JPH0431899Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両のトランクリツド構造に関し、特
にリアフイニツシヤを備えた下開き形のものに関
する。

（従来の技術） 従来この種のトランクリツド構造としては、た
とえば第３図に示すようなものがある（昭和60年
10月日産自動車株式会社発行のサービス周報第
544号NISSANオースターT12型系車の紹介Ｄ−
８頁、Ｄ−13頁参照）。すなわち１００はトラン
クルームで、トランクルーム１００の開口部は荷
物の出し入れの容易化を図るためにバンパ１０１
付近まで拡げられており、トランクリツド１０２
の後縁もバンパ１０１付近まで延長されてトラン
クルーム１００開口部を閉塞するようになつてい
る。トランクリツド１０２は第４図に示すように
断面略逆Ｌ字状に折曲されたアウタパネル１０３
とインナパネル１０４とにより構成され、アウタ
パネル１０３の後面部１０３ａ外表面に装飾用の
リアフイニツシヤ１０５がボルト１０６、ナツト
１０７によつて取付けられている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら斯かる従来例の場合には、第５図
に示すようにアウタパネル１０３の上面部１０３
ｂの車両の前後方向の長さl₁および後面部１０３
ａの上下寸法l₂が通常のトランクリツドの場合に
比べて大きくなるために、プレス成形機やヘム型
成形機で成形加工する場合、勢い成形機が大型化
すると共に成形型も大型化して型コストも嵩むと
いう問題があつた。そこでアウタパネル１０３を
分割構成とすることが考えられるが、分割構成と
すると、その接合部が外観に現われるために外観
品質が低下するという問題が生じる。

本考案は上記した従来技術の問題点を解決する
ためになされたもので、その目的とするところ
は、アウタパネルを分割構成とすることにより成
形加工が容易でかつ低コストででき、しかも外観
品質の優れた車両のトランクリツド構造を提供す
ることにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案にあつては、
リアフイニツシヤを備える下開き形の車両のトラ
ンクリツド構造において、トランクリツドのアウ
タパネルをリアフイニツシヤ取付部にて上下に分
割すると共に、当該分割パネルの合せ部に前記リ
アフイニツシヤを共締めしたものから構成した。

（作用） 本考案にあつては、アウタパネルの成形加工は
小型の成形型、成形機を用いて分割パネルがそれ
ぞれ別個に成形される。さらに分割パネルはリア
フイニツシヤと共に共締めされて接合され、分割
パネルの合せ部はリアフイニツシヤによつて覆わ
れる。

（実施例） 以下に本考案を図示の実施例に基づいて説明す
る。本考案の一実施例に係る車両のトランクリツ
ド構造を示す第１図および第２図において、１は
下開き形のトランクリツドであり、第３図に示し
た従来例と同様に後縁が下方に折曲されその下端
がバンパ付近まで延びており、バンパ付近まで拡
げられたトランクルームの開口部を覆うようにな
つている。トランクリツド１は略断面逆Ｌ字状の
インナパネル２とアウタパネル３とから構成さ
れ、アウタパネル３後面にリアフイニツシヤ４が
取付けられている。

上記アウタパネル３は略水平に延びる上面部３
１と、該上面部３１後縁から下方に向つて延びる
後面部３２とから成つている。後面部３２は略Ｔ
字形状を呈し、上面部３１と同一幅の上端部３２
ａと図示しない車両後部のテールランプ間に嵌ま
る幅の狭い垂下部３２ｂとから成つている。この
垂下部３２ｂに車幅方向全幅に亘つて延びる凹陥
部３２ｃが設けられ、該凹陥部３２ｃに上記リア
フイニツシヤ４がその上側縁および下側縁の四ケ
所にてボルト止めされている。リアフイニツシヤ
４の各ボルト取付部裏面にはボス５が突設されて
おり、このボス５によつてリアフイニツシヤ４外
表面を後面部３２外表面とが同一面となるように
位置決めされる。各ボス５にはボルト６が植設さ
れ、アウタパネル３に設けたボルト挿通孔７に挿
通されてナツト８によつて締結される。

上記アウタパネル３の垂下部３２ｂはリアフイ
ニツシヤ４を固着する上側縁側のボルト取付部に
て上下方向に２分割となつている。したがつて上
側分割パネルＡは上記アウタパネル３の上面部３
１、後面部３２の上端部３２ａおよび垂下部３２
ｂの一部とから構成され、下側分割パネルＢは垂
下部３２ｂのうち下方に延びる残りの部分によつ
て構成されている。上側分割パネルＡ下端縁と下
側分割パネルＢ上側縁との合せ部Ｃは、上側分割
パネルＡが下側分割パネルＢの外面に重ねられ、
下側分割パネルＢ上側縁には上側分割パネルＡの
厚み分の段差９が形成されて両分割パネルＡ，Ｂ
の位置決めが図られている。この両分割パネル
Ａ，Ｂの合せ部にはボルト挿通孔７…が貫通形成
され、上記リアフイニツシヤ４取付用のボルト６
が挿通されてリアフイニツシヤ４と共締めされる
ことにより締結されている。

上記構成の車両のトランクリツド構造にあつて
は、まず、上側分割パネルＡおよび下側分割パネ
ルＢがそれぞれ図示しないプレス成形機、あるい
はヘム型成形機によつて別途に成形される。上側
分割パネルＡは上面部３１の後縁から下方に突出
する突出分の寸法は上端部３２ａから垂下部３２
ｂの一部だけとなるので、その成形型の大きさは
下開き形でない通常のトランクリツドの成形型と
同等のものでよい。また成形機も大型にする必要
はなく、通常のトランクリツド成形用の成形機で
成形することができる。また下側分割パネルＢは
幅および長さ共に上側分割パネルＡより小さく、
その成形型および成形機を大型にする必要はな
い。つぎに各分割パネルＡ，Ｂを成形した後、上
側分割パネルＡの下側縁に下側分割パネルＢ上側
縁を重ね合わせる。この場合下側分割パネルＢお
よび上側分割パネルＡに設けたボルト挿通孔７，
７をロケート孔として用い、両分割パネルＡ，Ｂ
の位置合せを行なう。さらに本実施例では下側分
割パネルＢに設けた段差９によつて両分割パネル
Ａ，Ｂの位置決めが容易になされる。両分割パネ
ルＡ，Ｂを重ねた後リアフイニツシヤ４をアウタ
パネル３の凹陥部３２ｃに嵌込むと共にボルト６
を上記両分割パネルＡ，Ｂの合せ部のボルト挿通
孔７，７に挿通し、ナツト８によつて締結する。
上記ボルト６を取付けると、リアフイニツシヤ４
の下側縁側のボルト６も同時にボルト挿通孔７に
挿通されることになり、上記合せ部に設けたボル
ト挿通孔７，７はリアフイニツシヤ４の取付基準
孔として利用することができる。このように両分
割パネルＡ，Ｂを組付けると同時にリアフイニツ
シヤ４が取付けられ、両分割パネルＡ，Ｂの合せ
部はリアフイニツシヤ４によつて覆われて外観品
質が良好に維持される。両分割パネルＡ，Ｂを組
付けてアウタパネル３を形成した後、別途に成形
したインナパネル２と接合してトランクリツド１
が成形され、車両の後部に組付けられる。

（考案の効果） 本考案は以上の構成および作用から成るもの
で、アウタパネルをリアフイニツシヤ取付部にお
いて上下に分割する構造としたので成形加工を行
なうプレス成形機やヘム型成形機およびその成形
型等は比較的小型のもので行なうことができると
共に、コスト低減を図ることができる。さらに分
割パネルの合せ部にリアフイニツシヤを共締めす
るようにしたので、分割パネルの合せ部がリアフ
イニツシヤにより覆われて外観品質を損なうこと
がない等の種々の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る車両のトラン
クリツド構造の要部縦断面図、第２図は第１図の
アウタパネルの分解斜視図、第３図は従来のトラ
ンクリツド構造を備えた車両後部の概略斜視図、
第４図は第３図のトランクリツドの要部縦断面
図、第５図は第４図のアウタパネルの概略斜視図
である。 符号の説明、１……トランクリツド、２……イ
ンナパネル、３……アウタパネル、４……リアフ
イニツシヤ、６……ボルト、７……ボルト挿通
孔、８……ナツト、９……段差、Ａ……上側分割
パネル、Ｂ……下側分割パネル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リアフイニツシヤを備える下開き形の車両のト
   ランクリツド構造において、トランクリツドのア
   ウタパネルを前記リアフイニツシヤ取付部にて上
   下に分割すると共に、当該分割パネルの合せ部に
   前記リアフイニツシヤを共締めして成ることを特
   徴とする車両のトランクリツド構造。