JPH0641599B2 - 皮革様積層体およびその製造方法 - Google Patents

皮革様積層体およびその製造方法

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JPH0641599B2
JPH0641599B2 JP16733889A JP16733889A JPH0641599B2 JP H0641599 B2 JPH0641599 B2 JP H0641599B2 JP 16733889 A JP16733889 A JP 16733889A JP 16733889 A JP16733889 A JP 16733889A JP H0641599 B2 JPH0641599 B2 JP H0641599B2
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政春 信田
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Suminoe Textile Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、銀面付の天然皮革の製造時に副産物として発
生する銀面なしの床革を有効に利用する柔軟で耐光性の
ある皮革様積層体とその製造方法に関する。
(従来の技術) 従来から皮革製品を製造するには、第2図に示すように
皮革のうちの上表層である皮、銀面層、網状層の上部の
みを切り剥がし、これをクロムやタンニンで処理して染
色し、表面に樹脂類を塗布して製品としていた。
そして、これらの残りの網状層の下部層である床革は、
余り利用されていないが、その切断面に合成樹脂の溶液
やエマルジョンを塗布し、サンディングや熱プレスなど
の平滑化処理をした後、樹脂を塗布した床革製品が知ら
れている。
(発明が解決しようとする問題点) しかし、上記の床革製品は、網状組織の上に第1樹脂を
塗布し、平滑化処理をした後、第2樹脂を塗布すること
により、網状組織の繊維突出や凹凸を表面から目立ちに
くくしているが、このための第1樹脂の網状組織への含
浸量を多くする必要があり、その結果、製品としてのし
なやかさを欠き、剛直な風合いとなり、その上に1層ま
たは2層以上の第2の樹脂を塗布するため、一層剛直さ
を増すことになる。
従来の床革製品は、上記のように風合いが剛直なため、
柔軟さを要求される椅子張り用や衣料用には使用しにく
かった。
また、特に自動車用椅子張りは、高い耐光性が要求さ
れ、本発明者は、塗布する樹脂としてポリカーボネート
系ポリウレタン樹脂が適することを見い出した。
しかし、この樹脂は耐油性が低く、柔軟処理のために床
革に加えた油剤が樹脂を溶解または軟化するという欠点
があった。
本発明は、特殊な構造及び方法により、これらの問題点
を解決し、銀面層のない床革を用いて、柔軟性がありか
つ耐光性に優れ、天然皮革に近い風合いを持った積層体
を提供するものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、上から順に積層され、かつ互いに接着されて
いる下記層状要素, A.100%モジュラスが100〜150kg/cm2のポリ
カーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分とする厚さが
1〜5μmである耐摩耗層2と B.ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂と顔料を主成
分とし、その乾燥時の重量比が100:30〜100:
100で厚さが3〜10μmである耐光着色層3と C.100%モジュラスが40〜80kg/cm2のポリカー
ボネート系ポリウレタン樹脂と顔料を主成分とし、乾燥
時の重量比が100:3〜100:15で厚さが10〜
30μmである耐久着色層4と D.耐油性接着剤層5と E.鞣した天然皮革の床革層6とからなる皮革様積層体
である。
また、その製造方法は、離型性シート上にポリカーボネ
ート系ポリウレタン樹脂を主成分とする乾燥後の樹脂の
100%モジュラスが100〜150kg/cm2の樹脂液を
乾燥後の厚さが1〜5μmになるように塗布し、乾燥
し、耐摩耗層2とし、その上からポリカーボネート系ポ
リウレタン樹脂と顔料を主成分とし、樹脂成分と顔料の
乾燥後の重量比が100:30〜100:100である
樹脂液を乾燥後の厚さが3〜10μmになるように塗布
し、ついで乾燥し、耐光着色層3とし、その上に乾燥後
の樹脂の100%モジュラスが40〜80kg/cm2のポリ
カーボネート系ポリウレタン樹脂と顔料を主成分とし、
樹脂成分と顔料の乾燥後の重量比が100:3〜10
0:15である樹脂液を乾燥後の厚さが10〜30μm
になるように塗布し、ついで乾燥し、耐久着色層4を形
成し、表皮フィルム1とし、該表皮フィルム1と鞣した
天然皮革の床革層6とを耐油性接着剤5を介して接着し
た後、離型紙シートから剥離することを特徴とする皮革
様積層体の製造方法である。
以下、図に従って本発明について詳細に説明する。
第3図は、本発明の製造方法の一例を示す。
本発明の表皮フィルム1は、離型性シート上に耐摩耗層
2を塗布、乾燥後、耐光着色層3を塗布、乾燥し、その
上から、耐久着色層4を順にナイフコーターで積層す
る。
耐摩耗層2は、製品の最外層となるもので、摩耗や衝撃
に耐えられるよう硬質である必要があり高モジュラスの
もの、具体的には100%モジュラスが100〜150
kg/cm2で無着色のポリカーボネート系無黄変型ポリウレ
タン樹脂溶液を乾燥後の厚さが1〜5μmになるように
塗布するのが好ましい。無着色の樹脂を用いることで樹
脂比率を高め、強度、硬度を向上することができる。
ここで、「100%モジュラス」とは樹脂フィルムの変
形しにくさを示す数値で、原形の100%伸ばしたとき
の引張力(kg)をフィルムの断面積(cm2)で割った数
値である。
耐摩耗層2の100%モジュラスが100kg/cm2以下の
ときは、伸縮性があるが硬さが不足し、使用により摩耗
やキズがつきやすい。
150kg/cm2以上のときは、製品としての風合いを剛く
し、しなやかさを欠き、ヒビ割れが起こりやすくなる。
また、乾燥後の厚さが5μmを越えると硬くなりすぎ、
1μm以下では強度が不足し摩耗により下の層が露出し
たり、ヒビ割れがしやすくなる。
また、樹脂の乾燥は100℃〜120℃の熱風で30秒
〜3分が適する。
乾燥は、他の方法、例えば赤外線などを用いてもよい。
このようにして、耐摩耗層2を形成後、その上から耐光
着色層3を形成する。
この耐光着色層3は、ポリカーボネート系ポリウレタン
樹脂と顔料が主成分で、その乾燥後の樹脂と顔料の重量
比が100:30〜100:100である樹脂液を乾燥
後の厚さが3〜10μmになるように塗布して乾燥し、
耐光着色層3を形成する。
ここでのポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は高モジ
ュラスが適し、100%モジュラスが100〜150kg
/cm2が望ましい。
乾燥後の樹脂に対する顔料の重量が50部以下では着色
が薄く、紫外線が耐久着色層4に透過し、耐光脆化が起
こりやすい。
また、顔料が100部を越えると樹脂との混合がしにく
く、樹脂の強度が低下する。
また、厚さは、3μm以下では、紫外線が透過しやす
く、耐光脆化が起こりやすく、10μm以上になると製
品が硬くなり、ヒビ割れやすくなる。
次に、耐光着色層3の上に、樹脂を塗布し耐久着色層4
を形成する。この耐久着色層4は、ポリカーボネート系
ポリウレタン樹脂が主成分で乾燥後の厚さが10〜30
μmになるように塗布して乾燥し、膜を形成する。
そして、ここでのポリカーボネート系ポリウレタン樹脂
は、中モジュラスタイプが適しており、具体的には10
0%モジュラス40〜80kg/cm2の樹脂が適している。
製品のしなやかさを持たさせるため耐久着色層4は、表
皮フィルム1のうちで最も厚くするのが望ましい。
したがって、樹脂の100%モジュラスが80kg/cm2
上のときは、剛くなり椅子張りや衣料用には使用しにく
かった。
また、40kg/cm2以下では、柔らかすぎと同時に強度不
足となる。
また、顔料は、樹脂100部に対して3部〜15部混入
するのがよい。
また、耐久着色層4の厚さが、10μm以下では、強度
が不十分で下の床革層6などの凹凸が出やすく、30μ
m以上では剛くなりすぎる。
次に、床革の製造方法について詳述する。
床革は、天然皮革のうちの最も表面にある銀面層を採取
した残りの網状層をいう。
この床革は、通常の皮革と同じく鞣処理、即ちクロムま
たはタンニンなどで処理し、乾燥し安定化する。以上の
処理を行った床革を必要に応じ染色した後、しなやかさ
を付与するために油脂を添加し、乾燥し、必要に応じ
て、サンディングにより表面の突出した繊維を取り除き
平滑にする。
また、必要に応じて、太鼓打ちと呼ぶ一種のタンブラー
によりもみほぐされ柔らかくする。
次に、該床革を離型シート状の表皮フィルム1に積層す
る。
表皮フィルム1と床革6の貼り合わせは、離型性シート
上に表皮フィルム1の形成後、その上から耐油性接着剤
5を塗布し、その上から床革6を載置、ローラーなどで
圧着した後、離型性シートから剥離して完成する。
このときの耐油性接着剤は1液型の溶剤型が適し、例え
ばエステル系ウレタン樹脂が耐油性、接着力、柔軟性の
点で適しており、粘度は500〜10000cps、塗
布量は50〜150kg/cm2が適する。
なお、2液型で反応型の接着剤では、剛くなりやすく、
柔軟性を要求されるものには適しない。また、表皮フィ
ルムの積層及び床革の接着は連続式でもよいが、バッチ
式で1枚づつ積層してもよい。
(実施例) 次に、本発明を実施例により詳述する。
実施例 シボ付の離型紙上に第1表に示される耐摩耗層、耐光着
色層、耐久着色層用の配合液を順次、塗工、乾燥を繰り
返し、積層した表皮フィルムを形成した上に耐油性接着
剤配合液を塗工し、その上に床革を載置し圧着した後、
乾燥させ剥離した。
比較例1 第2表に示すように、耐久着色層をポリカーボネート系
ウレタン樹脂をエステル系ウレタン樹脂に変えた他は、
実施例と全く同じ製造方法と構造によるものである。
比較例2 第3表に示すように、耐光着色層を欠く以外は、実施例
と全く同じ製造方法と構造によるものである。
比較例3 第4表に示すように、接着層を1液型接着剤から2液反
応型接着剤に変えた以外は、実施例と全く同じ製造方法
と構造によるものである。
比較例4 第4表に示すように離型シート上にあらかじめ表皮フィ
ルムを形成せず、床革の上に直接耐久着色層、耐光着色
層、耐摩耗層の順に塗工、乾燥を繰り返し、でき上がっ
たものを90℃×10秒間、熱プレスし、シボ付けを行
った。
製品物性値 実施例、比較例1〜4により得られた積層体の物性値を
第6表に示す。
第6表より明らかなごとく、実施例のみが剛軟度が低く
柔らかく、耐光性が強く、耐摩耗性も満足している。
一方、比較例1,2は剛軟度が低く柔らかいが比較例1
は耐久着色層がエステル系のため耐光性が低く、また、
比較例2は、耐光着色層がないため耐光性が低い。
比較例3,4は耐光性は高いが、比較例3は耐油性接着
剤が2液反応型で架橋結合により剛軟度が高くなる。ま
た比較例4は、予め離型シート上にフィルムを形成せ
ず、直接床革に樹脂を塗布するため、床革表面のひげや
凹凸を隠すためには耐久着色層の厚さを80μmとせざ
るを得ず、その結果剛軟度が高くなっている。
(発明の効果) 本発明によれば、従来の床革に樹脂を直接塗布したもの
に比較して、離型シート上に樹脂を塗布後、乾燥し、固
化し、薄い膜としたものを床革に貼りあわせるため、床
革の表面の凹凸が樹脂膜の表面に表われにくく、樹脂層
を薄くすることができ、それにより、積層体を柔軟にす
ることが可能となった。
また、最外層に硬質のポリカーボネート系ポリウレタン
樹脂を主成分とする耐摩耗層を積層したため、耐摩耗性
が高く、他の樹脂を用いたときに比して耐光性が高い。
また、その下の層の耐光着色層には、高耐光性のポリカ
ーボネート系ウレタン樹脂に顔料を高率で混合したた
め、紫外線の透過を防止し、耐光着色層および下の層の
耐久着色層の耐光性を高めることができた。
加えて、耐光性は高いが耐油性が低いポリカーボネート
系ウレタン樹脂から成る表皮フィルムと油を含む床革層
の間に耐油性接着剤層を介することで、表皮フィルムへ
の油の浸透を防ぐことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明にかかる皮革様積層体の一例を示す断
面拡大図である。 第2図は、天然皮革を示す断面拡大図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】離型性シート上にポリカーボネート系ポリ
    ウレタン樹脂を主成分とする乾燥後の樹脂の100%モ
    ジュラスが100〜150kg/cm2の樹脂液を乾燥後の厚
    さが1〜5μmになるように塗布し、乾燥し、耐摩耗層
    2とし、その上からポリカーボネート系ポリウレタン樹
    脂と顔料を主成分とし、樹脂成分と顔料の乾燥後の重量
    比が100:30〜100:100である樹脂液を乾燥
    後の厚さが3〜10μmになるように塗布し、ついで乾
    燥し、耐光着色層3とし、その上に乾燥後の樹脂の10
    0%モジュラスが40〜80kg/cm2のポリカーボネート
    系ポリウレタン樹脂と顔料を主成分とし、樹脂成分と顔
    料の乾燥後の重量比が100:3〜100:15である
    樹脂液を乾燥後の厚さが10〜30μmになるように塗
    布し、ついで乾燥し、耐久着色層4を形成し、表皮フィ
    ルム1とし、該表皮フィルム1と鞣した天然皮革の床革
    層6とを耐油性接着剤5を介して接着した後、離型紙シ
    ートから剥離することを特徴とする皮革様積層体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】上から順に積層され、かつ互いに接着され
    ている下記層状要素, A.100%モジュラスが100〜150kg/cm2のポリ
    カーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分とする厚さが
    1〜5μmである耐摩耗層2と B.ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂と顔料を主成
    分とし、その乾燥時の重量比が100:30〜100:
    100で厚さが3〜10μmである耐光着色層3と C.100%モジュラスが40〜80kg/cm2のポリカー
    ボネート系ポリウレタン樹脂と顔料を主成分とし、乾燥
    時の重量比が100:3〜100:15で厚さが10〜
    30μmである耐久着色層4と D.耐油性接着剤層5と E.鞣した天然皮革の床革層6とからなる皮革様積層
    体。
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