JPH0428745Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、インクを用いて印刷する際に用い
る床材や粘着性を活用したゴミ取り等に使用され
る表面粘着性クツシヨン材に関するものである。

「従来の技術」 従来より、年賀はがき等に手軽に印刷すること
ができる家庭用の簡易印刷機が提供されている。
この印刷機は、通常透明なフイルムに原画を画
き、光照射を用いた焼き付け法によつて、原画の
文字やイラストの黒線部が焼き付けられて微細な
孔を生じた原板を用い、この孔を通して押圧によ
りインクが浸透して葉書などに原画が転写される
ようになつている。

ところで、こうした印刷を行なうとき、ズレや
インクむらを生じさせないため、原板と用紙を所
定箇所に仮固定する必要があり、そのために用紙
を置く側に粘着性エラストマーシートを配して仮
固定し、そのシートの裏側すなわち床材に均一な
押圧が可能なように軟質ポリウレタン樹脂発泡体
を配した床材が用いられている。

このような床材として使用される従来の粘着シ
ート付きクツシヨンパツドを第３図に示す。第３
図に示す粘着シート付きクツシヨンパツド１は、
粘着性エラストマーシート２とクツシヨンパツド
材３とをそれぞれ別途に製造した後、接着剤４を
用いて貼り合わせることにより一体化したもので
ある。

「考案が解決しようとする問題点」 しかし、上記のような貼り合わせによる粘着シ
ートとクツシヨンパツドの一体品には次のような
問題点があつた。

貼り合わせるために接着剤を使用しなければ
ならず、製造コストが高いものとなり、また接
着剤に含まれる溶剤の気化により労働衛生上お
よび防災上好ましくない。

貼り合わせるために製造工程が多くなり、こ
の面からもコスト上不利である。

この考案は、こうした問題点を解消し、製造が
容易にでき、しかも製造コストを低廉価できる表
面粘着性クツシヨン材を提供することを目的とし
ている。

「問題点を解決するための手段」 この考案の表面粘着性クツシヨン材は、合成樹
脂発泡体の表面に、粘着性エラストマーシートを
材料とする被覆を一体的に設けてなることを特徴
とするものである。

「実施例」 第１図はこの考案の一実施例を示す図である。
この図において符号５は表面粘着性クツシヨン材
である。この表面粘着性クツシヨン材５は、クツ
シヨンパツド材６の表面に、粘着性エラストマー
シート７を一体的に固着してなるものである。こ
の粘着性エラストマーシート７は、ポリウレタン
樹脂を材料とし、その表面が粘着性を示すもの
で、シートの厚さが0.5〜３mm程度、また、その
比重が1.0〜1.5ｇ／cm³程度である。この粘着性エ
ラストマーシート７の表面は、平滑でもよいが、
この図に示すように、深さ0.3〜0.5mm、幅0.1〜１
mmの溝８，８……を適当な間隔で縦横に格子状に
形成することにより、この表面に紙などを被着さ
せたときに、溝８，８……が空気の流路となり密
着性を向上させると共に、被印刷物を仮固定する
ときの位置決めを容易にすることができる。

上記クツシヨンパツド材６は、軟質のポリウレ
タン樹脂発泡体を矩形板状に成形したものであ
り、クツシヨン材としての要求性能に応じて、発
泡体をそのまま用いても或いは熱プレスで圧縮し
た状態のものを用いても良く、その比重は0.05〜
0.6ｇ／cm³程度である。また、クツシヨンパツド
材６の厚さは、弾力性を考慮して自由に決められ
るが、通常５〜20mm程度の厚さのものが使用され
る。なお、このクツシヨンパツド材６には、粘着
性エラストマーシート７の反対側の面に、図示さ
れていない粘着面が形成されており、印刷機の床
材として使用する際に粘着シート付きクツシヨン
パツド５を印刷機の所定位置に接着できるように
なつている。

上記の表面粘着性クツシヨン材５は次のように
して製造される。まず、粘着シートの厚さに相応
する高さの液体流出防止用の堰を四周に設けた平
面状の成形型の中に、ポリオールとイソシアネー
トとから合成したプレポリマーに硬化剤を混合し
たものを注入する。これを約90℃で10〜15分間加
熱キユアーし、プレポリマー表面が充分な接着力
を持つた半硬化の状態となつた時点で、クツシヨ
ンパツド材６をプレポリマー表面に静かにのせ
る。その後、更に約90℃で５〜10分アウターキユ
アーして上記プレポリマーを硬化させ、粘着性エ
ラストマーシート７とする。以上の操作により、
クツシヨンパツド材６の気泡中にプレポリマーが
侵入した状態で硬化し、クツシヨンパツド材６に
粘着性エラストマーシート７が一体的に固着され
た状態の表面粘着性クツシヨン材５が得られる。

上記の表面粘着性クツシヨン材５は、第３図に
示す従来のクツシヨンパツド１と同様に、クツシ
ヨンパツド材６が印刷時の押圧に対して弾力機能
を担い、粘着性エラストマーシート７が葉書等の
被印刷物のズレを防ぐことに有効に機能して、原
画からの浸透印刷を鮮明に行なう床材として好適
に使用することができる。

また、この表面粘着性クツシヨン材５は、クツ
シヨンパツド材６表面に粘着性エラストマーシー
ト７を一体的に固着してなるものなので、従来の
貼り合わせによる粘着シートとクツシヨンパツド
の一体品に比べ、剥離のおそれがなく、また高価
な接着剤を使用することなく、かつ製造工程の簡
略化を図ることができるので、極めて低コストで
製造することができる。また、製造の際に接着剤
を必要としないので、接着剤の溶剤による作業環
境性等についても対策の必要がないという利点を
有す。

第２図はこの考案の応用例を示す図である。こ
の図において符号９はゴミ取り器である。このゴ
ミ取り器９は、ゴミ取り器本体１０に、円筒形の
表面粘着性クツシヨン材１１を回転自在に取り付
けたものである。この表面粘着性クツシヨン材１
１は、円筒形のクツシヨンパツド材１２の外周面
に、粘着性エラストマーを材料とする被覆１３を
一体的に設けたものである。この円筒形のクツシ
ヨンパツド材１２は、先の実施例と同様のポリウ
レタン樹脂発泡体で作られたものであり、また、
被覆１３も、先の実施例の粘着性エラストマーシ
ート７と同様のポリウレタン樹脂を材料とするも
のである。

このゴミ取り器９は、ゴミ取り器本体１０の取
つ手部を持ち、ほこり等の付着した被清掃面に表
面粘着性クツシヨン材１１を当接させ、被清掃面
上を回転移動させることによつて、被清掃面上の
ゴミが粘着性エラストマーの被覆１３に付着し、
この面を清掃できるようになつている。被覆１３
に付着したゴミは、濡れた布で拭く等により容易
に除去することができる。

このゴミ取り器９に使用される表面粘着性クツ
シヨン材１１は、高価な接着剤を使用せず、製造
工程を簡略化できるなど、先の実施例の表面粘着
性クツシヨン材５と同様の効果が得られる他、表
面粘着性クツシヨン材１１に弾力性が付与されて
いるので、被清掃面に凹凸があつても押圧するこ
とにより、被清掃面の凹凸に対応することがで
き、ゴミを粘着除去する効果を高めることができ
る。

「考案の効果」 この考案の表面粘着性クツシヨン材は、粘着性
ポリウレタンエラストマーとポリウレタンフオー
ムとを一体成形で一挙に成形して、高価な接着剤
を使用することなく、かつ製造工程の簡略化を図
ることができるので、極めて低コストで製造する
ことができる。

また製造の際、接着剤を必要としないので、接
着剤溶剤による作業環境性についても対策する必
要がないという利点を有する。

また、この考案による表面粘着性クツシヨン材
は、適度な粘着性と弾力性を有し、インクの浸透
により各種の用紙にカラー印刷する家庭用簡易印
刷機の床材としてあるいは粘着性を利用したゴミ
取り器などとして好適に使用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す図であつ
て、表面粘着性クツシヨン材の斜視図、第２図は
表面粘着性クツシヨン材の応用例としてのゴミ取
り器を示す斜視図、第３図は従来の粘着シート付
きクツシヨンパツドの斜視図である。 ５，９……表面粘着性クツシヨン材、６，１２
……クツシヨンパツド材（合成樹脂発泡体）、７，
１３……粘着性エラストマーシート（被覆）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ポリウレタンフオームに粘着性ポリウレタンエ
   ラストマーシートが一体的に積層されてなり、ポ
   リウレタンフオームと粘着性ポリウレタンエラス
   トマーシートとの一体化が、ポリウレタンフオー
   ムの気泡中に粘着性ポリウレタンエラストマーシ
   ートとなるプレポリマーが侵入した状態で硬化す
   ることでなされたものであることを特徴とする表
   面粘着性クツシヨン材。