JPH04292412A - 改質された合成ゼオライト及びその製造法 - Google Patents

改質された合成ゼオライト及びその製造法

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JPH04292412A
JPH04292412A JP15378391A JP15378391A JPH04292412A JP H04292412 A JPH04292412 A JP H04292412A JP 15378391 A JP15378391 A JP 15378391A JP 15378391 A JP15378391 A JP 15378391A JP H04292412 A JPH04292412 A JP H04292412A
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zeolite
acid
synthetic zeolite
synthetic
water
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Satoshi Ando
聡 安藤
Kazuhiko Nakajima
和彦 中島
Akira Dono
彬 堂野
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Kanebo Ltd
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Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、水に対して自己崩壊現
象のない安定化した合成ゼオライト及びその製造法に関
する。 【0002】本発明はまた、表面が平滑で流動性に富ん
だ合成ゼオライト粒子、及びゼオライト粒子の表面深さ
方向におけるナトリウム等の組成比がほぼ一定であるこ
とを特徴とするゼオライトに関する。 【0003】 【従来の技術】ゼオライトは、固有の細孔径、表面電場
、イオン交換能、吸着分離能などを持っており、極めて
有用な機能性材料として注目を集めている。とりわけ合
成ゼオライトは、合成物質の特徴である均質な製品が多
量に製造出来、加えて安定に供給可能なことから広範に
利用されてきている。 【0004】合成ゼオライトは一般に、ケイ酸ソーダ、
アルミン酸ソーダ及び苛性ソーダの溶液を混合、熟成し
、生成したゲルをろ別、水洗及び乾燥して作られている
。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従来市販されている合
成ゼオライトは、製造工程の後段で水洗されているにも
拘らず、これを水に分散すると分散液が強いアルカリ性
を呈する。合成ゼオライトは洗剤のビルダーとして多量
に用いられており、この場合には合成ゼオライトがアル
カリ性を与えることはむしろ利点となる。合成ゼオライ
トは、吸着剤、触媒、担体、イオン交換材、充填剤など
としても用いられ、これらの分野のあるものにおいては
合成ゼオライトの塩基性は欠点となる。 【0006】本発明は、合成ゼオライトを改質して、水
及び空気中の湿気に対する不安定性が解消され、水に分
散したときに分散液がアルカリ性を呈さないところの合
成ゼオライトを提供することを目的とする。 【0007】従来市販されている合成ゼオライトはまた
、流動性の点で問題を有する。後の実施例にも示したよ
うに、本発明者が測定したところによると、市販の合成
ゼオライトは総て45〜60°の範囲内の安息角を有す
る。例えば国外G社製のY型ゼオライトは52〜54°
の、同社製のX型ゼオライトは50〜52°の安息角を
有することが測定された。その流動性は、カー(R.A
.Carr)の流動性評価法〔ケミカル  エンジニア
リング(Chem.Eng.) 第72巻(1965年
)、第2号 163頁、第3号69頁参照〕に従うと、
“あまり良くない”〜“不良”の範囲内に分類される。 このような低い流動性は、例えば輸送、装置への供給及
び攪拌、並びに充填等の操作を行うに際して問題となる
。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、緩衝された酸
性水性液に合成ゼオライトを浸漬し、浸漬液のpHを約
7以下の所定の値に保つように、緩衝剤を含有するまた
は含有しない酸を追加し、もはや酸を追加しなくてもほ
ぼ一定のpHを少くとも 0.5時間持続するまで浸漬
を持続し、次に合成ゼオライトを洗浄することなくまた
は洗液のpHが実質的にpH約6.5 を越えない条件
で洗浄した後に加熱乾燥することを特徴とする、合成ゼ
オライトの製造法である。この方法によって、水に対し
て自己崩壊現象のない安定化した合成ゼオライトが提供
される。 【0009】この方法により得られるゼオライト粒子は
また、高い流動性を示し、その安息角は注入法により測
定すると、約40°以下、好ましくは約30°以下とな
る。 さらに、本発明のゼオライトは、ゼオライト粒子の表面
深さ方向において、ナトリウム、アルミニウム及び酸素
の組成比がほぼ一定であると言う特徴を有する。本発明
はまた、これらのゼオライトをも包含する。 【0010】上記の方法に対して、種々の改変を施すこ
ともできる。例えば、その製造時に使用する浸漬液がゲ
ル形成性物質を含有すると、水に対してより安定なゼオ
ライトを得ることができる。本発明はさらに、これらの
製造法によって得られる合成ゼオライトを包含する。 【0011】本発明の方法において、浸漬液のpHが酸
を加えずとも7以下で長時間一定となるまで浸漬を続け
ること、次に洗浄することなくまたはもし洗浄するのな
ら洗液のpHが6.5 を相当時間に亘って越えない条
件での洗浄を行い、加熱乾燥することが本発明の第一の
要件である。従来のように単に水洗したのでは目的が達
成されないことは勿論であり、浸漬処理を行っても次に
大量の水で洗浄して洗浄液のpHが6.5 を越えてか
ら(特に中性になってから)加熱乾燥したのでは本発明
の目的は達成されない。一方、本発明に従い酸処理後に
洗浄を行わずにまたは洗液のpHが6.5 を実質上越
えない条件で洗浄し、加熱乾燥を一旦行ったあとでは、
合成ゼオライトを水洗しても合成ゼオライト分散液はア
ルカリ性を呈しない。 このことは全く予測されなかったことである。 【0012】本発明方法の第二の要件は、酸性水性液が
緩衝されていることである。ゼオライトを分散させた液
に酸を添加(追加)する場合、撹拌が不十分だと浸漬液
のpHが局部的に低くなり、ゼオライトの一部が急速に
侵される(例えばA‐型ゼオライトはpH約4以下で急
速に侵される)ことがある。一方、本発明のように浸漬
液が緩衝作用を有すると、浸漬液pHの局部的低下が小
さくなるためにゼオライトの急激な分解が殆ど起こらず
、それ故、長時間に渡る酸処理においてもゼオライト粒
子を傷めずに改質処理を行うことができる。また、ゼオ
ライトが分解して分散液が増粘・発泡することもないの
で、攪拌等の操作が困難となることもない。さらに、添
加した酸がゼオライトの分解に費されないため、使用す
る酸の量を減じることのできる利点がある。 【0013】本発明において合成ゼオライトは、総ての
合成ゼオライトを包含する。合成ゼオライトは、組成比
、細孔径、比表面積などの異る多種のものが知られてお
り、典型的な例としてA型ゼオライト、X型ゼオライト
、Y型ゼオライト、モルデナイトなどが挙げられるが、
これらに限定されない。本発明は、その一部が鉄、亜鉛
、銅、錫、銀、バナジウム、タングステン、ニッケル、
モリブデン、アンチモン、クロムなどの重金属、カルシ
ウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウムなどの軽
金属、またはアンモニウムイオンによって置換されたゼ
オライトについても適用することができる。 【0014】合成ゼオライトを浸漬する酸性水性液は、
無機酸及び/または有機酸を溶解含有する緩衝された水
性液である。ここで、酸及び緩衝剤に特に制限はなく、
種々の公知のものを使用することができる。酸としては
例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸などの無
機酸、及び蟻酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などの一価ま
たは二価の有機酸が挙げられるが、これらに限定されな
い。緩衝剤は酸性水性液に緩衝作用を付与するものであ
れば良く、典型的には種々の弱酸とその塩の組み合わせ
、例えば酢酸と酢酸ナトリウム,酢酸カリウムまたは酢
酸アンモニウム、シュウ酸とシュウ酸ナトリウム,シュ
ウ酸カリウムまたはシュウ酸アンモニウム、酒石酸と酒
石酸ナトリウム,酒石酸カリウムまたは酒石酸アンモニ
ウム、リン酸とリン酸ナトリウム,リン酸カリウムまた
はリン酸アンモニウム等の組み合わせが挙げられるが、
これらに限定されない。2種類以上の酸及び/または緩
衝剤を混合使用しても良い。緩衝剤として、弱酸の塩の
みを、対応する弱酸と組み合わせずに使用することも可
能である。例えば、酸として硝酸のような強酸を使用し
た場合には、添加した弱酸の塩の一部が強酸と反応して
対応する弱酸を生じ、結果的に酸性水性液に緩衝作用が
付与される。また、酸として弱酸を使用した場合には、
該弱酸の塩を添加すれば、緩衝溶液を作ることができる
。あるいは、合成ゼオライトを水に分散すると前述のよ
うに分散液は強アルカリ性を呈するので、そこに酸を添
加して緩衝液をインサイツにて形成することも可能であ
る。但し、強いアルカリ性を呈するまでに少し時間がか
かるので、分散物への酸の添加は、ゼオライトを分散さ
せてから約10分間以上、特に約30分間以上後にする
のが好ましい。この態様は、特にA型ゼオライトについ
て有効である。本発明においては、以上のように種々の
公知の酸及び緩衝剤を使用することが可能であるが、弱
酸、例えば酢酸、蟻酸、シュウ酸、酒石酸、アジピン酸
、ホウ酸等とその塩との組み合わせを使用するのが好ま
しい。本発明においては、浸漬液を緩衝溶液とすること
によってゼオライトの浸蝕が抑制されているが、弱酸を
使用することにより、その効果がさらに高められるもの
と考えられる。 【0015】溶媒は一般に水であり、少量の有機溶媒及
び/または界面活性剤を含んでも良い。 【0016】浸漬液の当初のpHは7以下、好ましくは
 4.0〜6.5 、特に 4.5〜6.0 とし、浸
漬処理の進行につれてpHが上がるので、緩衝剤を含有
するまたは含有しない酸(溶液)によってpHを調節す
る。 【0017】上記の酸性水性液に、任意的にゲル形成性
物質を含ませることもできる。ここで、ゲル形成性物質
とは、酸性水性液中でゲル状物を形成し得る物質のこと
であり、それ自体は公知のものである。例として、アル
ミノシリケート、ケイ酸、ケイ酸塩、水ガラス、アルミ
ン酸塩、アルミナ、及び、半透膜の性質を有するゼラチ
ン、寒天、アルギン酸ソーダ、各種セルロース誘導体を
包含する天然高分子、及び、半透膜の性質を有するPV
A誘導体、再生セルロース誘導体、アクリル酸誘導体、
メラミン樹脂誘導体、フェノール樹脂誘導体を包含する
合成高分子等が挙げられるが、これら以外の物質を使用
することもできる。これらのゲル形成性物質を用いる場
合、その量は、合成ゼオライト全体量に対して 0.0
01〜10重量%程度、特に0.01〜1 重量%程度
とするのが好ましい。ゲル形成性物質を添加することに
より、得られるゼオライトの安定性がさらに改善される
。但し、この場合、生じたゼオライト粒子の流動性、及
び表面深さ方向における組成比の均一性がさほど改善さ
れない。 【0018】浸漬処理法は任意である。たとえば、攪拌
機付き容器に緩衝剤、及びゲル形成性物質等の任意的成
分を含有する酸性水性液を入れ、攪拌下に合成ゼオライ
トを徐々に加えて分散させる。その際に分散液のpHは
上昇するので、pH7以下の所定のpHに維持するよう
酸を適宜添加する。ここで使用する酸(溶液)もまた、
緩衝剤及び/またはゲル形成性物質を含有しても良い。 総てのゼオライトを分散させた後にも攪拌を続けながら
、所定のpHを維持するよう酸を添加する。もはや酸を
加えなくともpH値がほぼ一定(±0.5 、好ましく
は±0.3 )となるのを確認してから浸漬処理を終え
る。一般に浸漬処理は、酸を加えなくともpH値がほぼ
一定になってから 0.5時間以上、好ましくは2時間
以上続ける。ほぼ一定pHになってからの処理時間を長
くすると、製品ゼオライトの安定性がより良くなる。浸
漬温度には特に制限はないが、ゼオライト粒子の流動性
の改善またはゼオライト粒子の表面深さ方向におけるナ
トリウム等の組成比を一定とすることを目的とする場合
には、分散液の温度を高めに、たとえば約50℃以上に
するのが好ましい。好ましい処理条件を例示すると、最
終的に5〜100 重量%の合成ゼオライト固体粒子濃
度とし、 100〜2000rpm の緩かな攪拌の下
で行う。合成ゼオライトの濃度を極端に低くし、温度を
高めると、処理時間を短縮できる。攪拌速度は処理時間
に少ししか関係しない。 【0019】上記とは逆に、予めゼオライトを水または
緩衝溶液に懸濁し、これに緩衝剤及び/またはゲル形成
性物質を含有するまたは含有しない酸を少しずつ添加し
て浸漬処理することもできる。処理pH、時間等は上記
と同様である。 【0020】また、合成ゼオライトの浸漬処理を、合成
ゼオライトの製造工程の最終工程として行うこともでき
る。すなわち、ケイ酸ソーダ、アルミン酸ソーダ及び苛
性ソーダの水溶液から生成したゼオライトゲルを含む反
応後のスラリーを分別し、生成ゼオライトに酸を添加す
ることにより、上述のような浸漬処理を行うことができ
る。好ましくは、スラリーからゼオライトを分離し、水
洗するという従来の工程を行ったうえで、ゼオライトス
ラリーを酸性水に添加して浸漬処理を行う。 【0021】酸による浸漬処理において重要なことは、
通常の中和処理の如く短時間で終了するのではなく、酸
の追加添加なしで液pHが少くとも 0.5時間、好ま
しくは少くとも2時間ほぼ一定となるまで、処理を継続
することである。なお、合成ゼオライトの種類及び製造
法によって、任意のpH値で所定時間一定にならないこ
とがある。そのような場合には、意図するpH値を種々
変更して(一般にはより酸性側にして)浸漬処理を行え
ば、酸添加なしで一定pHが達成できるpH値が見い出
される。 【0022】上記のように酸性水性液に合成ゼオライト
を十分な時間浸漬した後に、通常、合成ゼオライトを液
から分離する。分離は、ろ過、デカンテーションなど任
意の方法で行うことができる。 【0023】分離したゼオライトは、洗浄することなく
加熱乾燥に付される。あるいは、任意的に、洗液のpH
が6.5 を実質上越えない条件下で洗浄することも出
来る。 洗浄操作において重要なことは、洗液のpHが6.5 
を実質上越えない条件下で洗浄を行うことである。ここ
で、“pHが 6.5を実質上越えない”とは、洗液の
pHが洗浄終了時に 6.5以下となることを意味する
ものであり、洗液のpHが短時間 6.5を越えても、
本発明が目的とする合成ゼオライトを得ることが出来る
。洗浄操作には酸性水性液を用いることが出来る。酸と
しては、浸漬処理に使用可能ないずれの酸をも使用する
ことができる。酸性水性液のpHは、浸漬時のpHに近
似またはそれ以下であることが好ましいが、より高くな
っても良い。少量の水で洗浄することも出来る。浸漬処
理時のpH及び浸漬液からの分離方法によっては(例え
ば低いpHにて浸漬処理を行った場合、あるいは浸漬液
からのゼオライトの分離をデカンテーションにて行った
場合には)、浸漬処理時の酸がゼオライト上にかなり残
留している。従って洗浄操作に比較的少量の水を用いて
も洗浄終了時に洗液のpHが6.5以下となり、本発明
の目的を達成することが出来る。洗浄操作自体は、種々
の慣用の方法にて行うことが出来る。 例えば分離した合成ゼオライトを撹拌機付き容器に入れ
、洗液を加えて撹拌、洗浄する。あるいは、分離装置中
のゼオライトに洗液を注加して洗浄する。洗浄操作は通
常、ゼオライトに対し 0.5〜100 倍程度の液量
の洗液を用い、室温で行われるが、他の条件下で行うこ
とも可能である。こうした洗浄操作により、浸漬処理時
にゼオライトから生じた不純物の除去等、製品の品質向
上がなされる。 【0024】次に、得られた合成ゼオライトを加熱乾燥
する。通常、 100℃以上、好ましくは 120℃以
上、特に 130℃以上かつ 200℃以下で、1時間
以上、好ましくは3時間以上、常圧下で、所望により減
圧下で行う。かかる加熱乾燥により、付着していた酸は
通常揮発してしまう。従って、本発明の合成ゼオライト
を水に分散したときに強い塩基性を示さない理由が、付
着酸によるのではないことが明らかである。本発明に従
い浸漬処理の後に、洗浄を行わずにまたは規定の洗浄操
作を行い、加熱乾燥した場合にのみ、本発明の効果が達
成される。浸漬処理に続いて大量の水で洗浄し、加熱乾
燥したのでは本発明の目的は達成されない。一方、本発
明に従い出来上がった合成ゼオライトを、後に大量の水
で洗浄しても本発明の効果は失われない。 【0025】上記の、浸漬‐(洗浄)‐加熱乾燥の一連
の操作を、複数回繰返しても良い。 【0026】合成ゼオライトを上記のようにして改質す
ることによって、水に対する不安定性が改善される。本
発明の合成ゼオライトは、水中で極めて安定である。本
発明の合成ゼオライトを 50g/リットルの濃度で蒸
留水中に分散し、20〜25℃で24時間、好ましくは
72時間保持した後に、分散水のpHは5〜7、好まし
くは 6.0〜6.8 の範囲に留る。本発明の合成ゼ
オライトが安定であることは、実施例で説明するように
分散水中にアルミニウムイオンが検出されないことから
も確認される。従来の合成ゼオライトの場合には、分散
水のpHは24時間後に強いアルカリ性となり、アルミ
ニウムイオンが検出される。 【0027】上記の改質によってまた、ゼオライトの流
動性が改善される。本発明の合成ゼオライトは高い流動
性を有し、その安息角を注入法により測定すると、約4
0°以下、好ましくは約30°以下となる。ここで、安
息角の測定は、注入法により、以下のようにして行う:
直径50mmの円形の測定台の中央上方にロートを固定
する。ロート穴の内径は3mmであり、ロート下端と測
定台との間隔は 100mmとする。試料ゼオライトを
ロートに入れ、ロート穴から落下させると、測定台上に
ゼオライトの山が生じる。この山の頂点と測定台外周と
を結ぶ線が水平線となす角を安息角とする。安息角は山
の高さを測定し、計算により求める。さらにまた、本発
明の改質された合成ゼオライト粒子は、粒子の表面深さ
方向において、ナトリウム、アルミニウム及び酸素の組
成比がほぼ一定であると言う特性を有する。これらの組
成比は、ESCA等の方法によって測定することができ
る。例えばゼオライト粒子表面のESCA測定とエッチ
ングを交互に行って深さ分析を行い、ゼオライト粒子の
表面深さ方向におけるナトリウム、アルミニウム及び酸
素の相対量(合計 100)を測定し、その値をエッチ
ング時間に対してプロットすると、深さに対する組成比
の変化をグラフにして読み取ることができる。こうした
方法により測定した結果は、後記の実施例に示す。 【0028】特定の理論により本発明は限定されないが
、本発明の合成ゼオライトが水に対して安定な理由とし
て、本発明に従う浸漬処理において合成ゼオライト表面
がゾル状物に覆われることが考えられる。すなわち、浸
漬処理の間に、ゼオライト結晶構造の欠陥個所から崩壊
脱落したケイ素及びアルミニウム原子団(イオン基)ま
たはゼオライト内部に封じ込められたゼオライト原料物
質が酸と反応してゼオライト表面にゾル状物を形成する
。ゲル形成性物質を外部から添加した場合には、そのも
のがゼオライト表面に付着し、または酸と反応してゼオ
ライト表面にゾル状物質を生じる。続いて合成ゼオライ
トを加熱乾燥すると、ゾル状物は脱水して、キセロゲル
状になると考えられる。一旦、キセロゲル膜が形成され
ると、これは水洗によっても脱落しない。しかし、加熱
乾燥する前のゾル状物は弱いので、中性及びアルカリ性
雰囲気下で水洗すると脱落するのであろう。本発明の合
成ゼオライトを水に分散したときにキセロゲル膜はいわ
ゆる半透膜として働き、ゼオライトからアルミニウム及
びケイ素の原子団などが水中に出てゆくのを防ぐと考え
られる。 【0029】本発明の改質されたゼオライトが、高い流
動性を有し、また、粒子の表面深さ方向において、ナト
リウム、アルミニウム及び酸素の組成比がほぼ一定であ
ると言う特徴を有する理由も、上記と同じであると考え
られる。従来の合成ゼオライトの表面には凹凸が多く、
また、角が鋭角であるが、本発明の改質されたゼオライ
ト表面は浸漬により凹凸が少なくなり、角が鈍化し、か
つゲル状物で覆われているので、摩擦抵抗が小さいと考
えられる。また、浸漬処理によって不純物が脱落して除
去され、かつ表面がゲル状物で覆われることにより、ゼ
オライト粒子の表面深さ方向におけるナトリウム等の組
成比がほぼ一定となるのであろう。尚、本発明に反し、
緩衝作用を有さない酸溶液でゼオライト粒子を浸漬する
と、前記のように酸追加の際に液pHが局部的に変化す
るため、ゼオライト粒子が不均一に急速に浸蝕されるの
で、この場合にはゼオライト粒子の流動性の改善は少な
い。 【0030】なお、特開昭59‐203723号公報に
、ゼオライトに海水中のミネラル成分を担持させ、かつ
平衡pHが10.5以下に調整されている改質ゼオライ
トが記載され、平衡pHは好ましくは 9.5〜4.5
 とされ、実施例に平衡pH 6.5の物が記載されて
いる。しかし、そこでの平衡pHとは5g/100 m
lの水性スラリーの僅か30分間後のpH値である。本
発明者が見い出したところによると、30分間では平衡
pHには達しない。たとえば従来の合成ゼオライトをp
H 2.5の塩酸で中和したゼオライトを水に分散する
と、分散水のpHは1時間後には 6.5であるが24
時間後には 8.9まで著しく上昇する。従って、上記
公報における「平衡pH」のゼオライトは本願発明を示
唆していない。 また上記公報におけるゼオライトの酸処理は、単に「中
和処理」とのみ記載されているので、本発明方法のよう
に長時間の処理を示唆していない。従来の合成ゼオライ
トを酸で中和すると、見かけ上はすみやかに中和される
が、たとえこれを水洗せずに乾燥したとしても、水に再
び分散するとアルカリ性を呈する。 【0031】これとは別に、特公平3−12576 号
公報には、粒径5μm以下の球状A型ゼオライトまたは
その酸処理により得られる非晶質と 0.2〜5重量%
の非晶質シリカとから成る樹脂用添加物が開示されてい
る。この公報の酸処理においては、緩衝剤は使用されて
おらず、用いられている分散液のpHは非常に低い(強
酸)。それにより得られる非晶質粒子はイオン交換能を
示さない。さらに、酸処理を分散液のpHが長時間一定
となるまで継続すべきであると言うことは、該公報には
記載も示唆もされていない。当該公報にはまた、水洗を
避けるまたはpHが実質的に 6.5を越えない条件下
でのみ行うべきであると言うことも記載されていない。 該公報に一つだけ記載されている実施態様を本発明者が
繰り返したところ、本発明に従い水洗を行わなかったに
も関わらず、得られたゼオライトのpHは 8.5と、
本発明における5〜7のpHに比べ、非常に高いもので
あった。 【0032】他に、特公平3−25451 号公報には
、粒径分布及び表面積等の特性が特定された非晶質アル
ミナ‐シリカから成る樹脂用添加物が開示されている。 そのような非晶質アルミナ‐シリカは、粒径 0.6μ
m以下でAl2 O3 /SiO2 モル比が 1:1
.8〜1:5.0 である合成ゼオライトを酸処理する
ことによって得られる。その酸性液は本発明同様緩衝さ
れているが、しかし、酸処理されたゼオライトは、非晶
質アルミナ‐シリカを得るために、水洗してから 30
0℃以上の温度で乾燥されている。 該公報中の唯一開示された実施例においては、得られた
非晶質アルミナ‐シリカのスラリーのpHは 8.5と
高いものであり、このものは安定化されていない。この
ように、該公報記載の技術は、本願発明とは明らかに異
なる。 【0033】本発明の合成ゼオライトは安定な中性乃至
微弱酸性を維持し、湿潤時にもpHが高まることなく安
定である。それ故に、体粘膜や皮膚等に接触しても低刺
激性を示し、副作用を呈することがない。従って、医薬
、医療、化粧品及び食品関係の原料、用材に使用できる
。 各種有機材料、無機材料中に混入複合化した際にも、長
期に亘って構造が安定であるので、材料の物性や性状の
劣化原因とはならない。また、本発明の合成ゼオライト
を酸性水(塩酸、pH2〜3)及びアルカリ性水(水酸
化ナトリウム、pH10〜11)に分散(固液比1:1
0)すると、いずれの場合でも分散水は同じpH、たと
えばpH6.8 になり、しかも合成ゼオライトは崩壊
せず、分散水中にアルミニウムイオンは検出されない。 それ故、pH調節材として使用することができる。例え
ば、酸性雨の中性化、鰻等の養殖用水の調整などの用途
に使用することも可能である。 【0034】また、本発明の合成ゼオライトは、高流動
性であるため、取扱いが非常に容易であり、このことは
従来のゼオライトの用途においても顕著な利点である。 本発明の合成ゼオライトは多くの場合、従来の合成ゼオ
ライトが持つ機能を有し、例えば、乾燥剤、吸着剤、イ
オン交換剤、各種添加剤、或は触媒、分子フルイなどの
成分分離、水処理用造粒体、担体などとして使用できる
。さらに、本発明のゼオライトにおいては細孔中の不純
物が除かれ、粒子の表面積が拡大している。本発明者が
測定したところ、市販されているあるA型ゼオライトの
実際の表面積は3m2 /g に過ぎなかったが、該ゼ
オライトを本発明により浸漬処理すると、85m2 /
g の表面積を有するに至った。 【0035】本発明の合成ゼオライトに金属イオンを担
持させる場合について特に説明する。イオン交換処理に
よってゼオライトに金属イオンを担持させ、該金属イオ
ンの特性を有するゼオライトを製造する技術が知られて
いる(特開昭59‐133235号公報、特公昭63−
54013号公報等)。イオン交換処理は通常、金属イ
オンを含有する水性溶液中にゼオライトを浸漬すること
によって行われるが、この際にゼオライト中のアルカリ
成分等の不純物が金属イオンと反応し、金属化合物がゼ
オライト表面に沈着してゼオライトの機能が損なわれる
ことがある。例えば合成ゼオライトに銀イオンを担持さ
せる場合、銀イオンがゼオライト中のアルカリ成分と反
応してAg2 Oのような沈着物を生じ、ゼオライトの
白度、耐候白度の低下、吸着能の低下、及び抗菌性の低
下等がもたらされることがある。本発明のゼオライトに
おいては、アルカリ成分等の不純物の溶出がないので、
金属化合物の沈着を生じず、従って沈着に伴う機能の低
下もない。例えば本発明のゼオライトに通常の方法で銀
イオンを担持させたものは、高い白度、耐候白度を有す
る。さらに、本発明のゼオライトは、ゼオライトの表面
深さ方向での組成比がほぼ一定なので、ゼオライト粒子
の比較的中央部にまで金属イオンが均一に担持される。 尚、上記のように本発明で得られたゼオライトにイオン
交換を行って金属イオンを担持する方法の他に、酸性緩
衝液での浸漬と同時にイオン交換を行う方法を用いるこ
ともできる。あるいは、浸漬及び固液分離の後、かつ乾
燥処理の前に、イオン交換を行っても良い。 【0036】本発明のゼオライトを有機高分子体に混合
して使用することも可能である。ゼオライトに抗菌性金
属イオンを担持させ、これと高分子体とを混合し、成形
する技術が知られている(特開昭59‐133235号
公報)。 本発明の合成ゼオライトは中性乃至微弱酸性であるので
、高分子体の劣化をもたらすことがない。高分子体は、
たとえば合成または半合成の有機高分子体であり、特に
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニル
アルコール、ポリカーボネート、ポリアセタール、AB
S樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタンエラ
ストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性合
成高分子、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂
、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹
脂などの熱硬化性合成高分子、レーヨン、キュプラ、ア
セテート、トリアセテートなどの再生または半合成高分
子などが挙げられる。合成ゼオライトを高分子体に混入
することにより、(変性)ゼオライトの機能、たとえば
吸着、乾燥、抗菌などの性質を持つ高分子成形体(塗装
及び接着剤を含め)を得ることができる。 【0037】 【実施例】以下で実施例により本発明を更に説明する。 【0038】以下において、ゼオライトを分散した水の
pH(簡単のためにゼオライトのpHと云うことがある
)は次のようにして測定した。合成ゼオライトを常圧、
 105℃で2時間乾燥し、室温に冷却後に蒸留水に 
50g/リットルの濃度で分散し、20〜25℃で24
時間500rpmで攪拌した後、保証電極を使用して2
0℃で測定した。 【0039】アルミニウムの溶出の測定は、上記の如く
 50g/リットルの分散物を20〜25℃で24時間
500rpmで攪拌した後に、72時間静置し、液を0
.45ミクロンメンブランフィルターに通過させて得た
分取液について原子吸光分析方法〔島津製作所製AA‐
640−13型〕で求めた。検出限界は0.5ppmで
ある。 【0040】実施例で用いた原料の合成ゼオライトを表
1に示す。各合成ゼオライトは必要に応じて粉砕及び分
級して、所望の粒子径とした。表中の含水率は、 10
5℃で乾燥した物の含水率である。 【0041】 【表1】                          
   表      1        ゼオライト 
         組成または入手元    平均粒子
    含水率                  
                         
     径(μ)    (%)      (1)
 A‐型ゼオライト        (α)*    
        1.1       16.0   
  (2) Y‐型ゼオライト        (β)
*            1.6       19
.8     (3) X‐型ゼオライト      
  (γ)*            0.6    
   12.7     (4) A‐型ゼオライト 
   市販品、外国G社      11.8    
    8.2     (5) A‐型ゼオライト 
   市販品、外国E社       3.4    
    7.1     (6) A‐型ゼオライト 
   市販品、国内M社       3.8    
    6.6     (7) Y‐型ゼオライト 
   市販品、外国G社       5.8    
   11.2     (8) X‐型ゼオライト 
   市販品、外国G社       3.4    
   11.8         * (α):0.9
4Na2 O・Al2 O3 ・1.92SiO2 ・
xH2 O        (β):0.99Na2 
O・Al2 O3 ・2.55SiO2 ・xH2 O
        (γ):1.14Na2 O・Al2
 O3 ・4.90SiO2 ・xH2 O【0042
】 【対照例】上記の合成ゼオライト (1)〜(8) に
ついて、pH及びアルミニウム溶出濃度を調べた。結果
を表2に示す。 【0043】 【表2】       【0044】 【実施例1】合成ゼオライト粒子 (1)、 (2)、
 (3)及び(4) から、改質された合成ゼオライト
を以下の方法で製造した。 【0045】内容量2リットルの攪拌装置付き反応装置
中で、2N酢酸1000mlに酢酸ナトリウム95g 
を溶解させてpH 5.1の緩衝水性液を調製した。温
度35℃、攪拌速度500rpmで攪拌しながら、上記
緩衝液中に合成ゼオライト粒子 300g を、約20
分間かけて徐々に添加して分散させた。ゼオライトの添
加終了後、1時間攪拌を続け、分散液のpHが 5.5
±0.3 の範囲内であることを確認してからさらに 
0.5時間攪拌を持続し、再度分散液のpHが 5.5
±0.3 の範囲内であることを確認した。次にブッフ
ナー濾過装置を用いて固液分離し、イオン交換水に10
%酢酸を加えてpH 4.0とした洗浄液少量を濾過装
置上部より注加して洗浄した。洗浄後の濾液は、pH 
5.5±0.5 の範囲内であった。分離したゼオライ
トを130 ℃で4時間乾燥して水分を除去した後、局
方乳鉢を用いて適度に粉砕し、製品とした。 【0046】得られた合成ゼオライトを蒸留水に分散さ
せてpH及びアルミニウム溶出濃度を測定した。結果は
表3の通りであって、水に対する安定性は極めて良好で
あった。 【0047】 【表3】       【0048】 【実施例2】合成ゼオライト粒子 (5)、 (6)、
 (7)及び(8) から、改質された合成ゼオライト
を以下の方法で製造した。 【0049】内容量2リットルの攪拌装置付き反応装置
中で、2N酢酸1000mlに酢酸アンモニウム150
gを溶解させてpH 5.3の緩衝水性液を調製した。 温度45℃、攪拌速度 500rpm で攪拌しながら
、上記緩衝液中に合成ゼオライト粒子300gを、約2
0分間かけて徐々に添加して分散させた。ゼオライトの
添加終了後、2時間攪拌を続け、分散液のpHが 5.
7±0.3 の範囲内であることを確認してからさらに
 0.5時間攪拌を持続し、再度分散液のpHが 5.
7±0.3 の範囲内であることを確認した。次にブッ
フナー濾過装置を用いて固液分離し、イオン交換水に1
0%酢酸を加えてpH 4.0とした洗浄液少量を濾過
装置上部から注加して洗浄した。洗浄後の濾液は、pH
5.7±0.5 の範囲内であった。分離したゼオライ
トを 130℃で4時間乾燥して水分を除去した後、局
方乳鉢を用いて適度に粉砕し、製品とした。 【0050】得られた合成ゼオライトを蒸留水に分散さ
せてpH及びアルミニウム溶出濃度を測定した。結果は
表4の通りであって、水に対する安定性は極めて良好で
あった。 【0051】 【表4】       【0052】 【参考例】本実施例は、酸溶液への浸漬時に緩衝剤を使
用すると、ゼオライト粒子の分解が抑制され、かつ、浸
漬処理を容易に行うことができると言うことを示すもの
である。 【0053】内容量2リットルの攪拌装置付き反応装置
中で、2N酢酸1000mlに酢酸ナトリウム 360
g を溶解させてpH 6.1の緩衝水性液を調製した
。室温下、攪拌速度 500rpm で攪拌しながら、
上記緩衝液中に合成ゼオライト粒子(5) 50g づ
つを5分間隔で添加して、ゼオライト粒子の添加量が 
100g 増加する度に、分散液のpHを測定した(参
考例)。pHの測定は、次のゼオライト画分を添加する
直前に行った。その結果を表5に示す。 【0054】比較のため、酢酸ナトリウムを使用しなか
った以外は上記と同じ操作を行った(参考比較例a)。 その際のpHの測定結果をまた、表5に示す。 【0055】緩衝剤を使用した系において、ゼオライト
分散液のpHが非常に安定していることが明らかである
。 この系において、分散液のpHが6〜6.5 の範囲内
にあることより、ゼオライト粒子の分解は殆ど起きてい
ないと推定される。 【0056】 【表5】   尚、参考比較例aにおいては、ゼオライトを200
 g 添加するまでに著しい発泡が見られた。また、ゼ
オライトを 400g 加えた時点でゼオライト分散液
が著しく増粘し、攪拌のために使用していたマグネチッ
クスターラーが作動しなくなったので、以降、別途に攪
拌モーターを使用して攪拌を継続した。一方、緩衝剤を
用いた参考例においては、分散液の発泡・増粘はいずれ
も僅かに観察されたのみであった。 【0057】上記二つの分散液、及び2N酢酸の代わり
に2N硝酸を用いて参考比較例aと同じ操作を行った系
(参考比較例b)の分散液について、24時間後、B型
粘度計を用いてその粘性度を計測した(回転数 10 
rpm)。 その結果を表6に示す。 【0058】 【表6】       【0059】 【比較例1】実施例1及び2で用いた合成ゼオライト 
(4),(7) 及び(8) を用いて以下の方法で水
洗処理又は中和処理を実施した。 【0060】水洗処理   合成ゼオライト粒子 100g を1リットルのイ
オン交換水に加え、充分に攪拌分散の後、ブッフナーろ
過装置を使用して固液分離した。更にろ過装置の上部よ
り3リットルのイオン交換水を注意深く数回に分割して
注入し、ろ液のpHがほぼ7であることを確認した。水
洗を終えたゼオライト粒子を取り出して130 ℃で4
時間乾燥し、適度に粉砕した。 【0061】中和処理   合成ゼオライト粒子 100g を1リットルのイ
オン交換水に加え、充分に攪拌分散した後、ブッフナー
ろ過装置を使用してろ過した。次いで希硝酸を注意深く
注ぎ入れ中和した。中和水のpHが5分間ほぼ6.5 
であることを確認してから中和を停止し、中和後のゼオ
ライト粒子を取り出して 130℃で4時間乾燥し、適
度に粉砕した。 【0062】得られたゼオライトを蒸留水に分散させて
、pH及びアルミニウムの溶出濃度を測定した。結果は
表7の如くであった。表1及び表2と比べると、pH値
は殆んど改善されていず、不安定である。そしてその結
果と考えられるがアルミニウムの溶出も殆んど処理前と
変らぬレベルであり、自己崩壊と認められる状況であっ
た。即ち、水洗又は中和によりpHを7前後としたにも
拘らず、のちに水中に分散させた時点で、pHが10近
くになってしまった。 【0063】 【表7】                          
   表    7                
                         
                         
              ゼオライト      
  処理方法   pH   アルミニウムの溶出濃度
、ppm       (4) A‐型ゼオライト  
水洗処理   9.4               
9.1    (7) Y‐型ゼオライト  水洗処理
   9.5               5.4 
   (8) X‐型ゼオライト  水洗処理   9
.2               7.2    (
4) A‐型ゼオライト  中和処理   9.0  
             8.1    (7) Y
‐型ゼオライト  中和処理   9.3      
         5.4    (8) X‐型ゼオ
ライト  中和処理   8.9          
     6.8              【00
64】 【実施例3】合成ゼオライト粒子(5) 300 g 
を用い、実施例1と同じ操作を行って本発明の改質され
たゼオライトを製造した。但し、合成ゼオライトは、 
300mlのイオン交換水に水ガラス(SiO2 含量
35〜38%)5g を溶解させた溶液に分散させ、ス
ラリー状のまま緩衝水性液に添加した。 【0065】得られた合成ゼオライトを蒸留水に分散さ
せてpH及びアルミニウム溶出濃度を測定した。結果は
表8の通りであり、優れた安定性を示した。 【0066】 【表8】       【0067】 【実施例4】合成ゼオライト粒子(5) 300 g 
を用い、実施例1と同じ操作を行って本発明の改質され
たゼオライトを製造した。但し、緩衝水性液には、予め
コロイダルシリカ(商標スノーテックスC)20g を
添加しておいた。 【0068】得られた合成ゼオライトを蒸留水に分散さ
せてpH及びアルミニウム溶出濃度を測定した。結果は
表9の通りであり、優れた安定性を示した。 【0069】 【表9】       【0070】 【実施例5】合成ゼオライト粒子(1) に銀イオンを
イオン交換により与え、このゼオライト‐Ag を使用
して本発明の改質された合成ゼオライトを製造した。反
応装置は実施例1と同一のものを使用した。但し、反応
槽に硝酸銀添加装置を更に付設した。 【0071】予め水洗したA型‐ゼオライト(1) 2
00gを反応槽に入れ、この中に添加装置より 0.5
%硝酸銀水溶液1リットルを添加した後、温度35℃、
攪拌速度500rpmで5時間攪拌混合してイオン交換
反応を行ない、銀イオンの担持されたゼオライトを形成
した。次に、ろ過、水洗して不純物を除去し、同時にp
Hがほぼ中和されたことを確認し、乾燥、粉砕した。 【0072】上記、ゼオライト‐Ag のほぼ 1/2
 に相当する100gについて本発明の方法を適用した
。同一の反応槽中で、イオン交換水1リットルに酢酸(
純度約100 %)6.0g及び酢酸ナトリウム7.6
 g を溶解した緩衝水性液を調製した。この緩衝水性
液のpHはほぼ5であった。 この水性液中に、温度35℃、攪拌速度500rpmで
攪拌しながら、上記のゼオライト‐Ag 100gを、
約20分間かけて徐々に添加して分散させた。ゼオライ
トの添加終了後、1時間攪拌を続け、分散液のpHが 
5.5±0.3 の範囲内であることを確認してからさ
らに 0.5時間攪拌を持続し、再度分散液のpHが 
5.5±0.3 の範囲内であることを確認した。(場
合によりpHが設定目標より上昇していたら、同一組成
の酸緩衝液または酢酸ナトリウムを含有しない酸溶液を
添加して調整すれば良い。)次にブッフナー濾過装置を
用いて固液分離し、得られたゼオライト‐Ag を水洗
することなく 130℃で4時間乾燥して水分を除去し
た後、局方乳鉢を用いて適度に粉砕し、製品とした。 【0073】取得した本発明の合成ゼオライト‐Ag 
及び酸浸漬を行わなかったそれについてpH及びアルミ
ニウムの溶出濃度を測定した。結果は表10の通りであ
って、水に対する安定性の差は両者間で顕著である。本
発明のゼオライト‐Ag ではpHが中性で安定してお
り、アルミニウムの溶出がなく、自己崩壊を認ない極め
て安定な製品であった。 【0074】 【表10】                          
     表      10          ゼ
オライト            方  法     
pH     アルミニウムの           
                         
              溶出濃度、ppm   
    (1) A‐型ゼオライト‐Ag   対  
照     9.5        15.6    
(1) A‐型ゼオライト‐Ag   本発明    
 6.7    検出限界以下       尚、硝酸銀水溶液でのイオン交換の際に、酢酸及び
酢酸ナトリウムを使用してイオン交換液のpHを 5.
0に保持して銀イオンを担持させた後、ゼオライトを水
洗せずに濾別乾燥する実施態様により得られた本発明に
従う合成ゼオライト‐Agは、6.6 のpHを示した
。 【0075】 【実施例6】攪拌装置を備えた2リットルの反応槽に、
酢酸100g及び酢酸ナトリウム60g を加え、イオ
ン交換水1000mlを注加して溶解した。この緩衝溶
液のpHは 4.4であった。この溶液中に、室温下、
500rpmでの攪拌の下、合成ゼオライト粒子(5)
 200gを約20分間かけて徐々に添加して分散させ
、次に、液温を60℃に上昇させて1時間攪拌を継続し
た。分散物を室温に冷却した後(分散液のpHは 5.
2となっていた)、さらに4時間室温で攪拌し、分散液
のpHが 5.2±0.3 の範囲内であることを確認
して浸漬処理を終了した。次に、ブッフナー濾過装置を
用いて分散物を固液分離し、濾過装置上部より約3リッ
トルのイオン交換水を徐々に注いで洗浄した。洗浄終了
時の洗液のpHは 6.5以下であった。分離したゼオ
ライトを 140℃で3時間乾燥した後、コーヒーミル
型粉砕機で二次凝集を解放して製品とした。 【0076】尚、上記で得られたゼオライトのpH及び
アルミニウム溶出濃度を、先の実施例と同じ方法で測定
したところ、pHは 6.4、アルミニウム溶出濃度は
検出限界以下であった。 【0077】比較のため、上記で使用したのと同じ原料
ゼオライトに、酢酸及び酢酸ナトリウムを用いなかった
以外は上記と同じ条件での浸漬処理(湯浸漬)を行った
ゼオライト、酢酸ナトリウムを用いなかった以外は上記
と同じ条件での浸漬処理(酸浸漬)を行ったゼオライト
、並びに、原料ゼオライトを 450℃で2時間熱処理
したゼオライト及び 300℃で2時間熱処理したゼオ
ライトを調製した。これらの各種ゼオライトの安息角を
測定した。安息角の測定は、注入法により、以下のよう
にして行った:直径50mmの円形の測定台の中央上方
にロートを固定した。ロート穴の内径は3mmであり、
ロート下端と測定台との間隔は 100mmとした。試
料ゼオライトをロートに入れ、ロート穴から落下させる
と、測定台上にゼオライトの山が生じた。この山の頂点
と測定台外周とを結ぶ線が水平線となす角を安息角(θ
)とした。θは山の高さを測定し、計算により求めた。 尚、試料ゼオライトは予め105 ℃で2時間乾燥し、
室温に放冷して用いた。 その結果を表11に示す。 【0078】 【表11】   本発明に従うゼオライトは、高い流動性を有すると
言うことが明らかである。 【0079】上記本発明のゼオライト粒子の表面深さ方
向における、ナトリウム、アルミニウム及び酸素の組成
比を、ESCAを用いて測定した。尚、ESCA測定は
、ゼオライト粒子を10トンの圧力の下、プレート上に
平滑にマウントして行った。ゼオライト粒子表面のES
CA測定とエッチングを交互に行って深さ分析を行い、
ゼオライト粒子の表面深さ方向におけるナトリウム、ア
ルミニウム及び酸素の相対量(合計 100)を測定し
、その値をエッチング時間に対してプロットした。その
結果を図1及び図2に示す。 【0080】原料として使用した合成ゼオライト(5)
 についても、同じ方法による測定を行った。その結果
を図3及び図4に示す。 【0081】図1〜4において、Na、Al、Oは夫々
、ナトリウム、アルミニウム、酸素の組成比を示す。 横軸の一目盛りは、図1及び図3においては0.20分
間であり、図2及び図4においては2.00分間である
。図2及び図4は夫々、図1及び図3のデータを得た後
の、すなわち、すでに 2.0分間エッチングしたサン
プルについてさらに深さ分析を行って得られたものであ
る。従って、図2及び図4において表示されているエッ
チング時間は、実際のエッチング時間よりも2.0 分
間少ない値であり、それ故、全エッチング時間はいずれ
も21.0分間である。尚、本ESCA測定においては
、1分間のエッチングにより約5 nmの深さで削って
いると推定されるので、最終的に105 nmの深さで
ある。これは、ゼオライト粒子半径(1.7μm)の約
1/16である。 【0082】図3及び図4より明らかなように、未処理
の合成ゼオライトにおいては、ゼオライト粒子表面近傍
でNaの比が著しく高まって、表面からやや深まった位
置とより表面に近い位置とでは、NaとAlの組成比が
大きく逆転しており、また、酸素の組成比が表面付近で
低下しているなど、組成比が一定していない。 【0083】一方、図1及び図2に示す本発明に従い緩
衝液で浸漬されたゼオライトにおいては、ナトリウム、
アルミニウム及び酸素の組成比が、表面深さ方向におい
てほぼ一定となっていおり、組成比の著しい変化は見ら
れない。また、本発明に従い浸漬したゼオライトにおけ
るNa/Alの比は、未浸漬のゼオライトのそれに比べ
て大きい。従って、本ゼオライトは、単にゼオライト中
のナトリウムが酸性液での処理によって水素イオンに置
換しただけのものではないと言うことが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】  本発明に従い緩衝剤含有酸性水性液で処理
したゼオライト粒子における、ESCAによる初めの 
2.0分間の深さ分析のグラフ。
【図2】  本発明に従い緩衝剤含有酸性水性液で処理
したゼオライト粒子における、ESCAによる 2.0
分間経過後から21.0分間までの深さ分析のグラフ。
【図3】  原料として使用したゼオライト粒子におけ
る、ESCAによる初めの 2.0分間の深さ分析のグ
ラフ。
【図4】  原料として使用したゼオライト粒子におけ
る、ESCAによる 2.0分間経過後から21.0分
間までの深さ分析のグラフ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  注入法により測定した安息角が約40
    °以下であることを特徴とする合成ゼオライト粒子。
  2. 【請求項2】  ゼオライト粒子の表面深さ方向におい
    て、ナトリウム、アルミニウム及び酸素の組成比がほぼ
    一定であることを特徴とする合成ゼオライト。
  3. 【請求項3】  緩衝された酸性水性液に合成ゼオライ
    トを浸漬し、浸漬液のpHを約7以下の所定の値に保つ
    ように、緩衝剤を含有するまたは含有しない酸を追加し
    、もはや酸を追加しなくてもほぼ一定のpHを少くとも
     0.5時間持続するまで浸漬を持続し、次に合成ゼオ
    ライトを洗浄することなくまたは洗液のpHが実質的に
    pH約6.5 を越えない条件で洗浄した後に加熱乾燥
    することを特徴とする、合成ゼオライトの製造法。
  4. 【請求項4】  浸漬処理時において酸として弱酸を使
    用することを特徴とする、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】  緩衝された酸性水性液が、酸として使
    用した弱酸の塩を緩衝剤として含有することを特徴とす
    る、請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】  浸漬処理時において、アルミノシリケ
    ート、ケイ酸、ケイ酸塩、アルミン酸塩、アルミナ、及
    び、半透膜の性質を有するゼラチン、寒天、アルギン酸
    ソーダ、各種セルロース誘導体を包含する天然高分子、
    及び、半透膜の性質を有するPVA誘導体、再生セルロ
    ース誘導体、アクリル酸誘導体、メラミン樹脂誘導体、
    フェノール樹脂誘導体を包含する合成高分子より選ばれ
    た一以上の物質を浸漬液が溶解含有する、請求項3〜5
    のいずれか一つに記載の方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5443812A (en) * 1989-04-24 1995-08-22 Kanebo Ltd. Stabilized synthetic zeolite and a process for the preparation thereof
US6071542A (en) * 1995-03-16 2000-06-06 Kanebo Ltd. Antibacterial zeolite causing little discoloration and method of the production thereof
JP2006055771A (ja) * 2004-08-20 2006-03-02 Idemitsu Kosan Co Ltd 金属担持ゼオライト成型体の製造方法及び該ゼオライトを含有する硫黄化合物除去用吸着剤
JP2014193454A (ja) * 2013-02-26 2014-10-09 Nippon Valqua Ind Ltd 吸着シート、当該吸着シートを得る製造方法、吸着機能の回復方法、及び吸着方法

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