JPS6025454B2 - ポリオレフイン系ストレツチ包装用フイルム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ストレッチ包装用の粘着性フィルムの粘着性
を低下することなく剥離性を向上させて改良したポリオ
レフィン系ストレッチ包装用フィルムに関する。

従来、食料品等の包装には、被包装物品を被覆すると共
にトレイ等に密着固定させる目的で加熱収縮フィルムが
用いられているが、更に簡易化された包装方法としてフ
ィルムを引き伸ばしつつ物品を包み込み、該フィルムの
折返し端部を指などで軽く圧着するだけで該フィルムの
端部同士を粘着させて包装する包装法が最近スーパーマ
ーケット、食料品店等で多く行なわれるようになった。

しかしながら、これらの包装用フィルムは多量の可塑剤
を添加した塩化ビニルフイルム塩化ビニリデンフイルム
等の塩素を含有するプラスチックあるいは自己粘着性に
乏しいポリオレフィン系フィルム等であるためにいずれ
も食料品等の簡易包装用フィルムとしては下記にような
多くの問題点を有している。即ち、塩化ビニルフィルム
の場合は、酸素透過率が比較的小さいが多量の可塑剤が
添加されているために、生成フィルムの水蒸気透過率が
著しく増加する。

また、塩化ビニリデンフィルムの場合は酸素透過率が４
・さし、ので、野菜，果物等のような呼吸作用を営むも
のや正肉のような酸素不足により変色して商品価値を損
うもの等の食品保存には不適当であるほか、該フィルム
の粘着性が不充分なことなどストレッチ包装用としての
機能自体に問題を有する。さらに塩化ビニル系及び塩化
ビニリデン系フィルムはいずれもその分子中に塩素を含
むために、大量に使い捨てる用品としては用済み後焼却
処理等の場合に問題となる。一方、ポリオレフィン系フ
ィルムの場合は塩化ビニル系及び塩化ビニリデン系フィ
ルムとは逆に酸素透過率が大きく透湿度はやや小さく、
生鮮食料品等の鮮度を維持する機能を有する反面、自己
粘着性がないか又は不充分である等ストレッチ包装用フ
ィルムとしての機能自体が劣っている。

例えばポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルムとし
て結晶性エチレンープロピレンランダム共重合体からな
る粘着性フィルム等があるが、この種のものはフィルム
を引張りながら包装してのち、該フィルムの端部同士を
圧着し、一旦は粘着せしめても、弾性回復力が粘着力よ
り大きいために粘着界面で除々に剥離していく等の問題
がある。また、エチレン一驚酸ビニル共重合体からなる
粘着性フィルム等もあるが、これら単に一般的な防雲剤
を添加したか、あるいは機械包装適性を改良すべく防曇
剤の他に滑剤を加えたものにすぎず、そのため樹脂自体
の性質から粘着性が不足し、包装作業上で問題となる。
そこで本発明者らは先に上記の従来のストレッチ包装用
フィルムが有する多くの問題点を解消し、生鮮食料品等
の簡易ストレッチ包装用フィルムとしてすぐれた特性を
有しかつ使用済みフィルムの焼却などでも問題を起こさ
ない包装用フィルムとして、ポリエチレン及び／又はエ
チレン−酢酸ビニル共重合体樹脂に対し、接着剤組成物
用の添加剤として知られている粘着付与剤を比較的少量
添加することにより、従来になくすぐれた粘着力と適度
の弾性回復力とを付与せしめたストレッチ包装用フィル
ムを開発したが、このストレッチフィルムは剥離に対す
る抵抗力が大きいため剥離の際、特に製造後時間のたっ
たものは大きい音を発して使用者に不快感を与えるとい
う欠点があった。

本発明者らは、上記の従来になくすぐれた粘着力を有す
るストレッチ包装用フィルムの粘着力を低下せずに剥離
性を高め剥離の際も音をなるべく発しないように改良し
たストレッチ包装用フィルムを提供することを目的とし
て鋭意検討した結果、本発明に到達したもので、その要
旨とするところは、ポリエチレン／又はエチレン−酢酸
ビニル共重合体樹脂１０の重量部に対し、脂肪族系炭化
水素樹脂，ロシソ，ポリテルベン系樹脂，芳香族系石油
樹脂及びフェノール系樹脂からなる群から選ばれた粘着
付与剤を５〜３の重量部、アルキルフェ／一ル型の非イ
オン界面活性剤を０．１〜２重量部加え、更に防雲剤を
０．０１〜５重量部配合した組成物を成形してなるポリ
オレフイン系ストレッチ包装用フィルムに存する。

本発明の原料樹脂（ベースポリマー）としては、比重０
．９１４〜０．９２８塁度の低密度ポリエチレン又は酢
酸ビニル含有率が２の重量％以下のエチレン−酢酸ピニ
ル共重合体、あるいは該ポリエチレンと該エチレン−酢
酸ビニル共重合体との混合組成物（両者は相溶性がよい
）が特に好ましい。

なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、酢酸ビニ
ルの含有率が２の重量％より多くなると、フィルム成形
時の加工性が劣りかつ腰が弱すぎて使用上問題となる恐
れがある。上記の原料樹脂に添加する粘着付与剤として
は、オレフィンもしくはジオレフィンの重合体等の脂肪
族系炭化水素樹脂、ロジンもしくは変性ロジン又はそれ
らの誘導体、Ｑピネン、８ピネンもしくはジベンテンの
重合体又はそれらの変形体等のポリテルベン系樹脂、芳
香族系石油樹脂、及びアルキルフヱノール，変形フェ／
ール等よりなるフェノール系樹脂からなる群から選ばれ
た１種または２種以上の混合物であればよい。

これらの粘着付与剤の添加量は、上記の原料樹脂の１０
の重量部に対し、５〜３の重量部、好ましくは１０〜２
の重量部である。これは、添加量が５重量部より少ない
と成形して得られるフィルムの粘着性が劣り、また添加
量が３の重量部を超えると混合して得られる組成物の成
形加工性が低下することによるものである。更に上誌の
原料樹脂に添加するアルキルフェ／ール型の非イオン界
面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンノニルフ
エノールエーテル、ポリオキシェチレンオクチルフェノ
ールェーテル等があげられる。

これらの界面活性剤は、防量剤として轍らくことは言う
までもないが、さらに驚くべきことは溶剤的な作用効果
をも示し、前記粘着付与剤と併用すると、さほど粘着性
を低下することなく剥離性を改良することができるので
ある。その添加量は、上記の原料樹脂１００重量部に対
して、０．１〜２重量部、特に好ましくは０．１〜０．
５重量部である。これは、添加量が０．１重量部より少
ないと剥離性が不良となり紙管等に巻いたストレッチフ
ィルムを剥がす際、特に製造後時間のたったものは、引
剥がし抵抗が大きくしかも不快な音を発し、又２重量部
より多いと滑剤としての効果が過大となってストレッチ
フィルムとしての粘着性が不充分となることによる。す
なわち、上記の範囲の量を添加して初めて実用上ストレ
ッチフィルムとして好適な剥離性の改良効果を奏し、粘
着性と剥離性がともに良好なストレッチ包装用フィルム
が得られるのである。また、本発明で使用する一般的な
防曇剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
、ポリオキシェチレンソルビタン脂肪酸ェステル、グリ
セリン脂肪酸ェステル等の一般的な非イオン界面性剤も
しくはそれらの混合物があげられる。

その配合量は、上記の原料樹脂１００重量部に対して、
０．０１〜５重量部、好ましくは０．２〜２重量部であ
る。その配合量が０．０１重量部より少ないとフィルム
の防曇性が不十分で、また５重量部より多くてもその防
雲効果は上昇しないばかりか結晶性の場合はフィルムの
透明性を悪くし押出成形性も低下するので好ましくない
。本発明のポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム
を製造するには、以上のようにして配合した組成物を公
知の成膜法により成形すればよいが、押出成形するのが
最も実用的である。

以上詳記した本発明のポリオレフィン系ストレッチ包装
用フィルムは次のような利点を有する。

｛ィ１ ベースポリマーのエチレン−酢酸ピニル共重合
体樹脂は、透湿度が小さくかつ酸素透過率が大きいほか
、塩化ビニル系樹脂などのように多量の可塑剤を添加す
る必要がないため、本発明のストレッチフィルムを用い
て生鮮食料品、特に生野菜，果物，生肉等のストレッチ
包装した場合、鮮度を保つ上にすぐれた効果を発揮する
。‘ｏ’本発明のストレッチ包装用フィルムは、ベース
ポリマーとして弾性回復力が比較的づ・さし、エチレン
−酢酸ビニル共重合体樹脂を用い、これに前述のストレ
ッチ包装用として必要にして充分な粘着付与剤を、さら
には包装作業上必要な剥離性を与えるため剥離性改良剤
としてアルキルフェノール型非イオン界面活性剤を添加
し製造されている。

従って、本発明のフィルムは、紙管に巻いたものから剥
がす際剥離抵抗が小さくバリバリという不快音を発する
ことなく引き伸ばしつつ物品を包み込み、該フィルムの
端部を寺子旨などで軽く圧着して容易に該端部同圧を粘
着させて包装することができるのに加えて、弾性回復力
や引き伸ばし抵抗が小さくかつ該フィルム同士のすぐれ
た粘着力により被包装物をトレイ等に簡易確実に密着固
定できるなど、従釆になく包装作業性にすぐれている。
し一 本発明の包装用フィルムは、塩素を含まないベー
スポリマー及び粘着付与剤からなっているため、使用済
みの廃棄フィルムを焼却処分する場合も問題を生じない
。

８ 本発明のフィルムでは、一般にこの種のフィルムに
見られる長期保存時（半年〜１年）の経時変化が起こら
ない。

次に本発明を実施例により更に具体的に説明する。

例中、「部」は「重量部」を意味する。実施例 １酢酸
ビニルの含有率が１０％のエチレン−酢酸ビニル共重合
体樹脂ェバテートＤ２０２１Ｆ（住友化学工業社製でＭ
Ｉは１．５，ｐは０．９３）１００部に対して、粘着付
与剤ァルコンＰ１２５（荒川林産化学社製の脂肪族系炭
化水素樹脂で軟化温度は１２５℃）を、剥離性改良剤と
してリポノックスＮＣＨ（ライオン油脂製ポリオキシェ
チレンノニルフェノールェーテル）を、それぞれ下記の
表−１に示す割合で添加し、更に防雲剤としてソルボン
Ｓ−２０（東邦化学社製のソルビタンラウリン酸ェステ
ル）を０．５部加えて混合し、この混合物をサーキュラ
ーダィを取り付けた５仇舷押出機により溶融押出してイ
ンフレーション成形し、厚さ１８仏のフィルムを得た。

上記で得た各フィルムを試料として粘着性及び剥離性の
テストを行い、それらの結果を下記表一１に示す。

なお、粘着性と剥離性のテスト及び評価は次のようにし
て行った。｛１｝粘着性のテスト及びび評価 発泡スチレン製トレイに内容物を入れ「各試料フィルム
で実際に包装し、包装後３分経過したものの粘着部の粘
着性をテストし下記所定規準により評価した。

評価基準：２の副テストしたものの合計点で示す。

１回の満点５点、従って２０回テストの合計は１００点
滴点である。

９０点以上・・・すぐれている。

８０点以上・・・良好。

７０点 〃・・・使用上特に問題ない。

５０点 〃…ホットプレートを用いれば使用える。

５氏未満・・・ストレッチフィルムとして不適当。

ｔ２｝余り離性のテスト及び評価紙管に巻いた各試料フ
ィルムを実際に剥がしてテストし、その際の剥離性を評
価した。

○：剥離音なし。

△：フィルムの剥離角度によって音を発する。

×：大きく音を発する。表−１ 表−１の結果から、剥離性改良剤としてのアルキルフェ
ノール型の非イオン界面活性剤の添加部数は、好ましく
は０．１〜２礎部（表−１の大枠内に示す結果を得る場
合）であり、特に好ましくは０．１〜０．５部（表一１
の二重枠内の結果を得る場合）であることが分る。

実施例 ２ 実施例１で使用したエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂
ェバテートＤ２０２１ＦＩＯ碇部‘こ対して、粘着付与
剤ァルコンＰ１２５を１０部、剥離性改良剤としてリボ
ノックスＮＣＨを０．３部、さらに下記の表一２に示す
各種防雲剤を０．５部加えて、実施例１と同様にして厚
さ１８ムのフィルムを得た。

上記で得た各フィルムを試料として防雲性のテストを行
い、それらの結果を下記表−２に示す。

なお、防雲性のテスト及び評価は次のようにして行つた
。高温防雲性テスト及び評価：８０ｏｏ温水を入れた容
器を包装し、包装後０〜１分の水滴付着状態を評価した
。

低温防雲性テスト及び評価：きゆうりをスチレントレー
に包装し、ｏｏ〜３℃に１０分間放置後の水滴付着状態
を評価した。表−２ ○印：水滴の付着なし。

△印：水通の付着少しあり。なお、ストレッチフィルム
としての粘着性と剥離性は共に良好であった。

また、上記表−２におけるノニオンＬＰ２０Ｒの部数を
下表に示す割合で変化させフィルムを製造したところ、
下表の結果を得た。

実施例 ３ 低密度ポリエチレンの市販品ＮＵＣ８００８（日本ュニ
カー社製でＭＩは５、比重は０．９１６）、エチレン−
酢酸ピニル共重合体樹脂の市販品ェバフレツクスＰＩ９
０５（三井ポリケミカ社製でＭＩは３．与酢ビ含有量１
９％、密度は０．９４）、同じくェバテートＫ２０１０
（住友化学社製ＭＩは３、密度は０．９５、酢ビー含有
量は２５％）のそれぞれ１０碇都‘こ対して、粘着付与
剤ＥＣＲ５一１２５（エッソ化学社製の水添脂肪族系炭
化水素樹脂で軟化温度は１２５００）を１碇部、剥離性
改良剤としてノニオンＮＳ２０８（日本油脂社製のポリ
オキシェチレンノニフェノールェー７ル）を０．３部、
さらに一般的防量剤としてソルビタンラウリン酸ェステ
ル（ソルボンＳ２０）を０．２部加えて実施例１と同様
にして厚さ１８山のフィルムを得た。

上記で得た３種のフィルムを試料としてテストした結果
、ＮＵＣ８００８ ェバフレクスＰＩ９０５をそれぞれ
原料樹脂とした場合は成形性が良好でかつ得られたフィ
ルムの粘着性、剥離性、防雲性などの包装適性はすべて
良好であったが、酢酸ビニルの含有量の多いェバテート
Ｋ２０１０を原料樹脂とした場合は、成形性がいくぶん
劣りかつ得られたフィルムは腰が弱くべたつきが大き過
ぎてストレッチフィルムには不適であった。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポリエチレン及び／又はエチレン−酢酸ビニル共重
   合体樹脂１００重量部に対し、脂肪族系炭化水素樹脂，
   ロジン，ポリテルペン系樹脂，芳香族系石油樹脂及びフ
   エノール系樹脂からなる群から選ばれた粘着付与剤を５
   〜３０重量部、アルキルフエノール型の非イオン界面活
   性剤を０．１〜２重量部加え、更に防曇剤を０．０１〜
   ５重量部配合した組成物を成形してなるポリオレフイン
   系ストレツチ包装用フイルム。