JPH0429121Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ダンプトラツクのベツセル昇降用テ
レスコピツクシリンダの緩衝装置に関するもので
ある。

（従来の技術） ダンプトラツクにおいて、通常の単一ピストン
ロツドのシリンダにはクツシヨン機構がついてい
る。しかしテレスコピツクシリンダを使つた場合
クツシヨン機構をつけることが難しかつた。

通常の単一ピストンロツドのシリンダでは、ピ
ストンロツドとクツシヨンスプールが一体になつ
ていて、これがベツセルの下降ストロークエンド
付近で、シリンダに嵌合することにより緩衝作用
を得ている。しかし前記テレスコピツクシリンダ
の場合には円筒状の複数のピストンロツドが重ね
られているため、同様な機構ではクツシヨンスプ
ールとシリンダの同軸度を出すことが非常に困難
であつた。また閉じ込み圧力が発生してクツシヨ
ンが働く場合の有効受圧面積は、テレスコピツク
シリンダの作動における最大受圧面積に対し部分
的な範囲となり、相対的に閉じ込み圧力を高くす
るために嵌合部の隙間を小さく管理せざるを得な
かつた。

（考案が解決しようとする問題点） このようにテレスコピツクシリンダを使う場
合、複数のピストンロツドが重なつているため
に、単一ピストンロツドのシリンダと同じように
ピストンロツドとクツシヨンスプールを一体と
し、シリンダと嵌合させるようにしても、同軸度
を出すのが難しく、また閉じ込み圧力が発生して
クツシヨンが働く場合の有効受圧面積も、テレス
コピツクシリンダ自体の作動時の最大受圧面積に
対し部分的な範囲となり、クツシヨンを効かせる
ため相対的に閉じ込み圧力を高くするために、嵌
合部の隙間を小さく管理せざるを得ず、クツシヨ
ン機構の装備が困難であるという問題があつた。

本考案は以上の事情を踏まえて開発されたもの
で、テレスコピツクシリンダに対する有効な緩衝
装置を提供しようとするものである。

（問題点を解決するための手段） このため本考案は、ダンプトラツクに用いるテ
レスコピツクシリンダにおいて、同シリンダを伸
縮させ作動させるための油の流入、流出ポートを
ロツド側に配置し、同シリンダの最内筒ピストン
ロツド端に、その内部に逆止弁を有する中空のク
ツシヨンスプールが摺動自在に係合している円筒
状のクツシヨンボデイを取り付け、シリンダ収縮
ストロークエンド付近で、前記クツシヨンスプー
ルが前記クツシヨンボデイ内のロツド側配管への
流出経路に嵌合し、このとき逆止弁が働きそのた
めの絞り効果により緩衝作用を発生させるように
してなるもので、これを問題点解決のための手段
とするものである。

（作用） ベツセル下降時のストロークエンド付近で、ク
ツシヨンスプールの逆止弁が働くと同時にクツシ
ヨンボデイに嵌合し、ロツド側配管ポートへの油
の流出はクツシヨンスプールとクツシヨンボデイ
間の僅かな間隙から排出されるようになつて、絞
り効果によりシリンダの収縮が遅くなる。その結
果、ストロークエンドで緩衝効果が得られる。ま
た閉じ込み圧力が発生してクツシヨンが働く場合
の有効受圧面積は、テレスコピツクシリンダ自体
を作動させる場合の最大受圧面積に等しくなる。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。先ず第２図によつて、テレスコピツクシリン
ダを採用したダンプトラツクについて述べると、
１はダンプトラツク、２はベツセル、３はテレス
コピツクシリンダである。テレスコピツクシリン
ダ３の一端はピン４で車体に、他端はピン５でベ
ツセル２に夫々回動自在に連結されている。

次に前記テレスコピツクシリンダ３の細部につ
いて第１図によつて説明すると、６はシリンダ、
７ａ，７ｂ，７ｃは夫々前記シリンダ６の動きに
応じて摺動しつつ伸長、収縮するピストンロツ
ド、８ａは配管ポートで最内筒のピストンロツド
７ａの内部に延設されたスチールパイプ８に接続
されている。９はスチールパイプ８の先端に外嵌
し、前記最内筒のピストンロツド７ａの先端に固
設される円筒状のクツシヨンボデイで、内径の一
部が小径となつて段が付けられている。

１０はクツシヨンスプールで、前記クツシヨン
ボデイ９に全体が嵌入でき、先端の小径部は前記
クツシヨンボデイ９の小径部に密に近く嵌合す
る。またクツシヨンスプール１０の小径部内には
スチールボール１２が入つており、逆止弁の作用
をする。１３はクツシヨンスプール１０の大径部
側面に穿設された穴である。

次に以上の如く構成された本案の実施例につい
て作用を説明すると、第３図はシリンダの伸長時
を示し、ベツセルの上昇は配管ポート８ａ及びス
チールパイプ８を通してＡ部分に作動油が溜めら
れ、各ピストンロツド７ａ，７ｂ，７ｃが順次延
びることにより伸長が行なわれる。同じくベツセ
ルの下降時は、逆に作動油がクツシヨンスプール
１０の内部を通るが、この時スチールボール１２
により逆止されているために、作動油は途中の穴
１３から出てクツシヨンボデイ９とクツシヨンス
プール１０との間に形成される間隙を通つてスチ
ールパイプ８を通り配管ポート８ａから排出さ
れ、各ピストンロツド７ａ，７ｂ，７ｃは順次収
縮する。

ベツセル下降時のストロークエンド付近では、
第４図に示す如くクツシヨンスプール１０の先端
の小径部がクツシヨンボデイ９小径部に密に近く
嵌合することにより、流路Ｂを閉じる。このとき
逆止弁の働きにより途中の穴１３を通つた作動油
はクツシヨンボデイ９とクツシヨンスプール１０
との間に形成される僅かな間隙を通るため流量が
著しく減少する。その結果、絞り作用が働くこと
となつて緩衝効果が得られる。また閉じ込み圧力
が発生してクツシヨンが働く場合の有効受圧面積
は、テレスコピツクシリンダ自体を作動させる場
合の最大受圧面積と等しくなる。

（考案の効果） 以上詳細に説明した如く本考案は、テレスコピ
ツクシリンダの油の流入、流出ポートをピストン
ロツド側に配置し、ピストンロツドにクツシヨン
ボデイを取付けると共に、逆止弁内蔵のクツシヨ
ンスプールを摺動自在に係合させるようにしたの
で、ベツセル下降時のストロークエンド付近でク
ツシヨンスプールがクツシヨンボデイに嵌合し、
テレスコピツクシリンダが縮む時の油の流出部自
体を絞つて閉じ込み圧を発生させるため、クツシ
ヨンの有効受圧面積はテレスコピツクシリンダ自
体を作動させる場合の最大受圧面積と等しく取る
事ができ、そのため閉じ込み圧力を低く押えられ
るので、嵌合部の隙間を大きく設定できる。また
機構も簡単なため、テレスコピツクシリンダへの
クツシヨン機構の装備が容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すテレスコピツク
シリンダの側断面図、第２図はダンプトラツクの
側面図、第３図は第１図の要部における伸長時の
作動状態を示す断面図、第４図は第１図の要部に
おけるベツセル下降時の作動状態を示す断面図で
ある。 図の主要部分の説明、６……シリンダ、７ａ，
７ｂ，７ｃ……ピストンロツド、８ａ……配管ポ
ート、９……クツシヨンボデイ、１０……クツシ
ヨンスプール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ダンプトラツクに用いるテレスコピツクシリン
   ダにおいて、同シリンダを伸縮させ作動させるた
   めの油の流入、流出ポートをロツド側に配置し、
   同シリンダの最内筒ピストンロツド端に、その内
   部に逆止弁を有する中空のクツシヨンスプールが
   摺動自在に係合している円筒状のクツシヨンボデ
   イを取り付け、シリンダ収縮ストロークエンド付
   近で、前記クツシヨンスプールが前記クツシヨン
   ボデイ内のロツド側配管への流出経路に嵌合し、
   このとき逆止弁が働きそのための絞り効果により
   緩衝作用を発生させることを特徴とするダンプト
   ラツクのテレスコピツクシリンダの緩衝装置。