JP2826868B2 - 安定化された合成ゼオライト及びその製造法 - Google Patents

安定化された合成ゼオライト及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、水に対して自己崩壊現象のない安定化した
合成ゼオライト及びその製造法に関する。
[従来の技術] ゼオライトは、固有の細孔径、表面電場、イオン交換
能、吸着分離能などを持っており、極めて有用な機能性
材料として注目を集めている。とりわけ合成ゼオライト
は、合成物質の特徴である均質な製品が多量に製造出
来、加えて安定に供給可能なことから広範に利用されて
きている。
合成ゼオライトは一般に、ケイ酸ソーダ、アルミン酸
ソーダ及び苛性ソーダの溶液を混合、熟成し、生成した
ゲルをろ別、水洗及び乾燥して作られている。
[発明が解決しようとする課題] 従来市販されている合成ゼオライトは、製造工程の後
段で水洗されているにも拘らず、これを水に分散すると
分散液が強いアルカリ性を呈する。合成ゼオライトは洗
剤のビルダーとして多量に用いられており、この場合に
は合成ゼオライトがアルカリ性を与えることはむしろ利
点となる。合成ゼオライトは、吸着剤、触媒、担体、イ
オン交換材、充填剤などとしても用いられ、これらの分
野のあるものにおいては合成ゼオライトの塩基性は欠点
となる。
後記の実施例で述べるように、本発明者及び国内外の
ゼオライト製造業者が作った合成ゼオライトについて調
べたところ、50g/の合成ゼオライト分散物を20℃で24
時間保持するとpH約8〜12となり、分散液中に約10〜30
ppmのアルミニウムの存在が確認された。合成ゼオライ
トを改めて多量の水で洗浄した後に同様に試験しても、
やはり分散液は強いアルカリ性を示すことが判った。そ
こで合成ゼオライトを希酸で中和した後に分離、水洗
し、同様に水中に分散すると分散液はやはりアルカリ性
であった。そこで、強いアルカリ性を示す合成ゼオライ
ト(分散液のpH11)の分散物に1規定塩酸の一滴(0.03
ml)を滴下したが、24時間後にpHが11になった。1規定
苛性ソーダをゼオライト分散物に滴下した場合にも、24
時間後にpHが同じく11になった。
一方、或る天然ゼオライトを水に分散するとpHは6.8
であり、アルミニウム濃度は検出限界(0.5ppm)以下で
あった。同じゼオライト分散物に1規定塩酸を滴下する
とpHは直ちに5.0になり、24時間後も同じであった、他
方、同じゼオライト分散物に1規定苛性ソーダを滴下す
るとpHは直ちに9.0になり、24時間後も同じであった。
以上の様に、従来の合成ゼオライトは天然ゼオライト
と違って著しいアルカリ性を呈し、合成ゼオライトを慣
用の如く水洗又は中和しても、いぜんとして著しいアル
カリ性を示す。これは合成ゼオライトが徐々に自己崩壊
しているか、又は合成ゼオライトの製造時に封じ込めら
れたアルカリ性物質が徐々にゼオライトから滲出してく
るためであると考えられる。しかし天然ゼオライトにお
いては莫大な時間のうちに、ゼオライトの不安定な構造
又はアルカリ性物質が雨水で洗われるなどして除去され
てしまっているのであろう。
従って本発明は、合成ゼオライトの水及び空気中の湿
気に対する不安定性を解消し、水に分散したときに分散
液がアルカリ性を呈さないところの合成ゼオライトを提
供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明者は、合成ゼオライトを酸性水性液に浸漬し、
浸漬液のpHを約7以下の所定の値に保つように酸を追加
し、もはや酸を追加しなくてもほぼ一定のpHを少くとも
1時間持続するまで浸漬を持続し、次に合成ゼオライト
を洗浄することなくまたは洗液のpHが実質的にpH6.5を
越えない条件で洗浄した後に加熱乾燥することにより、
目的とする安定化された合成ゼオライトが得られること
を見出した。
ここで、浸漬液のpHが酸を加えずとも7以下で長時間
一定となるまで浸漬を続けること、次に洗浄することな
くまたはもし洗浄するのなら洗液のpHが6.5を相当時間
に亘って越えない条件での洗浄を行い、加熱乾燥するこ
とが本発明の重要な要件である。従来のように単に水洗
したのでは目的が達成されないことは勿論であり、浸漬
処理を行っても次に大量の水で洗浄して洗浄液のpHが6.
5を越えてから(特に中性になってから)加熱乾燥した
のでは本発明の目的は達成されない。一方、本発明に従
い酸処理後に洗浄を行わずにまたは洗液のpHが6.5を実
質上越えない条件で洗浄し、加熱乾燥を一旦行ったあと
では、合成ゼオライトを水洗しても合成ゼオライト分散
液はアルカリ性を呈しない。このことは全く予測されな
かったことである。
すなわち本発明は、合成ゼオライトを50g/の濃度で
蒸留水中に分散し、20〜25℃で24時間保持した後の分散
水のpHが5〜7であることを特徴とする合成ゼオライト
である。
また本発明は、合成ゼオライトを酸性水性液に浸漬
し、浸漬液のpHを約7以下の所定の値に保つように酸を
追加し、もはや酸を追加しなくてもほぼ一定のpHを少く
とも1時間持続するまで浸漬を持続し、次に合成ゼオラ
イトを洗浄することなくまたは洗液のpHが実質的にpH約
6.5を越えない条件で洗浄した後に加熱乾燥することを
特徴とする、上記の安定化された合成ゼオライトの製造
法である。
本発明において合成ゼオライトは、総ての合成ゼオラ
イトを包含する。合成ゼオライトは一般には、Al2O3
基準にしてxM2/nO・Al2O3・ySiO2・zH2Oで表わされる。
Mは1価又は2価の金属、特にナトリウム及びカリウム
のようなアルカリ金属であり、nはその原子価である。
x,y及びzは夫々、金属酸化物の係数、二酸化ケイ素の
係数及び結晶水の数を示す。合成ゼオライトは、組成
比、細孔径、比表面積などの異る多種のものが知られて
いる。合成ゼオライトの典型的なものとしてA型ゼオラ
イト(SiO2/Al2O3=1.4〜2.4)、X型ゼオライト(SiO2
/Al2O3=2〜3)、Y型ゼオライト(SiO2/Al2O3=3〜
6)、モルデナイト(SiO2/Al2O3=9〜10)などが挙げ
られる。
上記式中のMは一般にナトリウム又はカリウムである
が、Mの一部又は全部が鉄、亜鉛、銅、錫、銀、バナジ
ウム、タングステン、ニッケル、モリブデン、アンチモ
ン、クロムなどの重金属、カルシウム、マグネシウム、
リチウム、アルミニウムなどの軽金属、又はアンモニウ
ムイオンにより置換されていてよい。
合成ゼオライトを浸漬する酸性水性液は、無機酸及び
/又は有機酸の水性液である。例えば、塩酸、硫酸、硝
酸、燐酸などの無機酸、及び蟻酸、酢酸、シュウ酸、酒
石酸などの有機酸を用いることが出来る。本発明には以
上のように種々の慣用の酸を使用することが出来るが、
中でも弱酸、例えば酢酸、蟻酸、酒石酸、アジピン酸、
ホウ酸等が好ましい。ゼオライトを分散させた蒸溜水に
例えば2N硝酸または2N酢酸を少量ずつ添加すると、硝酸
を添加した場合には分散液の増粘及びかなりの発泡が観
察されるが、酢酸を添加した場合には少量の発泡がある
のみであり、しかもゼオライト分散液のpHがほぼ一定に
なるのが早い。この理由としては、ゼオライトを分散さ
せた浸漬液に強酸を添加(追加)する場合、撹拌が不十
分だと浸漬液のpHが局部的に低くなり、ゼオライトの一
部が急速に侵される(例えばA−型ゼオライトはpH約4
以下で急速に侵される)のに対し、酢酸、蟻酸のような
弱酸を使用する場合には浸漬液pHの局部的低下が小さい
のでゼオライトの急激な分解が殆ど起こらないこと、ま
た従って添加した弱酸がゼオライトの分散に費されずに
穏やかに本発明の処理を進行させるのであろう。また、
pHの局部的変化とは別に、強酸に比べて弱酸はゼオライ
トに対して緩慢に作用するので、本発明の時間をかける
浸漬処理においてゼオライトを不都合に侵す危険性がよ
り小さい。無機酸及び有機酸を併用することも出来、又
2種類以上の無機酸又は有機酸を混合使用してもよい。
溶媒は一般に水であり、少量の有機溶媒及び/または界
面活性剤を含んでもよい。更に、必要に応じては、酸性
水性液に可溶な無機塩類または有機塩類を添加すること
が出来る。浸漬液の当初のpHは7以下、好ましくは4.0
〜6.5、特に4.5〜6.0とし、浸漬処理の進行につれてpH
が上がるので酸(溶液)によりpHを調節する。
浸漬処理法は任意である。たとえば、撹拌機付き容器
に酸性水性液を入れ、撹拌下に合成ゼオライトを徐々に
加えて分散させる。その際に分散液のpHは上昇するの
で、pH7以下に所定のpHに維持するよう酸を適宜添加す
る。総てのゼオライトを分散させた後にも撹拌を続けな
がら、所定のpHを維持するよう酸を添加する。もはや酸
を加えなくともpH値がほぼ一定(±0.5、好ましくは±
0.3)となるのを確認してから浸漬処理を終える。一般
に浸漬処理は、酸を加えなくともpH値がほぼ一定になっ
てから1時間以上、好ましくは3時間以上続ける。ほぼ
一定pHになってからの処理時間を長くすると、製品ゼオ
ライトの安定性がより良くなる。処理条件を例示する
と、最終的に5〜40重量%の合成ゼオライト固体粒子濃
度とし、100〜2000rpmの緩かな撹拌の下で10〜50℃で行
う。合成ゼオライトの濃度を極端に低くし、温度を高め
ると、処理時間を短縮できる。撹拌速度は処理時間に少
ししか関係しない。
上記とは逆に、予めゼオライトを水に懸濁し、これに
酸を少しずつ添加して浸漬処理することもできる。処理
pH、時間等は上記と同様である。
また、合成ゼオライトの浸漬処理を、合成ゼオライト
の製造工程の最終工程として行うこともできる。すなわ
ち、ケイ酸ソーダ、アルミン酸ソーダ及び苛性ソーダの
水溶液から生成したゼオライトゲルを含む反応後のスラ
リーを分別し、生成ゼオライトに酸を添加することによ
り、上述のような浸漬処理を行うことができる。好まし
くは、スラリーからゼオライトを分離し、水洗するとい
う従来の工程を行ったうえで、ゼオライトスラリーを酸
性水に添加して浸漬処理を行う。
酸による浸漬処理において重要なことは、通常の中和
処理の如く短時間で終了するのではなく、酸の追加添加
なしで液pHが少くとも1時間、好ましくは少くとも3時
間ほぼ一定となるまで、処理を継続することである。な
お、合成ゼオライトの種類及び製造法によって、任意の
pH値で所定時間一定にならないことがある。そのような
場合には、意図するpH値を種々変更して(一般にはより
酸性側にして)浸漬処理を行えば、酸添加なしで一定pH
が達成できるpH値が見い出される。
上記のように酸性水性液に合成ゼオライトを十分な時
間浸漬した後に、通常、合成ゼオライトを液から分離す
る。分離は、ろ過、デカンテーションなど任意の方法で
行うことができる。
分離したゼオライトは、洗浄することなく加熱乾燥に
付される。あるいは、任意的に、洗液のpHが6.5を実質
上越えない条件下で洗浄することも出来る。洗浄操作に
おいて重要なことは、洗液のpHが6.5を実質上越えない
条件下で洗浄を行うことである。ここで、“pHが6.5を
実質上越えない”とは、洗液のpHが洗浄終了時に6.5以
下となることを意味するものであり、洗液のpHが短時間
6.5を越えても、本発明が目的とする安定化された合成
ゼオライトを得ることが出来る。洗浄操作には酸性水性
液を用いることが出来る。酸としては、浸漬処理に使用
可能ないずれの酸をも使用することができる。酸性水性
液のpHは、浸漬時のpHに近似またはそれ以下であること
が好ましいが、より高くなっても良い。少量の水で洗浄
することも出来る。浸漬処理時のpH及び浸漬液からの分
離方法によっては(例えば低いpHにて浸漬処理を行った
場合、あるいは浸漬液からのゼオライトの分離をデカン
テーションにて行った場合には)、浸漬処理時の酸がゼ
オライト上にかなり残留している。従って洗浄操作に比
較的少量の水を用いて洗浄終了時に洗液のpHが6.5以下
となり、本発明の目的を達成することが出来る。洗浄操
作自体は、種々の慣用の方法にて行うことが出来る。例
えば分離した合成ゼオライトを撹拌機付き容器に入れ、
洗液を加えて撹拌、洗浄する。あるいは、分離装置中の
ゼオライトに洗液を注加して洗浄する。洗浄操作は通
常、ゼオライトに対し0.5〜100倍程度の液量の洗液を用
い、室温で行われるが、他の条件下で行うことも可能で
ある。こうした洗浄操作により、浸漬処理時にゼオライ
トから生じた不純物の除去等、製品の品質向上がなされ
る。
次に、得られた合成ゼオライトを加熱乾燥する。通
常、100℃以上、好ましくは120℃以上、特に130℃以上
で、1時間以上、好ましくは3時間以上、常圧下で、所
望により減圧下で行う。かかる加熱乾燥により、付着し
ていた酸は通常揮発してしまう。従って、本発明の合成
ゼオライトを水に分散したときに強い塩基性を示さない
理由が、付着酸によるのではないことが明らかである。
本発明に従い浸漬処理の後に、洗浄を行わずにまたは規
定の洗浄操作を行い、加熱乾燥した場合にのみ、本発明
の効果が達成される。浸漬処理に続いて大量の水で洗浄
し、加熱乾燥したのでは目的が達成されない。一方、本
発明に従い出来上がった合成ゼオライトを、後に大量の
水で洗浄しても本発明の効果は失われない。
上記の、浸漬−(洗浄)−加熱乾燥の一連の操作を、
複数回繰返してもよい。
特定の理論により本発明は限定されないが、まず本発
明に従う酸処理において合成ゼオライトの表面をゾル状
物が覆うと考えられる。すなわち、浸漬処理の間に、ゼ
オライト結晶構造の欠陥個所から崩壊脱落したケイ素及
びアルミニウム原子団(イオン基)またはゼオライト内
部に封じ込められたゼオライト原料物質が酸と反応して
ゼオライト表面にゾル状物を形成する。続いて合成ゼオ
ライトを加熱乾燥すると、ゾル状物は脱水して、キセロ
ゲル状になると考えられる。一旦、キセロゲル膜が形成
されると、これは水洗によっても脱落しない。しかし、
加熱乾燥する前のゾル状物は弱いので、中性及びアルカ
リ性雰囲気下で水洗すると脱落するのであろう。本発明
の合成ゼオライトを水に分散したときにキセロゲル膜は
いわゆる半透膜として働き、ゼオライトからアルミニウ
ム及びケイ素の原子団などが水中に出てゆくのを防ぐと
考えられる。本発明の合成ゼオライトを酸性水(塩酸、
pH2〜3)及びアルカリ性水(水酸化ナトリウム、pH10
〜11)に分散(固液化1:10)すると、いずれの場合でも
分散水は同じpH、たとえばpH6.8になり、しかも合成ゼ
オライトは崩壊せず、分散水中にアルミニウムイオンは
検出されない。
以上のように本発明の合成ゼオライトは水中で極めて
安定である。本発明の合成ゼオライトを50g/の濃度で
蒸留水中に分散し、20〜25℃で24時間、好ましくは72時
間保持した後に、分散水のpHは5〜7、好ましくは6.0
〜6.8の範囲に留る。本発明の合成ゼオライトが安定で
あることは、実施例で説明するように分散水中にアルミ
ニウムイオンが検出されないことからも確認される。従
来の合成ゼオライトの場合には、分散水のpHは24時間後
に強いアルカリ性となり、アルミニウムイオンが検出さ
れる。
なお、特開昭59−203723号公報に、ゼオライトに海水
中のミネラル成分を担持させ、かつ平衡pHが10.5以下に
調整されている改質ゼオライトが記載され、平衡pHは好
ましくは9.5〜4.5とされ、実施例に平衡pH6.5の物が記
載されている。しかし、そこでの平衡pHとは5g/100mlの
水性スラリーの僅か30分間後のpH値である。本発明者が
見い出したところによると、30分間では平衡pHには達し
ない。たとえば従来の合成ゼオライトをpH2.5の塩酸で
中和したゼオライトを水に分散すると、分散水のpHは1
時間後には6.5であるが24時間後には8.9まで著しく上昇
する。従って、上記公報における「平衡pH」のゼオライ
トは本願発明を示唆していない。また上記公報における
ゼオライトの酸処理は、単に「中和処理」とのみ記載さ
れているので、本発明方法のように長時間の処理を示唆
していない。従来の合成ゼオライトを酸で中和すると、
見かけ上はすみやかに中和されるが、たとえこれを水洗
せずに乾燥したとしても、水に再び分散するとアルカリ
性を呈する。
本発明の合成ゼオライトは安定な中性乃至微弱酸性を
維持し、湿潤時にもpHが高まることなく安定である。そ
れ故に、体粘膜や皮膚等に接触しても低刺激性を示し、
副作用を呈することがない。従って、医薬、医療、化粧
品及び食品関係の原料、用材に使用できる。各種有機材
料、無機材料中に混入複合化した際にも、長期に亘って
構造が安定であるので、材料の物性や性状の劣化原因と
はならない。又、用途に応じてイオン交換して変性され
たすべての従来の合成ゼオライトにも本発明は適用され
る。本発明の合成ゼオライトは多くの場合、従来の合成
ゼオライトと事実上同一の機能を有し、例えば、乾燥
剤、吸着剤、イオン交換剤、各種添加剤、或は触媒、分
子フルイなどの成分分離、水処理用造粒体、担体などと
して使用できる。
本発明の合成ゼオライトを有機高分子体に混合して用
いる場合について特に説明する。ゼオライトに抗菌性金
属イオンを担持させ、これと高分子体とを混合し、成形
する技術が知られている(特開昭59−133235号公報)。
本発明の合成ゼオライトは中性乃至微弱酸性であるの
で、高分子体の劣化をもたらすことがない。高分子体
は、たとえば合成又は半合成の有機高分子体であり、特
にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ
塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニ
ルアルコール、ポリカーボネート、ポリアセタール、AB
S樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタンエラ
ストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性合
成高分子、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン
樹脂などの熱硬化性合成高分子、レーヨン、キュプラ、
アセテート、トリアセテートなどの再生又は半合成高分
子などが挙げられる。合成ゼオライトを高分子体に混入
することにより、(変性)ゼオライトの機能、たとえば
吸着、乾燥、抗菌などの性質を持つ高分子成形体(塗装
及び接着剤を含め)を得ることができる。
[実 施 例] 以下で実施例により本発明を更に説明する。
以下において、ゼオライトを分散した水のpH(簡単の
ためにゼオライトのpHと云うことがある)は次のように
して測定した。合成ゼオライトを常圧、105℃で2時間
乾燥し、室温に冷却後に蒸留水に50g/の濃度で分散
し、20〜25℃で24時間5000rpmで撹拌した後、保証電極
を使用して20℃で測定した。
アルミニウムの溶出の測定は、上記の如く50g/の分
散物を20〜25℃で24時間500rpmで撹拌した後に、72時間
静置し、液を0.45ミクロンメンブランフィルターに通過
させて得た分取液について原子吸光分析方法〔島津製作
所製AA−640−13型〕で求めた。検出限界は0.5ppmであ
る。
実施例で用いた原料の合成ゼオライトを第1表に示
す。各合成ゼオライトは必要に応じて粉砕及び分級し
て、所望の粒子径とした。表中の含水率は、105℃で乾
燥した物の含水率である。
対 照 例 上記の合成ゼオライト(1)〜(8)について、pH及
びアルミニウム溶出濃度を調べた。結果を第2表に示
す。
実施例 1a 上記の8種の合成ゼオライト粒子から、本発明の合成
ゼオライトを以下の方法で製造した。
10%硝酸水溶液を入れた酸添加装置を備えた容量2
の撹拌装置付反応槽に、イオン交換水1を入れた。イ
オン交換水を初発pHを4に調整し、温度30℃、撹拌速度
500rpmで撹拌しながら合成ゼオライト固体粒子100gを徐
々に添加して分散させた。その間反応槽内分散液のpHは
上昇するのでpH5.5±0.3以内を保持すべく酸添加装置よ
り酸を継続的に添加して反応槽内のpHをコントロールし
続けた。約20分で合成ゼオライト粒子の添加を完結させ
た後、更に2時間酸を加えながらpHをコントロールし
た。次に酸を加えなくともpH=5.5±0.3の領域に留るこ
とを1時間確認してから処理を終了した。次にブッフナ
ーろ過装置を使用して固液分離した後、合成ゼオライト
を水洗することなく130℃で4時間乾燥して水分を除去
し、次いで局方乳鉢を用いて適度に粉砕して製品とし
た。
得た本発明の合成ゼオライトを蒸留水に分散させてpH
及びアルミニウム溶出濃度を測定した。結果は第3a表の
通りであって、水に対する安定性はすべて極めて良好で
あった。
実施例 1b 実施例1aと同じ装置を用い、8種の合成ゼオライト粒
子から本発明の合成ゼオライトを以下の方法で製造し
た。
10%硝酸水溶液を入れた酸添加装置を備えた容量2
の撹拌装置付反応槽に、イオン交換水1を入れた。イ
オン交換水の初発pHを、3.8に調整し、温度30℃、撹拌
速度500rpmで撹拌しながら合成ゼオライト固体粒子100g
/を徐々に添加して分散させた。その間反応槽内分散
液のpHは上昇するのでpH5.0×±0.3以内を保持すべく酸
添加装置より酸を継続的に添加して反応槽内のpHをコン
トロール続けた。約20分で合成ゼオライト粒子の添加を
完結させた後、更に2時間酸を加えながらpHをコントロ
ールした。次に酸を加えなくともpH=5.0±0.3の領域に
留ることを1時間確認してから処理を終了した。次にブ
ッフナーろ過装置を使用して固液分離した後、イオン交
換水に10%硝酸水溶液を加えてpH3.8とした洗浄液3
をブッフナー過装置上のゼオライト分離物に注加し、
ゼオライトの洗浄を行った。洗浄処理終了時の洗液のpH
は約5であった。次に合成ゼオライトを130℃で4時間
乾燥して水分を除去し、次いで局方乳鉢を用いて適度に
粉砕して製品とした。
得た本発明の合成ゼオライトを蒸留水に分散させてpH
及びアルミニウム溶出濃度を測定した。結果は第3b表の
通りであって、水に対する安定性はすべて極めて良好で
あった。
実施例 2a 通常の合成ゼオライト(4),(7)及び(8)を用
いて、本発明の合成ゼオライトを製造した。反応装置は
実施例1aと同一のものを使用した。但し、使用した酸は
10%酢酸水溶液であった。
1のイオン交換水を反応槽に入れ、イオン交換水の
初発pHを5に調整し、温度25℃、撹拌速度500rpmで撹拌
しながら合成ゼオライト粒子100gを徐々に添加した分散
させた。
その間反応槽内分散液のpHは上昇するので、pH6.3±
0.3以内を保持すべく酸を継続的に添加して反応槽内のp
Hをコントロールし続けた。約20分間で合成ゼオライト
の添加を終え、更に7時間酸を加えながらpHをコントロ
ールした。次に酸を加えなくともpH=6.3±0.3領域で留
まることを1時間確認後に処理を終了した。
ブッフナーろ過装置を使用して固液分離させた後、合
成ゼオライトを水洗することなく130℃で4時間乾燥し
て水分を除去し、次いで局方乳鉢を用いて適度に粉砕し
て製品とした。
取得した本発明の合成ゼオライト製品を蒸溜水に分散
させてpH及びアルミニウムの溶出濃度を測定した。結果
は第4a表の通りであって、水に対する安定性は極めて良
好であった。
実施例 2b 通常の合成ゼオライト(4),(7)及び(8)を用
いて、本発明の合成ゼオライトを製造した。反応装置は
実施例1aと同一のものを使用した。但し、使用した酸は
10%酢酸水溶液であった。
1のイオン交換水を反応槽に入れ、イオン交換水の
初発pHを4.0に調整し、温度25℃、撹拌速度500rpmで撹
拌しながら合成ゼオライト粒子100gを徐々に添加した分
散させた。
その間反応槽内分散液のpHは上昇するので、pH5.8±
0.3以内を保持すべく酸を継続的に添加して反応槽内のp
Hをコントロールし続けた。約20分間で合成ゼオライト
の添加を終え、更に7時間酸を加えながらpHをコントロ
ールした。次に酸を加えなくともpH=5.8±0.3領域で留
まることを1時間確認後に処理を終了した。
ブッフナーろ過装置を使用して固液分離させた後、イ
オン交換水に10%硝酸を加えてpH3.8とした洗浄液3
中に、分離した合成ゼオライトを分散させ、30分間に充
分に撹拌洗浄した。洗浄処理終了時の洗浄液のpHは約5.
5であった。再度ブッフナー過装置を用いてゼオライ
トを分離した後、130℃で4時間乾燥して水分を除去
し、次いで局方乳鉢を用いて適度に粉砕して製品とし
た。
取得した本発明の合成ゼオライト製品を蒸溜水に分散
させてpH及びアルミニウムの溶出濃度を測定した。結果
は第4b表の通りであって、水に対する安定性は極めて良
好であった。
実施例 2c 硝酸及び酢酸を用い、ゼオライト分散液のpHの変化を
測定した。
撹拌機付き容器二つを用意し、その夫々に蒸溜水130m
lを加え、500r.p.m.での撹拌下、(5)A−型ゼオライ
ト60gずつを分散させた。次に、各分散液の夫々に、2N
(126g/)硝酸、及び2N(120g/)酢酸を、500r.p.
m.での撹拌下、5分間隔で初めは1.0mlずつ、10.0mlの
添加後は5.0mlずつ、50.0mlの添加後は10mlずつ加え、
その都度次の添加の直前に分散液のpHを測定した。その
結果を第1図に示す。酢酸を用いた場合には、同じ規定
度の硝酸を使用した場合に比べてゼオライト分散液のpH
がほぼ一定となるのが早いということが判る。尚、pH6.
5付近において、各分散液に発泡が見られたが、硝酸を
用いた場合には著しい発泡がpH6.8〜5.1付近まで続いた
のに対し、酢酸を使用した場合にはその発泡が僅かであ
った。また、硝酸を使用した場合、pH9付近で分散液が
増粘し、スターラーが一時的に停止したが、酢酸を用い
た場合にはこのような増粘は観察されなかった。
比較例 1 実施例2a、2bで用いた合成ゼオライト(4),(7)
及び(8)を用いて以下の方法で水洗処理又は中和処理
を実施した。
水洗処理 合成ゼオライト粒子100gを1のイオン交換水に加
え、充分に撹拌分散の後、ブッフナーろ過装置を使用し
て固液分離した。更にろ過装置の上部より3のイオン
交換水を注意深く数回に分割して注入し、ろ液のpHがほ
ぼ7であることを確認した。水洗を終えたゼオライト粒
子を取り出して130℃で4時間乾燥し、適度に粉砕し
た。
中和処理 合成ゼオライト粒子100gを1のイオン交換水に加
え、充分に撹拌分散した後、ブッフナーろ過装置を使用
してろ過した。次いで希硝酸を注意深く注ぎ入れ中和し
た。中和水のpHが5分間ほぼ6.5であることを確認して
から中和を停止し、中和後のゼオライト粒子を取り出し
て130℃で4時間乾燥し、適度に粉砕した。
得たゼオライト売を蒸留水に分散させて、pH及びアル
ミニウムの溶出濃度を測定した。結果は第5表の如くで
あった。第2a、2b表と比べると、pH値は殆んど改善され
ていず、不安定である。そしてその結果と考えられるが
アルミニウムの溶出も殆んど処理前と変らぬレベルであ
り、自己崩壊と認められる状況であった。即ち、水洗又
は中和によりpHを7前後としたにも拘らず、のちに水中
に分散させた時点で、pHが10近くになってしまった。
実施例 3a 合成ゼオライト粒子(1)に銀イオンをイオン交換に
より与え、このゼオライト−Agを使用して本発明の合成
ゼオライトを製造した。反応装置は実施例1と同一のも
のを使用した。但し、反応槽に硝酸銀添加装置を更に付
設した。
A型−ゼオライト(1)200gを反応槽に入れ、この中
に添加装置より0.5%硝酸銀水溶液1を添加した後、
温度30℃、撹拌速度500rpmで5時間撹拌混合させてイオ
ン交換反応を行ない、銀でイオン交換したゼオライトを
形成させた。次に、ろ過、水洗して過剰の硝酸銀を取り
去ると同時にpHが中和されたことを確認し、乾燥、粉砕
した。
上記、ゼオライト−Agのほぼ1/2に相当する100gにつ
いて本発明の方法を適用した。同一の反応槽にイオン交
換水1を加え、10%硝酸でpH=4に調節した後に30℃
で500rpmで撹拌しながらゼオライト−Ag100gを徐々に添
加して分散させた。
その間に分散液のpHは上昇するが、pH6.0±0.3以内を
保持すべく酸を継続的に添加して反応槽内のpHをコント
ロールし続けた。約20分間で分散を終えた後、更に3時
間酸を加えながらpHをコントロールした。次に酸を加え
なくともpH=6.0±0.3領域で留ることを1時間確認して
から反応を終了した。
ブッフナーろ過装置を使用して固液分離した後、ゼオ
ライト−Agを水洗することなく130℃で4時間乾燥して
水分を除去し、次に局方乳鉢を用いて適度に粉砕して製
品とした。
取得した本発明の合成ゼオライト−Ag及び酸浸漬前の
それについてpH及びアルミニウムの溶出濃度を測定し
た。結果は第6表の通りであった。
水に対する安定性の差は両者間で顕著である。本発明
のゼオライト−AgではpHが中性で安定しており、アルミ
ニウムの溶出がなく、自己崩壊を認ない極めて安定な製
品であった。
なお、硝酸銀でのイオン交換の際に硝酸によりイオン
交換液のpHを5に保持してイオン交換した後に、ゼオラ
イトを水洗せずに別乾燥する実施態様で作った本発明
に従う合成ゼオライトは6.5のpHを示した。
実施例 3b 実施例3aと同じ方法で作ったゼオライト−Ag 100gに
ついて、次の操作を行った。
実施例1aで用いたのと同じ反応槽にイオン交換水1
を加え、10%硝酸でpH=3.8に調節した後に30℃で500rp
mで撹拌しながらゼオライト−Ag 100gを徐々に添加し
て分散させた。
その間に分散液のpHは上昇するがpH5.5±0.3以内を保
持すべく酸を継続的に添加して反応槽内のpHをコントロ
ールし続けた。約20分間で分散を終えた後、更に3時間
酸を加えながらpHをコントロールした。次に酸を加えな
くともpH=5.5±0.3領域で留ることを1時間確認してか
ら反応を終了した。
ブッフナーろ過装置を用いてゼオライトを分離し、イ
オン交換水0.3に分散させて、室温で5分間撹拌洗浄
した。洗浄終了後の分散液のpHは6.3であった。
ブッフナー過装置を使用して固液分離した後、ゼオ
ライト−Agを水洗することなく130℃で4時間乾燥して
水分を除去し、次に局方乳鉢を用いて適度に粉砕して製
品とした。
取得した本発明の合成ゼオライト−AgについてpH及び
アルミニウムの溶出濃度を測定した。結果は第6表の通
りであった。
本発明のゼオライト−AgではpHが中性で安定してお
り、アルミニウムの溶出がなく、自己崩壊を認めない極
めて安定な製品であった。
なお、硝酸銀でのイオン交換の際に硝酸によりイオン
交換液のpHを5に保持してイオン交換した後に、ブッフ
ナー過装置を用いて固液分離し、これを取り出して以
下上記と同様に行って作った本発明に従う合成ゼオライ
トは6.8のpHを示した。
比較例 2 実施例3aと同一の方法でゼオライト−銀を製造した。
次に、ゼオライト−Agのほぼ1/2に相当する100gについ
て、浸漬処理後に水洗を充分に行う方法について実験し
た。
酸を加えなくともpH5.5±0.5に止まることを1時間確
認する浸漬処理を施したゼオライト−Agをブッフナー濾
過装置で固液分離した後、3.0のイオン交換水に分
散、室温下で30分間撹拌洗浄処理した。この際、洗浄処
理終了時の洗液のpHは6.9であった。
ゼオライト−Agを再度ブッフナー濾過装置を用いて分
離し、130℃で4時間乾燥して水分を除去し、粉砕して
製品とした。
得られたゼオライト−Agは、pH8.3のアルカリ性を示
した。
残り1/2のゼオライト−Agについて同様に浸漬処理し
てブッフナー濾過装置で固液分離した後に、3.0のイ
オン交換水を上から徐々に注いで水洗した以外は上記と
同じ操作を行った。水洗処理の最後の1のイオン交換
水のpHは7.1であった。得られたゼオライト−AgのpHは
8.1のアルカリ性を示した。
実施例 4 通常の合成ゼオライト粒子を製造する過程に本発明の
方法を組入れて本発明の合成ゼオライトを製造した。反
応装置は実施例3と同一のものを用いた。ゼオライトの
原料はすべて和光純薬工業株式会社の市販品であった。
10%アルミン酸ソーダ水溶液1を反応槽の中に入
れ、温度60℃、撹拌速度1000rpmで撹拌しながら添加装
置より10%ケイ酸ソーダ水溶液0.9を徐々に1時間に
わたって注入した。その間温度及び撹拌速度はこの条件
を保持し続け、添加完結後も引き続き1時間この状態を
継続させた。その後反応槽の温度を85℃に昇温すると同
時に撹拌速度を500rpmに降下させ、8時間熟成反応を実
施して合成ゼオライト粒子を形成せしめた。冷却後に反
応槽から合成ゼオライトを取り出す訳であるが、反応物
を含む分散液の全量約1.9を2分割して、一方を
(A)通常の方法で処理し、他の一方を(B)本発明の
方法で処置した。即ち、(A)ではブッフナーろ過装置
を使用して固液分離し、多量のイオン交換水を分注して
充分に水洗を施すことにより未反応物質を除去すると共
に過剰の洗浄を行って、ろ過液がほぼ中和となったこと
を確認後に水洗を停止した。そして130℃で4時間乾燥
し、適度に粉砕して製品とした。一方、(B)では、ブ
ッフナーろ過装置を使用して固液分離し、装置上部より
水洗水を加えて未反応物質を除去した。次いでろ過固相
部を少量のイオン交換水でスラリー状とさせてから、イ
オン交換水1(硝酸でpH=4に調節)を入れた反応槽
に徐々に加え本発明の操作を実施した。反応条件は10%
硝酸使用、常温、撹拌速度500rpm、保持pH5.5±0.3と
し、ゼオライトの添加終了後も更に2時間酸を加えなが
らpHをコントロールし、次いで酸を加えなくても該pHに
留ることを1時間確認した。次にブッフナーろ過装置を
使用して固液分離し、130℃で4時間乾燥し、次に適度
に粉砕した。
得たゼオライトのpH及びアルミニウムの溶出濃度を測
定した。結果は第7表の通りであった。
本発明の製品は水に対する安定性が際だって優れてい
ることが明らかである。
実施例 5 本実施例は、ゼオライトの酸浸漬処理後の洗浄方法
が、本発明にとって重要であることを示すものである。
合成ゼオライト粒子(1),(2)及び(3)から本発
明の合成ゼオライトを以下の方法で製造した。
5%リン酸水溶液を入れた酸添加装置を備えた容量2
の撹拌装置付反応槽にイオン交換水1を入れた。イ
オン交換水の初発pHを4に調整し、温度30℃、撹拌速度
500rpmで合成ゼオライト粒子100gを徐々に添加して分散
させた。その間、反応槽内分散液のpHは上昇するので、
pH5.0±0.3以内を保持すべく酸添加装置より酸を継続的
に添加して反応槽内のpHをコントロールし続けた。約30
分で合成ゼオライト固体粒子の添加を完結させた後、更
に2時間酸を加えながらpHをコントロールした。次にpH
=5.0±0.3の領域に留ることを1時間確認し処理を終了
した。
ブッフナーろ過装置を使用して固液分離した後、220
℃で3時間乾燥して水分を除去し、次いで局方乳鉢を用
いて適度に粉砕して製品とした。
比較のためブッフナーろ過装置により固液分離した後
に、pH3.8に調整した酢酸水溶液3.0を上から徐々に注
加して洗浄(洗浄処理における洗液の最後の1のpHは
約5であった)した以外は、上記と同じ処理を行った合
成ゼオライト、及び、同様にイオン交換水3.0を上か
ら徐々に注加して水洗した合成ゼオライトを製造した。
各合成ゼオライトのpH及びアルミニウム溶出濃度を測
定した。結果を第8表に示す。水洗を行った比較例とし
ての合成ゼオライトは、水に対して不安定であり、一
方、本発明の合成ゼオライトは安定であることが明らか
である。
【図面の簡単な説明】
第1図はゼオライト分散液のpHを、添加した酸の量に対
してプロットしたグラフである。黒丸は酸として酢酸を
用いた際のpHを、白丸は硝酸を用いた際のpHを示す。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01B 39/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成ゼオライトを50g/の濃度で蒸留水中
    に分散し、20〜25℃で24時間保持した後の分散水のpHが
    5〜7であることを特徴とする合成ゼオライト。
  2. 【請求項2】合成ゼオライトを酸性水性液に浸漬し、浸
    漬液のpHを約7以下の所定の値に保つように酸を追加
    し、もはや酸を追加しなくてもほぼ一定のpHを少なくと
    も1時間持続するまで浸漬を持続し、次に合成ゼオライ
    トを洗浄することなくまたは洗液のpHが実質的にpH約6.
    5を越えない条件で洗浄した後に加熱乾燥することを特
    徴とする、請求項第1項記載の合成ゼオライトの製造
    法。
  3. 【請求項3】pH約6.5以下の酸性水性液または少量の水
    で洗浄する請求項第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】浸漬処理時において酸として弱酸を使用す
    ることを特徴とする、請求項第2項記載の方法。
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