JPH0430441B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は転炉のスカートシール装置に係り、詳
しくは転炉の炉口とスカートとの接合部を完全に
シールすることができるように構成した転炉のス
カートシール装置に関するものである。

〔従来の技術〕

一般に転炉の操業時には第１図に示す転炉１内
に溶銑を注ぎ込んだ後、酸素吹込装置２から転炉
１内へ酸素を吹き込み、炉口部より空気を吸引し
炉口発生ガスをある程度燃焼させ不活性ガス層
（タンポン層）を生成させスカート３を下降させ
て転炉１の炉口とスカート３との間の隙間を閉塞
する。

酸素の吹込みにより転炉１から発生したガスを
誘引送風機７により吸引することによりガス冷却
器４、１次集塵器５、２次集塵器６を通して冷
却、集塵せしめ、誘引送風機７を経由して出口側
ダクト８から送り出し適宜燃焼の上大気放散する
かホルダ（図示省略）に回収している。

転炉内の溶銑の脱炭終了直前に、スカート３を
上昇し、転炉の炉口とスカートとの間を開け、空
気を吸引し不活性ガス層を（タンポン層）を生成
した後酸素の吹込みを終了する。

このように、転炉の操業は間欠的であり、スカ
ートの開閉は一定周期で行われる。

もし、不活性ガス層（タンポン層）生成時以外
の酸素の吹込み時に炉口とスカートとの間が完全
にシールされていないと、この部分から排ガスが
吹き出したり、逆に大気を吸引し転炉ガスを燃焼
させることになる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところが、炉口とスカートとの接合は面接触で
あつたため、完全にシールするには限界がある。

その理由は転炉の炉口およびスカートのそれぞ
れの接合面の製作時の歪みや運転時の熱変形など
により密封状態が得られないという問題があり、
さらに吹錬中に転炉内より発生、飛散するダスト
および地金が転炉炉口部に付着し、スカートと炉
口部の接合部に入り込み、ますますシール性を悪
化させているからである。

炉口とスカートとの間のシール性が悪いと空気
を吸引して転炉ガスを燃焼させてしまうため高カ
ロリーの排ガスを回収することができない。

また、シール性の不良により大量に空気を吸い
込み転炉発生ガスを燃焼させると排ガス流量が増
大し排ガス冷却設備の容量が大きくなり誘引フア
ンや冷却水の容量も増大し極めて不経済となる。

〔発明の目的〕

本発明は以上のような従来の問題点を解消する
ためになされたもので、転炉の炉口とスカートと
の間を完全にシールすることができるように構成
した転炉のスカートシール装置を提供することを
目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点を解決するための本発明による転炉
のスカートシール装置は、転炉の炉口の周囲にシ
ール用の液体を任意に給排できる環状の溝を形成
し、スカートの下端に前記溝中に嵌入する環状の
突出部を形成したことを特徴とするものである。

〔実施例〕

本発明の一実施例を図面に基づいて説明する
と、第２図において符号１ａで示すものは転炉の
炉口で、この炉口１ａの外周部には全周にわたつ
て環状壁９が形成されている。この環状壁９はダ
ストや地金の飛散を防止するためのもので、その
内側には凹部１０が全周にわたつて形成されてい
る。

また、環状壁９の外側には炉口１ａの全周にわ
たつて環状の溝１１が形成されており、この溝１
１内には液体（例えば融点が182℃程度の溶融し
た半田）１２が供給される。この液体１２は後述
するような装置により供給、排出される。

一方、スカート３の下端面には前記溝１１中に
嵌合される環状の突出部１３が全周にわたつて形
成されている。そして、この突出部１３をも含め
て炉口１ａと接触するスカートの下端面には多数
の冷却水配管１４が配置され、スカートのシール
部の冷却を図つている。

もちろん、必要な部分は耐熱材で覆われてい
る。

一方、転炉１は第３図に示すように左右一対の
軸１５，１５により回動自在に支持されており、
前述したように溶銑の注ぎ込みおよび取出し時に
傾動することができる構成とされている。

この転炉１の側方にはベース１６上において前
記液体１２が蓄えられるタンク１７が設けられて
いる。このタンク１７の下端部から延びる配管１
８は弁１９を介して前記軸１５内に導かれており
転炉１の炉壁内あるいは外側に沿つて第２図に示
すように環状の溝１１に接続されている。

また、タンク１７の上端部の空気層側にはコン
プレツサ２０が接続されており、圧縮空気をタン
ク１７内に供給することにより液体１２を押圧し
て溝１１内に供給し、溝１１から液体１２を排出
するにはタンク１７内を減圧するようにしてい
る。

次に、以上のように構成された本実施例の機能
および動作について説明する。

一般に転炉の吹錬は間欠運転であり転炉から発
生する排ガスは燃焼させずに回収することにして
いる 排ガスを回収するには、吹錬の前期と後期にお
いて転炉排ガスの燃焼により不活性ガス層（タン
ポン層）を生成させて、安全にガスを回収してい
る。

この不活性ガスを発生させるための燃焼用空気
は炉口とスカートとの隙間から吸引している。

上述したような不活性ガス層（タンポン層）を
形成する吹錬の前期と後期の不活性ガス生成が終
了すると、スカート３が下降し突出部１３が溝１
１内に嵌合される。この時には、液体１２はタン
ク１７側から供給されているため、炉口とスカー
トとの間は液体１２を介して完全にシールされ
る。

この状態で転炉内から発生したガスがガス冷却
器４側へ導かれる。

その後吹錬後期において再び不活性ガス層（タ
ンポン層）を生成するには、液体１２を配管１８
を介してタンク１７側へ戻し、スカート３を上昇
させ燃焼用空気を吸引し、転炉ガスを燃焼させて
不活性ガス層を形成させると良い。

もちろん、この状態で転炉１の傾動は自由に行
なうことができる。

上記実施例にあつては液体１２として溶融した
半田を用いているが、転炉内および排ガス冷却装
置内のガス圧力を1000mmH₂Oに保持するには液
体１２の深さは120mm程度あれば可能であり、転
炉内および排ガス冷却装置内を高圧力にして操業
することができる。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなように本発明のスカー
トシール装置は、転炉の炉口部とスカート部との
間を液体シールにより密封し得る構造になしてあ
るので、次のような効果が得られる。

(1) 完全にシールすることができるため転炉発生
ガスの燃焼率を低下させ、高カロリーの排ガス
を回収できる。

(2) 排ガスの燃焼率が低いため排ガス流量が低下
し排ガス冷却設備も容量が小さく建設費を安価
にすることができる。

(3) 排ガス流量が少ないため誘引フアンの消費電
力が冷却水、集塵水用ポンプの消費電力が少な
く、省エネルギー効果が大きい。

(4) 転炉とスカート間を密封して転炉ガス圧力を
1000mmH₂Oに保持している間は、集塵性能を
保持するための圧力が1600mmH₂O必要である
とすれば、誘引フアンの入口圧力が−1600mm
H₂Oから−600mmH₂Oと低減され、消費電力が
大幅に減少し、省エネルギー効果が大きい。

(5) 転炉排ガスを燃焼用のみならずCO化学の分
野で使用する場合も、高濃度のCOガスが回収
され高純度のCOガスに精製する場合の費用も
大幅に低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のスカートシール装置が適用さ
れる転炉排ガス処理設備の概略図、第２，３図は
本発明の一実施例を示すもので、第２図は一部拡
大断面図、第３図は転炉の縦断側面図である。 １……転炉、３……スカート、９……環状壁、
１０……凹部、１１……溝、１２……液体、１３
……突出部、１７……タンク、２０……コンプレ
ツサ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 転炉の炉口の周囲にシール用の液体を任意に
   給排できる環状の溝を形成し、スカートの下端に
   前記溝中に嵌入する環状の突出部を形成したこと
   を特徴とする転炉のスカートシール装置。