JPH01176064A - 耐ビルドアップ性にすぐれた溶射皮膜の形成方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野〕 本発明は、鋼材熱処理炉用炉内ロール等の部材表面に耐
ビルドアップ性および耐摩耗性にすぐれた溶射皮膜を形
成する方法に関する。

〔従来の技術〕

厚板、薄板等の鋼板、その他の鋼材の加熱・熱処理を行
う炉内の搬送ロールとして、一般に高Ｃｒ−Ｎｉ系耐熱
鋳鋼ロール（ＳＣＨ１３，５ＣＨ２２等）が使用されて
いるが、これらの耐熱鋳鋼ロールの表面は鋼材表面から
剥離する金属粉や酸化スケールが固着する所謂ビルドア
ップ現象が生じ易い。このビルドアップは、被加熱鋼材
の表面に疵をつけ、その品質を著しく低下させる原因と
なる。

このビルドアップ現象を防止する方法として、ロール表
面をセラミックの溶射皮膜で被覆することが提案されて
いる（例えば、特公昭６２−２７１３３号、特開昭６２
−６３６６４号）、セラミックの被覆層は、硬質で耐摩
耗性にすぐれ、特に金属やその酸化スケールの溶融物と
の濡れ性が低いのでビルドアップ防止に著効を奏するが
、セラミック単独では鋼材の荷重や衝撃による亀裂・剥
離が生じ易いので、その対策としてセラミック粒子と金
属とを複合使用し、均一な混合組織を有する溶射皮膜を
形成することも行われている。その金属として一般にＣ
ｒ−Ｎｉ系合金が使用されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

セラミック粒子とＣｒ−Ｎｉ系合金とからなる溶射皮膜
は、その金属分であるＮｉ−Ｃｒ系合金がバインダとし
て機能し、セラミック粒子同士を結合すると共に、ロー
ル生地表面に対するの密着性を高めることにより、セラ
ミック単独の皮膜と異なって、靭性が高く、良好な耐亀
裂・剥離性を有している。しかし、その反面耐ビルドア
ップ性が弱く、スケール等の付着による表面損傷が生じ
易いため、鋼材の表面疵防止効果に乏しく、その耐用寿
命も短い。

本発明は、上記熱処理炉用ロールやその他の部材の表面
に、耐ビルドアップ性および耐摩耗性、耐剥離性等にす
ぐれた溶射皮膜を形成する方法を提供するものである。

〔問題点を解決するための手段および作用〕本発明の溶
射皮膜の形成方法は、Ａ４２１０〜３０％を含み、残部
は実質的にＣｒであるＡｌ−Ｃｒ合金と、５０〜９０重
量％の炭化クロム粉末とからなる混合物を溶射材料とし
て基材の表面に所望膜厚の溶射皮膜を形成し、ついで酸
素２４〜３０容量％を含む窒素ガス雰囲気下、８００〜
９５０℃に加熱することを特徴としている。

以下、本発明について詳しく説明する。

本発明に使用される溶射材料は、Ａ２１０〜３０％を含
むＡｎ−Ｃｒ合金と、炭化クロム粉末との混合物である
。バインダ金属としてＡｊ！−Ｃｒ合金を使用すること
としたのは、従来のバインダ金属（Ｃｒ−Ｎｉ合金）と
異なって、溶射皮膜にすぐれた耐ビルドアップ性および
耐酸化性等が与えられるからである。この材料特性は、
Ａｆ量を１０％以上とすることにより確保される。Ａｌ
．＠を高める程、その効果は大きくなるが、約３０％ま
でで十分であり、それより多くする必要はない。また、
３０％をこえると、基材表面に対する溶射皮膜の密着性
の低下傾向をみる。よって１，１１含有量は１０〜３０
％に限定した。

他方、Ａ／！−Ｃｒ合金と複合されるセラミック粉末を
炭化クロム粉末に限定したのは、ビルドアップに対する
卓抜した抵抗性を有しているだけでなく、極めて硬質で
あり、また上記Ａ　ｌ　−Ｃｒ合金との濡れ性も良く、
均質で緻密な混合組織を形成することができ、その複合
効果として、溶射皮膜を耐ビルドアップ性や、高温強度
および耐摩耗性等にすぐれたものとするからである。そ
の粒径は、３０〜１５０μｍであってよい。なお、炭化
クロムとしては、Ｃｒ５Ｃｚ、ＣｒｔＣｉ、Ｃｒ４Ｇ＋
等が挙げられるが、特にＣｒ５Ｃｚは、耐ビルドアップ
性や耐熱性等にすぐれている点で極めて好適である。

炭化クロム粉末とＡｆ−Ｃｒ合金とからなる溶射材料に
おける炭化クロム粉末の配合割合の下限を５０重量％と
じたのは、該粒子の特性、特に耐ビルドアップ性、耐摩
耗性等を十分に発現させるためであり、他方９０重量％
を上限としたのは、それを越えると、Ａｌ−Ｃｒ合金量
の相対的な不足に伴って溶射皮膜の靭性や基材表面に対
する密着性が乏しくなり、荷重や衝撃による剥離や亀裂
が生じ易くなるからである。

上記溶射皮膜の膜厚は、ロール等の使用条件等にもよる
が、耐久性確保の点から約３００μｍ以上とするのが適
当である。しかし、あまり厚くする必要はなく、約６０
０μｍまでの厚さで十分である。

なお、溶射法は、形成しようとする皮膜の膜厚に応じて
、ガスプラズマ溶射法や水プラズマ溶射法等を適宜選択
使用すればよい。

なお、溶射皮膜が形成される基材の材質に制限はなく、
目的とする用途や使用条件に応じた適宜の金属材料が使
用される。

基材の表面に所定の膜厚の溶射皮膜を形成したのち、そ
の皮膜の改質・安定化のための加熱処理を行う。溶射さ
れたままの皮膜は、その混合組織中の炭化クロム粒子の
大部分が、炭窒化物（ＣｒＯ０６２、Ｃ０，３５、ＮＯ
，０３）に変化している。酸素２４〜３０容量％を含む
窒素ガス雰囲気（空気を酸素富化したものであってよい
）中、８００〜９５０℃に加熱保持する熱処理を加える
ことにより、その炭窒化物が炭化クロムに戻り、また溶
射皮膜の表層にアルミナ（／１１０３）皮膜が生成し、
溶射皮膜の改質と安定化が達成される。

この加熱処理における溶射皮膜の改質・安定化反応を十
分に進めるには、窒素ガス雰囲気の酸素量を少な（とも
２４容量％とすることを要するが、３０容量％をこえる
多量の酸素が存在すると、酸化による皮膜の変質劣化を
招く。このため、酸素量は２４〜３０容量％とした。ま
た、その改質・安定化反応は、８００”Ｃ以上の温度域
において効果的に進行するが、９５０℃をこえると、反
応が急激化し、却って皮膜品質が損なわれる。このため
、処理温度は８００〜９５０℃の範囲に限定した。

〔実施例〕

炭化クロム粉末（平均粒径：５０μｍ）とＡｆ−Ｃｒ合
金粉末との混合粉末を溶射材料とし、ガスプラズマ溶射
機により、熱処理炉用ロール（ＳＣＨ１３）の表面に膜
厚約５００　ｐ　ｍの複合溶射皮膜を形成し、ついで加
熱処理を行って供試材を得た。

上記供試材の溶射皮膜の表面を機械加工により表面粗さ
６Ｓに仕上げたうえ、第１図に示すビルドアップ試験に
付した。

図中、（Ｔ）は供試材（Ｃは被覆層）、Ｐは酸化鉄（Ｆ
ｅ３ｇ４）粉末、（Ｗ）は押圧部材であり、供試材（Ｔ
）を酸化鉄粉末に埋め、大気雰囲気中、温度９００℃に
４時間加熱保持するとともに、上方から押圧部材（Ｗ）
にて０．５　ｋｇ／ｃｆｆｌの荷重を間歇的に負荷（５
分間負荷−５分間無負荷を反復）した。

第１表に供試材の溶射皮膜の組成、金属分の成分と併せ
て、各供試材の試験結果を示す。Ｎ（Ｌ　１〜６は発明
例、Ｎａ１ｌ〜１７は比較例である。比較例阻１１〜１
７のうち、磁１１とＮ１１１２は溶射皮膜形成後、本発
明に規定の熱処理を行っているが、皮膜組成が不適当な
例、阻１３とｋ１４は溶射皮膜の組成は本発明の規定を
満たしているが、加熱処理条件が不適当な例、Ｎα１５
〜１８は、溶射皮膜組成が本発明の規定からはずれ、か
つ熱処理条件が不適当ないし省略されている例である。

なお、表中、「耐ビルドアップ性」は、溶射皮膜表面に
対する酸化鉄粉末の付着強さの程度を次の４段階で評価
したものである。

◎：付着なしく供試材を傾斜させるだけで表面から滑落
） Ｏ：付着極少（ガーゼ振付けにより剥離）×：付着（剥
離せず） ××二付着顕著（剥離せず） また、表中、「耐剥離性」欄は溶射皮膜のロール表面に
対する密着性を次の３段階で評価した。

○：剥離なし ×：剥離発生 ××：剥離顕著 第１表に示したように、発明例隘１〜６は、いずれも、
比較例阻１１〜１８のような酸化鉄粉末の付着や、皮膜
の剥離の発生はなく、すぐれて安定した耐ビルドアップ
性を有し、かつロール表面に対する密着性も良好である
。

〔発明の効果〕

本発明方法により形成される溶射皮膜は、すぐれて安定
した耐ビルドアップ性、耐摩耗性を有し、かつ基材表面
に対する接着力も強固であるので、例えば鋼材熱処理炉
用炉内ロールの表面保護膜として形成することにより、
ロール表面のビルドアップおよび摩耗が効果的に抑制さ
れ、長期に亘る安定した操業が可能となり、熱処理操業
の効率化、被加熱鋼材の表面品質の向上等の諸効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はビルドアップ試験の模式的説明図である。 Ｔ：試験片、Ｐ二酸化鉄粉末、Ｗ：押圧部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. （１）基材表面に、Ａｌ１０〜３０％、残部実質的にＣ
   ｒからなるＡｌ−Ｃｒ合金と、５０〜９０重量％の炭化
   クロム粉末との混合物を溶射し、ついでその溶射皮膜を
   、酸素２４〜３０容量％を含む窒素ガス雰囲気中、８０
   ０〜９５０℃に加熱することを特徴とする耐ビルドアッ
   プ性にすぐれた溶射皮膜の形成方法。