JPH04314820A - 熱処理炉用ロール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は熱処理炉内に配設され、
鋼板を焼鈍し搬送するためのロールであって、特に高温
耐剥離性、高温耐摩耗性及びビルドアップ防止に優れた
熱処理炉用ロール（以下ハースロールと略記する）に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、連続焼鈍炉内に配設されるハー
スロールは６００〜１３００℃の酸化性又は還元性雰囲
気で長時間連続して被熱処理材を焼鈍し、搬送させるた
めにその表面は摩耗を受けたり、また被熱処理材の付着
酸化物や鉄粉がロール表面に凝着堆積していわゆるビル
ドアップを形成したりしている。

【０００３】摩耗やビルドアップによる凹凸がハースロ
ール上に発生すると、被熱処理材である鋼板が搬送され
る間に疵付けられて、品質の低下の原因となっている。 このような鋼板の品質低下を防止するために、定期的に
操業を中断して熱処理炉内を冷却した後、作業者が炉内
に入ってハースロールの表面を研削手入れしたり、ロー
ルそのものを取り替えたりしている。

【０００４】このため従来から、この摩耗やビルドアッ
プを防止するため、特開昭５９−２２６１１３号公報の
ようにロール母材表面に溶射により形成した結合用金属
層を介して、ムライト及び結合用金属との混合物からな
る溶射中間層及び、ムライトの溶射被膜最上層を溶射に
より形成したロールが提案されていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしムライト溶射被
膜は、ムライトの熱膨張係数が結合用金属に比べかなり
小さく、特開昭５９−２２６１１３号公報のように溶射
層を三層化した場合も、溶射被膜最上層と溶射被膜中間
層との間及び溶射被膜中間層と結合用金属層の間の熱膨
張係数差が大きく、熱変動が生じた際に被膜間に発生す
る応力を十分に緩和出来ず耐剥離性に劣るという欠点が
あった。

【０００６】本発明者等は種々研究の結果、溶射被膜最
上層と中間層で使用するムライト原料粉末にセラミック
ウィスカーを添加造粒し溶射することでハースロール基
体との密着性に優れ、剥離することなく、かつ高温耐摩
耗性とビルドアップ防止効果の大きい被覆ロールを見出
し本発明を完成した。

【０００７】すなわち本発明は酸化性または還元性雰囲
気中に配設されて使用するに際して優れた高温耐剥離性
、高温耐摩耗性とビルドアップ防止効果の大きい被覆層
をロール表面に形成したハースロールを提供することを
目的になされたものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明はロール母材表面
に溶射により形成した結合用金属層を介して、ムライト
、結合用金属及びセラミックウィスカー（ムライトに対
し１０〜６０ｖｏｌ％）の混合物からなる溶射中間層及
び、ムライト及びセラミックウィスカー（ムライトに対
し１０〜６０ｖｏｌ％）の混合物からなる溶射被膜最上
層を溶射により形成した耐剥離性、耐摩耗性、耐ビルド
アップ性に優れた熱処理炉用ロールを要旨とするもので
ある。

【０００９】以下、本発明について詳細に述べる。ハー
スロールの基体は、耐熱鋳鋼で作られる。これらの基体
には溶射によりその表面部に結合用金属層、中間部にム
ライト、結合用金属及びセラミックウィスカー（ムライ
トに対し１０〜６０ｖｏｌ％）の混合物からなる層、最
上層にムライト及びセラミックウィスカー（ムライトに
対し１０〜６０ｖｏｌ％）の混合物からなる層を成膜す
る。

【００１０】本発明において溶射被膜にセラミックウィ
スカーを添加したのは結合用金属層、中間層及び最上層
の界面でウィスカーがそれぞれの層を橋渡しする形で存
在することで、二つの層を連結しその結果層間の結合力
を増加させる効果を持つためである。

【００１１】今回の評価結果からウィスカー添加量がム
ライト原料粉の量に対し５ｖｏｌ％では、ウィスカーの
添加による耐剥離性の向上効果が確認されず、またムラ
イト原料粉の量に対し７０ｖｏｌ％ではムライト本来の
性質をなくし、耐ビルドアップ性に劣ることがわかった
。このことからウィスカー添加量としては、１０〜６０
ｖｏｌ％程度が好ましい。

【００１２】以下、今回の試験内容及び結果について詳
細に述べる。本発明のセラミック被膜については、耐剥
離性、耐摩耗性、耐ビルドアップ性試験を行った。この
うち耐剥離性、耐摩耗性試験には５０×５０×１０ｍｍ
のＳＵＳ基材、耐ビルドアップ性試験には５０×３０×
５ｍｍのＳＵＳ基材上に表１の溶射を施したサンプルを
使用した。尚、溶射被膜作製の際に使用した原料粉末の
物性値を表２に示す。サンプルの溶射はプラズマ溶射に
より行い、この際溶射温度は原料のムライトが溶融し、
ウィスカーが溶融しないように選択した。

【００１３】本発明品および比較材についてまず耐剥離
性試験を行った。耐剥離性試験はサンプルに１０００℃
１５分保持後水中１５分保持の熱衝撃を繰り返した際の
剥離回数を測定することで行った。この結果表３に示す
ように本発明品は耐剥離性に関しては比較材に比べかな
り優れ、耐剥離性が向上されていることがわかった。

【００１４】

【表１】

【００１５】

【表２】

【００１６】

【表３】

【００１７】次に本発明品および比較材の高温耐摩耗性
を調べるために、下記の実験を行った。サンプル表面を
温度９００℃、雰囲気Ｎ２−Ｈ２５％　　中で材質ＳＵ
Ｊ２のボールを荷重２ｋｇ、摺動速度０．２ｍ／ｓ、摺
動距離７２０ｍほど摺動させ高温耐摩耗性を調査した。 この結果表４に示すように本開発品は比較材に比べて高
温耐摩耗性にも若干優れることがわかった。これは添加
したジルコニアウィスカーがムライトに比べ高硬度であ
るためと考えられる。また、ウィスカー添加量の多い比
較材■で耐摩耗性が低いのはジルコニアウィスカーの融
点が高く溶射の際に被膜が緻密化できていないためと考
えられる。

【００１８】

【表４】

【００１９】本開発品の耐ビルドアップ性を評価するた
め次の実験を行った。実験に用いた試験装置を図１に示
す。ＳＣＨ２２（２５Ｃｒ−２０Ｎｉ−０．４Ｃ）を素
材とした半径３５ｍｍの半月加圧ロール６を製作し２枚
の各溶射サンプル４，４’上を往復摺動させ、ビルドア
ップの発生を再現できるような評価装置を用いた。２枚
の溶射サンプル４，４’はＳＵＳ基材に両面溶射したも
の４と、片面溶射したもの４’を用い、半月形加圧ロー
ル６と２枚のサンプル４，４’の間にはビルドアップ原
料５（酸化鉄粉Ｆｅ３Ｏ４：真比重５．１８，粒度分布
１０μｍ以下）を散布し、トレイ３中に収容する。これ
らの装置は、つぼ型電気炉２の中に配置され、Ｎ２−Ｈ
２２％　　の還元雰囲気中で９００℃の一定温度で４時
間加圧ロール６を往復運動させ、ビルドアップの発生を
起こさせる。

【００２０】尚図中１は雰囲気ガス導入管、７は加圧ロ
ッド、８は荷重材料、９はカウンターバランス、１０は
シール板、１１は減速機である。以上の再現実験におい
て、図２のごとく、半月形ロール６と直接接触する面を
Ａ面、その裏の面をＢ面、そしてＢ面と向い合う面をＣ
面とし、試験後のビルドアップ発生状況を表５に示すよ
うな耐ビルドアップ性指数を用いて、それぞれの評価点
を合計した値で比較した。また、ビルドアップ源である
Ｆｅ３Ｏ４の付着面積率の平均値をもって溶射サンプル
の耐ビルドアップ性を評価した。

【００２１】

【表５】

【００２２】

【表６】

【００２３】耐ビルドアップ性試験結果を表６に示す。 本発明材は比較材よりも耐ビルドアップ性指数及びＦｅ
３Ｏ４粉の付着面積率共に優れており、耐ビルドアップ
性に優れる事がわかった。これはウィスカーとして鉄酸
化物と反応し難いジルコニアウィスカーを添加したため
と考えられる。

【００２４】これに対し比較材■が耐ビルドアップ性に
劣るのはジルコニアウィスカーの融点が高く溶射の際に
被膜が緻密されず鉄酸化物が噛み込みやすくビルドアッ
プが発生しやすいためと考えられる。

【００２５】今回セラミックウィスカーとしてジルコニ
アウィスカーを添加したがアルミナ、炭化珪素等のウィ
スカーを用いても同様の効果が得られた。尚、メタル成
分にはＮｉＣｒを使用したが、ＣｏＣｒＡｌＹ，ＣｏＮ
ｉＡｌＹ，ＮｉＣｒＡｌＹ系でも同等の結果をえた。

【００２６】

【発明の効果】以上述べたように、本発明のハースロー
ルは高温耐摩耗性、耐剥離性、耐ビルドアップ性に著し
く優れており、ロール寿命延長に大きく貢献するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

図１、図２はビルドアップ試験評価装置及び方法の説明
図である。

【符号の説明】

４，４’…溶射サンプル、　　５：ビルドアップ原料、
　　６：加圧ロール。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ロール母材表面に溶射により形成した結合
   用金属層を介して、ムライト、結合用金属及びセラミッ
   クウィスカー（ムライトに対し１０〜６０ｖｏｌ％）の
   混合物からなる溶射中間層及び、ムライト及びセラミッ
   クウィスカー（ムライトに対し１０〜６０ｖｏｌ％）の
   混合物からなる溶射被膜最上層を溶射により形成した耐
   剥離性、耐摩耗性、耐ビルドアップ性に優れた熱処理炉
   用ロール