,ONしなが
ら徐々にドレーンして、発進クラッチ11を、解離→滑
動→接合の順に制御する。これにより、クラッチ装置6
は、磁気的連係状態から半クラッチ状態を経由して係合
状態となる。
【0048】即ち、上述した本クラッチ装置6の油圧操
作は、クラッチ切断、磁気的連係及び半クラッチの各状
態では、油圧アクチュエータ41の油圧室46に所定油
圧が閉じ込められ、操作指令時のみの油圧(オイル)消
費で足り、かつ一番使用時間の長い通常走行時は、クラ
ッチ係合状態にあって、油圧室46はドレーン状態にあ
り、油圧消費はなく、これらが相俟って、アキュムレー
タ62からの油圧消費は少なくて足りる。
【0049】そして、上述したクラッチ装置6における
切断(図5)、磁気抗力(図6)、半クラッチ(図8)
及び係合(図7)の各制御は、図9に示す操作により行
なわれる。
【0050】即ち、エンジンの始動は、ブレーキペダル
73を踏む(スイッチ75;ON)、シフトレバー76
をニュートラルにする(ポジションセンサ67のニュー
トラル位置検知)、イグニッションスイッチをONす
る、ことにより行なわれる。この際、クラッチ装置6
は、それぞれ係合、切断、係合に制御される。更に、発
進準備に際しては、ブレーキペダル73を踏む、サイド
ブレーキ79を戻す(スイッチ80;OFF)、シフト
レバー76を1速、2速又は後進にする(ポジションセ
ンサ67の1速、2速又は後進位置検知)。この際、ク
ラッチ装置は、それぞれ係合、切断、磁気的連係に制御
される。
【0051】そして、この状態あっては、クラッチ装置
6は、磁気カップリング10により引きずりトルクが与
えられた状態(磁気的連係;図6参照)にあり、ブレー
キペダルを離すことにより、車輌は、シフト位置に基づ
き前進又は後進方向にクリープする。従って、車庫入れ
操作等にあっては、運転者はシフトレバーを後進位置に
して、ブレーキペダル73及びアクセルペダル71の両
方を離した状態で、クリープによりゆっくりと車輌を後
進しながら容易に行なうことができる。なおこの際も、
ブレーキペダル又はアクセルペダルを操作することによ
り、車輌速度は調整し得る。
【0052】また、上記クリープ状態において、アクセ
ルペダル71を踏むと、エンジントルクが上昇すると共
に、クラッチ装置6は前記半クラッチ状態(図8参照)
になり、その伝達トルクが徐々に増大し、そして発進ク
ラッチ11が完全に接合して係合状態となる。更に、前
進走行状態で変速するには、まずアクセルペダル71を
戻し(開度センサ72;所定値以下)、シフトレバー7
6を操作し(スイッチ77;ON)、そして再びアクセ
ルペダルを踏む。この際、クラッチ装置は、係合状態か
ら切断状態になり、この間にシフト操作が行なわれ、再
び係合される。
【0053】そして、通常、所定高速段(4速又は5
速)にて車輌は走行される。該車輌の通常走行中は、ク
ラッチ装置は係合状態にあり、この状態での使用時間が
1番長いが、この際、図4に示すように、減圧バルブ5
0及び増圧バルブ51への信号は共にOFF状態にあ
り、バルブ及び制御部への負担は少ない。更に、車輌を
減速するには、アクセルペダルを戻してエンジンブレー
キを作動し、そしてブレーキペダルを踏む。この際、ク
ラッチ装置は係合状態に保持される。
【0054】そして、ブレーキペダルを踏んで車輌が停
止状態になると、クラッチ装置は前述した磁気カップリ
ング10による磁気的連係状態となる。なお、変速装置
1が3速ないし5速状態にあっては、クラッチ装置は切
断される。また、駐車するには、シフトレバーを1速又
は後進にする、サイドブレーキ79を引く(スイッチ8
0;ON)、ブレーキペダル73を離す(スイッチ7
5;OFF)、そしてイグニッションスイッチをOFF
する。この際、クラッチ装置は、磁気的連係状態に保持
され、エンジン停止に伴い係合状態となる。
【0055】ついで、油圧回路を一部変形した実施例に
ついて説明する。なお、図3と同じ部品は、同一符号を
付して説明を省略する。
【0056】図10は第1の(増圧)バルブ51及び油
路を一部変更した実施例を示し、第1のバルブ51は、
ドレーン油路63のポートaと、高圧油路61のポート
bと、減圧バルブ50に連通する油路85のポートcと
を有しており、プラグ51bが前記ドレーンポートa及
びポンプポートbのいずれか一方を遮断するように切換
えられ、かつソレノイドOFF状態のノーマル時スプリ
ング51aによりドレーンポートaが閉塞するように付
勢されている。なお、該バルブ51は、ポンプポートb
及びドレーンポートaの両方を有しており、増圧専用で
はないので、第1のバルブと称し、また先の減圧バルブ
50も同様に第2のバルブと称する。
【0057】従って、図10(b) に示すように、変速時
等でクラッチ装置6を切断する場合、第1のバルブ51
は、電子制御部からのOFF信号によりプラグ51bが
ドレーンポートaを閉塞した状態にあり、かつ第2のバ
ルブ50は、電子制御部からのOFF信号により連通位
置にある。この状態では、ポンプ56からの油圧は、油
路61、第1のバルブ51のポートb及びc、油路8
5、第2のバルブ50及び油路62を介してレリーズ油
圧アクチュエータ41の油圧室に供給される。これによ
り、クラッチ装置は、図5に示したように、発進クラッ
チ10及び変速クラッチ12の両摩擦クラッチが切断し
た切断状態となる。
【0058】車輌の停止又はクリープ時等で、磁気的連
係状態とする場合、第2のバルブ50は、ON信号によ
り遮断位置に切換えられる。この際、第1のバルブ51
は、ON信号又はOFF信号により、油圧供給状態又は
ドレーン状態のいずれでもよい。この状態では、油圧ア
クチュエータ41の油圧室46の油圧が所定値に保持さ
れ、これによりクラッチ装置は、図6に示したように、
変速クラッチ12が係合して、磁気カップリング10に
よる引きずりトルクが伝達される磁気的連係状態とな
る。
【0059】車輌の走行時等で係合状態にする場合、第
1のバルブ51は、ON信号によりポンプポートbが閉
塞され、かつ第2のバルブ50は、OFF信号により連
通状態に切換わる。この状態では、油圧アクチュエータ
41の油圧は、油路62、第2のバルブ50、油路8
5、第1のバルブ51のポートc及びポートaを介して
ドレーン油路63からリザーバ52に排出されて、略々
零圧状態となる。従って、クラッチ装置は、図7に示し
たように、発進クラッチ11及び変速クラッチ12の両
摩擦クラッチが係合した接合状態となる。
【0060】図11に示す第1のバルブ51は、先の実
施例と同様に、ドレーンポートa、ポンプポートb及び
連通ポートcを有し、かつドレーンポートa又はポンプ
ポートbのいずれかを閉塞する双頭プラグ51bを有す
るが、ソレノイドが通電されないノーマル状態におい
て、ポンプポートbを閉塞している。また、連通ポート
cは、油圧アクチュエータ41からの油路62に分岐し
て接続している。更に、第1のバルブ51のドレーンポ
ートaからリザーバ52に油路86が連通されている
が、該油路86は絞り87が介在する等により、ドレー
ン流量が制限されている。
【0061】従って、図11(b) に示すように、クラッ
チ切断状態の場合、第1のバルブ51及び第2のバルブ
50の両方にON信号が送られ、第1のバルブ51は、
ドレーンポートaが閉塞されてポンプポートbと連通ポ
ートcが連通され、また第2のバルブ50は、遮断され
た状態にある。この状態では、ポンプ53からの高圧油
圧は、油路61、第1のバルブ51のポートb及びc、
油路62を介して油圧アクチュエータ41に供給され
る。
【0062】また、磁気的連係状態の場合、第2のバル
ブ50は、ON信号が保持されて遮断状態にあるが、第
1のバルブ51は、ONとOFFとの間で所定間隔で切
換えられる。この状態では、第1のバルブ51は、OF
F状態で油圧アクチュエータ41の油圧室46の油圧が
ポートc及びaを介してドレーン油路86から絞り状態
で排出され、該油圧室46の油圧を徐々に低下し、かつ
所定レリーズストローク値で、ONに切換えられてポン
プポートbからの油圧がポートcを介して油圧室46に
供給されて所定圧に高め、そして再びOFFになって、
絞り状態でドレーンし、これにより油圧室46の油圧
を、図6の(b) に示す磁気的連係の範囲Fにレリーズス
トロークを保つ。
【0063】クラッチ係合状態の場合、第1のバルブ5
1は、OFF信号によりポンプポートbを閉塞すると共
に連通ポートcをドレーンポートaに連通し、かつ第2
のバルブ50は、OFF信号により連通状態となる。こ
の状態では、油圧アクチュエータ41の油圧は、油路6
2、第2のバルブ50及びドレーン油路63を介してド
レーンされる。
【0064】図12に示す実施例は、図12に示すもの
と略々同様であるが、第1のバルブ51が、ソレノイド
非通電時のノーマル状態において、プラグ51bがポン
プポートbを閉塞して連通ポートcとドレーンポートa
を連通する点で相違している。
【0065】従って、クラッチ切断状態では、第1のバ
ルブ51は、ON信号によりドレーンポートaを閉塞す
ると共にポンプポートbを連通ポートcに連通し、また
クラッチ係合状態では、第1のバルブ51は、OFF信
号によりポンプポートbを閉塞すると共に連通ポートc
とドレーンポートaとを連通する。これにより、車輌走
行時(常時)、両バルブ51,50は共にOFF信号で
足りる。
【0066】図13に示す実施例は、図3に示したもの
と略々同様であるが、第1の(増圧)バルブ51が、ポ
ンプポートbと連通ポートcを有すると共に、ノーマル
時プラグ51bがポンプポートbを閉塞し、かつ連通ポ
ートcは油路62を介して油圧アクチュエータ41に連
通している。
【0067】従って、クラッチ切断時、第1のバルブ5
1は、ON信号によりポンプポートbが開放され、また
第2のバルブ50は、ON信号により閉塞されている。
この状態では、油路61からの油圧は、第1のバルブ5
1のポートb及びcそして油路62を介して油圧アクチ
ュエータ41に供給される。また、磁気的連係時には、
第1のバルブ51がOFFされてポンプポートbが閉塞
され、また第2のバルブ50はON信号により閉塞され
ている。この状態では、油圧アクチュエータ41の油圧
は、第1のバルブ51の閉塞により油圧が供給されず、
かつ第2のバルブ50の閉塞により油圧ドレーンが阻止
され、所定値に保持される。更に、クラッチ係合時、第
1のバルブ51は、OFF信号により閉塞され、また第
2のバルブ50は、OFF信号により開放され、従って
油圧アクチュエータ41の油圧は、油路62、第2のバ
ルブ50及びドレーン油路63を介して排出される。
【0068】図14は、第1のバルブ51のみで制御
し、第2のバルブを省略した実施例を示す。第1のバル
ブ51は、図11に示す実施例と同様に、ポンプポート
b、ドレーンポートa及び連通ポートcを有しており、
かつポンプポートb及びドレーンポートaのいずれか一
方を閉塞すると共にノーマル時ポンプポートbを閉塞す
るように構成されている。
【0069】従って、クラッチ切断時、バルブ51は、
ON信号によりドレーンポートaが閉塞されると共に、
ポンプポートbと連通ポートcを連通する。この状態で
は、油路61からの油圧は、ポートb,c及び油路62
を介して油圧アクチュエータ41に供給される。また、
磁気的連係時、バルブ51は、ONとOFFとの間で素
早く切換えられる。この状態では、油圧アクチュエータ
41の油圧は、連通ポートcとドレーンポートaとの連
通により所定値に低下し、かつ連通ポートcとポンプポ
ートbとの連通により所定値に上昇し、これが繰り返え
されて図6の範囲Fに示す磁気的連係状態に保持され
る。更に、クラッチ接合時、バルブ51は、OFF信号
によりポンプポートbが閉塞されると共に、連通ポート
cとドレーンポートaとを連通する。この状態では、油
圧アクチュエータ41の油圧は、油路62、バルブ51
のポートc及びaを介してドレーン油路に排出される。
【0070】なお、上述実施例は、本発進装置を、手動
変速装置に組合せたものについて説明したが、これに限
らず、無段変速装置、遊星ギヤ式自動変速装置、更に例
えば図1に示す手動変速装置のギヤを油圧制御により適
宜切換えて自動化した変速装置等の他の変速装置と組合
せて用いてもよいことは勿論である。
【0071】また、図10ないし図14に示す実施例に
おいて、半クラッチ状態は、第1のバルブ51及び/又
は第2のバルブ50に、所定ON又はOFF信号を発信
して、磁気的連係状態と同様に制御される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る発進装置を設けた変速装置を示す
全体断面図。
【図2】その発進装置を構成するクラッチ装置(手段)
を示す全体断面図。
【図3】本発明に係る発進装置の制御装置(手段)を示
す図。
【図4】そのバルブ手段への電気信号を示す作動図。
【図5】発進装置の切断状態を示す図で、(a) はクラッ
チ装置の断面図、(b) はレリーズストロークに対するト
ルク容量を示す図、(c) はその作動を示すブロック図。
【図6】発進装置の磁気的連係状態を示す図で、(a) は
クラッチ装置の断面図、(b) はレリーズストロークに対
するトルク容量を示す図、(c) はその作動を示すブロッ
ク図。
【図7】発進装置の係合状態を示す図で、(a) はクラッ
チ装置の断面図、(b) はレリーズストロークに対するト
ルク容量を示す図、(c) はその作動を示すブロック図。
【図8】発進装置の半クラッチ状態を示す図で、(a) は
クラッチ装置の断面図、(b) はレリーズストロークに対
するトルク容量を示す図、(c) はその作動を示すブロッ
ク図。
【図9】各運転状況における発進装置の作動状態を示
す。
【図10】一部変更した油圧制御装置を示す図で、(a)
は油圧回路、(b) は各バルブの作動を示す図。
【図11】一部変更した油圧制御装置を示す図で、(a)
は油圧回路、(b) は各バルブの作動を示す図。
【図12】一部変更した油圧制御装置を示す図で、(a)
は油圧回路、(b) は各バルブの作動を示す図。
【図13】一部変更した油圧制御装置を示す図で、(a)
は油圧回路、(b) は各バルブの作動を示す図。
【図14】一部変更した油圧制御装置を示す図で、(a)
は油圧回路、(b) は各バルブの作動を示す図。
【符号の説明】
1 (手動)変速装置 2 変速装置入力軸 5 エンジン出力軸 6 クラッチ手段 9 中間部材 10 磁気カップリング 11 第1の摩擦クラッチ(発進クラッチ) 12 第2の摩擦クラッチ(変速クラッチ) 26 押圧(ダイヤフラム)スプリング 41 レリーズ油圧アクチュエータ 46 油圧室 51 バルブ手段(第1の(増圧)バルブ) 50 バルブ手段(第2の(減圧)バルブ) 61,62 (供給側)油路 62,63 (ドレーン側)油路 U 制御手段 U1 油圧回路 U2 電気制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神谷 昌和 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 有賀 秀喜 東京都千代田区外神田2丁目19番12号 株 式会社エクォス・リサーチ内 (72)発明者 山下 貢 東京都千代田区外神田2丁目19番12号 株 式会社エクォス・リサーチ内 (72)発明者 高木 真一 東京都千代田区外神田2丁目19番12号 株 式会社エクォス・リサーチ内 (72)発明者 椎窓 利博 東京都千代田区外神田2丁目19番12号 株 式会社エクォス・リサーチ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン出力軸と変速装置入力軸との間
    にクラッチ手段を介装し、走行状況に応じて前記クラッ
    チ手段を制御してなる車輌用発進装置であって、 前記クラッチ手段は、 前記エンジン出力軸及び変速装置入力軸に対して回転自
    在になっている中間部材と、 前記エンジン出力軸と前記中間部材との間に介装され、
    これらエンジン出力軸と中間部材との相対回転に基づく
    磁気的抗力により前記中間部材に前記エンジン出力軸と
    同方向のトルクを付与する磁気カップリングと、 前記エンジン出力軸と前記中間部材との間に介装され、
    これら出力軸及び中間部材との間でトルクの伝達を断接
    する第1の摩擦クラッチと、 前記変速装置入力軸と前記中間部材との間に介装され、
    これら入力軸及び中間部材との間でトルクの伝達を断接
    する第2の摩擦クラッチと、を備え、 更に、電子制御部からの電気信号により制御されるバル
    ブ手段を有し、該バルブ手段に基づく油圧により、少な
    くとも、前記第1及び第2の摩擦クラッチを解離して前
    記クラッチ手段によるトルク伝達を切断する切断状態
    と、前記第2の摩擦クラッチを接合すると共に第1の摩
    擦クラッチを解離して前記磁気カップリングに基づくト
    ルクを前記変速装置入力軸に付与する磁気的連係状態
    と、前記第1及び第2の摩擦クラッチを接合してエンジ
    ン出力軸のトルクを変速装置入力軸に伝達する係合状態
    と、になるように、前記第1及び第2の摩擦クラッチへ
    の係合荷重を制御する制御手段、 を備えてなることを特徴とする車輌用発進装置。
  2. 【請求項2】 前記第1及び第2の摩擦クラッチを接合
    方向に付勢する押圧スプリングと、 該押圧スプリングに、その付勢力に抗する方向の荷重を
    付与するレリーズ油圧アクチュエータと、を備え、 前記バルブ手段は、 オイルポンプに基づく油圧を前記レリーズ油圧アクチュ
    エータの油圧室に供給する油路に介在して、前記電気信
    号に基づき制御される第1のバルブと、 前記レリーズ油圧アクチュエータの油圧室の油圧をドレ
    ーンする油路に介在して、前記電気信号に基づき制御さ
    れる第2のバルブと、を備え、 前記電気制御部からのON又はOFF信号に基づく前記
    第1のバルブ及び第2のバルブの切換えにより、前記切
    断状態、磁気的連係状態及び係合状態を生起せしめてな
    る、 請求項1記載の車輌用発進装置。
  3. 【請求項3】 前記バルブ手段は、前記レリーズ油圧ア
    クチュエータの油圧室に所定量のオイルを閉じ込めた状
    態で閉塞して、前記クラッチ手段を前記切断状態及び磁
    気的連係状態に保持してなる、 請求項1又は2記載の車輌用発進装置。
  4. 【請求項4】 前記電気制御部からのOFF信号によ
    り、前記第1のバルブが閉塞すると共に前記第2のバル
    ブが開放して、前記係合状態を現出してなる、 請求項2又は3記載の車輌用発進装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、前記電気信号に基づく
    前記バルブの制御により、前記第2の摩擦クラッチを接
    合すると共に第1の摩擦クラッチを滑動状態にして前記
    エンジン出力軸のトルクを半クラッチ状態で前記変速装
    置入力軸に伝達する半クラッチ状態を生起せしめてな
    る、 請求項1又は2記載の車輌用発進装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011064280A (ja) * 2009-09-17 2011-03-31 Toyota Motor Corp 摩擦係合機構の油圧制御装置
JP2012047202A (ja) * 2010-08-24 2012-03-08 Honda Motor Co Ltd 車両用駆動装置の油圧制御装置
JP2012047203A (ja) * 2010-08-24 2012-03-08 Honda Motor Co Ltd 車両用駆動装置の油圧制御装置
JP2017008997A (ja) * 2015-06-18 2017-01-12 本田技研工業株式会社 クラッチ制御油圧回路

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