JPH08284977A - 油圧式動力伝達装置 - Google Patents

油圧式動力伝達装置

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JPH08284977A
JPH08284977A JP11523495A JP11523495A JPH08284977A JP H08284977 A JPH08284977 A JP H08284977A JP 11523495 A JP11523495 A JP 11523495A JP 11523495 A JP11523495 A JP 11523495A JP H08284977 A JPH08284977 A JP H08284977A
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JP
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cam
piston
hydraulic
chamber
power transmission
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Application number
JP11523495A
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English (en)
Inventor
Tsuneaki Kiyono
恒昭 清野
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 動力源により駆動される入力軸4と該入力軸
から動力が伝達される出力軸5との間に設けられる油圧
式動力伝達装置1の性能を安定化させる。 【構成】 入力軸4と一体的に回転するカム部材8と、
出力軸5と一体的に回転するシリンダ部材14と、シリン
ダ部材14に設けられたピストン室15に往復自在に嵌装さ
れ、カム部材8のカム面18に転動するボール部材17を介
して摺接するピストン部材16とを備え、カム部材8とシ
リンダ部材14との相対回転によりピストン部材16がピス
トン室15内を往復運動して作動油を吐出、吸入する。ピ
ストン室15内の油圧を所定値に設定する油圧設定手段31
が設けられており、該油圧設定手段による設定圧力に応
じて入力軸4と出力軸5間の相対回転状態が変化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動力源により駆動され
る入力要素と該入力要素から動力が伝達される出力要素
との間に設けられ、両要素の相対回転によりトルク伝達
用の油圧を生ずる油圧式動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来技術】このような油圧式動力伝達装置が例えば実
開平2−27027号公報に示されているが、この装置
は、アウトプットシャフトまたはインプットシャフトに
連結され内部にカム面を有するカムリングと、該カムリ
ング内に回転自在に収納されインプットシャフトまたは
アウトプットシャフトに連結されたロータと、該ロータ
に形成した複数個のプランジャー室内に摺動自在に収納
される複数個のプランジャーと、前記プランジャー室間
を主通路を介して連通する吸入兼用吐出路とを有し、前
記吸入兼用吐出路の開口部にオリフィスを有するバルブ
プレートが設けられている。
【0003】この装置において、カムリングとロータと
が相対的に回転すると、プランジャーはカムリングのカ
ム面の凹凸に沿ってプランジャー室内を往復し、これに
よりプランジャー室の容積は膨張、収縮を繰返し、膨張
時には流体が主通路からプランジャー室に吸入され、収
縮時には流体がプランジャー室から主通路に吐出され
る。
【0004】上記流体の吸入はバルブプレートが開くこ
とにより抵抗なく行われるが、吐出時にはバルブプレー
トは閉じ、流体は該プレートに設けられたオリフィスを
通じて吐出される。従ってこのオリフィスを通過する際
に流動抵抗が生じ、これによりプランジャー室内に圧力
が発生し、該圧力によりプランジャーがカムリングに押
し付けられ、両者間に上記圧力に応じたトルクが生じ、
該トルクによりカムリング側とロータ側との相対的回転
が制限される。
【0005】かかる油圧式動力伝達装置は、四輪駆動車
等の駆動力配分装置、左右輪の差動装置、差動制限装置
等として用いられており、例えば実開平2−44125
号公報等にも前記と同様な油圧式動力伝達装置が開示さ
れている。
【0006】
【解決しようとする課題】上記のように、従来の油圧式
動力伝達装置においては、入出力軸間の相対回転を制限
するために、オリフイスにおける流体の抵抗を利用して
いるので、該流体の流速(入出力軸の相対回転速度に応
じて変化する)や温度等の影響を受け、相対回転制御の
特性が一定にならないという問題がある。
【0007】また、入出力軸間にトルクを伝達するに
は、プランジャー室内の油圧を保持すべく両軸間に常に
相対回転を維持しておかなければならないので、本発明
を例えば自動車のエンジンとトランスミッションの間の
クラッチとして使用しようとする場合等に不具合であ
る。
【0008】さらに、前記従来の装置においては、吐出
行程にあるプランジャー室がオリフィスを介して主通路
に連通し、プランジャー室内の圧力が直接主通路内に伝
わらないので、主通路内のオイルを加圧して、吸入行程
にあるプランジャー室への自圧による進入を可能にして
プランジャーを常にカム面に密着させるために、加圧用
のピストンが設けられている。しかしこのようにするこ
とにより装置が大型化している。
【0009】この代りに、プランジャーをスプリングに
よりカム面に押し付けて、プランジャーが常にカム面に
追従できるようにして、膨張したプランジャー室に主通
路内のオイルを吸入するようにしてもよいが、この場合
にもスプリングを配置するためのスペースを要し、装置
の大型化は免れず、またスプリングの押付け力によりプ
ランジャー頭部とカムリング間の摺動抵抗が増大すると
いう問題が生ずる。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、こ
のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明にお
いては、動力源により駆動される入力要素と該入力要素
から動力が伝達される出力要素との間に設けられる油圧
式動力伝達装置であって、前記入、出力要素のうち一方
の要素と一体的に回動するカム部材と、他方の要素と一
体的に回転するシリンダ部材と、該シリンダ部材に設け
られたピストン室に往復自在に嵌装され、前記カム部材
のカム面に摺接する頭部を有するピストン部材とを備
え、前記カム部材とシリンダ部材との相対回転により前
記ピストン部材が前記ピストン室内を往復運動して作動
油を吐出、吸入するようにしたものにおいて、前記ピス
トン部材の頭部に前記カム面に沿って転動するボール部
材を回転可能に設けるとともに、前記ピストン室内の油
圧を所定値に設定する油圧設定手段を設け、該油圧設定
手段による設定圧力に応じて前記入力要素と前記出力要
素の相対回転状態を変化させるようにする。
【0011】本発明によれば、ピストン室内の油圧が、
油圧設定手段により、温度等の条件に影響されることな
く安定した一定の圧力値に積極的に制御され、これによ
り入、出力要素の相対回転を制限するトルクも安定した
一定値に制御されるので、一定した良好な相対回転制御
特性が得られる。
【0012】ピストン室内の油圧を、油圧設定手段によ
り、入力要素と出力要素との間に動力伝達に必要な充分
な伝達トルクが得られるような所定の高い圧力値と、両
要素の相対回転を制限するトルクを生じないような低い
圧力値とに設定可能とすれば、前記高い圧力値に設定し
た時には、通常の動力伝達状態では、入力要素と出力要
素とが一体となって回転し、前記低い圧力値に設定した
時には、両要素の相対回転が制限されず、回転する入力
要素に対し出力要素は静止状態に保持されるので、この
装置を例えばエンジンとトランスミッションとの間のク
ラッチとして使用することができる。この場合、発進時
や変速時等に慣性力等により設定値以上の過大のトルク
が入力されても、設定値以上のトルクは、入出力要素間
に相対回転が生ずることによりカットされる。すなわち
トルクリミット機能を有する。
【0013】なお、ピストン部材とカム部材は、カム面
に沿って転動自在なボール部材を介して互いに摺接して
いるので、上記入出力要素間の相対回転は極めて円滑に
行われる。
【0014】本発明によればまた、動力源により駆動さ
れる入力要素と該入力要素から動力が伝達される出力要
素との間に設けられる油圧式動力伝達装置であって、前
記入,出力要素のうち一方の要素と一体的に回転するカ
ム部材と、他方の要素と一体的に回転するシリンダ部材
と、該シリンダ部材に設けられたピストン室に往復自在
に嵌装され、前記カム部材のカム面に摺接する頭部を有
するピストン部材とを備え、前記カム部材とシリンダ部
材との相対回転により前記ピストン部材が前記ピストン
室内を往復運動して作動油を、吐出、吸入するようにし
たものにおいて、前記カム面に平行なカムガイド面を有
するカムガイド部材を前記カム部材に隣接して設け、前
記カムガイド面に沿って移動して前記ピストン部材を前
記カム面に応じて往復運動するように案内するピストン
ガイド部材を、前記ピストン部材に設けたことを特徴と
する油圧式動力伝達装置が提供される。
【0015】この装置においては、ピストン部材のピス
トン室への押込み(吐出行程)はピストン部材をカム部
材により押すことにより、ピストン部材のピストン室か
らの引戻し(吸入行程)はピストン部材をカムガイド部
材を介してカムガイド面に沿って案内することにより行
われ、ピストン部材がカム部材のカム面に良好に追従す
るので、作動油の吐出、吸入が順調に行われる。
【0016】かくして、吸入を支障なく行わせるために
前述のような作動油を加圧する手段もしくはスプリング
を設ける必要がないので、装置全体を小型化することが
可能となり、またスプリングの押付け力によりピストン
部材とカム部材のカム面との間の摺動抵抗が増大するこ
とがないので、これらの部品の耐久度が増すとともに、
動力損失が減少する。
【0017】
【実施例】以下、自動車のエンジンとトランスミッショ
ンとの間に設けられるクラッチに本発明を適用した実施
例について、本発明を説明する。
【0018】図1は本発明の一実施例である油圧式動力
伝達装置1の縦断側面図で、図2はこの動力伝達装置1
を右側から見た各種の断面で示した正面図である。な
お、図2は図1に比し縮小した尺度で示してある。
【0019】本実施例の油圧式動力伝達装置1は、図
5,6に示すように、自動車のエンジン2とトランスミ
ッション3との間に介挿され、エンジン2からトランス
ミッション3への動力伝達を断接するクラッチとして使
用されている。4は、エンジン2のクランクシャフトす
なわちエンジン2の出力軸であるが、動力伝達装置1側
から見れば入力要素である。従って以下4を入力軸と称
する。同様に、5はトランスミッション3の入力軸であ
るが、動力伝達装置1側から見れば出力要素である。従
って以下5を出力軸と称する。
【0020】入力軸4の端面に円板状のドライブプレー
ト6がボルト7により一体に連結されており、このドラ
イブプレート6にカム部材8が固定されている。カム部
材8は、軸4,5と同心的に配設された円筒状のカムリ
ング9と、該カムリング9の入力軸4側の端面部に固結
された円板状の取付けプレート10と、カムリング9の外
周側において該カムリング9の出力軸5側の端部と取付
けプレート10の外周部分とを連結して円環状のオイルタ
ンク11を形成するタンク壁12とから成り、円板状の取付
けプレート10をドライブプレート6に沿わせてボルト13
で締結することにより入力軸4に固定され、これと一体
的に回転する。
【0021】一方、出力軸5にはシリンダ部材14がスプ
ラインを介して連結されており、カムリング9の内側で
出力軸5と一体的に回転する。シリンダ部材14にはその
周面に開口する複数のシリンダすなわちピストン室15が
放射状に等間隔に設けられており、本実施例においては
図2から分るように9個のピストン室15が互いに40度の
角度をなして配設されている。各ピストン室15にはそれ
ぞれピストン16が往復自在に嵌装されており、各ピスト
ン16の頭部にはボール17がカシメ等により回転自在に取
付けられている。
【0022】ボール17はカムリング9の内周面に形成さ
れたカム面18に転動自在に摺接する。カム面18は図2に
示すように、半径方向の凹凸を繰返しながら波状に周方
向に延びており、本実施例においては、それぞれ90度の
角を挟む4つの同一輪郭部分を互いに連続させて形成さ
れている。
【0023】カムリング9の取付けプレート10と反対側
の開口部分は、カムリング9とシリンダ部材14との間に
配設されたカバー部材19により閉塞されている。カバー
部材19はボルト20によりカムリング9に取り付けられ、
かつカバー部材19とカムリング9との間はOリング21に
よりシールされている。さらにカバー部材19とシリンダ
部材14との間もオイルシール22によってシールされてい
る。23はボルト24によりカバー部材19に固定されたオイ
ルシール押えである。
【0024】かくしてカムリング9の内側に、該カムリ
ング9,シリンダ部材14,取付けプレート10およびカバ
ー部材19により包囲された空間すなわちシリンダ室25が
形成され、このシリンダ室25はカムリング9に設けられ
た連通口26を介して前記オイルタンク11に連通してい
る。これらのシリンダ室25,オイルタンク11にはオイル
が充填されるが、シリンダ室25,オイルタンク11は完全
な密閉構造をなしているので、充填されたオイルは他の
油圧回路とは切り離され、これ自体で独立の油圧システ
ムを構成する。27はタンク壁12に着脱自在に螺着された
ドレンボルトである。
【0025】各ピストン室15は吸入口28および吐出口29
を介してシリンダ室25に通じており、吸入口28には吸入
用一方向弁30が設けられ、吐出口29には油圧設定装置31
が設けられている。入力軸4と出力軸5が相対的に回転
すると、ボール17がカム面18に沿って摺動し、カム面18
の形状に応じてピストン16がピストン室15内を往復運動
する。ピストン16がピストン室15から抜け出す吸入行程
時には吸入用一方向弁30が開いてシリンダ室25内のオイ
ルが吸入口28を経てピストン室15に吸入されるが、続い
て吐出行程になると吸入用一方向弁30は閉じ、一方、吐
出口29はピストン室15内の圧力が設定圧に達するまでは
油圧設定装置31により閉塞されているので、ピストン室
15内のオイルは該設定圧まで加圧される。
【0026】ところで、吸入行程においてオイルが吸入
口28を通じてピストン室15に吸入されるためには、ピス
トン室15が所定通り膨張することが必要で、このために
はボール17がカム面18から離れないようにしなければな
らない。しかし吸入行程においてはボール17をカム面18
に押し付ける力は作用しないので、前述のように従来は
スプリングによりボール17をカム面18に押し付けるよう
にしたり、シリンダ室25内のオイルを予圧したりして装
置の大型化を招いていた。これを克服するために本実施
例においては次のような手段がとられている。
【0027】図1に示すように、カム部材8の取付けプ
レート10のシリンダ室25に面した側面にリング状のカム
ガイド部材32が固着されている。該カムガイド部材32の
外周面はカムリング9のカム面18と相似の輪郭形状を有
するカムガイド面33となっている。すなわち図2に示す
ように、カム面18とカムガイド面33とは互いに平行状態
をなし、両者間に全周にわたって等巾のガイド溝34が形
成されている。シリンダ室25の反対側においても、カバ
ー部材19に同様なカムガイド部材32aが突設され、該カ
ムガイド部材32aとカムリング9との間に同様なガイド
溝34aが形成されている。
【0028】図3に示すように、頭部にカムフォロアと
してのボール17を回転自在に取付けたピストン16には、
ピストンガイド部材35が軸線方向に摺動可能に嵌装され
ている。一方、ピストン16のボール17側の端部周面に環
状にフランジ部分36が突設され、ピストンガイド部材35
がこのフランジ部分36に係合することにより、ピストン
16をピストンガイド部材35で支えることができるように
なっている。
【0029】ピストンガイド部材35の直径上相対向する
両端部にそれぞれ直立部片35a,35aが一体に形成され
ており、該直立部片35aにピン37が、ピストン16の径方
向外側へ突出させて取付けられている。そしてピン37の
該突出部分にピストンガイドローラ38がクリップ39によ
り軸線方向に固定されて取付けられている。ピストンガ
イドローラ38はベアリング40を内蔵し、ピン37に対して
回転自在である。
【0030】このようにしてピストン16の頭部両側にピ
ストンガイド部材35を介して設けられた各ピストンガイ
ドローラ38は、図1に示すように、前記ガイド溝34およ
びガイド溝34aに嵌装され、ピストン16がシリンダ部材
14とともにカム部材8に相対的に回転する時、前記カム
ガイド面33上を転動しながら、ガイド溝34,34aに沿っ
て走行する。
【0031】この間、ピストン16はピストン室15内で往
復運動してオイルを吐出、吸入するが、ピストン16をボ
ール17を介してカム面18により押圧してピストン室15内
に押し込む吐出行程に次いで吸入行程に移り、カム面18
がボール17から離れだしても、ピストンガイドローラ38
がカム面18と平行なカムガイド面33に案内されることに
より、ピストン16は依然としてカム面18に沿った動きを
してピストン16をピストン室15から引戻す。従ってピス
トン16は常にカム面18に良好に追従して、オイルの吐
出、吸入が順調に行われる。
【0032】次に油圧設定装置31について説明する。油
圧設定装置31は各ピストン室15に1つずつ設けられ、シ
リンダ部材14の半径方向内方部分に、それぞれ出力軸5
に平行に、これを包囲するように配設されている。各油
圧設定装置31は、主リリーフ弁41とパイロットリリーフ
弁42とレリーズベアリング43とから成っている(図4,
5,6参照)。
【0033】主リリーフ弁41は有底円筒状をなし、シリ
ンダ部材14に穿設された案内孔44に摺動自在に嵌合され
ている。そして底部に突設された凸部41aにより、ピス
トン室15の前記吐出口29を閉塞する。主リリーフ弁41の
内部は小孔45によりピストン室15に連通している。
【0034】パイロットリリーフ弁42は、主リリーフ弁
41の背後においてシリンダ部材14に螺合固定された有底
円筒状のケース部材46を有し、その底部外面と前記主リ
リーフ弁41の底部内面との間に介挿されたスプリング47
を介して、主リリーフ弁41の凸部41aを吐出口29に押し
付けている。ケース部材46の底部中央には小孔48が設け
らけ、円筒部分の内部には、該小孔48を開閉する弁体49
と、該弁体49を小孔48にスプリング50を介して押し付け
るリテーナ51とが摺動可能に納められている。リテーナ
51の他端は、ケース部材46の開口部を閉鎖する端壁部片
46aを摺動自在に貫通して外部に臨んでいる。ケース部
材46の内部は該ケース部材46およびシリンダ部材14に設
けられた油路52a,52bを通じてシリンダ室25に連通し
ている。
【0035】レリーズベアリング43は図4に示すような
環状体で、リテーナ51の突出端部に当接または取付けら
れてシリンダ部材14とともに回転可能な回転環板53と、
後述するように適当な駆動部材に支持され回転的には静
止している非回転環板54と両環板53,54間に介挿された
ニードルベアリング55とによって構成されている。レリ
ーズベアリング43は、図1の上方および図5に示すよう
にリテーナ51をケース部材46内に押し込む押込み位置
と、図1の下方および図6に示すようにリテーナ51をス
プリング50によりケース部材46から突出させるリレーズ
位置との2位置間で移動することができる。
【0036】ピストン16の吐出行程時、小孔45を通じて
ピストン室15に連通している案内孔44内の圧力はピスト
ン室15内の圧力と等しいが、この圧力がスプリング50の
力に打勝って弁体49が後退し小孔48を開くと、案内孔44
内のオイルが小孔48,油路52a,52bを通ってシリンダ
室25へ逃げるので、ピストン室15から小孔45を通って案
内孔44へオイルの流れが生じ、これによってピストン室
15と案内孔44との間に生ずる圧力差により主リリーフ弁
41が移動して吐出口29を開く。かくしてピストン室15,
案内孔44内の圧力が低下し、弁体49がスプリング50の力
により再び小孔48を閉じると、ピストン室15と案内孔44
が均圧化し、主リリーフ弁41はスプリング47の力により
吐出口29を閉じる。
【0037】このようにして、吐出行程状態にあるピス
トン室15の内圧は、スプリング50により定まる所定の圧
力値に設定される。ピストン16はこの圧力によりカム面
18に押し付けられ、両者間に該圧力に応じたトルクの伝
達を可能にする。そしてこの伝達可能なトルクが出力軸
5側の抵抗トルクよりも大きければ、カム部材8とシリ
ンダ部材14、すなわち入力軸4と出力軸5との間に相対
回転は生じないで両者は一体となって回転するが、出力
軸5側の抵抗トルクが上記伝達可能トルクを超えれば、
入力軸4と出力軸5との間に相対回転が生じ、過大なト
ルクが伝達されるのを防止する。
【0038】レリーズベアリング43が前記押込み位置に
在る時には、スプリング50が圧縮され強いバネ力を弁体
49に及ぼすので、ピストン室15は高い圧力に設定され
る。一方、レリーズベアリング43が前記レリーズ位置に
在る時には、スプリング50が伸長し弁体49に及ぼすバネ
力が小さくなり、ピストン室15は低い圧力に設定され
る。
【0039】従ってレリーズベアリング43を押込んだ時
のピストン室15の設定圧力を、入力軸4から出力軸5へ
充分なトルクを伝達できるような値に選定し、レリーズ
位置におけるピストン室15の設定圧を、伝達可能トルク
が出力軸5側の装置自体による抵抗トルクよりも小さく
なるように充分低い値に選定しておけば、本動力伝達装
置1を、例えばエンジンとトランスミッションとの間に
設けられるクラッチとして使用することができる。
【0040】図7および図8は、自動車の動力伝達装置
1とトランスミッション3との間にクラッチとして挿入
された動力伝達装置1を示す線図で、前述した動力伝達
装置1の各部に対応する部分を同じ参照数字で示し、か
つ動力伝達装置1内に随時生ずるオイルの各流れを直線
の油路として示してある。すなわち、複数のピストン室
15とシリンダ室25との間に、適宜吸入用一方向弁30を備
えた吸入口28および主リリーフ弁41を備えた吐出口29を
通じてオイルが流通する。なお、56は自動車の車輪、57
は車軸、58は差動装置である。
【0041】図7においては、レリーズベアリング43
が、支点59のまわりに揺動するレバー部材60の一端に係
合しており、レバー部材60が実線位置に在る時には前記
レリーズ位置を占め、レバー部材60が破線位置60’に揺
動すると前記押込位置を占めるようになっている。レバ
ー部材60の他端には伸縮可能なシリンダ部材61が係合し
ており、図示していないクラッチペダルを操作すること
により該クラッチから油圧信号aがシリンダ部材61に入
力し、シリンダ部材61が伸長してレバー部材60を破線位
置に揺動させる。従ってクラッチの断接がクラッチペダ
ルにより手動的に行われる。
【0042】図8においては、レリーズベアリング43は
モータ62に駆動されて前記レリーズ位置と押込位置との
間で往復運動を行う。モータ62は、エンジン2からの各
種信号b、シフト位置信号c等に応じて電子制御ユニッ
ト63から発せられる駆動信号dによって作動し、かくし
てクラッチの断接が自動車の運転状態に応じて自動的に
行われる。
【0043】前記のように、油圧設定装置31によってピ
ストン室15内部の圧力を直接コントロールすることによ
り、相対回転制限性能を安定化することができるが、さ
らに、各ピストン室15毎とに油圧設定装置31を設けたこ
とにより、これを構成する各弁部材を小型のものでまか
なうことができ、かつ油圧設定装置31も全体として小型
化する。
【0044】そして、このようにして小型化した油圧設
定装置31を出力軸5の外側に環状に配置することによ
り、出力軸5の端部を入力軸4の端部に充分近接させて
両軸を同一軸線上に配列し、出力軸5の内部をシリンダ
室25に連通させ、ピストン室15とシリンダ室25間におけ
るオイルの吐出、吸入のアンバランスおよび貯溜オイル
の熱膨張等による体積変化に対応するための容量調整用
空間64としてある。
【0045】この容量調整用空間64は、出力軸5内に摺
動自在に嵌装されスプリング65によって付勢された容量
調整弁66により画成され、該容量調整弁66が出力軸5内
を摺動することにより容量調整用空間64が拡大、縮小し
てオイルの体積変化等に応じた容積調整が行われ、シリ
ンダ室25,オイルタンク11内のオイルに所定の圧力が維
持される。
【0046】図9は本発明の他の実施例を示す図1と同
様な図で、図1と同様な部分には同じ参照符号を付して
ある。前記実施例においては、各ピストン室15毎に油圧
設定装置31が設けられていたが、本実施例においては、
各ピストン室15の吐出行程時の圧力が共通の1つの油圧
設定装置31によって設定されるようになっている。
【0047】このため、シリンダ部材14に各ピストン室
15に吐出用一方向弁67を介して連通する環状の吐出室68
が設けられており、該吐出室68が吐出口29を介してシリ
ンダ室25に通じている。そしてこの吐出口29が油圧設定
装置31により開閉されるようになっている。油圧設定装
置31は前記実施例における油圧設定装置31より大型とな
るが、その構成は同じで、主リリーフ弁41,パイロット
リリーフ弁42,レリーズベアリング43から成っている。
各ピストン室15と吐出室68との間には吐出用一方向弁67
が介在しているので、吸入行程にあるピストン室15の内
圧が吐出行程にある他のピストン室15の内圧(設定圧
力)に影響を及ぼすことはない。
【0048】各ピストン室15は必ずしも前記各実施例に
おけるように半径方向に指向させる必要はなく、出力軸
5に平行に軸線方向に指向させて配設することも可能で
ある。図10はこのような例を示す概略図で、出力軸5に
これと一体的に回転するようにスプライン結合されたシ
リンダ部材14に、各ピストン室15が出力軸5を取り巻い
て軸線方向に配設されており、頭部にボール17を有する
ピストン16が各ピストン室15に往復可能に設けられてい
る。
【0049】70は前記実施例のカム部材8に相対するカ
ム部材で、シリンダ部材14との間に密閉されたシリンダ
室25が形成されている。ピストン室15は吸入口28および
吐出口29を通じてシリンダ室25に連通し、吸入口28には
吸入用一方向弁30が設けられ、吐出口29は前記実施例と
同様な油圧設定装置31の主リリーフ弁41によって開閉さ
れる。
【0050】カム部材70はリング状のカバー部材71と、
該カバー部材71にその開口部を閉鎖するように配設固定
された円板状のカム板72とを備え、カバー部材71を図示
してない入力軸のドライブプレートにボルト締結するこ
とにより、入力軸に一体に固定されている。各ピストン
16はカム板72に形成されたカム面73にボール17を介して
摺接し、カム板72とシリンダ部材14とが相対的に回転す
ると、ピストン16はカム面73に案内されて往復運動し前
記実施例と同様な作用をする。本実施例においてはカム
面73は平坦な斜面に形成されているが、例えば波状の凹
凸を繰り返しながら円周方向に延びる面とすることもで
きる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、動力源により駆動され
る入力要素と該入力要素から動力が伝達される出力要素
との間に設けられ、両要素の相対回転により生ずる油圧
に基ずくトルクにより該相対回転を制限して動力を伝達
する油圧式動力伝達装置において、一定した良好な相対
回転制御特性が得られる。また装置全体が小型化すると
ともに、順調な作動が得られ、かつ部品の耐久度が増す
とともに動力損失が減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である油圧式動力伝達装置の
縦断側面図である。
【図2】図1の装置を同図の右側から見た各種の断面で
示した縮小正面図である。
【図3】ピストンの一部を断面で示した側面図である。
【図4】レリーズベアリングの縦断側面図である。
【図5】押込み状態の油圧設定装置を示す拡大断面図で
ある。
【図6】レリーズ状態の油圧設定装置を示す拡大断面図
である。
【図7】同油圧式動力伝達装置を自動車のエンジンとト
ランスミッションとの間の手動クラッチとして使用した
例を示す略図である。
【図8】同油圧式動力伝達装置を自動クラッチとして使
用した例を示す図5と同様な略図である。
【図9】本発明の他の実施例を示す図1と同様な縦断側
面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施例を示す要部縦断側
面図である。
【符号の説明】 1…動力伝達装置、2…エンジン、3…トランスミッシ
ョン、4…入力軸、5…出力軸、6…ドライブプレー
ト、7…ボルト、8…カム部材、9…カムリング、10…
取付けプレート、11…オイルタンク、12…タンク壁、13
…ボルト、14…シリンダ部材、15…ピストン室、16…ピ
ストン、17…ボール、18…カム面、19…カバー部材、20
…ボルト、21…Oリング、22…オイルシール、23…オイ
ルシール押え、24…ボルト、25…シリンダ室、26…連通
口、27…ドレンボルト、28…吸入口、29…吐出口、30…
吸入用一方向弁、31…油圧設定装置、32…カムガイド部
材、33…カムガイド面、34…ガイド溝、35…ピストンガ
イド部材、36…フランジ部分、37…ピン、38…ピストン
ガイドローラ、39…クリップ、40…ベアリング、41…主
リリーフ弁、42…パイロットリリーフ弁、43…レリーズ
ベアリング、44…案内孔、45…小孔、46…ケース部材、
47…スプリング、48…小孔、49…弁体、50…ベアリン
グ、51…リテーナ、52…油路、53…回転環板、54…非回
転環板、55…ニードルベアリング、56…車輪、57…車
軸、58…差動装置、59…支点、60…レバー部材、61…シ
リンダ部材、62…モータ、63…電子制御ユニット、64…
容量調整用空間、65…スプリング、66…容量調整弁、67
…吐出用一方向弁、68…吐出室、70…カム部材、71…カ
バー部材、72…カム板、73…カム面。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動力源により駆動される入力要素と該入
    力要素から動力が伝達される出力要素との間に設けられ
    る油圧式動力伝達装置であって、前記入、出力要素のう
    ち一方の要素と一体的に回転するカム部材と、他方の要
    素と一体的に回転するシリンダ部材と、該シリンダ部材
    に設けられたピストン室に往復自在に嵌装され、前記カ
    ム部材のカム面に摺接する頭部を有するピストン部材と
    を備え、前記カム部材とシリンダ部材との相対回転によ
    り前記ピストン部材が前記ピストン室内を往復運動して
    作動油を吐出、吸入するようにしたものにおいて、前記
    ピストン部材の頭部に前記カム面に沿って転動するボー
    ル部材を回転可能に設けるとともに、前記ピストン室内
    の油圧を所定値に設定する油圧設定手段を設け、該油圧
    設定手段による設定圧力に応じて前記入力要素と前記出
    力要素間の相対回転状態を変化させるようにしたことを
    特徴とする油圧式動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 前記ピストン室への作動油吸入口および
    該ピストン室からの作動油排出口をそれぞれ前記シリン
    ダ部材に設けた請求項1記載の油圧式動力伝達装置。
  3. 【請求項3】 前記カム部材のカム面に平行なカムガイ
    ド面を有するカムガイド部材を該カム部材に隣接して設
    け、前記カムガイド面に沿って移動して前記ピストン部
    材を前記カム面に応じて往復運動するように案内するピ
    ストンガイド部材を前記ピストン部材に設けた請求項1
    記載の油圧式動力伝達装置。
  4. 【請求項4】 前記カム部材と前記シリンダ部材との間
    に、前記ピストン室に連通可能で、作動油が充填される
    シリンダ室を形成し、該シリンダ室に連通する作動油室
    を設け、該作動油室に前記シリンダ室の容量を調整する
    容量調整手段を設けた請求項1または2記載の油圧式動
    力伝達装置。
  5. 【請求項5】 動力源により駆動される入力要素と該入
    力要素から動力が伝達される出力要素との間に設けられ
    る油圧式動力伝達装置であって、前記入、出力要素のう
    ち一方の要素と一体的に回転するカム部材と、他方の要
    素と一体的に回転するシリンダ部材と、該シリンダ部材
    に設けられたピストン室に往復自在に嵌装され、前記カ
    ム部材のカム面に摺接する頭部を有するピストン部材と
    を備え、前記カム部材とシリンダ部材との相対回転によ
    り前記ピストン部材が前記ピストン室内を往復運動して
    作動油を吐出、吸入するようにしたものにおいて、前記
    カム面に平行なカムガイド面を有するカムガイド部材を
    前記カム部材に隣接して設け、前記カムガイド面に沿っ
    て移動して前記ピストン部材を前記カム面に応じて往復
    運動するように案内するピストンガイド部材を、前記ピ
    ストン部材に設けたことを特徴とする油圧式動力伝達装
    置。
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