JPH0535910Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車の後部アウタパネルに係り、
特にロアバツク部を有するラツゲージまたはバツ
クドアのアウタパネルの構造の改良に関する。

（従来の技術） 最近、小型車においては、トランクルームの使
用性を向上させる目的で、第４図に示すように、
ロアバツク部３を一体に設けてリヤバンパー４の
上部から開くようにしたラツゲージ１またはバツ
クドア２が多用されるようになつてきている。

ところで、このようなラツゲージ１またはバツ
クドア２のアウタパネルは、従来一般にはロアバ
ツク部３を含めてプレス加工により一体成形され
ていた。この場合、ロアバツク部３はテールラン
プ５，５（第４図）を避けて狭幅に形成しなけれ
ばならず、このため第５図に示すように、上部パ
ネル（本体部）の幅方向縁端ａの延長上で板取り
をすると、ロアバツク部３の両側部分（斜線部
分）がスクラツプｂ，ｂとなり、その分材料歩留
りが低下するという問題があつた。またこのよう
にロアバツク部３を含めて一体成形した場合は、
そのＶ字形状によりパネルを反転して２度打ちを
しなければならないばかりか、成形条件が厳しく
なつて高グレード材の使用が余儀なくされ、多く
のデメリツトが生じるという問題があつた。

そこで、例えば第６図に示すように、ラツゲー
ジ１またはバツクドア２のアウタパネル６をテー
ルランプの上方位置に対応する部位で分割して、
上部パネル７と下部パネル８とを別体で成形し、
これらをスポツト溶接ｃにて一体化する方法が一
部試みられていた。なお同図において９はインナ
パネルを表わす。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記従来の分割方式によれば、
上部パネル７と下部パネル８との継目が意匠面に
露出して意匠性を損なうこととなり、このため、
該継目をモール１０等でカバーしなければならな
い面倒さがあり、また逆にこのモール１０等の存
在により意匠的に大きな制約を受けるという問題
があつた。

本考案は、上記従来の問題に鑑みてなされたも
ので、分割構造としても特別の外装を施す必要が
なくかつ意匠性を損なうことのない自動車の後部
アウタパネルを提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決するため、本考案は、ロアバ
ツク部を有するラツゲージまたはバツクドアのア
ウタパネルであつて、そのテールランプの直上位
置に対応する部位に、ボデーの後部縦壁をなす後
方意匠面に対してほヾ直角をなすようにボデー内
側へ食い込む段差部が設けられ、該段差部内で分
割して別体に成形した広幅の上部パネルと狭幅の
下部パネルとが該段差部内で合せて一体化されて
おり、前記下部パネルが前記ロアバツク部を形成
している構成としたことを特徴とする。

本考案において、上記下部パネルは上部パネル
に比して薄肉に形成するのが望ましい。

（作用） 上記のように構成した自動車の後部アウタパネ
ルにおいて、後方意匠面に対してほヾ直角にボデ
ー内側へ食い込む段差部を設け、この段差部内で
分割したので、上・下部パネルの継目が外から死
角となつて意匠性が損なわれることがなくなる。
また下部パネルは相対的に小型となり、剛性の確
保が容易となつて、その薄肉化も可能になる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を添付図面にもとづいて
説明する。

第１図ないし第３図において、１１は自動車の
ラツゲージのアウタパネルで、該アウタパネル１
１の、テールランプ（図示略）の直上位置に対応
する部位には、ボデーの内側へ大きく食い込む段
差部１２が設けられている。しかしてアウタパネ
ル１１は、前記段差部１２内で分割された上部パ
ネル１３と下部パネル１４とから成つている。上
部パネル１３と下部パネル１４とは、それぞれプ
レス加工により別体に成形され、上部パネル１３
の下端に形成した内方フランジ１３ａと下部パネ
ル１４の上端に形成した外方フランジ１４ａとを
合せた状態でスポツト溶接Ｐにて一体化されてい
る。なお。１５は前記両フランジ１３ａ，１４ａ
の接合部に塗布されたシーラー、１６は該アウタ
パネル１１に合わされるインナパネルである。

かゝる構成により、上部パネル１３と下部パネ
ル１４とを別体に成形して、それぞれの内方フラ
ンジ１３ａと外方フランジ１４ａとを溶接すれ
ば、その継目が両フランジ１３ａ，１４ａによつ
て形成される段差部１２内に収まる。そしてこの
段差部１２は、アウタパネル１１の後方意匠面Ｓ
に対してほゞ直角をなすようにボデーの内側へ食
い込んで外から死角となり、この結果、特にモー
ル等でカバーしなくとも該継目は意匠性を損なう
ことはなくなる。

また上部パネル１３ａと下部パネル１４ａと
は、それぞれ別体で形成したので、プレス加工に
際して効率的に板取りすることが可能となり、前
出第５図に示したごときスクラツプｂの発生がな
くなつて材料歩留りが向上する。また下部パネル
１４ａは相対的に小型となり、剛性の確保が容易
となつて上部パネル１３ａよりも薄肉の材料を使
用することができ、この面でもコスト低減を達成
し得る。しかも上部パネル１３を共通化して下部
パネル１４のみを取代えるというマイナーチエン
ジも可能となり、後部パネル設計の自由度が向上
する。

なお、本発明は、上記ラツゲージに代えてバツ
クドアへも適用できることはもちろんである。

また上記実施例において、上・下部パレツト１
３，１４の結合にスポツト溶接を用いたが、これ
に代え他の溶接法を用いても良い。

（考案の効果） 以上、詳細に説明したように、本考案にかゝる
自動車の後部アウタパネルは、テールランプの直
上位置に対応する部位に後方意匠面に対してほゞ
直角にボデー内側へ食い込む段差部を設け、この
段差部内で上・下に分割したので、上・下部パネ
ルの継目が外から死角となつて意匠性が損なわれ
ることがなくなる。また前記意匠性が損なわれな
いことにより、特にモール等で継目をカバーする
必要がなくなり、部品点数を削減できるばかり
か、意匠的な制約を排除することができる。しか
も継目には雨水や陽光が直接当らないため、溶接
部が腐食し難くなる。さらに上・下パネルのそれ
ぞれは幅がほヾ一様となつているので、板取りに
無駄がないばかりか成形が容易となり、この面で
もコスト低減に寄与するものとなる。

また上・下部の分割により下部パネルを上部パ
ネルより薄肉に形成することも可能となり、この
場合は後部パネルが全体として軽量化され、小さ
な力で持上げることができて操作性が向上するよ
うになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかゝる自動車の後部アウタパ
ネルの模式図、第２図は第１図のＡ矢視拡大図、
第３図は本アウタパネルの分解斜視図、第４図は
ロアバツク部を有する一体型アウタパネルの模式
図、第５図は一体型アウタパネルの不具合例を示
す説明図、第６図は従来の分割型アウタパネルの
模式図である。 １１……アウタパネル、１２……段差部、１３
……上部パネル、１４……下部パネル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ロアバツク部を有するラツゲージまたはバツ
   クドアのアウタパネルであつて、そのテールラ
   ンプの直上位置に対応する部位に、ボデーの後
   部縦壁をなす後方意匠面に対してほヾ直角をな
   すようにボデー内側へ食い込む段差部が設けら
   れ、該段差部内で分割して別体に成形した広幅
   の上部パネルと狭幅の下部パネルとが該段差部
   内で合せて一体化されており、前記下部パネル
   が前記ロアバツク部を形成している自動車の後
   部アウタパネル。 (2) 下部パネルを上部パネルに比して薄肉に形成
   したことを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の自動車の後部アウタパネル。