JPH0429616Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、着座者に対して心地よい振動状態を
与えることができる振動装置付きの車両用シート
の改良に関する。

〔従来の技術〕

車両用シートには、自動車の走行中などにおい
て着座者を安定して保持するとともに適切な座り
心地感を与え、さらに長時間にわたる着座状態に
あつてもその疲労をできるだけ軽減し得ることが
望まれ、シート着座部の形状や構造等を適宜改良
したり、シート各部にサポート装置等を付設した
りする等の対策が講じられている。そして、近年
では、シート内部にたとえば揺動片と電磁石との
組合わせてなる振動装置を設け、着座者に微動振
動等を与えることで、その疲労感を柔げるように
構成された振動装置付きの車両用シートも提案さ
れるようになつている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述した従来の振動装置付きの
車両用シートによれば、電磁石により選択的に吸
引される揺動片の揺動動作だけで着座面を振動さ
せているため、構造は簡単であるが、着座者に対
し所要の振動幅や動きを有する振動状態を伝達し
得るとは言えないもので、振動装置として実用面
からはまだまだ問題であつた。

また、このような振動装置として、モータ等で
回転されるカム部材で着座面を構成するシート表
層部を押圧して振動させるようにした構成のもの
も知られているが、部品点数が多くなり構成が複
雑で、シート内への組込み性を始めとしてコトス
面でも問題であつた。さらに、上述した従来構造
では、着座者に対して疲労感を解消し得るような
マツサージ機能をもつ振動状態を与えることは困
難なもので、より簡単な構成によつて着座面を適
切かつ確実に振動させ所要の効果が得られるよう
な何らかの対策を講じることが望まれている。

特に、上述した車両用シート内に組込む振動装
置にあつては、これを音楽視聴時の音響振動源と
して利用するといつたことも考えられており、視
聴者すなわち着座者の気分等を安定化させ、疲労
感を軽減したりするうえで効果を発揮でき、その
有用性は大きいものであり、このような点を考慮
し着座面側での適切な振動状態が得られるような
構成としなければならない。

本考案はこのような事情に鑑みてなされたもの
で、軟質性材料からなる振動体とその対向する側
壁部間に臨みそれぞれを外方に押出して屈曲可能
なカム部材とを利用することで振動装置を簡単に
構成し、しかも所要の振動状態を着座面側に適切
かつ確実に伝達することが可能となる車両用シー
トを得ることを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

このような要請に応えるために、本考案に係る
車両用シートは、シート表層部裏面側に押当てら
れる押当て面を有しかつ背面側に対向して延設さ
れる側壁部先端側をシートパネル側に枢支させる
軟質性材料からなる振動体と、その側壁部間に臨
みそれぞれを外側に押出して屈曲させる押出し部
を有するカム部材と、その回転駆動源とからなる
振動装置を設けたものである。

〔作用〕

本考案によれば、モータ等の回転駆動源でカム
部材を振動体の側壁部間に挟まれた部分で回転駆
動することにより、その押出し部で各側壁部を外
方に押出して屈曲させるとともにこの押出し力を
解除することでそれ自身の弾性復帰力により復帰
変形させるという動作を繰返し、これにより押当
て面がシート着座面側に進退動作することで、シ
ート面に直交する方向への振動をこの振動体の押
当て面からシート表層部を介して着座者に伝達し
得るものである。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図ないし第３図は本考案に係る車両用シー
トの一実施例を示すものであり、これらの図にお
いて、本実施例では、第３図に示される車両用シ
ート１においてシートクツシヨン２背面側に立設
されるシートバツク３内で着座者４の腰部（ラン
バー）４ａを保持する部分に、本考案を特徴づけ
る振動装置１０を設けた場合を示している。

さて、本考案によれば、第１図および第２図か
ら明らかなように、シート表層部（パツド材）１
１裏面側に押当てられる押当て面１２ａを有しか
つそのシート背面側から対向して延設された一対
の側壁部１２ｂ，１２ｃの先端側がシートパネル
１３側に設けられたブラケツト１４に対して枢支
されるとともに全体がゴム、ばね材等の軟質性材
料で形成された振動体１２と、この振動体１２の
側壁部１２ｂ，１２ｃ間に臨みこれら各側壁部を
外側に押出して屈曲させる押出し部１５ａを有す
るカム部材１５と、このカム部材１５を回転駆動
するシートパネル１３側に設けられた回転駆動源
としての電動モータ１６とからなる振動装置１０
を設けたところに特徴を有している。

なお、図中１７ａ，１７ｂはシートバツク３内
でシート面方向（本実施例では左右方向）に延設
されて前記ブラケツト１４側に支架された支軸
（第２図参照）で、また１６ａはカム部材１５が
設けられるモータ軸（またはその連結軸）であ
る。さらに、振動体１２は、シートの上下および
左右方向に拡がる所要の大きさをもつ押当て面１
２ａを有する形状で形成され、シート着座面を広
い面積部分にわたつて振動させ得るように構成し
ている。ここで、１１ａはシート表層部（パツド
材）１１の表面を覆う表皮材（トリムカバー）、
１１ｂはパツド材裏面側のサポート材で、前記振
動体１２の押当て面１２ａをこのサポート材１１
ｂと一体的に連結しておくと、振動伝達にあたつ
て便利である。

このような構成において、モータ１６でカム部
材１５を振動体１２の側壁部１２ｂ，１２ｃ間に
挟まれた部分で回転駆動させると、その押出し部
１５ａ（本実施例では周方向二箇所）で各側壁部
を第１図中想像線で示すように外方に押出して屈
曲させるとともにこの押出し力を解除することで
それ自身の弾性復帰力により復帰変形させるとい
う動作を繰返し、これにより押当て面１２ａが微
振動しながらシート着座面側に進退動作すること
で、シート面に直交する方向に振動し、この振動
体１２の押当て面１２ａからシート表層部１１を
介して着座者４に伝達させることができる。そし
て、このような振動装置１０によれば、たとえば
着座者４の疲労を柔げるためのマツサージ振動源
や音楽鑑賞時の音響振動源等として利用して効果
を発揮して得るもので、特にモータ１６で回転さ
れるカム部材１５とこれに係合する振動体１２の
側壁部１２ｂ，１２ｃとを巧みに利用することで
振動体１２の揺動運動を所要の揺動ストロークを
もつて行なわせることができ、その利点は大き
い。また、本考案によれば、シートバツク３内で
振動体１２の側壁部１２ｂ，１２ｃ先端側を支軸
１７ａ，１７ｂで枢支するとともに、その側壁部
１２ｂ，１２ｃを屈曲変形させる押出し部１５ａ
を有するカム部材１５を設け、これをシートパネ
ル１３側に設けたモータ１６で回転させるため、
その構成部品点数が少なくしかも組込み容易な構
成によつて、シート内に振動装置１０を組込むこ
とが可能で、その実用上での効果は大きい。

第４図ないし第６図は本考案の別の実施例を示
すものであり、この実施例では、振動体１２にお
いてその側壁部１２ｂ，１２ｃ，１２ｄ，１２ｅ
を連結してなる角筒部２０を押当て面１２ａから
直交する方向に延設するようにした場合を示し、
このときのカム部材１５は、その周方向の四個所
に押出し部１５ａを設けるとよいが、勿論これに
限定されないことも容易に理解されよう。なお、
この角筒部２０においては、各側壁部がそれぞれ
独立して屈曲されるようにスリツト等で分離して
構成されている。そして、このような構成による
振動体１２を採用すると、各側壁部１２ｂ，１２
ｃ，１２ｄ，１２ｅが屈曲されたときに押当て面
１２ａを上下方向のみならず左右方向にも振動さ
せることが可能で、その実用上での効果は大き
い。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、車両用シート１や振動装置１０各部の形状、
構造などを、必要に応じて適宜変形、変更するこ
とは自由で、種々の変形例が考えられよう。たと
えば振動体１２としても、側壁部等といつた必要
個所のみを軟質性材料で形成すればよいことは容
易に理解されよう。

また、本考案を特徴づける振動装置１０は、シ
ートバツク３のランバー部に限定されず、種々の
場所に組込むようにしてもよく、シートクツシヨ
ン２側であつてもよい。さらに、この組込み時に
おいて前述した実施例ではシート表層部１１とな
るパツド材とシートパネルとの間に形成される空
間部を利用した場合を示しているが、中実タイプ
のシート構造に対しても適用できるもので、適宜
のスペースを利用して配設するとよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係る車両用シート
によれば、シート表層部裏面側に押当てられる押
当て面を有しかつシート背面側に対向して延設さ
れた側壁部の先端側がシートパネル側に枢支され
る軟質性材料による振動体と、その側壁部間に臨
みそれぞれを外側に押出して屈曲させる押出し部
を有するカム部材と、これを回転駆動する回転駆
動源とからなる振動装置を設けたので、簡単かつ
安価な構成にもかかわらず、モータ等で駆動され
るカム部材とこれが係合して屈曲される側壁部を
有する軟質性振動体とを巧みに利用することで振
動体を適切かつ確実に前、後動運動させ、その押
出し面部分を微振動させながら、振動を着座者に
広い面積をもつて伝達させることが可能で、着座
者の疲労を柔げるためのマツサージ振動源や音楽
鑑賞時の音響振動源等として利用して効果を発揮
することができる。また、本考案によれば、シー
ト内で振動体の側壁部先端側を枢支するととも
に、その側壁部を屈曲変形させる押出し部を有す
るカム部材を設け、これをシートパネル側に設け
た回転駆動源で回転させるため、その構成部品点
数が少なくしかも組込み容易な構成によつて、シ
ート内に振動装置を組込むことが可能で、その実
用上での効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る車両用シートの一実施例
を示す要部構成を拡大した概略側面図、第２図は
その概略斜視図、第３図は車両用シートの概略
図、第４図ないし第６図は本考案の別の実施例を
示す概略説明図である。 図中、１……車両用シート、３……シートバツ
ク、４……着座者、１０……振動装置、１１……
シート表層部（パツド材）、１２……振動体、１
２ａ……押当て面、１２ｂ，１２ｃ；１２ｄ，１
２ｅ……側壁部、１３……シートパネル、１５…
…カム部材、１５ａ……押出し部、１６……電動
モータ（回転駆動源）、２０……角筒部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シート表層部裏面側に押当てられる押当て面
   を有し、かつシート背面側に対向して延設され
   た一対の側壁部先端側がシートパネル側に枢支
   されるとともに、軟質性材料で形成された振動
   体と、この振動体の側壁部間に臨み各側壁部を
   外側に押出して屈曲させる押出し部を有するカ
   ム部材と、このカム部材を回転駆動するシート
   パネル側に設けられた回転駆動源とからなる振
   動装置を設けたことを特徴とする車両用シー
   ト。 (2) 請求項１記載の車両用シートにおいて、振動
   体は、押当て面からシート背面側に延設された
   角筒部を有し、この角筒部を構成する側壁部の
   それぞれがカム部材の押出し部で屈曲可能に形
   成されていることを特徴とする車両用シート。