JPH0430915B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は孔版印刷原版を用いて簡便に印刷でき
るスタンプ式孔版印刷器に関するものである。

（従来技術と問題点） 孔版印刷器は、孔版印刷原版が孔版印刷原版保
持体に弛んだままでで持されていると印刷時に印
刷しようとする文字、図形などのパターンが変形
し所望どおりに印刷できないので、孔版印刷原版
に張力を加えて保持する必要がある。ところで、
従来のスタンプ式孔版印刷器に使用される孔版印
刷原版は四角形の枠内に孔版印刷原紙がしわにな
らない程度に平らに貼着して作製したものであ
る。枠体は一般に紙であるため、乾燥時には孔版
印刷原版の平面性が比較的保持できるが、空気中
の湿気の影響で伸縮し、湿度の高い季節や地方で
は、孔版印刷原版がしわになるため所望どおりに
印刷できなかつたり、ずれたりしていた。また、
孔版印刷原版を孔版印刷原版保持体に取付けるに
は、例えば実公昭58−26129号公報に記載されて
いるような、孔版原紙組立体１０を弾性板９に設
けられた〓状の係止装置に挿着して取付けてい
た。そのために、〓の下端部が孔版原紙組立体１
０より被印刷紙側に突出した形となり、被印刷紙
に印刷をしようとすると、前述の係止装置の下端
部が被印刷紙や被印刷紙を載せた台などに接触し
てしまい孔版原紙組立体１０の印刷面と被印刷紙
間にかなりの隙間が生じ、印刷面全体は被印刷紙
に平面状にきちんと接触しない。したがつて、孔
版原紙組立体１０のその部分の印刷インキは被印
刷紙に転写せずにその部分は鮮明に印刷されない
という問題があつた。

（発明の目的） 本発明は前述の欠点を改良したもので、孔版印
刷原版に張力を与えて孔版印刷原版を張つた状態
で、かつ孔版印刷原版の印刷面とほぼ同一の平面
内に保持手段が突出しないように孔版印刷原版保
持体に保持することにより、被印刷紙の鮮明に印
刷できるとともに、印刷後に被印刷紙がインキの
粘着により孔版印刷原版の印刷面に付着しないよ
うに、被印刷紙と孔版印刷原版の印刷面を離隠さ
せる機構を有したスタンプ式孔版印刷器を提供す
ることにある。

（発明の構成） 本発明のスタンプ式孔版印刷器は上記目的を達
成するために、両端部に補強片を固着し、一方の
面に一端を開閉自在にしたインキ不通過性のシー
トを有した孔版印刷原版と、前記孔版印刷原版の
補強片をシート側に折曲げて印刷面がほぼ平面と
なるように前記孔版印刷原版を張力を与えて取付
ける保持手段を前記印刷面より上方に設けた、か
つ前記印刷面に押圧力を与える押圧体を内蔵した
孔版印刷原版保持体と、前記印刷面を被印刷紙よ
り離隔させる弾性体と、前記弾性体の変形に応じ
て相対的に移動可能に設けた前記弾性体を支持す
る弾性体保持体と、本体からなる構成としてあ
る。

本発明の特徴は、孔版印刷原版を上記のように
形成したことと、その補強片をインキ不通過性の
シート側に折曲げて孔版印刷原版を取付ける保持
手段を孔版印刷原版の印刷面より上方の箇所に、
孔版印刷原版保持体を設けたことである。孔版印
刷原版は印刷面がほぼ平面となるように張つた状
態に孔版印刷原版保持体に取付けられる。孔版印
刷原版の印刷面の折曲げ部分の内側に弾性材を設
けると、弾性材の押圧力により孔版印刷原版にさ
らに張力が与えられ孔版印刷原版はさらに張つた
状態となる。被印刷紙に印刷する際は、保持手段
は孔版印刷原版の印刷面より上方にあるので被印
刷紙や被印刷紙を載せた台などに接触することが
ない。

孔版印刷原版の保持手段の１つは、孔版印刷原
版保持体に突起を設け、これを孔版印刷原版の補
強片に設けた孔に係合させる。孔版印刷原版保持
体の微小な弾性変形による力と孔版印刷原版に働
く力とが、孔版印刷原版をほぼ平面に維持する力
となる。保持手段は孔版印刷原版と係合する構
造、孔版印刷原版を挾持又は押圧する構造などで
あり、接着テープによる保持やクリツプで挾持す
る構造などでもよい。

押圧体は孔版印刷原版保持体に内蔵され、印刷
時に孔版印刷原版の印刷面に押圧力を与え印刷イ
ンキを印刷面より通過させる。

弾性体は印刷時に、被印刷紙又はそれを載置し
た物体を押圧し、本体の押下げによつて弾性変形
して孔版印刷原版の印刷面が被印刷紙に接触でき
るようにし、印刷後は弾性変形の回復により印刷
面を被印刷紙より離隔させる。種々の形状のも
の、たとえば実施例における弾性体の外に、コイ
ルスプリングも使用できる。

弾性体保持体は印刷時に本体を押下げた時に弾
性が倒れないように保持して孔版印刷原版の印刷
面がずれることなく被印刷紙に接触できるように
し、印刷ずれを防止する。

（発明の実施例） 本発明の実施例を図面において説明する。

外形が四角形で、上面１に把手部２を有する本
体３には、一方の対向した側片４の中央に把手部
２の内部に達するガイド溝５（第６図）と、側片
４とほぼ同じ突出寸法の四角形の突出部６を設け
てある。

外形が本体３の内形とほぼ同じの四角形の孔版
印刷原版保持体７には、第４図ないし第５図に示
すように、内部に四角形の窓８を設け、一方の対
向した側片９の内方へ傾斜した外面に離間した保
持手段としての突起１０と、内面に内方へ傾斜し
た斜面１１を設け、他方の対向した側片１２の内
面に凸部１３と、外面の中央に上下方向の長溝１
４を設けてある。

外形が孔版印刷原版保持体７の窓８ほぼ同じ四
角形で、底部１５を有する押圧体１６には、内部
に四角形の窓１７を設け、孔版印刷原版保持体７
の側片９に対向した、一方の対向した側片１８の
外面に内方へ傾斜した１９を設け、他方の側面２
０に孔版印刷原版保持体７の凸部１３に対応した
凹部２１を設け、底部１５の外面にほぼ同じ大き
さの弾性体の押圧板２２を固着してある。

プラスチツクの弾性体２３は、第６図に示すよ
うに、第１の弾部２４が左右対称形の長円形で短
軸と交わる部分２５を肉厚にして剛性を大きく
し、長軸と交わる部分２６を肉薄にして剛性を小
さくしてあり、第２の弾部２７は左右対称形の水
平片で、その中央部と第１の弾部２４の部分２５
とを取付部２８によつて連継してある。

孔版印刷原版保持体７の窓８に、凸部１３を凹
部２１に挿入して押圧体１６を挿入し、孔版印刷
原版保持体７の側片１２の突部２９，３０間に弾
性体２３の第２の弾部２７の端部３１を挿着して
ある。ピン３２を、本体３、弾性体２３、孔版印
刷原版保持体７の側片１２の長溝１４に挿通さ
せ、押圧体１６の側片２０に固定してある。孔版
印刷原版保持体７の斜面１１と押圧体１６の斜面
１９は離間し、その離間量は押圧体１６の押圧板
２２の孔版印刷原版保持体７内への没入量よりや
や多くなつている。

２つの離間した起立片３３は基部３４より起立
した弾性体保持体３５は起立片３３が本体３のガ
イド溝５に挿入され、上下動可能となつており、
基部３４は弾性体２３の第１の弾部２４の下部２
４ａに接触している。

孔版印刷原版３６（第７図、第８図）は孔版印
刷原版保持体７の側片１２方向の長さよりやや長
く、側片９方向の長さよりやや短い四角形で短辺
の対向した端部３７に補強片３８を固着し、補強
片３８を除く孔版印刷原版３６の印刷面３９の前
面を被覆する大きさで印刷インキ不通過性のシー
ト４０の一端部４１を一方の補強片３８に固着
し、双方の端部３７および双方の補強片３８に、
孔版印刷原版保持体７の突起１０に対応して、突
起１０とほぼ同じ大きさの孔４２および孔４３を
それぞれ設けてある。

印刷時には、あらかじめ文字、図形などのパタ
ーンを印刷面３９に穿孔して形成した孔版印刷原
版３６の穿孔部分に印刷インキを載せ印刷面３９
をシート４０で被覆し、孔版印刷原版３６の孔４
２および補強片３８の孔４３に孔版印刷原版保持
体７の突起１０を挿通させ、第２図の鎖線のよう
に孔版印刷原版３６を孔版印刷原版保持体７に取
付け、孔版印刷原版３６は補強片３８の内側から
折曲げられ張力が与えられて印刷面３９にほぼ平
面となつている。

10枚程度重ねた被印刷紙４４に弾性保持体３５
の基部３４を接触させ、本体３の把手部２を持つ
て下方に押圧して本体３を下降させ、弾性体２３
の第１の弾部２４を弾性変形させながら孔版印刷
原版保持体７、押圧体１６を押下げ孔版印刷原版
３６の印刷面３９を被印刷紙４４に接触させる。
この時、弾性体保持体３５の起立片３３は本体３
のガイド溝５を上動する（第９図）。さらに、把
手部２を下方に押圧するとピン３２が孔版印刷原
版保持体７の長溝１４を下動して押圧体１６を押
下げ、押圧体２２が印刷インキをシート４０を介
して押圧し孔版印刷原版３６の印刷面３９の穿孔
部分より通過させ、被印刷紙４４に付着させて印
刷する。

把手部２を上方に持ち上げて弾性体保持体３５
の基部３４を被印刷紙４４より離隔すると、弾性
体２３の第１の弾部２４の弾性変形の回復が起こ
り押圧体１６は押上げられ、孔版印刷原版３６お
よび押圧体１６は元の状態になる。印刷された被
印刷紙４４を取り去る。以上の操作を繰り返し
て、全被印刷紙４４に印刷する。

弾性体２３の代わりに、第１０図の弾性体２３
_１、第１１図の弾性体２３₂を使用できる。プラス
チツクの弾性体２３₁は、第１の弾部２４₁が長軸
と交わる部分２６₁を肉薄にした左右対称形の長
円部２４’₁と、その底部に設けた左右対称形の
接触片２４”₁よりなり、第２の弾部２７₁は左右
対称形の水平片で、その中央と第１の弾部２４₁
の長円部２４’₁の短軸と交わる部分２５₁は取付
部分２８₁によつて連継してある。接触片２４”₁
は長円部２４₁の底部から左右対称形に突出した
形状であるので、印刷後に孔版印刷原版３６を被
印刷紙４４より引き離す力が大きく、特に被印刷
紙４４が薄かつたり、剛性の小さな紙質で作られ
ているときに、孔版印刷原版３６から被印刷紙４
４を印刷ずれを生ずることなく引き離すことがで
きる。接触片２４”₁が肉薄の材質で作られている
ときは、上方に凸状に湾曲させて、有効な弾力を
働かせることができる。

弾性体２３₂は、プラスチツクの第２の弾部２
７₂が左右対称形で中央に取付部２８₂を有し、金
属の第１の弾部２４₂は左右対称形で、両端部を
取付部２８₂に装着してある。この場合も、弾性
体２３₁の接触片２４₁のような、金属又はプラス
チツクの接触片をビス止め、熱溶着、その他の手
段で取付けることもでき、接触片２４”₁と同じ作
用効果を発揮できる。

（発明の効果） 本発明のスタンプ式孔版印刷器は孔版印刷原版
が孔版印刷保持体にほぼ平面となつて取付けら
れ、孔版印刷原版を保持する保持手段はその印刷
面より被印刷紙側に突出しないので、印刷面全体
が被印刷紙にきちんと平面状に接触し、被印刷紙
に印刷所望どおりに鮮明で美しい細密印刷ができ
る。さらに、弾性体を設けてあるので、印刷後に
被印刷紙が孔版印刷原版の印刷面に付着すること
もない。また、弾性体は被印刷紙に印刷する際
の、印刷所望箇所への目印となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のスタンプ式孔版印刷器の平面
図、第２図は正面図、第３図は側面図、第４図は
第３図の４−４線の断面図、第５図は第４図の５
−５線の断面図、第６図は第３図の６−６線の断
面図、第７図は孔版印刷原版の平面図、第８図は
正面図、第９図は印刷時のスタンプ式孔版印刷器
の正面図、第１０図および第１１図は弾性体の他
の実施例の正面図である。 ３……本体、７……孔版印刷原版保持体、１０
……突起、２３……弾性体、３５……弾性体保持
体、３６……孔版印刷原版、３８……補強片、３
９……印刷面、４０……シート、４４……被印刷
紙。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 両端部に補強片を固着し、一方の面に一端を
   開閉自在にしたインキ不通過性のシートを有した
   孔版印刷原版と、前記孔版印刷原版の補強片をシ
   ート側に折曲げて印刷面がほぼ平面となるように
   前記孔版印刷原版を張力を与えて取付ける保持手
   段を前記印刷面より上方に設けた、かつ前記印刷
   面に押圧力を与える押圧体を内蔵した孔版印刷原
   版保持体と、前記印刷面を被印刷紙より離隔させ
   る弾性体と、前記弾性体の変形に応じて相対的に
   移動可能に設けた前記弾性体を支持する弾性体保
   持体と、本体とからなるスタンプ式孔版印刷器。