JPH0429080Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はフイルタ、特に胴体部から燃料を供給
するタイプのフユエルインジエクタに用いられる
いわゆる胴付きフイルタに関する。

［従来の技術］ 従来、この種胴付きフイルタはフユエルインジ
エクタの胴体部に装着され、供給される燃料中に
含まれる塵埃等を除去するために用いられてい
る。

そして、この胴付きフイルタは基本的に複数の
環状体部とこれら環状体部を連結する複数本の柱
体部とからなる枠体と、この枠体の内周部に配設
されたメツシユ部材と、柱体部に位置しこのメツ
シユ部材を貫通し内側に突出させて一体成型した
２個の方形ストツパとを有している。

そして、この胴付きフイルタをフユエルインジ
エクタの胴体部に装着し、ストツパをフユエルイ
ンジエクタの環状溝に係合することで係止させて
いる。

また、この胴付きフイルタを製造するに際して
は、ストツパ形成のための方形の凹部を外面部に
有する内型金型の外表面にメツシユ部材を覆せ、
その外方に外側金型を配し、両金型で形成した空
間部に樹脂を射出して成型している。

すなわち、胴付きフイルタのストツパは、成型
工程において樹脂をメツシユ部材を通過させて凹
部に流入させることによつて形成している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、かかる従来の胴付きフイルタに
あつては、その成形時において樹脂の粘度の変化
等に起因して、メツシユ部材が射出圧によつてス
トツパ形成用の凹部内に押され、メツシユ部材が
めくれ変形した状態で成型されたり、またメツシ
ユ部材の表面部に薄い樹脂の膜が形成されること
があつた。

そこで、このように成形された胴付きフイルタ
をフユエルインジエクタに装着するとインジエク
タ外周部との間で摩擦によりメツシユ部材自身に
むしれが生じたり、あるいはメツシユ部材表面の
薄膜が剥離して脱落し、フユエルインジエクタ内
に入り込み極めて厳密な精度管理を要する弁座等
に付着する結果、燃料の噴きつぱなし等の不具合
が発生していた。

これを避けようとすると、インジエクタ外周部
に潤滑剤等を塗布しゆつくりと装着しなければな
らず組付けに多大の工数を要するという問題があ
つた。

本考案の目的は、かかる従来の不具合を解消
し、フユエルインジエクタに装着するに際しても
「むしれ」や「剥離」等が生ずることがなく、よ
つて燃料の噴きつぱなし等の不具合が生ずること
のないフユエルインジエクタの胴付きフイルタを
提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案は、ハウジ
ング胴体部に燃料通路と連通する環状溝を有する
フユエルインジエクタの、該ハウジング胴体部に
装着され、枠体と、その内周部のメツシユ部材
と、前記環状溝に係合し前記メツシユ部材から突
出するストツパとが一体に成形されたフユエルイ
ンジエクタの胴付きフイルタにおいて、前記スト
ツパの形状を前記フイルタの中心方向から見て略
馬蹄型に形成したことを特徴とする。

［作用］ 本考案によれば、ストツパ形状が馬蹄型に形成
されていることから、中央部がメツシユ部材の押
えとして作用しその成型工程におけるメツシユ部
材の変形が防止され、これに起因する「むしれ」
や樹脂の「剥離」が生ずることがない。従つて、
燃料の噴きつぱなし等の不具合が発生しないので
ある。

［実施例］ 以下本考案の実施例を添附図面を参照しつつ説
明する。

第１図は本考案にかかる胴付きフイルタをフユ
エルインジエクタに装着した状態を示す断面図で
ある。

同図において、１０は胴付きフイルタ、２０は
いわゆるシングルポイントインジエクタSPIとし
て用いられるフユエルインジエクタである。

胴付きフイルタ１０は第２図をも参照しつつ説
明すると、第１、第２および第３環状体１１Ａ，
１１Ｂおよび１１Ｃとこれらを連結する第１ない
し第４柱体１２Ａないし１２Ｄとから成る枠体
と、この枠体の内周部に配設されたメツシユ部材
１５と、第１および第３柱体１２Ａおよび１２Ｃ
の内側に対向して設けた２個の馬蹄型ストツパ１
７Ａ，１７Ｂとから形成される。

フユエルインジエクタ２０は主に第１ハウジン
グ２１Ａおよびこれにカシメ固着される第２ハウ
ジング２１Ｂからなるハウジング２１内に弁動作
部２２、弁駆動部２４および燃料通路２６が形成
されている。

これらの構造は公知であるから主要部のみを説
明する。

弁動作部２２は主に第２ハウジング２１Ｂに支
持された弁座体２２Ａと半球状の弁体２２Ｂ，こ
れと一体的に設けた磁性体からなる鍔体２２Ｄお
よびこの弁体２２Ｂを常時着座方向に付勢するス
プリング２２Ｃからなり、噴口２３からの燃料噴
射量を制御する。

弁駆動部２４は主にカラー２４Ａとこの外周に
位置するボビン２４Ｂ、ボビン２４Ｂに巻回され
たコイル２４Ｃおよびこのコイル２４Ｃへの給電
部２４Ｄとからなる。

さらに燃料通路２６は主供給通路２６Ａと戻り
通路２６Ｂとからなる。

また第１ハウジング２１Ａには、その胴体部に
燃料通路２６と連通する２個の環状溝２８Ａおよ
び２８Ｂが形成されている。

次に、胴付きフイルタ１０の製造工程を第３図
を参照して説明する。

図において、３１は分割タイプの内側金型、３
３は外側金型である。内側金型３１の外面部には
馬蹄型ストツパ１７を形成するための凹部３１
Ａ，３１Ｂが設けられ、両凹部の間にはランド部
３１Ｃが存在する。そして外側金型３３の内面部
には柱体１２を形成するための凹部３３Ａが設け
られる。

しかして、分割タイプの内側金型３１の外表面
にメツシユ部材１５を覆せ、そして外側金型３３
を配す。その後外側金型３３の凹部３３Ａ内に樹
脂を射出する。すると凹部３３Ａ内に充填された
樹脂はメツシユ部材１５を通過してストツパ１７
を形成するための凹部３１Ａ，３１Ｂにも充填さ
れる。このとき、射出圧が高くても、ストツパ１
７は馬蹄型でありランド部３１Ｃがメツシユ部材
１５の変形を阻止することから、従来の如くメツ
シユ部材１５のめくれ変形およびメツシユ部材１
５の表面に樹脂の薄膜が形成されるようなことは
生じない。

上記の如く形成された胴付きフイルタ１０は、
第１ハウジング２１Ａと第２ハウジング２１Ｂと
をカシメ固着した後第１図における上方からハウ
ジング胴体部に嵌装され、そのストツパ１７が環
状溝２８Ａに嵌入することにより位置決め係止さ
れる。ところで、このときストツパ１７は環状溝
２８Ａの肩部に乗上げつつ最終的にクリツク係合
するが、メツシユ部材１５のめくれ変形および樹
脂の薄膜の形成が阻止されていることからメツシ
ユ部材１５の「むしれ」および樹脂の「剥離」が
完全に防止される。

なお、図示は省略したが、かかる胴付きフイル
タの外周部に燃料供給および戻しのための部材が
設けられ、第２環状体１１Ｂは両者を区別する働
きをする。

そして、所定の圧力に制御された燃料は胴付き
フイルタ１０を通過し主供給通路２６Ａを経て弁
動作部２２に至り、コイル２４Ｃへの通電制御に
応じた弁体２２Ｂの開弁動作に従い噴口２３から
噴射されること周知の通りである。また、余剰の
燃料は戻り通路２６Ｂおよび胴付きフイルタ１０
を通り図示しない戻り管路に戻される。

［考案の効果］ 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、胴付きフイルタを装着するに際し、メツシユ
部材のむしれあるいは樹脂の剥離が生ずることが
なく燃料通路内に塵埃として侵入しないので燃料
の噴きつぱなしが完全に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図は本考案にかかる胴付きフイルタの外観斜視
図、第３図は本考案にかかる胴付きフイルタを成
型するための金型の一部を示す断面図である。 １０……胴付きフイルタ、｛１１……環状体、
１２……柱体｝（枠体）、１５……メツシユ部材、
１７……ストツパ、２０……フユエルインジエク
タ、２１……ハウジング、２６……燃料通路、２
８……環状溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハウジング胴体部に燃料通路と連通する環状溝
   を有するフユエルインジエクタの、該ハウジング
   胴体部に装着され、枠体と、その内周部のメツシ
   ユ部材と、前記環状溝に係合し前記メツシユ部材
   から突出するストツパとが一体に成形されたフユ
   エルインジエクタの胴付きフイルタにおいて、前
   記ストツパの形状を前記フイルタの中心方向から
   見て略馬蹄型に形成したことを特徴とするフユエ
   ルインジエクタの胴付きフイルタ。