JP4438972B2 - ウレタン樹脂製品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば各種材料の表面を磨くクリーナや、健康マットレスや、靴の中敷や、防滑シート等の各種用途に適用可能なウレタン樹脂製品及びその製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばキッチンやトイレやフロア磨き用等のクリーナにおいて、軟質または半硬質ウレタンフォームの外面に不織布や網状化繊維等を貼り付けたものとか、軟質または半硬質ウレタンフォームを含浸液により処理することで、フォーム表面に堅牢度の高い含浸層を形成したものとか、この含浸層にジルコニウム粉末等の研磨剤を添加したもの等が知られており、例えば内部のウレタンフォームに洗浄液を染み込ませて、外面の不織布や網状化繊維や含浸層や研磨剤等によって表面を磨き上げるようにしている。
【0003】
また、例えば滑り止め用等の目的で、ゴム層等の表面に塩化ビニルの突起を散点状に形成した成形物が知られており、例えば軍手の表面等に適用されたものが良く知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記クリーナの場合で、軟質ウレタンフォーム等の表面に不織布や網状化繊維等を貼り付ける技術は、繊維とフォームの部分接着になるため強固に接着するのが困難で、その後剥離しやすく、また貼り付け作業も手間がかかって煩雑になりやすいことに加えて、使用につれて不織布がボロボロになって剥がれ落ちたり、繊維等が型崩れして見栄えが悪くなるという問題がある。
また、含浸液等により表面に含浸層を形成する技術は、フォーム表面全域が含浸液によって固化されるため、内部のウレタンフォーム中に洗浄液等を染み込ませることが出来ず、クリーナとしての機能が損なわれる恐れがある。
【0005】
また、滑り止め用等の目的でゴム層等の表面にポリ塩化ビニルの突起を形成する技術の場合は、ポリ塩化ビニル素材が環境問題等からあまり好ましくなく、分別回収も困難であるとともに、このような点付け処理は手作業で行われるのが一般的であるため、手間がかかるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、特にクリーナに使用すれば高い洗浄効果と耐久性等が得られて好適であり、またそれ以外の例えば局部指圧や滑り止め等の各種用途にも使用出来るウレタン樹脂製品を提供し、またそれを製造するにあたり設備費が安価で且つ効率良く製造出来るようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、シート状の軟質または半硬質ウレタンフォームの少なくとも一面側に、ウレタンプレポリマーによる含浸層を形成し、その上にウレタンプレポリマーを散点状に、または部分的に隙間を持たせて塗着することによって、前記ウレタンプレポリマーの含浸層及び散点状または部分的に隙間を持たせた塗着部が製品の外表面に現れるようにするとともに、ウレタンプレポリマーは、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)とヒドロキシルを有する化合物によって得られるものとした。
【0008】
このように軟質または半硬質ウレタンフォームの表面にウレタンプレポリマーによる含浸層を形成し、その上にウレタンプレポリマーを散点状に、または部分的に隙間を持たせて塗着すれば、ウレタンフォームの表面性状を部分的に変えることが出来、例えば塗着部の硬さや堅牢性等を高めて研磨作用や防滑作用等を高めたり、局部指圧効果を得たりすることが出来る。
この際、ウレタンフォームとウレタンプレポリマーの同種材料の組合せであるため、分別回収等の必要がなく、しかも環境上の問題は生じない。
しかも、製造工程において粘稠液状のウレタンプレポリマーをフォームの表面に塗布するため、ウレタンプレポリマーの少なくとも一部はフォーム中に含浸し、両者は強固に接合一体化される。
【0009】
ここでウレタンプレポリマーの組成物となるMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)の含有率等は任意であり、散点状または部分的に隙間を持たせた塗着部を形成する際は、ウレタンプレポリマーの粘度を低くして、ウレタンフォームに散点状の含浸部を形成するようにしても良く、ウレタンプレポリマーの粘度を高くして、ウレタンフォーム表面に散点状の盛上げ凸部を形成するようにしても良い。
また、ウレタンプレポリマーの塗着部の形状や塗着間隔等の意匠は任意であり、不規則な散点状にしても良く、規則的な円形のドットの繰り返しでも良く、格子状でも良く、その他の意匠でも良いが、少なくとも部分的に隙間を持たせて塗着するようにする。
尚、ウレタンプレポリマーの粘度が300〜30,000cp/25℃と比較的低粘度の場合は、ウレタンフォームに含浸し易く、含浸層を形成させるのに適しており、粘度が100,000cp/25℃と比較的高粘度の場合は、ウレタンフォーム上に凸状に盛上げ模様を形成させるのに適している。
【0010】
そしてこのようなウレタン樹脂製品は、例えば各種材料の表面を磨くクリーナや、健康マットレスや、靴の中敷や、防滑シート等の各種用途に使用することが出来る。
【0013】
ここで、クリーナとして使用する時は、ウレタンプレポリマーとして、例えばMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)とヒドロキシルを有する化合物によって得られるプレポリマーを使用することにより、塗着部に適度な強度、硬さ、弾性、研磨性を持たせることが出来、好適である。
これに対して、他のイソシアネート、例えばTDI(トルエンジイソシアネート)とヒドロキシルを有する化合物によって得られるウレタンプレポリマーを使用すると、塗着部が硬くなり過ぎ、適切な弾性が得られないため、クリーナとしては適切でなくなる。但し、他の用途では適切な場合がある。
【0015】
因みに、クリーナとして使用する場合は、含浸層によって内部のフォームに洗浄液等を含ませることが出来なくなる可能性があるが、洗浄液等を使用しないで洗浄する場合には、耐久性や研磨性が向上するため使い勝手が良いこともある。
【0016】
また本発明では、軟質または半硬質ウレタンフォームの表面にウレタンプレポリマーが散点状に、または部分的に隙間を持たせて塗着されるウレタン樹脂製品を製造する方法において、シート状の軟質または半硬質ウレタンフォームの処理面にパンチングプレートを重ね合わせてロールコータに投入し、このロールコータにより粘稠液状で且つMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)とヒドロキシルを有する化合物によって得られるウレタンプレポリマーを塗布し、その後硬化させるようにした。
【0017】
すなわち、軟質または半硬質ウレタンフォームの表面にウレタンプレポリマーを散点状に、または部分的に隙間を持たせて塗着する方法として、ロータリースクリーン方式やロールそのものに意匠を施し、ウレタンフォームに対して、直接ローラで散点状等に塗布する方法も考えられるが、この方法では設備費が高価になるとともに、散点状等の意匠はロール一回転分に限られて二回転目からは同じ意匠が繰り返されることになり、しかも、意匠等を変更をする時はロールの交換に時間と手間を要するという問題がある。
【0018】
そこで、パンチングプレートを重ね合わせてロールコータで塗布すれば、意匠の変更等はパンチングプレートの変更だけで良く、しかも設備費が安価で済む。
ここで、パンチングプレートの材料は任意であり、金属性でも、樹脂製でも、紙製でも、その他の素材でも良い。
【0019】
また、粘稠液状のウレタンプレポリマーを塗布した後、硬化させるまでの手順等は任意であるが、例えばウレタンプレポリマーに未反応のイソシアネート基を存在させることによって、大気中の水分と反応させるようにすれば、従来一般的に行われているような処理後の含浸層に霧状の水を吹き付けて硬化させるような作業を省くことが出来る。
そしてこのような粘稠液状のウレタンプレポリマーは、各種条件によって違いはあるが、通常、自然放置にて1〜3時間程度で充分硬化するため、乾燥設備が不要となる。
勿論、乾燥設備を用いて硬化させるようにしても良い。
【0020】
因みに、軟質または半硬質ウレタンフォームとパンチングプレートを重ね合わせてロールコータに投入すれば、ウレタンフォームが厚み方向に圧縮されてパンチングプレートの打ち抜き部からウレタンフォームが僅かながらはみ出るため、例えば粘度の高いウレタンプレポリマーでも綺麗に且つ確実に塗布することが出来る。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図1、図2は本発明に係るウレタン樹脂製品の一例を示し、それぞれ(a)が斜視図、(b)が断面図、図3はクリーナの一例を示す説明図、図4は製造方法の説明図、図5は他のウレタン樹脂製品の構成例図である。
【0022】
本発明に係るウレタン樹脂製品は、軟質または半硬質ウレタンフォームの表面性状を部分的に異ならせることで、例えば各種材料の表面を磨くクリーナや、靴の中敷や、健康マットレスや、防滑シート等に使用すれば好適な製品として開発され、廃棄処分やリサイクル処分等において分別する必要がなく、また設備費を安価に出来るように留意されるとともに、デザインの拡張性も容易なように留意されている。
【0023】
すなわち、図1及び図2に示すように、本ウレタン樹脂製品1は、シート状の軟質または半硬質ウレタンフォーム2と、このウレタンフォーム2の少なくとも一面に散点状に塗着されるウレタンプレポリマーの塗着部3を備えており、このウレタンプレポリマーの塗着部3は、図1に示すように盛上げ凸部状に形成される場合もあり、図2に示すように、平坦状に形成される場合もある。
【0024】
ここで、図1に示すように、塗着部3を盛上げ凸部状に形成する場合は、粘度の高いウレタンプレポリマーを使用し、図2に示すように、平坦状に形成する場合は、粘度の低いウレタンプレポリマーを使用して含浸させ、後述する要領でウレタンフォーム2の表面に塗布し硬化させるが、いずれもウレタンプレポリマーの一部がウレタンフォーム2中に含浸し強固に一体化するとともに、塗着部3の硬さや堅牢度や強度や弾性等が周辺部分より増し、クリーナとして使用する場合は、研磨性が向上するとともに、ウレタンフォーム2が露出している箇所では、洗浄液等の染み込み作用が損なわれない。
【0025】
また、クリーナとして使用する時は、ウレタンプレポリマーとして、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)とヒドロキシルを有する化合物によって得られるプレポリマーを使用するのが好適であり、この場合は、塗着部3に適度な強度、硬さ、弾性、研磨性を持たせることが出来る。
【0026】
そして、クリーナとして使用する時は、例えば図3(a)に示すような柄4の先端にウレタン樹脂製品1を取付けて使用したり、または(b)に示すように、所定のサイズに裁断してスポンジ状タワシの形態で使用することができる。
【0027】
勿論、クリーナ以外の用途、例えば局部指圧効果の得られる健康マットレスや、滑り止めのための防滑シートや、靴の中敷等の各種用途に使用することも出来、目的に応じて塗着部3の盛上げ形状や、硬さや、弾性等を適切なものにする。
【0028】
次に、以上のようなウレタン樹脂製品1の製造方法について図4に基づき説明する。
ウレタン樹脂製品1は、図4に示すようなコータ10と送りロール11との間に、軟質または半硬質ウレタンフォーム2とパンチングプレート12を重ね合わせて投入し、ガイドロール13とコータ10によって供給される粘稠液状のウレタンプレポリマーPを塗布し、硬化させることで製造するようにしている。
この際、パンチングプレート12の素材としては、例えば金属製や、樹脂製や、紙製等の任意の素材が選択出来る。
【0029】
また、例えばウレタンフォーム2のサイズは、幅1〜1.5m、長さ2m程度の寸法とし、その後、製品サイズに裁断加工するようにすれば、このサイズのウレタンフォーム2に対する塗着作業はわずか数秒にて完了し、またパンチングプレート12の意匠変更はパンチングプレート12を交換するだけで対応出来るため、設備費用はかからず、しかも効率が良い。
これに対して、例えばロータリースクリーン方式またはロールそのものに意匠を施す方法では、設備投資金額が高騰化し、意匠変更等も段取りが大変である。
【0030】
更に、ウレタンフォーム2がコータ10を通過する際、厚み方向に圧縮されてパンチングプレート12の打抜き部から僅かながらもはみ出るため、粘度の高いウレタンプレポリマーPの場合でも確実に塗着することが出来る。
【0031】
また、ウレタンプレポリマーPとしては、未反応のイソシアネート基を含ませたものにすることにより、大気中の水分と反応するようになり、一般的に行われているような処理後の含浸部に霧状の水を吹き付けて硬化させるような作業を省くことが出来る。
しかも、ウレタンプレポリマーPは、外気温度やプレポリマーの種類等にもよるが、通常1〜3時間程度で充分自然乾燥するため、乾燥設備は不要となる。
【0032】
ところで、図5は別構成例のウレタン樹脂製品1Aの断面図であり、この場合は、ウレタンフォーム2の処理面全域に、粘度の低いウレタンプレポリマーによって含浸層5を形成し、その後、含浸層5の上に比較的粘度が高いウレタンプレポリマーによって盛り上げ凸部6を形成したものである。
【0033】
このようなウレタン樹脂製品1Aは、表層の剛性が増して保形性が向上するとともに、耐久性等も向上し、例えば靴の中敷や、健康マットレス等に好適である。
勿論、洗浄液の染み込み能力等は多少劣るものの、クリーナとして使用することも可能である。
【0034】
尚、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えば散点状等に塗着するウレタンプレポリマーの意匠模様等は任意であり、また、ウレタン樹脂製品の用途等は一例である。
また、実施例では、ウレタンプレポリマーの塗着部3を一面だけに形成する例を示しているが、複数の面に形成するようにしても良い。
更に、硬化させる際は、乾燥設備を使用するようにしても良い。
【0035】
【発明の効果】
以上のように本発明は、ウレタン樹脂製品として、シート状の軟質または半硬質ウレタンフォームの少なくとも一面側に、ウレタンプレポリマーによる含浸層を形成し、その上にウレタンプレポリマーを散点状に、または部分的に隙間を持たせて塗着することによって含浸層や散点状等の塗着部が製品の外表面に現れるようにするとともに、ウレタンプレポリマーとして、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)とヒドロキシルを有する化合物によって得られるものとしたため、ウレタンフォームの表面性状を部分的に変えることが出来、例えばクリーナや、健康マットレスや、靴の中敷や、防滑シート等に好適な製品にすることが出来、しかも同種材料の組合せであるため、廃棄処分やリサイクル処分等が容易である。
【0036】
また請求項2のような製造方法で製造すれば、安価な設備で効率良く製造することが出来、しかも意匠変更等を容易に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウレタン樹脂製品の一例で、(a)は斜視図、(b)は断面図
【図2】本発明に係るウレタン樹脂製品の他の例で、(a)は斜視図、(b)は断面図
【図3】クリーナの一例を示す説明図
【図4】製造方法の説明図
【図5】他のウレタン樹脂製品の構成例を示す断面図
【符号の説明】
1、1A…ウレタン樹脂製品、2…ウレタンフォーム、3…塗着部、10…コータ、12…パンチングプレート、P…ウレタンプレポリマー。

Claims (2)

  1. シート状の軟質または半硬質ウレタンフォームの少なくとも一面側には、ウレタンプレポリマーによる含浸層が形成されており、その上にウレタンプレポリマーが散点状に、または部分的に隙間を持たせて塗着されており、前記ウレタンプレポリマーの含浸層及び散点状または部分的に隙間を持たせた塗着部が製品の外表面に現れるとともに、このウレタンプレポリマーは、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)とヒドロキシルを有する化合物によって得られることを特徴とするウレタン樹脂製品。
  2. シート状の軟質または半硬質ウレタンフォームの少なくとも一面側に、ウレタンプレポリマーが散点状に、または部分的に隙間を持たせて塗着されるウレタン樹脂製品を製造する方法であって、前記シート状の軟質または半硬質ウレタンフォームの処理面にパンチングプレートを重ね合わせてロールコータに投入し、このロールコータにより粘稠液状で且つMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)とヒドロキシルを有する化合物によって得られるウレタンプレポリマーを塗布し、その後硬化させることを特徴とするウレタン樹脂製品の製造方法。
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