JPH04315A - 耐ビルドアップ性，耐剥離性および耐摩耗性に優れる高温用搬送ロール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、熱処理炉に用いる搬送ロール、すなわち高温
鋼材の搬送に用いるロールに関するものであり、特に、
ビルドアップ防止効果に優れると共にロール基体との密
着性がよく、かつ耐摩耗性にも卓越した特性を有する表
面皮膜を設けてなる高温鋼材搬送用ロールについての新
規提案である。

〔従来の技術〕

熱処理炉、例えば鋼材の連続焼鈍炉内に配設されている
ロールは、６００〜１２００″Ｃの酸化性または還元性
雰囲気中に長時間曝されており、しかも搬送ロールとい
うのは、被焼鈍材をそうした雰囲気の中で搬送するため
に用いられるものである。従って、このロールの表面は
、摩耗を受けやすいと共に、その表面には搬送する被焼
鈍材の付着酸化物や鉄粉が堆積、凝着して、いわゆるビ
ルドアップを形成しやすい。

ロール表面に上述の如き摩耗やビルドアップの生成によ
る凹凸が発生すると、搬送される被熱処理材（以下「焼
鈍材」という）である鋼板には、搬送時に疵が入り、そ
のために焼鈍材の品質低下を招くという弊害があった。

このような焼鈍材の品質低下を防止するために、従来、
操業を定期的に中断し、熱処理炉内を冷却してから、作
業者が炉内に入り、かかる搬送ロールの表面を研削手入
れをしたり、ロールそのものを取り替えたりしていた。

このような状況の下に使われている従来の搬送ロールと
しては、 （１）高Ｃｒ、高Ｎｉ含有の耐熱合金製ロールを、水冷
または非水冷式構造にした、通板材搬送用金属ロール （２）前記（１）の耐熱合金製ロールの寿命延長を目的
として開発したもので、その表面に、ＡｌｚＯ８゜Ｚｒ
０ｚ＋　Ｓｉｏ□などのセラミックスを溶射被覆したセ
ラミック被覆ロール、セラミックと耐熱合金との複合物
を溶射被覆したサーメット被覆ロール、またはスリーブ
状セラミックロールを嵌め合わせたロールからなるセラ
ミック被覆合金ロール、 （３）黒鉛または黒鉛質繊維製スリーブを嵌め合わせた
黒鉛被覆カーボンロール、 等が知られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上述した従来使用されている各搬送ロールは、本発明者
らが希望する特性を満足するものではない。それは、上
記（１）に挙げた金属ロールのうち水冷式のものについ
ては、ロール表面温度が低下するので、ビルドアップの
発生防止には効果を示すものの、水冷による熱量損失が
大きくなるという欠点がある。一方、非水冷金属ロール
の場合、水冷による熱量損失は解消できるものの、炉内
温度（ロール温度）が８００℃以上にもなるのでビルド
アップが多発し、被焼鈍材に押疵を生じさせて品質低下
を−招くという欠点があった。

次に、前記耐熱合金ロールのもつ欠点を克服するものと
して提案された、上記（２）のセラミック被覆耐熱合金
製ロールの場合、その表面に被覆するＡＩ！０３１　Ｚ
ｒＯ，、ＣｒｚＯｉ等のセラミック溶射皮膜は、何回も
の温度変動を受けると、母材金属との熱膨張率差によっ
て、被膜自体の剥離が発生するという欠点があった。ま
た、サーメットの溶射皮膜をもつロールについては、耐
熱性、耐摩耗性などの向上に有効ではあるが、耐ビルド
アップ性の点で、なお不十分であり、それの解決が強く
望まれていた。

上述の如き斯界技術の実情に対し、従来、例えば、特開
昭５９−２２６１１３号公報では、ムライト（＾１６Ｓ
ｉｚＯ＋ｓ）と結合用金属との混合物からなる“溶射中
間層”、およびムライトの“溶射被覆最上層”とからな
る多層被覆ロールについて提案している。この被覆ロー
ルの前記溶射中間層は、ロール母材表面側からムライト
の溶射被覆最上層に向かって段階的にムライトの濃度を
増大させた層であり、皮膜は、全体が結合用金属のアン
ダーコート層も含めて３層からなる耐ビルドアップ性お
よび耐剥離性に優れた熱処理炉用ハースロールである。

この被覆ロールは、ムライトによって耐ビルドアップ性
を改善する技術であり、そして耐剥離性を付与するため
に、中間層をムライトと結合金属との遷移層とした点に
特徴がある。

しかしながら、この技術について本発明者らが検討した
ところによれば、熱処理炉の一般的操業温度である８０
０°Ｃ以上では、前記ムライト層が中間混合層から剥離
するという現象が見られ、長期間使用するためには更に
改善が必要であった。

次に、“特開平１−１２２６１１号公報には、ロール基
体の表面に形成したＣｒｚＯａとＭＣｒＡＩＹ　（但し
、ＭはＮｉ、　ＣｏおよびＣｏＮ　ｉ合金を示す）の溶
射皮膜に対し、さらにＣｒ２Ｏ，を被覆して前記溶射皮
膜の気孔を封孔してなるサーメット複合被覆ハースロー
ルが開示されている。この既知技術で提案しているハー
スロールは、耐摩耗性や耐熱性には優れているが、９５
０°Ｃ以上で長時間使用するとビルドアップ現象が見ら
れ、いわゆる長期間の使用には不安が残ることが判明し
た。

次に、上述したスリーブ状セラミックロールあるいはこ
のセラミックスリーブをロールに嵌合させたロールの場
合は、セラミックスリーブ自体の機械的強度が弱いため
割れやすく、取付は時などに十分な注意が必要となると
いう不便があり、セラミックスの長所である耐ビルドア
ップ性が優れるという効果が減殺されるという問題点が
あった。

次に、上記（３）のカーボンロールの場合は、高温弱酸
化性雰囲気や高温還元雰囲気のいずれの雰囲気で使用し
ても、ビルドアップの生成は比較的少ない。例えば、特
公昭４７−１３１６５号公報で開示提案している“Ｃｒ
ｚＣｈを含浸させたカーボンロール”は、弱酸化性雰囲
気中において良好なビルドアンプ性を示す。しかし、Ｃ
ｒｔ０３含浸カーボンロールの使用温度は９００°Ｃ程
度で、それ以上の高温では酸化消耗が却って大きくなる
ので耐摩耗性に著しく劣り使用できない。さらに連続焼
鈍炉等で使用されるような大径ロール（８００ｍｍφ以
上）としては強度が不足するという問題点を抱えていた
。

上述したように、従来の熱処理炉用高温搬送ロールは、
表面皮膜の密着性（耐剥離性）や耐摩耗性が優れると共
に、さらに高温操業条件下での耐ビルドアップ性を満足
するものは存在しなかった。

本発明は、高温操業条件下においても耐ビルドアンプ性
のみならず、耐剥離性、耐摩耗性のいずれの特性をも満
足できる高温用搬送ロールを提供することを目的とする
。

〔課題を解決するための手段〕

上述の目的を実現するべく鋭意研究した結果、本発明者
らは、酸化性、中性または還元性雰囲気中で使用される
高温用搬送ロールについて、耐熱衝撃性に優れ、かつビ
ルドアップ防止効果の大きい被覆材料を研究するうちに
、ロール基体もしくはアンダーコートとの密着性に優れ
、特に耐ヒルドアツブ性に優れた特性を示す溶射被覆層
を知見し、本発明を完成した。

すなわち、上記目的を達成することができる本発明の構
成は、ロール基体の表面に、直接または合金のアンダー
コート層を介し、５５〜８５　ｖｏｌ％のムライト（Ａ
Ｉ６Ｓ１２０１３）を含み、残部がＣＯ、Ｃｒ、　Ｎｉ
、ＡＩ、　Ｙ、　Ｔａ、　Ｈｆ、　ＭｏおよびＷのうち
から選ばれる１種または２種以上の耐熱金属もしくは耐
熱合金との混合物からなるサーメット溶射被覆層を設け
たことを特徴とするものである。

〔作　用〕

高温雰囲気の熱処理炉において、綱板を支持し、搬送す
る高温搬送ロールは、その基体が耐熱鋼で構成されてい
る。

本発明ロールは、好ましくは、まず予め、この炉内ロー
ル基体表面に対し、母材金属との密着性に優れた合金、
例えば、ＭＣｒＡＩＹ　（但し、ＭはＮｉ。

ＣｏおよびＣｏＮｉ合金である）合金を、アンダーコー
トとして溶射法によって０．０３〜０．５　ｒｔｍの厚
みに形成する。

この溶射合金層をアンダーコートとして形成する目的は
、ロール基体に対して強固に密着させると同時に、以下
に説明する本発明に特有なサーメット溶射層との接合性
を良くして、使用環境下におけるロール基材への熱衝撃
や鋼板との接触による機械的衝撃に良く耐え、コーティ
ング層の剥離抵抗を高めることにある。

本発明は、上記アンダーコート上に、５５〜８５ｖｏｌ
％のムライト（ＡＩ６ＳＩＺＱ１３）を含みかつ残部が
Ｃｏ、　Ｃｒ、　Ｎｉ、　Ｍｏ、ＡＩ、　ＴａおよびＹ
のうちから選ばれる１種または２種以上の耐熱金属もし
くは耐熱合金との混合物からなるサーメットの溶射被覆
層を、溶射法によって０．０５〜３．０　ｍｍ厚さに形
成する。

上記サーメット混合物中におけるマトリックスを形造る
上記Ａ１１ＳｉｚＯ＋３は、鉄系金属との濡れ性、反応
性が悪いという特性があり、そのためにこの材料を熱処
理炉搬送ロールとして使用すると、却って耐ビルドアッ
プ性に対して好適に作用する。

しかしながら、このムライト（Ａ１６ＳＩ　２０１３）
単体を、ロール基体上に溶射しただけの搬送ロールは、
８００″Ｃ以上の高温雰囲気に曝されると、温度変動に
対するフレキシビリティに劣るために、アンダーコート
との間で剥離が生じやすい。この現象は、たとえアンダ
ーコートとムライト溶射層との間に、中間層としてムラ
イトと結合用金属との中間結合層を形成したとしても防
ぐことができず、結局剥離を防止することができない。

すなわち、高温熱処理炉に用いる搬送ロールとしては、
ムライト（Ａ１６ＳｉｚＯ＋ｚ）単体の溶射皮膜は適当
でないことが判った。

そこで本発明では、ムライト（Ａ１６ＳｉｚＯ＋ｉ）が
もつ優れたビルドアップ効果を活かすべ（、さらに改良
を進めた結果、かかるムライト（Ａ１６ＳｉｚＯ＋ｚ）
に結合材としてＣｏ、　Ｃｒ、　Ｎｉ、　ＡＩ、　Ｙ、
　Ｔａ、　Ｈｆ、　Ｍ。

およびＷのうちから選ばれる１種または２種以上の耐熱
金属もしくはそれらの合金を適量配合することにより、
８００°Ｃ以上での耐熱衝撃性および耐ビルドアップ性
に優れたサーメット溶射被覆層を形成することができる
ことを知見した。

ここで、上記ムライト（Ａ１６ＳｉｚＯ＋：＋）の量に
関しては、５５　ｖｏｌ％未満では、ビルドアップが発
生して短期に使用に耐えない状態になる。一方、耐ビル
ドアップ性が優れていたとしても、高温稼働中に溶射被
覆層がロール基体から剥離しては無意味であり、この剥
離を防止するだけの密着力が必要となる。この密着力を
確保するためには、サーメツト層内に含まれるＣｏ、　
Ｃｒ、　Ｎｔ、　Ａｌｌ　Ｙ＋　Ｔａ、　Ｈｆ。

ＭＯおよびＷのうちから選ばれる１種もしくは２種以上
からなる耐熱金属もしくは耐熱合金の含有量が多い程、
密着力は向上し、耐剥離性は向上する。

従って、溶射被覆層の剥離を防止するためには、結合材
として、上記耐熱金属または耐熱合金量を１５　ｖｏｌ
％よりも多く含有させること、すなわち、ムライトを８
５ｖｏ　１％以下の範囲で含有させることが必要である
。

以上のことを整理すると、使用環境において耐ビルドア
ップ性、耐剥離性並びに耐摩耗性に優れたロールとして
機能させるためには、ムライト（ＡＩ６Ｓｉｚ（１＋３
）の量は５５〜８５　ｖｏｌ％にすることが必要である
。

なお、ムライト台金溶射皮膜を有する本発明の搬送ロー
ルに対しては、さらに熱処理（４００〜９００”Ｃ）を
加えることにより皮膜の焼成を行ってもよく、このこと
によってサーメット溶射皮膜の耐摩耗性および耐ビルド
アップ性はさらに向上する。

なお、本発明において、ムライト・金属のサーメット溶
射被覆層、およびアンダーコートを含めたサーメット複
合溶射被覆層の厚さは、それぞれ０．０５閣より薄いと
皮膜が摩耗した場合、被覆層の効果がなくなって種々の
高温特性が発揮できず、一方被覆層が３．０閣より厚く
なると、層内に応力が蓄積して剥離しやすくなるので、
かがる被覆層の厚さは、０．０５−〜０．３−の範囲内
が好適である。

なお、本発明はめっき系の連続焼鈍炉に限らず、冷延鋼
板や電磁鋼板等の連続焼鈍炉で使用する場合にも有効で
ある。

〔実施例〕

皇豊性上 耐熱鋼製ロール基材に、まずアンダーコートとしてＣｏ
ＮｉＣｒ＾ＩＹ合金を０．１ｍ厚さにプラズマ溶射し、
その後、第１表に示す配合比のＡ１６ＳｉｚＯ＋＋と耐
熱合金からなるサーメット溶射被覆材料をプラズマ溶射
によって０．３閣の厚さに施すことによって、サーメッ
ト複合溶射被覆層を設けた試験搬送ロールを作製した。

この試験搬送ロールを亜鉛めっき鋼板用連続焼鈍炉にお
ける無酸化雰囲気で使用温度９５０℃の条件下で長時間
実機試験した。

その結果、第１表に示すように、本発明に係る試験ロー
ル阻３〜６は、長時間にわたって優れた耐ビルドアップ
製を示すと共に、優れた耐用性（摩耗量）を示した。

これに対し、ムライト含有量の少ないＮ１１ｌ、　　２
比較ロールは、短期日にビルドアップが発生し、またム
ライト含有量の多い隘７，８は、溶射被覆層にクラック
を発生して剥離が生じた。

実施例２ 第１表に示すＮｏ、　１〜８と同様のサーメット複合溶
射被覆層を１００Ｘ１００　ｍｍの耐熱鋼表面に形成し
、これを１０００°Ｃに１時間加熱した後、水冷すると
いう処理を繰り返し、剥離するまでの回数を調べた。

その結果を剥離指数として第１図に示す。

この図から判るように、金属または合金量の減少により
、耐剥離性の低下が確認され、結合材としての金属また
は合金量は１５％以上、好ましくは２０％以上が必要で
ある。

実施例３ 本発明に係る搬送ロールを、実際の亜鉛めっき鋼板用連
続焼鈍炉の均熱帯ハースロールとして組み込み、試験的
に使用したところ、２年間の使用であっても、その被覆
層には摩耗やビルドアップ等、何らの変化も認められず
、従来の耐熱鋼製ロールおよび既知のＺｒＯ□−８％Ｙ
２０．の溶射被覆ロールに比べ数倍の耐用期間を示した
。

〔発明の効果〕

上述したとおり、本発明に係る高温用搬送ロールは、耐
ビルアップ性と高温強度（耐剥離性、耐摩耗性）に著し
く優れており、ロール寿命延長および通板材の品質向上
に大きく貢献するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、ＣｏＮｌＣｒＡＩＹ合金添加量と剥離までの
回数との関係を示すグラフである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １．ロール基体の表面に、直接、または合金のアンダー
   コート層を介し、５５〜８５ｖｏｌ％のムライト（Ａｌ
   ＿６Ｓｉ＿２Ｏ＿１＿３）を含み、残部がＣＯ、Ｃｒ、
   Ｎｉ、Ａｌ、Ｙ、Ｔａ、Ｈｆ、ＭｏおよびＷのうちから
   選ばれる１種または２種以上の耐熱金属もしくは耐熱合
   金との混合物からなるサーメット溶射被覆層を設けたこ
   とを特徴とする耐ビルドアップ性、耐剥離性および耐摩
   耗性に優れる高温用搬送ロール。