JP2648873B2 - 自動二輪車のクラッチ操作装置 - Google Patents

自動二輪車のクラッチ操作装置

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JP2648873B2
JP2648873B2 JP63202387A JP20238788A JP2648873B2 JP 2648873 B2 JP2648873 B2 JP 2648873B2 JP 63202387 A JP63202387 A JP 63202387A JP 20238788 A JP20238788 A JP 20238788A JP 2648873 B2 JP2648873 B2 JP 2648873B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、発進時や変速時等におけるエンジンの減
速や増速に伴って、摩擦クラッチを自動的に断接動作さ
せるようにした自動二輪車のクラッチ操作装置に関す
る。
(従来の技術) 自動二輪車には、エンジンから変速装置への動力を断
接するために摩擦クラッチを備えたものが従来より多く
みられる。このような摩擦クラッチは、通常、弾性力で
接続動作し、また、上記弾性力に抗するクラッチレバー
の回動によりこの摩擦クラッチが切断動作するようにな
っている。
上記構成において、例えば、自動二輪車を発進させる
場合で、摩擦クラッチを切断状態から接続動作させよう
とするときには、クラッチレバーには、次のような操作
が要求される。
即ち、摩擦クラッチの切断状態からエンジンを徐々に
増速させる。そして、このとき、クラッチレバーを回動
させている操作力を徐々に減少させて摩擦クラッチの駆
動側と従動側とを徐々に摩擦接合させる。そして、この
際、いわゆる半クラッチの状態を経て自動二輪車を徐々
に発進させる。次に、上記クラッチレバーへの操作力を
更に減少させて摩擦クラッチを接続状態とし、これによ
って自動二輪車を発進させる。
(発明が解決しようとする問題点) ところで、上記のようなクラッチレバーの回動操作は
上記摩擦クラッチにおける弾性力を支えながら徐々に行
うものであり、この操作には比較的大きい力が要求され
る。また、上記半クラッチの状態を得るには、熟練され
た微妙な操作が必要である。このようなことから、摩擦
クラッチを接続動作させるためのクラッチレバーの操作
は煩雑なものとなっている。また、特に、市街地など
で、信号などにより走行と停止とを繰り返すような場合
には、上記操作の煩雑さは倍加することとなる。
(発明の目的) この発明は、上記のような事情に注目してなされたも
ので、摩擦クラッチを断接させるために行うクラッチレ
バーに対する操作が容易にできるようにすることを目的
とする。
(発明の構成) 上記目的を達成するためのこの発明の特徴とするとこ
ろは、エンジンに連動して圧油を吐出する油圧ポンプを
設け、エンジンの低速回転時における上記油圧ポンプか
らの圧油が摩擦クラッチを接続動作させようとする弾性
力に抗してこの摩擦クラッチを切断動作させ、かつ、エ
ンジンの回転の増加に伴って、上記圧油を減圧させるよ
うにした点にある。
(作 用) 上記構成による作用は次の如くである。
信号待ちで停車しているときなど、エンジン1が低速
回転であるときには、このエンジン1に連動する油圧ポ
ンプ27からの圧油が摩擦クラッチ9の駆動側ディスク10
と従動側ディスク11とをばね12の弾性力に抗して引き離
し、つまり、摩擦クラッチ9を自動的に切断状態に保つ
こととなる。従って、従来では、このような停車中には
エンジン1から変速装置7に動力が伝達されないよう
に、クラッチレバー23に操作力を与えて摩擦クラッチ9
を切断状態に保つ必要があったが、このような操作が不
要となる。
また、上記状態からエンジン1を増速すると、摩擦ク
ラッチ9を切断状態にしている圧油が減圧させられる。
このため、上記摩擦クラッチ9の駆動側ディスク10と従
動側ディスク11とがばね12の弾性力によって徐々に摩擦
接合し、これによって、自動二輪車の発進が可能とな
る。即ち、エンジン1を増速させれば摩擦クラッチ9が
自動的に接続動作することから、従来のようなクラッチ
レバー23に対する操作は不要となる。
(実施例) 以下、この発明の実施例を図面により説明する。
(第1実施例) 第1図から第3図は第1実施例を示している。
第1図において、1は自動二輪車に搭載されたエンジ
ンで、このエンジン1はクランク軸2、ピストン3、お
よび連接棒4を有し、上記クランク軸2には減速小歯車
6が取り付けられている。
7aは変速装置7の入力軸で、この入力軸7aには減速大
歯車8が遊転自在に支承され、この減速大歯車8は上記
減速小歯車6と噛み合っている。上記減速大歯車8から
入力軸7aへの動力伝達を断接する摩擦クラッチ9が設け
られる。この摩擦クラッチ9は湿式多板クラッチで、こ
の摩擦クラッチ9は減速大歯車8と共に回転する駆動側
ディスク10と、入力軸7aと共に回転する従動側ディスク
11とを有し、また、ばね12の弾性力により上記駆動側デ
ィスク10と従動側ディスク11とを押圧するプレッシャプ
レート13が設けられている。
そして、上記摩擦クラッチ9においては、常時、ばね
12の弾性力で駆動側ディスク10と従動側ディスク11とが
摩擦接合するよう付勢されており、この摩擦クラッチ9
が接続動作すれば、減速大歯車8から入力軸7aに動力が
伝達される。
上記変速装置7は、図示しないが歯車式のもので、こ
れは上記入力軸7aに伝達された動力を任意に変速して後
輪に伝達する。なお、この変速装置7を中立状態にした
ときには、上記したように摩擦クラッチ9が接続状態で
あっても、入力軸7aの動力が後輪に伝達されることはな
い。
上記摩擦クラッチ9を切断動作させるためのアクチュ
エータ15が設けられる。このアクチュエータ15は同軸上
に設けられた第1シリンダ16と第2シリンダ17とを有し
ている。この場合、第1シリンダ16や第2シリンダ17の
圧油室に圧油を供給すれば、第1シリンダ16と第2シリ
ンダ17にそれぞれ対応する第1ピストン18と第2ピスト
ン19とは共に図面に向って右方(以下、説明の便宜上、
これを単に右方といい、これと逆の方向を左方という)
に移動するようになっている。また、第1シリンダ16の
圧油室に圧油を供給したときには、第1ピストン18が第
2ピストン19を右方に向って押動するようこれら両者が
接合させられている。
上記第2ピストン19は連動軸20を介して前記プレッシ
ャプレート13に連結されている。そして、上記したよう
に第2ピストン19を右方に移動させると、この第2ピス
トン19が連動軸20を介しばね12の弾性力に抗してプレッ
シャプレート13を右方に押動するようになっており、こ
れにより摩擦クラッチ9の切断動作がなされる。
22は自動二輪車のハンドルで、このハンドル22の左側
にはクラッチレバー23が前後回動自在に枢支されてい
る。また、同上ハンドル22には上記クラッチレバー23に
連動する油圧式のマスタシリンダ24が設けられ、このマ
スタシリンダ24は前記第1シリンダ16の圧油室に手動用
クラッチ油路25により連結されている。
そして、上記クラッチレバー23に操作力を与えてこれ
を図中矢印で示すように後方回動させれば、これに連動
するマスタシリンダ24から手動用クラッチ油路25を介し
て第1シリンダ16に圧油が供給される。すると、この圧
油がばね12に抗して第1ピストン18を右方に押動し、更
に、この第1ピストン18が第2ピストン19と連動軸20を
介してプレッシャプレート13を押動し、つまり、摩擦ク
ラッチ9を切断動作させる。
前記エンジン1に連動する油圧ポンプ27が設けられ
る。即ち、この油圧ポンプ27は前記した減速大歯車8に
歯車手段28により連動連結されており、その吸入口はフ
ィルター29を介し油を溜めたクランクケース30内に通じ
ている。
32は圧力調整用のガバナ弁である。このガバナ弁32の
入口33には上記油圧ポンプ27の吐出口から延びるポンプ
圧油路34が連結され、このガバナ弁32に油圧ポンプ27か
ら圧油が送り込まれるようになっている。また、このガ
バナ弁32から上記圧油を排出させる出口35とドレン口36
とが設けられる。
上記ガバナ弁32の有するスプール37は、実線図示のよ
うにばね38の弾性力Aにより右方に押動されており、こ
の状態では、上記入口33が出口35に連通し、ドレン口36
は閉じられている。また、上記ドレン口36は前記クラン
クケース30内に連なっている。
一方、前記クランク軸2に連動して上記スプール37を
左方に押動する遠心式のガバナ39が設けられる。このガ
バナ39はエンジン1が低速であるときにはスプール37を
押動しないが、エンジン1が増速すれば、これに伴って
増大する第1ガバナ力Bで上記スプール37を左方に押動
する。そして、このガバナ39が上記スプール37を大きく
左方に押動したときには、このスプール37により入口33
が閉じられ、一方、出口35とドレン口36とが連通する。
上記スプール37はその左端部が径大部37a、右端部が
径小部37bとなっており、これら両者37a,37bの断面積の
差にガバナ弁32内のガバナ圧Pgを乗じた分の力(以下、
これを差圧力Cという)で、このスプール37が左方に押
動されている。つまり、上記スプール37は上記した弾性
力Aと、第1ガバナ力Bに差圧力Cを加えた合力Dとが
バランスするところまで移動するようになっている。
また、前記したようにスプール37が大きく左方に移動
する途中(仮想線図示)で、このスプール37が入口33と
ドレン口36のうちいずれか一方を閉じるときには、この
スプール37が上記のうち他方を開くよう構成されてい
る。
41は圧力調整用のクラッチ弁である。このクラッチ弁
41の第1入口42には前記ポンプ圧油路34が連結され、こ
のクラッチ弁41に油圧ポンプ27からの圧油が送り込まれ
るようになっている。また、このクラッチ弁41から上記
圧油を排出させる出口43とドレン口44とが設けられ、上
記出口43はクラッチ油路45により前記第2シリンダ17に
連結されている。
また、上記クラッチ弁14は第2入口47と第3入口48と
を有しており、上記第2入口47は連結油路49によりガバ
ナ弁32の出口35と連結され、また、上記第3入口48は前
記手動用クラッチ油路25に通じている。
上記クラッチ弁41のスプール50はその左端部が径大部
50a、右端部が径小部50bとなっており、これら両者50a,
50bの断面積の差にポンプ圧油路34のポンプ圧Ppを乗じ
た分の力(以下、これを差圧力Eという)で、このスプ
ール50が左方に押動される。一方、同上スプール50は、
上記第2入口47からのガバナ圧Pgによる第2ガバナ力F
と、手動用クラッチ油路25からのクラッチレバー圧Plに
よるクラッチレバー力Gとにより右方に押動される。つ
まり、上記スプール50は上記差圧力Eと、第2ガバナ力
Fにクラッチレバー力Gを加えた合力Hとがバランスす
るところまで移動するようになっている。
そして、実線図示のようにスプール50が右方に移動し
たときには、第1入口42が出口43に連通し、ドレン口44
は閉じられる。また、上記スプール50が左方に大きく移
動すれば、第1入口42が閉じられ、出口43とドレン口44
とが連通することとなる。また、上記したようにスプー
ル50が大きく左方に移動する途中(仮想線図示)で、こ
のスプール50が第1入口42とドレン口44のうちいずれか
一方を閉じるときには、このスプール50が上記のうちの
他方を開くよう構成されている。
52は圧力調整用のポンプ圧制御弁52である。このポン
プ圧制御弁52の入口53には前記ポンプ圧油路34が連結さ
れ、このポンプ圧制御弁52に油圧ポンプ27からの圧油が
送り込まれるようになっている。そして、この圧油によ
るポンプ押圧力Iでスプール54が右方に押動される。ま
た、上記スプール54はばね55の弾性力Jで左方に押動さ
れる。更に、前記クラッチ油路45がこのポンプ圧制御弁
52に連結されて、そのクラッチ油路45のクラッチ圧Pcに
よる押動力Kでスプール54が左方に押動される。つま
り、上記スプール54は上記ポンプ押圧力Iと、弾性力J
に押動力Kを加えた合力Lとがバランスするところまで
移動するようになっている。
そして、スプール54が実線図示のように左方に移動し
たときには、ドレン口56が閉じられる。また、同上スプ
ール54が右方に移動したときには、入口53がドレン口56
に連通することとなる。
58は前記連結油路49を開閉する開閉弁で、そのスプー
ル59はソレノイド60により2位置制御される。このソレ
ノイド60はスイッチ手段61と電源62とに接続されてい
る。このスイッチ手段61は、前記変速装置7を第1、第
2速、および中立状態のいずれかにしたときにソレノイ
ド60をオフ(OFF)とし、第3速から第5速のいずれか
にしたときにはオン(ON)とさせる。
そして、上記ソレノイド60がオフ(OFF)とされたと
きには、実線図示のように開閉弁58が開弁し、即ち、こ
の場合、上記各弁31,41,52がそれぞれ後述するように機
能して摩擦クラッチ9が自動制御される。一方、上記ソ
レノイド60がオフ(OFF)とされたときには、上記開閉
弁58が閉弁し、即ち、この場合には、上記各弁32,41,52
の機能が停止して、摩擦クラッチ9はクラッチレバー23
により手動制御されることとなる。つまり、上記開閉弁
58は摩擦クラッチ9の自動、手動制御用の切換弁となっ
ている。
(第1実施例の作用) エンジン1を始動させる場合には、まず、クラッチレ
バー23に操作力を与えてこれを図中矢印で示すように後
方回動させ、これにより、第1ピストン18を右方に押動
し、摩擦クラッチ9を切断状態とする。そして、この状
態でクランキングによりエンジン1を始動させる。
なお、上記の場合、前記変速装置7が中立状態であれ
ば、摩擦クラッチ9を接続状態にしたままでもエンジン
1の始動はすることができる。
そして、エンジン1をアイドリング状態にすれば、こ
れに連動して油圧ポンプ27が作動し、その圧油がガバナ
弁32に送り込まれる。この際、エンジン1は低速である
ため、これに連動するガバナ39がその第1ガバナ力Bで
スプール37を左方に押動することはない。よって、この
ガバナ弁32のスプール37は実線図示のように右方に移動
しており、このため、油圧ポンプ27からの圧油は入口33
と出口35を通して開閉弁58に送り込まれる。
ところで、エンジン1を始動させたり、自動二輪車を
発進させる場合には、変速装置7は、通常、第1、第2
速、および中立状態のいずれかを選択されている。この
ため、ソレノイド60がオフ(OFF)とされて開閉弁58が
開弁しており、よって、油圧ポンプ27からの圧油はこの
開閉弁58を通りクラッチ弁41の第2入口47に送り込まれ
る。そして、この圧油による第2ガバナ力Fによりクラ
ッチ弁41のスプール50は実線図示のように右方に移動
し、このクラッチ弁41の第1入口42と出口43とが連通す
る。
すると、油圧ポンプ27からの圧油がこのクラッチ弁41
の第1入口42と出口43とを通り、更に、クラッチ油路45
を通って第2シリンダ17に送り込まれる。この結果、第
2ピストン19が連動軸20を介しプレッシャプレート13を
右方に押動する。従って、この状態になれば、クラッチ
レバー23に対する操作力を解除しても、摩擦クラッチ9
は切断状態に保たれる。
次に、自動二輪車を発進させようとして、エンジン1
を増速させると、ガバナ39がその第1ガバナ力Bにより
スプール37を左方に押動する。そして、このスプール37
が図中仮想線の位置に達して入口33を閉じるときにはド
レン口36が開き始める。すると、ガバナ弁32内の圧油が
このドレン口36から排出されてガバナ圧Pgが低下し、つ
まり差圧力Cが徐々に低下し始める。
第2図は、上記の関係を要約したグラフ図であり、つ
まり、エンジン1の回転数が増大するに伴い第1ガバナ
力Bが増加し、一方、ガバナ圧Pgが低下することを示し
ている。
そして、上記差圧力Cの低下によって、弾性力Aより
も合力Dが低くなると、上記したように左方に移動して
いたスプール37が右方に押し戻されることとなる。この
状態から更にエンジン1が増速して第1ガバナ力Bが大
きくなると、再びスプール37が左方に押動される。以
下、上記したようなスプール37の左右往復動が繰り返さ
れ、この往復動毎にガバナ圧Pgが徐々に低下する。
そして、上記ガバナ圧Pgが低下すると、クラッチ弁41
における第2ガバナ力Fも低下し、このため、このクラ
ッチ弁41のスプール50は左方へと移動し始める。そし
て、このスプール50が図中仮想線の位置に達して第1入
口42を閉じるときには、ドレン口44が開き始める。する
と、クラッチ油路45の圧油がこのドレン口44から排出さ
れてこのクラッチ油路45のクラッチ圧Pcが徐々に低下
し、つまり差圧力Eが徐々に低下する。そして、この
際、合力Hに対して上記差圧力Eが低くなると、上記し
たような左方に移動していたスプール50が右方に押し戻
されることとなる。この状態から更にガバナ圧Pgが低下
して第2ガバナ力Fが小さくなると、再びスプール50が
左方に押動される。以下、上記したようなスプール50の
左右往復動が繰り返され、この往復動毎にクラッチ圧Pc
が徐々に低下する。
そして、上記のようにクラッチ圧Pcが低下すると、第
2ピストン19がばね12によって左方に押し返され、つい
には、摩擦クラッチ9の駆動側ディスク10と従動側ディ
スク11とが接合し始める。しかも、この際、クラッチ圧
Pcは前記したように徐々に低下するため、上記駆動側デ
ィスク10と従動側ディスク11とは滑りを生じながら摩擦
接合し、つまり、摩擦クラッチ9は半クラッチの状態を
経て接続動作する。よって、クラッチレバー23の操作に
よることなく、自動二輪車を円滑に発進させることがで
き、また、摩擦クラッチ9を切断状態として変速を行っ
た後の加速も上記と同じ作用によって円滑に行うことが
できる。
第3図は、上記の関係を要約したグラフ図であり、つ
まり、ガバナ圧Pgの増大により第1ガバナ力Bに伴って
第2ガバナ力Fが増大すれば、駆動側ディスク10と従動
側ディスク11との接合力が増大して摩擦クラッチ9が接
続状態になることを示している。
自動二輪車の走行中、例えば、変速装置7の変速操作
時に先立って、摩擦クラッチ9を切断動作させるために
クラッチレバー23を回動させると、マスタシリンダ24か
ら第1シリンダ16に圧油が送り込まれる。
また、その一方で、クラッチ弁41の第3入口48にも圧
油が送り込まれ、このため、クラッチレバー力Gの増大
によりスプール50は右方へ押動される。すると、クラッ
チ弁41の第1入口42と出口43とが連通し、油圧ポンプ27
からの圧油がクラッチ油路45を通り第2シリンダ17に送
り込まれる。そして、上記第1シリンダ16とこの第2シ
リンダ17の作動により、摩擦クラッチ9が切断動作する
こととなる。つまり、上記クラッチ弁41は、摩擦クラッ
チ9を切断させる際のクラッチレバー23に対する操作が
軽くできるようにするために設けられている。
また、自動二輪車の走行時に上記変速操作により第3
速から第5速のいずれかにした場合には、ソレノイド60
がオン(ON)して開閉弁58が閉弁し、上記摩擦クラッチ
9に対する自動制御が解除される。よって、これらの変
速状態では、以後、クラッチレバー23の操作により、直
接第1シリンダ16を作動させて摩擦クラッチ9の断接を
行うこととなる。
自動二輪車を減速し、もしくは停車させる場合に、エ
ンジン1を低速とし、かつ、第1速、第2速、および中
立状態のいずれかに変速操作すれば、再び開閉弁58が開
弁し、クラッチレバー23を操作しなくても、前記したよ
うに摩擦クラッチ9は自動的に切断状態となる。そし
て、この後、再び摩擦クラッチ9は自動制御されるので
あり、つまり、この状態から、エンジン1を増速すれば
上記したように摩擦クラッチ9は再び自動的に接続動作
することとなる。
一方、上記したようにクラッチ圧Pcが低下して摩擦ク
ラッチ9が接続動作するに至るときは、このクラッチ圧
Pcは相当に低くなってきており、このため、ポンプ圧Pp
との差圧は大きいものとなってくる。従って、ポンプ圧
制御弁52において合力Lよりもポンプ押圧力Iが大きく
なり、このため、スプール50が右方へ押動される。する
と、ポンプ圧油路34の圧油がドレン口56から排出され、
ポンプ圧Ppが低下する。
即ち、上記のようにポンプ圧Ppが低下すれば、これと
クラッチ圧Pcとの圧力差が小さくなり、よって、ガバナ
弁32やクラッチ弁41における圧力制御がより正確になさ
れると共に、油圧ポンプ27における無駄な動力消費も抑
えられる。
なお、以上は図示の例によるが、クラッチ弁41やポン
プ圧制御弁52は必須のものではなく、よって、これらを
設けずに、ガバナ弁32の出口35をクラッチ油路45により
第2シリンダ17に直接的に連結してもよい。また、開閉
弁58を設けずに、いずれの変速状態においても、摩擦ク
ラッチ9を自動制御できるようにしてもよい。
(第2実施例) 第4図は第2実施例を示している。
なお、この実施例の基本構成や作用は前記第1実施例
と同様であるため、共通の構成については、図面にその
符号を付して説明を省略し、異なる構成につき説明す
る。
図において、65はガバナ弁で、その弁本体66には入口
67とドレン口68とが形成されている。また、この弁本体
66内には上記入口67からドレン口68に至る油路を開閉す
るニードル形の弁体69が設けられている。
また、上記弁本体66にはボルト体71がその軸心回りに
回動自在に支承されており、このボルト体71にはナット
72がねじ付けられている。上記弁体69、ボルト体71、お
よびナット72は同軸上に位置しており、弁体69とナット
72との間に介在するばね73がその弾性力Mで弁体69を閉
弁方向に付勢している。また、上記ナット72はボルト体
71と共回りしないように回り止めピン74と摺動自在に係
合している。
75はサーボモータで、このサーボモータ75はエンジン
1に制御手段76を介して駆動されるようになっており、
上記ボルト体71はこのサーボモータ75に歯車手段77を介
して連動連結されている。そして、エンジン1が低速の
ときには、サーボモータ75によるボルト体71の回動で、
実線図示のようにナット72が右方に移動させられ、つま
り、弁体69を閉弁させようとする弾性力Mが大きくなる
ようにしてある。
一方、エンジン1が増速すれば、サーボモータ75によ
るボルト体71の回動で、仮想線図示のようにナット72は
左方に移動させられ、つまり、弁体69を閉弁させようと
する弾性力Mが漸減するようになされている。
79はクラッチ弁である。このクラッチ弁79の第1入口
80にはポンプ圧油路34が連結され、また、第1出口81は
上記ガバナ弁65の入口67に連通路82により連通すると共
に、このクラッチ弁79の第2入口84にも通じている。ま
た、第3入口85には手動用クラッチ油路25が連結され、
更に、第2出口86にはクラッチ油路45が連結されてい
る。87はドレン口である。
また、上記クラッチ弁79を左方に押動するばね90が設
けられる。
そして、上記連通路82のガバナ圧Pgが第2入口84を通
してクラッチ弁79に導入され、これによるガバナ力Nに
よってスプール89が右方に押動される。また、上記クラ
ッチ弁49にはスプール89の左端に対応してピストン91が
嵌入されており、手動用クラッチ油路25からのクラッチ
レバー圧Plによるクラッチレバー力Oによってこのピス
トン91が右方に押動され、かつ、このピストン91によっ
て同上スプール89が右方に押動されるようになってい
る。一方、同上スプール89はばね90による弾性力Pによ
って左方に押動される。つまり、上記スプール89は上記
クラッチレバー力Oにガバナ力Nを加えた合力Qと、弾
性力Pとがバランスするところまで移動するようになっ
ている。
(第2実施例の作用) エンジン1が始動して、これがアイドリング状態であ
ると、エンジン1は低速であるため、これに連動するサ
ーボモータ75がボルト体71を回動させて、ナット72を実
線図示のように右方に移動させる。すると、ばね73の弾
性力Mが大きくなって弁体69は閉弁状態に保たれる。
この際、油圧ポンプ27からの圧油はクラッチ弁79の第
1入口80、第1出口81、連通路82、および同上クラッチ
弁79の第2入口84を通してこのクラッチ弁79に送り込ま
れる。よって、ガバナ力Nが大きくなることから、スプ
ール89は実線図示のように右方に移動した状態に保たれ
る。そして、このときには、油圧ポンプ27からの圧油
が、同上クラッチ弁79の第1入口80、第2出口86を通し
て第2ピストン19に送り込まれ、摩擦クラッチ9が切断
状態に保たれる。
次に、エンジン1を増速させると、サーボモータ75が
作動してボルト体71を回動させ、ナット72を仮想線図示
のように徐々に左方に移動させる。すると、ばね73の弾
性力Mが小さくなって弁体69が連通路82のガバナ圧Pgに
押されて徐々に開弁し始める。そして、これにより連通
路82の圧油がドレン口68を通して排出され、この結果、
ガバナ圧Pgが徐々に低下することとなる。
上記のようにガバナ圧Pgが低下すれば、クラッチ弁79
においてガバナ力Nが低下し、スプール89は左方に向っ
て移動する。そして、このスプール89によって第1入口
80と第1出口81とが同時に閉じられ、その一方、ドレン
口87が開かれる。つまり、クラッチ油路45が第2出口86
を通してドレン口87に連通し、このクラッチ油路45の圧
油が排出されてクラッチ圧Pcが徐々に低下する。
そして、上記のようにクラッチ圧Pcが低下すると、摩
擦クラッチ9が自動的に接続動作し始める。しかも、こ
の際、クラッチ圧Pcは徐々に低下するため、摩擦クラッ
チ9は半クラッチの状態を経て接続動作する。
自動二輪車の走行中に、クラッチレバー23を回動させ
ると、ピストン91を介してスプール89が右方に押動され
る。すると、クラッチ弁79の第1入口80と第2出口86と
が連通し、油圧ポンプ27からの圧油がクラッチ油路45を
通り第2シリンダ17に送り込まれ、これにより、摩擦ク
ラッチ9が切断動作することとなる。
自動二輪車を減速し、もしくは停車させる場合に、エ
ンジン1を低速にすれば、クラッチレバー23を操作しな
くても、前記したように摩擦クラッチ9は自動的に切断
状態となる。
(発明の効果) この発明によれば、エンジンに連動して圧油を吐出す
る油圧ポンプを設け、エンジンの低速回転時における上
記油圧ポンプからの圧油が上記弾性力に抗して摩擦クラ
ッチを切断動作させ、かつ、エンジンの回転の増加に伴
って、上記圧油を減圧させるようにしたため、信号待ち
で停車しているときなど、エンジンが低速回転であると
きには、このエンジンに連動する油圧ポンプからの圧油
が摩擦クラッチを自動的に切断状態に保つこととなる。
従って、従来では、このような停車中にはエンジンから
変速装置に動力が伝達されないように、クラッチレバー
に操作力を与えて摩擦クラッチを切断状態に保つ必要が
あったが、このような操作が不要となる。
また、上記状態からエンジンを増速すると、摩擦クラ
ッチを切断状態にしている圧油が減圧させられる。この
ため、上記摩擦クラッチはばねの弾性力によって徐々に
摩擦接合し、これによって、自動二輪車の発進が可能と
なる。即ち、エンジンを増速させれば摩擦クラッチが自
動的に接続動作することから、従来のようなクラッチレ
バーに対する操作は不要となる。
よって、摩擦クラッチを断接させるためのクラッチレ
バーに対する操作が容易となる。
【図面の簡単な説明】
第1図から第3図はこの発明の第1実施例を示し、第1
図は全体線図、第2図と第3図はグラフ図、第4図は第
2実施例を示す全体線図である。 1……エンジン、7……変速装置、9……摩擦クラッ
チ、12……ばね、23……クラッチレバー、27……油圧ポ
ンプ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンから変速装置への動力伝達を断接
    する摩擦クラッチを設け、この摩擦クラッチが弾性力で
    接続動作する一方、クラッチレバーへの操作でこの摩擦
    クラッチが上記弾性力に抗して切断動作するようにした
    自動二輪車において、上記エンジンに連動して圧油を吐
    出する油圧ポンプを設け、エンジンの低速回転時におけ
    る上記油圧ポンプからの圧油が上記弾性力に抗して摩擦
    クラッチを切断動作させ、かつ、エンジンの回転の増加
    に伴って、上記圧油を減圧させるようにした自動二輪車
    のクラッチ操作装置。
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